◆◇ お気楽観劇日記◇◆
公演やビデオなどを・・・見たまま、聞いたままを
つらつらと書き綴ったまたまた気楽なコーナーです。

2004年02月28日(土)  星組 『1914/愛』 『タカラヅカ絢爛』

いや〜、いよいよ90周年の大目玉“2番手シャッフル公演”第一弾・・・が始まりましたなぁ。
星組には・・・雪組の貴公子かしちゃんと宙組のアイドル転校生タニオカくんが特出。

初日から賛否両論だったけど、なんとなく楽しみにしていた。

『1914/愛』
正直な話、タイトルなんてそっちのけ・・・という感じだった。
1914年なんて・・・そんな時代の話だなんて誰も気にしてないし、
愛・・・と銘打つほど愛なんて登場しない。

「じゃ、どんな感じ?」と言われたら
「“CANCAN”の時の芸術家を焦点にし、“凱旋門”の社会背景を盛り込んだ話」
という感じ。(あかん?)

幕開きはいきなりプチショーだった。
汐美ちゃん、しいちゃん、うん太、すずみん、ももこ、れおん・・・が踊る中
かしちゃんとタニオカくんがせり上がってくる。

「おおおっ!!!いきなりそう来るか〜っ?」期待満天だった。
そのあと、本当にショーのプロロのようにワタル氏とだんちゃんが出てきて
男役やら娘役やら・・・全員出てきて・・・次々と・・・という感じ。

それから突然、昔雪組のショーで・・・『バロック千一夜』だったかで
高嶺さん率いる男役たちが黄色いドレスにごっつい貴婦人カツラをかぶり、
食事をする・・・というシーンがあったが、あのようなカツラをかぶって
膝から斜めにカットされたピンク色のドレスを着た・・・・・・
かしちゃん、タニオカくん、しいちゃん、うん太が出てきて銀橋を歌い歩き、
お芝居へと・・・導入・・・というカタチだった。
不思議とこの男役たちの貴婦人姿は・・・どこか“まとも”だった。
あまり違和感なく、わりとキレイで・・・見ていられた。

はてさてストーリー。・・・と語るようなストーリーではなく、
いや、ストーリーはあったのだけれども・・・おいておいて・・・
なんでもワタル氏扮するアリスティド・ブリュアンは絶大な人気を誇る歌手らしく
そこへナゾの伯爵夫人と名づけられただんちゃんが登場し、
いろいろな展開をへて・・・ハッピーエンド・・・という感じなのだけれども
その間に芸術家たち・・・かしちゃん、タニオカくん、しいちゃん、うん太、すずみん・・・たちの
友情と恋愛を織り交ぜ・・・戦争や不安定な社会情勢や
人種差別による理不尽な事件などが起こったり、出会いや別れやら・・・
そりゃ盛りだくさんで・・・盛りだくさん過ぎて・・・あっち行ったり、こっち行ったり・・・。
またしても失礼なセリフが飛び交ったりして・・・「はあ?」な部分もあったりするけど
お芝居・・・というよりも“お芝居仕立のショー”として見てみれば、わりと楽しめるものだった。

だんちゃんが等身大なのがいい。
親友役のウメちゃんとのコンビも自然体でいい。

ワタル氏は・・・実は貴族でありながら、下町の店の歌手・・・となっているけど
別になぞめいているワケでもなく、テレビの時代劇でよくありがちな
“町民のようにしているけど実は殿様”という役どころで・・・
“1粒で2度おいしい”タイプだった。

かしちゃんは・・・あいかわらずの天真爛漫スマイル満開で、
相手役のかのちかちゃんともお似合いさんだった。

タニオカくんは・・・うん太との友情を大切にする・・・人情人間だった。
うん太は・・・ちょっと哀しいタイプの芸術家で、タニオカくんとコンビの役だったけど
この2人が同期・・・ということもあってか、とても見ていて微笑ましく、
本当に親友なんだ・・・というのがあふれていた。

