せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2007年01月31日(水) |
ヘビーローテーション |
富士見丘小学校のホームページに「高速マシーンに乗って」の最後の歌「毎日が大切な思い出」がアップされていたので、早速聞いてみる。 歩ちゃんの最後のセリフがイントロに重なっていて、それだけでもう、なんだかじーんとしてしまう。 この頃、僕の頭の中は、「落花生チャチャ」と「毎日が大切な思い出」がヘビーローテーションでかかってる。脈絡はなし。どっちも名曲。
4月に客演する、危婦人のみなさんと打ち合わせ。渋谷にて。 スギタクミさん、ザンヨウコさん、キキコロモさんと、カフェで待ち合わせ。 企画書をいただき、何をすればいいかをうかがう。 3本のオムニバスの最後のレビューに登場する「ゲスト」とのこと。 大部屋女優浜子に対する僕の役(?)のキャラ設定をスギさんにお願いして、さあ、何を歌おうか考える。衣装は? 今年、初の女装なので、やや緊張気味なのだけれど、夏の「サロン」も僕はほぼ全編女装の予定。心と体の準備を前倒しの気分だ。 その後、平田さんと高井戸で待ち合わせをして、子どもたちの感想文をもらう。これも入力してみんなに届けないと。 「サロン」に向かったり、作文を入力したり。静かな夜。
一日、仕事。富士見丘小学校の発表が終わり、一年目のDVDづくりもひと段落して、7月の「サロン」だけが見えている気持ち。 まずはプロットをああでもないこうでもないと考えていく作業。 原作に沿うのはどこか、大きく飛躍するのがどこかというのはもう決めてしまったので、あとは構成。 ガクゲイカイでの贋作シリーズでさんざんやっている、なんちゃってミュージカル。今回は、そのなかでもとびきりのものをつくりあげたいと思う。 歌詞より曲より、まずは台本。 今月いっぱいかかって一稿を仕上げるのが目標だ。
母校小松川高校の演劇部の冬公演にうかがう。 視聴覚室でのこじんまりとした公演。作品は一年生の村上恵理さんが書いた「STORY」。 来週の地区の冬季発表会に向けてということで上演時間は25分。 とてもおもしろかった。いい話だ。最後、泣かされてしまう。 終演後、一緒になったOBたちと一緒に、ダメ出しと感想を伝える。 その後、僕は阿佐ヶ谷アルシェに移動。篠原さんに頼まれてのリーディングの出演。 劇団劇作家という劇作家のみなさんの集まりの試演としてのリーディング。こちらも一作品25分。 僕は、遅い入りで、篠原さんによるル・グィンの「ゲド戦記」を読ませてもらう。 役柄は、賢人オジオンとネマール。二人ともじいさんだ(笑)。 声を低めに出して始めたのだけれど、途中の歌(ミュージカルなので)からだんだん地声に近い高さに。二役目のネマールは、「絵に描いたような」大賢人をイメージして読んでいく。 ご一緒した俳優のみなさん、どうもありがとうございました。
昨日もらった手紙を一日読んで、昨日これなかった講師陣のために入力をする。 あらためてうれしいのは、僕達講師の言葉を、子どもたちが覚えていてくれることだ。 僕や篠原さんが言った言葉が、そのまま書いてあってびっくりする。 言葉で思い出してくれるのはうれしいなと思う。 一日かけて終了、次は作文の入力もさせてもらう。
富士見丘小学校、今年度最後の授業。というか、当初の授業の予定とは別に、ふりかえりの時間をとっていただいた。 1時間目から校長室で、篠原さんと二人、子どもたちが書いた作文を読む。学校での発表が終わった時点で書かれた演劇授業についての作文。ああ、こんなことがあったんだという本番や練習中のできごとや子どもたちの思い、それに浴風園での発表に向けての心構えが見えてとてもおもしろい。 2時間目は、特活室での振り返りの時間。里沙ちゃん、にいやん、健翔さんと一緒に。 「感想を聞かせて」では、僕たちにだけうれしいリサーチになってしまうので、そうではなくて、子どもたちに「光速マシーンに乗って」の発表についての感想、聞いた話などを共有するための時間にしたいと話す。下級生や、家族はどんなことを言っていたか、また、演じていてどんなことを思ったかなど、大きな輪になって座り、みんなで言い合う時間。 それからもう一つ、今の五年生が、来年演劇授業を受けるにあたって、伝えておきたいことを教えてほしいと話す。 このことが、もう一度、一年間の演劇授業を振り返るきっかけになるんじゃないかと思ったからだ。 ほぼ全員から、いろいろな意見や感想が出た一時間の授業。とてもおもしろかった。 こういった時間は、実は、今年度、はじめてもったものだ。各授業のあとの振り返りの時間も今年度はなるたけとるようにしてきた。ただやるだけでなく、それがどう届いているかの確認と、共有はとても大事なことだと気がついた。 最後に、子どもたちから「お礼の手紙」をもらう。感想の作文とは別に、僕達講師陣へあてた手紙だ。 挨拶をして、これでほんとに終わりなんだなあとせつない気持ちになった。 校長室で、もらった手紙を読む。作文同様、どれもとてもあたたかな気持ちにさせてくれるものばかりだ。 子どもたちが書いたものからうかがえるのは、彼らが、演劇を通じてどう変わったかということではなく、彼らが自分達がつくりあげた舞台に誇りをもっているということだ。力を合わせて、一生懸命やった、そのことにとても満足しているかんじ。いい思い出になったんだということがとてもよくわかる。そのことがとてもうれしい。年間を通しての授業のめあてというか、行き先が見えたようなきもち。
2007年01月25日(木) |
ピンズ・ログ「原形質・印象」 |
森川くんが出演している舞台を見に、OFF・OFFシアターへ。 昨演出の平林亜希子さんの12年前の作品。これまで見てきたピンズ・ログの2作品とはずいぶん印象がちがう。 寓話というか、おとぎ話というか、登場するキャラクターは何人もいるのだけれど、作者であるピンさんの思いが言葉を通してずっと響いてくる、そんな気がした。 人間たちがしっかりその場にいて、言葉にならないものをいっぱい抱えて、どうしようもなくぶつかるこれまでの2作と、12年前のこの作品との違いの大きさがとてもおもしろく思えた。 終演後、森川くんにご挨拶。久しぶりな本田さんにも。キキコロモちゃんともばったり。「落花生チャチャ」の話をいろいろ聞かせてもらう。 ネットカフェに寄ろうと下北の町を歩いていたら、下北FMの公開放送に出くわした。ゲストは、中村中。しばらくして登場した彼女は、とっても美しい人だった。ライブはなさそうだったので、トークを少し聞いて、「友達の詩」が流れ出したところで失礼する。 夜は、篠原さんとDVDテキストの校正と明日の授業の打ち合わせ。
