doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 2005年マイ・ベスト・アルバム

この時期恒例の年間ベスト・アルバム。公表する気はほとんどなかったが、成り行きもあって、2005年マイ・ベスト・アルバムを選んでみた。
2005年に発売された作品の中から、新作、リイシュー/発掘音源・映像の2つに分け、特に良かった作品を“暫定的ながら”挙げた。
選んだのは、結果的に各10作品。順位は全くないわけではないが、新作、リイシュー/発掘音源・映像ともに順不同としておく。

[新作]


サリフ・ケイタの『M'BEMBA』

チョーン・セックの『Orientation』

スーパーサイレントのDVD『7』

アトミックの『The Bikini Tapes』(3CDライヴ盤)

八木美知依の『Seventeen』
純邦楽に囚われることなく、国内外のインプロ系ミュージシャンと精力的にセッション活動をしている異端の箏(こと)奏者が、17絃箏の可能性を追求した会心作。
10数分のインプロ2曲をメインに、キング・クリムゾンの「トーキング・ドラム」〜「太陽と旋律パート2」風のプログレや、ポップ・ミュージシャン作のカヴァー曲かと思えるような小品もある。曲や場面ごとに違った表情をみせる、17絃琴による音響も素晴らしい(CDプレーヤーが故障し、年末に上位機種に買い替えたため、残響音や空気感をも含めたサウンドの素晴らしさを今まで以上に実感している)。

OKIの『Tonkori』
何百年という風雪に耐え、受け継がれて来ながら、(1970年代末〜80年代初め?に)途絶えてしまった、樺太アイヌの伝承曲のOKIによる再演集。オリジナル同様、すべてトンコリのみで演奏されている(ヴォーカル入り1曲&オーヴァーダブあり。エフェクターを一部で使用)。
古いテープに残された樺太アイヌの女性の古老によるトンコリ演奏の音源を何ヶ月も聴き込み、弦も各奏者と同じように張り、忠実に再演したとOKIは語っているが、今を生きるOKIの感性、リズム感などを通じての作品ゆえ、(図らずも?)現代性を兼ね備えた“OKIの作品”となっている。

アンダーグラウンド・レジスタンスの『Interstellar Fugitives 2 - Destruction Of Order』(2CD)

リンドストロム&プリンス・トーマスの『Lindstrom & Prins Thomas』

コノノ・ナンバーワンの『Congotronics』

アントニー&ザ・ジョンソンズの『I Am A Bird Now』

[リイシュー/発掘音源・映像]


オーティス・ラッシュの『All Your Love I Miss Loving - Live At The Wise Fools Pub Chicago』
2005年に最も感銘を受けた音楽作品といえば、オーティス・ラッシュの本作を挙げる(その次は、寺内タケシの下記掲載作か)。
地元シカゴのクラブにおける自分のレギュラー・バンドを従えてのライヴで、ラジオ局による録音といった状況、オーティス・ラッシュの気合いなど、すべてがうまく作用したのだろう。1976年というオーティス・ラッシュ低迷期のパフォーマンスと思われ、あまり期待していなかったのだが、初めて聴いた時の驚きと興奮は相当なものだった。コブラ時代の作品と並び、オーティス・ラッシュの代表作となるに違いない。

マイルス・デイヴィスの『The Cellar Door Sessions 1970』(6CD)

アレサ・フランクリン&キング・カーティスの『Don't Fight The Feeling: The Complete Aretha Franklin & King Curtis Live At Fillmore West』(4CD, 5,000セットの限定盤)

レイ・チャールズの『Pure Genius - The Complete Atlantic Recordings(1952-1959)』(7CD+1DVD)

フェラ・ランサム・クティ & ヒズ・クーラ・ロビトスの『Highlife-Jazz and Afro-Soul(1963-1969)』(3CD)

寺内タケシの『寺内タケシの真相 〜 Progressive Terry! depth of Takeshi Terauchi』

米川敏子の『箏曲の世界』
生田流箏曲家で、重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を受けた故・米川敏子さんの、1975〜76年の録音作。
12/13(火)に急性肺炎のため92歳で逝去された米川敏子さんの追悼番組『米川敏子さんを偲んで』が、NHK教育テレビで12/25(日) 24:30-25:17と、12/30(金)12:00から放映された。幸運にも再放送に当日気付き、録画できた。後日見るのが楽しみ。

サム・クックの『One Night Stand - Sam Cooke Live At The Harlem Square Club』
名作ライヴのリマスター新装盤。愛聴盤の音質向上は、それだけでも嬉しいが、収録時間も1分半近く長くなっている。1stプレスは音飛びが生じる不良品らしいので、購入の際は要注意。
『HMV Japan』(12/14付)によると、「デジパック仕様の輸入盤は「One Night Stand: Live At The Harlem Square Club 1963」が一時音とび不良があったため取り扱い中止となっておりましたが、無事良品が入荷!再度取り扱い開始となりました!」とのこと。

