TOM's Diary
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2011年03月16日(水) 続き-(4)

福島第一原発に3年ちょっと前に見学に行った。
会社とは関係なく、連合の関係でまったくの素人面して見学してきた。
ただ、9・11の関係で実物の原子炉は見られなかったが、中央制御室の訓練施設や訓練用の炉心の模型などを見ることが出来た。

また、原発自体は、ほんとに海に面していた。
今にしてみれば、まわりは丘に囲まれ津波が来たらやばそうだったが、見学時はそれなりに対策されているだろうし、防波堤もしっかりしている感じに見えた。

ちなみに、原発内で使用する電力はどうなっているのか?
実は東北電力から買っているそうだ。入り口付近に見えた送電線は東北電力から電力を買うための送電線とのこと。
もちろん最悪の場合に備えて自家発電もあるが、基本的に東北電力の管轄にある事業所。東電だろうが、東北電力から買うのが筋だろう。
しかも外部から電力を購入する方が安全でもあるだろう。

現在の原発内の作業の様子がわかる記事が配信されていた。

■被曝の恐怖、余震…真っ暗な建屋で決死の作業
(読売新聞 - 03月15日 20:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1536373&media_id=20


停電でまっくら。動きづらい防護服を着て、狭い建屋の中を、様々な恐怖と戦いながらの作業には敬意を払いたい。

さて、そもそもこんなことになった原因はなんなのだろうか?

よく似ている原発事故にスリーマイル島の原発事故がある。
記者会見でチェルノブイリを引き合いに出しながら質問している記者が居るが、その程度の勉強もしないでよく質問が出来るものだ。ほんとにバカみたい。

チェルノブイリは核反応が止められなくなったために起きた事故だが、福島は核反応が安全に止まったあとの余熱の処理が出来なくなった事故であり、全く別のものである。
私がよく似たと言ったスリーマイル島の事故も営業運転中に事故が起こり始めたが、原子炉がスクラム(緊急自動停止)し、その後の冷却がうまくいかなかった(冷却剤喪失事故)と言う点では福島に似ている。

スリーマイル島の事故と比べて、話が厄介なのは炉心を冷却するための設備が津波で流されてしまったことだ。

スリーマイル島では冷却するための設備は流されてなどいない。すなわち人為的な要因がある。
しかし、福島では中央制御室ですべての計器の状態は監視出来なくなっているし、ポンプを動かすための電力も重油も失い、状況の把握から、実際の作業まで、すべては人の手でなんとかしなければならない状況となっている。
しかも狭くて暗い作業環境のなかで、凄まじい恐怖と戦いながらの作業である。

みなさん。政府や東電さんに文句を言うのは簡単です。
でも、なにも知らないのに政府や東電さんに文句だけ言っているの他の人が聞くと、とても気分が悪いものです。
責任追及や説明のまずさを指摘するのは、せめて現場で発生している事象が落ち着くまでまって上げて欲しいです。

いずれ、ほんとのこと、全体像が判ってきたときには、彼がどんなにがんばっていたかがはっきりわかるでしょう。
それまでに何年かかるか、何十年かかるか判りませんが。
(ちなみに、スリーマイル島の原子炉が割れていたことが判るまでには10年かかったそうです)


2011年03月15日(火) 続き-(3)

なぜヨウ素を飲むのか?

ヨウ素は体の中に蓄積されやすい物質です。甲状腺に蓄積され甲状腺ホルモンの分泌に使われるんだったかな?
また、ヨウ素の同位体(重さが違うだけで、ヨウ素とほぼ同じ物質)は放射能を持つ放射性同位体です。
これが体内に蓄積されると体内被曝してしまいます。
そこで、放射性同位体でない(放射能を持たない)ヨウ素を飲むことで体内被曝を防止します。

予防的に服用するならばヨウ化カリウムとして摂取します。
医者の処方が必要ですし、ヨウ素剤として売られている消毒液とは成分が違います。
最悪、アナフィラキシーショックとかの副作用で死亡するかもしれません。



放射性物質は洗い流せると聴いたけど、身体に付いた時点で被爆しちゃうんじゃないの?

一般に言われている放射線はα線、β線、γ線の3種類があります。
懐中電灯のたとえで言うと、光の色(波長)の違いのようなものです。
イメージとしては赤外線(赤外線ランプ)、可視光(蛍光灯や電球)、紫外線(UV灯)みたいなもの。

α線はヘリウムの原子核、β線が電子、γ線が電磁波。
α線は紙一枚で防げます。
β線は厚さ数mmのアルミの板で防げます。
γ線は鉛や分厚いコンクリートでようやく防げます。

つまりこれらを放出する放射性物質が衣服についた場合、
防げるのはα線だけです。
ただし、微量であれば、β線もγ線も身体への影響は軽微です。

しかし、α線を出す放射性物質を体内に取り込んでしまうと厄介です。
したがってとりあえずは体内に取り込まないことに注意しましょう。

洗い流す。
マスクを着用。
衣服は室内に持ち込まない。
など。

なお、過敏になる必要はありません。
政府が指定した地域でなければ、基本は大丈夫だと思ってください。
モニタリングポストはあちこちにありますので問題があればすぐに自治体から連絡があるはずです。


2011年03月14日(月) 続き-(2)

では、放射性物質とはなにか?