しいちゃんは、ユダヤ人ということで少し哀しい影を持った役だったけれども
人生まっすぐ生きていこう・・・という気持ちが伝わる優しいタイプだった。

汐美ちゃんは、芸術家を応援している美術評論家で、大人の雰囲気をかもし出しながらも
彼らとの友情を大切にしている良き理解者。

すずみんもしいちゃんと同じ境遇。名声を上げることよりも、人間として
自分の心に偽ることなく、生きていくんだ・・・という感じだった。

別に大どんでん返しもないし、ハラハラドキドキもない。
すらすらすら―――っと進んでいくストーリーだった。

星組のイチオシ下級生ちゃん、ともみちゃんこと夢乃聖夏ちゃん。
プロロのショー部分で、ラスト、1番後ろの列・・・上がったセリ上にいたんだけど
その中でもセンターの少し高いところにいて、めちゃめちゃおいしかった。
もちろん、その前にはいっぱいスターさんがいるけど、
そこだけ見るとまるでスターさんのようだった。

その上、ワタル氏の家の使用人が4人いて、メンバーが
ももこ、綺華れいちゃん、あやみん・・・についで、ともみちゃんが入っていた。
ビックリ仰天・・・・・・だった。
「すっごいや―――ん。」思わず、妹と大喜び。
本当に驚いた・・・し、うれしかった♪

初見・・・ということもあって、内容よりも“見た目”で楽しんだお芝居だった。

おっと、途中、『CANCAN』のシーンがあり、レオンが真ん中で踊っていた・・・。

・・・・・・が彼にはただならぬ何かすごい力を感じてしまうほど、すごいダンスだった。
もちろん、真ん中でやる・・・アレなのだけれども
「ひゃ――――っ!!!」と思わずにはいられない。すごすぎ・・・である。


『タカラヅカ絢爛』
どっかで見たことがあるような・・・新しいもののような・・・
だけどどこかつかみ所のない・・・ショーで、一気に・・・というか、気がついたら終わっていた。

何がどう・・・とか、どこがどう・・・とか・・・コメントできるようなものは覚えていない。
けれども印象的だったのは、特出のかしちゃんの底抜けの笑顔とタニオカくんのやんちゃな・・・だけどどこか“色気”を感じさせる雰囲気。

しいちゃんの人柄がにじみ出たような笑顔とすずみんの“キラー”な目線。

コメントになっていないけれども・・・ハマりそうな予感がするショーだった。
初見で“?”が飛びまくると・・・たいがい、ハマる・・・これが私のタイプのひとつ。
『花・サザクロ』『ダンスピ』・・・そうだった。
ハマるかなぁ・・・ハマらへんかなぁ・・・。

妹の笑い声が聞こえそうだ・・・・・・。



2004年02月27日(金)  轟悠コンサート 『Yu Quiero Guitarras』

なぜ、突然、トドロキおじさんのディナーショーに行くことになったか?
それは、トドロキおじさん・・・だから・・・ということもだけど
花組の若手ちゃんたち・・・それもみわっちと園加ちゃんも出る・・・と言うから、
邪心に邪心が誘いをかけ・・・もう「行きたいかも」から「行く」に変わっていた。

トドロキおじさん、超オトコマエやでー。彫刻のような美しさやでー。歌、ウマイでー。

みわっち、かわいいでー。園加ちゃん・・・ええでぇ。
あとまっつと貴怜良ちゃん・・・いいねぇ、いいねぇ(←ほぼ、おっさん)

幕開きはおじさん、真っ赤な衣装で、『グラナダ』を熱唱。
無駄のない首あたりのノドボトケを上下運動させながらの熱唱。

続いて4人も登場。
いつもよりヘアスタイルが・・・“乱れ気味”にしてあり、
ラテンの国の情熱の男たち・・・という感じをちょびっとかもし出していた。

少し耳慣れた曲をおじさん、4人と歌い継ぐ・・・いや〜、まっつウマイっ!!!