ザ・ストゥージズの『Fun House』(2CD)
上記サム・クックと同様、リマスターによる音質向上が嬉しい。ディスク2は、Rhino Handmadeから3,000セット限定で発売された、ザ・ストゥージズの7枚組CDボックス・セット『1970: The Complete Fun House Sessions』からの収録。私はボックス・セットを発売当時に購入しているので、ディスク2の有り難みはない。

ディス・ヒートの『This Heat』
本作は、音楽各誌、個人HP&ブログによる2006年リイシュー大賞の有力候補となるはずだが、私は『Locus Solus』の先行予約&発送により、2005年12月末に直輸入国内盤を入手。よって2005年の選考対象とした。直輸入国内盤の正式な発売日は、2006年1月25日の予定。

2005年12月31日(土)



 トップページに掲載した作品 Vol. 14

マキシマム・ジョイの編集盤『Unlimited(1979-1983)』(10/31発売のドイツ盤, 『CD Journal.com』, 試聴, 全曲針ノイズ入り)
ジョン・レノンの『Walls And Bridges』(11/22発売のUS盤, CDDA, 試聴
ジミ・ヘンドリックスの2枚組DVDスペシャル・エディション 『A Film About Jimi Hendrix』(11/25発売の日本盤, オリジナルは1973年制作のドキュメンタリー映画)
フィンランドのギタリスト、ラオル・ビョーケンハイムと、アトミックのリズム隊、インゲブリグト・ホーカー・フラーテン(b)&ポール・ニルセン・ラヴ(ds)によるギター・トリオ、スコーチ・トリオの2ndアルバム『ルッグムト』(10/23発売の日本盤&ボーナス・トラック2曲追加, ボンバ・レコード, EU盤は2004年11月発売, 試聴, アトミック、2006年2月11&12日 新宿ピットイン公演決定→『Real & True』12/4付BBS他より)
平安時代の流行歌集「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」を現代に音楽として蘇らせる三味線奏者・桃山晴衣が、1986年に発表した3rdアルバム『鬼の女の子守唄』(12/1 BRIDGEより発売, 1stアルバム『弾き詠み草』もBRIDGEから同時発売, オフィシャルHP
三味線奏者・桃山晴衣の1979年発表の1stアルバム『弾き詠み草』(12/1 BRIDGEより発売, 大曲「虚空の舟唄」のシンセ担当: 坂本龍一, オフィシャルHP

オーティス・ラッシュの1976年の未発表ライヴで、地元シカゴのクラブで収録された『All Your Love I Miss Loving - オール・ユア・ラヴ〜激情ライヴ! 1976』(11/18 P-VINEから発売, 試聴
マイルス・デイヴィスの6CD『The Cellar Door Sessions 1970』(12/20発売のUS盤, HMV Japan, 日本盤は12/28発売&15,120円)
Lindstrom & Prins Thomas の『Lindstrom & Prins Thomas』(11/14発売のベルギー盤, 2006年1月来日公演決定, インタビュー, 試聴
リハーサル、打ち合わせ、オーヴァーダブ一切なしの完全即興演奏バンド、ノルウェーのスーパーサイレントのDVD『7』(12/21発売の日本盤, 2004年8月16日ノルウェーのオスロにおける完全即興ライヴを完全収録, 約108分)

ブルース・スプリングスティーンの1CD+2DVDボックス・セット『明日なき暴走 ‐ Born To Run ‐ 30th Anniversary Edition』(12/21発売の日本盤, 日本語字幕付き, 1975年11月のロンドン公演等の視聴
Underground Resistanceの『Interstellar Fugitives』(1998年発表, 12/23発売の日本盤, リマスター盤, 試聴
Underground Resistanceの日本録音による新作『Interstellar Fugitives 2 - Destruction Of Order』(12/23発売の日本盤, 2CD, CISCOでの試聴
ディス・ヒートの衝撃の1stアルバム『This Heat』(1979年発表, 2006年1月25日発売予定, リマスター盤, 『Locus Solus』による先行発送で入手した直輸入国内盤)

2005年12月30日(金)



 デレク・ベイリー死去

フリー・インプロヴィゼーションの代表的ギタリストのデレク・ベイリーが、12/24、運動ニューロン疾患による衰弱のためロンドンの自宅で死去した。75歳だった。
英国のギタリスト、デレク・ベイリーさん死去(『asahi.com』2005年12月26日13時14分)

