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TVガルデン(初期)が「涙の再会か」とか「仲良くあの世へ行け」とか言う度に、それが仲良しパーティーへのやっかみの様に聞こえて仕方ありません。こんばんは、TALK-Gです。 この日の夜(いえ、正確には月曜深夜なのですが)から、なるみ忍様と風切嵐様にお誘い頂き、MSNメッセでお話させて頂いたのですが。 いやあ、もう。そりゃあもう。 まさかよもや冥土服シュテルだのWパロハイジ(ハイジ…アデュー、クララ…ガルデン)だの、シュテル乙女疑惑(ダークリューロードの尻尾って三つ編みに見えませんか?)だのといった衝撃的なお話を聞く事が出来るとは。実に濃いお話の連続にウッフリし通しで御座いました。更にOVAに関するお話や、「夢の対決」など、目も眩まんばかりの豪華なお題。ガルデンに関する深い考察などもガッツリ伺う事が出来、まことに楽しゅう御座いました。有難う御座いましたv その所為か、実に久方ぶりにシュテルが出てくる夢を見てしまいました。 いえ、アデューがシュテルの機体にワックスをかけて磨いているという、それだけの夢なのですが。 それにしても、シュテルって良いなあ……。 あのフォルム、ギミック、カラーリング。性格も併せて、ますます近頃好きになっています。 華奢でガルデンとお揃いカラーのルーンナイトも良いですが、やはり厳つくゴツく目付き悪く、それでいて何処かキュートなダークナイトの方が、個人的には好きです。 ああ、シュテル欲しいなあ。掌サイズでも良いから。 おまけ。 ………二百万メイド好き英霊とシュテルラヴァーの方に謝ります。
今日は一日中ばたばたと走り回っていたのですが。 その疲れの所為か、先程妙な夢を見ました。 一言でストーリーを語るなら、 荒くれ者が集まる高校にある日突然やってきた転校生ガルデンが日本刀振り回して大暴れ でした。 で、無駄に豪華に三本立てでして。 第一話・ガルデンが学校のボスとなるまで 第二話・ライバル校(超お嬢様学校)のダンスパーティに招待されたガルデン一行 第三話・孤独な天才少女とガルデンの触れ合い なんかこんな感じで。 本当にもう「魁!男塾」のノリ(しかも結構初期)でしてね。ガルデンは桃様ばりに皆から信頼&ちやほやされてまして。「ガルデンが言うんなら間違いねえ!」「水くせえぜガルデン、お前が行くなら俺達だって何処までもついていくさ!」「ガルデンは俺達の大将なんだからな!」みたいな。 で、まあ、これだけなら「モテモテ闇騎士嗜好が極端に出た変な夢」の一言で片付くのですが。 何が妙かって、このガルデン、女子高生だったという。 セーラー服の。 何でやねんと。 細身細腰ながら胸はバーンとでかいダイナマイトデンジャラスバデーなガルデンがKILLBILL宜しく日本刀振り回して、それまで学校をシメてた番長を叩きのめしたり、洗脳音波を出す音楽再生装置をぶった切ったり、跳び箱の前に置いてある板(ロイター板?)を使って二階建てのバスを飛び越えたり(パンチラ有り)、優雅にドレスを着て踊ったり、ライバルのお嬢様学校まで傘下に納めてしまったり、ひねくれた天才少女にビンタしたり、洗脳された仲間達をボコにして目を覚まさせたり、目潰しに香水のスプレーを使ったり、思いを寄せてきた男や女をムゲに振ったり、なんかそんな感じで。 何でやねんと。 斬った張ったのスカッとする夢ではありましたが、非常に疲れました。
5000HIT達成しておりました。 日頃来て下さっている皆様方へ、溢れ出さんばかりの 有り難う御座いますvv 萌えと妄想と努力と思い込みでこれからも頑張って参りますので、どうぞ宜しくお願い致します。 さて、この日は夜更けから朝にかけて、とっても素敵なサプライズが。 風切嵐様とMSNメッセでお話させて頂いたのですが、其処でまたしても新たな可能性に出会ったのですよ! 其即ちハグハグvガルデン。 色恋沙汰だとか痴情の縺れだとかそんなハードな話でなく、ハグハグとガルデンが一緒に居て、仲良しだったら、その光景は何と素敵なものだろうという、ハートウォーミングなお話で……!!風切様曰く「マシュマロの様」な、ふわふわふにふにでベビーピンク&ブルーな甘くて和やかで癒し系な光景が広がるに違いありませんよウハー!! 小さな恋の物語万歳!万歳!! 更に以前風切様が御覧になった「ファミリーゲーム」な夢の詳細を伺ったり、それでシュテルの「万能且つ要らん事しい」というイヤな一面がクローズアップされたり、以前私が見た夢(領主アデューと脆弱ガルデン)の話から「ハッピーな二人」について考えたり、実に実に有意義な時間を過ごさせて頂きました。 風切嵐様、本当に有り難う御座いましたvv ああ、またチャット会がしたいです。 12月の中頃に、「年忘れ闇騎士愛護チャット会」みたいな感じで。 今度は「気分はイドロ☆闇騎士ベタ褒めチャット会」とか。 ガルデンの長所も弱点もカッコ良い所も駄目駄目な所も感心する点も不可解な点もみんな一緒くたにして愛を以って語り合う会。 もしくは「ガルデン受の未来について朝まで生討論してみる会」とか。 アデュー、シュテル、パティにナビア、アドリアリゲルにギメルとドアン、パフにイドロに「お母さん」、アレクにサルトビハグハグカッツェ、ホワイトドラゴンマーカスギザル、アイザックにア・ザカンまで、考え得る限りの全てのガル受について男女の別なく徹底的に語り合う会。 こうやって楽しい事を考えては激しく萌えておくと、後で何か疲労困憊な出来事が起きても耐えられるのです。 例えアパラパーな企画に従事する事になろうと、その企画の一歩進んで三歩くらい下がっていく進行状況に引き摺られる事になろうと、アレでナニな帳簿に愕然としようと。 言わば「萌えの予防接種」。我が身を以って実証済み。 今年の風邪の克服策は一にも二にも萌え心で。皆様、是非お試しを。
絵を描いて「少しは上手くなったかな」とヘラヘラして、気分転換に他所様のサイトに飾ってある絵を見てその素晴らしさに打ちのめされベコベコに凹む日々、如何お過ごしですか。こんばんは、TALK-Gです。 近頃所用あって帳簿整理をしているのですが。 何故お金絡みの話になると、何処からともなくきな臭い噂や何やが涌いてくるのでしょうか。 面白いのですが、それをそのままネタにする事も出来ないので悩みます。 いえ、その「何でもネタにしよう根性」は帳簿整理には必要ないというのは判っているのですが。 ――――― *漫画版シュガルです* 「ガルデン様―――――」 「何だ、シュテル」 「今年の帳簿の件で御相談したい事が」 「見せてみろ」 シュテルから帳簿を受け取りぱらりと捲るガルデン。 途端、その目がすっと細められる。 「……おい、シュテル」 「は、はい」 「この帳簿をつけたのはお前か」 「こ、このシュテルですが……何か不都合な点でも御座いましたか」 「有るとも、大有りだ」 パシンと指で頁を弾くガルデン。シュテルはその音に自分こそ弾かれた様に震え、直立不動の姿勢をとった。 「何だこの馬鹿正直な帳簿は。正直なのが美徳となるのは英雄譚の中だけであって、こんな状況では害毒にしかならんわ」 「は、はい、申し訳御座いません」 「大体、まともに金を払いすぎだ。これもこれもこれも! これは交際費、これは通信代、これは印刷代にこっちは雑費、これも交際費でこっちは交通費、こんなもの全て経費で落とせるであろうが!」 バンバンとデスクを叩くガルデン。その勢いの強さにカップに満たされた珈琲は零れ、シュテルは益々でかい図体を震え上がらせた。 「こんな経営をしていたら、そう遠からん日には我々は破産だ。 アースティアという世界を滅ぼさんとする我ら一族が、掲げた剣を振り下ろす前に資金難で破滅だなど、戯れ歌にもならんわ!聞いているのかシュテル!!」 「は、はい、聞いております!!」 魔族の階級転移を受け、剣聖剣邪両の世界の技術の粋を集めて生み出された呪われしリュー、この世この次元にふたつと無い永久なる闇の力を誇るダークナイトも、この主人の前では形無しである。 「年端もいかんガキの小遣い帳じゃあるまいし、全く…… ……しかも邪竜軍から出される諸援助費用の申請も滞っているではないか。 貰えるものは貰え!出す金は惜しめ!! 傭兵稼業なんぞに収入を期待するな、有る所から有るだけ取らねば一族の者を飢えさせる事になるであろうが!!貴様の様にミストルーンさえ吸っていれば生きていけるというものではないのだぞ!!」 目にも止まらぬ速さで帳簿にチェックを入れていく主の姿と怒声と迫力に、シュテルは最早言葉も無い。出来る事はと言えば必死で主の言葉を覚え、走る赤鉛筆を目で追う事だけである。 「貰った金は『帳簿上で』使い切るのは常識だな」 「えっ」 「常識だ!!数千年の記憶を刻めるその頭に、重要事項として叩き込んでおけ!!」 「は、はい!!」 「予算消化の為にドゥームや飛空挺を新造するのも良いが、出来れば空領収書を発行して資金をプールしておきたい。それもただ貯めておくだけでは駄目だ。戦争になれば通貨など紙切れや粗悪なメダル同然、そうならぬ内に宝石など、それそのものに価値がある物品に変えておくべきだ。短期間で買い叩き、売り逃げられるなら株や土地に手を出しても良いだろうが、……まあその話は後にしておこう」 瞬く間に真っ赤になった帳簿を卓上に放り、ガルデンは傍に悄然として立つシュテルを見上げた。 「何故私がこうも喧しく金勘定に口を出すか、判るか」 「…………」 「それはな、我々一族には金以外に頼れる後ろ盾が無いからだ。 邪竜族など当てにならん。奴らは今の今まで我々を飼い殺しにしてきたのだからな。 国も土地も無い我々が、後ろ盾無しで生きていく為には、何をおいても金が要る。 武力や策略で国を攻め手に入れるのも良いが、其処は結局我等のものではない。 第一、そうやって武装蜂起するのにも莫大な金が要る訳であろう」 「…………はい。己が甘う御座いました………」 項垂れるシュテル。普段は部下達から畏怖と敬意の眼差しで見つめられる黒い偉丈夫の、あまりといえばあんまりなしょげっぷりに、主は漸く微かな笑みを浮かべた。 「戦に於いては並ぶ者無しのお前でも、経理ではまだまだ見習い(ノービス)クラスだな。 まあ、忙しさ故にお前に帳簿付けを任せた私にも責任はある。何せ一族内でこれだけの経理を扱える器量を持つのは、今の所お前かイドロしか無いからな。 一族の長として正式に名乗りを上げてからは、私やイドロは邪竜軍に目を付けられているし……そうなると、やはりお前が経理としては最適だった訳だ。 ……まあ、邪竜軍には、経理は一族内の別の者が付けていると報告してあるがな。 まさかリューが計算機を叩いているとは、奴らでも想像もつくまい」 可笑しそうに言う主とは対照的に、シュテルは益々肩を落とした。 これだけ能力を高く評価して頂いているにも関わらず、不甲斐無い己の仕事振りに、膝を着いてしまいそうだった。 打ちのめされているシュテルの様子にガルデンは、苦笑とも何ともつかない表情を浮かべ、再び帳簿を手に取った。 「そうめげるな。判らぬ事はこれから学べば良い。お前は飲み込みが早い、直ぐにでも要領を覚えるだろうさ」 取った帳簿は、再びシュテルに差し出された。 シュテルは顔を上げ、それを手に取ろうとして……躊躇い、主を見つめた。 「こんな不器用な己に、また帳簿を預けて頂けるのですか……」 「お前は私が見込んだ者だ。このガルデンの目を疑うのか」 「いえ」、と激しく首を振り、赤鉛筆を引かれた分重くなった帳簿を、大事そうに受け取るシュテル。 そのシュテルの腕を引いて屈ませ、ガルデンは尖った耳元に囁く。 「良いか、シュテル。これから私はお前にみっちりと金勘定の仕方を教え込む。魔法や剣術ではお前に一日の長があるだろうが、経理では逆だ。大いに学べ」 「……イエス、マスター。何時もの侭に、仰せの通りに」 耳に当たる吐息に緩みそうになる表情を引き締め、深く頷くシュテルに、ガルデンもまた満足そうに頷き、腕を放した。 「さしあたっては、シュテル」 「はい、ガルデン様」 早速講義の開始かと意気込むシュテルにガルデンは一言、 「珈琲を淹れ直してくれ」 主の指差す先にはすっかり冷めた珈琲、深い色のそれはカップから零れソーサーに満ちている。 