doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 書籍『西平ウメとトンコリ』(CD+DVD付き)、3月発売予定

ディス・ヒートの2ndアルバム『Deceit(偽り)』の、ロクス・ソルスから発売される直輸入国内盤は、「4月頃の発売」予定とのこと(『Locus Solus』から1/28深夜届いたメールより)。

フジテレビ系列の番組『NONFIX』「だから、私は歌い継ぐ−アイヌのウポポと八重山の唄−」が、2/5(日)AM 2:55〜3:55に地上波でも再放送される。
アイヌ文化の伝承者で、ウポポ(アイヌ語で歌)とムックリ(アイヌ民族の口琴)の第一人者である故・安東ウメ子さんの生前最後のライヴ映像(トンコリ奏者のOKIのライヴに特別出演)と、ウメ子さんの控え室での姿も僅かながら放映される。見逃した方、必見の番組。

樺太出身のアイヌ民族である西平ウメさん(1901-1977)と、樺太アイヌの弦楽器トンコリの企画展『西平ウメとトンコリ』が、昨年10/29〜今年1/23まで北海道白老の『アイヌ民族博物館』で開催された。この企画展の「展示内容を盛り込んだ」CD+DVD付きの書籍『西平ウメとトンコリ』が、3月に発売される(『アイヌ民族博物館』トップページより)。
これは思いがけない朗報。気になるCDとDVDの収録内容の詳細は、現時点では不明だが、西平ウメさんのトンコリ演奏の音源と映像は、この企画展で一般公開されただけに、恐らく収録されると思われる。発売を楽しみにしている。
→[4/6追記] 3月末に発売された解説書『西平ウメとトンコリ』(1CDプレス盤+1DVD-R付き, 9,800円)を4月初旬に入手。DVD-Rの収録内容は、「トンコリの演奏法(55分)」と「トンコリの製作(24分)」で、西平ウメさんの映像は収録されていなかった。西平ウメさんのトンコリ演奏の映像が、企画展『西平ウメとトンコリ』において「一般公開された」と書いたが、もしかしたら間違いかもしれない。
ちなみに、解説書『西平ウメとトンコリ』P.91によると、1964年にNHKが記録映画『北方民族の楽器』の製作に際し、西平ウメさんの演奏を収録したとのことなので、西平ウメさんの映像がNHKに存在する可能性がある。

故・安東ウメ子さんのDVD(北海道幕別町教育委員会制作)が、予定では今年1月に完成となる(十勝メールドットコム[幕別町めーる]2005年2月26日付より)。
けれども、完成したのかor制作は長引いているのか、一般発売は本当にされるのか等、現時点では確かな最新情報がなく、不明な点ばかり。1月中に幕別町教育委員会に問い合わせるつもりでいたが、今のところはしていない。

サンプリングCD-ROM『スピリッツ・フロム・アイヌ』収録の安東ウメ子さんのウポポがサンプリングされ、「古の息吹」という曲が作られた。1/7発売の「第29回・世界自然遺産」登録記念DVD『知床 − 音楽紀行』『DISCOVERY CREATIVE』)の3曲目に収録されているそうで、「古の息吹」は作曲: ティーイベ, 唄: 安東ウメ子, チェロ演奏: 土田英順とのこと。
ネットで視聴した限りでは、「ヘルトゥン ルトゥン(TONOTO AKAR)」と「ペカンベ ウク」というウポポ2曲が、『スピリッツ・フロム・アイヌ』から使われている。
・『スピリッツ・フロム・アイヌ』の録音記事: 十勝メールドットコム[幕別町めーる]2004年1月12日付

CD付きの書籍『口琴のひびく世界』(直川礼緒 著, 日本口琴協会)が、1/20に発売された。数日前に付属のCD目当てで購入。まだパラパラめくった程度で読んでないが、世界の様々な地域・民族の口琴や演奏風景などの写真が多く、ページを繰るだけでも興味が湧いてくる。最終章には、国立歴史民俗博物館名誉教授の小島美子さんと著者・直川礼緒氏の対談を収録。付属のCDでは、バリ、サハ、キルギス、トゥヴァ、アルタイ、ノルウェー、ドイツ、スイス、ニュージーランドなどの世界各地域・民族の口琴が、約67分・27トラック聴ける。
『口琴のひびく世界』は、CD付き・全192ページで税込み3,150円。ムックリの名手として知られる、アイヌ民族の弟子(てし)シギ子さんのムックリ演奏(「世界の川に捧げる」, 1998年6月19日録音)も収録されている。
弟子シギ子さんのムックリ演奏の動画(約30秒, 『朝日マリオン・コム』の「民族楽器の旅」)

2006年01月30日(月)



