せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年11月30日(木) 「シェイクスピアの女たち」稽古6日目

 稽古場での最後の稽古。最後に登場するオーベロンまでの声の配分がみえてきた。ライサンダーのキャラクターを少し変更。まっすぐな青年というあたりに。
 今日は、あちこち思いもよらないところでかんだりろれったりしてしまう。台本をちゃんと見ていないからかもしれない。覚えるんじゃなくて、きっちり読むことに集中しないと。
 帰り、古川さん、松本さんと三人で明日からお世話になる、神楽坂のシアターイワトに下見にうかがう。
 スタッフのみなさんは、仕込みの真っ最中だ。
 大久保通りに面した、大江戸線の駅のまん前、ちょうどいい大きさのきもちのいい劇場だ。
 楽屋は、劇場の裏手の一軒家。ほんとにふつうの家で、松本さんと二人で、あちこちの部屋をのぞいてまわり、わーとおどろき、おもしろがる。
 舞台につられた臙脂色のカーテンが、シェイクスピア感をもりあげてる。声の響きもちょうどいい。
 明日からよろしくお願いします。
 その後、神楽坂駅前のビルディでまみぃと待ち合わせ、うちあわせ、受けわたし、もろもろ。ひさしぶりに会って、その他のおしゃべりもたくさん。


2006年11月29日(水) 「シェイクスピアの女たち」稽古5日目

 今日もていねいにひとつずつの場面を稽古していく。
 やや時間が短いのではということで、場所を変えて午後7時まで延長。
 夕方の合間の時間に、近くのモスバーガー(西友の中)に、みんなで出かけてコーヒーや軽食を買ってくる。
 店の前につながれていた、ミニチュアダックスとしばらく遊ぶ。
 昨日から右足が痛い。土踏まずが妙に痛いなと思っていたのだけれど、ヘアムース(たぶん)の缶を足の小指に落としてしまった。使わないならしまっておけばいいのに、ほったらかしておいたのがいけない。
 足をひきずりながら歩いて、なんだかリチャードってこんなかな?と思ったりもする。
 帰りは、電車の乗換えがきついので、バスで亀戸まで出て、乗換えができるだけ少ないようだましだまし。


2006年11月28日(火) 「シェイクスピアの女たち」稽古4日目

 昨日どこにいったわからなくなったテキストのファイルをようやく発見。篠原さんにメールで送る。
 リーディングの稽古は、一日休みがあったので、ちょっと新鮮な気持ち。
 今日から立ち稽古。リーディングなので、大きな動きはないのだけれど、ほぼ実際の距離と位置関係で読んでいく。
 吉田美枝さんも来てくださって、冒頭からを小返ししながら。
 いただいたダメに沿って演じてみると、わあ、こんなところに行けたとびっくりするような展開になる。「リチャード三世」のやりとりがまたおもしろくなった。


2006年11月26日(日) 「シェイクスピアの女たち」稽古3日目

 今日もいろいろおしゃべりしてから読み合わせ。
 昨日、存分に動いたので、今日は、たとえばラジオドラマのように、声だけで組み立てることを心がける。
 昨日、松本さんと手をにぎったり、立ち上がったり、ひざまづいたりしたときの気持ちの変化があるので、流れは追っていけるのだけれど、昨日よりは、やりとりがやや希薄な、どう読むかがメインになった芝居になってしまったかもしれない。ちょっと反省。かねあいをさぐっていこうと思う。
 僕は、一昨日からの稽古で、普段は使っていない声を出すようになったせいか、一昨日には出てこなかった響きが声についてきている。最後のオーベロンが少しやりやすくなった。
 生まれて初めて恋に落ちる王子ファーディナンド、言葉巧みに女心をつかむグロスター、本人とは気づかないまま男装した恋の相手に恋の指南を受けるオーランドー、つれない恋人に夢中な羊飼いの青年シルヴィアス、慇懃無礼な執事マルヴォーリオ。第一部で僕がたどっていく人物は、こんなに振り幅がある。その振り幅を今日も楽しんで演じさせてもらう。
 合間には、昨日以上に芝居の話をみんなでおしゃべり。芝居の現場はほんとに不思議だ。テキストがみんなが知っているシェイクスピアということもあるかもしれないが、会ってまだ間もない人たちと古い友人と話しているように思ったことを言い合っている。シェイクスピアのセリフが、芝居というものが、共通の言語のようになっているのかもしれない。
 帰り、古川さんにみんなで軽く飲みましょうと言っていただいたのを、お先に失礼する。明日の夜は、篠原さんと台本の打ち合わせ。僕の担当部分を今夜中に仕上げないといけない。もっともっとおしゃべりしたい気分を後に残して、一人帰ってくる(あ、これってシェイクスピアっぽい言い回しかも・・)。

 初日まであとわずかですが、とてもおもしろいリーディングになっていると思います。
 上演時間は、約1時間30分です(今のところ)。
 とても魅力的な二人の女優さんの演技と、めったにごらんいただけない、僕の古典へのアプローチ、そして、やっぱりとんでもなくおもしろいシェイクスピアの劇世界をお楽しみいただけたらと思います。
 どうぞみなさんのご来場をお待ちしています。
 チケットのご予約は、関根までメールをください。
 よろしくお願いいたします!!

 せきねしんいち


2006年11月25日(土) 「春謡会」&「シェイクスピアの女たち」稽古2日目

 マミィこと石関準くんが出演している、新舞踊、春謡流の発表会「春謡会」@浅草公会堂へ。
 にしやん、あきやん、三枝嬢、トシくん、宇田くんと合流。櫻ちゃん、カルトくんと並んで、2番目の演目で登場するマミィの「岸の柳」を拝見。
 柳を描いた白地の着物の芸者姿が粋なこと。おお、踊ってる!という感動がいっぱい。前から二列目のかぶりつきで、きっちりした踊りを堪能する。
 挨拶に行くタイミングを逃して、楽屋までうかがうことに。次の出番の仕度をしているマミィに挨拶。
 次は、菊池寛の「藤十郎の恋」をもとにした舞踊劇。マミィは、坂田藤十郎の相手役の女形、霧浪千寿として登場。しょっぱなから藤十郎の思い出を語っている。芝居がたくさんだ。大阪弁かつ女形という大変な役を、ほんとによくやってたと思う。見ながら、昔読んだ、赤江瀑の小説「夜の藤十郎」をちょっと思い出した。
 劇中では、おさん茂兵衛の道行きの踊りも。心中のやりとりが細かくふりつけられていて見事。ここも芝居気がたっぷり。その後の空の舞台での芝居(これもおもしろかった)までを見て、お先に失礼して稽古場へ向かう。
 「シェイクスピアの女たち」稽古2日目。今日は昨日よりも少し離れて座って読んでみる。
 なんとなく仕草がついたり、立って動いたりとどんどんおもしろくなってくる。芝居はやりとりだなあとうれしくなる。一人では絶対に出てこない音が自然に生まれてくるんだから。どうやろうというよりも、ちゃんと聞くことを心がける。
 リーディングとはいえ、いつもの芝居の稽古と全く同じだ。まっすぐに届いてくる松本さんのセリフ、今回が初めて一緒にやりとりしているのが不思議なくらい楽しい九美さんとのかけあい。去年のワークショップのときはモノローグ中心だったので、シェイクスピアのセリフをていねいにキャッチボールできていることが、楽しくてしかたない。
 昨日の反省で、セリフをどう言うかに夢中になってしまうと言葉が相手にとどかないと思ったので、今日は、きっちり受け渡しをすることを心がける。
 「リチャード三世」のアンとグロスターの場面、アン役の松本さんとの丁々発止のやりとりがほんとにおもしろい。夫を殺した男に愛を告白されて、受け入れてしまう(受け入れざるを得ない)女心と、そこまで持っていく見事な口説き文句の連続。
 僕が今回演じるのは、ファーディナンド(テンペスト)、グロスター(リチャード三世)、オーランドー、シルヴィアス(お気に召すまま)、マルヴォーリオ(十二夜)、使者、医者(マクベス)、ライサンダー、オーベロン(夏の夜の夢)といった役々。どの役ともみんなはじめましての気分でおつきあいしている。
 やっていて思うのは、このいろいろな役がなんとかやれてしまっていることの不思議だ。前はこんなことできなかったなあと思う。王子役はできたかもしれないけど、グロスターのような役は、僕の手の内ではないと思っていた(ファーディナンドをやっていると「あ、この役知ってる」と思えてくる。演じたことはないけど)。もちろん、楽々できてはいるわけではないのだけれど、そんなに遠くないところに来ているんだなあと思う。トシをとったのかもしれない、もとい、トシを重ねたんだと思う。
 今日は、芝居の話をあれこれおしゃべりする時間もたくさん。その後の稽古もいいかんじに盛り上がったので、これからは、いろいろしゃべる時間を持ちましょうと古川さんに言っていただく。
 帰り道、歩きながら、セリフのことを考えていて、つい、グロスターの第一声「待て!」を声に出してしまう。前を歩いていたおじさんが立ち止まって振り返った。
 「すみません」とあやまって、入らなくてもいいコンビニに入る。
 練習しようとしてしゃべるときは加減をするのだけれど、思いついたら声に出てしまったので、一番いい声だった。気をつけないと。