「金勘定に熱意と執着心は必要だが、焦りは不要。ろくな事にならん。 まずはお前の目下の特技である茶を汲んで、それが済んだら今チェックした帳簿を見直しておけ。 私が手ずから教えてやるのはその後だ」 「は、はいっ」 再び直立不動、帳簿を大事に抱え直し、これだけは見事な動きでカップとソーサーを取ると、シュテルは急ぎ執務室を出て行った。 それを見送るガルデンの目には、紛れも無い忍耐と寛容と慈悲が染みた笑いが浮かんでいるのだった。 ………そんな事を思い出しながら。 ガルデンはシュテルが持ってきた帳簿に目を通していた。 「問題点などは御座いませんでしょうか」 尋ねるシュテルの声は、昔と変わらずやや緊張している。 経理の主な部分をシュテルに一任してから、もう随分と時間が経っていると言うのに。 あの真っ赤な帳簿を持ち帰らせた後シュテルは、暇を惜しんで主に教えを請うた。 時に戦場で、時に食事の席で、時に寝室で。 最初は小遣い帳より酷い帳簿をつけていたのが嘘の様に、瞬く間にA勘定からC勘定までの三段構えで帳簿を作る方法を理解し、経営と経理の何たるかを会得していったシュテルは、じきにガルデンの部下の中で最も信頼できる「金庫番」となった。 それはガルデンが、邪竜軍の及びもつかない所で手腕を奮い、事業を拡大し、隠す隠さない問わずの財産を莫大な額にまで増やしてきた今となっても、変わりはしなかった。 新しい事は覚え、吸収し、応用してフィードバックする能力に突出したシュテルを選んだガルデンの目に、狂いは無かったのである。 「……如何なさいましたか?」 帳簿に視線を落としたまま小さく笑うガルデンに、シュテルは不安そうな声で尋ねた。 すわ不備でもあったかと色を失う下僕の顔は、次に主が発した言葉で赤く塗り替えられる。 「なに、随分と成長したものだなと思ってな。 昔の、一も十も判らぬお前の事を思い出していたのだ」 人の悪い主は、猫の様に目を細めて、狼狽える下僕を見やった。 「……が、ガルデン様、如何して貴方様は近頃、そうやって、昔の事ばかり仰られるのですか」 主同様誇り高いシュテルにとって、無力だった頃の事を語られるのは、何よりも耐え難く恥ずかしい事であるらしい。 それが、敬愛する主人の口からであるならば尚更。 「そう言うな。褒めているのだぞ、私は」 「そ、それは身に余る光栄ですが………」 目を通し終えた、何の問題も無い帳簿を机に置き、ガルデンは珈琲を啜った。 これも昔から変わらない、深煎りの濃い苦味が喉を焼く。 「………しかし、まあ、こんな帳簿をつけるのも、今回が最後となるな」 一息の後、何気ない調子で呟かれた言葉に、シュテルの目は刃物の鋭さを取り戻した。 瞬き一つで音声遮断結界を張り、腕を引かれるより先に主人の傍に跪く下僕。 その尖った耳に、ガルデンは昔の様に、昔よりも何処か楽しそうな声音で囁きを落とす。 「意味は、判るな。シュテル」 「はっ」 この帳簿は、邪竜軍から与えられた予算等を元に作成し、邪竜軍へと提出する物だ。 一族を纏め、邪竜軍と正式な契約―――「光の壁」の向こうから剣聖界へと邪竜族を呼び込む代わりに、資金や設備、技術、情報などの面で協力させる事―――を結んだ時から、一度と欠かさず差し出してきた。 ……それを作成する必要が、無くなるという事は。 「……天が裂ける時が、近付いてきているのですね」 「そうだ。私やイドロはそれを、半年ほど先と見ている」 「邪竜族」から道具として使役され、尖兵として軽んじられ、異端者として疎まれる事を運命付けられてきた「ガルデン一族」。 その両者の関係や契約、付随する様々な呪いや謗りが、破棄されるという事。 「何が起き、如何なろうと、何百年にも渡って続いてきた邪竜族共と我ら一族の『密接な関係』は終わる。 奴らから金を毟り取る事は無くなるし、その使い道についてとやかく言われる事も無くなる」 シュテルはガルデンの目の奥に、熾火の様な光を見た。 古き体系の破壊者は、それまでの「邪竜族との関係」を端的に著した冊子……帳簿を取り、光る目を下僕のそれへと流した。 「これは、歴史だ。 我々が如何にして邪竜族共に使われたか、という歴史そのものだ。 今を生きる事に必死な、一族の他の者達には不要なものだが…… 長と、そのリューだけは、忘れてはならない歴史だ」 言葉と共に差し出されたそれを、恭しく、主の手ごと押し戴く様に、下僕は受け取った。 「邪竜族の側に渡すものには、真実などありはしない。 が、その帳簿は……原本だけは別だ。 お前は私と共にそれを秘め、刻み込んで、抱いたまま死んでゆけ」 「はい、ガルデン様。仰せの侭に」 シュテルは、……主と、主だけと共有する事が出来る「歴史」の重みに頷き、それから目が眩みそうな程の悦びを覚えた。 形が何であれ、己が信奉するこの男との間に「他者の知る余地の無いもの」を秘められるというのは、酷く嬉しい事だった。 ……それが所謂「独占欲」「スノッブ効果」である事に、気付いているのかいないのか。 少なくとも、下僕よりは下僕の事を知り尽くしている主は、空いた手でその黒い頬を撫で、顔を上げる様促した。 「では、シュテル。私の話はこれで終わりだ」 「はい………」 まだ何処か夢を見ている様な赤い目の前で、懐中時計を取り出して見せる。 「丁度休憩時間だ。珈琲をもう一杯、淹れて来てくれ」 「……はい」 主の声と、時を刻む時計の音に引っ張られる様に立ち上がり、シュテルは帳簿を懐に入れて、恭しく礼をした。 空になったカップとソーサーを取って立ち去ろうとするその背に、ガルデンは注文を追加する。 「出来れば砂糖もつけてくれ。匙は要らん」 何処か浮き足立っていた下僕は、微かに肩を震わせた後、「承知致しました」とだけ言って、夢から覚めた様にきびきびと部屋を出て行った。 彼の頭の中で猛然と回り始めたであろう「休憩時間」の長さとその後のスケジュールを思いながら、ガルデンは悪戯っぽく笑う。 「欲の無い奴だ、帳簿なんぞを預けられただけであんなに喜んで」 青みがかった銀髪を弄びながら、シュテルの張った音声遮断結界を、瞬き一つで強化する。 「悪くはないが……この私の隷(しもべ)としては、些か無欲に過ぎる」 髪を梳いていた指で、傍らの端末を操作し、己のスケジュールを書き換える。 今日は特に大した予定も無い。 此処暫く、大好きな血風吹く戦場にも出ず帳簿と首っ引きになっていた下僕に、僅かながらの褒美を与えてやっても良いだろう。 ついでに教えてやろう、欲しいものを手に入れる為の手段と心掛けを。 予算案を通すのには中々役立つ講義だが、もうそんな事をする必要が無くなった現在、得た知識と技術をどう生かすかは、講義を受けた者次第だ。 操作を終え、端末を切ると同時に、下僕が戻ってきた。 馥郁と香る珈琲に目をやりながらガルデンは、綿密な金利計算を語る時と同じ怜悧にして玲瓏たる表情で、次に語る言葉を探しながら、その手を差し伸べた―――― ――――― シュテルが万能執事になるまでの道のり、その2。 以前書いた気がしますが、漫画版ガルデンは金銭感覚が発達していると思います。 で、TV版ガルデンは破綻していると思います。 というか、そうだと良いなあと思います。
漫画版ガルデンがマンションの一室で一人暮らしをしていて それがかなり自堕落な暮らしっぷりで まあそんな感じで彼が二日酔いの頭を抱えて惰眠を貪っていると 突然ドアチャイムがピンポンピンポンと連打されて 最初は無視を決め込んでいた漫画ガルも余りの煩さに切れて 「こんな朝っぱらから誰だ、何の用だ!!」等と喚きながら乱暴にドアを開けると 其処に立っていたのはTV版ガルデンで しかもその格好が「背中にリュック、腰にポシェット、腕に抱いているのは熊のぬいぐるみ」という如何にも「家出してきました」といった感じの姿で 漫画ガルが呆然と「お前は誰だ」と尋ねたら TVガルは無表情に「お前の息子だ」と答えて 何だか知らないけど奇妙な共同生活が始まってしまうという そんな夢を見ました。 それでは、また後程。(病院の診察券を探しながら) ――――― 診察券は出てきませんでしたが昔描いた絵が出てきたのでUPしました。 という訳で本日の更新。 「GARTERGUNS'HOSPITAL」内「ILLUST」に絵を一枚UP。 「HAPPY END」(アデュガル) 宜しければ御覧下さい。 ラブラブな話や絵と、そうでもない話や絵を交互にかきたくなると言うのは、私の中の何かがバランスを取ろうとしているのでしょうか。 「うわ、甘すぎた!醤油醤油……ギャー!!真っ黒になった!砂糖砂糖…」みたいな。 どうも料理下手なのがこんな所にまで影響している様で、本当に困ります。 それでは、また後程。 ――――― 「ティア・ダナーンの闘い」の台本を見直してみて、本当に名作だなあと思ったり。 アデューは頼もしく大食らいだし、パフは健気でしっかり敵にさらわれるし、サルトビは忍者の本分情報収集・潜入・戦闘・突っ込み役に大活躍だし、イズミは知恵者で女装もするし、ハグハグはパフ命のムードメーカーだし、カッツェは可愛くがめついし、グラチェスは物静かな中にも自然を愛する心を覗かせるし、月心は豪快且つ中々に強かだし、ヒッテルはクールで無口ながら過去が垣間見えるし、ガルデンは強く神出鬼没で女に手玉に取られているし。 星山博之氏が脚本を書いたからというのも大きな理由でしょうが、それにしてもキャラが立っていて面白い。ナビアやトパス、フェアリーらサブキャラも良い味でていたし、ミランダやライアンの様な黒幕、才蔵やキッドやシアンといったリュー使いもまた。前作の「ブラボー砦の決闘」も良かったですが。(そう言えば「パッフィーに瓜二つな女性」がこの話にも出てきますね。ジェーン・モーゼフ。赤い瞳と鎧がキュートなお嬢さん)西部劇ライクなほろ苦い話ですが、綺麗に纏まっていて良かったと思います。 で、続くラジオ版では何でこんな事になっちゃったのかな。 (脚本を書いていた方が変わったというのもあるでしょうが) リューナイトで青春恋愛模様話をやりたかったのか、邪竜族とアースティアとの交流を描きたかったのか、二大テーマのどちらかに絞っていたらかなり話は変わったと思うのですが、これではどちらも中途半端な様な。 邪竜族の王子、その伴侶の魔女、第三勢力の魔界カイオリス、エルドギアに秘められた謎、魔法石、暗黒神召喚etc.の面白い素材がゴロゴロしているだけに、勿体無いと思ってしまうのです。 ガルデン関係に絞ってみても、何であんな鉱山なんかで他のリュー使いが来るのを待ってたのかとか、そもそも魔族のアースティア侵攻とアデュー&パッフィーカイオリスに拉致られ事件はどうして知ったのかとか(「アースティアと邪竜族のハーフだから」見たいな感じで本人は説明していましたが)、何でわざわざ他のリュー使いごと葬り去りかねないような方法で魔獣を倒したのかとか、何でそうやっていちいち高い場所から現れるのかとか、一人だけルーンナイト(クラスチェンジ姿)なのはどうしてなのかとか、ジャケットなどでちらりとお披露目されていたその白い僧侶服みたいなのは何だとか、「自分の生まれた国を訪ねてみたい」と言っていたのはどうなったのかとか、何で一人だけ新技が無いのとか、そもそも「俺」って何だとか、ねえ。 いえ、それだけ二次創作のネタになると思えば有り難い事かもしれませんが。
