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■ 追想。
私の身体が不調を起こすようになってから、 あなたはよく、「愛してる」と言うようになった。 言えなくなるのが怖いのだと、後悔するのが嫌なのだと、 あなたは笑って、そう言って。私もまた、「愛してるよ」と紡いだ。
…誘われるように、死を選んでしまいそうになる。 こんなにも生きることを望んで、約束をし、立ち向かっているのに。 ただ、一瞬の痛みに、身を委ねてしまいそうに、なるほどに。 弱っている、といえばそれまでなのだけれど。
自分が、死なないように。あなたを、殺さないように。 そのふたつだけを願って、生きて、いるのだけれど。 つらい、ことも、かなしい、ことも、くるしい、ことも、 全部、切り捨てて、ただ、笑って、何も、言わずに、生きて、 ただ、この身体だけを、引きずって、心だけを、渡さずに、いるけれど。
吐き出せずにいる、何か、だけが、ずっと、あって。 思いっきり泣いてしまいたいのに、泣く、ことがわからなくて。 例えば、あなたが死んだり、あなたがいなくなったりしたら、 私は慟哭し、怯え、泣き叫んで、狂うことが出来るのかもしれない。と。 ありえないことに想像をめぐらせる、ことが出来るのに。
この先を、考えて。異質だというなら、言えばいいと、笑って。 棄ててしまったばかりに、何も怯えなくて、怖くなくて。 要らない、と認識したものはすべて排除したいと思って。 抑圧される感情だけが、溜まって。 いつしか、爆発しそうで、それだけが、怖い。
求める場所が、なければ。救いなど、いらないし、 元より私には、そう紡げる言葉がないのだけれど、 それを望まずにすむ事は、何も考えずにいられることなのだと、 少し、嬉しくて。あなたの前ですら、偽っていることが、苦しかった。
目が醒めれば、変わることなく現実はあって。 私はまた、日々の始まりに少し笑って、気合いを入れ、 同じ日をくり返し、同じことを思って眠りにつき、 少しだけ痛みを思い出して、なにも残さずに日を終える。
直面せざるを得ない時が、来るまで。
2006年01月15日(日)
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