せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2008年02月29日(金) |
「雪の降る日に」@浴風会 |
明け方3時過ぎまで仕事をしていて、少しだけ眠ろうと思ったら、思い切り寝過ごす。 9時集合に大遅刻して、直接浴風会へ。 体育館よりは二回り小さい会場での場当たりの最中。 のりうちの公演をする6年生って、やっぱりすごいなあと思う。 大勢の(去年よりは少ないけれども)お年寄りを迎えての上演開始。 今までで一番力の抜けた、よくわかる舞台になった。 (小さなホールだということで、油断してやや声が小さくなったところもあったけれど)。 ラストの歌「ありがとう」がとてもきれいに聞こえて、今日も終演。 これが最後だと思うと、また泣けてくる。 「雪の降る日」に、全部の上演が終わった。 お年寄りから子供達にプレゼントがあって、子供達は学校へ戻っていく。 今度会うのは、来週の「6年生を祝う会」だ。
夜は「新・こころ」稽古。 海辺のシーンを細かく、細かく。 女学生の場面をていねに。 東北弁を練習してきてくれた鶴丸くん。素敵なキャラが立ち上がった。 樺澤氏が稽古場へ。 ドカンと届いたフライヤーを持って、僕は久しぶりに二丁目へ。 「こころ」を新たな視点で舞台化するという話を、いろいろな人におもしろがってもらえる。さすが、漱石。みんな知ってるんだなあと、だからこそ、ちゃんとした、舞台にしなくてはと決意あらたな気持ち。 微妙なところで終電をのがし、上野から深夜バス。 この間、いわきからの帰りに乗ったバスと同じ東武バスで、運転席にいわきから東京までの案内板が置いてあった。
2008年02月28日(木) |
富士見丘小学校演劇授業発表会「雪の降る日に」 |
1時間目から体育館に集合して、照明の確認。今回は舞台上にライトがいくつもあるので、全員でツアーをする。 その後、演出の変更点の確認をしながら、ラストシーンを演じてもらう。 9時半から、1〜5年生による「6年生を送る会」。 6年生は、舞台前のひな壇に座って、下級生のパフォーマンスをずっと見ている。 歌あり、ダンスあり、プレゼントありの、楽しい、そして暖かなイベント。 これだけちゃんとやられたら、6年生はもっとちゃんとしないとねと、一人一人いい意味でのプレッシャーを感じてるだろう。 トイレ休憩のあと、6年生は特活室でスタンバイ。 甚野先生が芝居の中のセリフを使っての気合い入れ、「ヒーローになりたいか!」「おー!」×3回。 体育館に移動して、開演。 今年もまた下級生は、ほんとうにちゃんと見ていてくれた。 6年生は、若干緊張して、声と芝居が小さくなったかもしれない。 それでも、芝居はちゃんと成立している。 最前列に座った一年生が、本舞台と体育館の反対側のピアノと、演技エリアが変わる度に、背伸びをして一生懸命見ていてくれた。 途中でおちつかなくって足を揺すり始めた子のひざを両側の子が押さえているのもわかった。 富士見丘小学校の演劇授業は、演じる子どもたちだけでなく、観客として見ている子供達もあきらかに育てているのだと思う。 稽古では、なかなか届かなかったセリフが、胸にひびくようになる。不思議な感覚。観客を前にして、初めて生まれるいろいろなものを、今日もたくさん見つけることができた。 ラスト、雪が降る。扉座の新原くんが音だしのあと、雪を降らせる係、僕は、ラストの歌の間で白の中割幕をしめる。 少しだけ前にまわって見た雪はとてもとてもきれいだった。 歌が終わり、アナウンサー1役のスミレちゃんが最後のニュースを読んで、この芝居は終わる。 暗転して、大きな拍手が体育館に響いた。 「6年生を送る会」が終わって、6年生は特活室に移動。講師陣も。 感想と、午後の部(大人が見る回)に向けての言葉を、一人一人。 僕は、「みんなが書いてくれた作文を元に書いた、今回の『雪の降る日にです』。どのセリフ、どの言葉も、みんな大切です。なので、セリフは全部、お客さんに聞いてもらいたいです。