せきねしんいちの観劇&稽古日記
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仕事場の近くの神社は、昨日酉の市だった。 お参りして熊手を買うわけでもないのだけれど、毎年、露天を一通り冷やかしてみる。 昨日までの酉の市のにぎわいが嘘のような神社の前の美容室。 おなじみの猫が昼寝している。いい天気だものね。 この間まで、首輪の名前が「み」しか読めなかったのが、新しくなって「みぃちゃん」という名前だということが判明。 さわってもいやがらない、おとなしい猫。 ひとなでして、写真を一枚。 実家の猫は、急性の尿毒症で入院していたのだけれど、おしっこが自力で出るようになり、退院が決まったそう。ほっと一安心。 ベランダにやってくる猫たちは、この頃太ってまるまるとしてきた。冬支度か。 今日はうまく撮影できなかったので、また今度。
2009年11月21日(土) |
学習発表会と演劇が根付くということ |
11月21日(土) 富士見丘小学校の学習発表会。 インフルエンザによる学級閉鎖で、昨日の生徒向けの発表は延期、今日の保護者向けの発表が初日ということになったそう。 朝9時からの開演に間に合うよう家を出る。 会場の体育館で、前校長先生の宮先生、篠原さん、相馬くんと一緒になる。 寒いので暖かくしてきて下さいと言われていて、それなりに準備をしていたのだけれど、やっぱり冷えるなあと。それでも、午前中いっぱい、12時半まで1年から6年までの発表をとても楽しく拝見した。 以下、プログラム順に・・・ 三年生「すごいぞ、大豆パワー」。授業で学んだ大豆についての発表。近くの中野さんの畑で枝豆ともやしが決闘するという場面がおかしい。芝居じたてになっているのだけれど、みんな生き生きと元気にしゃべっていて、感動した。 四年生「環境 過去から未来へ私たちが守るべきもの」。「3つのR」リデュース・リユース・リサイクルについての発表。各自がつくったエコバッグや、みんなが気をつけて、どれだけ二酸化炭素の排出を減らせたかという、とても具体的な取り組みと研究。玉川上水ができるまでは、時代劇になっていた。すばらしい。 一年生「むかしばなしのせかいへ うらしまたろう」。ご存じ浦島太郎のお話。海の魚たちがコロスになって、歌で物語をすすめていく構成。魚のかぶりものや、衣装に工夫がいっぱい。乙姫さまは登場しないかわりに、玉手箱のやりとりが秀逸だった。魚たち「この玉手箱をあげましょう。でも、決して開けてはいけません」、浦島「何がはいってるんですか?」、魚たち「開ければわかります」。なんだ、このシュールなやりとりは? そして陸へ戻った浦島さんは、百年経っていることにびっくりして、原作(?)ではたしか、自分で玉手箱を開けておじいさんになったと思うのだけれど、今回は、村人が勝手に(!)開けてしまい、おじいさんになってしまうというもの。ここもまた、なんというか不条理感いっぱいで、終演後、篠原さん、相馬くんと「昔話って不条理だよねえ」「別役さんの本みたい」と言い合った。 二年生「音楽劇 スーホの白い馬」。モンゴルの楽器、馬頭琴の由来を物語るお話。絵本で何度も読んでいる哀しい物語。白い馬と少年スーホの友情に涙する。スーホ役、馬役、それぞれ何人かでリレーしていくスタイルなのだけれど、場面場面に演じている彼ら彼女たちの工夫が輝いていた。羊の群れを襲う狼役は一人で、たっぷりと舞台一杯をつかっての演技。かっこよかった。映像を多用しながら、最後にみんなで歌うときは、馬頭琴の映像を、舞台横の壁に、プロジェクターを先生が手でもって映写。これもまたライブなあじわいでよかった。 五年生「音楽とともに世界旅行へ出かけよう」。気球に乗って世界へ行き、その国々の歌を歌っていくという構成。