おじさん、場内後方からキンキラキンの・・・どこかアラビア風の衣装で登場。
あまりの煌びやかさと美しさでため息・・・がざわめき・・・になっていた。

ステージの4人も負けじとキンキラキンのアラビア風。
そして少しオリエンタルな曲を歌っていった。

黄色のフリフリ・・・いかにも“ラテンだーっ!!!”という大きなソデの衣装を着て
みわっち、まっつ、園加ちゃん、れいらちゃん・・・と登場。
歌いながら・・・目線で客席を落としながら・・・。
おじさん、真っ白なラテン系の衣装で・・・登場。
5人で楽しく、愉快に・・・メドレーを歌い継ぐ。
ここは聞き覚えのある曲がいくつか出てきて、客席も少し、余裕でノリ始めてきた。
みんな・・・おじさんも・・・4人もにっこにこだった。楽しそうだった。
客席にも降りてきてくれて・・・あちこち・・・練り歩いてくれた。

ブエノスアイレスの夜・・・と名づけられたコーナーでは・・・待ってました・・・
トドロキおじさんならではのマフィア系・・・。
もちろん、4人も白いシャツにソフト帽をキメ、キレイに踊る。
無条件にこういうの・・・好きだなぁ・・・。

ラストコーナー・・・スペインの夢・・・というコーナーでは、黒い・・・ドレスの
・・・・・・4人・・・が出てきた。

最初MCでトドロキおじさんが「4人は女役もするよね。」と言い、
「桐生さんと貴さんはその胸板の厚さを・・・どうカバーするかだよね。」とか
言われていたけど、ホント、2人だけでなく・・・4人とも「ありゃ・・・。」という感じで
ちょっと見てはいけないものを見ている気分だった。
でも目が慣れてくると園加ちゃんが1番、きれいに見えて・・・釘付けだった。
4人が4人なりにトドロキおじさんと絡んで踊り・・・去っていった。

ここで私の大好きな歌が登場した。
『トレアドール』・・・星組のエンカレですずみんが歌った歌。
すごく好きだったから・・・まさか・・・聴けるとは思わず・・・うれしかった。

そのあと、ショッキングピンクのフリフリブラウスに黒の上下の4人が出てきて、
おじさんと一緒にラストソング・・・・・・。

客席にも降りてきてくれて、ギュウギュウ詰めの場内を歩いてくれた。
にこやかなみわっちが至近距離だった・・・。
あまりの狭い通路に帰り道をなくしたみわっちは・・・にこやかなまま、
目は帰り道を探し・・・結局、今来た道を歩いて・・・ステージに戻っていった。

客席の後ろに生徒たちにも元気に手を振っていた・・・。

アンコール曲・・・タイトルはわからないけど、またまたおじさん、大熱唱。
気持ちいいや。ほんま、めっちゃ気持ちいい。

熱唱のあと、4人がまた歌いながら出てきて、おじさんを呼び・・・・・・幕。

あっという間の1時間だった。
テーブルは50あり、1テーブル12人・・・だからホントにぎゅうぎゅう詰めで
少し狭かった・・・しかも私のすぐ前のおばちゃんが・・・曲にあわせて・・・揺れる揺れる。
そのたびに視界がさえぎられる・・・。さえぎられる・・・。
ステージの半分が見えなくなったり、4分の1が見えなくなったり、
真ん中が見えなくなったり。

・・・ホントにこればっかりは・・・まいった。

だけど、ラテンだけでなく、マタドールや、マフィア系・・・・・・めちゃ楽しいのや
いろいろあって、多趣多彩だった。

時折見せるおじさんと4人たちの笑いながらのアイコンタクトが微笑ましくて
見ていてシアワセ気分になれた。

トドロキおじさんは本当にオトコマエだ。
歌もうまいし、彫刻のように美しいし・・・ため息が出る。
最初、れいらちゃんが「すごく緊張してたんですけど、トドロキさんの
彫刻のような美しいお顔を見ていたら・・・少しほぐれてきました。」と
コメントしていた。