シュテルって、何でこんなにブルーハーツの曲が似合うんだろう。こんばんは、TALK-Gです。さて、昨日の続きをば。 昨日は北欧神話を判り易く紹介してある本を読んでみたのですが。 漫画とかに出てきた「バルホル騎士団」の「バルホル」って、北欧神話で出てくる「ヴァルホル」(ヴァルハラとも言う)から来てるんじゃないかという事に今更ながら気付いたり。確か「バルホル騎士団」には「バルキリー」も居るし。(リーンとか) 北欧神話の「ヴァルホル」は、戦死した英雄たちの魂がヴァルキリー達によって連れて行かれる館で、英雄たちはそこで、世界の終末(ラグナロク)まで歓喜の日々を送るという事ですが。 そして、そんな「英雄たちの魂が、最終決戦までの日々を暮らすところ」と酷似した名前の騎士団があるのが、アデューの生まれ故郷たるバイフロストなわけで。 北欧神話の主神オーディンと、リュー世界の主神ソーディンも似てますね。 リューナイトの「世界」が、アースティア・ティアダナーン・エンシルガット・グィリーゴウ……といった階層状になっているのもまた。(これは北欧に限っての事ではないですが) で、これは漫画版に特に色濃く出ている「共通点」なのですが。 神々や英雄(要するに主人公たち)の仲を掻き乱したり、 姦計に長けていたり、 主人公が強力な武器を手に入れるきっかけを作ったり、 主人公と非常に似た性質を持っていながら、彼の代わり(影)の様に皆から憎まれ、謗られる役目を負っていたり、 元々は主人公と同じ座に在る資格を持ちながら、最終的には彼らに背き、世界の終末を導いたり。 気紛れで享楽的な反逆者…そんな「トリックスター」が居るところも、北欧神話と似ていますね。 神話におけるそのトリックスターの名は「ロキ」と言うのですが。 このロキが最初に妻としたのが魔女(老婆)であるというのも、共通点に入れて良いのか如何か。
カップラーメンを作ろうとして危うく火災を起こしかけたTALK-Gですおはようございます。危ない。皆様も火にはお気をつけて。(ブルブル) まずは本日の更新。 TOP絵変更。「さっき其処で拾ったんですがこれって精霊石(コクーン)の魔槍?」 です。 近頃漫画版ガルデンづいていて怖いです。 彼はTVと違って、自分のやっている事ややろうとしている事に疑問を感じたり悩んだり罪の意識に苦しめられたり、というのが無いので、勢いに任せて書く事が出来。いえ、TV版はそうやって足掻いているところこそが(個人的には)魅力的なのですが。 漫画版のガルデンは「君主の精霊石」でクラスチェンジしたわけですが、ダークリューロードになったシュテルが持っている槍って、どうも精霊石が嵌め込まれているようには見えないんですよね。 「君主の精霊石」は、ゼファーやマジドーラ他主要なリューの様な、「武具に嵌め込まれている」タイプのものではなかったのでしょうか。 でも二巻でカッツェが「世界で何個と無い武具に嵌め込まれている」と言う風に精霊石の説明をしているしなあ。 後、Vジャンプ連載中リアルタイムで読んでいた頃は、ガルデンはきっとあの鞭でクラスチェンジするに違いないと信じておりました。 何かこう、リューボンデージ・サディスティックシュテル?とか?(首を傾げながら) それでは、また後程。 ――――― リューナイトの世界観に織り込まれた様々な地域の神話と、特にそれが色濃く見られる北欧神話について勉強してみる一日。 詳しくはまた後日。
明日が休みである事に先程まで気付いていなかったTALK−Gですヤッター得した気分。 リューのムック(アニメスペシャル)を捲りながら考えていたのですが。 TVでは、各リューごとに精霊石(の嵌め込まれた武具)が用意されていますよね。 パッフィーの精霊石だけあんなにでかいのは何故なのでしょうか。 あんなに大きさが違ったら、やっぱり其処に秘められたパワーも違ってくるのではないでしょうか。 26話か何かでパッフィーが精霊石の力を暴走させたり、マジドーラがメイジからウィザードになった途端、総合的な戦闘力が(少なくともTVの画面を見ている限りは)いきなりトップクラスに跳ね上がったりしたのも、其処に原因があるのでは?! と、考えていたんですが。 それを言い出すと「精霊石に碧と蒼の二色がある理由とその違い」とかまで考えが及んでしまい 考えている間に訳判らなくなったのでもう寝ます。 でもやっぱりパッフィーの精霊石でか過ぎ。
「シュテルには『リンダリンダ』か『キスしてほしい(トゥー・トゥー・トゥー)』」ってどういう意味だろう。(自分の書いたメモを見ながら)こんばんは、TALK-Gです。 昨夜は風切嵐様とMSNメッセで少しお話させて頂いたのですが、楽しかった!です! TVガルデンと漫画ガルデンの違いなど、興味深い話題が続々……! 風切様、お相手して下さり有り難う御座いました! ――――― 先程とあるサッカー番組(minta様曰く「デンガルちゃんの再就職先」)を見ていたのですが。 この番組が始まる直前のCMが「冬の生茶」で愕然としたり、布袋氏の「新・仁義なき戦いのテーマ」に被せてあのお方の声でのナレーションが被って愕然としたり。 キュートなアテレコも熱い実況もシリアスなナレーションも、やっぱり最高ですね!! ――――― 昨日の話の続きですが。 描いてみました。 「私のマフラーも貸してやろうか?」「要らん。雪だるまになってしまう」とか何かそんな感じで。 でもこの後でくしゃみをして、結局マフラーを巻かれてしまうTVガルデン。 「風邪を引くなよ、明日は本番(受験)だろう」「……ふん」 そっぽを向きながらも、内心ちょっと嬉しいTVガルデン。 暫くはその温かさにほっとしていたのですが、ふと見た拍子に従兄(漫画ガルデン)の首筋にキスマークを発見し、怒って一人で先に帰ってしまいます。 置いてけぼりにされた従兄は、慌てて追いかけながらも何故突然怒ったのか判らず、しきりに首を傾げているという。 済みません。 ――――― ブルーハーツの「人にやさしく」を、色んな事でお疲れの方に聴いて頂きたい。
しし座流星群に関する小説を三年前から書いているものの、今回もUPする機会を失ったTALK-Gですこんばんは。 今日は寄席の手伝いをする為ワッハ上方(大阪府立上方演芸資料館)まで行って来たのですが。 ワッハ上方というのは千日前にありまして。 その千日前辺りは、夕刻から深夜にかけて、実に魅力的な夢の世界となるのです。 ――――― 「センニチマエのアーケード」というのは、ちょっと余所見をしていると、すぐに人にぶつかる。 だからまっすぐ前を向いて歩かないと、と思うのだけれど、ごちゃごちゃ立ち並ぶ店のネオンの眩しさや、その店から吐き出される人と喧騒、流れてくる匂い。そんなもの全てが、やけに神経を刺激して。 「あっ」 もう何度目か、目前に迫った人影にガルデンが思わず声を上げた瞬間。 ごく軽く、けれど衝突を避けるには十分な強さで腕を引かれた。 ぽす、と後ろに倒れそうになったのを受け止める、男の腕。 「そんなに夜の街が珍しいか?」 上から覗き込んでくる顔は、面白がっている様な薄い笑みを浮かべている。 「……こんなごちゃごちゃした街は歩きにくい。それだけだ」 むっとして起き上がり、腕を振り払おうとするのを 「そうか。では、その歩きにくい道を、この私がエスコートしてやろう」 男は微笑んで躱し、強引に自分のコートの中に抱き寄せる。 「こ、こら、止めろ!恥ずかしいだろう!」 「あっちふらふらこっちふらふらで人にぶつかりまくるのと、どちらが恥ずかしい?」 暴れるガルデンをぎゅうと押さえつけ、笑み交じりに問う男。 ガルデンはぴたりと暴れるのを止め、マフラーに埋もれた頬を赤く染めて、その翠の目で男を睨み上げる。 「………せめてもう少し離れろ」 やがて呟かれた言葉に男はまた笑い、ガルデンを放した後、腕を差し出した。 ガルデンはそれに眉間を寄せた後、如何にも不承不承といった感じで、その腕に腕を絡めた。 怪しげな成人向けの映画館や、アダルトグッズ、下着にコスプレ衣装等を取り扱う店、キャバレー、テレクラ、ランパブ、ビデオ試写室、エトセトラエトセトラ。 ガルデンが耳まで赤くなるのを尻目に、男はそんな下品で直接的で歯に衣着せないけばけばしいネオンの海を、実に優雅に泳いでいく。 小憎らしい程に悠然と、赤絨毯で姫君をエスコートする貴族の様に。 どうやら此処が彼の庭だと言うのは、本当らしい。 その証拠に。 「久し振り、社長サン」 「今日は寄ってかへんの?そんな可愛い子連れて」 ……こんな風に、店から出てきたりホテル裏で立っている女達に声を掛けられるのも、一度や二度ではない。 「ああ、アルマ。久し振りだな」 「また今度寄らせて貰う。その時はお前を指名するから予定を空けておけ、リリィ」 それだけならまだしも、男は、その声を掛けてきた人々を、一度も間違いなく名前で呼び返していた。 「お前は一体……普段、此処で、何をしているんだ?」 「何って、遊んでいるだけだが」 「嘘だ。……ただ遊んでいるだけであんな店の者が、あそこまで親しく、何の打算も無く声を掛けてくる筈が無い」 「いつも派手に遊ぶからな。お得意様への笑顔という奴だろう」 「百歩譲ってそうだとしても、お前があれだけの数の人の名前を、完璧に呼び返しているのは如何いう事だ。単に遊び回っているだけで、そんな懇意になれるものなのか」 問い詰めると、男は苦笑した。 その蒼い目には普段の飄々としたシニカルさではなく、出来の良い目の前の少年を慈しむ様な光があった。 ――――― 一応「ガルデン→TV版ガルデン」「男→漫画版ガルデン」のつもりで。 TVガルデンは受験生で、大学受験の為に大阪に来るのですが、泊まる予定だったホテルは手違いで部屋が取れず、その他のホテルも満室で。 困り果てたその時、随分昔に会った事があるだけの従兄(漫画ガルデン)が大阪に住んでいる事を思い出し、押しかける事にしたのですが、電話でその旨を使用人(TVシュテル)に伝えたら何故か物凄い勢いで反対されて、それでカチンと来て電話を叩き切って(シュテル号泣)、意地でも従兄の家に行ってやろうと朧気な記憶を頼りに大荷物抱えて大阪の街を行くのですが、案の定と言うか何と言うか道に迷ってですね。と言うかTV版のガルデンってOVAや特典CD3巻を見る限り方向音痴っぽいのですが如何なんでしょうかその辺。 ……ええと、何処まで話したでしょうか。そうそう、ガルデンが従兄の家を求めて彷徨うところですね。……で、彷徨う内に変な歓楽街に踏み込んでしまってですね。 派手だし煩いし人は多いし歩き回って足は痛いしで、すっかりくたびれて道の端にへたり込んでしまいます。 やっぱり実家のシュテルに電話して、何とかして貰おうかとションボリ考え始めた時。 バンホーテンの缶ココアがすっと目の前に差し出されるのです。 驚いて顔を上げると、其処には、面白がっているような笑みを浮かべている男。 「探しているのは私か」 囁きと共に、冷たくなったガルデンの頬に温かい缶ココアをくっ付ける男。 彼は紛れも無く、探していた従兄で、ガルデンは喜んで(シュテルに電話を掛けようとしていたのも忘れて)立ち上がるのですが――――― その従兄が実は物凄い「遊び人」で。 ガルデンを迎えに来た時も派手な身なりの美女(イドロ)を連れていて、あまつさえガルデンの目の前で恥ずかしげも無くその美女と熱烈なキスを交わしたりして。 千日前も梅田も道頓堀も彼の庭で。 愛人達の家やホテル(ファッションホテル含)を漂泊していて。 そりゃあもう、真面目な優等生で温室育ちのガルデンは呆れるしかない程の放蕩ぶりで。 ガルデンは漸く、シュテルが彼に会うのに猛反対した理由を知るのですが、結局頼れるのはこの人しか居らず。 何時も薄く笑っていて何を考えているか判らない、はっきり言って大変苦手なタイプのこの従兄と、暫くの間一緒に暮らす事になる…… みたいな話を書きたいと思ったのですが(いきなり何を言っているのか) いえ、漫画版のガルデンって、千日前の様な歓楽街(漫画で言うならモンゴックとか?)にも縄張りをもってそうだなあと思いまして。 で、TV版のガルデンは、そういうネオン輝く街に対する免疫ゼロ。 そんな二人が一緒に大阪の街を彷徨ったら楽しそうだなあ、と。 で、最初は従兄の放蕩ぶりに呆れていたガルデンも、その「放蕩」に理由がある事を知ったり、彼自身ただの遊び人ではない事を知ったり、ふとした拍子に彼の素顔を垣間見てしまったりする内に、段々彼の事を好きになってしまうという……。 それは漫画版ガルデン×TV版ガルデンという事じゃろうか。 誰か止めてください。