棒の先にボールをつけたものとパネルで気球を表して、どんどん世界をめぐっていく軽やかさがいい。とても演劇的。最初の気球が空に上がっていく場面は、下手のギャラリーを使っていた。 6年生「将来へのプロローグ」。総合の時間にいろいろな職業の方に来ていただいてうかがったお話を元に、それを再現するという構造。 将来何になりたい?というやりとりから、じゃあ○○さんに話を聞いてみようよという構成は毎回同じで、いろいろな人に会いに行く。この会いに行った大人達を演じるというのが、おもしろい。ただ、話を聞くだけでなく、その人になってみると、また違ったことに気がつくのではないだろうか。台本も子供たちが相談して構成したそうだ。内科医、セパタクローの選手、ファイナンシャルプランナー、料理研究家などなど、デフォルメするというのではないけれど、6年生が演じる大人ということで、十分おもしろみが生まれている。 直前に一組、二組がそれぞれ順番に学級閉鎖になってしまい、十分な練習ができなかったそう。たしかに、セリフをしゃべっているのが自信なさそうだったり、誰にしゃべっているのかわからないまま、ただ覚えたセリフを言っているようなところもあった。でも、とてもおもしろい発表になっていると思う。今度の在校生向けの発表に向けて、もっともっとがんばってほしい。 今日も給食をごちそうになりながら、今後のうちあわせなどをする。 どの学年の発表も、いろんなところに「演劇」が顔を出しているのが、おもしろかった。こうやって伝統は根付いていくのだなあと思った。 篠原さんから、雑誌「演劇と教育」をいただく。去年の富士見丘小学校の「お芝居をつくろう」と題材に、篠原さんが「子どもたちと一緒に脚本を作る」という連載をしている。帰りの電車で早速読ませてもらった。上演台本も掲載されていて、とてもなつかしい。去年の今頃、子供たちと一緒にだいほんづくりをしていたことがとてもていねいに書いてある。また、平田オリザさんの全国演劇教育研究集会での講演「なぜ演劇教育なのか?」もとてもおもしろく読んだ。 今年度の卒業公演の授業も来月からスタートだ。ここしばらく続いた、客演、客演出と、何が違うのか、何が同じなのか、いろいろ考える。ともあれ、気持ちがぐっと引き締まった。いい一日だった。
2009年11月20日(金) |
ハイリンド「華々しき一族」「お婿さんの学校」 |
11月20日(金) ハイリンド「華々しき一族」「お婿さんの学校」 劇読みで一緒だった(といってもチームは別。打ち上げでほとんど初めて楽しくもりあがった)枝元萌さん、それに「短編連続上演」「夢はおもちゃ箱につめこんで」の小泉真希さんが出演。 ミクシィの「目劇者」コミュで案内をもらって、多根周作さんにチケットをお願いした。感謝。 もっちゃんと二人で、赤坂レッドシアターへ。 森本薫の「華々しき一族」。枝元さんが演じる「諏訪」は、杉村春子さんの持ち役。 軽やかなハイコメディが、心理劇のような感触の重厚な舞台になってて、新鮮。 思いよりも先に言葉が先行してしまう人物達が織りなす軽やかなコメディというのが、この作品の本来の味じゃないかと思うのだけれど、演出の中野成樹さんは、言葉がより先行していく軽々しさよりも、思い悩んだ果てに選んだ行動が、はてしない混乱の渦を巻き起こすという構造を選んだように思えた。 枝元さん演じる、舞踊家の諏訪は、軽やかで、登場してから、一気に舞台に風を巻き起こす。鉄風役の芥勘兵衛さんも、この複雑な恋愛を唯一外から見る役割が適確。 ラスト、須貝が去ってしまったあと、諏訪と二人の娘がハンカチをとりあって泣いて終わるのを、今回はばっさりカット。ラストは深く深くうなだれていく、美納が印象的だった。 モリエールの「お婿さんの学校」、「亭主学校」っていうタイトルで読んでたんじゃないかと思う。 