放射性物質とは放射能を持つ物質のことである。
ウランやプルトニウムと言った放射性元素は当然放射性物質だ。
そのほか外部から放射線を受けることによって生成された放射性同位体などもある。

放射性同位体は比較的身近にある。
たとえば年代測定に使われる炭素14は普通の炭素12の同位体(判りやすく書くと重さが違うだけの同じ物質)である。
宇宙からやってくる中性子線と空気中の窒素原子が反応して炭素14が出来上がる。
炭素14は半減期が判っているので、古墳などから出土したものの炭素14の量を測定すると時代がわかる。

放射性物質のなにが危険なのか?

自然界においては、危険はあまりない。
ウラン鉱床などに行かなくても、普通に放射線には被爆している。
さらに宇宙からも中性子線などは飛んできており、また食物などにも含まれておりこれらの体内被爆も含めると、年間で2.4ミリシーベルトくらいはみんな被爆している。
ブラジルのどこだかに1年居れば10ミリシーベルトは被爆するし、CTスキャンを一回受ければ7ミリシーベルトである。

(1シーベルトは、1000ミリシーベルト、1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルト。)


放射性物質が一箇所に固まって存在すると、核反応が一気に起こり数百ミリシーベルト、あるいは数千ミリシーベルトと言った放射線が放出されることがある。
このようなことは様々な条件(量、濃度、形状、周囲の状況など)整わないと発生しないのだが、地球上で自然界で発生したこともある。(オクロの天然原子炉)

原子力発電所は人間の手によりコントロールされた状態で核分裂反応が連鎖を引き起こさないレベルに制御されているのが通常の状態である。
これが人間の手で制御できなくなることを事故と言い、中でも勝手に核分裂反応が進む状態にまでなると臨界に達した、あるいは臨界事故と呼ぶ。

なお、臨界に達したからと言ってすぐさま核爆発にはならない。
核爆発にまで発展させるには相当の技術が必要であり、北朝鮮でも核実験は行われているが、故意に核爆発を起こそうとしているのにも関わらず、成功したという話はない。
それだけ核爆発は起こりにくいのである。

現在福島第一原発では、燃料棒の間に制御棒と言うものが差し込まれており、このまま暴走が続いても臨界に達するまでには、炉心の構造的な崩壊などが無い限り臨界には達しないはず。

炉心の構造的な崩壊と言うと炉心溶融と言う現象もその一つであろう。
冷却が十分に出来ずに燃料が溶け出すことである。
テレビを見ていたら、溶けた燃料が炉心の底に貯まって臨界に達するとか・・・
確かにスリーマイル島事故では溶けた燃料が底に貯まったけど、臨界には達していない。

核反応の連鎖反応は、次のようにして起こります。

1)ウラン235で核分裂が発生する。
2)熱と高速中性子が放出される。
3)周囲の減速材で高速中性子が減速され熱中性子に変わる。
 (福島第一原発では水が減速材を兼ねている)
4)熱中性子が他のウラン235に吸収される。
5)熱中性子を吸収したウラン235で核分裂が発生する。

もし、水が抜けると高速中性子が減速されずにウラン235に吸収されない。
そのため、連鎖反応は起きない。

また、制御棒が挿入されていれば、高速中性子が遮蔽されるため、次のウラン235に届かない。
そのため、連鎖反応は抑制される。

さらに、燃料棒の内部で核分裂が起きても発生した高速中性子は、すぐそばにあるウラン235に吸収されないで出て行ってしまう。
よって、連鎖反応は起きない。

炉心の底に貯まった溶けた燃料棒の内部では、どんなにたくさん貯まっていても燃料棒内部の反応と同じで連鎖反応は起きない。つまり臨界に達することはないのである。

まぁ、これらは理論上の話であって、保障はしないけど。

現実にスリーマイル島の事故の調査結果とかを見ても、冷却材喪失事故と書いてはあるが、臨界事故とは書かれていない。


なお、この先は私の推測で申し訳ないが、
空焚きで炉心溶融した高熱の炉心に水(海水でも良い)を注入すると水蒸気爆発を起こしかねない。それでも注水は続けられている。炉心溶融は起きていないのか?
水蒸気爆発の勢いはすごい。炉心を吹きとばし、スリーマイル島どころか一気にチェルノブイリなみの事故になってしまう。

原子炉建屋の屋根が吹き飛ぶ爆発を起こしているということは、燃料棒の被覆管のジルコニウムが反応して水素が出ているのは間違いないだろう。だが、冷却水は上から無くなっていく。上部だけが溶融し、下部については、一時的な空焚き状態になってしまったとしても、十分に低温状態のままなのであろう。だから注水が続けられているのだと思う。
上部の熱は熱伝導によって、下部に伝わり、冷却水で冷やされる。
満タンにしちゃうと高熱になった燃料棒に触れて水蒸気爆発を起こしてしまう。
原発の技術者たちは絶妙な制御を行っているんだと思う。