雨が夜更け過ぎに雪へと変わろうと槍へと変わろうと一人でカップ麺を啜っているのには違いないクリスマスのスケジュールに沈鬱な面持ちで独り佇むTALK−Gですこんばんは。銀髪の美人半エルフか銀髪の痩身中年親父がズタボロの服で意識を失ってついでに記憶も失ってその辺に落ちていないかなあ。(コートのポッケに手を突っ込んで道端の石を蹴りながら) さて、今晩の食事はコロッケだったのですが。 コロッケという食べ物には、何となく不思議な懐かしさが付きまとっていてですね。 私個人の思い込みなのですが、何と言うか……「古き良き思い出」を連想させるものがあるのですよ。 学校の帰り道、友達と一緒に商店街で買って食べながら帰った思い出。 小さい頃、手作りのコロッケのタネに粉を打ち卵を潜らせ、パン粉をまぶした思い出。 素朴で飾り気の無い「コロッケ」という食べ物に、そんな「よくある思い出」は、不思議なくらい……それこそ山盛り千切りキャベツの様に似合う気がするのです。 ――――― *漫画版シュガルです* 「ガルデン様」 「シュテルか……」 「どうされたのですか、こんな冷える厨房で……」 「いや、腹が減ってな……」 「それでしたら何か軽い夜食……リゾットでもお作り致しましょうか」 「その申し出は有り難いが、もう飯は作ってしまった」 「ガルデン様が、手ずから料理を……?」 「ああ」 ことん、と何かが盛られた皿を、備え付けのテーブルに置くガルデン。 それは白い湯気を立てる、狐色で小判型の…… 「……こ、コロッケ?」 「そうだ。マッシュポテトが余っていたのに、塩胡椒と衣をつけて揚げただけだがな……」 「し、しかし何故コロッケを?」 「まあ、座れ」 「は、はい」 先に席に着いたガルデンが鷹揚に言うのに、シュテルは慌てて頷き、その向かいに座った。 深夜の厨房、皿に盛られた揚げたてのコロッケを挟んで向かい合う、主人と下僕。 奇妙極まりない構図。 「……シュテルよ、昔を覚えているか。 まだ『一族』を統べる者が無く、その任を負うべき私は未熟なガキで、力欲しさに必死で足掻いていた時代の話だ」 「…………」 「私の元にはイドロとお前と、若干の『一族』の者だけ。 国も無く、縁(よすが)は我々のその身のみ。 正に身を寄せ合い、古く狭い打ち捨てられた家に、息を潜めて暮らしていたな」 「……はい」 「あの頃は何しろ金が無かったから、今の様な栄耀豪華な食事は出来なかった。 それでもお前やイドロは、私や『一族』の者を飢えさせまいと、自分の身を削ってでも三食を作って卓に出した。 ……今の様な派手な金の稼ぎ方は、やはり当時のお前達には出来なかったろうから……食費の面だけでも、相当な苦労をかけたと思う」 「……それは」 「私が気付かないとでも思っていたか?」 「……………」 「……コロッケも、そんな時に良く出た料理の一つだったな」 「ガルデン様、フォークを……」 「要らん」 ―――――サクッ、と、小気味良い音を立てて、白い歯がコロッケを噛む。 「……熱い」 「ガルデン様は、猫舌だった筈では……」 「今もそうだ。が、冷めたコロッケが美味いと思うか」 「……いえ」 「それに、フォークとナイフで食うコロッケと、手で摘んで食うそれと、どちらが美味いと思う?」 「…………」 「そんな事を言われても、という顔をしているな。 ……シュテル、もう一度訊こう。昔を覚えているか?」 「は、はい」 「それでは、私がこうしてコロッケを手で摘んで食っていた事は、覚えているか」 「……いえ、ガルデン様はいつも、どんな料理でもきちんとテーブルマナーを……」 「そう、イドロが煩かったからな。 しかし、だ。私はこうして、お前の前で、行儀悪くも手掴みで、コロッケを頬張った事があるのだぞ」 「あ」 「思い出したか?」 「思い出しました……」 頭を抱えるシュテルを、面白そうに見つめるガルデン。 その細めた猫の様な瞳が、昔の彼の幼い笑顔と重なる。 「その頃の私は育ち盛りであったから、三食だけでは足りなくてな。 よく腹を空かせていた。 が、イドロや部下の手前上、そんな事は言えなかった」 指についたパン粉を舐めるその仕草まで、昔と全く同じで。 「言えなかったのだが、お前には見抜かれていた様だな。 ある時お前は、紙に包んだ揚げたてのコロッケを私に差し出した。 全く唐突に、無言で、少し困った様な顔をして」 「あ、あの頃は、この姿を取って間も無い頃で、作法が判らず、…… ……大変無礼を致しました」 「無礼だなどとは思っておらん。 ……それに私は、元々ヒトでは無い癖にヒトに似た姿を取り、慣れぬ『声』と『言葉』で訥々と話す変わり者の事が、当時から気に入っていた」 シュテルは、テーブルの下でぎゅっと拳を握った。 そうでもしなければ、顔がしまり無く緩んでしまいそうだった。 しかしそうして顔を引き締めても、頬が熱くなってくるのは隠し様が無かった。 原因の一つは、顔が緩むのと同じ、嬉しさ。 もう一つは――――― 「……その、己は、無調法者で…… 今でさえ、己に出来る事の少なさに喘いでいる様な有様なのです。 なので、どうかこの下僕を哀れんで下さるなら、ヒトの姿を得たばかりの頃を話されるのは……」 「……恥ずかしいか?」 「……はい」 でかい図体を縮めて俯くシュテル。ヒトの身というのはどうしてこんなにも感情が表に出易いのだろうと、そんな事を考えているに違いない。 ガルデンは二つ目のコロッケを摘みながら、笑みの滲んだ目で、昔と変わらぬ下僕を見つめた。 「では、ヒトの言葉に不慣れだったお前が『オカエリナサイ』や『オヤスミナサイ』と咄嗟に言えず、冷や汗を流した挙句いつも、抱擁やら口付けやらで誤魔化していた事も……何故ヒトの姿を取るのか尋ねた時に、二時間以上掛かってやっと一言『いつも貴方の傍に居たいからです』と答えた事も、今回は言わない事にしよう」 「……あああああ」 「それよりも、コロッケの話だ。 ……あの頃はいつもイドロが食事を作っていたな。 本来なら炊事などが似合う女ではないのに、……あのコロッケも、イドロが作ったものだったのだろう」 子供の無邪気さか大人の慈悲か、本当にさらりと話を変えて、ガルデンは首を傾げた。 それにシュテルは慌てて頷き、まだ熱い頬を大きく無骨な手で隠しながら答える。 「はい、そうです。……夕飯の支度をしている所から、一つ失敬しました」 「やはりか。……普段、皿に盛られてナイフとフォークで食べるそれと同じ物の筈なのに、やけに美味く感じられてな。夢中で食べた。 ……が、同時に無性に悲しくなってな」 薄い唇が、少し苦い笑みを刻む。 「どうして自分は、こんなコロッケ一つで満足しているのだろう、と。 どうして自分は、部下に……お前に、そんな気を遣わせてしまったのだろう、と。 ……自分の不甲斐なさが染みた。悔しかった。惨めだった。このままではいけないと思った。 いつか『一族』を纏め上げ、コロッケなど目では無い程の豪勢な料理を、飽きるまで皆に食わせてやろうと、そう思った」 「……………」 シュテルは、……あの日あの時、嬉しそうにコロッケに齧りついていた幼い子供が、その安い油で汚れた口元を笑ませながら考えていた事を初めて知り、……敵わない、という思いを一層強めた。 自分は、この男には敵わない。 敵う筈も無い。 下僕とか主人とかそういうのを抜きにして、心から感服した。圧倒された。打ちひしがれた、と言っても良い。 「……そしてガルデン様は、ガルデン様が願った通りの夢を実現させたのですね……」 「食事の面に限定すれば、だがな」 ガルデンは首を巡らし、広い厨房を見渡した。 この厨房と、隣接する食料貯蔵庫は、ガルデンの下で働く者達の胃袋を一時に満たすだけの設備と物を、常に備えていた。 また、特定の職や家を持つ事が難しい環境で生きざるを得ない「一族」の常として、庶事に器用な者が多かった為、調理者はそこ等のお抱えシェフより豊かな技術と知識をもっていた。 肉、魚、野菜、果物、パン、牛乳、酒、蜂蜜…… 整った設備、優秀な調理者…… 何でもあったし、何でも作れた。 階級や能力に関わらず、ガルデンの下で働く者達に出される食事は、常に豊かだった。 「……しかし、な」 再び目の前の皿に視線を落としたガルデンは、少し悪戯っぽい笑い声を漏らした。 「これだけ豊かな食材があって、望めばどんな美味い物でも食えて、調理者にも事欠かず、不器用だったお前でさえリゾットなどというものを軽く作れる様になったというのに…… ……どうしてか、急にこれを食べたくなる事があるのだ」 飾り気の無いコロッケ。 肉も、玉葱も、グレービーソースさえ無い、何とも素朴で無粋な食べもの。 「手で掴んで、熱い揚げたてのコロッケを食べると、あの時と同じ…… 悔しさと惨めさが混じった味がする。 もう二度と味わいたくないと強く強く思った味なのに、 ……どうしてか、私はこれを求めてしまう」 また一つコロッケを咀嚼する。 二度と味わいたくない筈のそれを食べる彼。 その表情に滲んでいるのは奇妙な程の穏やかさで、……それはシュテルが未だ理解し得ぬ「懐かしさ」に似ていた。 「忘れてはいけないのかも知れない。 この味を、私は忘れてはいけないのかも知れない。 だからこうして、真夜中に、突然……忘れたくとも忘れられやしないのに、わざわざ記憶を掘り返すような真似をしているのかも知れない」 「ガルデン様」 思わず名を呼ぶシュテルの声に、彼は顔を上げた。 普段通りの、薄い笑みを浮かべる彼だった。 「詰まらん話をしたな」 「いえ、そんな」 「ああ、全く馬鹿らしい。わざわざ好き好んで嫌な思いをするなど、お前じゃあるまいし」 「そっ、それはどういう……」 今度こそ真っ赤になって席を立ち、思わず食って掛かるシュテルの、その口元に人差し指を押し当て、ガルデンは囁いた。 「余り大きな声を出すな。闇に生きる我等では有るが、此処では当直制で職務が進む為、今眠っている者も居るのだ」 「………も、申し訳御座いません」 「それとな、シュテル。良ければ、リゾットを作ってくれ」 赤い目を瞬かせる下僕に、主人はやはり幼い頃と同じ、悪戯っぽい笑みを浮かべた。 「幾ら昔の事を思い出したとて、やはり昔は昔。 今の私は、余り油っ気の多いものは好かん。翌日の胃にもたれるのでな。 だから夜食は、さっぱりとしたもので締めたいと思う。 ……出来るか?」 シュテルは、……この夜初めての自信に満ち溢れた表情を浮かべた。 「お任せ下さい、ガルデン様。 舌と胃に優しいリゾット、すぐに作ってお持ちします」 「出来れば、野菜を入れて欲しい。色のついた野菜と、ついていない野菜。 それと茸。スープは鶏か魚介、パセリを散らしてくれ」 「チーズは如何致しますか」 「パルミジャーノを少しだけ」 其処まで言って、ガルデンは席を立った。 立ち去り際、「出来上がったら寝室に持って来てくれ」と言い置いて。 「イエス、マスター。何時もの侭に、仰せの通りに」 優雅なブーツの足音が遠ざかり、厨房の扉が閉ざされるまで、シュテルはその場で頭を垂れ…… それからゆっくりと身を起こし、首元のタイを締め直した。 冷めかけたコロッケは、夜勤の若い衆が喜んで平らげるだろう。 それを作ったのが誰かなど、思いも馳せず。 恐れ多い事では有るが、勿体無いとは思わなかった。 何せそれは「過去」の味で…… ……「今」の彼が求めているのは、不器用な下僕が主人の好みに合わせて腕を磨いた、優しく何の気負いも感じさせない味のリゾットなのだ。 「……己は、好き好んで嫌な事をしているのではありませんよ」 上着を脱ぎ、シャツの袖を肘まで捲り上げる。 普段は武器を持つ手で厚手の鍋を取り、雷を呼ぶ力でチーズおろし器を引き寄せる。 「己は、好き好んで、好きな事をしているのです」 そう、こうやって、戦以外の事も、貴方の為なら。 昔から何も変わらない思いを胸に、一人きびきびと働く下僕。 その様子を閉ざしたドア越しに見取り、溜息混じりに微笑んで、主人は厨房を後にした。 ――――― 「闇の君主」というキャラクターから遠く掛け離れた、豆腐屋のラッパが聞こえてきそうな話になってしまいました。 最初はボジョレー・ヌーヴォー解禁の話題から入って、何かハイカラな話を書こうと思っていたんですが。 漫画版のガルデンは子供の頃から凄い苦労をしてきた人、という雰囲気がありまして。 それ故、私個人のイメージの中では、彼は料理も洗濯も出来るし、金銭感覚はカッツェ並みに発達しているし、中間管理職としての業務を果たしながらも「一族」の事を大切にしているし、高級な物より庶民的な物、フレンチディナーよりコロッケやカレー、ドンペリより焼酎、ハーゲンダッツよりガリガリ君を好みそうな気がしてしまうのです。 でも本当に私が一番気になっているのは、シュガルの筈のこの話がガルシュにしか見えないっぽい事です。 ウワー(慄然)
