“酩酊者は迷走する”...datenshi

 

 

風邪をひいた夜は・・・ - 2004年02月05日(木)

おれは丈夫だ、と思っていた。
少なくとも、健康か不健康かというカテゴリーで括られたら、
おれは間違いなく「健康」いや、圧倒的に「健康」に
分類されるべき人間だと思っていた。
日々心拍数を160近くまでフルスロットルに追い上げ、
渋滞の早稲田通りを愛車BD-1「まりな号」でかっとばし(死語
朝昼晩3食をきちんと(それなりに栄養も考慮しつつ)摂り、
とにかく、快食快便な訳で、
そういう訳で、おれは丈夫だ、と頑なに信じていた。

それだけが、たった一つのおれのプライドと称しても良いくらいの勢いだった。

しかし、「快食快便で丈夫」なのがプライドだというのもちょっと
憂慮すべき由々しき事態でもあるどころか、下手すると友人を失いかねない
ので、そんなちっぽけなプライドはチャゲアスの歌ばりに捨て去り、それでも、

やっぱりおれは丈夫だと今でも思いたい。

そう、「思いたい」のである。どうしても。
たとえ小野真弓似の女の子からいきなり愛の告白をされても、である。

いや、小野真弓と自分が丈夫なこととどっちが大事かというと、












そりゃ当然オノマユですよ!








とにかく、そんな切ない経緯があって、おれは丈夫だった筈なのである。


それなのに、だ。

約2年ぶりに風邪が伝染った。
これはもう、横綱朝青龍がうっちゃりで勝つのと同じくらいに
ありえない出来事だった。

だいたい、うっちゃりというのは基本的には長身の力士が得意とする決まり手で、
イメージ的には、「うわー追い込まれちゃったよやっべーなあー」的状況での
死にものぐるいに勝ちにこだわる瀬戸際の巻き返し的逆転満塁サヨナラホームラン的
必殺技であって、
かつては、われらが福井王国出身の大徹関の必殺技でもあり、
(そう、大徹は実にキレのいいうっちゃりで横綱千代の富士を破ったこと
もあるのだ!)
そして、おれは、はったりが得意だ。それだけは自信がある。
ある意味、それでここまでやってこれたといってもおかしくはないだろう。

'97年の夏のはったりだといった感じで思い起こすことも可能だ。
そう、あの夏、おれ達は・・・
と書き出しただけで、原稿用紙100枚換算の文章を綴ることも至って可能だ。

ともかくも、風邪だ。

両鼻孔が完全にロックアウトされ、やりきれない日々を過ごしている。
もし、あの時、自由を求めるために銃を手に取り、そして、ぼくたちは・・・
後期試験当日の政経学部の教室には、机椅子が乱雑に積み重ねられた
バリケードがあり、試験がレポートに振り替えとなったお陰で無事留年できた
あの頃、そうだ、おれは、

「試験のような一発勝負じゃなきゃ勝てない」

そういう男だったのだ。

授業に一回も出席しなくても、思わせぶりな論文を記述しそして無事単位を
取得するという技を持っていたのだが、レポートのような長丁場の仕事となると
全くと言っていいほどどうにもならない、福井弁で言うと「どもならん」状況
だったのだ。

しかし、授業に一回も出席しなくても単位を取れるバカ田大学もどうかと思うが。

いや、だから、中退もしたんだけど。

とにかく、両鼻孔はすっかり部外者の進入を阻止せんばかりに前線の騎士たちが
ジャン・バルジャンよろしくすっかりと立ち塞がり、おれは無惨にも、手入れの
行き届いていない水槽に浮かぶメダカ並に口をパクパクして外気をやっとの思いで
摂取し、合間に「百薬の長」おビール様をかっくらい、









風邪は、酒と気合で治すんじゃあ




と、息巻いてもみせるのだった。

だって、おれは「丈夫」なんだから。

こんな程度でやられるような安っぽい男なんかじゃないんだから。




そんな訳で、4本目のビールを消費しつつ、
背後にはベイ・シティ・ローラーズが流れております。


えす!えー!てぃーゆーあーる!でぃーえーわい!っっないっっ!!


いやいやまだ金曜の夜ですけどね。


...




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