今日も一日休んでしまう。熱はだんだん下がってきた。 夕べ、何度も目を覚ましてはまた眠り、その都度見る夢がみんな、富士見丘小学校のことばかりだった。何度目かに起きた朝方、そのことに気がつき、ちょっとあきれる。 4月に客演する「危婦人」のスギさんから送っていただいたDVDを見る。オリジナルの歌「落花生チャチャ」のプロモビデオだ。歌っているのは、先日のサンモールスタジオの新年会で仲良くなったザンヨウコさん(このビデオの中では大部屋女優、浜子の設定か?)。バックダンサーとしてお友達のキキコロモちゃんも顔を黒くして(!)踊っている。 「落花生チャチャ」、とってもすばらしい。名曲だと思う。ゆるさといい、秘めた(?)女心のせつなさといい、お見事だ! 「オレイン ポリフェノール 渋皮 たんぱく質」(落花生だからね)という男声バックコーラスもツボ。そして何より、ザンヨウコさんの歌唱力と目ぢからに感動する。思わず三回続けて見てしまった。これはジオマンのマルゴリータ・なすにすぐ見せないと。4月の客演がぐーんと楽しみになった。 客演の日程は4月11日(火)、12日(水)の二日間。会場は北沢タウンホール。くわしくはまた改めてお知らせいたします。 夜、富士見丘小学校のDVDの校正をする。篠原さんとメールと電話でやりとり。 この仕事ももうじき終わり。 三年間の演劇プロジェクトも一区切り、四年目はどうなるのか? そして、それ以降は? あれこれ考えながら、それでもやっぱり眠ってしまった一日。
2007年01月23日(火) |
「光速マシーンに乗って」千穐楽 |
昨日の昼間寝てすごしてしまったので、夜中は起きてしまい、そのまま6時半に家を出る。熱はずいぶん下がった。 篠原さん、里紗ちゃん、にいやんと富士見ヶ丘駅で待ち合わせ。 照明のあやさんと合流し、会場になるホールの仕込みを開始。 小学校から、平田さんが、小道具を車でピストン輸送してくれる。 大黒幕をつり、星球を飾って、今日の星空を作る。 園のみなさんが客席を準備してくださって、昼過ぎには準備は終了。 1時に給食を食べてやってくる子どもたちを待つ。 外に面した窓から、みんながやってくるのが見えた。各自、衣装や小道具を持参している。杉浦博士役のマツザワくんは、もう白衣を着て歩いてきた。 14時開演予定なので、場当たりも全部はできない。 一番位置の変更が大きい、ダンスの場面と、全員で歌う場面をつくっていく。 体育館よりふた周り小さい今日の会場は、実はこの芝居にはちょうどいいサイズかもしれない。みんなで練習した歌も、体育館よりずっときれいに響いた。 声もよく聞こえる。ただ、響きすぎてしまうので、そのことに安心してかえって聞こえなくなるのではという心配も。 開演前に、初めての会場で心配がいっぱいあるかと思いますが、思い切って、今日の舞台を楽しんでください。今日のお客さまはお年寄りなので、耳がよく聞こえない方や、目がよく見えない方がいるかもしれません。そのためにも、これまでよりもていねいに「手渡すこと」を心がけてくださいと話した。 開演前の短い時間に、警備員1の役のシマダさんに「笛思いきり吹いてもいいですか?」と質問される。彼女は劇中、他の警備員を集めるためにホイッスルを吹く。お年寄りをびっくりさせないかと心配したのだと思う。「大丈夫。いつもどおりに吹いていいよ」とこたえた。うとうとしてる人が目を覚ますくらいにねと。 14時開演予定の舞台は、お年寄りは会場にやってくるのに時間がかかるということで、15分押しになった。 会場の浴風園は広い施設だ。園内にいくつもの建物が並び、かつての武蔵野はこんなだったんだろうという木立も残っている。 古い趣のある建物は映画やテレビの撮影によく使われるそうだ。 160席用意した客席が三分の二以上(もっとか?)きれいに埋まって、開演。 テンポの速い、台詞の多い、そして、場面の展開も多い、この芝居を、お年寄りのみなさんはとても熱心に見ていてくださった。時に笑い声を上げながら、暖かく。 子どもたちは、準備がばたばたしたせいか、ところどころでトラブルに遭遇しながら、それでも最後まできっちり全員が演じきった。 体育館であったひな壇が今回はないので、その場面の位置は大幅に変更になっている。ダンスや歌の場面、それに犬たちのすみかの場面は、場当たりをしたのだけれど、細かい部分は、説明だけで時間がなくなった。 大切な思い出の中の、歩ちゃんの弟の貴史くんが風邪で寝ている場面。貴史役のミヤザキくんとお父さん役のムラシマくんは、その後、舞台の奥で歩とチョコの場面がある間、体育館ではひな壇の中段で待っていた。今日は、階段がないので、それまでのシーンで貴史くんが寝ていたのは舞台の上、それが奥で歩とチョコの芝居がはじまったら、二人でそっと舞台から降りて、フロアでの芝居に変更してくれた。ちゃんと考えてくれたんだねえとうれしくなる。なかなかできることじゃないと思う。自分のことだけじゃなくて、芝居全体のことを考えられているからこそだ。後で聞いたら、篠原さんもこの場面で感動したと言っていた。 あたたかい拍手をいただいて、お礼としてお菓子のプレゼントを一人一人いただいて、無事終了。僕は、控え室の前で子どもたちに拍手を送った。お疲れさま。 子どもたちは、その後、学校に戻って下校。今週の金曜日に用意していただいた振り返りの時間で、一年間の演劇授業はすべて終了だ。 スタッフの僕らは、すぐにバラしを始める。さくさくと星球を下ろし、照明のふりを元に戻して、小道具の跳び箱やウレタンブロックを平田さんの車でまたピストン輸送。小一時間で終了。 のりうちバラシのすごいいきおいの公演だったなあと振り返る。子どもたちはよくこのいきおいについてきたなあと改めて感動。 友人の太田さんが、今日の舞台を見に来てくれていた。感想を聞いたところ、子どもたちの集中力とまとまりのよさに「びっくりした」とのこと。たしかにそうかもしれない。こんなことができる小学六年生はそういるもんじゃないと思う。 外で平田さんの車を待っている間、園のマジック同好会の方に声をかけられる。今日の舞台は見られなかったけど、いつかまた子どもたちを一緒に何かやれないかとのこと。うん、子どもたちが演劇を見せて、お年寄りがマジックやその他の出し物を見せるというのは、なかなか楽しい企画かもしれない。 帰り、篠原さん、あやさん、里紗ちゃん、にいやんは、お蕎麦屋さんで食事がてら軽く打ち上げ。僕は、また熱が上がってきたようなので、お先に失礼する。 電車の中でダウンして、家に帰ったら、熱は38度5分。またか・・・。とにかく薬を飲んで寝る。猫と一緒に。
