せきねしんいちの観劇&稽古日記
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9月に客演する舞台「夏のせいかしら」のフライヤー用の写真の撮影。 仕事の合間を抜けて、プロデューサーのオジーさんのお宅で。 お久しぶりなキャストの伊藤さん、初めましての東條さん、作家の柏木さん、そしてオジーさん、カメラマンさんとにぎやかに撮影。 ばたばたと失礼する。
猫がもらわれていった ここ数日、家の近くで子猫が泣いていた。 よれよれの黒い小さな猫。なんでうちに来るの?と思いながら、ほうってもおけないので、えさをやっていたら、どうやらうちの玄関先にいついてしまいそうに。それもしょうがないかと母親と話していた。 夜、帰ったら、その猫がいない。 昼間、近所の女の子が引き取っていったそうだ。 最近猫がなくなったというそのおうち、きっとかわいがられるだろう。 子猫がいた間、なんとなく落ち着きがなかったうちの猫も、顔つきがのんきになった。 網戸ごしに聞こえてきたもらわれていった子猫の鳴き声は、これまでのせっぱつまったものじゃなく、ただ甘える声になっていた。 寝ていたうちの猫がふと起きて、耳をすましている。僕も一緒に耳をすます。
一日、仕事。 この週末、行きたいと思っていた何本もの舞台に結局行けなかった。 青山吉良さんの舞台も、日程をど忘れしていて、見逃してしまう。 それでも、夜には、予定通り、行きつけのバー、アイランドの12周年パーティに顔を出す。 その後は、タックスノットへもごあいさつに。 早い日曜の終電でばたばた帰宅。
来年3月の新作「新・こころ」の資料を探す。 漱石はひととおりは読んでいるのだけれど、今回の新作にあたっての 視点「男と男の愛と友情」からきっちり読んだことはなかったので、あらためて読み返す。「こころ」「野分」、そして、評論もいくつか。 明治の年表も確認。戦争とのかかわりもふくめて。 「こころ」を初めて読んだときの不思議な違和感が、今ならきちんと説明できる。 そのあたりが、きっと今度の新作のかなめになるはず。
11月に作・演出する舞台、パルズシェアーの打ち合わせ。 白井さん、佐藤さんと。 題材を確認する。あらかじめやりとりしていたことをもとにした話し合い。 シンプルにすんすんと固まっていった。 去年の「許しつづける女たち」より、ずっと素直な構造になりそう。 これなら、だいじょうぶと、ちょっとほっとする。
2007年07月18日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 |
朝から、富士見丘小学校の授業。 卒業公演のテーマについての話し合い。 つづいて、篠原さんと僕から、「どんな芝居がおもしろい?どんな芝居がつまらないと思う」という質問。 びっくりするほど、しっかりした意見が発表される。 卒業公演のもとになる作文=お話は、夏休みの宿題だ。 夏休み明けにそれをもらった、僕と篠原さんは、台本を書いていく。 今日聞いたことを忘れないように。おもしろいものにしていかないと。 まだどうなるか、何にもわからないけど、方向は見えてきた、そんなかんじ。
マチネが千穐楽。 平日マチネは、さびしく終わるんじゃないかと心配だったのだけれど、大勢のお客様にささえられて、終演。 今日も、舞台上、舞台裏で会う一人一人がとても愛しい。
終演後、バラシ、そして、打ち上げ。 みなさん、どうもお疲れ様でした!
