三十一弦-花香-

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君の誕生日 2001年11月30日(金)


君の誕生日 床から離れて お祝いと 心振り絞り 心軽やかに

祝膳 ほころぶ笑みで 頬張りて 四十路前 男(おのこ)幼顔

祝いをと 楽しく振る舞う 吾ゆえに 病の重み 棚に置けたや

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土留め闇 2001年11月29日(木)


土留め闇(どどめやみ) 胸(むな)に滴る(したたる) 血のやうに
刃(やいば)の言を 心無く突つ(つつ)

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終秋 2001年11月22日(木)


秋霧の 床にしと入り 寒凍みて 鮮やか色も 終ゆ(ついゆ)楽し無ず

刈田にて 殻米啄む(からごめついばむ) 白鷺(しらさぎ)に 故郷の冬 懐かし涙(るい)す

病身(やまいみ)を 枯れ葉のやうに 散りたくて 腐り葉なりて まだ枝(え)にしがむ

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苦、療養 2001年11月20日(火)


床中に 一生殆ど 過ごすだけ 悲しみだけに 心占められ

必死に 一時たりとも 必死に 病と向きて 疲れて病う(やまう)


闘病を 「休んでいいよ!」と、言われたい 誰(たれ)にと問われ ただ苦し泣く

横臥して 療養せしは 怠け者 我を追い詰め 生くる苦しや

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刺す言葉 2001年11月16日(金)


切なくて ただ悲しくて 汝の言葉 「うざい!」なんて TV見たいだけで

冷ややかな 何気な仕種 真意なく 何故?突き刺さる 何故?落ちて行く


傷ついて 悲劇を演ず 我の不幸 不幸に染まろと 罪深き我

悲しみを 演じる余裕 あるもなし 悲しみの底に 病あるだけ

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“生”ゆえに 2001年11月14日(水)


死に急ぐ 病の我れに 圧し見える アフガン兵の “生”への執着

他人の“死” 戦争故(ゆえ)に 日常化 それこそ“生”の 生々しきこと

アフガンの 死体の脇で 生きる民 今日の“生”こそ より「ありがたく」かな?


安穏の 日本人より アフガンは 生きてる実感 光の如くか?

いかにせよ! “生”の喜び 多くとも 他人(ひと)の死の上 跨ぎ(またぎ)たくなし


対岸の 犠牲の上の 幸福も 死に急ぎたい 心止らず


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深秋の一日(いちじつ) 2001年11月12日(月)


秋雨の そぼ降る冷たさ 憎らしい 夫の落ち込み 更に深めて

紅葉(もみじ)谷 深紅の想い 血の如く 苦渋に歪む 君の唇

苦悶顔 銀杏の下で アフタヌーンティー 捻じれた心 少しホドヒテ

秋の夜の カフェ・オ・レ一杯 膝合わせ 「大変な一日だったね!」と 少し微笑め

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帰我 2001年11月08日(木)


時に追われ 我を失い プロテクト 脱ぎ捨てる瞬間(とき) 未だ訪れぬ


心の鎧 汝(な)の言霊に 外されて 素の恥じらい 思い起こせし はづかし

素の時を 一日限りと 楽々日 世に戻り 再び心にプロテクト

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離れ人(はなれびと) 2001年11月05日(月)


外界の 忙しき音すら 届かずに 思いは浮つき 我はここにいるだけ

「生きるだけ」 ただ「生きるだけ」の 我ゆえに 意味を欲する 涙するほど

誰か 誰か お茶を勧めて 声優しく 涙果てるまで 行く先見えるまで

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ばばの日 2001年11月03日(土)


文化の日 開化の花の 乙女かな 我が婆の誕 かなたに想う

病ゆえ 親に疎(うと)まれ 帰れぬ故郷 記念日ごと 懐かし潤む

寒々と 秋雨落ちる 窓の外 病の床に 祝日悲し

病月(やまいづき) 秋を感じる 間もなくて 今宵こそはと 眺めど月なし

明日こそは 病床(やまいどこ)離れ 近所まで 幼に戻り お菓子買いに行こ




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うれし、つらし 2001年11月02日(金)


フレッツで 半年ぶりの ネット三昧 病の身重く 楽し苦しみ


先月(さきつき)の 病の床を 抜け出して 遣い(つかい)に歩く 秋のおやつ時


秋の午後 坂を登りて 振り返り 遠きに蒼い 海色に笑むわれ

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