練習で何度もやったように、相手に伝えるように、観客に伝えるように、演じていってください。」と話す。 明日の浴風会での上演は、会場の都合で照明も雪もなし。「今日が最後の雪だからね」とも。 給食をいただいて、講師陣は、14時開演まで一休み。ご来場いただいた教育長の井出さんからも暖かい言葉をいただいた。 2回目は午後2時開演。保護者や一般の観客がいる。また、みんなで気合いを入れて、舞台へ。 今度の舞台は、昼間よりもずっとずっと力の抜けた、そして、余計に緊張して小さくなってしまうこともない、とてもいい出来になった。 下級生のように、首を振りながら、一生懸命見ているというかんじではないけれど、大人達は、しっかりこの芝居の世界を、子供達が作り上げていく世界を受け止めていってくれた。 終演、そして、大きな拍手。 僕たちは、子供達を追って、すぐに特活室へ。 お疲れ様のコメントを一人一人。里沙ちゃんの発案で、見えないお酒orジュースを持ってみんなで乾杯をした。 一回目の後とは違って、みんなやさしい顔をしている。感想も、昼間より緊張しないでできたとか、100%の壁を越えたんじゃないか?とか、のびのびしたもの。 何より、みんなが笑顔でいることがとてもうれしい。 よかったね。おつかれさま。 すぐに舞台のばらし開始。照明と雪の仕掛けをわらわらと。 今年もまた、他学年の先生方が手伝ってくれる。 照明のコードの巻き方を篠原さんがレクチャー。 伊藤さんの支持でどんどん片付いていく。気持ちのいい現場。 機材を返しに行く、伊藤さんの車に同乗して、江東区の倉庫まで。 往復の道中で芝居の話をあれこれする。 再び戻った富士見丘で、振り返りの会に合流。 校長先生のとなり、長崎先生、甚野先生の正面に座って、子供達の話をたくさんたくさん聞かせていただき、たくさんたくさんおしゃべりする。 帰りは、篠原さんと二人、伊藤さんの車で送ってもらう。 篠原さんと渋谷で別れて、今年は結局、日暮里まで。たくさん話して、そして泣いた一日だった。 みなさん、お疲れ様でした!
2008年02月27日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 仕込み バースデーケーキ |
明日の本番前の最後の練習。 朝、劇中で鳴るチャイムの音源はどうなっているんだろうと急に心配になり、あちこち探す。ネットを探し、近所のレンタルCDショップに寄るが、めぼしいものは見つからず、どうしようかと学校に着いたら、学校のチャイムの音が音源としてあるとのこと。よかった。 先生方からの希望で、午前中はラスト近くを小返し練習。午後、照明の伊藤さんに見てもらいながらの通し稽古。 細かい手直しと演出をくわえて、ぐーんと密度が高くなった印象。 ラストの歌「ありがとう」も青井さんが動きをつけてくれて、それ自体が感動的なものになった。 一人一人の工夫がすばらしい。 僕は、場面に出ていない子の近くに行っては、あそこはこうしたら?と、あちこちでこそこそダメだしというか演出を伝える。みんなを前にしての演出は、どうしてもみんなに話してしまうのだけれど、今日は、一人一人とちゃんと話してみる。そんなかんじ。 アナウンサー役のスミレちゃんは、とっても長い距離をしゃべりながら歩かないといけない。かっこよく歩くにはどうしたらいいかをアドバイス。まっすぐ歩こうとするときは、一本の線をイメージするんじゃなくて、幅の広い道を歩くんだと思ってごらんとか。 午後から通し稽古。 今日もあちこちで新たな工夫があった。警官10役のシミズメくんが、のびのびと、おいしいキャラを演じてくれている。 ラストの歌、ありがとうに至るまでの流れ、感動的だ。 今日、いろいろ話した「アナウンサー1」役のスミレちゃんのセリフでこの芝居は終わる。 きっちり話して、この芝居の世界が閉じていった。
感想を聞いて、伊藤さんを中心にして照明の仕込み。 扉座チーム、里沙ちゃん、新原くん、鈴木利典さんは、雪のしかけのセッティング。 いよいよ、明日だ!