2006年11月24日(金) 「シェイクスピアの女たち」稽古初日

 久しぶりに降りた東陽町の駅が、すっかり様変わりしていてびっくり。十何年ぶりだろうか。
 演出の古川さん、構成の吉田さん、出演の松本紀保さん、有希九美さんにご挨拶。吉田さんから、テキストについてお話いただいたあと、さっそく読んでみる。
 ついつい先に先にと急いてしまう。それでも、家で一人で読んでいたときは全然違う、3人で作り上げていくかんじが、とてもおもしろい。
 いろんなキャラクターを渡っていくそのダイナミックなかんじも楽しませてもらう。
 二度目のグロスター(リチャード三世)は、少し、余裕をもって読んでいくことができたかもしれない。
 しゃべりなれないセリフをいっぱいしゃべって、頭がいっぱいになっているような帰り道。松本さんとおしゃべりしながら、カミングアウトも。
 平田さんからメール。警備員役が10人の予定が、どうしてもしぼりこめず11人になっているのだけれど、大丈夫ですか?と連絡をもらう。すぐに「大丈夫ですよ」と折り返した。みんなの「やりたい度」が見えてきたのがおもしろい。警備員役、もう少しふくらましてみようと思う。
 夜、今日の授業で決まった全配役が届く。おお、こうなったかと感想いろいろ。これで、全部の役の顔立ちが見えてきた。


2006年11月23日(木) 書く日&予習の日

 一日、家にいて、台本にむかう。今日は書く日だ。
 明日から始まる「シェイクスピアの女たち」の予習も。初めましてのみなさんとどんな舞台ができあがるか、まだわからない状態だけれど、とにかく、できるだけのことはしておく。
 シェイクスピアのセリフは、去年のロジャー・リーズのワークショップ以来だ。あのときの続きのような気持ち、あの二週間がどう僕のものになったかをたしかめてみる、そんな気持ち。


2006年11月22日(水) オーディション

 富士見丘小学校演劇授業。今日は5.6時限を使ってのオーディション。篠原さんと健翔さんと一緒に、それぞれの場面を見せてもらう。
 今日は研究授業ということで、他学年の先生方も見守る中、希望する役を順に演じていってもらう。
 セリフをすでに覚えてきている何人かをはじめ、希望はしていないけど先生方からの推薦で(それと、人数あわせ)で登場する人たちも、2クラスの全員が、とてもみごとに演じてみせてくれた。
 見ているときは、台本ではなく、演じている人たちを見ようねという約束も、みんなが当たり前のようにできている。すばらしい。
 終わって、いいものを見たという気持ちでいっぱいになる。
 放課後、配役の会議。去年は、オーディションの後、全部の配役を決定しのだけれど、今年は、希望のあった役についてのみ、阿部先生、田中先生と検討して、決定していく。
 子供たちに何度も話したように、うまいへたではなく、全体のバランスとキャラクターを重視して、メインの役から決めていく。
 大人達の意見が対立することなく、ほぼ同じなのがおもしろい。迷ってしまうところもほぼ同じ。阿部先生、田中先生から、その子ひとりひとりについて伺いながらの検討作業。
 この役を希望してくれれば、もう即決定なのにおしい・・・という人が何人か。そういう人たちに僕たちとしては(大人たちとしては)、これをやってもらえたらなあ・・という推薦をさせてもらうことにした。
 5時過ぎまでかかって、なんとかひとだんらく。
 希望者が一人もいなかった役、希望したけど役につけなかった子供達については、あらためて先生方にオーディションをしていただいて決定ということになった。
 これまで名前だけだった台本の中の人物が、顔を持ってきた。約束したとおり、どの役もやりがいがある、おもしろい台本をしあげなくてはと、改めて思う。


2006年11月21日(火) パンとジャム

 仕事の日。
 帰りに、パン用の小麦粉を買ってくる。このところ、うちのホームベーカリーは、連日活躍している。寒くなってきたせいか。
 コーングリッツを入れて、やや適当な分量でセットするが、いいかんじに焼き上がってくる。
 ジャムをつくっている会社に勤めている弟がこのあいだ持ってきてくれた、大量のジャムを焼きたてのパンにつけて食べている。
 マーマレード、ブルーベリー。めずらしい白桃のジャムはとってもおいしくて、まっさきになくなった。
 ジャムを食べるようになってバターの消費量が少なくなった。お腹の調子もいい気がする。
 さすが健康食品。流行ってる理由がわかった。


2006年11月20日(月) 試写

 ドキュメンタリージャパンで富士見丘小学校のDVDの試写。宮校長先生、見米先生、大島先生、平田さんに見てもらう。
 感想と意見をうかがう、この間見たときには気にならなかったいろいろが、先生方と見ると急に違った見え方をしてくる。
 その後、篠原さんとお茶をしながら、打ち合わせ。今後のスケジュールについて。
 夕方から小雨が降り出す。傘がないけど、今日はとてもあたたかかったので、ぐいぐい歩いて帰ってくる。


2006年11月19日(日) 野性の夢

 おもいきり寝てしまう。このところの寝不足をいっきに取り戻したかんじ。
 この頃、枕元では猫が寝ている。
 猫の背中に耳を当てて眠っているのだけれど、この寝方はどうも夢見が悪いような気がする。夢の中で、人が刺し殺されて死んだりする。僕は手を下していないのだけれど、朝起きるとぐったりしていることが多い。
 眠りが浅いせいかもしれないが、猫の野性が僕にそんな夢を見せるのかもしれないなあとも思う。


