せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2007年06月30日(土) |
「非戦を選ぶ演劇人の会」ピースリーディング |
「非戦を選ぶ演劇人の会」リーディング@スペースゼロ 13時入りでリハーサル。 メークをして「改憲バー」のママができあがっていく。 場当たりの前に、以前の非戦の会で僕の担当した場面に出演してもらった草笛光子さんにご挨拶する。 あのときはすっぴんでしたけど、今回は改憲バーのママ役でこんなですと。 草笛さんに「りっぱなママだこと」と言っていただく。 場当たりを終えて、ちょっと一息。 こんなふうに、一息つける時間がある非戦の会の本番ってこれまであっただろうか。 化粧前が近所の岡田さん、板倉さんの改憲バーホストのお二人とおしゃべり。 本番は、それでもちょっと緊張してスタンバイ。 自由自在な俳優のみなさんをずっと見ていられるのがほんとにおもしろい。 憲法9条を守るという、ややかたいテーマが、おもしろく、そして、生き生きと動き語る人物によってつむがれていく。 終演後、後片付けのお手伝いをして、お先に失礼する。 「サロン」のもとへ、大急ぎで帰って行く。 帰りの電車の中で思いついたことを書き留める。 今日一日、いっぱい刺激をもらった頭が、生き生きと動いているそんな気持ち。
午後、非戦の会、稽古。 大塚道子さんとおしゃべりする。ほっかりとうれしい。 出番を待つ間の席が近い麻丘めぐみさん、沢田亜矢子さんと女子的な おしゃべりも楽しく。 永井さんの演出で、思ってたより、どんどんはちゃめちゃなキャラになっていくのを、おもしろがってしまうことにする。
「サロン」の稽古は、音響の中村さんに来ていただいて、音楽の打ち合わせから。 舞台監督の中西さんも来てくれた。 稽古は昨日の続き。 バーの場面から、みんなの「サロン」の場面。 主人公二人のすれちがいの場面をていねいに作っていく。
午後、明後日本番の非戦を選ぶ演劇人の会の稽古に顔を出す。 今回は、永井愛さんの書き下ろし。 キャストも、平幹二郎さん、大塚道子さん、草笛光子さん、ラサール石井さん、根岸季衣さん、渡辺えり子をはじめ、そうそうたるメンバー。 僕は、岡田浩輝さん、板倉光隆さん、明樹由佳さんと一緒の「改憲バー」チーム。 女装して、ママを演じることになった。まずはやってみる。続きは明日。
「サロン」稽古は、全員そろって、一昨日の続きをどんどこ進める。 できるところをどんどん通していく。 流れが身体にしみていくように。
朝、30日の「非戦を選ぶ演劇人の会」のリーディング台本が届く。 ざっくり読んで、自分のパートの確認。全体は、まだ頭に入ってこな い。無理に入れようとしないでおく。まずは「サロン」。 稽古前に、美術の打ち合わせを小池さんと。 稽古は、昨日の続きから、どんどん進めていく。 今日は、去年の入院した大門さんが退院した日からちょうど一年。稽古場でお祝いをする。 樺澤氏が用意してくれたケーキをみんなで囲んでしばし歓談。 稽古終了後の打ち合わせ。見えてきたこと、たくさん。
大門さんからの差し入れ、今日は明太バターパンを持ってきてくれる。おいしくいただく。感謝。 冒頭からの稽古。 それぞれのキャラをていねいに。その後の大勢でのやりとりを組み立てる。 終了後、樺澤氏とうちあわせ。 全体像についての確認もろもろ。 終電にぎりぎり間に合って帰宅。 去年の「ムーンリバー」の稽古のとき、終電を逃して西新井までタクシーに乗ったことを思い出す。
