samahani
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2002年09月13日(金) Iran Embassy

夫の仕事は、中東の国々と深く関わっているので(と言っても、石油やさんって訳ではないんだけど)イエメンだとかシリアだとかエジプトだとか、どこにあるのかよく分からない、とにかくあっち方面のイスラミックな国に出張に行くことが多い。

それらの国に出張に行くときはVISAをとる必要がある。通常は、会社にパスポートを預け、そこで手続きを代行してもらうのだが、「イラン」のような微妙な国になると、VISAの発行も簡単ではないらしく、本人が大使館まで出向かなければならない。

という訳で、夫に付き添って、イラン大使館に行くことになった。大使館は地下鉄の駅から遠くて歩けないので、車で送っていったのだ。

大使館といっても、ビルの1階に入っている1室で、入り口にはインターホンと監視カメラあるだけだった。中に入ると誰もいないかわりに、長い上着と、頭を覆うためのスカーフが置いてあった。「これを着用のこと」と注意書きがある訳ではない。イラン大使館に来る人には、そんなことは常識でしょうと無言で言われているようだった。

実際、わたしがそれを身に着けると次の部屋へのロックが解除になった音がした。監視されているらしい。

無気味な静けさがあった入り口の部屋を抜けると、少し広い部屋があり、8人くらいの人が座って待っていた。わたしと同じように頭から足まで覆い隠した女性もいて、目が合うと、照れ笑いのような苦笑いのような笑みをかけられた。わたしも変ですけど、あなたも似合ってませんねぇと、目で言われたような気がした。

緊張するほど、ピリピリした空気が漂っているわけではないが、落ち着かない。男性は普段と同じ格好でいられるのに、女性だけ不自由を強いられ、女は男より格下の人間だとみなされているように感じられて、小さな屈辱感があった。

「わたし、イスラムの国に生まれなくてほんとによかった」と、もしも日本語の分かる人がいたら、つまみ出されそうなことを、思わず口走ってしまった。

窓口の飾りやドアの形が、アラジンやアラビアンナイトに出てくるような玉ねぎ型の球形をしていて、その20畳ほどの小さな部屋が、そこだけ無理やりイランにしてあった。

申込書に顔写真が必要だと言われ、その場で10ドル払って写真をとることになったのだが、領収書を請求しても出せないと言われてしまった。領収書も出せないなんて、胡散臭すぎである。でもこれが大使館。

電話で、事前に予約を取り、問い合わせもしているのに、写真のことは一言も聞いていないと夫が言っていた。そのうえ、8人ほどしか待っていないのに申し込みの手続きをするだけで1時間半も待たされた。

「日本だっら・・・」 

そう、日本だったらもっとちゃんとしてるよねと言いたくなるのはいつものこと。


小さなアラブがそこにあった。






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