原初

羅列 回帰



―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2006年11月20日(月)
まぁきっと少し、病んでます。


心が何処かにあるとしたら、それは何処なんだろう。躯の内側? 遠い空の下?
生まれてくるとしたら何処からなんだろう。光に燃されて? 闇に犯されて?
帰るべき場所があるなら何処へ往けるのだろう。閃光の中? 微睡みの中?

何を心と示して呼んでいいのだろう。名前は誰かから貰えるのだろうか。
一つ一つ違うのだろうか。歪なのか。形なんて無いのか。
夢に現れるのか、現実に動けるのか、今も何処かにいるのか、それとももういないのか。

陽だまりの中心、湖の陰、葉っぱの筋や爪先で触れられるもの、
冷たくて生暖かい、痛みを伴って心地のいい、緩やかな締め付けの中で、
美しい毛を持っていたり、睨むような瞳を向けていたり、超音波の声を出したり、
月の歌を唄ったり、踊りながら愚かだと叱ってくれたり、愚かさを許して罰してくれたり、
本当は何もしていなくて、何も視ても訊いてもいなくて、そんなものは何処にも無くて、
遠い御伽噺にだけ生きて、生き血を啜りながら微笑んでいたり、
光の粒子で出来た両手は、誰かを包んでくれたりもしない。
誰かの為になんて出来ない心は、自分の為に何かしてくれるのか。
自分の為に自分を助け、誰かを救い、差し伸べた輝かしさなんて。

鉄の錆びて重い歯車が奇怪な音を立てているなら、警告一つ発してくれるのか。
夜空に流れる星を見つけたら、腕を組み瞼を閉じて祈りごとをするのだろうか。
鳥の羽が一枚落ちたら、拾い上げて風の中に返してもくれないのかも。
始めて貰ったプレゼントのリボンを解いて、包装紙を破いて、蓋を開けて。
一番初めに何があるのか、中心に何が居座り、最後には何が残るのか。何か残るのか。

乾いた砂に湿った泥に掴まれる沼に踏めない藻屑に涙を流している。
青い色に映えた赤い色に戻れない桃色の、握り締めて離さないでそのまま壊して。
矛盾だらけで正当化されて美しくて穴ぼこだらけで傷を負ったら覆い隠して、
泣いたら負けで目元から零れ落ちて砕けも溶けもしない蒸発も出来ないだけど壊れて、
触れた気がして怒りを覚えて気持ち悪くて歓喜の産声をあげ、
聞こえない当たり前に聞こえて侵入して聞かざるを得ない聞きたくも無い雑音、
何処かから始まって何処までも響き何処かには途絶えて終わる何処かの何処か。

黒くて明るくて白くて昏くて紅くて無地で蒼くて透明で黄色は澄んでいるし緑は失せた。
暑くて凍る冷たくて融ける熱くて氷は寒くて燃える。歌いたくて声が出なくて喉を亡くす。
犬の中ではハンサムで鳥の中では微妙で魚の中ではおちこぼれで、
感銘を受けた詩が吐露を招いて汚物にまみれた輝く肢体を持ち、
うっとりと魅了する紛れた色々がぼやけて薄らいでぼんやりと帰ってきて。

得体も知れない旅路を終えて、経験も忘れて蓄積は気化し行方は知れず訪れたただの岐路、
何処かから生まれ何処かへと居着き何処かへと還ってくる事も叶うなら。
おかえりって、云ってあげたいのか、ただいまって、云って欲しいのか、さよならと、呟きたいんだ。
何処へいきますか。今から。何処かへいけるなら、今すぐ。何処へもいけないから、今なら。


原初 羅列