せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年04月30日(日) もう一日休む日

 今日も寝ている。6月のラ・カンパニー・アンの「罠の狼」の稽古スケジュールが届く。連休中に稽古が始まる。とってもあわただしい気持ち。
 初めての客演で西山水木さんはどんな役を書いてくれるんだろうと思っていたら、ぼくの役はゲイ。博多弁をしゃべらないといけない。どうなるんだろう? 台本を読みながら、わくわくする。
 昼間、買い物をしに、近くのスーパーへ。自転車に乗って。いつもは使わないカートを押しての買い物。やっぱりラクだ。
 気がつくとすっかり大荷物になってしまって、自転車にたどりつくまで苦労する。


2006年04月29日(土) 休む日

 一日、横になっている。
 近くの医者に行ったところ、やはり腰の痛みはぎっくり腰だとのこと。もう何度目かでくせになっていることは間違いない。連休中は休んでなさいと言われるがそうもいかない。とりあえず、今日は、何もしないと決める。
 コーヒーの入ったカップを持って階段を上がるのに苦労する。猫はもちろん抱けない。いろんな姿勢で横になっているうちに、「ミッシング・ハーフ」の5場の冒頭で横になるのが、唯一ラクな姿勢だと判明。
 夜、「宮廷女官チャングムの誓い」を久しぶりにオンタイムで見る。なんだか偉いことになっている。今年のgaku-GAY-kaiは、狸御殿の予定だけれど、「チャングムは?」はというアイデアもあったりする。どうだろう?


2006年04月28日(金) 返しの一日

 メジャーリーグで樺澤氏と待ち合わせ。まずは制作関係の荷物を降ろすところから、今日の返しの始まり。
 腰がいたくて、ほとんど眠れず、家を出たものの歩くのがつらくて、なんでこんなに?というくらいのろのろした巣鴨までの道のり。ただ立って電車に揺られているというのがこんなにつらいとは。
 おばあちゃんの本場、巣鴨に降りて、すたすたと歩いていくおばあちゃんたちに追い越され、時々、道ばたで立ち止まりながら、ようやくたどりつく。
 なんでもなく歩くよりは、荷物を持つという目的があったほうが、カラダはラクなことが判明。それでも段ボールに入った紙類をえいっと二人で持ち上げたときには、さすがにギブアップ。管理人さんに台車を借りて、あとは順調に。
 その後、国領のタカツへ小道具の返し。お久しぶりな中村さんにごあいさつ。お世話になりました。
 食事をしたあと、両国の倉庫へ。
 12時から一足先に倉庫の整理をしている予定だったまみぃが、足に怪我をしたとの連絡。なんでも、針を足に刺して、病院に行っているとのこと。
 出がけにうっかり鍵を忘れ、先にまみぃたちが行ってるからだいじょぶと思ってしまったので、しばらく待つことに。森川くん、小林くん、樺澤氏と道ばたでのんびり。
 前から、なんでおばあちゃんは道ばたにすわってるんだろうと思っていたのだけれど、そのわけがわかった。ラクだから。腰が痛くなって初めてわかる、おばあちゃんの気持ち。ベビーカーやショッピングカートを押しているのも、そのほうがラクチンだから。ただ歩くよりもずっとずっと。
 まみぃが怪我を押して来てくれて、そこから倉庫に今回の装置を片付けていくことに。計算上は入るはずの入口が、一番大きなパネルにはほんの少しだけきつく、結局、一度、ドアをはずして入れることに。その間、ぼくは、重いものが持てないので戦力外。
 なんとか全部を入れることに成功して、二階の森川くんのお宅におじゃまして、お茶をいただく。のんびりと。
 すっかり虎刈りになっているデリ子さん、以前よりもずいぶん人なつこい猫になっていてびっくり。
 帰りは、亀戸経由で座りっぱなしをめざす。佐久間さんから聞いていた、「亀戸のエルナードがアトレになってる」というのを、確認。高校の頃からよく来ていた駅ビル、ちょっとさびしい。
 家にかえって、とにかく横になる。洗濯も片付けも今日はパス。