夜は、「新・こころ」稽古。 稽古場の電気が消えて、ろうそくのともったケーキが入場。誕生日を祝ってもらう。 先週に続いて、また泣いてしまいそうになる。 今日はミクシィで僕のバースデーを見つけたのいのいとまちゃが企画してくれたそう。 今年は、みんなに祝ってもらってばかりだ。感謝。いいトシにしなくては。 ケーキをおいしくいただいてから、稽古開始。 岸本さんと早瀬くんの場面をみっちり。 やりとりが成立する線をいろいろさぐっていってもらう。 芝居がちゃんと二人の間にあるように。 短い時間で、見違えるようにお互いの関係が立ち上がってきた。 女学生の場面、柳内さんのキャラを生かしていきながら、それでも、二人がちゃんとそこにいるように、相手に言葉が届くよう、あれこれとダメだし。
帰り、水月アキラと待ち合わせてフライヤーの受け渡し。 両国駅深夜0時という遅い時間。電車では帰れなくなるかもしれないということで、両国の彼のマンションに寄り、彼の車で送ってもらう。 マンションの駐車場からの出庫は立体パズルのよう。へえ、こんなになってるんだとおもしろがる。その後は、夜中の下町ドライブで北千住まで。ぎりぎりで終電に飛び乗ることに成功。
2008年02月26日(火) |
富士見丘小学校演劇授業 |
昨日の続きを一時間目から。 最後に通してみる。 警官たちのだらだらした場面がおかしい。 先生役のイチカワくん、子供達を真剣に守っている様子がすばらしい。 生き生きとした場面が次々生まれてくる。 子どもたち一人一人の工夫があちこちで光っている。 給食をいただいて、篠原さんと駅まで歩く。 1時間目から授業が二日続いて、二人ともへろへろになっている。去年はこんなに疲れなかった気がするのは一年は大きいということか。
夜は、「新・こころ」稽古。 柳内さんの女学生の場面。マミィの代役でさっくり読んでから、続き。 冒頭の場面を、岸本さんと早瀬くんにいろいろやってもらう。 帰り、急に雨が降り出した。本降り。 傘がない4人はタクシーで渋谷まで。
2008年02月25日(月) |
富士見丘小学校演劇授業 |
一時間目から富士見丘小学校。 講師陣は、20分前に集まって打ち合わせ。青井さん、篠原さん、里沙ちゃんと、今日の授業というか、「雪の降る日に」の演出についての確認、あれこれ。 急遽、時間をとっていただいての授業、4コマ。 ダンスでアップをしてから、通してみる。 その後、頭から小返し。ていねいに。 大勢が固まってしまっていた教室の場面を、一人一人に気持ちを確認していきながら組み立てていく。びっくりするほど、わかりやすく、そして見やすく、感動的なシーンになった。 こんな稽古をずっとやっていたいと思うものの、おしまいまでは行き着けず、続きは明日!