とっても楽しい舞台。 レゴでつくった家のような装置が、ぐっと生きてきた。 たぶんしとやかなお嬢さん役の小泉さんが、なんだかとても今風の女の子でおかしい。 大きな荷物を抱えて出てきた瞬間が、「ふるあめりかに袖はぬらさじ」の洋妾口(らしゃめんぐち)の遊女みたいな、そんなふてくされ感。 「華々しき一族」から「お婿さんの学校」への転換がとてもおしゃれ。「華々しき」の重たさは、これ以降の軽さを際だたせるためだったのかもしれないと思った。 終演後、小泉さん、枝元さんにごあいさつ。多根さんへも初めまして。 帰り道は、また少しのんびり帰りたくなって銀座線浅草まわりで。
2009年11月19日(木) |
講演会『Gay Spirits』とワールドプレミア |
11月19日(木) 東工大での講演会「多言語・多文化とともに生きる(9)講演会『Gay Spirits』」、本番の日。 講演会で本番というのもおかしいが、芝居仕立てなので気分は「初日」だ。 今日は朝から冷たい雨。 構成というか構造をどうしたものか、ずっと悩んでいて、昼前にようやく思いつき、これで行こうと決める。 話の中身は、僕のライフヒストリーがメインなので、何より構造、設定が大事。 以前の谷岡さんとの打ち合わせでは、関根が来れなくなったかわりに急遽代理でやってきた誰かが、関根についてあることないこと話すというもの。 この線に沿って、「じゃあ、誰が来るか」ということをずっと考えていた。実は関根は双子でその一方の方の弟、または妹などなど。 ただ、他人が語るライフヒストリーというのは、ただの伝言でないかぎり、その人が僕をどう思うかということを設定しなくてはならず、そのことで苦労する。 新しい設定は、あくまでも僕自身だ。名前は最後まで名乗らない予定だけれども。 劇中(講演中)に登場するエピソードとセリフ(!)の整理をする。 夕方、大岡山駅の改札で谷岡さんと待ち合わせ。 歩きながら、設定を変更したことをまずは伝える。 その後、書類を提出に学科の準備室へ寄り、会場のホールとなりのカフェへ。 どんなふうに変わったかを説明させてもらう。 場面は、オーディション会場。僕のイメージでは「劇場」なのだけれど、会場のホールはフラットな部屋なので、まずは普通の部屋でも可ということに。 「Gay Spirits」という新作舞台のためのオーディション、ゲイの息子を持った母親役のオーディションに女装して、女優のふりをしてやってきたのが僕という設定。 ダスティン・ホフマンが映画「トッツィー」でやってたようなこと。 演出家を前に、課題になっているチェーホフの「かもめ」のセリフを語る、最終審査の場面。 ダスティン・ホフマンはまんまと成功するんだけども、僕は、男だということがばれてしまう。いろいろ言い訳をするんだけどダメで、演出家たちは出て行ってしまう。 と、一人演出助手の若い男の子が残っているので、彼を相手に話し始める。 というもの。 谷岡さんには、視線を決めたいのとタイムキープをお願いしたいので、客席のセンターに座ってもらえるようお願いする。 で、会場に移動。とてもきれいなホール。全然、劇場ではないのだけれど、やっぱりここは劇場だという設定にしてしまった方が、おもしろそうだと決めた。 着替えてメークをして、お客様に御挨拶。 いっこうさん、ミゾさん、黒岩くん、えりさん、もっちゃん、フライングステージのお客様方など、雨の中、ほんとうにありがたい。 で、開演。 どうなるかわからないけど、まずはやってみる。 舞台に飛び出していくのと同じ気持ちで、控え室からホールへ出て行った。 そして、60分。 大岡山のホールは、いつの間にか日生劇場の舞台になり(笑)、僕は、客席の暗がりにいる若者とずっと話をしていた。 ふしぎな時間。