2006年11月18日(土) 学習発表会

 篠原さんと二人、来賓席の一番前で見せていただく。近くには宮校長先生や近くの浴風園のお年寄りたち。
 まずは3年生、練習も見せてもらった「わが町高井戸・高井戸ばやし」。この間、熱心に意見を言っていた、サクヤくんが、今日もがんばっていた。この間以上に、注意して見てしまう。みんなきれいに獅子舞ができていた。拍手。
 4年生の「伝えあうということ」は、練習のときよりも、声がよく聞こえて、とてもわかりやすくなった。車いすやアイマスク体験のシーンでは、保護者のみなさんからも笑い声が聞こえた。拍手。
 休憩時間、今年卒業した子供達が何人も来てくれる。みんな兄弟が出演しているのだそうだ。今年の演劇授業の話をいろいろする。もうじき試験なんだそうだ。中学生はたいへんだ。
 休憩開けは1年生の「あきとなかよし」。カレンダーが登場して、夏休みの風景がひろがる。セミを捕ろうとする子供達。そこへ「カレンダーをめくり忘れてた」と声があり、場面はいっきに秋になっていく。この展開がとてもおしゃれだった。
 みんなで育てた朝顔の枯れ枝でつくったリースを見せてくれたり、Tシャツに秋のいろいろ(落ち葉など)をつけたのを着てみたり。なかなか着られない男の子が一人いて、ようやく着られたときには、大きな拍手が。でも、彼は泣き出してしまった。びっくりしたんだねえと、篠原さんと言い合う。でも、しっかり歌は歌ってた。拍手。
 続いて、2年生の「大きくなあれ」。みんなで育てたさつまいもの成長記録を大きな絵本をめくりながら発表。子供達の体験授業に、多くの大人が手を貸しているのがすばらしい(3年生の取材もそうだ)。子供達が拾い上げた大人の声は、どれもすばらしい。さつまいもの茎が、太陽に向かって伸びていくんだということを、僕は初めて知った。拍手。
 5年生は、「富士見キッズニュース 〜発信!わたしたちの街『杉並』」。ニュース形式で、富士見ヶ丘の町を取材したものを発表。キャスターが3人、それにQ出しをするディレクターが1人。背景に映像を出して、自然や治安のことなどが、つぎつぎ担当のレポーターから報告される。
 自然がどれだけあるかという発表の中では、身の回りの昆虫や小動物が紹介された。カエルやかまきりにまじって「バナナ虫」というのが登場。どんな虫なんだろう? 今度聞いてみよう。
 犯罪の発生率の調査では、杉並区がとても「空き巣に入られやすい町」だとの報告が。客席がどよめいた。地域としては中央線の沿線あたりが中心なのだけれど、それにしても「空き巣に入られやすい町」って・・・。
 他にもバリアフリーや、どのくらい空気が汚れているかなどなど、興味深いレポートがたくさん。
 5年生は、NHK放送体験クラブでの学習を受けて、それを踏まえての発表になったとのこと。いろんな経験をした上での発表というのはおもしろい。ただ行ったというだけでなく、ちゃんと形を変えて、子供達が作り出す何かに生まれ変わっている。拍手。
 一昨年の6年生の担任だった大島先生が構成した、演劇形式(キャスターとディレクターとのやりとりなどなど)の発表がとてもうれしく思えた。
 最後は6年生。こんな間近で見るのは初めて。どうなるんだろうかとドキドキする。準備の最中に緞帳が開いてしまっていて、最後に登場するゾウの絵が見えてしまったのがちょっともったいなかったね。
 それでも間もなく始まった「象をください〜クロアチアからの手紙〜」は、何度も練習を見ている僕もびっくりするくらい「演劇」だった。
 体育館の入口に貼ってあった模造紙いっぱいに、彼らが今回調べたいろいろが書かれていた。一枚一枚記録にとっておきたいくらいの緻密さ。それもあって、この舞台があるというのがすばらしい。
 一昨日の練習に比べて、みんなひとまわり輪郭がくっきりしたようないかたをしている。セリフも歌声も、しっかりしている。歌っているときの表情も生き生きとしている。拍手。
 田中先生に後で聞いたのだけれど、昨日の学内向けの発表のあと、みんなで工夫をしたのだろうとのこと。歌いながら、身体を揺らすのも、きれいに波が生まれていた。感動してしまう。客席では涙ぐんでいる大人が何人もいた。
 終わって、給食をいただきながら、「6年生は演劇だったねえ」と篠原さんと言い合う。4月からの演劇授業が、こんなふうに活かされてくるなんてと、ほんとにうれしくなった。
 それぞれ衣装を工夫してきた子供たち、ゾウを殺せと迫る大人役のアマノメくんとナナコちゃんは、銃を用意してきていて、迫力が倍増(アマノメくんの銃はイトウくんが持ってきたそうだけれど)。短いやりとりなのに、ちゃんと芝居になっていた。
 5時間目。僕は1組、篠原さんは2組を担当して、それぞれのクラスに。教室にうかがうのはまだ何度目かなのだけれど、なんだか居やすさが増している気がする。今年は、子供達との距離がこれまでに比べて早い時期から近く感じられるようになった。ここ何回か学習発表会の練習にうかがっているせいもあるかもしれない。
 来週のオーディションの説明をして、全体をひととおり読んでみる。誰がということではなく、一人一つずつのセリフを順に回して。終わったら、後半をもう一度と思っていたのだけれど、時間切れ。それでも、読んでもらったことで初登場のキャラクターが少し身近になったんじゃないだろうか。
 放課後、先生方とオーディションのうちあわせ。どんな決め方をするのかをもう一度確認する。
 帰り、篠原さんと駅前のドトールでうちあわせ。感想を言い合い、これからのうちあわせ、それにその他のおしゃべりもいろいろ。


2006年11月17日(金) オーディション用台本

 今日はと明日は富士見丘小学校の学習発表会なのだけれど、明日うかがうことにして、仕事と台本書きの日に。
 明日の学習発表会のあとで、オーディション用の台本をこどもたちに渡すことになってる(本番前に渡すと、本番そっちのけで読んでしまうかもしれないので・・・)。
 篠原さんは早く書きあげてくれたものを送ってきてくれたのだけれど、僕は押しに押して(またしても)、結局、朝までかかってオ担当部分の台本を仕上げる。
 とにかくこれで、65人分の役のセリフが、少なくとも一人一つはあるようになった。
 この抜き書きとこれまでのストーリーの説明から、子供達には希望の役を選んで、来週のオーディションにのぞんでもらう。
 当初、母親という設定でいた役を、祖母に変更させてもらう。11匹の犬のキャラクターは、どうやら立ち上がってきたんじゃないかと思う。