夜は、「新・こころ」の美術打ち合わせ。 美術の小池れいさん、舞台監督の鳥養友美さん、制作の樺澤氏と。 終電で帰ってくる。
昼間、仕事をしながら、いわき総合高校の「あいだにあるもの」千穐楽のことが気になってしかたない。 今日も常磐線は全線ストップ。お客様は来れるんだろうか? 芝居は大丈夫だろうかと。 それでも、夜は「新・こころ」の稽古。 昨日までの女子ばかり9人に対して、今度は、男子ばかり9人(僕をのぞくと)。 終えてきたばかりの舞台とこれからの舞台。 二つがバラバラじゃなく、つながっているようにかんじられる。 忙しくていやになるというのじゃなく、ずっと芝居と一緒にいられることに感謝。
2008年02月23日(土) |
「あいだにあるもの」初日 |
9時から2年生と一緒にアップ。そして、昨日のゲネプロを踏まえてのダメだしと細かい手直し。午前中一杯かかってこれでいけるということを、確認する。 昼過ぎからは会場の準備。学校の玄関から、3Fにあるアトリエまで、受付から誘導から、大勢の系列の生徒が張り付いて、気持ちよく見てもらうことを考えてる。 開場、開演。 開演間際から外は嵐。上演中も雷と風の音がものすごかった。 芝居の出来はなんていったらいいだろう。もっとはじけられるよね?と思いながらの芝居。観客に押され気味だったかもしれない。でも、芝居としてはできあがってる。終演後、目を潤ませて帰るお客様が何人もいる。 片付けの後、ダメだし。僕は、今日帰らないといけないので、最後の話。 今日の昼間はとてもいい集中をしていたみんな。本番でももっともっとできるはず。一人でやろうとしないで、みんなでこの舞台を生きてほしいと話す。 嵐はまだ収まらない。常磐線が止まってしまったことが判明。いつ動くかは未定とのこと。 夜の予定のために東京に電話をかけたら、東京もものすごい風だそう。春一番ってこんなだったっけ? もう一泊かとあきらめていたら、高速バスが空いていた。ちょっとほっとする。 その後、アトリエで、今日は、僕のバースデーサプライズ。電気が急に消えて、ハッピーバースデーを歌ってもらう。こうして蝋燭を吹き消したのは何年ぶりだろう。 準備室で、二年生と一緒にケーキをいただく。いろいろおしゃべりしながら。 「あいだにあるもの」に登場する幽霊の名前の話も。今回、昔の芝居仲間というか、先輩の、ゆかりさんの名前を使わせてもらった。韓国に留学して、学生寮でオンドルの一酸化炭素中毒で亡くなった彼女の名前を。当時、ゆかりさんは30過ぎで、二十歳そこそこの僕からは、とっても年上に見えた。でも、僕はもう彼女のトシをとっくの昔に追い越してしまった。そんな話をみんなに。 時間が来たので、石井先生と一緒に学校をあとにする。 廊下で見送ってくれる二年生。 石井先生の車の中で、今回の授業、アトリエ公演のことなど、いろいろ話す。 いわき好間のバス停は電車が動かなくて困った人が数人。もっと混んでるかと思ったのだけれど。 石井先生と別れて、薄暗いバスの中。 暗い中、うとうとしながら、東京着。暗いままの移動は不思議な感覚。夢を見ていたような気持ち。
2008年02月22日(金) |
「あいだにあるもの」ゲネプロ |
今日は普通に授業がある日なので、初めて、自力でホテルから学校へ向かう。 いわきから内郷まで電車に乗って、内郷駅からいわき総合高校まで歩く。 演出の手直しに素直に答えてくれる生徒たち。すばらしい。 放課後は、ゲネプロに備えての準備の時間。 系列の三年生、そして一年生がみんな来て、手伝ってくれている。 僕は、三年生で照明担当のチバちゃん、同じく音響担当のカベちゃんに、いつものプロのスタッフにお願いするように、細かくダメだし。二人とも、「芝居心」をちゃんと持って、一緒に芝居を作ってくれている。感謝。 そして、ゲネプロ。 昨日より上演時間が5分弱伸びた。確かめながらやってた印象の舞台。 それでも、きっちり立ち上がった。 ここ数日の二年生の成長ぶりはすごい。先週来たときと、今日とでは、もう全然違うことになっている。集中をして、力を合わせて舞台をつくっていく。