 「エレキの神様 学校へ行く! ギタリスト 寺内タケシ」

ジミ・ヘンドリックスのオフィシャル・ブートCD『Live At The Isle Of Fehmarn』(Dagger Records)が2005年12月に発売されたが、本作はピッチが高い(速い)。Dagger Recordsでは、ピッチの問題はプレス・ミスとの理由から、CDの交換を受け付けているらしい(『PAGE FULL OF JIMI』 - 「Guest Book」2006年1月9日付より)。『Live At The Isle Of Fehmarn』は、私の所には12月下旬に届いている。やはりピッチが高い(速い)ものの、交換依頼はまだしていない。
本作は基本的にはネット通販のみだが、店頭販売で購入することになった際は、ピッチの狂っているプレス・ミス盤を掴まされないよう注意が必要である。

「才能――そんな言葉は大人の負け言葉だと信じてやってきた61年だったよ。まさかこんなにやってくるとは思わなかった。でもたった一つ、半世紀以上、61年かけて、泣いて笑って命を懸けてわかったことがある。一言だ。『ギターは弾かなきゃ音が出ない』、たったこれだけわかった。いいかみんな、この世の中、なんのかんのと能書きだらけだろ。能書きガタガタ、能書き言ったところで何も出来やしない。今から長い人生待ってるぞ。もし迷った時は、この言葉を思い出せ。『ギターは弾かなきゃ音が出ない』。そしてな、思い出深い良い人生送るんだ。また会おう、押忍!」

2005年12月13日に神奈川県大和市のある中学校で行われた、寺内タケシとブルージーンズのスクールコンサート。上に記した寺内タケシのMCに続き、約2時間のスクールコンサートの最後は、寺内タケシの代表曲の一つで、津軽民謡を寺内流エレキ版にアレンジした「津軽じょんがら節」で締めくくられた。
「感動しました」「凄かった」「ノリが良かった」「おじさんって感じがしない」「すげぇカッコよかった」
画面に映るどの生徒も興奮気味で、素直に感動している様子がダイレクトに伝わってくる。

録画しておいたビデオを先日見た。番組は、1/20(金)AM8:35〜9:25放映のNHK総合テレビの『生活ほっとモーニング』「エレキの神様 学校へ行く! ギタリスト 寺内タケシ」と題し、寺内タケシが50分間生出演した。

1965年、栃木県足利市教育委員会がエレキ禁止令を出したのを発端に、「エレキギターは不良の温床」として、全国規模でエレキ弾圧・追放運動が起きたという。番組での寺内タケシの発言によると、エレキのライヴに行ったら停学、エレキをやったら退学らしい。そんな全国のエレキ少年たちからの窮状を綴った手紙や声、エレキ禁止令への反発から寺内タケシが始めたのがスクールコンサートである。

もっとも、当初は学校関係者の無理解に苦労したそうで、スクールコンサートの実現に向け、寺内タケシは3年間で100校回ったものの、どこも門前払い。話だけ聞いてくれた学校でさえ、たった3校のみという。落ち込んだ寺内タケシが「恥を忍んで」訪れたのは、故郷の茨城県土浦の母校だった。
「噂には聞いていた。泣くんじゃない。うちの学校でやれ。正式に『芸術鑑賞会』として取り上げる。命を懸けてもお前を守る」
母校の校長(柔道八段)の理解と協力により、エレキ禁止令から3年後の1968年、寺内タケシは母校の茨城県立土浦第三高校でのコンサートを実現した(寺内タケシの第1回スクールコンサートは、公式には1974年らしい?)。
寺内タケシによると、年間180回行うコンサートのうち、40回がスクールコンサートとのこと。1回につき百万円もの赤字を背負うことになるスクールコンサートを、寺内タケシは今までに約1,300校で行い、2004年12月には、音楽を通じた青少年教育に貢献したとして、文化庁長官表彰を受けている。

番組の後半は、寺内タケシのエレキ人生 / エレキひと筋60年。有名なエピソードもいくつかあるが、後半の主な内容を箇条書きで記しておこう。
・初めて手にしたギターは5歳の頃で、出征した兄が所有するスペイン製のクラシック・ギターだった。
・小唄と三味線の家元である母が弾く三味線の音の大きさに対抗するため、電話のコイルを利用してエレキギターの原型を作った。
・戦時中、防空団長だった寺内タケシの父(市会議員・市会議長、実業家、電気店も経営)は、空襲警報のサイレンを鳴らす担当だった。ある夜、寺内タケシは自作のエレキギターが鳴るよう、空襲警報用の16本のラウドスピーカーにつなぎ、爆音を轟かせた結果、市中の人々は空襲警報と勘違いして防空壕に避難。翌日、父は特高警察に連れて行かれた。
・映画作家の大林宣彦とギタリストの渡辺香津美からのコメント(VTR出演)
・競演した二人について − 元ヴェンチャーズのノーキー・エドワーズおよび故チェット・アトキンス(指の大きさがバナナくらいあった: 寺内タケシ談)
・番組の最後は、男性司会者のリクエストに応えて「禁じられた遊び」のエレキギター独奏による生演奏。これが絶品だった。寺内タケシはリクエスト曲を事前に知らされていなかった(?)ようで、久しぶりとなるこの曲の演奏に「緊張した」らしい。

