三十一弦-花香-

≪過去     未来≫


 

 

大晦日の深重 2001年12月31日(月)


先年も(さきとしも) 君と過ごせし 生なれど 更なる深み 刻む重み増し

苦の年と 日々の想いを 返る今 緩り(ゆるり)穏やか 時の慈悲かな

世紀始の 三六五(みろご)の時を 思返し 床より愛の 深重(しんじゅう)に謝し


***** ***




苦悶の声 2001年12月27日(木)


生くる苦に 「死を選びたい!」と 語る誰(たれ) それでも「生きる!」と 苦悶の声のみ


掴めない 未来に安危 鬱う誰(たれ) 石に躓くと知らず 宇宙(そら)ばかり見ゆ

***** ***




真昼の月 2001年12月25日(火)


晴空に ほっかり浮かふ 真昼の月 暗冬の合間 ほの風清し(すがし)

「小春日和」と 言うはあまりの 晴天に 昼下がり のどかバス揺らり

***** ***




冬雷 2001年12月21日(金)


海に断つ 闇を切り裂き 稲妻は 悠久の大陸(だいち)より 雪の使い部


静寂の 闇を切り裂く 冬雷に 胸(むな)騒ぐ響き 落ち着かぬ閃めき(きらめき)

冬雷の 響き閃めき 瞬刻に 怯え反して 白閃に酔う

***** ***




塵無となせり 2001年12月18日(火)


神仏に 来世の得を 拝伏せ 今日(こんじつ)の苦々 減るるべくもなく

生き疲れ 床身存え(とこみながらえ) 望む唯一 輪廻終局 塵無となせり

***** ***




明けの眠 2001年12月17日(月)


底冷えの 眠れぬ夜も 薄ら明け 再度(ふたび)寝返り 雪景想浮ふ(おもふ)

***** ***




冬木 2001年12月16日(日)


黄葉落ちて 大き枝広げ 街路立つ 銀杏を見上げ 空色鬱う

常用樹 冬色深緑 重ばゆく 淡く彩る 早春に馳せ

***** ***




暗冬の紅 2001年12月15日(土)


暗う雲 悲しき色に 風を染め 鬱々し故 紅椿でもと

枯れ枝に 赤唐辛子 未だ艶し さら畑(さらばたけ)にて 紅冴え冴え

***** ***




小春日和 2001年12月12日(水)


爽やかな 寒気団合間の 小春日和 闊歩(かっぽ)する吾 窓辺で透見(とうみ)す

久方の 陽に当たりし 山茶花(さざんか)が 鮮やか白き 暖かさ匂す



華やいだ 降誕祭の 街に合う 真紅のコート 羽織って闊歩す 夢を見ゆ



***** ***




初雪 2001年12月10日(月)


初雪や シンシン降るが 定番ぞ! 吹雪く音(ふぶくね)強し 肩を丸めつ

夜深め 初雪しんしん 積もりつつ 寒の窓辺へ 暖か珈琲 彼とともに


初雪に 庭に走り出 歓喜した 幼日思う 元気吾あり

***** ***




誕の日 2001年12月07日(金)


誕の日の 父の表情 想浮かべ 産まれし意味 判らずともい

******* *** *****
〈コメント〉
3才くらいで生き別れ、そのまま死別した父。
しかし、自分の命を縮めてまで、育ててくれた父。
私の記憶の中の父が、いつも微笑んでくれるの。
きっと、私が産まれた日も素敵な笑顔で、
この世に迎えてくれたんだろうな。


***** ***




恨み坂、海眺坂 2001年12月06日(木)


登り坂 病ふ(やまふ)我が身に 鞭打ちて 動悸に振り向く 暗う(くろう)日本海

時雨冷う(ひう) 凍えし指先 相反し 坂に息切れ 服下熱す(ふくしたねっす)


帰り道 「早く床へ」と 涙想い(なみだおもい) 坂を怨んで からだ引き摺り



***** ***




異空の街 2001年12月05日(水)


夕暮れに 行き交う(いきかう)人々 佇む我(たたずむわれ) 異空間同士 CGのよう

ネオン街 夢幻の光 放つよう 我のみ浮きつ 離人の如し


コマ送り 瞬進せし ゼンマイ人形 街の人々? いや我こそぞ

***** ***




雪感の風 2001年12月03日(月)


朝焼けの 色を掻き分け 頬刺す陽(ひ) 雪感の風 枯葉飛ふ音(ね)

はらはらと 雪舞う姿 心待つ 吾に未だと 温に換わる日

夕暮れの 闇色早き 師走夕 一夜一夜に(ひとよひとよに) 雪感思わす

***** ***




師走 2001年12月01日(土)


木枯らしの 信濃川辺り 小走りに ナイトショーの余韻 語りつバス停へ

終バスで 夜街横切り 華やかし 酔い人とネオン 師走彩やか(あざやか)なり

師走時 世の忙しさ 吾写り 病忘れじ 心解れて(ほぐれて)

***** ***




 

 

 

 

INDEX
≪過去 未来≫

三十一弦(軽快編)

Mail/ BBS/Home





My追加