It offers a cup of wine at common days!
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 女の子らしい言葉遣いを

化粧はしないわ、髪は染めないわ、女性らしさは生まれ持った部分だけという、まるで色気なしの誰かさん。
勿論、言葉遣いも、本人は職場では気をつけていると言い張っているが、人様からすると語尾にデスマスがついているだけで、とても女性らしい言葉遣いというものからはかけ離れたものであるらしい。
始末に負えないことに、そう誰かから忠告されても、
「出身地の方言、訛りみたいなもんだ」
と抵抗して、一向に反省する様子はない。

さて、そんな中、今月末に退職することを決めた課長が、
「いいか、××ちゃん、俺はこれだけは言っておく。女の子らしくしなさい」
と、最近やたら遺言めいた忠告を残すようになった。

そんなある日、部内でどこの温泉が好きかという話になった。
「俺は箱根だね〜、××(高級旅館名)行ってみンさい、素晴らしいよ!」
「私は、やっぱし草津ですね〜♪」
「あの硫黄の臭いと熱いところ?w」
「そうそう!!」
と、盛り上がってきたところで、件の課長が声を潜めてこう言った。
「××ちゃん、言ったでしょ、女の子なんだから女の子らしくしなさいって。"草津"なんて女の子は言っちゃダメ!」
「えっ?えっ? 草津ってNGですか?」
「だから言っちゃダメだって、草津なんて」
と理由なとクチにするまでもないといった様子。
結局、草津の何がダメなのか、教えてもらえなかった。
誰か理由を知っていたら教えてください・・・。

そして、今日。
「会社にケツまくってやろうと思ったんですけどね!!」
と鼻息荒くリストラを言い渡された顛末を話していると、また、課長が横から口を出してきた。
「"ケツをまくる"なんて言っちゃダメ、女の子らしく!!」
「はぁ・・・。こういう時は何て言ったらいいでしょう?」
課長は一瞬考えてからこう言った。

「お尻を捲る」

2009年04月27日(月)



 勧告4〜そして

会社に愛想を尽かし、言いたいことをいい、すっきりさっぱりしたものの、転職先が決まるまではココにいたほうがいいだろう。
そう思うより前に、管財人室長が
「辞表出さないよね? 続けるって言っちゃうからね?」
と言い、ウンともスンとも返す前に話は流れていってしまった。

で、気づいてみると、新しい部署が創設され、私ともう一人どう見てもコイツはリストラ候補筆頭と万人に囁かれていた管理職がそこに入ることになった。
この管理職は弁護士にまで相談しに行っていたので、ゴネ得というヤツだろう。
こんなアホと同じ扱い!と思うとまた落ち込んだが、
「あなたにはこの部署にさせてもらったけど、現業を優先というかメインでお願いします」
と言われて、ちょっと機嫌が直った。
私は勝ったのだ。
私の現業を引き受けると言った相手先の部署の連中が早々にギブアップを報告し、スポンサーの一味のIもこの業務について丸投げできないと考え直したわけだ。
また、私が文句を言ったスポンサーの関連会社の担当について、
「××さんの言っていた通りでした。担当を取り替えました」
とIから報告があり、本当にその日から別のまともな人が担当となった。
この速さには感心すると同時にちょっと引いた。やっぱ外資、ヤダ。

そして、現業の最大の山場の時には、リストラを言い渡した副社長自らが私のご機嫌伺いに来たし、またIも山場が終わった後も帰り際には必ず手を振るなどやたら親しげというか下手に出るようになった。
当たり前だ、私の業務は会社の顔そのものなのだから。

これで安泰になったなどとは思っていない。
奴らに認めさせるのは、まだまだこれからだ。

グレーと言われた屈辱は一生忘れないぞ。

2009年04月26日(日)



 勧告3〜スポンサーに言いたい放題

翌日、早速、引き継ぎ部署と決められている人たち全員に集まってもらい、仕事の具体的な説明を始めた。
勿論、全くの素人に無理な実務である。
しかし、会社は方針として引継ぐことにしたのだ。
覚えてもらうしかない。
とりあえず、情報システム部出身の人がいたので彼をターゲットとして概略を説明してみたが、全員、顔色が悪くなっていた。
こんなに専門的でないと思っていたのだろう。
ザマーミロ!
「では、続きは明日に」
溜飲を下せた私だけは清々しく、他の一行は苦々しい顔で会議室を出たのだった。

部に戻って同じくリストラされる仲間に「こうしてやった」とワイワイ報告していると、私と二人三脚でこの一ヶ月近く現業を行ってきたスポンサーの一味であるIから電話が入った。
「あ、何々の件ですか、すみません、先ほどメールでご報告申し上げたのですが」
「そうじゃなくて・・・。ちょっとこっちで話さない?」
てめぇと話す気になれるか!だから今まで電話報告してたのにメールしかしなくなったんだヨ!わかってるだろ!!
と思ったが、もう最後だし、コイツにも言いたいこと言ってやろうと思い直して、役員室に向かった。