2006年11月16日(木) 学習発表会全体練習

 富士見丘小学校の明日、明後日の学習発表会の全体練習。
 全学年のリハーサルを見せていただこうと、篠原さんと1時間目からうかがう。
 来週のオーディションの準備(台本書かないと!)や、記録DVDのテキストづくりも終わってない僕たち。富士見丘駅から一緒に歩きながら、ほんとは今日はごめんなさいして、台本書いてた方がよかったかなあと言い合う。
 でも、うかがってよかった。
 1時間目は、3年生。「わが町高井戸 高井戸ばやし」。地域の取材をして、高井戸囃子を最後に演奏する。映像をまじえたこの発表自体もおもしろかったのだけれど、終わったあとに感想を言い合う時間がよかった。
 獅子舞をしていた男の子(サクヤくん)が、もっとこうしたらよかったということを、みんなに対してものすごくきっちり言っていた。一つ言い終わっても言い足りなくて、何度も何度も手をあげる。言うことはもっともなんだけど、なんだこの集中というかがんばりかたは?と思っていたところ、別の男の子が「今日はできなかったけど、本番ではちゃんとやります」と言って、ひとだんらく。
 見ていうるうち、一昨年の学習発表会のことを思いだした。当時、彼らは一年生で、ものすごくきっちり踊っていたアリを演じていたのは、サクヤくんじゃなかっただろうかと。森の生き物たちがいっぱい登場するその1年生の発表で、同じに踊ってるのに、なんだか目がいってしまう男の子(アリの役)が一人いた。その子と今日のサクヤくんが、一生懸命意見を言っている姿が重なった。思い違いだったら、はずかしいのだけれども・・・・
 富士見丘小学校とのおつき合いも今年で3年目。毎年6年生だけを見ていたつもりなのだけれど、こんなふうに記憶に残っていることもあるんだと思ったら、とてもうれしくなった。これから、ずっと演劇の授業をつづけていったら、サクヤくんと同じ学年の子供達はどんな6年生になるんだろうと思った。演劇授業の最初の年の卒業公演を1年生として見た彼ら。彼らをずっと見続けていけたらいいなと思った。
 続く、2時間目は4年生。「伝え合うということ」。障害のある方々との交流をもとに、車いす体験、アイマスク体験(アイマスクをして、手を引かれながら歩いてみる)などをやってみる。後半は、手話を使っての唄。
 これもとってもおもしろかった。あとでうかがったのだけれど、子供達が実際に体験したときの言葉やエピソードをもとに構成されたのだそうだ。言葉がとても生き生きとしていてすばらしかった。
 また、全員でのディスカッションの場面での、全員が話し合いに参加しているようす、客席に背中を向けて、座っている姿の雄弁さなどなど、すばらしい場面がいっぱいだった。
 「伝え合うということ」というタイトルは、障害のある人たちが「伝え合う」ということがメインであるのだと思うけれど、この発表をつくりあげた、子供達がこの発表をみんなに「伝える」ということにちゃんと取り組んでいるのがすばらしい。
 担任の見米先生は、演劇授業の一年目、一昨年の六年生の担任をしていらした。演劇授業が、きっちり、今回の学習発表会に活かされているということが、とてもよくわかった、ほんとうにうれしかった。
 20分休み、校長室で、篠原さん、平田さんと来週のオーディションの打ち合わせ。今、決めなければいけないことがいっぱいあることが判明して、1、2、5年生のリハーサルはごめんなさいする。
 オーディションの準備をすすめる。6年生全員分の役の確認とセリフの確認。
 給食をいただいて、お昼休みいっぱいかかって、一息つく。
 5時間目は、6年生のリハーサル。
 通しての練習。体育館に並んだ椅子に座って、正面から見せてもらう。
 ひとまわり大きく、くっきりとした輪郭になったような印象の舞台。
 午前中の2学年を見たせいか、さすが6年生だなあと思えてくる。
 最後に感想を伝える。発表が終わった今の気持ちと始まる前の気持ちの違いを考えてみよう。どんなふうに違うかな? だんだん、積み重なっていかなくてはいけないけど、一番はじめも、今のもりあがった気持ちで始めてみよう。そうするともっともっとたくさん積み上がって、高いところにみんなでいけるからねと。
 授業のあと、田中先生、阿部先生、平田さんと一緒に、オーディションの打ちあわせ。去年の6年生のオーディションがどうだったかということをまずはお話する。若林先生と森江先生がどんなふうに考えてくださったかを。
 その上で、今年はどうしましょうかという相談。僕たちより、ずっと子供達のことがわかる先生方に、一番いい方法を決めてもらう。
 来週の水曜の午後がオーディション。それまでに子供達にオーディション用の台本と配役一覧を渡さないといけない。
 明日明後日は、学習発表会の本番なので、土曜の終了後、5時間目の授業を、オーディションの説明にあててくださることになった。
 それぞれのクラスで僕と篠原さんが説明をして、新らしい台本をみんなで読んでみる。合同でやるより、読む機会が増えた方がいいだろうという判断。
 打ち合わせの最後に、今年は去年以上に、先生方との打ち合わせが出来ていることについてのお礼を伝える。忙しいなか、ほんとに時間をつくってくださっていることに感謝だ。
 帰り、篠原さんと歩く駅までの道、去年の6年生、一昨年の6年生の何人も出会う。みんな大きくなってびっくりだ。「おぼえてる?」と聞かれて、「おぼえてるよ!」とこたえる。
 朝8時半から、夕方4時過ぎまで、一日中いたことになる今日だけれど、やっぱり来て良かったねと篠原さんと言い合った。
 夜はオーディション用の台本の僕の担当部分をせっせと書く。これまで子供達が書いてくれた作文を引っ張り出して、役名や設定に活かせるものを拾い上げていく。
 夜中に篠原さんから、篠原さんの担当分が仕上がって送られてくる。僕は、まだ仕上がらない。明日、一日がんばって、しめきりは、明後日の朝だ。
 


2006年11月15日(水) 篠原演芸場

 夕方から、大門伍朗さんの一日限りの特別公演に伺う@篠原演芸場。
 樺澤氏、なおぞうさん、クニオさん、小林くん、對馬さん、東くん、サトミちゃん(お母さんも!)と一緒に見る、豪華&盛りだくさんの大衆演劇。
 ビールを片手に、全編楽しく拝見する。各劇団の座長総出演の第一部「豪華なミニショー」のあと、第二部「はぐれ草」。大門さんは、気だてはいいのに器量が悪い大店の姉娘をせつなく公演。「ムーンリバー」に出演してもらった羽田さんも、若い衆&大家さんの役で出演してるのが、とっても新鮮。
 声を高くつくらないでの女形の芝居や、客席とのやりとりなどなど、わくわくおもしろいことがいっぱい。
 第三部のショーで、大門さんは、「九段の母」でまず登場。ほんとのおばあちゃんになって、客席から歩いていく姿が、見事だった。
 歌舞伎座で見る長唄や清元の踊りとは違って、歌謡曲に乗って繰り広げられる踊りは、見ていてとてもわくわくする。退屈しないのはなんでだろう?とふと思ったのだけれど、そんなの当たり前でみなさん、お客様を楽しませるために工夫をしているんだからと気がついた。
 芝居があって、ショーがあってというのは、僕らが毎年やっているgaku-GAY-kaiとおんなじだなあとも思った。意識はしてなかったけど、なんだそうなんだと思ったら、またいろいろ楽しいことが思いつけそうな気がしてきた。
 ちなみに、大門さんが、今年のgaku-GAY-kaiに出演してくれることになった。芝居じゃなくて、踊りを1曲だけれど、今から楽しみだ。
 終演後、大門さん、それから羽田さんにご挨拶。みんなでわらわら駅まで歩き、對馬さんと一緒に埼京線、武蔵野線、東武線で帰ってくる。


2006年11月14日(火) 理事会

 午前中、劇作家教会で理事会。もろもろの議題と一緒に、来年度の富士見丘小学校の授業についての話も。もうすぐ来年だ。今年もおしまいだと思うと感慨深い。
 教育部としてこれからどんなふうに富士見丘での授業がつづけられるか、また、広げていけるか。考えることはいっぱい。


