Movin'on without you
mako



 記憶の糸を紡いでみても。

いかせんとのはじめてのキスは
19歳の夏だった。


あなたは覚えてるわけないと思うけど
車の中、小学校の裏。

あたし、いまでも覚えてるんだよ。
その場所通るたび、やっぱり思い出す。





19歳の秋が、いちばん辛くて
いちばん好きで、好きすぎて。
あなたと同じ煙草を
家のベランダで、隠れて毎晩吸ってた。
同じ匂いを
いつも感じていたくて。

そうすることでしか
心を保てなかった。


弱かった、と言われれば、それまでかもしれないけど
でも今、同じ状況に立たされたら

やっぱりそうすることでしか
心を保てないと思う。




そんな19の秋が
いちばんの思い出で
いちばん、あなたと過ごした季節。







いかせんとのことを思い出すときは
いつも些細なことばかりで

あなたは本当に
ただのひとつも覚えていないんだろうなって
そう思うけど




そのひとつひとつが
あたしには、未来まで持っていきたいくらい

あたしが死んだ後ですら
不可能だけど、覚えていたいくらいの



すごく貴重な日々。







いま、あたしが抱えているこの気持ちも

いつかそうやって
言えるようになるかなあ。











もう、本当にあえなくなる。

あなたのいない、5年ぶりの春が来る。
想像すら、できないのに、
それでも容赦なく、また春はやってくるんだよ。










2004年01月28日(水)



 悪魔のようなひと。

別に、想われてるわけじゃない。
そんなこと、知ってる。


もう勘違いすらできない。
まだあたしが幼かった頃に、
友人たちからもらった慰めの台詞。
「きっと、まこのことを可愛いと思ってるんだよ」
そんな言い訳すら、できない。


あのひとには何の感情も無い。
見事なほどに、気持ちなんてない。




あるのは、欲望と

もしかしたら、たった少しの好奇心。











約束をした。
たった一度きり、と決めて
彼曰く「割り切った関係」






あたしの大好きな甘い甘い声で
在り得ないくらいの残酷な言葉を
あのひとが、囁いた。

「最後に一度だけ、抱いてあげる」










あたしをひざの上に乗せたまま。

5年も前と何も変わってない。













好きで好きで仕方のなかった
いかせんしか見えなかった
周りが何も見えていなかったあの頃とは
少しだけ、違って

その残酷さとか
虚しさとか
・・・自分の、惨めさとか

そういうものもはっきりと
事実、として解る年になってしまった。






それでも
その残酷な誘いを、
あたしは、断れない。





本当に、たった一度きり。

あの人の言葉に嘘は無い。








それでも
あたしは
そのたった一度きりを


―――――心の底から、待ってる。




もう、恋人への
裏切りの気持ちも感じないほどに。










悪魔のようなひとだと知っているのに

その悪魔を、世界一愛してしまったあたし。










2004年01月27日(火)



 ぶっこわれた方程式。

いかせんが好きだった。

ほんとうに、ほんとうに好きだった。
本気でめちゃくちゃ好きだった。
たぶん、最高級の「好き」を
さらに1.2倍するくらい好きで好きで仕方なかった。


尊敬と少しの嫉妬すら混じるこの気持ちを
自分でどうすることもできなかった。

あたしの中にはいつもいかせんがいたし
尊敬する人はいつもいかせんだったし
あこがれる人も
でも一緒にいて何故か悔しくて
辛くて切なくて泣きたくなる人も
世界でいちばん好きな人も
結局いっつも「いかせん」だった。



だからいかせんには
いつまでもあたしの好きないかせんで
いてほしかったのかな。




理想を勝手にあてはめて
偶像に恋をしていたと言われればそれまでだけど

でもどんないかせんでも
あたしは嫌いにならない自信があったし

たとえあの人が罪を犯すことがあっても
あたしはそれでも
きっと嫌いになれないんだろうなって

そんな自分に嫌気がさしたりもしたのに。




ほら、だから
今も嫌いになれない。


嫌いになんかなれるわけがない。





こんなに幻滅して
こんな部分は知りたくなかったと
どこかでそう思うのに
それが「まとも」な考え方なのに

今まで知らなかった
こんな、いかせんの一部分を
知ることができてよかったと
幸せとすら思ってしまう

あたしの頭のなかの方程式は
どこかで絶対壊れてて







人が聞いたら
誰もが「やめろ」って言う。


たぶん、あたしでもそう言う。

だって、実際思ってる。







なのに。



たった一夜きりの
苦い苦い約束を。



大切な人を裏切ってまで犯す
甘い甘い過ちを。





過ちとも思えなくなってしまった自分に
これが必然だとでも言いたげな
運命という言葉を利用しそうな自分に





納得してる自分自身が、
確かに、存在してる。










結局
誰を置き去りにしても
あたしは
あたし自身といかせんだけが
この世で、必要だったってことかもしれない。









2004年01月26日(月)