Iは意図はしていないだろうが、またしてもあのリストラ部屋に私を連れ込んだ。
相手のペースに乗せられないために、先に口を開いてやる。
「正直、ここまで一緒にやってきたのにショックでした」
「騙してない、僕も知らなかったんだ。僕は××さんの業務は○○部が引継ぐのは知ってたけど、そこに××さんも行くものと思ってたんだから。ただ、僕もスポンサー側と言われればそうだ、それは謝る」
謝られてもねぇ〜〜〜
「騙されたってに怒ってるの?」
「い・い・え。
グレーと言われたことにです!」
「正直、××さんの部署はグレーなんだよね。
例えば、△△部なんて完全にクロなんだけどさ・・・」
「業務所管については納得しています。
そうじゃなくて、破綻するたった数ヶ月前に異動になったこの部署の所属だからクビなんて言われたんじゃたまったものじゃないって言ってるんです!」
「えっ?そうなの?!・・・前はどこにいたの?」
「□□部門です。でも、××部門が一番長いです」
「そうなんだ・・・」
ったく、やっぱり今いる部署というだけの判断で切りやがったな。
「経歴も見ないでグレーと言われたことに腹を立ててます」
「・・・」
「そもそもそ、私の現業は親会社と業者に丸投げで済むと思っていらっしゃいませんか?」
「ウン・・・」
ウンじゃねーよっっ
「私の業務がどれほど大変か、例えばこの報告書一枚出すのに業者に委託したらいくらかかるかわかっていらっしゃいますか?」
「ううん・・・」
それから、業務の難易度と専門性、また、丸投げするとスポンサーが決めている相手先の部門や業者のレベルが低く業務が現状でもボロボロになっているということを、はっきりと具体的に教えてやった。
今まで遠慮して言えなかったのだ。
この業界のこの部門をたった一人でこなしている会社などありはしない、自慢じゃないがその難易度がどれほどのものか専門の業者に確認してみろ、関連会社の誰某は仕事も知らないから遅いしどうにもならない、親会社の某部門も低いレベルの仕事しかしていない、その親会社である貴様のところのレベルもこうと見るがいかがか?
「そこについては弱いと思っていて、コンサル入れたんだよね〜。6割がたクリアできればいいと思って。で、直したのが今の状態」
「はっきり言って時代遅れなコンサルです。今では××ですから。
専門家が一人も会社側にいないからコンサル会社に膨大な費用ふんだくられてオシマイになるんです。御社と違ってこの会社はそんな無駄遣いできる状況にないわけですが、今後どうなさるおつもりですか?」
ぐぅの音も出ないほど徹底的に言ってやった。
「今一度、グループ全体でこの部門の業務の抜本的な見直しをなさられるべきだと思います。一人でいいですからプロを入れないと食われ放題ですよ」
もう完全に言いたい放題になってしまった。
でも、気分はすっきりした。
禍根は残さない。
いつも通りの自分だ、うん、気持ちがいい。

(勧告4 に続く)

2009年04月25日(土)



 勧告2〜管財人室長の引き止め

管財人室長は根っからのカチコチ者で、嘘も言えないし、スポンサー側の人間ではなく負け組であるこちら側の現在のトップである。
会社の本音を聞くのは、彼しかいない。

「で、いつまでに辞表を出せば、早期退職として認めてもらえるんですか」
「4月30日まで・・・」
ぷ いきたり騙るに落ちてるし。
「やっぱり、応募勧奨なんですね。
正直がっかりしました。私が××でも仕事がないと言われるとは。
××の仕事を何一つ知らない人が今回異動になってるじゃないですか?
××での経歴が長く即戦力になる、というか、する仕事はいくらでもあるから早く来てと現場からこの間も言われたばかりの私が、なぜ未経験の人たち以下の評価なんでしょうか?
強制的に異動が出てもおかしくないと前から思っていたくらいなんですが」
「・・・経歴なんて全く見ちゃいないんだよ、××(スポンサー)は・・・」
管財人室長が苦い顔をして言う。
「今回呼ばれている人の中で、正直辞めてもらいたいクロの人もいる。
でも、あなたはそうじゃない! グレーなんだ」
「グレーであること自体が失礼ですよ。
本当に××の仲間は「いつ帰ってきてくれるんですか」と何度も言っているんです。メールにも残ってますよ、見せましょうか?
それにずっと応じなかったのは、偏に現業をする者が他に誰もいないと思ったからなんです!その責任感が仇になったわけです」
「私は、仕事の評価は正しくできるつもりだよ。
あなたは仕事はできる。」
仕事「は」ねぇ・・・w
「格好つけていると思われるかもしれないけれど、ここで短気を起こして辞表を出して貰いたくないんだ!」
「・・・」
「絶対、6月になればこのままでは業務が回らないことが発覚する。
その時になれば!!!」
「とにかく、今後私が現業を続けるのは業務の流れから言ってよくないでしょう。早速引継ぎさせていただきますので、お時間割いていただけますか」
「短気を起こして辞表を出さないでね!
なんか、言い渡さなくちゃいけない立場の私がこんなに引き止めるなんておかしいことになっちゃったけど、続けるって言ってほしい!
続けるよね?」
「・・・考えさせてください」