2006年11月13日(月) 学習発表会の練習

 今日は1時間目が学習発表会の練習。家を出るときはとても寒い冬の朝なのに、電車を何度も乗り換えて富士見ヶ丘に着く頃は、小春日和のあたたかな日になっている。
 校庭での全校集会から帰る子供達とすれちがう。6年生は、まっすぐ体育館に向かったはずと、あわてて体育館に行ったら、まだ誰もいなかった。
 真っ暗でしーんとした体育館。渡り廊下の向うから、六年生がやってきて、無事合流。女子に「朝早くからありがとうございます」と大人びた挨拶をされる。
 今日も畑先生の伴奏つきで通してみるのがメイン。初めに田中先生が、「今日は寒いので少しゲームをします」と宣言。みんなで走り回って、田中先生が手を叩いた数のグループをつくって座るというもの。5人、6人、9人。僕も一緒になって走り回る。ここ何回かの学習発表会の練習と、犬づくりに参加しているせいで、なんだかみんなとの距離が近くなったような気分。でも、練習はきっちり見せてもらう。
 まず、前回、僕が提案した後半のゾウを見つける場面を見せていただく。「練習したんですよ!」と田中先生。なるほど、みんなきっちり正面にいるゾウを見ているのがわかる。よしよし。
 続いて始まった通しの練習は、朝一ということで、まずはなかなか声が出なかったり、みんなで声を揃えてのセリフの勢いがいまいちだったり、微妙なかんじではじまった。それでも、途中の唄「動物がいなけりゃ、動物園じゃない!」あたりから、声も本調子に、ノリもよくなってきた。
 お休みの子の代役は、次のセリフを言う人が二人分語るということに。今日お休みだった人の分もルイちゃんが、がんばった。前の人のセリフはたしかに覚えるものだけれど、実際やるのはなかなか大変だ。でも、そのちょっと大変なことをやってるせいで、ルイちゃんのいつものパートも、とても生き生きとしたものになっていた。おもしろいなあ。
 途中で登場した、ゾウの絵(子供達が遊んでる)はとても生き生きとした素晴らしいものだった。先週の犬づくりの時間、特活室で描いてたのはこれだったんだ。
 終了後、伝えた感想は、最後に出てきた声をはじめから出せるようにがんばってみようということ。大勢いるからだいじょうぶだと、全員が思うと、すとんと元気がなくなってしまいます。それと、冒頭の国の名前をみんなで言うところは、初めの「インド!」の人ががんばると、つづくみんながんばれるね。責任をかんじてがんばってください。
 11月の体育館はとっても寒い。Tシャツ一枚の子も何人かいたけど、すわりっぱなしで、授業の終わりには、みんな「さむーい!」と言いながら、外に飛び出していった。
 今日の5、6時間目で、先週のつづきの犬づくりをするとのこと。僕は、今日は失礼しなくてはいけない。田中先生に、「何か注文はありますか?」と聞かれたので、「だいじょうぶ、おまかせします」とこたえる。犬づくりチーム以外は、菜園の堆肥運びをするそう。総合の時間ならではの使い方だ。ともあれ、早めに犬をつくってくれるのは、とてもうれしい。11匹の個性的な犬たちを、ていねいに描きわけないと。
 今度は、全体リハーサルの日にうかがう予定。犬たちがどんなふうにできあがってくるか、楽しみだ。


2006年11月12日(日) ラズカルズ「火取虫」

 午後、メジャーリーグで樺澤氏と助成金関係の打ち合わせ。今年もまたこの季節がやってきた。駅前で買ったケーキを食べながら、あれこれ話して、宿題をもってかえる。
 夜、ラズカルズ「火取虫」@劇場MOMO。
 松本たけひろくん、江原さん、まじりんたちのユニットの旗揚げ公演。
 ぱっとしないラーメンやの二階を舞台にした、しみじみと切ない人間模様。まじりんは、SMの女王さま。黒いビキニ一枚の澤唯さんを赤い縄でしばりあげたりするのを実際にやって見せてくれる。まじりんの女王さまは、「ほらこわいだろう!」と脅すのではなく、淡々と追いつめていくかんじが、ステキだ。ちょっと怖いはずのSMが、なんだか不思議な儀式のようにだんだん見えてくる。セクシーな雰囲気はそのままで、ちょっと楽しくなったりして。僕だけか・・・?
 終演後、山本くんに声をかけられる。久しぶりにおしゃべりする。新国立の養成所ももうじき卒業。初めて会った頃より、ぐーんと男っぽくなった印象。たのもしい。


2006年11月11日(土) 寒い日

 とても寒い日。一日家にいて、パソコンに向かい、いろんなものを書いている。
 富士見ヶ丘関係のもろもろや、来年のフライングステージの公演のための企画書の準備など。
 夜、「宮廷女官チャングムの誓い」を見る。あと一回で最終回。チェサングンとグミョンがいなくなってからは、いまひとつ盛り上がらないのだけれど、物語の行く末が気になって、録画までして見ている。最近見ているドラマはついにこれだけだ。


2006年11月10日(金) フライヤーデザイン

 一日、仕事の日。昨日は芝居三昧だったので、今日はわりきって仕事。
 夜、gaku-GAY-kaiのフライヤーのデザインをお願いしていたランベルティさんから、やっていただけるむねのメールが届く。よかった。今年はどんなイラストになるのか、とても楽しみ。


2006年11月09日(木) 犬づくり

 朝から富士見丘小学校へ。1、2時間目で先週の続きの犬づくり。
 前田先生が、先につくってくれた大きな「ボス」を見せてもらう。おお、すごい、かわいい! いいキャラだ。ボスってかんじがする。教室の後にぶらさげてあるのが、ほんとに、何かがいるような気配がする。
 先週の組み立ての続きで、今日はテグスをつけるのがメイン。
 アマノメくんとペアのキクチくんがお休み。僕はキクチくんのかわりに、先週よりもじっくりと犬づくり自体に参加。先週の全体を見ながらとは違う楽しさ。
 まずは、さあ、組み立てよう!と、足に針金を通して、胴体につけてみた。やった、できた!と立たせてみたら、立たない。足に開けた針金を通す穴の位置が左右でずれていた。どうする? 直そうということで、やりなおし。今度は、ちゃんと自立するようになった。
 つづく、頭をとりつける段階で、また問題発生。首のパイプの上と下の穴が並行じゃなかったようで、首がかしいでしまう。どうする、アマノメくん? これはこれで味があるという彼の意見で、このままでいくことにした。
 頭がついた犬には、糸をつけて、ホットボンドで結び目を固めていく。こんな道具が今の小学校には当たり前のようにあるんだとびっくり。
 僕らのチームもなんとか、この作業までたどりついて、今日はここまで。あとは、毛や耳や目や尻尾をつけていくだけだ。
 早くできたチームから、好きな犬を選んでいく。
 一番進んでいる、イイダくん、マツザワくんチームは、「銀二郎」を選んだ。和風の布をもらって、早くも型紙をあてて裁断している。
 アマノメくんは、11番目の謎の犬を選んだ。登場する犬は10匹なのだけれど、ボスが先にできてしまったので、10チームのうちの1つがあまってしまう。壊れたときの予備でも?ということだったのだけれど、「11匹にします」と宣言。まだ名前がなくて、一覧表に「なぞの犬」と書いてあったので、そのまま「なぞの犬」として登場してもらうことにした。今年もまた、いつのまに、こんなふうに、その場の思いつきというか、現場で生まれたアイデアを活かしていっているのが不思議だ。
 僕は、千枚通しを引き抜いて、こわしてしまったり、ラジオペンチで針をはさんで折ってしまったりと、誰よりも、壊し屋だった。反省。
 いったん、校外に出て戻った、昼休み。学習発表会の練習のため体育館に向かっていたら、図工室に入ろうとしている女子とばったり。1,2時間目の作業が遅れているので、糸とつけるところまでを休み時間に仕上がるとのこと。じゃあ、僕も手伝うよと一緒に図工室にもぐりこんで、ばたばたと糸をつける。予鈴が鳴る前に、なんとか終了。よしと、一緒に体育館へ移動する。
 5時間目、学習発表会練習。
 1時間だけなので、まずは通してみる。その後、感想というか、もっとこうしてみたらどうだろう?ということを言わせてもらう。
 「おーい、サーカスが来たぞ!」というセリフ。「おーい!」がなかなかひろがっていかない。どこにいる人を呼んでるのか、誰を呼んでるのか?と質問、いろいろやってみてもらう。
 半分空いた体育館の戸から、校庭で体育の授業をしている森江先生が見えた。「森江先生を呼んでみて」とお願いする。「気がついて、こっち向いてくれるように」と。「森江せんせー!」叫んでくれるが、森江先生は気がつかない。何人かにチャレンジしてもらう。最後まで森江先生には気づいてもらえなかったけど(授業中だものね)、いろいろな声が聞けてよかった。
 クロアチアの子供達から届いたゾウの絵を手にして、彼らの言葉を伝える場面。聞いているみんなは、話している人の方を向くのだけれど、全部で4人が順番に立ち上がるタイミングに間があって、一度、なんとなく正面を向いてしまう。なので、とぎれることなく、見続けていられるように、「前の人のセリフが終わったらすぐ話しはじめて」とお願いする。立ち上がって、絵を持つ準備も早めにしておく。
 「ゾウが来た!」「どこ?どこ?」「ほら!」というやりとりが、ラスト近くにある。このゾウが観客に見えたいなあと思った。「どこどこ?」というセリフは一人のものだけれど、全員で「ゾウが来た!」と言っている彼女に注目。「ほら!」と客席正面を指さすと、全員でその指の先にいるゾウを見る。
 実際にいないものでも、みんなが見れば、観客に見えてくるからねと話す。それが芝居の、演劇のおもしろいところなんだよと。
 授業のあと、渡り廊下を歩きながら、1月に発表する舞台のタイトルについて、先生方と話す。1組からいただいたものの他、2組さんは、まだ集計していないということで、箇条書きにしたものをFAXで送ってくださいと話す。FAX番号は阿部先生の机に上に置いておきますからと。
 帰り、校門を出たところで、阿部先生によびとめられる。今、あつめたタイトル案が書かれた用紙の束を走ってもってきてくれた。感謝。今夜中に決めて、ご連絡しますとお話する。
 夜、トランスプロジェクトの月嶋紫乃さん、冴瑪悠さんと新宿で待ち合わせ。
 トランスジェンダー、性同一性障害、GIDのみなさんの劇団のお二人。
 公演にうかがったり、フライングステージを見に来てもらったりのおつきあいはあるのだけれど、こうしてお話しするのは、初めて。
 来年の8月の次回公演「双頭の性。」のことをうかがい、フライングステージのことをいろいろお話しする。
 演劇関係のいろいろな人と話す機会はこの頃とても多いのだけれど、やはり特別な気持ちになる。ジェンダーやセクシュアリティの問題をメインにとりあげて、だから演劇をやっているという芯の部分が、とても近しい人たちとのやりとりは、僕にとても元気をくれた。「双頭の性。」、未読なので、今度読んでみようと思う。


