せきねしんいちの観劇&稽古日記
Diary INDEX|past|will
「にねんいちくみ保護者会」稽古。 今日は、冒頭の場面の立ち稽古。 保護者会にやってくる親と先生たちが、とにかく次々登場する。 なんでもない動きが、小道具とせりふと一緒になると、なかなか大変なことに。 ロの字に囲んだ机と椅子のせいで、通常の舞台ではなかなかない奥行きのある空間。 となりの人にしゃべるのと、遠くの人にしゃべるのとでは、当たり前だけど全然ちがう。 全体を見ていると、不思議な立体感が生まれているのがわかる。 読んでいたときにはなかなか見えてこなかった一人一人のキャラクターが、場面の最後で全員着席したときには、きちんと誕生していた。一人一人が特別な存在になっている。いいかんじの出だしだ。 稽古の帰り、来年の新作のための打ち合わせ、というか取材。漱石の「こころ」の「描かれてない部分」について、あれこれ相談させてもらう。
桜澤凛さん出演のリーディング「素の会」に、三枝嬢と二人でうかがう。 女性ばかり四人のリーディングというか、語りの会。 客席も、年配のご婦人方が多い、大人の集いな印象。 トリをつとめた青年座の杉浦悦子さんの語りが圧倒的だった。 決してすごい声量があるわけでもないのに、自在な息。 朗読ではなかなか珍しいことだと思う、目の前で何かが起こっている、そんなおもしろさだった。 終演後、桜澤さんにご挨拶。 三枝嬢と二人、お茶をしながら、感想やら近況やらをひさしぶりにおしゃべり。
2007年10月13日(土) |
打ち合わせ、読み合わせ |
昼間、中野ポケットでMCR公演「マシュマロホイップパンクロック」を見る。 二人の男女の感覚が伝わってしまうことから始まる騒動を描いたお芝居。 気の利いた台詞や、洗練された演出が、とてもおもしろい。 軽やかで、終演後「ああ、おもしろかった」と気持ちよくさらりと席を立つことができる、そんな芝居。 終演後、ポケットの事務所に寄って、お久しぶりの笠原さんにご挨拶。 来年の稽古場の契約のお話をしてくる。 夜は、年明けの「TEA FOR TWO」の打ち合わせを渡邉さんと。 初めての読み合わせ。 去年の再演の時に通して読んで以来、二度目ということになる。 「わあ、こんなにしゃべるんだ」とへとへとになることもなく、全体を見渡すことができた。 今回は、再演に向けて、台本に細かく手を入れようと思っている。 ややいそぎすぎなところ、もっと書き込みたいと思うところなどの、確認ができた。 稽古は、Pal'sSharerが終わった11月末から始まる。 公演の詳細も、それまでにはお知らせできると思います。
Pal'sSharer稽古。 ひさしぶりにキャストが全員そろった。 舞台監督の田中さんも来てくれた。 全員揃っての読み合わせは初めてなので、まずは読んでみる。 なるほどと思うこといろいろ。 その後は、みんなに今回の芝居のモチーフになってる、運動会のこと、子供の頃のこと、親についてのことなどを、いろいろしゃべってもらう。 全員が小学校二年生の親か子供達を教える教師という今回の役どころ。どこかで、自分の体験に近づいてみてほしかった。 わあ、そうなんだと思う話をいろいろ聞き、キャストのみんなとの距離が近くなった気持ち。 去年はこういう話、あまりしなかったなあと思い出す。 駅前での道も、いつもより話がしやすくなっている自分がいて、遠藤くんと芝居の話をあれこれ話す。 みんなと別れて、地下鉄に乗ろうと少し歩き、コンビニに寄ったら、この間の「俺たちがドラマ」でご一緒した土井さんとばったり会う。 わあ、なんで?と言い合いながら、しばらく立ち話。 稽古が始まると、こんなふうな偶然の出会いが増えるような気がする。 帰りの電車は地下鉄にすわりっぱなし。パソコンを広げて、原稿に向かう。