12/25(日)の夜、『tsuge's Free Improvisation』の「ひねくれ人生日記 2005」経由で知る。HP更新の時間が取れず、書き込むのが二日遅れになってしまった。ご冥福をお祈りします。
右上の画像のCDは、デレク・ベイリーのThe Music Improvisation Company名義による『ザ・ミュージック・インプロヴィゼーション・カンパニー』(1970年録音)。その隣りは、デレク・ベイリーの名著とされる『インプロヴィゼーション − 即興演奏の彼方へ』
2003年には、デヴィッド・シルヴィアンの『Blemish』に参加(3曲)し、一部のロック・ファンの間でも注目された。
Derek Bailey & The Ruinsのダウンロード(3曲, 約14分)→2006年1月某日終了: 「Improvisation A」「Improvisation B」「Improvisation C」 − The Purcell Rooms South Bank, London April 3, 1997(『BigO Worldwide』)

ロクス・ソルスで予約した人のみに先行発送されるディス・ヒートの1stアルバム『This Heat』が、本日(12/27)届いた(国内盤, 正式な発売日は2006年1月25日)。日本語ブックレットは、2006年1月中旬以降に届くらしい。
ディス・ヒート THIS HEAT 再発情報!(『Locus Solus』, 試聴あり)

『doo-bop days』開設から本日で2年。
更新はいつまで続くかわからないし、更新の間隔も開くかもしれないが、今後も音楽に関する情報、備忘録を中心とした雑記を書き込むつもりではいる。

2005年12月27日(火)



 米川敏子さん逝去

生田流箏曲の箏(こと)と地唄三弦の名人で、平成8年に重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を受けた米川敏子さんが、12/13(火)急性肺炎のためお亡くなりになった。92歳だった。

先ほどテレビのニュース番組で、米川敏子さんの訃報を知った。
米川敏子さんのCD『箏曲の世界』(2005年4月6日発売, 『日本音楽の巨匠』シリーズの一作)を、追悼の意を込めて今聴いている。
私が箏の魅力を初めて知ったのは、米川敏子さんのこのCDにおいてであった。
心からご冥福をお祈りします。

訃報:米川敏子さん92歳=地唄箏曲演奏家・作曲家(『毎日新聞』2005年12月13日 19時26分)

2005年12月13日(火)



 JB来日公演決定

ジェイムズ・ブラウンの来日公演が決定した(『ESCAPE-ISM』掲示板より)。

2月26日(日)札幌:北海道厚生年金会館
開場 17:00 / 開演 18:00
SS席:8,800円・S席:7,800円・A席:6,800円・B席:5,800円
チケットの一般発売:12/25(日)〜
(問): BOSSA 011-271-5410

3月1日(水)大阪厚生年金会館
3月2日(木)名古屋市民会館
3月4日(土)東京国際フォーラム
3月5日(日)東京国際フォーラム
チケット料金、予約開始などは未定。招聘元はJECインターナショナルとのこと。

2005年12月03日(土)



 “最後の瞽女(ごぜ)” 小林ハルさん

マキシマム・ジョイの編集盤『Unlimited(1979-1983)』(10/31発売のドイツ盤)は、全曲に針ノイズが入っている。アナログ盤からのコピーと思われるが、音質は悪くない。
・元ポップ・グループ マキシマム・ジョイのシングル集が発売(『CD Journal.com』10/24付)

1ヶ月近く前に知ったが、Prefuse73関係の映像がここで視聴できる。
Prefuse73ことスコット・ヘレンの新プロジェクト、Piano Overlordのアルバム『The Singles Collection』の国内盤を、発売日の本日(12/1)買うつもりでいたが、12/10に発売延期となった。来年2月には、Prefuse73名義での新作アルバム『Security Screen ings』の発表も控えているらしい(『Hotwire』12/1付より)。

マイルス・デイヴィスの6枚組ボックス・セット『ザ・セラー・ドア・セッションズ1970』(日本盤)は、ソニーのオフィシャル・サイトによると、12/28発売予定
一方、US盤は『HMV Japan』によると、12/27発売予定らしい。『Amazon.co.jp』は、現時点では取り扱いなし(→[追記] 12/7時点、US盤が税込み15,020円で予約受付け中→[12/19追記]税込み8,880円。即注文した)。
『Amazon.co.jp』でも以前は予約を受け付けており、私が注文した時は1万円。だが、「発売中止」との理由で、10/3に注文がキャンセルされてしまった。
どこで何盤を買うか、今のところは決めかねている。