「エレキの神様 学校へ行く! ギタリスト 寺内タケシ」は、とても充実した内容の番組で、一度きりの放映ではもったいない。エレキギターを弾く度&いくら練習しても、「エレキギターの入り口が遠くなる」「いつまで経ってもエレキギターの入り口に辿り着けない」との寺内タケシの発言も印象的だった。

寺内タケシ(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
寺内タケシとブルージーンズ ハイスクールコンサートの御案内(『TERRY TERAUCHI OFFICIAL HOMEPAGE』)
第53回 音遊人 2005年4月8日放送 ギタリスト 寺内タケシ(テレビ東京『音遊人』)

2006年01月23日(月)



 『日向の琵琶盲僧 永田法順』

1/11に到着した『日向の琵琶盲僧 永田法順』琵琶盲僧に関する調べものをネットでしていたら、とんでもない作品を見つけてしまった。6枚組CD+DVD1枚+写真集から成る全集『日向の琵琶盲僧 永田法順』(12,000円, 発行: 琵琶盲僧・永田法順を記録する会)がそれ。2005年10月1日に発売されていたとは、不覚にも知らなかった。

琵琶盲僧・永田法順さんの全集完成(『宮崎日日新聞』2005年10月03日付)

全集『日向の琵琶盲僧 永田法順』の内容は、
CD6枚: 「祈祷」と「釈文(しゃくもん)」(琵琶の弾き語り/11曲)の全記録(計5時間36分31秒, 詞章と解説書付き)
DVD1枚: 日常の活動を映像で記録(約45分, ナレーション: 加賀美幸子)
写真集: 日向路を永田法順師に同行撮影 / A4判変形・本文44ページ
で構成されている。そのうち、6CDに関しては、「日向の琵琶盲僧 永田法順の世界」というタイトルである。

編者は、元NHKチーフ・ディレクターで、“最後の瞽女(ごぜ)”小林ハルさん(1900−2005年)のCDを自費制作している川野楠己(企画・制作)、国立歴史民俗博物館名誉教授の小島美子(総監修)、武蔵野音楽大学教授の薦田治子(解説・詞章起こし)、大阪芸術大学教授の中山一郎(音・映像収録と編集)の4人。
全集『日向の琵琶盲僧 永田法順』の詳細→右上の[進む]をクリック→永田法順プロフィール→左上のボタンをクリック→釈文(しゃくもん)の試聴(約33秒)

文化庁は12/21、平成17年度 第60回記念 文化庁『芸術祭』の受賞者を発表。「レコード部門」では、本作『日向の琵琶盲僧 永田法順』のうちの6CD「日向の琵琶盲僧 永田法順の世界」が、「芸術祭大賞」を受賞している。
琵琶盲僧永田さんの記録CDに大賞 芸術祭レコード部門(『宮崎日日新聞』2005年12月22日)

『日向の琵琶盲僧 永田法順』(6CD+1DVD+写真集)『日向の琵琶盲僧 永田法順』の注文先はいくつかあるようだが、私は『邦楽ジャーナル』のHPで注文した(→5日後の1/11到着)。
ちなみに、永田法順師の他のCDは、元NHKチーフ・ディレクターの川野楠己制作による『今を生きる琵琶盲僧の世界』(1997年, 廃盤or品切れ)、高木清玄/永田法順師の『釈文 / 琵琶盲僧の世界』がある。後者は、今でも大手レコード店で見かけることがある(追記→2006年現在、「生産中止」)。

[参考] カリフォルニア大学文化人類学教授のRobert Garfias氏による民族音楽のHP『ETHNOMUSICOLOGY − Robert Garfias Anthropology UCI』では、「Japan - Listening」のページの「Warring States」において、「Moso Biwa(盲僧琵琶)」が試聴(約3分25秒)できる。

【追記−盲僧琵琶の動画2件】
永田法順師による盲僧琵琶の弾き語りの動画が1分間ながら見られる『文化デジタルライブラリー』【「舞台芸術教材1」→「日本の伝統音楽 楽器編」→「楽器図鑑」→「盲僧琵琶」(一番右上)→永田法順師の画像をクリック】
荒神琵琶の動画(39秒)「盲僧琵琶、筑前盲僧 − 琵琶の演奏を伴う荒神経の詠唱」(『アジア太平洋 無形文化遺産データベース(ICH)』

2006年01月06日(金)
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