2006年11月08日(水) 風呂

 富士見丘小学校のDVDのテキストに向かう。早くこれを仕上げて、今年の台本をメインにしないと。だんだん気持ちがあせってくる。
 ひさしぶりにゆっくりとお風呂に入る。夏の間はシャワーで過ごすことが多かったので、おおもう冬なんだなあという気持ち。オイルヒーターもそろそろ物置から出してこないといけない。


2006年11月07日(火) 学習発表会の練習

 予定が変更になって3、4時間目の授業にうかがった富士見丘小学校。来週末の学習発表会の練習だ。
 今日は音楽の畑先生が来てくださって、音楽との合わせを中心に。
 クロアチアから送られてきたゾウの絵がパネルになっている。いろんなゾウがいてほほえましい。それがゾウ?というものから、まるで写真のように緻密なものまで。
 3時間目のあと、5分間の休み時間。あけた4時間目はみんな急に元気に生き生きとしてきた。やっぱり身体が暖まって、気持ちも盛り上がってからのほうが、おもしろくなるんだね。
 みんなで歌っているときにつまらなそうな顔をしている子を列から連れ出した田中先生。楽しそうに歌ってるみんなのようすを見てご覧ということ。
 たしかに列になって(合唱団のような隊形)並んでると、自分以外の人の様子はほとんどわからない。こういう群読と合唱でも、お互いを見るっていうのは、大事なことなんだ。列に戻った子たちは、みんな前よりもずっと生き生きとした表情になっていたと思う。
 最後に、篠原さんと僕はひとことずつ(?)感想を伝えた。
 体育館の一番後に座ってる人に届くように声を出すともっとよくなるということ。鴻上さんが授業のときに言っていた、「まず身体を楽しく動かしていると、気持ちも楽しくなってくる」ということは、ほんとにそうなんだなあと思ったということ(だから、どんどん楽しく動いてみよう!)。
 1年生から5年生までのみんなが聞いているこのお話は、全員で一つの物語を語っています。戦争が激しくなってサーカスのゾウが動物園に来たこと、どんどん動物が死んでいったり殺されたりしたこと、戦争が終わったこと、などなど、セリフで伝えなければいけない大事な情報は、それが聞こえないと、お話全体がわからなくなってしまいます。みんなで一つのお話を、下級生のみんなに伝えてあげてください。永井さんが、即興劇の授業で言っていた「場を支える」ということは、今回の発表でも、とても大事なことです。みんなで、このお話を支えてみてください。本番までまだ一週間ありますね。もっともっとよくなるのを楽しみにしています。
 今年度、学習発表会の練習を見学させてもらっているのは、3カ年計画の最後の年の今年、演劇授業でのノウハウを先生方に伝えたい、現場で使える言葉としてお渡ししたいと思っているからだ。
 ただ、演劇をやろうというのは、なかなかむずかしい(富士見丘の子供達にはそうでもないかもしれない。低学年からワークショップをいろいろやっているから)。だから、こういう学習発表会や学芸会での演劇発表の練習というのが、とっかかりとして一番わかりやすいんじゃないかと思う。これは前回、杉並第一小学校におじゃましたときにも思ったことでもある。
 篠原さんと話したのは、「場を支える」といった言葉を共有できるといいねということだ。先生方と子供達が同じように演劇の言葉を共有している。
 このところ、一年目の授業の記録DVDのテキストをつくっているせいで、よりいっそう現場の先生方に受け渡したいという思いが強くなっているんだと思う。テキストを書きながら、今日のような現場にいられることは、きっと意味のあることだと思う。
 明後日は、1、2時間目の「犬づくり」のお手伝いにまたうかがう。前田先生から、一体先行してできあがりつつある犬のようすを聞く(たぶん「ボス」)。次回は、糸をつけたり、犬らしいかざり(毛)をつけたりする作業。どんどんおもしろくなる。どんな犬たちが生まれてくるんだろう。
 お昼、給食をいただいて、失礼する。いつもの演劇授業以外のイレギュラーな授業でうかがっているのに、給食までいただいてしまって、ほんとにもうしわけない。いつもごちそうさまです。
 文科大臣に届いた自殺予告の手紙の話をひとしきり。いじめと自殺。手紙の中にあった「先生は何もしてくれなかった」という言葉がせつない。まだ何とかなる。死んじゃだめだよ。君が死んだって、いじめたやつらは心を入れ替えたりしない。何も変わらないんだから。まずはむりやり学校に行くのをやめてみようよ。何ヶ月かの休みなんて、長い人生を考えたら何でもない。僕も、中学のとき、登校拒否してた経験があるから言うけど、ほんとだよ。篠原さんと二人、元いじめられっ子同士として話をする。