(勧告3 に続く)

2009年04月24日(金)



 勧告1〜副社長の宣告

勤め先が会社更生法適用申請をし、スポンサーがつくことになって、申請が認められた。
勿論、先に潰れた同業他社と同じく、そのスポンサーというのは外資である。
外資の遣り口というのは決まっている。
まずリストラだ。
その外資が最初に買ったK社の場合は1.5割切り、次に買ったA(旧N)社の場合は逆にやりすぎてしまい、たったの数%しか残らなかった。
その反省を踏まえて、わが社のリストラを行うと言う。

3月末に第一弾が発表された。

「全国の全店舗の従業員は、全員4月3日までに辞表出せ」

但し、営業職は全員保障給なしの100%歩合制で親会社に拾ってやるし、店舗の内勤のうち何人かはテストと面接に合格すれば、本社の裏方で使ってやらないこともないとのお達しだった。

第2弾はそれからまもなくして出た。

「本社従業員は4月末で7割削減。4月10日までに辞表出せ」

なるほどね〜、数%はやりすぎだった、正しくは10%って話なのネ!

生き残れる確率がゼロに近い高齢の管理職や、親会社が行うと予想される部署、店舗がなくなったことで不要となる部署にいる者が、続々と手を挙げたが(もしかしたら勧告があったのかもしれない)、結局、目標まで15〜6人足りない状況で締め切りを迎えた。

そして、今日、私は管財人室長に呼ばれた。

「ちよっと相談したいことがあるんです」

と言われた瞬間、これが何を意味する場であるかわかった。
自分の業務は大方を親会社が行うとしても実務者がどうしても1人はこちら側にいないと成り立たないし、GWの旅行はキャンセルしてくれとまで言われていたので、自分は安牌だと思っていた。
正直甘かった。

「5月末までは、いていただけますか」

静々と後から入室してきたスポンサー会社のそのまた上の会社から派遣されてきたやってきた副社長が言った。

「その後、あなたの仕事は○○部が引き継ぎ、あなたにやってもらう仕事はありません」

これがリストラってやつか・・・。
一瞬、頭がグラッとした。

「××部門に異動はできますが、席はあっても仕事はない状態です」

席はあっても仕事はないだと?!
スポンサーだと思って今まで言いたい事も言わずに下手に出ていたが、ここに至っておとなしくしている謂れはなくなった。
「これは(早期退職の)応募勧奨ですか?」
「いいえ、違います」
「では、解雇通知ですか?」
「いいえ」
「では、何ですか!」
「ですので、どうしますか?と」
意味がわからなかった。
再度確認しても、「仕事はないがリストラはしない、どうしますか」と繰り返すばかり。
言質を取らせないために「辞めてください」とはハッキリ言えないのか。
無意味な言葉の応酬に、ついにキレた。
「そもそも、早期退職日後の仕事を任せておきながら、クビだと早期退職申出期限を過ぎてから言うなんて、騙し討ちじゃないですか?!」
もともと気が長いほうではないので、あとは気持ちよくまくし立てる。
「同月で切るつもりだとしても、他の部署の人は事前にそう言って貰っていて、早期退職にも手を挙げることができましたよね。
なぜ、私だけ教えてもらえなかったのですか?
モチベーションを危惧したのですか?
これが外資の遣り口というヤツですか???」
副部長はちょっと憮然とした顔になり、口を開こうとしたが、そんなものは勿論挟ませない。
口で私に勝てるものか。(勝負では負けちゃうわけだけどw)
「ウチの部署がなくなることはわかっていました。業務の幾つかはこの部署が担当するのはおかしいと思っていたものもあるし、新しい会社では不必要のものもあるので、部署がなくなること自体に異存はありませんでした。
ですが、私の抱えている××業務は、親会社に丸投げすればいいってものじゃないんですよ?」
副社長が元々の垂れ眉をさらに垂れさせて言った。
「5月末まで現業を引き続きやっていただけますか」
「生活かかっているので、転職活動を優先させていただきます。お約束できません。早速引継ぎに入らせていただきます」
ここまできて、管財人室長が手を広げてさえぎった。
「落ち着いて、落ち着いて」
「落ち着けるわけないじゃないですか?
今、クビを言い渡されたんですよ?!
こんな騙まし討ちみたいなやり方で!!」
管財人室長に怒鳴り散らす。
「クビじゃないんだ、ただどうしますかと・・・」
「また同じ話ですか・・・。
言葉遊びは止めましょう、埒が明きません。」
副社長に冷たい眼を向けて言う。
「お話はこれで終わりなら、引継ぎの話があるので、担当部署の責任者である管財人室長と二人きりで話させてください」
残ろうとする副社長の背中を押して部屋から追い出し、ドアを閉めた。

(勧告2 へ続く)

2009年04月23日(木)
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