風邪をひいた。富士見丘の発表が終わって、気がゆるんだのかもしれない。熱を出して、一日寝てしまう。 この間の知恵熱とはちがう、のどが強烈に痛くなるいやな風邪っぽい。鼻水が大量に出て、ティッシュを一箱使い切ってしまう。 目がかゆくて、鼻水が出るというのは花粉症か?という疑いがわく。花粉症の薬を鼻に塗ったらたしかに少しラクになった。 午後、テレビ東京でやっていた映画「マグノリアの花たち」を見てしまう。何度も見ている大好きな映画だけれど、吹き替えでは初めて。カットもそんなになく、やっぱりいいなとあらためて思う。 オリジナルの舞台は美容室を舞台にしたワンセットのドラマだけれど、映画は小さな町の日常をたんねんに写し取ったもの。ワイルダーの「我が町」のようだなあと思う。ほろほろと泣いて、少し目のかゆみと鼻水がラクになったような気分。 夜になって、ふと花粉のおおもとが部屋の中にあることに気がつく。 このあいだ、サンモールスタジオの新年会でいただいた最優秀女優賞と一緒にもらったバラの花束だ。大輪の真っ赤なバラが十本、それに百合を大きな花瓶に活けて部屋に置いてあるのが、十日経って今は「満開」だ。そうだ、これを片づけようと思い、花びらをむしって机の上にならべる。花粉がいっぱいついて花芯は茎と一緒にゴミ袋に入れ、花瓶には、まだ咲きそうな百合のつぼみだけを残した。気のせいか、ずいぶんラクになった目と鼻にほっとして、また一眠りする。 明日は、6年生にとって、最後の発表。学校の近くの老人施設「浴風園」での発表だ。 朝から準備をして、ほとんどぶっつけの本番だ。どうなるだろう? 僕はとにかく明日にそなえて今日は休む。
2007年01月21日(日) |
鹿殺し「僕を愛ちて」 |
3月の客演の舞台の稽古の予定が変更になり、制作会議ということになり、キャストのみなさん、プロデューサーのみなさんと集まった。 3月の舞台はとりあえず延期ということになり、日程を含めて仕切り直しということに。 夏以降の予定を伝え、会場の候補などについて話し合い、その後はあれこれとおしゃべりをして、解散。 稽古に入った舞台が延期になるというのは、初めての経験だ。 より練り直しての舞台になると思うので、くわしい情報はあらためてお知らせしたいと思います。 夜は、鹿殺しの舞台「僕を愛ちて」を観に池袋のシアターグリーンへ。樺澤氏と。 中劇場には初めて入ったのだけれど、ちょうどいい大きさでとてもいい雰囲気だ。 鹿殺しのみなさんとは去年の絶対王様「宇宙人の新撰組」で共演して以来だ。 公演の日程が合わず、本公演を観るのは今回が初めて。 おもしろかった。 ラジカルな状況劇場というか(古いか?)、とにかく熱い舞台でとても気持ちがよかった。 全員がほぼ出ずっぱりで、何役もこなし、早変わりやら、舞台裏のサポートやら、みんなで作る上げている感がこの熱さのもとなのだろうと思う。 ちょっと不思議だったのは、舞台の熱さに対する、客席の温度だ。もっとラクに見ててもいいのに、なんだかみんなかしこまっているような、固い雰囲気だった・・・。初めてのお客さんが多いのかしら? もっともっとみんなでわいわい盛り上がれる舞台(客席を含めて)になったらいいと思う。「がんばれ、鹿殺し!」と心の中でエールを送る。 終演後、楽屋で(というか舞台裏になっている階段踊り場で)座長のチョビさん、はじめ、みなさんにご挨拶。 7月の「サロン」に客演してもらうチョビさんにあれこれと質問をして、演じてもらうことになる直(なお)の役のイメージをふくらませる。 イメージ通りのキャラクターでより楽しみになった。 この舞台を観るのが、「サロン」の台本を書き始める前の最後の準備だったので、これからばりばり書き進めていこうと思う。
夕べは目がさえてなかなか眠れず、寝過ぎたかなというくらいぐっすり眠って、昼過ぎに起きる。 夕方、友人の太田さんと会って、おしゃべり。 芝居の話や、近況などを聞くつもりだったのだけれど、終わったばかりの富士見丘小の発表のことをるんるんしゃべってしまう。 去年もこの調子で、鹿殺しの面々に語ってしまったなあと思い出す。 同年代の演劇人と話すのはとても楽しい。 23日の浴風園での発表を見てもらえるかもしれないと聞く。 3日、間が空いての子どもたちはどんな気持ちで最後の舞台に向きあってくれるだろう。 出来のよしあしよりも、彼ら一人一人にどんな思いがプラスされるか、それが気がかり&楽しみだ。
2007年01月19日(金) |
富士見丘小学校演劇授業 「光速マシーンに乗って」本番 |
今日もダンスの朝練をするということで、僕たちも8時に体育館に集合。 去年は、蓄光テープをひな段に貼ったり、気持ちもどこかあわただしかったのだけれど、今年はすんと落ち着いた気持ち。それがとても不思議だ。 宮崎さんの指導で全員でダンス。全員参加の練習というわけではないのだけれど、ほぼ全員が集まって、元気に踊った。朝一番のウォーミングアップだ。 その後、六年生は校庭で卒業アルバムのための集合写真の撮影。僕たちは体育館で最後のアドバイス、演出の変更点をどう伝えようかと打ち合わせ。 最後の場面にひな壇に全員集合するところを、立つのではなく座ってもらうことに変更する。その方が暗転中に星空がよく見えるから。 その後、一回ダンスだけをさらって、本番前に一度通してみる。細かく小返しをするより、通してみることで全体の中に自分がどういるのかを確認してほしい。 昨日の夕方から体育館に来た大型の石油ストーブはかなり強力なのだけれど、今朝になってから点けたのでなかなか暖まらない。外は強い風が吹いていて、校庭側のドアのすきまから冷たい風がどんどん入ってくる。大きな音のするストーブを今はつけておこうということで点けっぱなしにしたので、台詞はかなり聞こえにくい。 そんな中、子どもたちはがんばった。ちょっと元気がないかな?という部分もあったけれど、本番のできがいいかんじにイメージできる、そんな最終リハーサルだった。 開演前に横内さんが来てくれる。差し入れをたくさんいただく。感謝だ。時間をやりくりして来てくれたというそのことが、とてもうれしい。 教室には戻らないで、そのまま下級生を迎えて、本番開始。下級生、特に低学年の子どもたちがどんなふうにこの芝居を観てくれるかがとても心配であり、また楽しみ。 上演中、小さな子供たちは、騒ぐこともなく、しっかり見つづけてくれていた。