そして、話しているのは自分の人生といういつもの講演と同じなはずなのに、全然違う、気持ちでいることがとても不思議だった。 谷岡さんとの打ち合わせでは、最初と最後が「かもめ」のセリフですと言ったはずが、最後にまたニーナになるだけの度胸がなく(笑)、ややフェードアウト気味に退場して、終わった。 拍手をいただいて、また出て行って御挨拶。 やあ、終わった、終わった。僕は何をやったんだろう? その後、谷岡さんと溝口さん、僕にこの企画をすすめてくれた二人と一緒に座談会。 企画のなれそめ、できたこと、できなかったこと、やりたかったことなどなどを話す。 お客様からの質問で、男役と女役を演じるときの違いについてというのに答えて、少し実演してみる。 あくまでも「僕はこうです」と言いながら。 女の人は、歩くときの左右の足の動線がほぼ一直線だけれども(モデルさんは足の前に足を出す歩き方)、男の人は、右足と左足がそれぞれ前に出て二本の線になるということ。そして、女役は、胸(デコルテ)を気持ち上げるような意識でいること、男役でそれをやると宝塚の男役になってしまうので、僕は男の時は気持ち肩を少し前に入れるような気持ちでいること、などを話した。 その後、近くの居酒屋で打ち上げ。楽しく飲み、しゃべり、いい時間をすごした。 ごちそうさまでした。 次はいつになるかわからないのだけれど、おもしろい一人芝居になりそうな作品が生まれたんじゃないかと思う。 二度目は新鮮さがなくなるねえという意見に、誰かが、「落語みたいにやればいい」と言った。一字一句が同じでなくても、落語のように語っていくと思えば、ずいぶんいろいろなことができるんじゃないか。 何より、女装してオーディションにやってきて、帰りがたくてぐずぐずしている俳優というのは、なんともうすら哀しくもおかしい。 演出助手の彼との話の内容も、彼が何を言うかということを変えていけば、いろんな方向へひろがっていくだろう。 「講演」が「公演」になるといいなと思う。 誰かが言ってくれた「ワールドプレミア(世界初演)」に立ち会ってくれたみなさんに感謝だ。 ありがとうございました。
2009年11月16日(月) |
講演会の準備とひげ剃り |
11月16日(月) 一日、木曜の講演会の準備。 ついでにヒゲを剃った。 ずいぶん久しぶりな気がするけど、ちょうど二ヶ月ぶりだ。 「根岸の一夜」が終わってから、伸ばし始めたんだった。 白髪でヒゲがない顔というのは、初めて。 いつ黒く戻すかをぼちぼち考えないといけない。 ただ、これまで何度もしてきた金髪とは違うおもしろさがあるので、なんとなく先延ばしにしてしまっている。 ずっと白髪をキープするのはたしかに大変で、この間カットしてくれた田中さんの知り合いは、綿棒で処置しているとのこと。 もう一度、思い切って、ブリーチしてみようかな、ダメもとでとも思いつつ、gaku-GAY-kaiの「贋作・マイ フェア レディ」の教授役はどうしようかとも。 まあ、しばらくいろいろ考えてみよう。
2009年11月15日(日) |
俳小養成所中間発表会とワークショップ2日目 |
11月15日(日) 高校の演劇部の後輩、シダくんから案内をもらって、彼が通う俳小の養成所の中間発表を見に行く。 演目は何?と彼に聞いたら、芝居をやるのではなく、歌とダンスと日舞とセリフですとの返事。なんだかおもしろそうだ。 大塚駅からしばらく歩いて俳小のアトリエへ。 この間の「月 白き水晶の夜」の劇読みに出演してくれた斉藤真さんに御挨拶。斉藤さんは俳小の代表だ。 地下のアトリエは、こじまりとしたいい空間。 ダンス、歌、セリフが第一部、第二部は日舞と太鼓というプログラム。 ダンスも歌も、きれいに踊る、歌うということを第一にするのではなく、セリフを言いながらということを重視しているように思えた。 