みんなでつくった「サロン」、仲間と過ごす時間と場所。 それは、ほとんど劇場にいる時間や芝居している時間と等しい。 一瞬一瞬がかけがえがなく、そしてなつかしく思える。 そして、今、ここにそれがあること、そこに行こうと思えば、いつでも行ける。 そんな今があることの幸せ。
台風がいったと思ったら、今度は地震。 出かける前の台所でめまいがするなあと思ったらゆらゆらと揺れる地震だった。 台風で電車がとまったらどうしようと心配していたのに、今日は地震で電車が遅れる。 余裕で出たはずが、ぎりぎりに劇場入り。 ソワレ、終演後、劇団鹿殺しの丸尾丸一郎さんを迎えてのポストパフォーマンストーク。 チョビちゃんも一緒に。 今日は、僕が質問される日。誠実に答えることを心がける。 答えながら、自分のなかで確認していくことがいくつも。 言葉にすることの意味を考える。 明日で、「サロン」もおしまい。 MLに「明日でおしまいですよ!」と今井さんからメール。なんだか胸がいっぱいになる。
台風はどうなるんだろうかと心配な日。 またかというかんじで昼間のうちに雨があがって、台風は低気圧に変わってしまった。 今回、劇場ロビーに東京プライドマーチと尾辻かな子さんのブースが来てくれている。 どちらも大切な僕の友人=仲間。 これがあるから、フライングステージなんだと思う。他の劇団でこんなことはできないだろうと。 劇中で使う、つけ髭のケアに手間取る。 CMでずっと気になっていたプロピアのつけひげ。舞台でつけたりとったりするには、やや不向きかもしれない。 舞台上ではずして、メークボックスの中でよれよれになったのを、マニキュアの除光液でほぐしてケアする。
今日も二回公演。 週末ということもあり、大勢のお客様に来ていただく。感謝。 終演後、飲みに誘っていただく。 初めましてな方々と大いに盛り上がってのおしゃべり。 終電にダッシュして、滑り込みセーフ。
マチネ終演後、桜沢エリカさんを迎えてのポストパフォーマンストーク。 しゃべりすぎてしまうのをおさえながら、それでも、司会の樺澤氏にセーブされながらのおしゃべり。 桜沢さんには、楽しんでいただけたようで、まずはほっとする。ソワレ。 終演後は、衣装の片付けをのろのろとやってしまう。 帰りがたいというか、なんというか、いつもはさっさと出ていくのだけれど、今回は不思議と去りがたい気持ちで楽屋にいてしまう。 帰り、チョビさん、今井さん、數間さん、しいさん、樺澤氏、音響の中村さんたちと軽く飲みにいく。 直、唯史、恭二と同じテーブルになり、思い切り話しこんだ気分。 それでも、終電でお先に失礼する。 こちらも去りがたい気分。
場当たりのつづきから始めて、午後はゲネプロ。 そして、初日、開演。 僕の中の俳優としての意識が目覚めていくのを感じる。いっこうさん言うところの「女装ホルモン」か? 次々と衣装を着替え、舞台にいるときの方が静かな気持ちでいられる、いつものかんじがよみがえる。 舞台で出会う、誰もがとても愛しく、輝いて見える。 お客様に助けられながら、無事終演。 初日乾杯に向かう。顔合わせ以来、みんなと飲むのは今日が初めて。 あと、9回のステージ。楽しみながら、走り抜けたい。
2007年07月11日(水) |
「サロン」仕込み2日目 |
両国の倉庫に忘れ物をとりにいって、劇場入り。 場当たりをはじめる。 フライングステージでははじめての大がかりな装置の中、動線を確認する。 始まりから、なかなか劇場としっくりいかなかったのが、坂本くんとチョビちゃんの場面から、ふっと息があったように思えてくる。楽屋で 坂本くんにそんな話をする。ありがとう。 2場面を残して、今日は終了。 続きは明日。 さあ、劇場とどこまで仲良くなれるか。明日が楽しみ。
仕込みの時間、となりのお寺のホールで稽古。 ラストシーンを変更した部分を踏まえて組み立てていく。 帰り、チョビちゃん、今井さん、數間さん、しいさん、西田さんとカラオケで歌練習。 課題曲とその他あれこれ。大いに盛り上がる。 終電ぎりぎりでお先に失礼する。
ラスト近くの抜き稽古、そして通していく。 稽古場、撤収。 阪口さん演ずる吾郎ちゃんとのやりとりを、深めていく。 去年「ムーンリバー」のときは、役柄のせいもあって、なかなか話ができなかったのだけれど、今回はずいぶんおしゃべりできている気がする。一年は大きいということか。
夜、通し稽古。 この芝居のはじめと終わりのそれぞれの役の成長と変貌ぶりを確認する。 もうひと息。 冒頭の1997年の場面から10年の歳月を重ねる登場人物がとても愛しい。 舞台上は2時間なのに、10年分を生きるんだと、今更なことに気がつき、俳優ってすごいなあと思う。 出演者としては、まだエンジンをかけきれない自分、もうすぐ追いつくからと、今やらなくてはいけないことをまずはやっていく。
稽古前に取材あり。インタビューに答えながら、自分の中で確認することもたくさん。 自分の言葉が自分を支えてくれるのを感じる。 なんとなく作家、演出家モードでいたこの頃をふっきって、俳優としてぞんぶんにやりきる。 いつもと違う感覚と筋肉が目を覚ましている、そんなかんじ。 稽古後、メジャーリーグで作業。
後半を細かくつくっていく。 バーの場面をていねいに。 夜は、衣装パレード。 人数が多い分、衣装ももりだくさん。そして、今回は確信犯でコスプレ大会だ。 その後、クラブの場面を細かくつくっていく。 ドラマの中心はどこなのか。クローズアップの手法をきっちり組み立てていく。
坂本遼くんは、フルネームで「さかもとりょう」と呼ばれたり、「さかも」と呼ばれたりしている。 なんとなく、僕が呼んだ「パスモ」もいつのまにか定着しつつあるよう。 チョビちゃんと二人の場面のういういしさがまぶしい。 場面を追うごとに成長していく直役のチョビちゃんの生き生きとした変貌ぶりも楽しい。
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