キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
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2004年11月25日(木) 唯一の人。


もう、ぼんやりとしか思い出せない。
私の大切だった人たちの声が。
少しだけ、遠くに行ってしまった。

どうしてこんなにも忘れてしまうんだろう。
どうして記憶は鮮明に覚えていないんだろう。
愚か過ぎて涙も枯れそうだ。

私はあの頃に慣れすぎてた。
優しい人と暖かい人に囲まれて、それが大事ってことも忘れちゃった。
あの頃の風の冷たさも手袋も帽子も、おかしな先生も辛い勉強も。
何もかもあの空気を愛していたのに。

「つまんないよ」

『今のうちに遊んどきな。』

「えー」

『このあいだパーティーしたんだよ、楽しかったよ。遊びまくったんだよ』

「いいなぁ。あたしも遊びたい。」

『遊びなって』

「何して?」

『どっか遠くに行くとか。自転車で遠くに行くとか』

「一緒に行ってくれる人いないもん」

『じゃぁ僕が一緒に行ってあげよう』



ただ、それだけが唯一の救いだ。






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