MCでもおじさんはおじさんなりに4人にいろいろな質問を投げかけ、
4人も必死にそれに答えようとしていた・・・おもしろかった。
ラストの客席降りの時、おじさんが「みわっちー、まっつー・・・」と
4人の名前を順番に愛称で呼んで、4人がうれしそうにおじさんに寄って行ってたのが
とても印象的だった・・・・・・。

客席の後ろには・・・ミズやハマコ・・・らんとむちゃんやシーリア・・・
花・雪・星・宙・・・といろいろな組の生徒さんが見に来ていてそちらも豪華だった。

シーリアが超キレイだった・・・。
花組の祐澄しゅんちゃんもとてもキレイだった。
ミズが帽子を深々とかぶった横でハマコが大笑いしているのが対照的だった。
らんとむちゃんが・・・すごくヤセていて・・・びっくり。

あー、すっきり楽しいディナーショーでした。



2004年02月14日(土)  安寿ミラ主演 『ハムレット』

なんで『ハムレット』を見に行ったかって?
それはタテさまが出るから・・・。

シェークスピア作品といえば、言葉が難しくて、理解に苦しむ・・・
そういう知識しかなかった・・・。
「噛み砕いてやってくれるかなぁ。」

そんな期待はもろくも崩れ去った。

ストーリーは誰もが知ってる『ハムレット』
ただ、ハムレットはもちろん、安寿ミラで、
ハムレットの友人ホレイショーに旺なつき。
ハムレットの父王を殺し、王座についた弟と
再婚するハムレットの母ガートルードに天宮良、
ハムレットと恋に落ち、ハムレットを取り巻く策略に巻き込まれ
自ら命を絶つオフィーリアに植本潤・・・。
そう、女がオトコを男がオンナを演ずる・・・という見た目にも奇妙なものだった。

物語の導入はハムレットの父であり、弟に暗殺された前王の亡霊が屋敷を彷徨う・・・
・・・・・・というものだった。その亡霊役がタテさま。
いつものように重い風のような動きで踊る。

安寿ミラのハムレットは違和感なく、もちろんカッコもいい。
まるで宝塚の現役時代・・・そのまま・・・という感じで・・・錯覚起こしっぱなし・・・。
旺なつきもとてもすばらしくて、ほとんど釘付けだった。
ウマイウマイウマイウマすぎ・・・。

ガートルードの天宮良と植木潤は・・・やはりどこかおかしくて・・・。
でも不思議なことに見ているうちに別にそんなことどうでもよくなってしまった。

一幕はいわゆる物語の始まり部分・・・。
全体的に動きがゆっくりで・・・というのも常に舞台に出ている人以外の人は・・・
全て亡霊という役で、弟王とガートルードが舞台に出てセリフを話していれば、
例え安寿ミラでも壁から現れる亡霊の役となり、白いマントを頭からかぶり、
奇妙な動きに、奇妙なうめき声というか、奇声を発し、また壁に戻って・・・
常に彷徨い歩いている・・・という感じだった。

1幕はひたすら眠くて「やっぱりシェークスピアは難しすぎるわ。」と思った。

ところが2幕・・・話が転がる転がる・・・。
ハムレットを亡き者にしようとする弟王。
父の敵と知り、復讐を考えあぐねるハムレットとホレイショー。
いろいろな陰謀とすれ違いと策略が入り乱れ、食い入るように見ていた。

ストーリーにほとんどズレはなく、原作どおりだと思うけど
たった9人しかいない役者たちで、さまざまな人々を演じ、
あれよあれよという間に話は進んでいった。

オフィーリアが死んでしまった時、彼女の兄が嘆き悲しむ。
ふと見ると彼はボロボロ泣いていた。汗かと思ったら、大粒の涙がこぼれていた。

彼・・・河内大和・・・彼を初めて見たのは『モンテクリスト伯』だった。
どちらかというとヤバイ系の面立ちをしているから、
そんな彼が本気で泣いているのを見て正直・・・驚いた。