まずは本日の更新。 「LINK」に素敵サイト様一見お目見え。 「hige*chu!」様です。 これからリューナイトも更新されるそうで、しかも管理人様はガルデンがお好き……!! ここここちらは赤丸チェックですよ奥さん!! それでは、また後程! ――――― シュテル(擬人化)のダークリューロードバージョンの服装を考えようと思って色々描いていたら 黒のタンクトップに金アクセ、レザーの半ズボンにナイロン黒靴下とかになって 頭痛いのでもう寝ます。
日テレの視聴率操作問題の会見などを見ておりましたが。 あれがアースティアTV(by特典CD1・2巻)で起きたらどうなるんだろうと考えました。 多分ガルデン製作部長は減俸の上、左遷。 パッフィープロデューサーとグラチェスプロデューサーは懲戒免職。 しかしそれは実は、ライバル局「カオスティアTV」が仕掛けた罠で、自らの仕事に誇りをもつガルデン、パッフィー、グラチェスの三人は、己の潔白を証明し、カオスティアTVの者達に真のエンターテイメントを見せるべく、弱肉強食のTV業界を暗躍する事になるのです。 もしくは「事故に巻き込まれて、被害者であったにも拘らず興味本位の取材の所為で加害者扱いをされ、その後のカオスティアTVとアースティアTVの過熱した報道合戦の為に、己ばかりか婚約者や一族の人生まで目茶目茶にされた男の復讐劇」とか。 ――――― 会議室に置かれたTVに映される、自局の記者会見の様子。 暗い室内で冷たい瞳を眇め、それを眺めているガルデン製作部長。 傍らには私設秘書のシュテルとイドロ(美女バージョン)。 「下らんな。アースティアTVの質も落ちた、という事だ」 嘲るように言い捨てる彼の脳裏には、これまで己が踏み台にしてきた会社や人々の姿が一瞬よぎり、また消えていった。 ――――― で、この後ライバル社のカオスティアTVのヘッドハンティングに応じ、辣腕振りを発揮して見せるのですが、最終的にはカオスティアTVも(内部告発などを使って)裏切り、破滅への道を突き進んでいくという。 特典CDのあのライトでコミカルな雰囲気ぶち壊しですが。
ミルキーのCMで、子供が帽子を探してて、途方に暮れたりべそをかいたり、最後には公園で見つかって、良かったね、という感じのものがありますよね。 あれ、帽子を見つけて駆け寄ってくる子供の目の前で謎の男がそれを取り上げ、「返して欲しかったらミルキーをママに貰って持って来い」とか脅迫して子供をおろおろさせた方が、クールなCMになると思うのですが。 ミルキーのCMにクールさは御法度ですね済みません。こんばんは、TALK-Gです。 この日は夜篠輪嬢と共に、1月11日のイベントで(もしスペースが取れていたら)発行する本について色々考えておりました。 おりましたが、結局纏まった意見は 「パティ可愛い・強い」 「シュテルは粘着質」 というくらいのものでした。 多分出すなら、イチャイチャラヴラヴパティガルか、M下僕攻にS女王受のシュガル(シュテル×ガル)、漫画版ガルデンハーレム状態(ガルデン×美女バージョンイドロ含)のうちどれかかと。その頃には通販も何とかしていたいです。 パティは可愛いですね。 勝気で男勝りだけど、何処か夢見る乙女のようなキュートな面も持ち合わせているというのがグッときます。 あと、ガルデンが色々と悩んでいても、そんな悩みごと彼を受け入れてしまう強さも持っていそうで。 恋する乙女には誰もかなわないというか。 パティガル視点の話ですが。 シュテルが粘着質というのは、話せば長くなるのですが。 聞けば短い物語で。 あんな主人に長年仕えているからには、其処には単なる忠義心以外の感情もあるのではないかと。 独占欲とか、御主人様の事を深く知らない他者への優越感とか、そんな下らない人間が放つ(御主人様の目を眩ませる程の)強い輝きへの嫉妬心とか。そんなものが長い年月の間に、シュテルの胸の内には凝り固まっているんだろうと、夜篠嬢は述べておりました。 シュテガル視点の話ですが。 あとシュテガルで「ピューと吹くジャガー」パロとか。 ジャガーさんはアデュー、ピヨ彦はサルトビ。ハマーがシュテルで高菜ちゃんがガルデン。 シュテルってブルーハーツの曲が似合いそうだよねとか。 シュテルに一番似合うのは「恋の奴隷」だと思いますが。 似合いすぎて洒落にならないほどに。
アデュガルです。 14日の雑記の続きです。 ――――― 「姿を現さないでくれって……どういう事だよ」 「言った通りの意味だ」 「俺、何かしたか?お前に避けられるような事……」 「そうではない。お前は何もしていない。 ただ、クリスマスの日、一日だけで良いから、私の前に姿を見せないで欲しいのだ」 「………」 「……約束だからな。私の願いを聞いてくれ」 「あっ、ちょっと……おい!」 「……そんな事が、ちょっと前にあってさ」 「でもあんたら、今は一緒に暮らしてるんやろ? そしたら明日は、丸一日ガルデンから離れとくんか?」 「いや、あいつがどうしてそんな事言ったのか知りたいからな。 こっそり様子を見てみようと思うんだ」 「まるでストーカーやな」 「仕方ないだろ、どれだけ理由聞いても、あいつ言わないし」 「放っといたら良いやん。ガルデンにも事情があるんやろ」 「いーや、放っとけない!!あいつを一人にしたら危ないし」 「そうか?まあ、わてには関係ないからええけど……」 「む、関係ないって言い方は無いだろ」 「だって関係ないやん。痴話喧嘩は犬も食わん言うしなあ。 それにわては、商売で忙しいんや。 年始年末は何かとお金が要るし、クリスマスには孤児院の子ぉらに、ちっとは良いもん食べさしてやりたいしなあ」 「あっ……そうか。ごめん、引き止めて」 「いや、そんな恐縮せんでもええがな。わてが商売で急がしいんはいつもの事やろ。 ……でも、そうやな。わてでも、あんたの役に立てる事はあるで」 「え?な、何だそれ」 「ジャーン!特製『インビジブル・コート』!!これ着たら、あんたの姿は透けて見えんようになる。尾行やらには最適でっせ、お客さん!」 「おおっ!!」 「しかもデザインも中々かっこええやろ。あんた背ぇ高いからよう似合うで」 「……見えなくなるんだったら、デザインも何も関係ないと思うけど」 「細かい事気にしな。さ、どや?今ならクリスマス特価、お安うしときまっせ!!」 「結局買っちまった………。 ま、良いか。 これであいつの前に『姿を見せない』で居られるし、……あの孤児院のケーキ代の足しになるんだったら」 「何をにやにやしている?」 「うわっ、が、ガルデン!!」 「……何を驚く事がある」 「い、いや、いきなり声掛けられてびっくりしただけだよ」 「そうか?……まあ良い。 アデュー、くれぐれも言っておくが、明日は……」 「判ってるって。お前の前に、『姿を見せなきゃ良い』んだろ」 「そうだ」 「約束は守るって。大丈夫だよ」 「そうだな、お前は騎士であるのだから、約束は守って当然だ」 「……ハハハ……。 ……えーと、ガルデン、飯は?」 「外で食べてきた」 「風呂は?」 「さっき入った」 「じゃ、じゃあ……」 「……おい、何をする気だ」 「いや、明日一日、お前の傍には居られない訳だし、今の内にと思って……」 「離せ、アデュー。明日の朝は早くから出掛けねばならんのだ。 それにもう眠い。今夜はお前と同衾する気にはなれん」 「そんなつれない事言うなよ」 「くどい!」 「あっ、お、おい!……ちょっと、悪かったって!寝室に引き篭もらなくても……うわ、鍵まで掛けやがった! おいガルデン、この寒いのに俺に床で寝ろって言うのかよ!!」 「身から出た錆だ。それにもうすぐ12時、日付が変わる。 約束は守ってもらうからな」 「そ、そんな……あんまりだぜ、いくら何でも」 「普段あれだけベタベタくっついてきておきながら、まだ不満か?」 「ああ、不満だね。今みたいに一緒に暮らすだけじゃなくて、四六時中一緒に居たい位だ」 「……………」 「おい、無視かよ!おーい、せめて毛布だけでも……!!」 「……あれ、俺……何時の間に寝てたんだろ……。 うう、床の上で寝たもんだから体の節々が……っくし!」 (……そう言えば俺、このコート着て寝てたんだな……。俺には俺の姿が見えてるんだけど、本当にこれ、透けてるんだろうか) 「………」 (あ、ガルデン……寝室から出てきてるし。何だ、きょろきょろして……毛布なんか持って……) 「………」 (……ひょっとしてガルデン、俺の姿が見えてないのか?) 「……あいつは何処に行ったのだ」 (……お前の足元に寝転がって、絶好のローアングルで見上げてるんだけど……) 「……フン」 (あ、も、毛布置いてってくれよ!そんな拗ねたような顔して寝室に戻らないでさあ……!!) ―――――バタン 「……ああ……」 (……このコートの能力がホンモノだってのは判ったけど……) 「さ、寒い……。 こんなんだったら素直にコート脱いで、抱きついたら良かったかも……」 (……いやいや、騎士たるもの、約束を違えてはならないしな。 此処はじっと我慢して……!) 「……それにしても」 (……さっきのきょろきょろしてる時の困ったみたいな顔と、その後の拗ねたみたいな顔、可愛かったなあ……ちょっと唇尖らせて、眉寄せてる所なんか、あの時の表情とそっくり……) 「…………………」 「………あいつは何処に行ったのだ。出て行くなら出て行くで、メモくらい残していけば良いものを……」 (…………) 「……フン、まあ構わんがな。今日一日、あいつが居ないというのは僥倖だ。 早速出かけなくては……」 ―――――ガチャガチャ、ギッ……バタン。ガチャン。 ―――――ガチャガチャ、ギッ。 「……財布を忘れるところだった……」 ―――――バタン。……ガチャン。 (……俺に言った通り朝早くに起きたあいつは、寝室から出てきて俺の姿が「見えない」事を知ると、開け放しのドアを乱暴に蹴って閉め、それからよろよろと洗面所で顔を洗ったもののタオルが何処にしまってあるのか判らず、仕方なしに濡れた顔をパジャマの袖でごしごし拭いて、ありあわせのもので朝食をとった後、服を着替え、何処か機嫌悪そうに呟いた後、そそくさと家を出て行きました。 俺もあいつの不機嫌そうな顔を思い出してニヤニヤしてないで、早速追いかけようと思います……以上、解説終わり) 「……て言うか俺、誰に解説してんだろ……。まあ良いや、行ってきまーす」 ――――― 続く。(何時まで引っ張る気か)
つっぱることがおとこーのーたったひとつのくんしょう〜♪ ごめんなさい。>なるみ忍様 (参考・キリンビバレッジ)
今日は駅前で、スーツ姿でメロンパンを焼いている男性を見かけました。 こんばんは、TALK-Gです。 しかし冷えますね。 もうすっかり冬です。 「土曜日遊園地一年経ったらハネムーン」だの「私をね失ったらね貴方の人生終わりだよ」だの、脅迫状めいたラヴソングが街中に響く時期です。 響くと言えば、昨日行ったデパートでは、早くもクリスマスソングが各階売り場に響いておりました。 ――――― 「なあガルデン」 「何だ、アデュー」 「もうすぐクリスマスだな」 「そうだな」 「お前、何か欲しいもの無いのか?」 「欲しいもの……?」 「クリスマスイブの日には、欲しいものを書いた手紙を靴下に忍ばせて、枕元に置いておくもんだろ」 「子供じゃあるまいし」 「まあ、サンタさんにおねだりっていうのはアレだけどさ。 何か欲しいもの無いのか?願い事とか。 ちょっとくらいなら、俺が叶えてみせるぜ」 「欲しいもの……願い事……」 「……ええと、あんまり高いものとかは勘弁してくれよ」 「判っている。 ……そうだな、折角だから、お前にしか頼めない、お前にしか叶える事の出来ない願い事をしたいのだが」 「お、俺だけにだって? 任せろ!ガルデンにそうまで言われたなら、何をしてでも叶えて見せるぜ!」 「そう難しい事ではないのだ」 「まあまあ、とにかく言ってみろって! ガルデンの願い事って何だ?」 「クリスマスの日、一日だけで良い。 私の前に姿を現さないでくれ」 ――――― 以下次号。