ワークショップ的な稽古をさせてもらう。 午後の時間帯は、リーダーシップについてのあれやこれや。 早めに来てもらった、ゲイ仲間チームと全員がいつでも主役になれるアンサンブルについて。 チーム感をつくりあげていく。仲のいい人たちにはなっているのだけれど、もう一つ何かがほしい。 誰が一番になってもいいんだということ。いつ誰が前に出てもいいんだということ。 理屈じゃなく、身体で感じてほしい。 夕方からは、個人の体験から作品をつくる作業。 まずは自分自身でいてもらいたいと思う、今回の「サロン」。 メインの目的は、作品をつくっていく中でのコミュニケーション、ディスカッションのありかたの確認。 2つのチームに分かれてもらう。 森澤さんの「勝利」と、羽田さんの「あいうえお」をテーマにした作品が生まれた。 知らなかった一面が見れたということだけがよかったんじゃなくて、そのことをもとに何かを生み出すことができたということが大きい。 帰り、隣の隣で稽古をしていた東京タンバリンの森くんと会う。 彼らは今日で稽古場アップ、明日は駅前劇場に小屋入りとのこと。 そうぞう舎では、いろんな人に会えるのがとてもうれしい。 小劇団は、どこも一匹狼で活動することが多いと思うけれど、こういう場で知り合いに会うと、「一人じゃないんだ」とでもいうようなほっかりした気持ちになれる。 今回初参加のみなさんと二丁目に繰り出すかという企画が浮かんだのだけれど、日曜日だし、今週末にまた改めてということになった。 ゲイを演じることの「なんでもなさ」のようなものを感じてもらえるとうれしいと思う。
小雨の降る朝。今日は夏至。朝の4時には、もう曇り空の昼間のようになってしまった。 もう夏なんだなあ。
朝から、タカツで小道具の下見。小池さん、藤本さんと。 その後、食事をしながら打ち合わせ。 稽古場に一足先に移動して、誰もいない稽古場に一人でいる時間。 窓をあけて、外の風を部屋の中に入れる。 早めに来てくれた、いっこうさんとおしゃべり。 稽古は、昼間借りてきた小道具を使っての場面。 食事の場面。大勢でいっせいに動くというのを、何度もやってみてもらう。 何もすることが見つからず右往左往する今井さんがとってもチャーミングで、並んで見ていたにしやんとけらけら笑ってしまう。 帰り、今井さん、しいさんと話す。 ゲイを演じるって何だろう?ということをよく考える、今回の「サロン」だ。 僕は、基本的に「ゲイ」というもののステレオタイプを演じようとはしないでくださいと話す。 台詞でゲイかどうかは説明されているので、何かをつくろうとしなくてもだいじょうぶですよと。 役者さんたちが、ゲイのキャラクターを演じるにあたって、何かしなくちゃと思う気持ちはよくわかる。 どうすると「ゲイ」らしくなるかということを考えてくれるのだろうと思う。 僕は、「ゲイらしい」人物像というものを、演じてもらいたいとは思っていない。 いろんな男女がいるように、ゲイにだっていろんなキャラクターが存在する。 だから、僕が言うのは、もっと具体的なことだ。 他のどんなキャラクターを演じるときと同じに、ただ、その場にいてやりとりをしてくださいと。 すべての会話がオネエ言葉というゲイたちだってありだと思う。 ただ、僕はそういったものを描きたいとは思わない。 もっと普段なノリ、誰かにゲイだってことを説明するためにキャラクターを演じるようなものではなく、もちろん自意識はありえないほど過剰で、日常生活を過剰に演じてみせる一面もありながら、本当の本音の部分、なんでもない日常を生きていってほしいと思う。
たたき台としてずいぶん前に書いた場面を読んでもらう。ゲイバーのカウンターを囲んでのやりとり。 いっこうさん、今井さん、大門さん、羽田さん。 そして、若い二人のやりとり。チョビちゃんと坂本くん。 今まで登場させたことのないゲイのキャラクターを羽田さんにはお願いしている。 その後、大門さんを中心にバーの場面のエチュードを。自由自在な息がすばらしい。