THIS HEATの1stアルバム『ディス・ヒート』も、どこで買うか迷っている(→[12/19追記]ロクス・ソルスでは12/14から予約受付開始&12月下旬先行発送とのこと。先日、ロクス・ソルスのHPで国内盤を予約した)。
ディス・ヒート THIS HEAT のファースト・アルバム『ディス・ヒート』発売決定!詳細告知。05.11.24(『Locus Solus official site』)
一日でも早く1stアルバムを聴くには、ReR海外盤ボックス・セットを予約するのがベストのようだが、やはり歌詞の対訳と、レコード・デビュー直前のロング・インタビューの日本語対訳は読みたい。
ディスクユニオンでは、11/30からTHIS HEATの1stアルバムの予約受付が始まった模様。

コンゴの“人力轟音電気ミニマル・アフロ・グルーヴ”、コノノ・ナンバー1の来日公演は、2006年8月、会場は日比谷野音に決定したらしい(「FBDJ's monologue」2005年11月27日付より)。

ジミ・ヘンドリックスの2枚組DVDスペシャル・エディション『A Film About Jimi Hendrix』(11/25発売の日本盤)のボーナス・ディスクに収録されている「Stone Free」は、1970年7月4日のアトランタ・ポップ・フェスティヴァルにおける演奏で、次曲の「Machine Gun」は、1970年1月1日にニューヨークのフィルモア・イーストで行われた公演の1stショウでのパフォーマンスである。どちらのパフォーマンスも過去の映像作品で見ることができたので、「超レア・パフォーマンス」とは言えない。
ジミ・ヘンドリックスのドキュメンタリー映画『A Film About Jimi Hendrix』の日本初公開は、2000年9月、東京・渋谷シネパレスで行われた。当時どこかで読み、記憶しているが、『A Film About Jimi Hendrix』に出演のリトル・リチャードがスクリーンに登場する度、客席から笑いが起きたという。“気がふれたプリンス”といった見た目のリトル・リチャードは、確かに“笑撃的”ではある。

11月下旬、キング・クリムゾン関係の公式サイト『DGM Live』が開設された。
ダウンロード販売の目玉は、キング・クリムゾンの1974年6月28日、ニュージャージー州アズベリー・パーク公演におけるライヴ音源だろう。なかでも特に注目されるのが、「Asbury Park」と「Easy Money」のカットなしの完全版が聴けること。
このアズベリー・パーク公演を中心に収録している、1975年発表のクリムゾンのライヴ盤『USA』収録の両曲(アズベリー・パーク公演)に比べ、ダウンロード販売の「Asbury Park」は5分弱、「Easy Money」は4分半くらいも演奏時間が長いらしい。
「Asbury Park」は、この時期のクリムゾンの即興演奏曲のなかでも屈指の出来の良さだし、「Easy Money」は、ロバート・フリップのギター・ソロが佳境に入った辺りでフェードアウトしていた。
一刻も早くアズベリー・パーク公演完全版の音源を聴きたいのだが、FLACでダウンロードするのが初めての私は、昨日(11/30)アズベリー・パーク公演の音源をようやく購入し、何とか落としたところ。現時点では未聴である。同じアズベリー・パーク公演での「21st Century Schizoid Man」(『Schizoid Man』5曲め収録)を聴くなどして気を紛らわしているが、数日中には聴きたい。

4/25に逝去された盲目の女旅芸人・瞽女(ごぜ)の小林ハルさん(1900-2005)の追悼展が、11/23〜26に新潟県三条市で開催された。
23日、三条市名誉市民小林ハルさん追悼展が開幕、最後の越後瞽女の偉業をしのぶ(2005.11.23)(『kenoh.com 新潟・県央情報交差点』)

会場では、ビデオ『よみがえれ瞽女唄 最後の瞽女 小林ハルさんの一生』も上映されたという。
小林ハルさんの瞽女唄および小林ハルさんの人生、生き様は、後世に永遠と伝えるべきだと思うし、映像作品も未見ながら同じことが言えるだろう。個人的には、CDやDVDといった媒体での小林ハルさんの作品の発売に期待しているのだが、需要と採算を考えると、資金面での公的な援助がないと難しいかもしれない。

以前紹介しているが、小林ハルさんに関するNHKラジオ第2の番組「最後のごぜ 小林ハルさんを偲ぶ」(約30分)が、8月からネットで公開されている(期間限定)。このラジオ番組のナレーション等を務め、小林ハルさんを長年取材し、CD『最後の瞽女 小林ハル 96歳の絶唱』も制作した川野楠己氏の単行本『最後の瞽女 小林ハル 光を求めた105歳』(小林ハル 語り, 川野楠己 構成, NHK出版)が、12/24に出版予定らしい。

三条市フォトギャラリー(「三条市名誉市民 故小林ハルさん追悼展」他)
“最後の瞽女(ごぜ)” 小林ハルさん死去(『doo-bop days』2005年04月25日)

2005年12月01日(木)
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