2006年04月27日(木) 「ミッシング・ハーフ」千穐楽

 じっとりとした曇り空。出がけにはぱらぱらと小雨。急に寒くなった。
 自転車に乗って出かけたら、家の近くの曲がり角ですごいいきおいで走ってきた車にぶつかりそうになる。急ブレーキをかけたものの、バランスを崩して倒れてしまい、膝を地面に。しばらくドキドキしてしまう。怪我をしないでよかった。
 今日は千穐楽。昨日、打ち上げをしてしまったせいか、ちょっと不思議な気持ち。いつもの公演だと、打ち上げで初めて話したいろいろを、そうか、もっとああしておけばよかったなと思ったりするものだけれど、今回は、昨日話したあれこれを「さあ、どうしようか?」と考えてみることができる。うれしいおまけのような一日だ。
 いつものように劇場入りして、準備を始めて、開演。
 千穐楽の舞台を、しっかり生きる。で、終演。
 今日はカーテンコールをダブルいこうということになったので、拍手の中、また舞台に出ていった。
 二度目に戻るとき、腰にいやなかんじが。「小走り」で袖に駆け込んだのだけれど、つい油断した。芝居の中ではずっと用心して重心を上げていたのだけれど、うっかりそのままでばたばたと走ってしまった。
 客席の下を通って、楽屋に行く頃には、確信。またやってしまった。ギックリ腰。
 お客様にご挨拶に出たあと、片付けに入るが、腰の痛みは本格的に。手伝いに来てくれた三枝嬢に「だいじょうぶ?」と心配されながら、メークを落とし、化粧前を片付ける。
 終演後のバラシは、大忙し。青木タクヘイさんも来てくれて、ほんとうにありがたい。富士見丘以来のご挨拶をする。
 みんながてきぱきと動くなか、ぼくはとっても使い物にならない。ほうきをとっても痛みが走って、いいから座っててと言われてしまう。
 フライングステージのマミィ、ノグ、早瀬くん、小林くん、それに宇田くんがバラシを手伝ってくれる。みんなとってもたのもしい。すっかり成長した子供を見るような気持ち。
 11時半頃までかかってようやく終了。それでも、9時半終演だから、すごい手際のよさだ。
 スタジオには明日からの劇団さんが搬入、仕込みに来ている。なんて融通のきく小屋なんだろうと感動。
 雨模様のなか、駅まで歩き、解散。
 照明の青木さんが、ブースから撮った写真をハガキサイズにコラージュしたものをプレゼントしてくれた。大門さんバージョン、森川くんバージョン、それにぼくと3種類。中央に空の舞台の写真、そしてまわりがそれぞれの写真。こんなふうなんだ!と客観的に舞台がみえて感動。うちの芝居じゃないみたい!と言い合ったりした。大事にします。青木さん、どうもありがとうございました。
 そんなこんなで「ミッシング・ハーフ」、終了しました。ゲイのゲの字も出てこない芝居でしたが、ぼくにはとても大事な舞台になったという手応えがあります。公演に協力いただいたみなさん、そしてご来場いただいたみなさん、ほんとうにどうもありがとうございました。
 8月の「ムーンリバー」は、10代のゲイの男の子の気持ちの揺れを描く群像劇。下町を舞台に、大人と子供の一人二役で、昭和50年代を振り返ってみようと思います。どうぞご期待下さい。


2006年04月26日(水) 「ミッシング・ハーフ」8日目

 昼夜2回公演。マチネはどれだけのお客様が来てくれるのだろうと、どきどきしながらの開演。
 当日券の方を何名もお迎えして、それなりに客席は埋まってほっとする。
 芝居は、ていねいにアップをして、いっぱいおしゃべりをして、闘って前に進むことを心がける。なぞらない芝居を心がけるが、テンポを意識すると、どこかでそのことがおろそかになってしまうかもしれないと、気をつけながら。
 終演後、桜澤さん、はるひちゃんたち、お客様にごあいさつ。この回はギャザリング制度というのを設定していて、多くのお客様においでいただけたときは、どんどんチケット代が安くなるというシステム。とりあえず、500円バックにはなったようで、一安心。
 昼夜の公演の間、今日も大門さんがお総菜を持ってきてくれる。今日が最後だからという豪華版。竹の子ご飯に、もやしとほうれんそうとぜんまいのナムル、切り干し大根の煮物、絹さやと鶏肉の卵とじ。今日も、おいしくいただく。ごちそうさまでした。
 夜の公演は、土日の二回公演よりは1時間半長いインターミッション。それでも、うまく時間をつぶして、「余裕をもたないよう」気をつける。
 開場前の時間に舞台で森川くんとだらだらと話す。楽屋に行けば、僕はメークをわたわたとしなければいけないので、この時間のほっとひといきなかんじがとても好きだ。劇中では、終始、緊迫している役の彼との何でもない時間が、静かにしみるそんなかんじ。
 開場、そして、開演。千穐楽一日前の舞台は無事に終了。終演後、メークを落とさずに、ご挨拶に出る。メジャーリーグの笹部さんにごあいさつ。どうもありがとうございました。
 扉座の田中さん、里沙ちゃん、松本たけひろくん、さっこちゃん。などなどみなさんにも、ごあいさつしながら、メークしたまんまだということが、とっても照れくさい。いつもは、そんなに気にならないのになんでだろうと考える。
 今日は、一日前倒しの打ち上げ。劇場のお隣のスペース、パセオにて。スタッフ、キャスト、フライングステージのめんめん、いっこうちゃん、宇田くん。それに、笹部さん、サンモールスタジオの佐山さん、吉田さん、それにイキウメの宇井くんたちも参加してくれる。
 ゆるゆるとお酒を飲み、おしゃべり。
 イキウメの宇井くんに名刺をいただく、ご挨拶して、しばらくしたら「出演されてましたよね?」と驚かれる。まるで別人なので、無理もない。今回、自分でもびっくりするくらい、舞台上と素顔の僕は、全然違う。女装姿は、まあ昔からこんなもんよね?という気がするので、明らかにふだんの顔に問題があるんだなあと思う。
 笹部さんとの芝居の話、スタッフみなさんのテーブルにいた森川くんと話した、「一歩」の話。とてもおもしろかった。
 佐山さんに会場のとなりの、工事中のスペースを見せていただく。ステージのついたとてもおもしろそうな空間。二丁目に不足しているハコとして、おもしろい使い方ができそうだ。間もなく完成とのこと。楽しみだ。
 あと一日、一回だけの公演、悔いのないように舞台の上で生きたいと思う。
 終電の丸ノ内線で一足お先に失礼する。ノグと途中まで一緒になる。いろいろおしゃべり。
 話すことは元気をくれる。そのことをあらためて実感。
 さあ、残すところあと1回。悔いの残らないよう、きっちり努めたいと思う。