登場人物のおかしな一言一言にちゃんと反応して笑ったり、空を指さして見上げれば、一緒になって上を向いたり。 この芝居の中盤は、かなり重厚な台詞の芝居になっている。未来人が過去を悔いて話す場面、そして、未来に来てしまった博士一行が現代に戻るには、大切な思い出を置いていってくれなくてはいけないと話す場面、そして、その思い出はエネルギーとして使ってしまうと、全員の記憶から消されてしまうと話す場面。 終了後のふりかえりで青井さんが話したように、この場面はこの芝居の要になる部分だ。そして、この場面が芝居全体の中で一番だれやすい時間、開演して45分過ぎたあたりにある。 出演していた子どもたちは、下級生を前にして、やや緊張気味だったせいもあり、このあたりの台詞のとおりがちょっと悪くなった。それでも、低学年の子どもたちはさわぐことなく見続けてくれて、最後の星空では歓声が、全員の歌で暗転したときには大きな拍手がおこった。 発表のあと、視聴覚室でふりかえり。今の発表の感想を子どもたちから言ってもらい、僕たちからも思ったことを言わせてもらう。 給食をミーティングルームでいただいて、その後、保健室に移動して一休み。こんなに長い時間、保健室にいるのは初めて。青井さん、健翔さん、里紗ちゃん、扉座のにいやん(新原くん)とおいてある本を見てみたり、くつろぐ。大人がこんなにいる小学校の保健室ってなんだか舞台みたいだと話す。保健室ってたしかにドラマチックだよねと健翔さん。その後、場所もおもしろいけど、いる今日の面々もかなり特別だねと言い合った。 五時間目は、他の学年は研究授業。六年生は、一度視聴覚室に集まって、午後の保護者と来賓の方々に見てもらう舞台の準備。 細かい修正はなるたけなしにしたかったのだけれど、最後の暗転の後のランプと星球の付き方のタイミングを直す。ランプを持っている未来人たいが役のコバヤシくんには、最後になって新たな段取りをおぼえてもらわないといけない。それに対する他のみんなのリアクションも変わるので、これもまた全員の仕事だ。 体育館に移動して、段取りの確認。いいかんじになった。 最後に、講師陣から一言ずつ。僕は、これから見てくれる大人は、午前中の子どもたちよりももしかするとあまり集中して見てくれないかもしれません(去年はややその傾向があった)。だから、余計に芝居を「手渡す」ことを意識してください。みんなに書いてもらった作文をもとに僕と篠原さんはこの「光速マシーンに乗って」を書き上げました。どの台詞もとても大事です。全部の台詞がきちんと聞こえて、お客さんに届いてほしいと思います。「手渡す」ことを忘れないでくださいね。 そう言いながら、篠原さんに見えない「モノ」を手渡した。「こんなふうに」と。篠原さんは、その何かをひな壇に並んだ子どもたちの一人に渡した。健翔さんが、みんなで回してごらんと言ってくれた。子どもたちは、その何か、たぶん「思い」を全員で順に手渡してリレーしていった。最後にまた篠原さんが受け取って、体育館の広い空間に向かって広げた。 何の打ち合わせもしていなかったのだけれど、この「手渡し」の確認はとてもいい時間だったと思う。 この間、全員で数を数えたのと同じくらいの集中をみんなが共有できたんじゃないかと思う。 その後、開場。子どもたちは、舞台にいたまま、お客さんを迎えた。僕はこのゆるいかんじがとても好きだ。袖で引っ込んでドキドキするよりずっといい。今回は単純に時間がなかったせいだけど、結果として子どもたちは、心の準備がずいぶんできたんじゃないかと思う。 劇作家協会からは永井愛さん、それに斎藤憐さんが来てくださった。 予定した席はみるみるいっぱいになって、僕は、こっちが空いてますよと、先生方と一緒に客席の誘導をしていた。 そして、開演。 大人達は、びっくりするくらい集中して舞台を見てくれた。子どもたちもそれに応えて、ていねいに芝居を積み重ねていってくれた。見ながら、さっきみんなで話した「手渡す」ということが、目の当たり現実になっているのを見て、涙が出てきた。 一番気がかりだった未来人の場面、リーダーのむつき役のナナコちゃんが、この芝居の要、ポイントになる台詞をこれまでにない力強さで語ってくれた。感動する。 今は遺跡になってしまって動かない光速マシーンを動かすには、思いの力の中でも一番強い、思い出の力が必要だ。過去に戻るには、その中でも一番大切な思い出を使わなくてはいけない。ただし、エネルギーとして使った思い出は、全員の記憶から消去されてしまう。 このロジックは、実は、ナナコちゃんが書いてくれた作文から取り入れたものだ(「むつき」という役名も)。その台詞を語る、この「むつき」という役を、ナナコちゃんはオーディションのとき、自分でやりたいと言ってくれた。今日のむつき役はとても素晴らしかった。 「全部の台詞が聞こえたい」とお願いしたとおり、この回の台詞はどれもみんな聞こえてきた。何度も見ている僕だからかもしれないけれど、これまでにない手応えをもった言葉になって体育館にひびいていたことは間違いない。意識するってなんてすごいんだろうと思った。そして、そのことをやってしまえることのすごさ、今この場所、時間にいることのかけがえのなさを思った。 最後の暗転。たいが役のコバヤシくんが掲げたランプ(思いの力でともった)をみんな見ているなか、星空が浮かび上がって、フロアの博士一行が現代に戻ってくる。 ランプにこもった思いが、きれいに星空につながり、広がった。 大切な思い出として、自分と歩ちゃんの思い出を使ってと申し出た犬のチョコ。現代に戻ったチョコは、一行から離れてぽつんと座っている。みんなの記憶から、仲良しだった歩ちゃんの記憶からもいなくなってしまったからだ。 チョコの声のルイちゃんと操りのイイダさんに、僕は「博士たちが歩き出したあと、ちょっとだけ待ってから後を追いかけて」とお願いした。その方が、チョコが忘れられてしまったということがわかるからと。 この微妙な段取りを二人はみごとに演じてくれた。そして、歩に追いつくと「キャン」と鳴く。振り返った歩は、「かわいい犬。お前、捨て犬? うち、今、お母さんがいないから飼えないんだ。ごめんね」と歩き出す。また「キャウーン」と鳴くチョコ。歩は「おいで、名前なんていうの? チビ? ポチ? 茶色いからココアかな? チョコ?」「キャン!」「チョコ! はじめまして、私は歩。一緒に行こう!」「キャン!」 この場面は、ラストをどうしようかと考えているときに長崎先生から提案してもらったアイデアをもとにしている。記憶から消えたまんまじゃ哀しいし、こういう再会って「韓流ドラマ」によくあると。 