弟王に騙されハムレットを敵と信じ込んで、
復讐を謀り、短剣の試合をするオフィーリアの兄。

弟王の作戦のヒトツであった毒入りの杯を飲んだのはハムレットの母。
そしてたったかすり傷でも死んでしまうよう切先に毒を塗った短剣に
傷ついてしまうハムレット、そして弾みで自分も傷ついてしまうオフィーリアの兄。
そして全てが弟王の陰謀だった・・・とオフィーリアの兄に打ち明けられ、
毒に蝕まれていく体を引きずり、弟王を刺すハムレット。
・・・・・・みんな死んでしまう・・・そんな中、命絶え絶えのハムレットがホレイショーに
「生きて、真実を語ってくれ。」と告げ・・・息絶える。

その時ホレイショー旺なつきの目からも涙が落ちた。

全て復讐劇が終わり、静けさが戻った・・・。
そこへタテさまが静々と登場し、哀しげに踊り、立ち去った。

・・・しばらく静けさが残ったあと、拍手喝采だった。

出演者が順番に登場し、歌う。
そこへ安寿ミラとタテさまが登場。
この2人が踊ったダンスはすばらしかった。

カーテンコールは・・・・・・6回くらいだったか・・・。

1幕は本当にツラかったけど2幕はとてもおもしろかった。
安寿ミラのファンはシアワセだと思った。
違和感なく、まるで男役のような舞台も見れるというのはなんともうらやましい。

とても自然体でハムレットを演じる安寿ミラ。
ダンスもあいかわらずステキで・・・なんだかうれしかった。

それから旺なつき・・・。うますぎるよ・・・ホント。

見に行って・・・よかった。ホント、よかった。

またこんな作品が見たい・・・そう思った。



2004年02月11日(水)  花組 『飛翔無限』 『天使の季節』 『アプローズ・タカラヅカ』

90周年・・・。幼い頃から祖母に連れられて“なんとなく”宝塚を見続けてから早、○年。
一時期転勤でぱったりと止め、再び見初めたのが1992年。
そして80周年の年・・・あの頃はまさか10年後にまだ見ているとは思っていなかった。
・・・というか、さらにパワーアップして見ているとはカケラも思っていなかった。
あの頃は「ああ、10年もたったら、○○と△△あたりがトップかなぁ・・・。」なんて
思っていたのに、見事にその予想は全て外れ・・・
それでも流れを緩めることなく見ているのだから
どっちにどう転がっても・・・こうなっていたんだ・・・と思う今日この頃。

さてさて、90周年のイベント付き公演・・・春日野さんがお出になる・・・。
トドロキおじさんもお出になる・・・。
各組トップさんたちもお出ましになる。

もちろん、私たち姉妹は数多くない観劇日を紫吹さん出演の日中心で決めた。

『飛翔無限』
おごそかな雰囲気に張り詰めた空気。
出語り・・・という人たちが歌を歌い、春日野さん、松本さん、トドロキおじさんが舞う。
まずはっぱちゃんの歌から始まる・・・この人の声は心地いい。
“ウマイ”とか・・・そんなのじゃなくて・・・聞いていて“心地いい”のである。
悠真倫の力強い声、歌花さんと千晶ちゃんの艶やかなデュエット。
びっくりびっくり・・・うまくなったあすかちゃんのソロ。
歌はどれも感動しきりだった。

静々とせり上がってくる春日野さん。セリと同時に重く緊張感のある空気もあがり、
一気に客席まで押し寄せる感じだった。
前作品の時は途中で体調を崩されていたので
まさか本公演にまたお出になれるとは思っていなかった。

私は日舞は全くわからない・・・に等しい。
でもこの人の舞いの“時”を感じ、心地よい歌に背中を押され、気がつけば涙が出た。
機敏ではない、軽やかでもない・・・。でも地を這うような重さを持った雅さ、
宝塚の歴史と同じくらいのご高齢と聞き、また・・・なんともいえない緊張感が走った。

