Days without the end |
まさか自分がすることになるとは。 こんなに悲しい想いを、 まさか自分がすることになるとは。 涙を堪えて、バイバイする。 涙を堪えて、電車に乗る。 大好きな人が住む場所は、 どんどん離れていく。 その事実が、その現実が、 もどかしく、悲しく、また涙腺を刺激する。 遠距離恋愛。 10月から彼氏は東京に行ってしまった。 あたしの家からは電車と新幹線を乗り継いで、3時間以上。 遠い。 遠いよ。 将来のため。 彼氏の夢のため、たかだか半年。 応援するしかない。 がんばるのは彼氏で、苦労するのも彼氏。 あたしは辛くても、悲しくても、弱音は言わないと決めた。 重荷になりたくないから。 がんばる彼氏を、追い詰めたくないから。 だけど平気だと思った。 たかだか半年だし、どうしても会えないわけでもない。 がんばれば、月に2回は会える。 でも昨日、彼氏の家から帰るとき、 思いがけない切なさと悲しさに襲われた。 次に会えるのは1ヵ月後。 1年10ヶ月付き合ってきて、 1ヶ月も会えないなんて一度もなかった。 だからそれが不安で、寂しくて切なかった。 それでも涙は見せれない。 泣いてしまえばちょっとは楽になれたかもしれない。 けど見せたくなかった。 彼はあたしの涙を見てもどうにも出来ない。 わかってるから、泣けない。 涙を堪えるあたしを知らず、 彼氏が「一ヶ月かぁ・・・」と呟く。 その寂しそうな声に、また涙が押し寄せる。 駅へ向かう車の中で繋いだ手。 駅が近付くにつれて、 あたしの手を握る彼氏の力が強くなる。 それがまた、切なさと寂しさを刺激する。 誰も知らない街で、 独りぼっちになる彼氏を置いて、 あたしは電車に乗らなければいけない。 置いていくあたしの切なさと、 置いていかれる彼氏の寂しさ。 二つが重なり、言葉が出なくなる。 「どこで下ろそう?」とロータリーの入り口で言う彼氏。 「ここでいいよ」と精一杯の声を振り絞って言うあたし。 バイバイの言葉も言えず、目も合わせる事が出来なかった。 顔を見てしまえば、泣いてしまうのがわかってた。 車を降りて、唇を噛み締め涙を堪える。 振り向いてあたしは手を振った。 今まで生きてきて、一番切ない瞬間だった。 これから会う度、この切ない気持ちで別れるんだろうか。 そう思うだけで、たかだか半年の遠距離が、 とてつもなく大変で、辛い事に思える。 それでもがんばるしかないんだ。 その後に待つ大きな幸せの為に。 |
writer ヒロコ |
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