とにかく大変そうだった。立ち位置やいろいろな動きもとても複雑で、ライブ感あふれるもの。その段取りを追いながら、歌いまた踊るというのはとても大変なことだ。 でも、俳優として、同時にいくつものことをするというのは、当たり前のことなので、養成所の一年生からまずはそれをどんどんやらせているというのは、とてもすばらしいと思った。 終演後、シダくんに挨拶。二月の卒業公演も楽しみにしてると伝える。 帰り、ふっと都電に乗ってみたくなり、向原から雑司ヶ谷へ行き、副都心線に乗り換えるという大回りをして、ワークショップの会場へ向かう。 フライングステージワークショップ2日目。 昨日に続いて、同じメンバーと。 自己紹介は昨日してしまったので、昨日から今日までに何があったかを話してもらう。 昨日よりずっとお互いの距離が近いのが感じられる。 シアターゲームをいろいろしながら、昨日との違いはなんだろうと考えてもらう。 1日で急にできないことが出来るようになったということでもないのだけれど、何かが違う、何が違うのか、どうして違うようになったのか。 その後、今日は一対一のやりとりということで、「Tea for two」の場面を読んでみる。一年に一度のデートを重ねる二人のゲイのお話。4場の母親へのカミングアウトの場面。 相手に、自分の要求を伝えるということについてのアプローチをいろいろ。 シチュエーション(相手に望むこと)をいろいろ変えて、エチュードをしてみる。 思いを伝えるより、拒否する方がたやすいのはなぜだろうということを話し合う。 だったら、どうすればいいのか、どういうふうに伝えることが大事なのかということも。 最後に、もう一度、「Tea for two」の場面を読んで終了。 もっちゃんの提案で、打ち上げに飲みに行こうということに。 参加者全員が居酒屋へ移動。 何度もワークショップをしてきたけれど、みんなで飲みに行くのは初めて。 芝居の話。昨日今日のワークショップの話で盛り上がる。 どうもお疲れ様でした。
2009年11月14日(土) |
フライングステージワークショップ1日目 |
11月14日(土) 久しぶりのフライングステージのワークショップ。 参加のみなさんには、僕が書いた「Tea for two 二人でお茶を」の場面を使いますとお伝えしていたのだけれど、急遽変更。同じく自作「Four Sesones 四季」の場面を使うことにした。 自己紹介から初めて、シアターゲーム。そして、テキストへ。 「相手に伝える」ということをメインにいろんなエクササイズをしてみたいと思っている今回のワークショップだけれど、今日は、一対一のやりとりではなく、みんなでつくる「チーム感」のようなものをいろいろ考えてやってみることにした。 テキストで使ったのは、「Four Sesones」のクリスマスの場面。ゲイばかりが住んでいるアパートの中庭を舞台にしたクリスマスイブのゲイ達のお話。 演劇の経験はいろいろなメンバーが、今ここにいることを大事にしてくれていたのがよくわかる時間だった。 明日も同じメンバーがそろって参加してくれるのもとてもうれしい。 帰り、参加してくれたエリさんと一緒に地下鉄で途中まで。楽しくおしゃべり。
2009年11月09日(月) |
台本打ち合わせと乾杯 |
11月9日(月) 富士見丘小学校台本ミーティング 篠原さん、相馬くんと富士見丘小学校の卒業公演の台本打ち合わせ。 今月中に書き上げて、来月の第一週の授業は「読み合わせ」の予定だ。 前回の授業をふまえて子供たちが書いてくれた作文をもとに、篠原さんがプロット案を書いてくれた。 メールのやりとりで相馬くんからのおもしろいアイデアも加わっている。 そんなもろもろを検討する。 これでいけるのかどうか。 じっくり話して、じゃあ、この方向でというのが大体決まった。 一軒目の喫茶店が閉店してしまったので、二軒目をどうしようかといことになったのだけれど、居酒屋でわいわいしゃべってみてもいいだろうと、三人で乾杯することに。 気持ちは、打ち上げならぬ、打ち入りか。 芝居のことをあれこれ話し、それでも終電になる前にちゃんと解散。