そのことが一人一人の表情を、きりっとした透明感のあるものに変えているようだ。 終演後、学校の近くでいやな事件があったということで、生徒達は早めに集団で下校。三年生のタムラくんが女子たちを駅まで送っていった。こういう気遣いもいいなあと思ってしまう。 その後、石井先生のバースデーサプライズ。三年生が石井先生を「ちょっと聞きたいことがあるんですけど・・」とアトリエに呼んで、暗転、ハッピーバースデーの合唱とろうそくがともったケーキの入場。石井先生がろうそくを吹き消して拍手。その後、みんなでケーキを一緒に食べた。僕もご相伴にあずかる。来週には卒業する三年生、後輩の舞台を一緒につくって、こういうイベントも企画してしまう。なんていい子たちなんだろう。 石井先生、谷代先生と食事に。いわき駅近くの「玉ノ湯」という創作料理のお店。「あいだにあるもの」のこと、今日の二年生の芝居のことなどなど。たくさんしゃべって、ホテルまで歩いて帰る。 明日は初日。さあ、どうなるだろう。
2008年02月21日(木) |
「あいだにあるもの」仕込み |
宇都宮線が止まって、振り替え輸送で東武線が激混みになり大幅に遅れた上、どこかの駅で非常停止ボタンが押されたとかで、電車が動かない。いらいら&ばたばたと駅を走り抜けたものの、もう少しというところで間に合わず、予定していたスーパーひたちに乗り損なう。1時間に一本なので、もう開き直って、落ち着くことにする。でも、申し訳ないことにはかわりがないのだけれど。 いつも使っていた教室が、見事に劇場になっている。 天井につくんじゃないかというくらい高い客席を組んで、舞台はフラットな床にパンチカーペットを敷いてある。このあいだまで木目のままだった10脚の椅子が、舞台のアクセントカラーのブルー、水色、白に塗り分けられてある。 ラストシーンとカーテンコールを照明、音響込みでつくっているところ。 数日ぶりで会うみんなは、きりっとしたひきしまった表情。 系列の三年生が何人も手伝いに来てくれている。去年、桃唄の舞台でみた彼ら。今日は、シンプルに「三年生」に見える。 午後からテクリハ、そして、通してみる。 約1時間30分。こんな芝居になったかと感慨深い。 演出としてべったりついていることができなかったのだけれど、石井先生が見事にこの芝居を立ち上げてくれている。 僕の台本は、今まで、全部僕が演出してきた。僕以外の人に演出をお願いするのは、実は初めてだ。おお、こうなるかとあちこちが、とてもおもしろい。 出来たところまでの通しを重ねてきてくれていて、後半の芝居がまだかたまっていないとのこと。 ダメだしの後、ラスト近くのいくつかのシーンの手直しをやろうとみんなに話す。 10時過ぎまで学校にいて、大人達は今日はそのまま解散。谷代先生にホテルまで送っていただく。
富士見丘小学校演劇授業。一時間目から四時間目まで。 朝、家を出るときに、もうすっかり明るくなっているのは、春が近いからなんだなあと思う。 去年は、発表が一月だったので、直前の練習は、まだ薄暗いうちに家を出ていた。 卒業公演「雪の降る日に」の稽古。 体育館での最初の稽古。寒い。 今日は、初めから終わりまでの場当たりというか、広い体育館を使って、どこで何をするかということの確認。 同時に、出演していないとき、自分はどこにいるんだろうということの確認。 健翔さん、青井さん、篠原さん、里沙ちゃん、それに僕、それから担任の長崎先生、甚野先生、馬場先生、平田さん、校長先生、副校長先生、それに音楽の畑先生と、大勢の大人が子供達と一緒に芝居を作っていく。 50人の子供達を相手に大声を出しながら、走り回る。何とかラストまでたどりつくことができて、ほっとする。 給食のカレーライスをいただきながら、講師陣は打ち合わせ。五年生が作ったというデザートのフルーツカクテルとチョコレート、クッキーも一緒に。 仕事先へ向かう電車で、宮校長先生と一緒になる。演劇授業について思うことをいろいろ話させていただく。 「新・こころ」稽古。 早瀬くんと組んでマッサージ。こういうことするのはいつ以来だろうと話す。