場面をどんどこつくりあげていく稽古。 大勢の俳優さんたちが、もう大勢には感じられない。 そんな気持ちになった日。 一人一人が、ちゃんと特別な存在に見えてくる。 それでも、締め切った暗い稽古場は、空気がすぐこもってしまう。 換気が大事だよねと言い合う。
昨日に続いて、回想シーンの稽古を中心に。それとオープニング。 少し、早めに稽古をきりあげて、樺澤氏と打ち合わせ。制作のことなどなど。
大門さんがさっそく差し入れを持ってきてくれる。 今日は揚げ饅頭。みんなでおいしくいただく。 稽古は、チョビちゃん演じる直の回想シーンを中心に。 唯史役の數間さんの代役で、もともと一人の台詞を数人での割り台詞にしてみる。 突然ダイナミックな空間が生まれてくるのが、とってもおもしろい。
小雨模様。 マッサージ。拍手まわし。しりとり。場面をつくる、エチュード。そして、読み合わせ。 昨日は、流して読んでみたので、今日は、少し止めながらということで始めたのだけれど、なんとなく立ってみようということになり、なしくずし的に、細かくあれこれ確認しながらの稽古になってしまう。 実寸の舞台に、ソファが置いてあるのを使いながら、いろいろ動いてみる。 せりふの言い方を、こうやってと伝えるのはいやだなあと思う。 何がひっかかって出てくる言葉なのかとか、そういったことを確認しながら、すすめていく。 ゆるゆるでその場にいる俳優さんたちの状態がおもしろい。 帰りは雨脚が強くなった。 チョビちゃんと二人、池袋へはこれが絶対便利だよと、近くのバス停まで一緒に歩く。
稽古初日。 稽古前に、取材が一件。 去年もそうだったけれど、今年も女装してお迎えする。 今日は、スタッフのみなさんがきてくれる。照明の黒尾さん、舞台監督助手の藤本さん、美術の小池さん、そして制作スタッフの樺澤氏と遠山さん。 美術模型をみんなに見てもらいながら、こういうことになりますと説明。
稽古は二人一組でのマッサージから始める。 永いようで短い稽古期間のはじめにまずお互いの距離が近くなってもらいたい。 それにしても、キャスト全員が集まると、とても窮屈だ。 この狭さの感覚がだんだん変わってくるんだろうなと思う、シアターゲームは、拍手をまわしたり、しりとりをしたり。 その後、読み合わせ。 おお、そういうことか・・・と思うことたくさん。 持ち帰って、新たに考えることもたくさん。
無理を言って、仕事を休ませてもらい、明日からの稽古にそなえる。 稽古初日を前に、頭がいっぱいになっている。 わかったこと、わからないこと。決まったこと、決まらないこと。 その中ですっきり見えているものは、何か。 これまで考えてもいなかったことが浮かんできてしまったのだけれど、ひとまず脇によけておく。
今日から、そうぞう舎での稽古。というか、今日は稽古場仕込み。 樺澤氏の希望もあって、今回は、稽古場を立て込んでもらう。 僕は、自宅で台本に向かう。 装置プランをもとに、実寸でパネルを用意した。 開放的な校庭に面した窓もしっかりふさいで、校内公演の準備をしている視聴覚室のようなことになるはず。 僕は一日、「サロン」に向かう。傘を持たずに出かけて、大雨に降られる。
母校、小松川高校の新人公演。仕事のためうかがえず。 ばたばたと仕事を終え、帰りの電車の中から「サロン」に向かう。 MacBookの重たさはもう気にならなくなったけれど、走り書きにはやっぱりノートの方が便利だ。 こぶりのノートが走り書き=殴り書きで埋まっていく。
秋に作、演出をする、パルズシェアーの顔合わせワークショップに顔を出す。 今回、初めてのキャストもいるので、早い時期に一度会っておこうということになったので、さっくりと。 久しぶりなみんな、初めましてな面々。台本にとりかかるのは「サロン」のあと、稽古は、その先の9月の客演の舞台が終わってからだ。 全然知らない人が、知ってるこの人!に変わる、そんな時間。 持って行った森本薫のテキストへのアプローチが一人一人全然違うのもおもしろい。 帰りは、ばたばたと一人お先に失礼する。 小雨模様の広尾界隈。しっとりしたいい夜。