2009年11月07日(土) |
唐ゼミ☆「下谷万年町物語」 と28年前 |
11月7日(土) 浅草の花屋敷裏のテントへ、唐ゼミ☆「下谷万年町物語」を見に行く。 28年前にパルコ劇場(当時は西武劇場)で初演された舞台の再演。 高校一年生だった僕は、たぶん学生服のまま見に行ったんだと思う。 初めて見た唐十郎、始めた見た蜷川幸雄演出、初めての西武劇場だった。 開演前、演出の中野敦之さんに御挨拶。その後、整理番号順に並んだら、後ろの人に「吉祥寺の印象に出てましたよね」と声をかけられる。「おもしろかったです」と言われて、お礼を言う。なんだかとってもうれしかった。 お話は、唐十郎独特の世界。昭和二十年代の下谷、浅草を舞台にした少年と青年とダンサーとオカマたちの物語。 28年ぶりに見た「下谷万年町」は、なんだかもうすべてがなつかしかった。 当時、登場する少年の視点で見ていた物語が、冒頭と最後に登場する二十数年後の中年の視点で見えてきた。 当時の唐さんが感じていただろうなつかしさが、そのまんま今の僕には感じられるようだった。 パルコの大きな空間とは違う、このテントを2つつなげた空間も、この世界には合っていたように思う。 「エンジェルス・イン・アメリカ」が同じアッカーマンの演出なのに、セゾンとtptでは全然違ったように。そして、とても狭くてシンプルなベニサンピットでその作品の世界がはてしなくひろがったように。 役者さんたちはみんなとっても生き生きとしていて、見ていてとても気持ちがよかった。 中でも、ヒロポンの売人白井役の杉山雄樹さん、軽喜座座長を演じていた禿恵さん(この役は初演では三谷昇さんが演じていた)がすばらしかった。 ラスト、思いがけない屋台崩しで装置がバラバラになり、テントの後ろが開くと、そこには、いつのまにそんなものが建ってたんだろうというような、ネオンサインのかたまりで出来たラブホテルを借景にして、登場人物達がこちらに向かって手を振っていた。もう泣けてきてしまって困った。 終演後、また中野さんに挨拶。いいものを見せてもらいました。 まだ高校生だった自分が28年後に同じ芝居を見て、こんな気持ちになるなんて・・・と言葉にならないのだけれど、とんでもなく胸がざわざわする。 帰り道、子供の頃からの思い出がいろいろある浅草の街、舞台に登場する瓢箪池のあっただろう場所を通って帰る。
2009年11月06日(金) |
劇団朋友「百合の季節」と老けの芝居 |
11月6日(金) 劇団劇作家の相馬杜宇くんが台本を書いた、劇団朋友の「百合の季節」を見に、俳優座へ。 おばあさんばかりがいるアパートへ、一人のプレイボーイなおじいさんがやってきて・・・というお話。 舞台は、大きなテーブルと、それをとりかこむような椅子がある庭の一杯道具。 ベテランの俳優さんたちが、きっちりと芝居を見せてくれるのだけれど、一番、感動したのは、場面転換の様子だった。 暗転をしないのは、物語の流れを切ってしまわないためかもしれないし、暗転中の移動は、年配の俳優さんたちには大変だろうという思いやりかもしれないが、おかげで芝居の本編とは少し違う、俳優さんたちの姿を見ることができた。 「おばあさん」という役どころなわけだけれど、みんなてきぱきと動いて(本編の間もそうなんだけど)、小道具の出し入れをしている様子が、なんだかとっても素晴らしいことに思えた。 そこだけ若返っているというわけでもないのは、ことさら老けの芝居を作っていない、自然体な役作りなんだなあと思ったことが一つ。年寄りの役だからって、小走りしたって全然平気という覚悟が、とてもさわやかだった。 そして、限られた時間の中で適確に動いていく女優さんたちの姿はとんでもなくかっこよく見えた。 いいものを見せてもらったなあと、うれしい気持ちになる。 終演後、同じ回を見ていた藤井ごうさん、青年劇場の福島さんに御挨拶して、お先に失礼する。 六本木の駅に下りてしまうのはもったいなくて、乃木坂までのんびり歩いた。