いつも僕は、一人奇数で外れることが多くて、この手のウォームアップには参加しないでいた。病み上がりの身体が、気持ちよくほぐれていくのがわかる。声の調子が全然違うものになっていくのに気がついた。 キャストが全員揃った。10人の男たち。ほんとうにいろいろな人に集まってもらった。昨日の続きの場面をそれぞれ稽古。 えんちゃんとまちゃの場面、引き続き、微妙なやりとりの中にダイナミックな強さを。芝居全体の要になるシーン。ていねいにつくりこむ。 僕が演じる奥さんが登場する場面を、岸本さんに代役をお願いして前から見てみる。男たちのやりとり、ぐーんとばかばかしくなった。 後から登場する女学生、節子役の柳内さんが、登場する前、場面を見ながら「男ってバカだなあと思った」と言っていた。そうそう、それでいい。 帰り、明日から3日間稽古がないのでということもあって、軽く飲みに行く。あちこちの現場で一緒だった面々が、こうして集まっているということが、とてもうれしく、おもしろい。 さっくり切り上げて駅に向かう。と、駅のホームで「Tea for two」で一緒だった成田さんに声をかけられる。「聞いたことがある声だなあと思って」と。長い帰り道をおしゃべりしながら。 今回の座組のみんなとは違う距離感でしゃべっている自分がおかしい。「新・こころ」のみんなが遠いというわけではないのだけれど、すっと近くにいられるかんじ。なんだろうこれはと思うが、そういう芝居だったんだなあと今さら気がつく。 明日からは、いわき総合高校の最後の授業。というか、アトリエ公演「あいだにあるもの」の仕込み、ゲネ、初日の三日間。
まだ熱が下がらない。頭痛と喉の痛みと気持ちの悪さ。いつもなら、この時期は花粉が来ていそうなのだけれど、一月にひとしきりやられたあとは、どうしたのか、まだつらくてたまらんというふうにはなっていない。 原作の先生とKの場面、といっても原作にはない、先生がKに自分の下宿に引っ越して来ないかと話しに行く場面。 何でもない会話を二人の距離と向き合い方をていねいに積み上げていってもらう。 漱石の文体、明治の言葉をうわっつらでしゃべるだけでなく、その裏側にある、生きた心を演じてほしい。 稽古にこなかったマチャのところに、心配した遠藤くんが来るというエチュードをやってもらう。生き生きとした場面が生まれた。つまりは、そういうことだよと話して、もう一度、明治へ。 今度、生まれた場面は、ちゃんと血の通ったものになった。なんでもない、近さ、遠さがスリリングで、そして色っぽいものになった。 オープニングの現代の海の場面。二人の力関係を確認してもらう。客席は意識しなくていいから、海辺で話すってどういうことだろうねと。 昨日に続いての引っ越しの場面。それぞれのキャラクターが際だってきた。僕が演じる奥さんは、まずはいろいろやって、空気をかきまぜてみる役どころ。
今日から鶴丸くんが参加。 マミィが買ってきてくれた女学生用の色無地とえび茶の袴を、柳内さんに着てみてもらう。 今回の「新・こころ」は、男たちの愛と友情のお話だけれど、それと対極に、女学生もいるという構造だ。明治ならではの雰囲気、「はいからさんが通る」の紅緒のような女学生を柳内さんに演じてもらう。 稽古は、初めましての鶴丸くんをまじえて、自己紹介の時間から初めて、シアターゲームでアップ。その後、大勢が登場する場面をつくっていく。 鶴丸くんは、今日が初めての稽古なのに、ばたばたと登場してもらう役を演じてもらった。 違う現場で一緒だった俳優さんたちが、こうして一つの芝居をしているというかんじがとても楽しい。 稽古のあと、みんなで飲み!というのを失礼する。 まだ熱が下がらない。帰りの電車の中、パワーストーンのお店をやっている早瀬くんに、元気が出る石って何?と質問する。 ふだんはあまり頼りにしないこの手の力だけれど、今はもう何にでもすがりたい。家に帰って、置きっぱなしにしていたラピスラズリを磨いたりしてみる。
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