シアターグリーンで取材用映像の撮影。菜月チョビちゃんと二人で。 短いインタビューをロビーの片隅で。 チョビちゃんとやりとりするのは、今日がはじめて。ちょっとドキドキする。このドキドキを忘れずにいたいと思う。 僕は声だけで画面には登場しないので、ラクな気持ちでいたら、いつの間にか声が普通の男声になっていて、樺澤氏からチェックがはいる。 その後、顔合わせ&懇親会の会場へ。 今回の「サロン」の出演者が全員集合。それぞれ会っていても、全員が顔を合わすのは初めて。 簡単なあいさつのあと、あとはあちこちでしゃべりこむ。 二次会にそのまま流れてしまい、久しぶりに飲んだなあというかんじ。 これから約40日の稽古、どうぞよろしくお願いします!
照明の黒尾さん、美術の小池さん、舞監助手の藤本さん、制作スタッフと打ち合わせ。 前回の打ち合わせをもとにした装置の模型を小池さんが持ってきてくれた。 タッパがあって、空間をどう埋めようか考えてしまうシアターグリーンのBIGTREETHEATERだけれど、これならばっちりだ。台本に書いた、外枠は「どこかの クラブ」という設定もさりげなく生きている。 クライマックスの仕掛けなどについてもあれこれ話し合う。
2007年06月06日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 |
今日はダンス。実は今年度の授業にはなかなか行けずにいる。 ややひさしぶりなかんじの富士見丘小。 体調もかなりいまいちなので、今日のダンスは見学だと思っていたのだけれど、やっぱり一緒に踊ってしまう。 本山さんは、子供達をていねいに見渡しながら、着々と振り付けを進めていく。 予定としてはここまでと思っていたところから、ぐんぐん進んで、かなりの長丁場をみんなで踊る。 今年もまた、きみ、ダンスやってるでしょ?という子があちこちにいる。 踊りなれてる子も、そうでない子も、一緒に汗をかいて踊り、お互いのダンスを見る。 汗を流して、不思議とすっきりした気持ち。
2007年06月03日(日) |
劇団劇作家「劇読み vol.1」千穐楽2 |
「親シラズ」は11時半の開演。10時過ぎに劇場入りして、出演の伊藤さん、泉川さんとウォームアップをする。 朝いちの身体は、やっぱりなかなか起きない。しりとりをしたり、歩きながら順番に数を数えたり。できないことをチェックして、できるようになった変化を確認する。奇数より、偶数の方が数えやすいねとか。 開演した舞台は、初日よりも客席の反応がよくてびっくり。さもない親子の会話が当たりまえのように成り立っていて、リーディングだからと構えることもなく、すんなり芝居の中に入っていけたからだと思う。 開演前にお願いした、初日よりも、少しだけ観客を意識してみようということ、つまりは声をしっかり出してみようというダメもきれいに通って、とても気持ちよく、そしておもしろく見ることができた。 続く「白狐」は初日を拝見してるのと、満員御礼とのことで失礼して、続いては「佳子のさくら」。 数日ぶりの青木さん、菅野さん、児玉さんと最後の確認をあれこれ。この回も満員で、僕は最前列の桟敷で作者の佐藤さんと一緒に観劇。 児玉さんが、最初の語りで「作、佐藤喜久子」の後に、「演出、関根信一」と入れてくださっていた。びっくりしたのと同時に、あたたかな気遣いがとてもうれしい。 ドビュッシーのピアノ「夢」に乗って、万里子(青木さん)が座った車椅子を押して安子(菅野さん)が登場。