2006年11月06日(月) 反省会とミーティング

 夜、非戦を選ぶ演劇人の会のミーティング@梅ヶ丘ボックス。
 梅ヶ丘の駅前は、しばらく見ないうちにまた様変わりしていてびっくり。北口の風景が全然違う。大きな自転車置き場ができているのにも驚かされた。
 8月のリーディング(@新宿スペースゼロ)の反省会とこれからのこと。
 根岸さんが差し入れしてくれたかやくご飯のおにぎりとお寿司をいただきながらの話し合い。
 来年に予定している次回のリーディングについて。選挙の前になんとかやれないだろうかと、あらためて計画を立ててみることになった。
 ひさしぶりに集まって、いろんなことを話すことができて、ほんとによかった。
 前回のリーディングは、「ムーンリバー」の楽日の翌日で当日しか参加できなかった。実行委員全体として、これからの会の運営のしかた、当日の準備、打ち合わせについて、反省するところも多かったけれど、反省したんだから、あとは次に活かせばいいというだけのことだ。
 疲れてやめてしまうというのが一番つまらないと僕は思う。どんな運動でも、ある程度の期間が過ぎると、「これからもつづけるのか?」という問題にぶつかるんじゃないだろうか。前回のリーディングは、ちょうどそんなタイミングだったかもしれない。
 でも、ここで声を上げるのをやめるのはいやだ。なんだか、敵の思うつぼじゃないかと思う。
 常田さんが話してくれた「主権在民」という話。常田さんのお母さんが、学校で憲法についてまず教わったのは、「戦争放棄」も大事だけれど、まず「主権在民」ということ。私たちは、政府が間違ったことをしないよう、いつも見張っていなくてはいけない。
 ほんとにそのとおりだ。政治家にまかせてしまうんじゃなくて、僕たち一人一人が、もっと世の中のことに目を光らせ、耳をすませていなくてはね。


2006年11月05日(日) 月夜

 早起きして、掃除と洗濯。今日は一日天気が持ちそう。何度も何度も洗濯機を回して物干し一杯に干す。クローゼットから出した冬物のシャツや毛布でも洗って、母親にあきれられる。出しっぱなしだった冷風扇も物置にかたづける。オイルヒーターはまだ出さない。部屋がちょっと広くなった。
 弟達が来る。久しぶりに会うのだけれど、妹の家にすぐ行ってしまって、僕はいつもとかわらない日曜日。仕事に出かける。
 予定がおして、行こうと思っていたぷれいす東京のイベントをパスする。東くんがリーディングで出演していたのだけれど、残念。ごめんなさい。
 家について、教育テレビでやっていた「小学校に英語がやってくる?」を途中から見てしまう。小学校の授業に英語を取り入れることについての教師と子供、海外(韓国)での実情などをていねいに取材している。気がついたら「英語」を「演劇」におきかえて見てしまっていた。
 小学校の英語の授業は、総合的な学習の時間で行われているのだそうだ。小学校の英語の授業のようすがいくつか紹介されていたけれど、それはほとんど英語を使ってのコミュニケーションやゲームだった。日本語でこれをやると、そのまんま演劇になるんじゃないかなあと思ったりした。だったら、先に演劇をやろうよとも。
 その後、篠原さんと電話で打ち合わせ。メールのやりとりの約束をして、それぞれ原稿に向かう。いい月夜。


2006年11月04日(土) 燐光群「チェックポイント黒点島」

 劇作家協会で、篠原さんと二人、富士見丘小学校のDVDの打ち合わせ。テキストの構成を再検討して、それぞれの章に新たに付け足す項目を決定。
 授業自体を紹介する項目なのだけれど、これがあることで、ぐーんとわかりやすくなった。
 一人で書くよりも、むかいあって座り、それぞれパソコンで自分の仕事をしながら、思いついたことを相談しながらの時間。おお、そうだね、ということにいくつも気がつく。一人で家で書いていたら、きっと思いつかなかったことのあれこれがうれしい。
 夜は、篠原さんと下北沢に出て、燐光群「チェックポイント黒点島」@スズナリの初日にうかがう。
 燐光群のメンバーに、竹下景子さん、渡辺美佐子さんが客演。スズナリ25周年記念公演ということで、1カ月のロングランだ。
 ロビーにはこの劇場で公演を行ってきた劇団のチラシが貼られている。僕が十九、二十歳の頃客演した劇団のチラシがあって、びっくり。とてもなつかしい。あの頃はまだ、劇場は打ち抜きになってなかった。たっぱの低い、普通の小屋だった。 折り込みの25周年記念パンフ(チラシ)の歴史を見ていたら、一番最初にスズナリで公演を打った本多スタジオの「黄昏のボードビル」という舞台も僕は見ていることに気がついた。あれがこけら落としだったんだなあと記憶の糸をたぐり寄せる。
 さて「チェックポイント黒点島」。舞台は、東シナ海に突然浮上した「黒点島」(太陽の黒点観測をしていた発見者の夫婦が命名)と、ベルリンのチェックポイント・チャーリー、それに世田谷の一家惨殺事件などがからむ構造。竹下さん演ずる漫画家が描いた「チェックポイント黒点島」というマンガの中と外を、自由自在に行き来する、とても娯楽性の高い作品。
 竹島問題や、日本人拉致問題が登場してきて、これははっきりした主張をもった固い芝居なのかしらと思っていたら、どんどん家族のありよう、親と子、夫婦、姉と弟、友人といった、人と人の間にある「チェックポイント」の話にひろがっていく、そのスリリングなかんじがおもしろい。
 スズナリの舞台で見る竹下景子、渡辺美佐子というだけでも、わくわくしてくる。なんて贅沢な芝居だ。そして、二人とも一体何役やっているんだろうというくらいの早変わり盛りだくさんで、そこまでやるかというような、ノリノリの芝居をくりひろげてる。
 息子をなじる母親役が見事だった渡辺美佐子さん、漫画家、母。妻としてというだけでなく、女性のいろんな面をきらきらと見せてくれる竹下さん。漫画家の友人として、地に足の着いた存在感の中山マリさん、ストイックななかにとても色っぽい夫役の猪熊さん、みなさんとてもすばらしかった。(案内人役の渡辺美佐子さんがばっちりメイクを決めて、チタ・リベラのよう!)
 終演後、篠原さん、一緒になった明樹さんと初日乾杯におじゃまする。坂手さんにご挨拶、マリさんとおしゃべり。
 劇場の外で竹下さんにご挨拶。一昨年の非戦の会で僕の担当したパートを読んでもらって以来、非戦の会のことを少し立ち話。
 一ヶ月の長丁場。これからどんなふうに変わっていくんだろう。もう一度また見てみたい、そう思わせてくれる舞台だった。


2006年11月03日(金) 扉座「ご長寿ねばねばランド」

 篠原さんと待ち合わせをして、紀伊國屋ホール。扉座「ご長寿ねばねばランド」。
 舞台は、老人ばかりが住んでいる夢の島のお話。
 3人のおばあちゃんがやってくるところから始まるというか、扉座の舞台にしてはめずらしく、一本スジのとおったストーリーというのがないんじゃないだろうか。いろんな人がホテルの庭を舞台に、繰り広げる人間ドラマ。グランドホテル形式のさりげない、でも、老人たちの言葉は、さりげないなかにもとても重みがあって、しっとりとしたいい芝居になっていた。
 三人のおばあちゃんのうちの一人は松田かおりさん。三谷幸喜の「天国から南へ三キロ」からのファンだ。でも、最後に見たのは、デヴィッド・ルヴォーのマクベスだから、もう何年ぶりだろう。色っぽく、でも、哀しいおばあちゃんをステキに演じていた。感動。
 年老いたピーター・パンが登場する場面で涙が出てきた。理由のない涙。舞台はおかしさでいっぱいなのに。せつない、とてもいい場面だった。
 里沙ちゃんは、客室係のおばあちゃん。肉をいっぱい着て、メイドのドレスを着ているところは、まるで「風と共に去りぬ」のマミィのよう。タップダンスもあざやかで、とてもチャーミングだった。
 終演後、ロビーで横内さん、田中さんにご挨拶。CSの未来図鑑に出ている僕を見てくれたそうだ。総集編の放送があったんだそう。びっくりしたよと言われる。僕もびっくり。そんなの放送してたんだ。
 篠原さんとお茶をして、解散。また明日と別れる。