2006年04月25日(火) 「ミッシング・ハーフ」7日目

 近所の猫はさかりがついて、妖しい声でないている。うちのは去勢しているので、大人しいのだけれど。
 今朝、庭でないている白に黒のぶち猫を見つける。雄のちょっと年取ったかんじ。あやしくないては、うちの猫に何かしゃべっている。雄なのに。なわばりあらそいか?
 母親に聞いたら、近所の妹の家の近くにいる「かつらちゃん」という野良猫らしい。白い頭に黒のぶちが、まるでおかっぱのかつらのようなので、妹が命名したそう。
 かつらちゃんは、家の回りをぐるぐる回って、うちの猫に追いかけられている。首輪なしのちょっとやせた姿がいたいたしい。仲良く遊びなとうちの猫に声をかける。

 「ミッシング・ハーフ」は7日目。昨日の反省をふまえて、準備はしっかり、それでも余裕をもちすぎないように考えながらの準備。
 のぐ、小林くん、宇田くんが来てくれる。
 照明の青木さんから、すてきな武勇伝をいろいろ聞いて、気持ちが盛り上がる。
 そして、開演。芝居は、いいかんじで進む。今日も、森川くん、大門さんと舞台で初めて会うような気持ち。
 沢村源之助の場面、とてもすっきりとできた。森川くんとのやりとりも、昨日の微妙な場面をクリアして、きちんと積み重なっていく。終演後、よし!というてごたえをかんじる。
 くまがいさんにごあいさつ。メークを落として出たら、「ドレスを着たあの人に渡したかった」といわれる。うん、たしかに。全くの別人だからね。
 ピンズログのみなさんが来てくれる。感謝。感謝。
 今回の装置を劇団の倉庫に入れるため、森川くんにドアの寸法をはかってきてもらう。ちょっと無理なんじゃ?と心配になるが、装置の寸法が予想より小さいことがわかり、大丈夫!ということになった(たぶん)。
 この装置とも、あと3回でお別れ。次に会うのはいつだろう。ぜひまた会いたい。
 樺澤氏、土井さんたちの打ち合わせにちょっとおじゃまする。芝居の話をいろいろうかがって、一足お先に失礼する。
 あと3回、いい芝居にしよう。


2006年04月24日(月) 「ミッシング・ハーフ」6日目

 暖かい日、いや、暑いくらいだ。いただいたお花を家の玄関に活けている。篠原さんからもらった赤いバラがいい香りなのだけれど、母親がご近所からいただいた芍薬がどかんと咲いてしまい、玄関はもう芍薬の匂いしかしない。もう4月も終わり。春先の花から、初夏の花へと季節はどんどんうつっていく。

 中日折り返して、平日。夜の公演。ゆっくり劇場入り。
 いいかんじで芝居が進んでいって、途中で、うわっと思うことがあった。「モロッコ」の話をしているところ。なんとか元に戻すが、冷や汗をかく。膨大なセリフを語るこの芝居で、真っ白になったことは一度もないのだけれど、今日はそれに近いかんじだった。どきどきするが、立ち直れたことにほっとする。
 終演後、平田さん、伊藤さんにごあいさつ。WS友達の島田さんにも。感謝。
 帰りは、問題の場面のセリフをさらう。ぶつぶつと。
 あと4回の舞台、大事につとめたい。 