先程「モンテクリスト伯」の最終回を見終わったのですが(以下ネタバレ反転) 最後の最後にメルセデスとダンテスが、波打ち際を走り回りながらアハハウフフキラキラキラ・*。+・゜★・。+・。* とやってるのは如何なものかと。 三悪党への復讐も、これまでのねちっこい盛り上げ方に比べたら偉いあっさりしていましたし。 ダングラールへの「拘束→追い詰め→身包み剥がし→発狂した所追放」はかなり鼻息荒く楽しみにしていたんですが。この情熱は何処にぶつければ。 ……でも万能執事ベルトゥッチオと山賊の頭パンパ(バンパ?)、護衛官みたいなムハンマドが激しく萌えだったのでまあ良いや。ナイス中年ざくざくでした。 ちなみに山賊の頭の声が中田和宏氏(リュー38話などで邪竜兵ギメルの声をあてていらした方。吹き替え洋画のスタッフロールでは高確率でこの方のお名前を見受ける)で更に萌え。倍率ドン。あのセクスィーボイスの御威力は凄まじいですね。 後、「ナイス中年親父ざくざくの大活躍でウハウハな悪漢小説」というネットでの評判を聞き、「三人の悪党―きんぴか(1)」(浅田 次郎・著/光文社文庫)を衝動買い。余りの面白さと燃え度と萌えっぷりに、一気に読んでしまいました。特に主役三人の一人である「バツイチ男で子煩悩、頭が切れて冷静沈着、元大蔵省エリートの眼鏡さん」の広橋秀彦が萌えツボ直撃で堪りません(特にバツイチパパという辺りが)。 中年中年と喧しい雑記になってしまい済みません。 でも止められないんだ!!判ってくれるよね、この僕の病気!!((c)古賀亮一) ――――― 上記の話とは全く関係無いのですが。 TV版ガルデンの父親と母親、どちらがガルデン一族でどちらが邪竜族なのかという問題について。 個人的意見を述べてみようと思います。 TVガルデンは自分の事を「誇り高きガルデン一族(の純血種)」と思い込んでいました。 あと、45話で熱に魘され、どんな夢を見たのか母親を呼んで泣いていました。 これら二つから私は何となく、「母親がガルデン一族で、自分の一族の誇りなどを幼い(?)ガルデンに説いていた。そして邪竜族の父親に関しては言及しなかった」みたいな風に思っていたのです。 が。 もし、母親が邪竜族で、父親がガルデン一族だったとしたら。 「かあさーん」 「なあに、ガルデン」 「とうさんのお話してー」 「ええ、良いわよ。 貴方のお父様は、ガルデン一族の長。 比類なき闇の魔法力を持つ、この世の覇者ガルデン一族の長なのよ」 「『このよのはしゃ』って強いー?」 「ええ、誰よりも強いわ。 強いだけじゃなく、美しく、気高く……全てを兼ね備えた方だった」 「かあさんはとうさんのこと、好きー?」 「勿論、誰よりも愛しているわ。 そうでなければ、貴方はこの世に居ないもの。 ……私も……この地に留まったりはしなかったでしょうね」 「かあさん?」 「……いいえ、何でもないのよ。 さあ、もうお休みなさい、ガルデン。 あなたの眠りは、この私がこの剣に誓って護って見せるから」 「はーい、おやすみなさい。かあさま」 「…………」 「………(すやすや)」 「………あなた……どうかこの子を護ってあげて。 邪竜族の追手や魔女達に、この子が見つからないように。 ……真に正しき『覇道』を、この子が理解するまでは……」 ガルデンの父親は闇の大魔導剣士にしてリュー使い(イメージ的に漫画版ガルデン)、母親は邪竜軍きっての名うての騎士(ヴァルキリー。イメージ的にOVAのロームやマルトー、ラジオのデスローザ)。 最初は対立していた二人はやがてお互いをライバルと認め合い、次第にそれが恋に変わり、種族を超えたそりゃあもう掟破り且つハーレクイン張りの愛を育む事になるのですが、それを許さないのが邪竜軍(イドロとか)。アースティアと邪竜族の間の子「ガルデン」を利用せんと魔手を伸ばします。 父親は母親と息子を守る為に戦死、後に母親も謀殺され、残された息子は何も知らずにイドロの手に落ちてしまった、とか。 シュテルはリューとドゥームの「合成品」ですが、その「リューのシュテル」に組み込まれたドゥームが実は、母親が嘗て使っていたドゥームナイト(ヴァルキリー)だったとか。 書いている間に判り難くなってしまいました。 ――――― なるみ忍様の「同仁茶房」様がお早く復旧されますように。(心配)
御存知の方もいらっしゃるとは思いますが、わたくしTALK-Gは中年親父スキーです。 「銀髪黒衣で壊れそうに繊細な容姿をもつ女王様だけど実は一途な恥ずかしがり屋で意地っ張りなカワイコちゃん」も大好きですが、 「銀髪無精髭よれよれのシャツでいつも怠そうな一見やる気なしの中年親父だけど実は一途な恥ずかしがり屋で意地っ張りなおっさん」も大好きなのです。 寧ろ大好物です。 当サイトに恥ずかしながら置いてある「ガルデン(特に漫画版)」や「攻のアデュー」「擬人化シュテル」なんかを見て頂ければお判り頂けるかとは思いますが、 わたくしTALK-Gが描く男キャラは老けています。 およそ「実際の年齢に十歳増し」になっています。 219歳に10歳足したところでどうなるという気は致しますが。 気を抜くとどんなキャラでも老けさせて描いてしまいます。 気がつくとどんなキャラでも老けた顔になっているのです。 受のガルデン(特にアデュガルのガルデン)を描く時は 「神に約束された永遠の19歳・ぴちぴちお肌でお目目大きめ・華奢で繊細な(半)エルフの若奥様」と念じながら描いています。 時々それが行き過ぎて 「神も見放した永遠の末っ子・くるくるおつむに零れそうな目・敏感で鈍感なドジッ子裸エプロン」になっています。 細身でクールビューティーなお兄さんが大好きです。 同時にガタイが良くてだらしのないおっさんが大好きです。 長々と書いてきましたが 結局一番告白したい事は 何か気がつくとこんな銀髪蒼眼の男を描いていた、という ただそれだけの事なのです。
蟹を一パイ、目の前に置いたら。 自分で殻を割り足を折りして器用に身を取って食べているのが漫画ガルデン、 シュテルに身を取り出させて自分はそれを食べるだけなのがTV初期ガルデン、 一生懸命自分で取ろうとしてそれが上手くいかず癇癪を起こすのがTV後期ガルデン、 蟹のはさみに指を挟まれるのがOVAガルデン、 「上海蟹を持って来い」と言うのが特典CD2のガルデン、 殻を割り足を折りして綺麗に身を取ってそれを皿に盛り、自分は手を付けないのが「聖騎士の約束」ガルデン、 一人で海老を食っているのがラジオ版ガルデン。 こんばんは、TALK-Gです。 掲示板でも書きましたが、昨日今日と「モンテクリスト伯」なる海外製作の四夜連続ドラマにはまっています。 無実の罪で二十年間を地獄に等しい牢獄で過ごし、何もかもを失った男、モンテクリスト伯ことエドモン・ダンテス。 彼が、自分の父や恋人や未来を奪った者共に、ありとあらゆる策を講じて復讐するお話。 そのお話そのものも、ケレン味たっぷり、カタルシス満載で手に汗握るものなのですが。 その、復讐の鬼と化したモンテクリスト伯に仕える執事がまた、萌えでして。 料理から良い女を引っ掛けてくる事からパーティの準備から不審者を捕らえる事から、何でもこなす万能執事にして、唯一モンテクリスト伯の正体を知る男。 そんな彼と伯爵との関係ややり取りがまたカッコイイ。 思わずガルデンとシュテル・イドロ(漫画版)にダブらせてしまいます。 ダークヒーロー(またはアンチヒーロー)に痺れる秋の夜長です。 こんなガルデンを書いてみたい。 ――――― 関係ないのですが、漫画喫茶でセーラームーンを12巻まで読んできました。 極めて自然に「うさぎ→パティ」「衛→ガルデン」にダブらせて読んでいる自分に気付き、愕然としました。
<登場人物紹介> ☆漫画版ガルデン……父親。 ☆「聖騎士の約束」版ガルデン……母親。 ☆36話辺りまでのTV版ガルデン……四男。生意気盛り。 ☆36話以降、特に51話等の終盤辺りのTV版ガルデン……三男。目がきらきらしている。 ☆ラジオ版ガルデン……次男。やさぐれている。 ☆「温泉ダンジョンの決闘」版ガルデン……五男。末っ子。五歳くらい。(外見が) ☆特典CD2巻版ガルデン……長男。父親と対立して家を飛び出して以来帰ってきていない。 「今帰ったぞ貴様ら!!長の帰りを出迎えるが良い!!」 「ああ」 「フン、騒がしい奴だ」 「今日は早かったのだな」 (一人で壁に凭れて虚空を見ている) 「土産は無いのかー?」 「ククク、土産だと?それよりも先に言う事があろう?」 「……食事か?風呂か?」 「飯だ!酒も熱燗にしてつけてくれ」 「……よくそんな所にまで気が回せるな。見事だ」 「伊達に長生きはしていないさ……」 「私も腹が減ったぞ!」 「ああ、すぐに支度をするから。 ……お前は?食事はどうする?」 「俺は要らん」 「お前、昨日も食べていなかっただろう。 それでは体を壊すぞ」 「フン、同情しているつもりか」 「何だと貴様!!!」 「止めんか!! ……お前、ちょっと支度を手伝ってくれるか」 「まかせておけ!!」 ―――――ガラガラガラッ(引き戸) 「客か?こんな夕飯時に……、……!」 「今帰った」 「………貴様は」 「フッ、随分と老けたな」 「半熟半ベソ半死半生で家を出て行ったガキが、今更何をしに帰って来た」 「生まれ変わった私を、貴様に見せに戻ってきたのだ。 弟共や母親が心配でもあったしな」 「生まれ変わった? 貴様も三男の様にホワイトドラゴンの自己啓発セミナーでも受けてきたのか?」 「そんなもん受けた所で、三年くらい経ってから次男の様な変な壊れ方をするのがオチだろうが」 「ホワイトドラゴンはとても素晴らしい竜なのに…… 今度、実際にセミナーを受けてみると良い。みんなも一緒に」 「……俺は自分が一体誰なのか判らなくなった時に、話を聞きに行っただけだ……」 「……昔、この家を出た時は、私は確かに非力なガキだった……。 だが、今は違う。 社会的地位も手に入れ、自分で自分を養えるまでに成長した」 懐から名刺を取り出し、父親の目の前に叩きつける長男。 「……『アースティアTV・製作部長』……」 「それが現在の私の肩書だ」 「製作部長、というのは偉いのか?」 「ああ。番組の制作費を握ったり、気に入らん部下を無人島に左遷したり出来るくらいにはな」 「しかし、普通そういうのは、総務部の経理課や監査部の役目ではないのか?」 「……大怪獣シュテルのフィギュアをやるから黙っていろ」 「わーい」 と、長男の名刺をちゃぶ台の上に放る父親。 「……フン、この程度で『自分を養える様になった』とは片腹痛い」 皮肉っぽく言う父親に、睨む視線を強める長男。 そんな長男に、父親は小さく笑う。 「……だが、まあ、良かろう。 おい、もう一本酒をつけてくれ」 「ああ、判った」 「……!!」 「何を驚いている? 私はこの家の長だ。たとえ出て行った者であろうと、この家の者が成功を収めたのならば、それを喜んでやるくらいはするさ」 「お祝いか?」 「……ああ、そうだ。 寿司だ!寿司を取れ!」 「ククク、良かろう。この私が直々に注文してやる。 ……お前も食うだろう?」 「仕方あるまい」 「言っておくが、余り高いものは注文するなよ。我が家の財政は逼迫している」 「か、母さん……」 呆気に取られていた長男だったが、やがて表情を微かに緩めると、父親と差し向かいに腰を下ろす。 「おい、もっと高い酒を持って来い!」 「フッ、お前が酒の話をする様になるとはな……」 「生意気なヤツめ」 「久し振りに一家が揃ったのだし、このまま何処かに繰り出すか?ふふ、面白いショウが見られそうだな」 「イーズ温泉などどうだ?」 「私の生まれた国を見てみたい……」 「何処まで行く気だ」 ――――― これは文章でやるべきネタではなかったかも知れません。
今日は総選挙の日でしたね。 周りの者に「投票に行ったか」と尋ねると、「行った。スクラッチカードを削るコインが無くて大変だった」と答えが返ってきました。彼は何処に行って何に投票してきたのでしょうか。こんばんは、TALK-Gです。 いやいやいや、そんな事より!! どうやら我等がガルデン様が某大国の大統領に選ばれたそうですよ!! 詳細はなるみ忍様の日記にて!! ムチムチプリンな美人秘書イドロも拝めますよ!!さあ早く!!はよせな!!! そして一緒に万歳三唱!! 我等の大統領ガルデン様バンザーイ!!バンザーイ!!バンザーイ!! さあ皆様も両手を大きく頭上に!!さあ早く!!はよせな!!! 我等の大統領ガルデン様バンザーイ!!バンザーイ!!バンザーイ!! ガルデン様が大国の大統領になった暁には、その麗しのビジュアルとエキセントリックな言動で熱狂的な支持者を作り出すと同時に、その強引且つ冷酷なまでの手腕と海千山千の秘書達の暗躍によって、他国から非常に反発され、同時に恐れられる存在となると思うのですが、如何でしょうか。 ガルデンって「愛国心(愛民心?)」が非常に強そうですし。 筋金入りのナショナリスト。パッフィー王女の祝福を受けておられるという事は、ロイヤリストでもあるのかも知れません。 スローガンは「この私にふさわしい国へ」。 マニフェストを乗っけた冊子は「ガルデン様のビューティー写真集」と化しているとか。 駄目でしょうか。
