先年も(さきとしも) 君と過ごせし 生なれど 更なる深み 刻む重み増し 苦の年と 日々の想いを 返る今 緩り(ゆるり)穏やか 時の慈悲かな 世紀始の 三六五(みろご)の時を 思返し 床より愛の 深重(しんじゅう)に謝し ***** ***
生くる苦に 「死を選びたい!」と 語る誰(たれ) それでも「生きる!」と 苦悶の声のみ 掴めない 未来に安危 鬱う誰(たれ) 石に躓くと知らず 宇宙(そら)ばかり見ゆ ***** ***
晴空に ほっかり浮かふ 真昼の月 暗冬の合間 ほの風清し(すがし) 「小春日和」と 言うはあまりの 晴天に 昼下がり のどかバス揺らり ***** ***
海に断つ 闇を切り裂き 稲妻は 悠久の大陸(だいち)より 雪の使い部 静寂の 闇を切り裂く 冬雷に 胸(むな)騒ぐ響き 落ち着かぬ閃めき(きらめき) 冬雷の 響き閃めき 瞬刻に 怯え反して 白閃に酔う ***** ***
神仏に 来世の得を 拝伏せ 今日(こんじつ)の苦々 減るるべくもなく 生き疲れ 床身存え(とこみながらえ) 望む唯一 輪廻終局 塵無となせり ***** ***
底冷えの 眠れぬ夜も 薄ら明け 再度(ふたび)寝返り 雪景想浮ふ(おもふ) ***** ***
黄葉落ちて 大き枝広げ 街路立つ 銀杏を見上げ 空色鬱う 常用樹 冬色深緑 重ばゆく 淡く彩る 早春に馳せ ***** ***
暗う雲 悲しき色に 風を染め 鬱々し故 紅椿でもと 枯れ枝に 赤唐辛子 未だ艶し さら畑(さらばたけ)にて 紅冴え冴え ***** ***
爽やかな 寒気団合間の 小春日和 闊歩(かっぽ)する吾 窓辺で透見(とうみ)す 久方の 陽に当たりし 山茶花(さざんか)が 鮮やか白き 暖かさ匂す 華やいだ 降誕祭の 街に合う 真紅のコート 羽織って闊歩す 夢を見ゆ ***** ***
初雪や シンシン降るが 定番ぞ! 吹雪く音(ふぶくね)強し 肩を丸めつ 夜深め 初雪しんしん 積もりつつ 寒の窓辺へ 暖か珈琲 彼とともに 初雪に 庭に走り出 歓喜した 幼日思う 元気吾あり ***** ***
誕の日の 父の表情 想浮かべ 産まれし意味 判らずともい ******* *** ***** 〈コメント〉 3才くらいで生き別れ、そのまま死別した父。 しかし、自分の命を縮めてまで、育ててくれた父。 私の記憶の中の父が、いつも微笑んでくれるの。 きっと、私が産まれた日も素敵な笑顔で、 この世に迎えてくれたんだろうな。 ***** ***
登り坂 病ふ(やまふ)我が身に 鞭打ちて 動悸に振り向く 暗う(くろう)日本海 時雨冷う(ひう) 凍えし指先 相反し 坂に息切れ 服下熱す(ふくしたねっす) 帰り道 「早く床へ」と 涙想い(なみだおもい) 坂を怨んで からだ引き摺り ***** ***
夕暮れに 行き交う(いきかう)人々 佇む我(たたずむわれ) 異空間同士 CGのよう ネオン街 夢幻の光 放つよう 我のみ浮きつ 離人の如し コマ送り 瞬進せし ゼンマイ人形 街の人々? いや我こそぞ ***** ***
朝焼けの 色を掻き分け 頬刺す陽(ひ) 雪感の風 枯葉飛ふ音(ね) はらはらと 雪舞う姿 心待つ 吾に未だと 温に換わる日 夕暮れの 闇色早き 師走夕 一夜一夜に(ひとよひとよに) 雪感思わす ***** ***
木枯らしの 信濃川辺り 小走りに ナイトショーの余韻 語りつバス停へ 終バスで 夜街横切り 華やかし 酔い人とネオン 師走彩やか(あざやか)なり 師走時 世の忙しさ 吾写り 病忘れじ 心解れて(ほぐれて) ***** ***
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