松本さんとトドロキおじさんの舞。美しくて艶やかで・・・。
飽きることなく、見続けていた。
そしてその2人に迎えられ、再びセリ上がる春日野さん。
春日野さんが本舞台に登場されるのと同時にソデから後見役の桜乃彩音ちゃんが出てきて
陰から静かに春日野さんを見つめる。
「まばたきしてないんじゃないか?」というくらいの張り詰めた気持ちが伝わるような強い眼差しで見つめる。

決して長くはなく、流れに変化があるわけでもないのにとても見ごたえのある・・・
聞き応えのある公演だった。

『天使の季節』
聞けばこれは昔雪組であった『恋騒ぎ』酷似だとか!?
私はその作品を見ていないので、素直に楽しんだ。

まず、1番ビックリだったのが・・・いきなりだけど大伴さん。
ふーちゃん扮するマルゲリタのお母さまなのだからびっくり。
これが全く違和感なく・・・すんなりいってたし、優しさとかもにじみ出ていたからホントビックリ。

あとは・・・ゆみこ。
ゆみこ・・・ここまではじけちゃってるのはすごく久しぶりだった。
薄幸の王子とかアル中の役とか・・・城と共に果てる若殿とか・・・
はかなく哀しい役が多かったからか、その分弾けた・・・という感じだった。

作戦を進めていく中で化ける商人とか奥さんとか・・・どれもこれも無理もないだけでなく
見る側のツボ的中・・・というか、「ああ、なんでもできる人やった。」って思い知らされた。
特に爆笑奥さんよりも『アラジン』に出てくるアブ―のようなインドの商人がヨカッタ。

らんとむ。あっはっはー。らんとむちゃんもやりたい放題だねぇ・・・。
ゆみことらんとむは元々関西人だから・・・その“血”が自然と流れてるんやろか?
アドリブもきっちり・・・余裕だった。

魅惑の王子・・・あさこちゃん。
この人もどこかおかしい。やんちゃ坊主のイメージが強かったあさこちゃんが
最近、メキメキと男っぷりをあげ・・・たかと・・・思いきや、「ここまでやるかぁ?」ってな具合に
まあ、ヒイヒイ笑わせてもらった。

ふーちゃん。
「福娘」「笑う角には福来る」これを地でいってるようなふーちゃん。
最初は少し硬かったものの、日を追うにつれ、自然とギスターブたちの
やりとりを楽しんでいるようだった。
人がなんと言おうと・・・私はふーちゃんがお気に入りだ。
あの笑顔がかわいい。「笑ってます〜。」と顔全体で表現している笑顔がヤミツキになる。

まさちゃん。
私はパリの売れない芸人ギスターブよりもマルゲリタのひいじいちゃん
ペスカトーレ国王のほうが好きだ。
どちらかというと1番やんちゃかもしれない。
国王さまのまさちゃんのほうがユーモアたっぷりだったし、自然に楽しめた。
もちろんギスターブもカッコよかったけど、国王さまのほうが愛嬌たっぷりでおちゃめだった。

それから、どうでもいい役だけどハマった人たち・・・近衛士官たち。
きりりとりりしいみちゅう、笑顔がかわいいみわっち、どこかクールなまっつ、
動きがキレイな園加ちゃん、わんぱくっぽいみつる、中性的なイメージのりせりせ。
「今、売り出し中の若手スターたち勢ぞろい」って看板が見えそうな集団。
特にお気に入りは一本釣りのみわっち。
あの中でも一番の“へたれ”だったらしく、アッサーラ王子を探して捕まえるという
ドタバタの中でみちゅうと「行く?やめる?やめる?どうする?行く?えー?行くの〜?」と
やる気のなさを垣間見せ、途中庭のベンチに座って「暑〜。もうやだやだ・・・。」とやってる。
「あっはっは〜。へたれやなぁ。」と思いながらも毎回見てしまった。