そうしてできあがった、この芝居のラストは、名場面だと思う。チョコ役の二人も、歩役のスギヤマさんもとてもすばらしかった。 そして、最後に全員で歌う歌「毎日が大切な思い出」。劇中、どの思い出が一番大切かを話しあった子どもたちは、思い出に一番も二番もない。毎日は思い出のかたまりだと気がつき、「毎日が大切な思い出」という歌を歌う。この考え(思想)も子どもたちの作文からもらったものだ。 僕たちは、台本を書く中で、「あなたの一番大切な思い出を教えてください」と作文の宿題をお願いした。届いた作文には、すばらしい思い出がたくさんあって、その中のいくつかをそのまま、また何人かの思い出をつなぎあわせて、芝居にとりいれた。そして、何人もが書いてくれた「思い出に一番も二番もない」「毎日が大切な思い出だと思う」というのもそのまま使わせてもらった。歌の歌詞も子どもたちにこの場面をもとに書いてもらったモノに手をくわえてできあがっている。 大人が思いついて、「こういうことだから歌ってね」と渡したものだったら、この歌はこんなに胸に迫るものにならなかったと思う。その微妙さ、ほんの小さなことだけれど、この違いを丹念につむいでいくことが、僕たち、大人の演劇人がやらなければいけないことだと思う。 歌い終わって、星空を残しての暗転。大きな拍手をいただいた。 視聴覚室で振り返りをして子どもたちは下校。 講師陣も一言ずつ感想を言わせてもらった。子どもたちはみんなとてもいい顔をしていた。一人残らず。ちなみに今日は欠席の子は一人もいなかった。全員で、ほんとに全員で力を合わせて舞台をつくりあげた。 僕はこんなことを言わせてもらった。「お疲れさまでした。すばらしい舞台でした。台詞はみんな聞こえていましたし、ちゃんと届いていたと思います。みなさんの伝えようという思いが伝わってきた舞台でした。今、みんながとてもいい顔をしているのがほんとうにうれしいです。演劇というのは、一人ではできないことを大勢で力をあわせてつくりあげるものです。今日は、みなさん全員が一人一人がんばって、力を合わせて舞台をつくりあげました。出演者もスタッフも先生方も僕たち講師もそして観客のみなさんもみんなでつくりあげた今日の舞台です。今、みなさんが心の中で感じていることが、芝居をつくりあげることのよろこびです。僕たちは、その気持ちをずっと味わっていたくて、演劇を続けています。」 解散して、そのまま体育館のシンポジウムへ。青井さん、健翔さん、里紗ちゃん、にいやん、平田さんと一緒に、後方のマットや平均台に座ってお話をうかがう。 去年、総合的な学習の時間についてお話をしてくださった嶋野先生。僕は、先生方と一緒にそのお話をうかがって、演劇授業のあり方について考えるきっかけをたくさんいただいた。富士見丘小学校で通年で行っている、「対話・会話」の授業の栗岩先生。PTA会長の木村さん。そして、長崎先生と篠原さん。司会は、学校評議員でもあり文化庁国語調査官の鈴木仁也さん。 心に残る、そしてうれしい、また大切なお話をたくさんうかがった。中でも、木村さんが、2、3年生のご自身のお子さんたちに「六年生になったら演劇やりたい? ずいぶん大変みたいよ?」と聞いたところ、「やりたい」と言っていたというお話がとてもとてもうれしかった。 シンポジウムを聞いていた大勢の保護者の方、そして発表を見に来てくださったみなさんが、最後までずっと残ってくださっていたこともうれしく、ありがたかった。 終了後、大いそぎで撤収。その後、先生方と一緒に、打ち上げというか振りかえりの会におじゃまする。 去年の6年生の担任だった若林先生とあらためてご挨拶。 田中先生、阿部先生のお隣に座って、授業の裏話をいろいろうかがう。今日の昼休みに特別に練習をしていたということ。子どもたちの言葉もたくさんうかがった。こうして、ある意味、ざっくばらんにお話ができている今がとてもうれしい。 一人一人の挨拶の時間、僕も一言。「去年の発表会の後のこの席で、三年目は先生方に演劇授業を受け渡すのが目標だとお話ししたと思いますが、今年一年、そして今日の発表まで先生方の取り組みを拝見して、その目標は果たせたのではないかと思っています」とお話しする。 三年間の演劇授業は一年ごとがどうなるかわからない、その場その場で考え実行していかなくてはいけないことばかりだったけれども、講師陣と先生方は、協力して演劇授業を作り上げることができるようになったと思う。 三年もかかったというべきか、三年でできてしまったというべきかはわからない。 子ども達に、コミュニケーションの大切さを伝えるため、演劇のおもしろさを感じてもらうための演劇授業を通じて、僕たちは、まさに子どもたちに教えようとしていたそのことをそのまんま学んだのだと思う。そのことをあらためて思った。 帰りの電車では、篠原さんと今日のふりかえり。そして、来週の浴風園での発表の打ち合わせも。
2007年01月18日(木) |
富士見丘小学校演劇授業 リハーサル |
濃霧のせいで電車が今日もぐずぐず遅れ、早めに出たのにぎりぎりに到着する。 今日もダンスから始める。振り付けの日にお休みだった子も特訓して踊れるようになった。なかなか朝学校にこれない子が、8時からのダンスの練習には率先して参加してくれているそうだ。昨日は、3番乗り。今日は、一番乗りだったそう。こういう話を聞くと、ほんとにうれしい。演劇の授業があるから、今日はこれたという話を聞くのと同じように。 1回目の通しをまずはしてみる。問題点が見えてきた印象。でも、みんなそれぞれの役をのびのびと演じている。 途中休憩して、ダメだしをして、それを踏まえての二度目の通し。 僕は初めて、台本を追わずに、細かくチェックのメモを取ることもしないで、芝居だけを見せてもらう。 感動する。そして、最後にほろっとした。僕は泣き虫だけれど、これはいい芝居だと思う。今回の芝居「光速マシーンに乗って」は、まるで高校生が演じてもいいんじゃないかというくらい、大人な芝居だ。 でも、篠原さんと僕は、この台本を、子供たちの台本をもとにして書き上げた。 中に登場する、考え方も、全部、出発点は子供たちだ。 「毎日が大切な思い出」という歌、犬と女の子の友情、どれも切なくあたたかい。 65人全員が必ず何かの役を演じて、せりふをしゃべる。一人がかけてもこの芝居はできない、ほんとうに6年生全員でつくりあげている舞台。そのことに感動してしまう。 一人ひとりの工夫や、がんばりが、舞台の向こうに見えてくるからなおさらだ。 明日の本番でいったいどんな芝居になっていくか。午前中は1年生から5年生を前にしての発表、そして、午後は保護者のみなさんや来賓の方々、大人を前にしての発表。これまでずっといなかった観客を前にして、初めてできあがる舞台。 明日の朝は打ち合わせとウォームアップだけの予定だったのだけれど、60分で終わるならということで、本番前に一度通してみることになった。 どんどん慣れて、どんどんのびのびやれるようになっていってほしい。 あしたがほんとに楽しみだ。