「お前を初期化しようと思う」 俺が静かに言うと、霞がかっていたあいつの目に、微かに光が走った。 うう、と小さく唸り、薄い唇を噛む。カリカリと響く馴染みの音。明滅する額の石。 何かを考えているらしい。 暫くの後、ポツリとあいつは呟いた。 「……私は、廃棄処分されるのか?」 初期化する―――――それには色んな意味や場合がある。 彼はその「色んな意味や場合」の中から、「廃棄処分される」という可能性に意識を奪われたらしい。 翠の目が揺れている。 俺の答えを待ち侘び、同時に恐れている様な目。 俺は彼がフリーズしない内に、明確に答えを示してやった。 「違う、廃棄処分なんてするわけ無いだろ」 首を振ると、彼は明らかにほっとした様子で息をつき、それから重ねて尋ねてくる。 では、何の為に、と。 「OSを入れ直すんだ。 お前が此処までいかれちまったのは、ハード面と言うよりソフト面での問題が大きい気がするから」 「…………」 いかれている、と言われたのにむっとした様に眉を寄せる。が、事実なのでどうしようもない。 ―――――こいつがおかしくなった原因が、本当にハード面よりソフト面にあるのかどうかは判らない。 ただ、そうだったら良いな、と俺が思っているだけだ。 ソフト面ならまだ対処の使用もあるけど、ハード面だった場合は、俺にはもうどうしようもないから。 工場に送って修理してもらうか、こいつを「廃棄処分」して新しいのに買い換えるか……俺に出来る事はそれくらいしかなくなってしまう。 そしてそのどちらにしたって、こいつは「初期化」される。他人の手で。 ……それならいっそ……… 「……アデュー?」 呼ばれて、俺は我に返った。 あいつは不思議そうに、俺の顔を覗き込んでいる。 「どうしたのだ?」 「いや、何でもない」 首を振り、意識を現実に切り替える。 まずやらなくてはいけないのは、こいつの中にあるデータの保存。 作成した文章、図、送られてきたメールやウェブブラウザに設定してあるブックマーク……必要なファイル全てを、別の媒体に保存しなくちゃいけない。 俺は、これからかなりの量のファイル保存をしなくちゃいけない事を告げ、「出来そうか?」と尋ねた。 「……やる」 硬い声での返事。 目には、此処最近殆どお目にかかれなかった、クリアーで鮮烈な光を点している。 「この私がファイルの保存の様な簡単な作業くらい、出来んと思っているのか」 ……つい先日、ファイル保存に失敗して三時間分の作業をパーにしてくれたのは誰だったっけ。 まあ、彼がやる気になっているのに、そんな事を言って水を差す必要は無い。 「じゃあ、頼む」 俺はまず、前もって用意しておいたフラッシュメモリに、頻繁に使うファイルを移すことにした。 要るものと要らないものの選択、それらの移動、削除、保存…… カリカリ、カリカリ。カリカリ。 すぐにいっぱいいっぱいになるメモリをこまめに掃除してやりながら、俺はあいつの様子を見守る。 ……苦しそうだ。が、気迫と根性で自分の中のシステムを制御し、安定させている。 「無理するなよ」 思わず俺が言うと、彼は少しむくれたような顔で、 「誇り高きメーカー製のこの私が、ネットカフェの有象無象などに遅れをとって堪るか」 と返してきた。 「……知ってたのか、俺がネットカフェに行ったの」 「私の知らないイオン臭がしたからな」 低い声。 寄せられた細い眉は、ぴくぴくと神経質に震えている。 「私というものがありながら……あんな、不特定多数の者共の手垢に塗れた『箱』などに……」 頬の赤味が増してきた。 「―――――甚だ不愉快だ」 カリカリ、カリカリカリ。 今にもオーバーヒート、ハングアップしそうなあいつは、それだけ言って、また唇を噛む。 本当に不愉快なのだろう。翠の目は、怒りで「生き生きと」輝いている。 俺はそんな彼の「自分勝手」な言葉と仕草に、思わず声を上げて笑った。 「何がおかしい!!」 癇に障ったのか、怒鳴りつけてくる彼。俺は笑いを納め、その目を見つめた。 「おかしいんじゃない、嬉しいんだよ」 そう、嬉しくて堪らなかったのだ。 「………」 彼は怪訝な顔をしている。 その、静電気でふわりと浮き上がっている銀の髪を撫で付けながら、単刀直入に言ってやった。 「お前、ネットカフェのパソコンに嫉妬してるんだろ」 「―――――」 一瞬、極端にCPU占有率が上がった。 カリカリ、カリカリカリ。 「自分が動けない間に、別のパソコンに俺を取られて、悔しかったんだよな」 「……馬鹿な事を言うな」 更に赤くなる頬。煌く目。揺れる髪。 カリカリカリ。カリカリカリ。 判り易い反応は、更に俺を喜ばせてくれる。 「か、仮にもこの私の所有者たる男ならば、そのような真似をするなと言いたかっただけだ」 「浮気するなってことだろ」 「違う!!」 「どう違うんだ?」 混ぜ返すと、あいつは言葉に詰まってしまった。 ううう、と唸り声。 本当ならもっと図星を突いて慌てさせて怒らせてやりたい所だけど。 これ以上興奮させると、あいつの健康に悪い。 「判ったよ、もうネットカフェなんか行かないから」 そう言って、すべすべした頬を撫でてやる。普段はひんやりとしている其処の熱さに、また嬉しさがこみ上げる。 嫉妬するこいつを見て喜ぶ、っていう俺の反応は、単純なのか複雑なのか。 「……判れば良い」 偉そうに呟くと、あいつはまたファイルの保存作業に意識を戻した。 カリカリ、カリカリカリ。 フラッシュメモリに付けられた小さなランプが点滅する。 本当に小さな媒体に、刻まれていく沢山のファイル。 俺がこいつで作った、他に代えの無いオリジナル。 「お前、この文章ワードで打ってる時に、五回くらいフリーズしたよな」 「……こんな破廉恥なものを入力される私の身にもなれ」 「このCG描く時も、三回くらいセーブ中に失敗したし」 「こんな下品で汚らわしいものをわざわざフラッシュメモリに移すな!!」 一つ一つのファイルに纏わるエピソード。 ほんの些細な事も、驚くほど明確に思い出せる。 まるで昨日の事のように。 ……それを俺がいちいち口に出して、あいつがまたいちいち反応を返すものだから、作業は中々進まない。 「横からごちゃごちゃ言うな!気が散るではないか!!」 「でもさあ、こう色々と見てると、ああ、あんな事もあった、こんな事もあった、って懐かしくてさ。 それに、どのファイルにも凄い愛着があるしな」 「こんな下らんテキストやグラフィックにか?」 「ああ。出来が悪くても、こいつらは間違いなく、『俺が』『お前で』作ったものだし。 ……言ってみりゃ、俺とお前の子供みたいなもんだろ」 「―――――」 カリカリカリカリカリカリ。 「……人間というものは、よくもそんな詰まらん例えを思いつくものだ」 俯き、フンと鼻を鳴らすあいつ。 その、落ちかかる前髪の向こう、林檎のように真っ赤になった頬をもっと近くに感じたくて、俺はその華奢な体を抱き寄せる。 ……電源プラグが抜けないように注意しながら。 フラッシュメモリを埋めたら、次はCD-RW。 こいつの中の雑多な「記憶」を雑多に「記録」していく。 徐々に踏まれていく初期化の手順。 「初期化されたら、『私』はどうなるのだろうか」 俺の腕の中で、あいつはポツリと呟いた。 「『私』は『私』でなくなってしまうのだろうか」 「それは……」 心細げな声に俺が口を開きかけると、それを遮るように 「否、例え初期化されようと、この私が誇り高きN社製である事に変わりは無い」 ……と自分で結論を出し、一人で頷いている。 俺は小さく笑い、銀の髪を撫でてやりながら「そうだな」とだけ言った。 初期化した後、「こいつ」がどうなるか。 それは、もうじき、嫌でも判る事なのだ。
「今作っているゲームには、色んなタイプの萌えっ子が出てくる」 「はあ」 「やや細身で胸の無い、元気で明るく純粋な少女。 巨乳で垂れ目の、ほんわかした優しいお姉さん。 脱いだら凄い、キツイ性格に思えるが芯は脆いレディなど」 「はあ」 「しかし未だ足りない。 オーソドックスにいくならばもう一人、メガネっ子が欲しい」 「はあ」 「ちょっと知的な雰囲気を漂わせつつ、それなりにグラマーな、こう……こんな感じのメガネっ子を」 「メガネっ子萌えは別に良いんですが」 「ん?」 「そうやって銀髪中年男に眼鏡を掛けさせて『メガネっ子』と言い張るのは止めて下さい」
申し込んだバイトの登録番号が「174」で、静かに喜びを噛み締めているTALK-Gですこんばんは。 突然話は変わりますが、10月31日〜11月2日の三日間(正確には3日までの四日間なのですが、私の所属する夜間部の出店期間は2日までだったので)、私の通っている大学で学園祭があったのです。 で、その最終日、店をたたんで始末をした後に、特設ステージでの「閉会式」と「乱舞」というものがありまして。 「閉会式」はその名の通り、学園祭無事に終わってよかったね、協力してくれた皆様ありがとう、みたいなアレなのですが、それでは「乱舞」とは何かと申しますと。 夜間部のクラブの中でも、文化会・体育会・学術研究会といったカテゴリから独立している「応援団」の「発表会」でして。 言ってみれば体育祭の「組体操」や「応援合戦」みたいな。 他のクラブの者たちは、それに拍手をしたりぼんやりしたりしつつ、彼らの演舞や演奏を楽しむというものなのですが。 素晴らしい、気合のこもった熱い乱舞を見ながら、ふと思ったのです。 「応援団」という組織は、リューのパロ向きではないだろうかと。 ――――――――――――――――― 晴れて志望していた大学に入学したアレク…… 春のキャンパスで繰り広げられる、各クラブの新入生勧誘で、アレクは従兄のアデュー(三回生)に捕まります。 そのアデューは、前をはだけた黒の長ランに学帽、足には下駄を履き、何だか一昔どころか二昔は前の「番長」みたいないかつい姿です。 思わずびびるアレクに、ずいと迫って言うアデュー。 「応援団に興味ないか?」 アレクはもともと文科系です。体力や腕力もずば抜けているわけではなく、同じ大学に入った双子の姉とは正反対に大人しい……いかにも優しげでおっとりとした「体育以外は優等生」でした。 そんな自分が、応援団? 余りに似合わない組み合わせに慄然とするアレクですが、ちょっと覗くだけで良いからというアデューの言葉に、仕方なくついていくことになりました。 ついていった先は、五階建ての立派な建物。吹き抜けになっていて、上から見ると丁度「ロ」の字型です。 「此処はクラブハウスになっていて、二階が体育会、三階が学術研究系、四階が文科系のテリトリーになってるんだ。で、五階は防音のついた音楽練習所とかが入ってる」 では、一階には何があるのでしょう。 アレクが尋ねると、待ってましたと言わんばかりの笑顔でアデューが回答します。 「一階は、このクラブ全体を纏める執行部や多目的ホール……そして俺達応援団の部室があるんだ」 何でも、この大学に多々あるクラブの中でも、アデューが所属する応援団というのは歴史も実績も規模も桁外れで、別格の扱いを受けているのだそうです。 「うちのクラブが他のクラブより偉い、とかじゃなくてな。 文化、体育、学術研究、そういう枠から外れた場所に存在してるって事なんだよ」 「はあ……」 いまいちよく判っていないアレクでしたが、とりあえず相槌を打っておきました。 それにしても、アデューの言う「応援団」とは、実際どんな組織なのでしょう。 アレクの中の「応援団」というものに対するイメージと、アデューが案内の道すがら語ってくれた「応援団の活動内容」などを擦り合わせてみるにつけ、益々もってアレクには縁遠い世界に思えてきます。 (きっと皆、アデューさんみたいに逞しくて背が高くて熱血で酒豪で豪放磊落で声が大きい猛者ばかりなんだ) はっきり言って自分の様な華奢な男は、其処に座っている事すら出来ないに違いない、と、アレクは半泣きになって、アデューについてきた事を後悔し始めました。 そんなアレクの肩をばんと叩き(お陰で彼は吹っ飛びそうになりました)、「そんな緊張するなよ」と明るく笑っていたアデューでしたが。 不意に、その笑い声がやみました。 「―――――?」 不思議に思ったアレクが咳き込みながらも見上げてみると、彼は前方を見据え、口を引き結んで眉根を寄せています。 「どうしたんですか、アデューさ……」 言いながら彼の見やる方向へと視線を向けたアレクは、思わず「ヒッ」と息を呑み、その場に硬直しました。 見えたのは、檜の表札に墨黒々と書かれた「ヴァニール大學應援團」の文字。 それが掲げられた、閉ざされたドアの所に立つ一人の男――――― 黒い髪に黒い肌、一分の隙も無い詰襟長ラン革靴姿の、身長210はあるのではないかと言うとんでもない偉丈夫。 「…………シュテル」 苦々しいアデューの呟きが聞こえたのかそうでないのか、鋭すぎる面立ちのその男は、黒で固められたその身の内で唯一異彩を放つ、火の様な真紅の眼をこちらに向けています。 暫しの沈黙の後、アデューは彼に言いました。 「……シュテル、お前そんな所で何突っ立ってんだ」 低い声。アレクが聞いた事も無いような、ドスの効いた声です。 それにシュテルという男は、唇の端を歪めて見せました。 「己は己の役目を実行しているのみ。 ふらふらと遊び歩いている貴様にとやかく言われる筋合いは無い」 これまた腹に響くような低い声。……はっきり言って怖すぎます。 周囲に流れる険悪な雰囲気から一刻も早く逃げ出さんと、アレクは回れ右をしましたが。 「はん、遊び歩いてなんていねえよ。新人勧誘してたんだよ、団長に言われた通りな」 アデューの声と共に、その肩をがっしりと掴まれました。逃亡失敗です。 「新人勧誘……?」 「そう、こいつだ」 ぐいと前に押し出されるアレク。シュテルの視線をもろに受け、彼は今にも失神せんばかりに緊張しています。 「貴方は……見学希望者か?」 こんな男に低く言われて、どうして「違います、帰らせて下さい」等と言えるでしょう。アレクは涙目でこくこくと頷きました。 「俺の従弟で、アレクって言うんだ。新一回生さ」 「アレク……」 何か思い当たる節でもあるのか、シュテルは刃物の様な目を微かに眇めました。 が、すぐに元の表情に戻り、 「ようこそ、応援団本部へ。歓迎します」 と、軽く頭を下げました。アレクは、頭を下げられている自分こそが見下ろされているような錯覚に陥り、そのプレッシャーに益々目を潤ませました。 (も、もう、さっさと見学を済ませて、何か理由をつけて帰ろう……) そう、固く固く心に誓うアレクをよそに、アデューは「団長は?」などとシュテルに尋ねています。 「団長は只今お休み中だ。来客があったら起こせと、そう仰られた」 「何、お休み中だと?!」 シュテルの返答に、拳を握り締めるアデュー。 「俺には外回りをさせといて、自分は優雅にお昼寝ぇ?! 許せん!俺が起こしてくる!!」 そう言ってドアに向かいますが、瞬間。 「―――――団長を目覚めさせるのは、このシュテルの役目だ。 貴様は外で待て」 肩で阻まれた上にドアノブに伸ばした手を掴まれ、アデューはぎりぎりと歯軋りしました。 「シュテル……お前、俺に何か恨みでもあるのか」 「『団長のジュース強奪事件』『団長のお召し物を上掛けにして居眠りをしていた事件』『試験の度に団長にノートと勉強会を強請っている事件』『打ち上げの際に酔っ払って団長を押し倒した事件』など、恨みを上げれば切りが無いが」 「どれもお前には直接関係ねえだろ」 「何を言う!!団長は我が命、団長を侮辱するという事はこのシュテルをも侮辱している事に他ならん!! 大体、貴様の様な下品な男が副団長であるという事自体、納得がいかんのだ!!団長の御傍に侍るのはこのシュテルだけで事足りると言うのに!!!」 「何ぃぃ?!手前、好き放題言いやがって!!ちょっと昔から団長の傍に居たからって、いつまでも自分だけが特別だと思うなよ!!俺だってお前みたいな奴が副団長だっていうのには、前から納得がいかなかったんだ!!副団長は俺一人で十分なんだよ!!!」 「……あ、あのー……」 突然罵り合いを始める大の男二人に、アレクはぽかんとするばかり。 為す術も無く其処に立ち尽くし、今にも殴り合いに発展しそうな二人のやり取りを見上げておりましたが。 カタン、とドアの方から響いた小さな異音に、思わず顔を向けました。 よくよく見れば、ドアノブがゆっくりと回っております。中から誰か出てくるのでしょうか。「副団長」二人はそれに気付いた様子も無く、未だぎゃあぎゃあ言い合っております。 (……誰が出てくるんだろう。ひょっとしてさっき言ってた「団長」?) こんなごつい男二人から、どうやら慕われているらしい「団長」なのですから、きっとそれはもう、雲つくような大男に違いありません。そう、きっと、凄い強くて、凄い怖くて、凄いいかつくて…… アレクが自分の想像にガクガク震えながら、徐々に開きゆくドアを凝視しておりますと。 「―――――騒がしいな、何事だ」 細く開いたドアの向こうから、低い――けれど決して野太くない、澄んだ綺麗な声が響きました。 途端。 「!!」 今の今まで小競り合いをしていた副団長達が、慌てて背筋を伸ばして答えました。 「団長、見学者です。アデュー・ウォルサム副団長の従弟で、新一回生のアレク君だそうです」 「俺が連れてきたんだぜ。入団希望だってさ」 「!ちょ、ちょっと、僕はまだ入部するとは……」 「まあまあ」 流石に慌てて否定しようとするアレクに、アデューはにやりと笑いかけます。 「絶対入団したくなるぜ。うちの『団長』を見たらな」 小声で囁かれ、顎でしゃくって見せられた先。 シュテルが恭しく開くドアから、しなやかな仕草で歩み出てきたのは――――― 「ようこそ、ヴァニール大學應援團へ。 私が團長のガルデンだ」 アレクの想像など及びもつかない美青年。 黒の詰襟に銀の髪が映える、ほっそりとして背の高いその青年は、翠の瞳を抱く切れ長の目を眩しそうに細め、薄い唇を微笑ませてそう言いました。 その微笑に、シュテルはうっとりと見とれ、アデューは少し誇らしげに胸を張り、アレクは愕然としています。 ……まさかまさか、こんなごつい男たちの頂点に立つのが、こんな自分より華奢な人物だとは。 驚きに声も出ないアレクを見やり、ガルデンと名乗った美青年は不思議そうに首を傾げます。 「どうした?ええと、アレク…君。具合でも悪いのか?」 「いっ、いいえ!」 慌てて首を振るアレク。それに彼はまた微笑み、 「そうか、良かった」 言いながら、歩み寄ってきました。 そしてアレクの顔をすっと覗き込みます。 「?」 間近に迫る繊細で優美なつくりの面(おもて)に、アレクはどぎまぎとしながら、翠の目を見返しました。 吸い込まれそうな、深い深い瞳。 全てを見通すような、何も見ていないような……そんな不思議な瞳。 ……ふんわりとシャンプーの良い匂いがします。 「………良い目をしているな」 「は?」 少なからずぼうっとしていたアレクは、ガルデンの言葉に我に返りました。 「温和だが芯の強そうな、良い目をしている。 私は君のような目の者が嫌いじゃない」 「―――――」 ガルデンにとっては特にどうという事も無い意味の言葉なのでしょうが、それでも思わず赤面してしまうアレクです。 ついでに言うと、背中に刺さる強烈な嫉妬の視線が痛いです。 団長殿はそんなアレクの様子や副団長達の形相にも気付かず、ぽんとその肩に手を置きました。……しっとりとして柔らかい手。甘手というやつでしょうか。 「では、早速團内を案内しよう。 リーダー部、バトンチアリーダー部、吹奏楽部の三つのパートに分かれているから、何か興味を引くものがあれば、何時でも言って欲しい。詳しく説明させて貰う」 「は、はい」 言われるまま、導かれるままに、団長の後について行くアレク。 その頼りない一歩が、彼のこれからの大学生活を決定付ける事になるのですが…… 今は未だ、誰もそれに気付いていないのでした。 ――――――――――――――――― で、シュテルは旗手(でかい團旗を掲げ持つ人)、アデューは鼓手(拍子もの・歌ものをリードする太鼓を叩く人)、ガルデンは時に下駄に袴に鉢巻・扇子で舞ったりエールを送ったり、そのド迫力に新入団員のアレクがびびったり、ガルデンに一目惚れしたアレクの姉がバトンチアリーダー部に入ったり、その娘がまた素直で明るくてキュートなものだから諸先輩方(カッツェやイオリといったチアの姉さん方)に可愛がられたり、OBに何故かラーサーが居たり、ライバル校があったり、そのライバル校の「カオスティア大學」の應援團々長キルガインとガルデンの間には少なからぬ因縁があったり、ガルデンを狙う男が團の内外どころか大学内外にもやたらと居たり、そんな男の一人が打ち上げの席で不埒な真似をはたらかんとガルデンにやたら酒を勧めたり、その外見に反してザルでウワバミのガルデンはいくら飲んでもけろりとしていたり、酔ったアデューがガルデンを押し倒したり、途端にシュテルが日本刀を抜いてアデューに襲い掛かったり、その隙をついてアレクの姉がガルデンの隣に座ったり、アレクはアレクで酔い潰れた人達の世話でいっぱいいっぱいだったり、同じように世話をしている苦労性の先輩の名前がサルトビと言ったり、吹奏楽部の部長がグラチェスだったり、副部長がヒッテルだったり、そんな應援團の顧問を務めているのがパッフィーだったり。 どうですか。(どうですかって)
「雷雲でもパソコンでも何でもガルデンだと思えば素晴らしい党」党員のTALK-Gですこんにちは。 長らくお暇を頂いておりましたが、漸くパソコンの状態も安定したので、ピッチを上げて頑張っていこうと思います。 御迷惑をお掛けいたしました。 まずは本日の更新。 TOP絵更新。「着てるのは去年のコート」です。 必要に迫られてアニメ塗りの練習用に描いたものが、HD整理中にひょっこりと出てきましたので。 アニメ塗りって難しいですね。 ――――― 此処数日は、大学の方で学園祭があったり、遂に「箱入り息子」に再インストールを施したり、オリジナル・ラヴに悶えたりと色々ネタがあったので、雑記の方の穴を埋める形でこそこそと書いていこうと思っております。 それでは、また後程。 ――――― 今朝はリューの夢を見ました。 ここの所、「もう駄目だ、起きていられない」という状態で眠りにつくと、必ずと言って良いほどリューの夢を見ます。 で、どんな夢を見たかというと。 これが案外まともなアデュー対ガルデンという夢で。 この二人がちゃんといつも通りの鎧を着て、赤茶けた荒地のような所で戦っているのです。 剣で切り結ぶ二人。 ガルデンは魔剣、アデューは精霊剣を手にしています。 幾度かの激突の末、アデューの精霊剣が弾き飛ばされました。 「クハハハハ!!」高笑うガルデン。 「アデュー・ウォルサムよ、見たか!!この剣は頂くぞ!!」 そう言って得意満面の彼は、足元に突き刺さったアデューの精霊剣を奪います。 「剣を返して欲しくば、この闇の騎士ガルデンを倒してみるが良い!」 と挑発の言葉まで投げかけ、絶好調です。 が、尻餅をついていたアデューは、ゆっくりと立ち上がると、 「判った、その剣はやるよ」 と、えらくあっさりと頷きます。 「えっ」 思いもかけない反応だったのか、戸惑ったような表情になるガルデンに、アデューは続けます。 「俺さあ、武器屋になるのが夢でさあ…… 騎士を廃業するからその剣、誰か新しい使い手にやろうって、ずっと考えてたんだ」 「あ……」 夢見るような表情のアデューに、ガルデンは何も言えず黙り込みます。 「それじゃあ、その剣、大切にしてくれよ。 頼んだぜ」 爽やかな笑顔を残し、すたすたと歩み去ってしまうアデュー。 ガルデンはアデューの精霊剣を持ったまま、成す術も無くしょんぼりと立ち尽くしておりました。 目が覚めた後、えらい切ない気分になったのですが、これは何を暗示している夢でしょうか。
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