2007年10月10日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 |
今日の授業の準備をしているうちに朝になってしまい、ああ、これなら、いつもみたいにばたばた出かけなくて大丈夫と思ったのに、電車に乗り遅れ、ぎりぎりになってしまいそうに。 いつもは乗らない常磐線に乗ったら、渡邉さんにばったり会う。「強烈な人がいるなあと思った」とのこと。朝の混雑した電車でもとなりの車両から見えたらしい僕の金髪。 富士見丘のことなど、朝からおしゃべり。今週末に予定している「TEA FOR TWO」の打ち合わせのことも。 日暮里の駅で、じゃあ、またと別れる。 焦りながら、それでも授業前の20分休みの間に学校に到着。 お久しぶりの青井さん、里沙ちゃん、それに健翔さんと軽く打ち合わせ。 今日の授業は「聞く」ということ。 篠原さんがロンドンから送ってきてくれた、倒れている子供の心臓の音を聞く場面を中心に、いろんな「聞く」ことを体験してもらう。 はじめは、健翔さんの指導のもと、「伝言ゲーム」。簡単な言葉だなあと思う割に、なかなかそのまんまは伝わらない。2クラスを全部で4つのチームに分けての対抗戦。おかしな答えがいろいろ出て盛り上がる。 続いて、青井さんによるエクササイズ。床に横になって目をつぶって、いろんな音に耳をすます。 教室の壁や天井が遠くなったり近くなったりするのをイメージ。その後、壁も天井も全部なくなった空間に自分だけがいるのをイメージ。そのとき、聞こえる音を聞いてみる。 それから、自分のカラダの中の音も。続いて、二人組になって、心臓の音を聞いてみた。 台本の中に書いてある、倒れている子供の心臓の音をきいて、僕らがよく知ってる動悸とは違う音が聞こえてきてびっくりするという場面をやってもらいたいのだけれど、違いがわかってびっくりする前に、誰かの心臓の音を聞くというのは、とてもちゃんとふれあわないといけないんだということに気がつく。 たぶん、それは手をつないだりすることより、もっとごまかしのきかないふれあいなんだ。 子供達は、微妙に照れながら、それでも聞いてみてくれたと思う。 休憩の後、今日のテキストを配って、演じていってもらう。 心臓の音を聞くことは、なかなかにデリケートなことだとわかったので、今日のチームは、先生方と相談して男女別にしてもらう。 音が聞こえるまでの5人の子供たちの軽やかなやりとりが楽しい。それが、場面の最後の心臓の音を聞いてみる場面でちょっとためらいがちに滞る。 実際の台本でのこの場面の練習は、ていねいにやっていかないといけないなと思った。 「いいから、胸に耳を当てる!」とか、「当ててるように見えればいいから、やってごらん」というようなことは言いたくない。 彼らの中にあるためらいや、ナイーブな気持ちを大事にしたいと思った。 特活室には、収穫したばかりらしい、稲穂や籾が置いてあって、ひなたくさい秋のにおいがした。 籾は、野球のボールと一緒にすり鉢にいれてある。きっとこれで脱穀するんだねと、里沙ちゃんと話した。
朝、母親に呼ばれて階下に降りていこうと部屋の戸を開けたら、子猫がいた。クロちゃんだ。 なんで?とびっくりしたが、向こうもびっくりしたようで、向かいの母親の部屋に一度とびこんで、すぐにまた出てくると、すごいいきおいで階段を駆け下りていった。 なんだこりゃと階下に降りたら、子猫は台所の隅で小さくなっている。うちの猫もいるのだけれど、知らないよというふうに、椅子の上で丸くなっている。 猫が二匹いるだけでこんなにわさわさするんだなあと思う。 さわれるんじゃないかと近寄ってみたら、子猫は開いていたサッシから庭に出て行き、そこでまたこっちを見ている。黒ばっかりの中に黄色いまん丸な目でイラストで描いたような、いかにもな猫だ。 休日の朝、猫の話題で、しばらく母親と話し込んだ。