2007年01月17日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 |
朝8時からこどもたちはダンスの練習をしたそうだ。 ダンスの先生をしている宮崎さんの指導のもと、がんがん踊ったそう。 その後の授業は、はじまりからみんな顔が元気だった。 朝いちで見せてもらったダンスも、ずいぶんかっこよくなっていて、何より、みんなの笑顔がぐーんとよくなった。練習して、よくなった、そのうれしさ、楽しさがそのまま表情に表れているかんじ。 まずは一回通してみる。 この間につづいての二度目の通し稽古。 いいかんじなのだけれど、もっとよくなるはず。 今日は二度通そうかという話もあったのだけれど、後半は、小返しにあてる。 臨時の授業だったので、音楽の畑先生はいない。後半の二曲の歌はアカペラで歌った。そのせいで、かえって歌詞がよくわかったかもしれない。 明日は二回通すよと話して今日はおしまい。 明日はリハーサル。あさっては本番だ。
2007年01月16日(火) |
富士見丘小学校演劇授業 |
急遽、3,4時間目を使っての練習。 今日は、全体を小返し。細かく、芝居をつくっていく。 その後、23日に公演をしにいく近くの老人施設「浴風園」に行く。舞台に使う、黒幕を拝借するため。 今回の舞台は最後に星空が登場する。富士見小には大黒幕がないので、扉座さんから借りようかと思ったのだけれど、昨日、浴風園に下見に行ってくれた照明の伊藤さんから拝借できると連絡をもらった。 見事に大きな黒幕。大事におあずかりする。食堂で食事をして、その後、富士見小の体育館で照明の仕込を開始。 荷物を降ろしているときに、五年生が体育館の片づけをしてくれる。そのにぎやかなことにびっくり。毎年毎年、学年ごとにカラーが違うというのはほんとうだ。 その後、僕と前田先生、吉住先生、曽我部副校長先生は、大黒幕を吊って、星球のセット。いい星空ができた。 伊藤さんの照明の仕込みのお手伝いもして(機材を運んだりとか)18時過ぎに終了。職員室で先生方とお茶をいただいて、今日はおしまい。 伊藤さんに新宿まで車で送ってもらいながら、芝居の話あれこれ。
2007年01月15日(月) |
富士見丘小学校演劇授業 |
富士見丘小学校、今日は本山新之助さんによるダンスだ。 本番まであとわずかだけど、オープニングのダンスをふりつけていただく。 48秒のハッピーバースデイのダンスだ。 僕は、朝から電車が遅れに遅れて大遅刻。途中から参加する。 短いけど、ちょっとむずかしいかな?なダンス。でも、とってもかっこいい。 明日以降、こどもたちは自主練習を重ねていく予定。 午後、篠原さんと一緒にボイジャーに行き、データ入稿の確認とデザインのうちあわせ。 もうひとつ、肩の荷がおりた気分。足取りがシンプルに軽くなった気分。
2007年01月14日(日) |
DVDテキストづくり |
昨日に続いて、篠原さんと劇作家協会。 今日中に仕上げないといけない。 午後になってようやくめどが立つが、もうひといき。 夕方、小松川高校の演劇部の後輩、信太くんが出演する東京農大の劇研の公演、鴻上尚史作「トランス」見に行く。同じく、後輩の小林くんと一緒に。 素朴な、あたたかい「トランス」だった、みんなが抱えてる痛みが信じられる、そんなかんじ。信太くんからは、ゲイを演じるということについて相談のメールをもらっていた。特殊に演じようとしないほうがいいと思うよと伝えたのだけれど、今日見た参三役は無理のない、ちゃんとした人物として成立していた。 終演後、信太くんに挨拶、ブルーのシャドーのメイクに、も少しアイラインを強く入れたほうがいいよとアドバイス。 そのまま、また駒場の劇作家協会へ。テキストの修正点を仕上げておいてくれた篠原さんと最終の確認。できあがった。 明日は入稿だ。これでひとつ肩の荷がおりた。あとは富士見丘の本番にむかってがんばるだけだ(あ、がんばるのは子供たちで、ぼくらは支えるだけだけれども)。
2007年01月13日(土) |
DVDテキストづくり |
篠原さんと一緒に、劇作家協会にこもって、DVDのテキストづくり。 大きな変更点というか、構成を変えていく作業。 やや機械的に、そして、過剰なところをすっきりと整理していく。 夜、僕は、青山吉良さんの舞台「カルテット」を見に、麻布ディープラッツヘ。 ハイナー・ミュラー作の難解なテキストを立ち上げていく、力技。原作のラクロの「危険な関係」をごっこ遊びのようにもてあそぶ二人の男女。 青山さんのアンニュイなそして過激な女性像が迫力。 同じ舞台を見ていた水月アキラと帰ってくる。地下鉄の中で、芝居の話をあれこれと。
2007年01月12日(金) |
富士見丘小学校演劇授業 |
富士見丘小学校の授業、今日は一時間目から。 一昨日の授業をふまえて、早めに行って、授業の前に打ち合わせをしようと篠原さんと約束した。 まだ暗いうちに家を出る。ああ、発表会が近いんだなあと思う。思ってたより空いてる電車を乗り継いで8時過ぎに到着する。 1時間目は、一昨日の続き。健翔さんと篠原さんは犬たちの場面。僕は警備員と未来人の場面、里紗ちゃんには、鏡の場面と歩の母の場面をお願いする。 作りきれなかった部分を作るということでかなりあわただしく。警備員の場面は、代役でなく実際の面々で稽古ができて、かえってラッキーなかんじ。警備員1のシマダさんがみんなをひっぱってくれている。対する現代人の面々も、やりとりがていねいになってきた。みんなで空を見るところなどなど、ポイントになる場面をおさえていく。 未来人の場面は、むつき役のアシカリさんが一昨日お休みだったので全員で確認をしていく。阿部先生が、警備員の場面をつくっているときに、「特活室で声だしをしてきます」と言って、未来人チームを連れていってくれた。戻ってきたみんなは、「うん、なるほど」な声になっている印象。本当は、本舞台で演じるところを、とりあえず仮設のステージでやってもらっているのがもうしわけない。 2時間目は、この劇の後半というかラスト近くの「大切な思い出」の場面をつくっていく。