キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
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Jを束縛したいとは思わない。 それは、私が束縛されたくないからだろうか。 深い理由などそれほど考えない。
私があまりにも縛らないので、Jは 「放し飼いにされている気分。もう少し束縛してもらいたいくらい。笑」 と言う。 「束縛したくないから。」 と正直に答える。 彼は彼の時間の中で生きて欲しい。
ちょうど良い機会があって、一昨日、昨日はJと会うことができた。 よく、恋人達は「一分一秒でも彼と長く居たい。離れたくない」と思うみたいだけど 私はJに対して、そこまで熱く思わない。 (もちろん、Jの事は大好きなのだけれど)
わざと、そういう事を考えないようにしている。 駅のホームで別れるのが辛いから。 感情を押し殺しているのか、本当に哀しくないのか自分でも分からない。
「ばいばい、またね。」 とまた握手をする。 手を離したあとも、ずっと繋いでいた手の感触が残る。
電車が発車する。 二日間一緒に居たことを思い出す。 彼はずっと笑っていた。 彼はよく私の名前を呼んだ。 私を呼ぶ声が頭の中を駆け巡る。
私のことを、あんなに想ってくれる人は居るだろうか。 今まで居たのだろうか。 これからもそんな人が現れるのだろうか。
未来はどんな未来だろう。 私は誰と居るのだろう。
Jが過去になることはあるのだろうか。 Jが私を振ることはあるだろうか。 私がJを振ることはあるだろうか。
いくつもの道。 いくつもの不安な道。 いくつもの幸福な道。 私はどこに行き着くのだろう。
今分かることは Jの代わりはどこにも居なくて こうやって駅で別れると哀しくて 結局哀しくて少し泣いてしまうということだ。
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