このストーリーの展開はどうでもいい展開で、国王さまったら、
あれだけ「アッサーラアッサーラ」と言っておきながら、
あっさりと「ギスターブと結婚しなさい。」と言っちゃって、
「世の中アッサーラとギスターブしかおらんのか?
さっきまでウマの骨、ウマの骨・・・ってゆーてたのに
 簡単にウマの骨に決めていいのか?カリブ国が“息子を侮辱したなっ!!!”って
国を挙げて攻撃してくるぞ。」そんな心配をさせてしまうような結末・・・。

ここまで笑わせておいて最後にまさちゃんに「あれ?」と言わせるのは
どうも安っぽすぎるような気がしたのは私だけだろうか??

何かもう少し気の利いた終わらせ方ってないのか?
まあ、単純に笑わせてもらったからいいのだけれど。

『アプローズ・タカラヅカ』
3人の演出家のコラボレーション。
いっぱいいっぱい詰め込みすぎて・・・あんまりわからなかった。
「袋いっぱい好きなもの詰め込んでいいよ。」と言われて
お気に入りをいっぱい詰め込んだけど、何がなんだかわからなくなった・・・という感じ。

初見、幕開きのプロローグでオペラを覗きながらみわっちを見ていた・・・。
みわっち光線にヤラれたその瞬間、隣の妹が「うわっ!!!」と声をあげた。
「どないしたん?」と聞くと「愛音羽麗にヤラれた。」と言った。
とうとう妹もヤラれたか・・・。

特に印象的だったところだけあげると・・・1番悪かったのがロケットの衣装。
ここ最近で1番“お気の毒”だったような気がする。

楽しめたのは紫吹さん特出の時・・・まさちゃんと2人で客席に降りてきて、
A席の最前列の通路まできた時、紫吹さんが下手のほうでヒラリと手を仰いだ・・・。
・・・とたん、客席が悲鳴の嵐・・・「っきゃ〜〜〜〜っ!!!」「りかさーんっ!りかさーんっ!!!」
そしてセンターでも同じくヒラリ「きゃ――――っ!!!」
それから上手でも・・・ヒラリ「ひゃ―――――っ!!!」
そこはまるで『薔薇の封印』のサンジェルマン宮殿か・・・と見まごう程の黄色い声。
ホントにすごかった・・・まあ、A席サブセンターブロックにいた私たち姉妹も例にもれず
「うっひゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!さっすが紫吹さんやな。」と叫んだ。
その後、ぼそりと「ダンスで鍛えてますからっ。」とフランシスのセリフをつぶやいてみたら
隣の人が笑い転げていた・・・知らん人やのに。

まさちゃんの歌は本当に心地よく、耳と心に響き、
「もっと聞いていたい。もっと聞いていたい。」と何度も何度もそう思った。
他の特出の人の時はわからないけど、まさちゃんが紫吹さんを見つめる時の
なんともいえない眼差し。
「ああ、昔花組で一緒やったもんなー。」としみじみ時の流れを感じたりもした。

おっと、それからゆみこがすごすぎる。
なんだ?あの貫禄!?なんだあの極楽鳥の迫力、
なんだあの『アメージング』のアカペラのすばらしさ。
まるで一気に何かを爆発させたような・・・そんな感じさえもした。
すごいよ、すごすぎるよ・・・ゆみこっ!!! ブラボーゆみこ。

そらから・・・さお太。
あさこちゃん、ゆみこ、らんとむ、みわっち・・・このメンバーと一緒に5人口だよ。
まるで若手のように・・・でも怪しい光を放ちながら艶やかに踊るさお太。
群舞でも独特のオーラを放ちながら、鮮やかに踊る。

今回、しみじみと思ったこと。
なんとなく・・・なんだけど、大伴れいかとはっぱちゃんが辞めたら
私のある意味での“花組のヒトツの時代”が終わるような気がする・・・。
うん、今回そう思った。


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