開演前、青木さんに「登場の時、目をつぶってた方がいいかしら」と聞かれた。目をつぶって車椅子に乗るのは、気分が悪くなるかもしれないので、開けててだいじょうぶですよと答えた。 本編は、初日よりはややテンポよく、きちんきちんと運んでいった印象。それでも、二人が語る様々なものの色が今日も目に浮かぶようなリーディングだった。椿の葉の濃い緑、蝋梅の黄色、小さな詫助の花、夜の闇、そして桜の花。児玉さんの語る、音も聞こえてくるよう。水の音、靴音、そして沈黙まで。ベテランの女優さん二人が演ずる年老いた女性たちが、いつのまにか楽しげにおしゃべりする少女のように見えてくる。不思議な芝居。 ドビュッシーの「月の光」が流れ出して、この芝居が閉じていく。車椅子から立ち上がった青木さんの少しだけ微笑んだ表情を残して暗転。おつかれさまでした。 最後の舞台は、「円山町幻花」。稽古もリハーサルも見ていない舞台。演出は作者の三井さん。どんなだろうとわくわく。 渋谷円山町を舞台に東電OL殺人事件をモチーフにした作品。 今回の8本の作品の中で一番「男度」が高い気がする。演じている俳優さんたちも生々しい男と女だなあという気がする。 この作品を健翔さんが演出したらどうなるんだろう、僕だったらどうするんだろうと考えながら見つめる。 僕の担当する作品に出演の俳優さんたちが、ここでもまた全然違う顔を見せてくれている。 そして、終演、8本のリーディング公演×2、16回のステージは終了した。 終演後、スタッフのみなさんをお手伝いして、打ち上げの会場へ。 びっくりするほどの大人数の打ち上げ。みんな笑顔だ。 何度かの乾杯のあと、演出からの挨拶ということで健翔さんと僕から一言ずつ。 作家のみなさん、俳優のみなさん、そして現場のスタッフのみなさんが、今みんな笑顔でいることがとてもうれしいです。この公演がこうして無事にというか大成功で終わったということは、この企画自体が一つ「化けた」ということだと思います。声をかけていただいてほんとうに感謝です。お疲れ様でした! 「親シラズ」の伊藤さん、泉川さん、「在り処」の藤さんと同じテーブルでおしゃべり。「親シラズ」は、さもない話なのにとっても暖かい、まるで街のお肉やさんのおいしいコロッケのような芝居だと思うと話す。 その後は、「佳子のさくら」の青木さんともおしゃべり。芝居のことあれこれ。菊田一夫のことやらなにやら、芝居好きにはたまらない話をいろいろ。 ミラクルのオーナーの金さんが、今回の8作品の中からベストを選んで表彰する「ミラクル賞」の発表があった。 受賞したのは「在り処」。やった! 作者の相馬くんやキャストのみなさんと大喜びする。 一次会のお開きでお先に失礼することにする。最後に、僕が担当した4本の作品の作者、相馬くん、佐藤さん、福山さん、錦織さんと挨拶! 帰りの電車の中で、じーんと幸せな気持ちになる。しあわせだなあと思うのではなく、身体がよろこんでいるようなそんな感覚に気がつく。 たくさんの人と知り合えて、いろいろなことを発見させてもらった。 みなさん、どうもお疲れ様でした。そして、どうもありがとうございました。 僕は、これから、来週から始まる「サロン」の稽古に向かってまっしぐら。
2007年06月02日(土) |
劇団劇作家「劇読み vol.1」千穐楽1 |