 それでも、おもいでとは違って。

あの人が結婚したのは
もう3年も前の、秋の日だった。
日にちだってまだ忘れてない。
あたしは泣くことすらできなくて
苦しくて苦しくて仕方なくて
あの人のためになる何かを探すことで
なんとか自分を繋ぎ止めてた。

もうその頃にはとっくに
あたしたちの関係は終わっていて
というより、きっと今考えてみると
あたしたちの関係、なんて大層なものは
なにひとつ、始まっていなかったんだと思う。



誤解できるほど
勘違いできるほど今はこどもじゃなくて、
でも冷静になれるほどおとなでもなくて。



あの頃ね、
あたしのことを
もしかしたらほんの、ほんの少しでも
あなたが好きでいてくれたりしないかなあって。

それだけでよかったんだよ。
そうやって、考えるだけで
あたしは前に進めたし
誰よりも幸せになれたし
あなたをずっとずっと好きでいられるだけの
「理由」だってつくれた。


事実なんて後からついてくるもので
たとえば3年経った今、23歳になったあたしが
ようやく、何も始まっていなかったと気付いたように

あの頃、幸せだと思った日々も
馬鹿みたいに辛くて泣いた日々すら
その時、あたしがそう「感じた」ってことに
意味があったような、気がするんだ。

今、たとえその行為が
どんなに馬鹿みたいに思えたとしても

その瞬間、あたしが選んで
あたしが感じてとった行動なら

あたしは絶対後悔しなくて、
あたしはきっと明日も、十年後だって笑っていられる。




―――――――――――――――――――――――――

あたしはあの人の奥さんを知ってる。
子供は写真で見ただけだけど。

大切にしてるあなたが、どこかで好きだった。
あたしのことは平気で切り捨てるくせに、
大事なものとそうでないものの区別がすごく明確で
要らないと思ったらすぐに切り捨てるくせに、
奥さんと子供のことを
すごく大切にしてるあなたが好きだった。
どこかで相反するふたつの気持ちを
あたしはいつも抱えてた。


あたしのことも、大切にしてほしかったけど、
もちろんそれはそうだけど
大切なものを大切にする
そんなあなただから好きなのかもしれない。

そんな風に、思ってた。


だから、
デスクの上の子供の写真。

あなたに似ていて。
奥さんよりはどちらかと言うとあなたに似ていて。

素直にかわいいって
思えるようになったのに。




―――――――――――――――――――――――――


相反するふたつの気持ちが
ひとつになった瞬間に


あたしはもっと不幸になった。



信じてたものだけは
守りたかった自分と
壊してしまった自分と。




知らなかったほうが幸せだったのか。


あたしはもう、迷ってない。






いちばんずるいのは
あのひと?

それとも、あたし?








2004年01月25日(日)