2011年03月13日(日) 正しい知識を持って、冷静に、そして正しい行動を

原発事故が進行中だからこそ、原発とはなにかを再考する。
(正しい知識を持って、冷静に、そして正しい行動を)

私の会社では放射線測定装置も製造販売している。
それなのに、私は福島原発のニュースを見て、少しビビッている。
怖さを知っているからと言うのもあるが、私は放射線測定装置の部門にはおらず実務経験が乏しいからともいえる。少し頭を整理しなおしてみようと思う。

私はチェルノブイリの事故の翌年、大学の物理化学の先生からチェルノブイリ事故についての考察をまとめよと指示があった。このレポートは評価の20%に配分する(すなわちテストで80点でも、成績は100点相当のSをつけると言うこと)とのこと。毎年テスト以外に、このようなレポートが果たされるらしいのだが、テーマが大きいので配分は大きくするかもと言う。
私はこの手のレポートは得意で、ほかにもC言語でプログラミング課題をこなせば後期試験に最大40点加算すると言うレポートでクラスで唯一の40点もらったこともある。
(でも、今はソフトなんて組めないけど)

チェルノブイリの考察についても、自慢じゃないが「一番判りやすく、ポイントがおさえられている」と言うことでほぼ満点の評価だった。

さて、自慢話はこのくらいにして、大学の先生の評価以上にわかりやすく書けるかどうか・・・
本題にはいる。

原発事故でもっとも話題に上るのは放射能漏れだろう。
報道を見ていると放射能と言ったり、放射線といったり放射性物質と言ったり・・・

ちょうど今、計画停電で懐中電灯や電池が売り切れ続出で売れまくっている。
計画停電って言ってもほとんどが昼間なのだから過剰反応な気もするが、
この懐中電灯を例えると判りやすいかも。

光を発することが出来る能力を持つものを照明とか懐中電灯と言う。
放射性物質とは、懐中電灯だと思うと判りやすい。

懐中電灯の明るさ(強さ、強度)はカンデラ(cd)と言う単位で測定できる。
これに相当するのが放射能だと思うとよい。ベクレルと言うのが、測定単位である。

電池が減ると光の強度は落ちる。
放射性物質には半減期と言うのがある。
電池が減って明るさが半分になるまでの時間だと思えば良いだろう。

また、光の当り具合はルクス(lx)と言う単位で測定できる。
放射線が人体に与える影響度がシーベルト(Sv)である。
光がたくさんあたればすごくまぶしく感じるなど影響も大きい。
放射線も同じで、たくさん当たれば影響が大きい。

ちなみに懐中電灯はスイッチを切れば光はでなくなるが、放射性物質にはスイッチがない。
つまり、電池が無くなるまで光り続けてしまうことが問題だ。
人にはオンオフをコントロールできないのだ。
だから、近寄らないにこしたことはないのだが、原発から漏洩してしまうと、そうも言っていられない。

そこで、みんなの疑問、洗い流せば済むのか?
済みます。

放射能を持った放射性物質は、普通に洗い流せる。

暗闇で消せない懐中電灯を持って、逃げればすぐに敵に見つかります。
(放射線が検出される・・・人体が影響を受けかねない)
懐中電灯を捨てれば、敵に見つからなくなる。
(放射線が検出されなくなる。つまり、人体になにも新たな影響がなくなる)

よほど大量な量の放射性物質を浴びれば、リンパ球の減少などの急性症状が見られてくるが、そんなにたくさんの放射線を受けるには放射性物質も大量に無ければならない。
一般には原発の中でさえそんなに大量の放射性物質を浴びることはない。
原発事故が起きたとしても、炉心が破壊でもしなければ、そこまで大量の放射性物質はそう簡単には出てこない。

つまり、全身、懐中電灯だらけになれば、光もたくさん浴びてしまうが、普通の懐中電灯は原発の頑丈な容器の中に入っているので全身懐中電灯だらけにはならないと言うこと。

(続く)


2011年03月12日(土) M8.8青梅は

震度4とは思えない揺れ方。体感的には昔経験した震度4より遙かに大きい揺れ方に思えた。
ひさしぶりに、ちょっと怖ぇ〜と思った。
まぁ、でも、全然問題なし。

帰宅してもなにも壊れておらず、なにもかもがいつも通り。
ほんの20kmほど先ではビルの一部が倒壊したというのに。

で、電車は止まっていたけどクルマ通勤なので、ちょっとだけ渋滞を我慢して普通に帰宅。
帰宅困難者になった同僚と飲みに行って、夜になっても電車普及せず、同僚を自宅に泊めることにして帰宅。
テレビをつけたら、予想以上のすごい光景が。
こんなすごいことになっていたんだと思って少し反省。


それにしても、被災されたみなさんお大事に。
そして帰宅困難になったみなさんお疲れ様です。
余震に気をつけましょう。


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