13時開演で「在り処」千穐楽。 今日の舞台では、ラスト近くの板倉さんの芝居が特に胸に迫るものになっていた。 終演後、上演時間が5分近く伸びていたことが判明。 舞台監督の八着さんをはじめとする裏方のスタッフ、それに次の「ドールハウス」のキャストは大変だったそう。 リーディングで5分のびるってどういうことだろう。一昨日の初日の後のダメだしで、やりとりを大事にしてほしいと話したせいか、だんどりに手間取ったせいか、見ているときにはそれほど気にならなかったのだけれど。 同時に、ミラクルのあるビルのエレベーターが故障していたとの情報も。 続いて、「ドールハウス」千穐楽。 開演してすぐ、地震があった。結構大きい。上手壁際にすわっていた僕がつい壁を押さえてしまったくらい(意味なし)。 劇中でマナブくんが、ト書きの中で「地震があったけど・・」とさりげなくアドリブを入れてくれて、客席の緊張がふっとゆるんだ。ありがとう。 ラストまできれいに運んで、無事に終了。 今日、3本目は「フォルモサ!」、昨日の初日を見ることができなかったので、今日拝見する。 きっちり組み立てられた戯曲は、揺るがないんだなあと感心した。 もう一つ、さっきまで「ドールハウス」に出演していた面々、犬塚さん、遠藤さん、伊藤さん、剣持さん、金井さん、マナブくん、それに「在り処」の藤さん、板倉さん、唐沢くんが当たり前のように全然違う役で出演している。 なんだかものすごいことだなあと思う。 俳優のバネというか、心の筋肉というか、そんなもののしなやかな強さのことを思った。 歌舞伎では、一日に何本もの芝居を上演するのが当たり前だ。俳優も、次々違う役を演じていく。 でも、小劇場でこんなふうになることはなかなかないだろうと思う。 やればできるんだ・・・ということと、もう一つ、そんなふうな大変な状況で生き生きと役を生きている俳優さんたちが、とてもすてきに見えた。 最後は「正しい海賊のつくり方」。稽古もリハーサルも全然見ていない。えらいことになっているという噂はいろいろ・・・・。 この回も満員の客席で、キャストの奥山さん、遠藤さんと一緒に立ち見で観劇する。 始まってすぐわかったのは、このリーディングはライブだということ。 トランプのカードになっている台本は、全部で3冊。海賊船「男は奴隷号」の女たち、ママ(明樹さん)、ララ(里沙ちゃん)、リリ(伊藤めぐみさん)が持っているのを、5人の男たちがのぞき込みながら、読んでいく。 しかも動きが激しい。その場の主導権をにぎっているのは誰か。それによって、ララの台本を読んでいた男たちがリリの台本を読むようになったり。カードの一枚を渡して読ませたり。もう、何が起こるかわからない。おもしろさがいっぱい。 ここでも俳優さんたちは、生き生きと生きていた。 唐沢くん、剣持さん、マナブくんは、今日3本目の舞台。それぞれ一時間を超える上演時間で、単独での上演も可能なような作品を2本やった後のこの舞台。 出演者にすら、次がどうなるかわからない状況を、台本を頼りに、助け合って、進めていく。 その真剣さと楽しさ。堪能する。 最後、ほんとに「ブラボー!」と声をかけたかったのを、幕内からは行儀が悪いと思い、がまん。ああ、おもしろかった。 今日、僕は、結局、4本の舞台を見たわけだけれど、心配してたような「まだあるんかい?」というような気持ちにはちっともならなかった。 作家が書いた戯曲が、一つ一つが全然違う、おもしろい舞台として立ち上がっていたからだと思う。 幸せな気持ちで帰ってくる。
昨日の帰りの電車の中でぐったり寝てしまい、家に帰ったら熱が出ていた。 今日初日の二本は、僕の担当ではないので、お休みさせてもらって家にいる。 手を放れたという感覚が4倍になって、いっそうの開放感というか、宙ぶらりんのような気持ち。 でも、熱があるので、なんとなく横になって、今日も「サロン」の準備をする。 昼間、渡辺えり子さんが出演しているTVを見る。 このノリで今日の夜のポストパフォーマンストークに行かれるのだろうと思うと、ちょっと顔を出したいような気がしてきたけど、がまん。 一日、家にいる。
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