 衝撃と幻滅と迷いと。


あたしには、恋人がいます。


そのひとのことが、あたしはとにかく大切で。
一生をいっしょに過ごしていきたいと思うし
一生たいせつにしていこうと思ってて。

彼もそう思ってくれていて。

ありのままのあたしを
どんなあたしでも逃げずにごまかさずに
受け止めてくれる
親よりあたしをきちんと見てくれる

そんなたいせつなひとと
あたしはようやく、出会えました。
彼と付き合いだして、1年半。

あたしはかれのことが
とってもとっても大切です。
ずっとずっと 大切です。



―――――――――――――――――――――――――

昔、とてもすきだった人がいて。
日記にもたくさん書いたひとで。
いかせんっていう、
あたしの先生であり上司だった人で。

あたしは
なんて言えばいいのか
うまくは言えないんだけど

いかせんのことがいつも好きで
どんなに人を好きになってもそれが底辺にあって

大切な大切な今の恋人と比べても
「恋」っていうその気持ちだけは
いかせんにはやっぱり勝らなくて

「Love is blind」
「恋は盲目」
じゃないけど、本当に周りが見えていなかったあの頃。

そんな衝動的な気持ちはもう起こらないけれど
何も見えないくらい好きにはならないけれど

でもどこかでいかせんのことを想っていて
それは、恋人への裏切りではないくらいに
底辺に、こころの奥深くにある気持ち。


絶対に
あんなに激しい恋をすることは
もう一生ないと思ってたし、
今も、そう思う。

あんなに人を好きになれる瞬間は
絶対絶対もう二度とやってこない。
そう、言い切れる。

そんな人生のある期間を
いかせんと一緒に過ごせたことが
あたしの幸せであり誇りでもあり
なにより、大切な思い出だった。




―――――――――――――――――――――――――

今の恋人を
絶対に裏切りたくなかったし
裏切らない自信もあった。
もう他の誰かに恋をしたって
理性で留めてみせる自信があった。

それくらいあたしには
たいせつな人だったから。

だけど、だけどもし、万が一例外があるとしたら
それは、間違いなく、絶対に完璧に100%、
いかせんだと思った。
あの人しか有り得ないと思った。



―――――――――――――――――――――――――


今日、



あたしは恋人に
たったひとつの裏切りをしたよ。





―――――――――――――――――――――――――



ねえ、いかせん。

あなたは、
気の強い奥さんを誰より大切にしてて
だからあたしは泣いたよね。
いっぱいいっぱい泣いたよね。
18歳のあの頃から
あなたを好きな幸せとおなじくらい
あたしは泣いてばかりだった。

どんなに追いかけても
絶対に戻っていくあなたを
それでも追いかけるのをやめられなくて
自分の気持ちすらどうにもならなくて
止めることも傷つけることも恨むこともできなくて。



ただ、好きになることしか
愛することしかできなくて。








だからね、いかせん。

あたし、信じたかった。
あなたは、そんな人じゃないって信じたかった。
奥さんをこれからずっと大切にして
子供と家庭を大切にして

もう二度とあたしを抱くことなんてしないって
信じていたかったの。


こんな形で裏切られるなんて
思いもしなかった。







2004年01月22日(木)



 戻ってきてみました。

みなさんこんにちは。
ほんっとーーーーにおひさしぶりです。

・・と言ってもこの日記を読んでくださっている方は
もうほとんどいないかもしれないのですが。

ひさしぶりに、このエンピツのページにアクセスして
ひさしぶりに、「マイエンピツ」にログインしようとして
・・・そしたら、自分のID忘れてた(苦笑)

でも、なんとかログインしたら
マイページには、懐かしい方々の日記がたくさんで

まだマイ登録しつづけてくださっている
本当にありがたい方々もいてくれて

あたしの日記も残っていてよかったなって
すごくすごーく感じました。

この日記が消えてしまったら悲しすぎるもの。
あたしのおもいでが、いっぱいいっぱい。
いっぱい詰まってるから。


今日、急に日記を書くことにしたのには訳があって
それは、夢を見たからなんだけど


ゆーすけの夢を、見たからなんだけど。


この日記を初めて書いたのは、もう2年半くらい前。
そのとき日記に書いたのが、ゆーすけの話。

あれから2年以上の月日がすぎて
あたりまえのようにあたしたちの距離は遠くなったし
こころの距離だけじゃなくって
ほんとうに、ゆーすけは遠くにいってしまった。
もう前みたいに、連絡したらすぐ会える、
そんな距離にあのひとはいなくなってしまった。
けど。

とつぜん夢に現れて
それは連絡しなさいっていう
神様からの暗示のようにも思えて

しかもゆーすけは夢の中でもあいかわらずで
何があいかわらずかっていうと、うーん、まあ。
女の子に優しいところとか
ちょっと優しすぎるところとか
だれにでも優しいところとか
それでもってわたしにもやっぱり優しいところとか

連絡するっていってもメール程度ですが。


もしかしたら今朝の夢は
ゆーすけを思い出すための夢じゃなくて
この日記を思い出しなさいっていう
神様からのメッセージなのかもしれないね。


戻ってこようと思います。
あの頃みたいに、毎日書くことがなくても
誰も読んでくださる人がいなくなっても

あたしが何時の日か、あたしのことを思い出せるように
この場所を大切にしていきたい。


そう、思いました。





2004年01月18日(日)