また熱を出して、ダウンしていた。Pal'sSharerの稽古をお休みさせてもらい、土浦の花火大会に行く予定もごめんなさいして、家で寝ていた。 それでも、今日は起き出す。久しぶりの外の空気は、ここ何日かですっかり秋だ。まどを開けると金木犀のにおいのする風が入ってくる。外から帰ってきた猫も、同じ匂いをさせている。 今日も芝居を2本。 昼間は、TPTの「ピアフ」。主演は、安奈淳さん。 すっごい昔に栗原小巻さん主演で見た覚えがある芝居。 開演前、受付で翻訳の常田さんに久しぶりのごあいさつ。 ピアフの一生を駆け足でたどっていく。1幕は、ピアフが恋に落ちる男たちが次々登場。ピアフ以外は、ほんとに断片的にしか登場しないから、演じる俳優はとても大変だと思う。むずかしい台本だなあと思う。 2幕は、晩年のピアフが描かれるようになって、ようやく芝居らしくなってきた印象。合間合間に歌われるシャンソンと芝居の部分と、どっちに余計にドラマがあるだろうかと、そんなことを考える。 それでも、終演後はいい芝居を見たなあという気持ちに。 終演後、青山吉良さん、有希久美さん、新井祐美さんにご挨拶。 帰り道、両国駅までの道を聞かれた、年配のご夫婦と駅まで歩く。同じ舞台を見た帰り。 舞台の感想をいろいろうかがう。ふたりでよく舞台を見に行かれるそう。奥さんは、「越路吹雪ドラマチックリサイタル」でコーちゃん演じるピアフを見ているんだそう。「僕は留守番でね」と旦那さん。駅前で別れる。なんだか、とてもいい時間をいただいたような気持ちで、うれしくなる。 夜は、三枝黎嬢が出演している、はなゆうど公演「絢爛とか爛漫とか」(作:飯島早苗)を見に、目白の「ゆうど」というスペースへ。ここは、昔なつかしい日本家屋を建物ごとつかった面白い空間。門を入って、小さな庭を歩いて玄関が受付。 ここで、昭和のはじめのモガたちが登場する芝居をやるというのは、とてもいい企画。 本当の六畳間でかわされる4人のモガのやりとりが、楽しい。 作家や批評家をめざす彼女たちの一年間の物語が、シンプルにそこにいる俳優さんたちの身体をとおして伝わってきた。いいものを見たなあという、今度もまたいい気持ちに。 幕間に、夜の庭を見ながらお茶とお菓子をいただいたのも、気持ちのいいオプションだった。 終演後、三枝嬢と演出の森谷さんにご挨拶。 風邪がまたぶりかえさないように、さくさくと帰ってくる。
この間から、うちの庭にやってくる子猫(クロちゃん)をようやく見る。 すらっと細身の若い衆なネコになってて、まずはほっとする。 それにしても、うちの猫の小さい頃にそっくりだ。 耳の前のあたりの毛がうすくなっているところ、黒猫なんだけど、真っ黒じゃなくて、黒い毛の下から白い産毛がほわほわのぞいてるところ、しっぽの長さ、などなど、同じノラ猫あがりだし、きっと親戚にちがいないと思う。 だから、うちに来たんだろうか? うちの猫は、近くで見ても、怒るでもなく、知らん顔をしている(逆に子猫の方がフーフー言っている)。 うちの猫がいないときには、台所にあがって、キャットフードを食べていくという。 そんなことしていいのかと思うのだけど、うちの猫もお隣にはけっこうお世話になってるらしいから、まあいいか。
劇団制作社で打ち合わせ。 来年の企画について、いろいろ。 今抱えてる何本かに、来年度の企画が加わって、そっちが急にわくわくとおもしろく見えてきてしまうのは、やや逃避に近いのかもしれないと、気を引き締める。 それでも、思いついたあれこれは、きちんとメモして、いつでも使えるようにしておく。
昨日、とってもいい気持ちで帰ってきて、元気いっぱいだったはずが、今朝起きたら、体中が痛い。 昨日の芝居のはしごの座りっぱなしが応えたんだろうか。 風邪のひきはじめのような、筋肉痛のような。 一日おいてじゃなくて来たので、まあ、よしとする。 それでも、ちょっとなさけない。
|