へる(ぷ)の日記
へる(ぷ)



 未完「ポインセチア」





「元気?」と聞かれ 「まぁまぁ」と答え

「何してるの?」と聞かれ 「色々」と答える

キミがつまらなそうに沈黙を垂れ流してる時

ボクの目にとまった ポインセチア

たいして 花がすきでもないボクに

たいして 愛されてないキミがくれたポインセチア

タバコの煙に塗れ

気まずい沈黙を聞き

ダメなボクを見つめ

何時の間にか枯れていたポインセチア



「もうだめ?」と聞かれ 「そうかも」と答え

「何で?」と聞かれ 「わかんない」と答える

キミが錯乱して泣き叫んでる時

ボクの目にとまった ポインセチア

美しかったあの色は

ボクではなく 他人の愛情で育った赤い色

美しいキミに

水もやれず

肥料もやれず

優しさもやれず

枯らせてしまったポインセチア

美しかったあのころを

もう一度見つめてみたいのに

もう二度と咲くことのないポインセチア



泣きながら出て行ったキミと

静かに枯れたポインセチア



少し広くなった部屋の中

一人で土をいじくるボク

新しいポインセチアを植えながら

春の訪れに期待しつつ

冬に名残を感じつつ

一人で土をいじくるボク



待ち遠しい春は遠く先に

名残惜しい冬は遠く昔に



まだまっさらな土だけの鉢植えを見つめ

混濁したボクの心の蟠りを見つめ



気づけば四六時中 ポインセチアのことを考えていた

気づけば四六時中 ポインセチアのことを思い出していた




今更ながら

愛するボクを

後悔するボクを

ポインセチアだけは知っている

ポインセチアだけが知っている








…次は 枯れないように 枯らさないように…












2002年02月20日(水)



 未刊「夜」









微妙なまでに流れ出す時を

躊躇の砂で堰き止めれば

迷いの小山が堆くなり

流れる時は道草を食う

時に触れば

硬質ガラスの感度

滑らかな肌の感度



感じるものは全てが夢か幻か妄想か



砂は小山を作るのに狂奔する

時は回り道をして迷子となる

ボクはそんな夜を果てしなく愛している

狂騒する

この街の夜を

愛している








2002年02月14日(木)



 心・弱・者










ボクには誰も 卑下できない

例え相手が あの キチガイであろうとも

例え相手が あの 肌の色の奴であろうとも

例え相手が あの 態度の悪いレジ打ちであろうとも

例え相手が あの 二股の末にボクを捨てたキミであろうとも








ボクには誰も 卑下できない














2002年02月13日(水)



 昼に書く月の事










理解しがたい 不条理な夜こそ

キミは狂喜するほどに美しい

あぁ

キミがとても愛しい

あぁ

キミのために楽死したい

その頬に口付けを

その横顔に愛撫を

その冷たさに被虐を

心底駆り立てられる

吐く息が白いこの夜道に

ボクは 独り 佇み

物言わぬキミを 

掛け替えのない話し相手の如く

慰みの対象とする




許しておくれ




こんな 心弱気ボクを

孤独なボクを

語る術に事欠く






こんな ボクを








許しておくれ…












2002年02月10日(日)



 初恋



 吸いなれたタバコが

           不味いと思った

                        夜

       結構

                           味気ない煙に

      軽い         
          
                 塩味

        小説家はソレを

                      「涙」と呼び

  詩人はソレを     
    
             「初恋」とよび

    モノも書けず

                   歌も歌えないキミは

   ソレをただ「悲しいことね」と語り尽くす

                   ボクは軽い衝動と

         重苦しい後悔を抱えながら

舞い落ちる雪に

         あるはずのない キミの面影を探し

                      塩の染みたフィルターを捨て

 窓を閉めて

             静寂を飲みながら

       ほの暗い床の中に            

                  居る筈のないキミの面影を探し

    キミが出て行ったの夢の中で

               独り蹲る


幸せかな

幸せかな

        かなわぬ恋の思い出があるボクは
    
                               幸せかな

                               幸せかな









2002年02月08日(金)



 女神よ






手をふるよ

名前呼ぶよ

だから

ボクに気づいて

ボクを見つけて

綺麗とはいえないこの街に

上手く騙され取り込まれたボクだけを

探して 見つけて 救いの手 差し伸べて

無関心装うのそろそろやめて

ボクに優しく微笑んで

崩れそうな 脆い砂つぶのボクを 

白い諸手で掬い上げて

優しく 優しく 慰めて

風の前の塵になる前に

ボクを ボクを ボクを

限界寸前なボクを

優しくなれないボクを

暖かく 温かく あたたかく

愛するように 抱きしめて

見守られるだけの 愛では もう満足できないよ

あぁ 我が儘になるボクを 見捨てたりしないで




手をふるよ

名前呼ぶよ

だから

だから お願い

ボクだけを 愛して

ボクだけを 愛して

優しく やさしく ボクだけを 愛して











2002年02月03日(日)
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