現代に戻るために未来に置いてこなくてはいけない「大切な思い出」をどれにするかを話し合い、子どもたちはそれぞれの思い出を語り、再現していく。 一昨日の練習ではおおまかな動きがついただけだったので、今日は芝居を深めていく。宿題として「なんでこれが一番大切な思い出なの? どこが一番大切?」というのを考えてきてもらった。今日も、演じてもらう前に「これは何年前の思い出なの?」とか、「じゃあ、何歳?」とか、「別れるのはどんな気持ち?」「妹が生まれるのはどんな気持ち?」などといろいろ聞いて、答えてもらった。 クワバラさん演じる江口がまず語るたいせつな思い出。輪になって座っているみんなの中心のウレタンブロックに飛び乗って。足元がふかふかでなかなか落ち着かない。みんなに話すというのも難しい。でも、何度かやってどんどんいいかんじになってきた。 転校する前の学校の友達の別れを語る亜紀役のイイダくん。お別れの記念に山に登った思い出だ。フロアから、舞台上の山に現れた友達に「おーい、亜紀、早く来いよ!」と呼ばれて、舞台へ走っていく。見ていて、ちょっとほろっとしてしまう。思い出の中の友達に呼ばれてそれに応えるというのが、なんともいえず切ない。これは大人だからの感想か? 舞台上の山の頂きでのさもない男の子達のやりとりが、切ないものに変わってきた。亜紀が転校していく東京を指して、みんなでそちらを見ている場面も。 続いての思い出は、妹が生まれた日に見た流れ星について話す啓。演じるのハマダくん。病院の廊下でうたた寝をしてしまった彼とおばあちゃんと父親が窓から星をながめて話している。 さっきの東京を見る目もこの場面の星を見る目も、みんな見えないものを見る目だ。子供たちに、「きみたちがちゃんと見れば、お客さんには君たちが見ているものが見えるんだよ」と話した。 続いて、歩の思い出の場面。犬のチョコもからむ、大事な場面。友達や家族が登場して、歩の思い出が再現されていく。 里紗ちゃんにお願いした母親役の馬場さんが落ち着いたお母さんになってきた。よかった、よかった。 で、後半、3,4時間目で通してみることにした。大人は基本的に誰も助けないという前提。本番通りにみんなだけでやってみようと。 通し稽古の結果は、たいしたものだった。お休みの子がいたり、段取りがあいまいになってしまった部分がところどころあったものの、見事に芝居が立ち上がった。そして、上演時間は60分。びっくりした。この芝居が60分で終わるなんて。 あと本番まで一週間。できる、いい芝居ができる。ほっと安心して、そして幸せな気持ちになった。 夜、篠原さん、平田さんと新宿で待ち合わせをして、DVDのテキストのうちあわせ。学校からの校正のもどりについて確認と、これからのことについて。 はじめ、だいじょうぶなの?と心配になったものの、できるできるだいじょうぶ、ずっといいものになる!と前向きな気持ちに。 その後、篠原さんと二人で斎藤憐さんのお宅へうかがう。パソコンを拝借して(家のPCがだめになっていて、仕事ができないため)、富士見丘の話をし、芝居の話をいろいろうかがう。「おお、そうか」と思うこといっぱい。 憐さんにはじめてお会いしたのは、20年前の高校演劇の大会。卒業したあと、舞台裏で手伝いをしていた僕と芝居仲間が打上げの飲み屋さんで会ったのが最初だ。 今、こうしてお話していることが不思議で、そしてとてもありがたい。 すっかり遅くなって、それでも篠原さんともりもりおしゃべりしながら帰ってくる。
葛根湯を飲んだせいか、胃が痛くてしかたない。昨日から食欲がなく、何も食べられない。朝になって熱は37度ちょいまで下がる。 昼過ぎに近くのドラッグストアに胃薬を買いに行く。 薬を飲んで、ちょっと一息つく。また眠り続け、夜になって、母親が作ってくれたかぼちゃのおかゆを少し食べる。 一緒に寝てくれている猫に感謝。
2007年01月10日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 サンモールスタジオ新年会 |
富士見丘小学校の授業。 3,4時間目を使って、犬たちのすみかの場面を、健翔さん、青井さん、かわせみ座の山本さん、益村さん、篠原さん、その間に、僕と里沙ちゃんで警備員と未来人の場面をつくっていく。 今回の舞台はオムニバスではなく、一本の通ったお話なので、場面ごとの稽古がとてもやりにくい。 今日は犬の芝居がメインなので、未来人と対峙する場面は代役でやっていってもらう。 これがとてもおもしろかった。 台本を持ってのやりとりなのだけれど、びんびんひびくせりふが飛び交った。 なかでも、未来人の水無月役のカサイさんのせりふはすごかった。僕は代役で、みちるという役のせりふをやっていたのだけれど、あんまりまっすぐに届いたので、涙ぐんでしまったほど。みちるはとてもおとなしい女の子の役なので、そのせいかも。それにしても、それまでややおとなしいキャラだった水無月がとてもしっかりものを言う人になったのに感動したんだと思う。 午後からは、午前中に終わらなかった、犬の場面と、その裏側で警備員の芝居づくり。それから、この芝居のラスト近くの「大切な思い出」の場面。 健翔さん、青井さん、山本さん、篠原さんと、演出する人が大勢いて、僕は、遠くから子供たちと一緒に場面ができあがっていくのをみさせてもらう。 警備員役の子から、「声は聞こえるんだけど、何を言ってるのかわからない」といわれる。「大きな声を出しても、ちゃんと『伝えよう』という思いがないと言葉として聞こえてこないんだよ」と話す。この話は最後にさせてもらった。 来週の本番まで間に合うんだろうかとちょっとどきどきする。 とてもいい場面のはずの「大切な思い出」がどうにもあっさりしてしまう。 この場面は、子供たちに「あなたたちの一番大切な思い出を教えてください」と言って書いてもらった作文を元にしている。「友達の大切な思い出を演じているんだということを忘れないでください。真心をこめて演じてください」と話す。 夜は、サンモールスタジオの新年会。樺澤氏とふたりでうかがう。 昨年、サンモールスタジオで上演された舞台に対して賞が送られるなか、4月に上演した「ミッシングハーフ」で僕が最優秀女優賞をいただいた。昨年の受賞者危婦人のザンヨウコさんから賞を授与される。個人でいただく賞、しかも女優としていただくなんて、はじめての経験。とてもうれしい。 あいさつで、「来年、プレゼンターとしてうかがうときには、きっちり女装してきます」と話す。 席にもどって、樺澤氏や危婦人のキキコロモちゃんとおしゃべりしていたら、つづいて「ミッシングハーフ」が最優秀作品賞とのアナウンスが。またまたびっくり。樺澤氏と二人で壇上に。感謝感謝だ。 その後、サンモールスタジオの佐山さんに、会場に来ていた、雪村いずみさんを紹介していただき、ご挨拶する。 映画「君も出世ができる」やミュージカル「旅立て女たち」などを拝見していて「大好きなんです!」と熱く語らせていただく。握手も。 受賞もうれしかったけれど、雪村さんと会えたこともまたとんでもなくうれしい。 帰り、平田さんに電話して、来週の授業の予定の打ち合わせ。つい盛り上がり1時間近くしゃべってしまう。 家に帰りながら、どんどん寒く、がたがた震えてきた。 帰宅して熱を測ったら、38.5度。わあ、久しぶりの8度超えだ。 風呂はまずいと思ったので、お湯で手を洗い、足湯につかる。 葛根湯を飲んで、横になるが眠れない。昼間の稽古でいろんなことを考えた&受賞のよろこびの知恵熱か? だといいんだけど。