 気持ちの変化と戸惑い。

好きって気持ちは、どこから来るんだろう。

大切な人がいるのに
他の人も大切だと思う。



あたしは
知ってたけど、移り気で
手に入ると要らなくなる、そんな。

ひどい女なんだと思う。

自分で、知ってる。



だからこそ、
3年も想い通せたあの気持ちが
「特別」だったのだから。




純愛は存在すると思ってる。

でもいつからかあたしは
それができなくなっていた。


それは
裏切られた想いと
あたしを造ってきた経験のひとつひとつと

一言で言えば
あたしは賢くなったということ。

ずる賢く
計算で恋ができる女になってしまったということ。




―――――――――――――――――――――――――

こんな気持ちのひとつひとつを日記に書くか

凄く迷っていました。


日記の更新が途絶えた理由のひとつはそれです。



いい子で思われたい願望が強くて
読者の皆さんに失望されるのが怖くて
言ってることとやってることがちぐはぐで

ずっと書けずにいました。



でも
ここではやっぱり
ありのままの自分でいたくて

大切に思う人のことを
大切に思ったときの気持ちを残しておきたくて


正直に日々のことを書いておこうと決めました。


内容がめちゃくちゃになるかもしれません。
純愛から、清純という言葉から
どんどん離れていくのかもしれません。



でもこれが
まこという人間なのだと、
本当のまこはこんな人間なのかと、
これからも笑って読んでくださる方がいたら
あたしはすごく嬉しいです。



2002年11月11日(月)



 夏休み。

あたしは明日から夏休みをもらう。


夏休みは
あえなくなる、の同義語。





学校はもちろん
バイトも休んで


あたしは自分自身と
向き合う時間をたくさん得て


いかせんにも会わずに








きっと夏が過ぎたら
何かが変わってる。







何も変わらないことを
望んでる自分もいるけれど



変わりたい変わりたいと
望んでいるあたしもいる。









もっといい女になって
自分自身を、成長させて








自分自身に
負けない女になるんだ。








それがこの夏の、目標。








2002年07月31日(水)



 心の整理ができなくて。

いま
あたしの頭の中は
大混乱。



いかせんを好きなのか
ほんとは誰も好きじゃないのか
それとももっと他の感情を抱えているのか



それとも、
ほんとは結論なんて
とっくに出ているのか



わかんない。



・・・わかんないふりをしているだけなのかも。






いちばん仲のいい男友達。
彼と一緒にいると
楽しくて癒されてそれだけでいいと思う。

でもあたしたちは
お互いがお互い
一緒にいることでバランスをとってる。


ほんとうに好きな誰かへの
想いがこれ以上募らないように。







いかせんに頭をぽんってされて
あたしの心は、そんなささいなことで

月が地球から離れられないように
地球が太陽から離れられないように




あの人の持つ、強い引力。








これ以上
前に進めない恋愛はもうしたくないの。


昔と同じように
何もかも捨てて、あなたを追いかけるような
そんな勇気はあたしにはもうない。


傷ついても
あまりの辛さに毎日泣いていても

それでも幸せだと思える自分にはもうきっとなれない。





あたしはもう、現実を知ってる。
進展のない恋を追いかけつづける辛さも
自分を通して大切な人を見るあの人の目も

最後にはすべてがほしくなってしまうあたしの我儘さも

知ってるから、
これ以上先には進めない。





このまま歯止めがかかっていてくれたら
そしたらきっと、それがいちばんいい。





でも
あたしの心の中はもう
歯止めなんかかかってないんだよ。きっと。

こうやって
止まらなきゃって思ってる時点で

きっとあたしは止まれない。





そんな自分がいることくらい、知ってる。
22年間つきあってきた、自分の性格だもん。





傷ついて傷ついて
ぼろぼろになるくらい傷ついて
相手に別れの言葉を告げられるまで


あたしは止まれないんだ。
自分で自分を、止められない。




傷つきたくない気持ちと
傷ついたとしても、一緒にいたい気持ち。






あたしの中ではいつだって
一緒にいたい気持ちが勝つから。

好きって気持ちに
勝るものが見つからない。





あとは、

あなたに「幸せでいてほしい」気持ち。









2002年07月27日(土)



 自己犠牲の代償。

どんなに好きな人がいても

優しくされたら
ふとそっちに行きたくなってしまう気持ち。



あたしは、知ってる。






心が動かないことを自分で判っていても
大切な人は心の奥底にちゃんといても

それでも誰かの優しさに
甘えてしまいたい夜があること



あたしは、知ってる。






好きな人に
思いの届かない夜なら
それは、特に。










だけど。

いかせんを好きだった頃のように
誰かを傷つけても
自分をぼろぼろにしても

それでもそばにいたかった



そんな気持ちは
そう簡単にやってくるものじゃない。




もう一生やってこないかもしれない。








大丈夫。
きっとまだ止まるね。









いかせんに会いたい。
ちゃんと話をしたい。


あなたしか、止められる人がいない。










2002年07月16日(火)
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