2009年11月05日(木) |
ヘアカットとKAKUTA「甘い丘」 |
11月5日(木) 昼間、髪を切った。 このあいだと同じ渋谷のお店で。 六月さんの髪型をお願いしたときに、「本番が終わったら、また来ますね」とお願いしていたんだった。 すぐに黒くはしないで、しばらく白髪でいたいので、なんとかおかしくないようにとお願いする。 アンバランスだったスタイルが左右対称になって、少し頭が軽くなったような気がする。 カットをお願いしている田中さんに、舞台のことなど、あれこれおしゃべりする。 夜、高山奈央子さんから案内をもらったKAKUTA「甘い丘」を見にシアタートラムへ行く。 山の上のサンダル工場の女達のお話。 自分の舞台が終わってすぐの舞台は、なかなか入り込めなくて、ほんとうならもっと楽しめたはずなのに・・・と後でくやしい思いをするものだけれど、この舞台は、とってもとってもおもしろかった。 とてもきちんと書かれた本で、魅力的な俳優たちが、ぞんぶんに芝居をしていて、もうどの瞬間も見応えがあって、すばらしい。 なんでもない場面で涙が出てきてびっくりした。 作、演出と俳優の力の充実ぶりは、かつての東京サンシャインボーイズみたいだなと思ったりもした。 帰り、少し遠回りをして帰る。いい芝居を見た後の僕のたのしみ。いい夜。
2009年11月03日(火) |
劇団印象「父産」千穐楽 |
11月3日(火) 千穐楽。二回公演。 無事終了。 と言いたいところなのだけれど、最後の舞台の最初の方の人形ぶりの場面で、うっかり思い切り膝をついてしまい、鋭い痛みが。以降、正座ができなくなってしまう。 テーピングだと思い、急遽ガムテープで右膝をぐるぐる巻きにしたのだけれど無駄だったよう。 正座から始まる10場、座布団の上で微妙に膝を浮かせてなんとかしのぐ。 最後の舞台も、出番が終わった後のようすをカーテンコールのために移動しながら、回廊のモニター、舞台袖から見守る。 カーテンコールの御挨拶をして、終了! お客様に御挨拶に出て、バラシ開始。大人数でどんどんばれていく舞台。 その後、打ち上げ。 ダダと二人で終電で帰らないといけないと話していたのだけれど、まんまと終電を逃して朝まで。 稽古、本番中には、話せなかったみんなと、たくさんしゃべる。 いい時間をすごさせてもらった。 朝、まだ薄暗い吉祥寺に街に出て、一本締めで解散。 僕は、ほこちゃんと一緒に駅へ。他のみんなは、まだどこかに行く気まんまんなようす。 少しずつ明るくなる空を見ながら、ほこちゃんとあれこれ話す。 一人になって、終わったんだなあと改めて思う。 楽しく、いい気持ちでいられる今があって本当によかった。 ご来場いただいたみなさん、稽古と本番でほんとうにお世話になったキャスト、スタッフのみなさん、どうもありがとうございました。 今までやったことにない「父親」役を、試行錯誤しながら、なんとか演じきることができたのも、あたたかい仲間と一緒だったからこそだと思っています。 楽しく、そして、たくさん勉強させてもらった舞台でした。 ほんとうにありがとうございました!
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