2007年01月09日(火) |
富士見丘小学校演劇授業 |
3,4時間目。 今年、最初の演劇授業、というか、急遽時間をとっていただいての、思いだし授業。 久しぶりで大丈夫?と心配なのは、子供達だけでなく、僕も一緒だ。 頭からだんどりを確認していくが、途中までで時間がいっぱいになってしまった。 まだまだやらなきゃいけないことがある。 65人全員が出演して、しかもあやつり人形の犬が11匹登場して、その犬をそれぞれ声とあやつり手の二人で演じるという大変な芝居。 今日は、その犬たちの交通整理に時間がかかってしまった。 明日は、人形劇団かわせみ座の山本さんが来てくださっての人形操作の練習。 全体に、段取りばかりで芝居の稽古がなかなかできないのがさびしい。 それでも、間をぬっての代役稽古で、「空を見るときはちゃんと見よう、君が見た空がお客さんに見えるからね、それが演劇の魔法だよ」などと話す。 午後は打ち合わせ。その後、僕はネットカフェにこもって、DVDの原稿をひたすら書く。 昨日クラッシュしたPCから取り出せなくなってしまった、これまで書いた分もふくめて。 長時間こもって、え、そんなに?な金額を払って、帰ってくる。
午後、仕事に出かけて帰宅。 PCのスイッチを入れたら、立ち上がらない。 なに? 何度やってもだめだ。 このあいだは、ハードディスクがいかれたのだけれど、今度は電源系統らしい。参った。DVDのテキストの締め切りがもうすぐなのに。どうしてこういうときにかぎってこういうことになるのか? 篠原さんに至急、テキストのベースを送ってもらうことにして、しばらくはネットカフェで原稿書きだと開き直る。 原稿は書けるが、HPの更新ができない。公演は7月の「サロン」までないので、しばらく様子を見てみよう。富士見丘の発表が終わらないとうごけない。
朝から仕事。昼前になんとか仕上げて、その後、亀戸へ。 三月に客演する舞台の顔合わせというか、最初の稽古。 亀戸駅でキャスト、スタッフのみなさんと待ち合わせして、演出の尾崎さんのお宅で読み合わせ。 全く初めてのみなさんとせーのでやってみる芝居。一昨年の絶対王様の「猫のヒゲのしくみ」を見ていただいての出演依頼。ゲイのダンスの先生というキャラをいろいろやらせてもらう。 くわしい公演情報はまたあらためてお知らせいたしますね。
昨日につづいて一日仕事。毎年この時期にやっている仕事。毎年、暮れからじっくり時間をかけてやろうと思うのだけれど、今年もまた、体がぼろぼろになるような体力勝負でしめきりと向きあう。 帰りの電車で憔悴しきってダウン。こうはなりたくないというような人になって眠ってしまう。 年明けまもない電車はまだ空いている。お正月はどこへ行ったんだろうというような気分で帰宅。
来週からでもいいはずだった仕事が、急遽、締め切りが早まって、今日が仕事始め。 新年会気分の裏側のがらんとしたオフィスで、一人仕事をする。 夜、池袋で宇田くんと待ち合わせ。ガクゲイカイのDVDを受け取る。今年は、2枚組DVDになっている。見てみるのが楽しみだ。ダビングもはやめにお願いして、みんなに配ろうと思う。 その後、エスムラルダさんにきいたという池袋のバー、「電気水母」に行く。「吉原炎上」のDVDが流しっぱなしのカウンターで、ママのダイスケさんと盛り上がる。 ディープな映画の話がもりだくさん。犬神家や、Wの悲劇の話、京マチ子版「黒蜥蜴」の主題歌を一緒に歌ってしまったりも。
富士見丘小学校のDVDのレーベルをつくる。シンプルなデザインをとりあえずさっくりと。 これが今年の初仕事な印象。 今年は今月、一月が、最初の山場だ。このあとの大きな山は、7月の「サロン」。台本の締め切りが2月末だから、山がつづくのか・・・。 ひとつひとつかたづけていこうと思う。 今年のテーマは前倒し。
一日家にいて、原稿を書き、洗濯をしたり。お正月じゃないじゃん?な一日。 夕方の変な時間に眠ってしまい、富士見丘小学校の夢を見る。 来週から始まる授業。19日には発表だ。稽古は間に合うんだろうか? 心配がいっぱい。初詣はまだだけれど、彼らの舞台の成功をまずは祈りたい、そんな気分。
昼間、妹一家、弟一家が集まっての新年会。 子どもたちもすっかり大きくなって、大人と子供あわせて11人でうちの茶の間はすっかり小さくなった印象。 軽く食事をして、福袋ねらいの買い物に行ったあとの留守番。これも毎年のこと。帰ってきたみんなと今度はお酒ありで宴会。 僕は、夜、こちらも恒例の友人、宇都宮さんの家にうかがっての新年会。 裕三さんに、浩子、それに、友達の美香と岡田くん、高校時代からの仲間。今年はやや少人数の集まりになった。 近況の報告とわいわい言いたい放題。 締め切りが近いDVDのテキストがあるので、今年は朝まではやめて終電で帰ってくる。
2007年01月01日(月) |
新年あけましておめでとうございます。 |
ゆっくり起きて、母親に新年の挨拶の予定が、昼間から出かけてしまっていて、微妙にタイミングをのがす。 たらんと始まった2007年だ。 今年の予定は、とにかく7月の新作「サロン」だ。この一本に集中して、いいものにしたいと思う。 その前には、まず、富士見丘小学校の3年間の演劇授業のまとめになる発表会。1年目の記録をまとめたDVDもつくりあげる。 客演の舞台もところどころに入れながら、それでも、劇作家、演出家としての自分の成長の年にしたいと思う。 みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
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