2006年11月02日(木) 振り返るのはまだ早い

 昼間の仕事がまずは一区切り、それでも年明けでいいよねと思っていた予定が、来週からということになって、ややあたふたする。
 もう11月。2カ月で一枚のカレンダーは最後のページになってしまった。
 今月は、富士見丘小学校のDVDの原稿を書き上げて、今年の舞台の台本を書き上げて、オーディションをして配役決定。富士見丘が一区切りついたところで、「女たちのシェイクスピア」の稽古と本番。それが終わると、富士見丘の授業でどんどん練習をしていくことに。年末のgaku-GAY-kaiの稽古もいよいよ始まる。
 この日記は「観劇&稽古日記」と名付けているので、それ以外のことはなかなか書きづらい。それでも、今年は、ずいぶん稽古している日数が多いんじゃないだろうか? 数えてみたら、一年間で9本の舞台に関わっていることになる。これは、僕にとっては新記録じゃないだろうか。まだ振り返るのは早いので、残りの二本をきっちりつとめて、新しいトシを迎えられたらと思う。


2006年11月01日(水) 左腕

 電車が遅れて、遅刻かしらというぎりぎりの時間に富士見ヶ丘に到着。8時45分からの授業になんとか間に合う。
 1、2時間目、図工室で犬づくり。前田先生が、厚手の段ボールに型紙をあてて線を引いて置いてくれたものが、10体分。まずは、型紙どおりに裁断していく作業。
 予定通り、一体あたり、二人で取り組む。総勢20人の選抜チーム。おお、君が来たか!というような子たち、というか、こんなふうに一緒に工作をするのは初めてなので、どの子もとても新鮮な印象。初めて見る表情をこっそり観察する。
 ハサミでもカッターでもない、段ボールカッターを使っての作業。ハサミの半分の歯がノコギリのようになったもの。こんなのがあるんだとびっくり。
 胴体と頭には、曲線がいっぱいあるので、なかなかめんどくさい。手こずっていそうなところを見つけては、段ボールを押さえたりのお手伝いをする。図工室の工作用の机のへりをつかって、ぎこぎこ切っていく。ああ、それじゃ、危ない!とか言いながら。
 つづいて、顔の正面と胴体の側面を丸めていく。固くて分厚い段ボールを曲げていくのはなかなかむずかしい。僕は、大人で手が大きいので、全体を押さえながら、ちゃっちゃとやれてしまうのだけれど、子供達はずいぶん苦労している。裏側からカッターでスジをつけて、ていねいに曲げていく。
 今日作っている犬たちは、胴体はみんな同じ大きさ。ただ、顔は大小二種類ある。でも、裁断のしかたや、丸め方で、ずいぶんいろいろな顔ができあがっているようだ。
 つづいて、足と首を取り付ける。厚紙の筒を前田先生が糸鋸で切って、子供たちに配る。千枚通しで針金を通す穴を開けていく。今度も危なくないように、あちこちの様子を見る。そんな押さえ方じゃ指に穴があくよ!と注意したりしながら。
 穴があいたチームは、針金をもらって、胴体に足をとりつける作業に進んだ。つづいて首も。僕がわりと見ていたガクくんたちのチームは、時間の終わりまでに、首もついて、すっかり犬らしいものができあがっていた。
 途中で、犬の名前の説明が前田先生から。アマレットという名前の犬がいるとわかって、「大切な思い出」の作文で家で飼ってる犬のアマレットのことを描いてくれたキヌちゃんが喜んでくれた。よしよし。
 最後にそれぞれのチームが途中までできあがった犬を、大きなゴミ袋にそっくり入れて、教室にぶらさげて終了。
 次回は、糸をつけるところだろうか? 今度もなんとか顔をだしたいと思う。
 演劇授業のように、教える側じゃなくて、一緒に何かをやってるというのが、とても楽しい。もっとも、これから稽古が進んでいけば、どんどんそういう気持ちになっていくのだろうけれども。
 3、4時間目は、体育館で学習発表会の練習を見学させてもらう。
 「ゾウ列車がやってきた」をもとに、調べ学習をしたことも反映させての群読と合唱。
 初めての体育館での練習ということだったのだけれど、まずは全体を通してみるということに。
 舞台の前にひな壇をならべて、そこに全員が座っている。話す人、歌う人は立ち上がるというシンプルなスタイル。
 それでも、セリフも歌もちゃんと聞こえてきたし、心にも届くものになっていた。最初の立ち稽古(だよね)で、こんなふうにできるなんてすばらしい。
 なかでもサーカスの団長とゾウ使いがとても生き生きとしている。彼らが登場してから、一気に他のみんなの表情もかがやいてきた。
 休憩中に先生方から聞いた話では、先週のオーディションでは、それぞれが一人ずつの希望者で、誰がやるか?というようなことはほとんどなかったのだそうだ。ただ例外が、この団長の役で、二人の男の子が立候補。結果、一人が落ちたのだけれど、二人ともすばらしかったので、新たにゾウ使いという役を描き足したのだそう。二人とも涙ながらのオーディションだったそうで、今日の熱演もなるほどねえと思えた。
 4時間目は、篠原さんが、みんなに感想を伝えて先に帰って、僕一人が残った。そのまま見ていようと思っていたら、田中先生に「演出してもらえませんか」と言われて、「それじゃあ・・・」と最初の場面の練習をしてみる。
 「私たち六年生は・・」と一人が話し始めたとき、その人は全員を代表しているんだから、話してないみんなも、聞いている下級生に話しかけているつもりでいなくちゃねと話す。今日は、誰もいない体育館だけれど、本番では、下級生がいっぱいいるよね。今はいない彼らのことを想像しながら、話しかけていこう。稽古っていうのは、そういう想像力を働かせることでもあるんだよと。
 調べ学習の結果、悲惨な戦争の舞台になった国の名前を何人かのグループに別れて、次々、あげていく場面。一人一人で話しているときは、とてもいいのに、このユニゾンで話す短い場面で、ちょっとトーンダウンしてしまう。
 まずは、誰がしゃべっているのかわかっておくことが大事だと思ったので、国の名前を言いながら、手を挙げてもらう。これだけで、ずいぶんはっきりしたしゃべり方になった。
 「それから日本のヒロシマ」というのが最後のフレーズ。「ヒロシマ」という音は大きな声でしゃべるのがとてもむずかしい。みんなで練習してみる。ヒとシの違いは何だろう。ハヒフヘホと言ってみてもらう。少しお腹に力を入れてみようと話す。
 最後にクロアチアの子供達の言葉をしゃべる場面。4人の子供たちが、立ち上がって話す。このときは、「私たち6年生」が下級生に話してるんじゃなくて、クロアチアの子供たちの話を聞いている「私たち6年生」だ。
 それまで客席を向いていたのを、この場面は、話しているクロアチアの子供一人一人の方を向いて話を聞こうとアドバイス。
 ここまでで授業はおしまい。ほんとに最初の部分だけをていねいにつくったかんじ。また来たときはどんなふうになってるか、楽しみだ。
 授業のあと、体育館で、阿部先生、田中先生とお話。オーディションのこともこのときうかがった。デッキを片付ける係りのルイちゃんが、なんとなく、近くで話を聞いていて、帰りたくなさそうにしていた。先生に、早く行きなさいと言われたけど、気持ちはわかる。僕も子供の頃、先生たちの大人の話を、ずっと聞いていたい子だったと思い出す。
 その後、校長室で宮校長先生と授業全体についてのお話をさせてもらった。話すことでいろいろなことが見えてくる、いい時間だった。給食、ごちそうさまでした。
 夜、左腕が妙に痛い。筋肉痛だ。なんでだろうと考えてみたら、昼間の犬づくりの時間に、段ボールをずっと押さえていたからじゃないかと気がつく。他には左手なんて使ってないし。きっとそうだ。ちょっと情けない。


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