2006年04月23日(日) 「ミッシング・ハーフ」5日目

 マチネ、ソワレ二回の日、二日目。
 昨日のコンディションを考えて、マチネの準備から、前倒しを心がける。そのわりには、やっぱりバタバタしながら、開演時間に。
 今日は、トシくん、マミィ、それに早瀬くんが手伝いに来てくれている。早瀬くんから近況をいろいろと聞かせてもらう。
 マチネ、大勢のお客様に支えられての舞台。昨日の「事故」をふまえて、舞台裏に予備のつけまつげとノリを用意しておく。場面のあいまには、「まつげはある? よし大丈夫」と確認をしながら。
 公演が続いて、肌がだいぶ荒れてきた。特に、まぶたが。終演後、ご挨拶に出るのに、大慌てでメークを落とす。かなり乱暴にやっつけるので、ラメやらシャドーやらでやられてしまうのかもしれない。今日は、まつげだけをとって、着替えて、ロビーに出る。すっぴんで行くと、舞台の姿との落差が大きいので気づいてもらえなかったりするのだけれど、今日は、なんとか……。
 ロジャー・リーズのワークショップで知り合ったクミさん、ユミさんにごあいさつ。クミさんは大門さんともお知り合いだそうでおどろく。
 今回、メークを落としてから、外に出るので、お帰りになるお客様にご挨拶できないのが申し訳ない。普通はそれで全然いいのだし、慣れないといけないかもしれないと思うのだけれど、やっぱり一言、ご挨拶したいと思ってしまう。これから見に来ていただける方は、もしよろしければしばらくお待ちいただけるとうれしいです。毎回、必ずロビーに出ていきますので。
 休憩時間。今日も慌ただしい2時間。昨日に続いて、大門さんが差し入れのお総菜を持ってきてくれる。牛スジの煮込み、煮卵と麩とこんにゃく。白いご飯を買ってきてもらって、今日もおいしくいただく。ごちそうさまでした。
 ソワレの開演。追加公演ということだけれど、「他が満員なので追加」というわけではないので、正直、お客様の入りが心配なところ。それでもだんだん埋まって、ほっとする。
 「女優」としての大きさを意識しながら演じているこの頃。大きさと繊細さのかねあいをさぐるのが、とてもおもしろい。一緒に舞台に立っている大門さん、森川くんとどうわたりあうか、それに見ていてくれるお客様とどう一緒に芝居をつくっていくかということに、もう一つ、自分をちゃんと見ながら、操縦していくおもしろさ。もっとも、こんなことは、まず真っ先にできていないといけないことかもしれない。でも、僕にとっては、この順番だなと思ってしまう。
 終演後、篠原さん、yu-jinくんにご挨拶。篠原さんがどんなふうに見てくれるか、じつはドキドキしていたのだけれど、楽しんでもらえたようでほっとする。
 昨日に続いて、いただいた缶ビールで楽屋で乾杯。サンモールスタジオの佐山さんが見てくださって、感想をいろいろうかがう。初日に比べて、ずいぶん僕がまとっている空気が変わってきたと言っていただく。やっていることはそう変わらないはずなのに、そういうものなんだと納得する。この劇場の空気のなか、僕がちゃんと息をしていられるようになったということかもしれないなとも考える。
 今日で、全公演の日程が折り返し。いつもは、日曜日が千穐楽のフライングステージにとっては、初めての週末を越しての公演(祝日の月曜or火曜千穐楽というのはあったけれど)。
 最近、ミクシィ友達になったクミさんが、ご自分の日記に「ミッシング・ハーフ」のことを書いてくれて、僕たちのことを「役者○○」と呼んでくれていた。(○○にはたぶんカタカナ二文字が入るはず)。ほんとにそんな芝居だなと思う。出ずっぱり、しゃべりっぱなしの1時間50分。大門さんは、早変わりの3役、実際は時代が変わるのでキャラクターは4役。こんなに芝居ばっかりな芝居(変な言い方だけど)はないと思う。毎回をとっても大きな山に登るつもりで、頂上をめざす。それも、途中までロープウェイかなんかに乗るんじゃなくて、1合目からしっかり歩いて登る。そんな芝居になっているんじゃないかと思う。
 チケットはまだまだ余裕があるそうです。どうぞ、みなさまのご来場をお待ちしています。
 あと、5回の公演。明日もまた、頂上をめざして、しっかり登っていこう。


2006年04月22日(土) 「ミッシング・ハーフ」4日目

 二回公演の日、一日目。マミィ、ノグ、トシくんが来てくれる。
 僕は、12時入りで準備を始める。今回、僕は、メークと準備に約一時間かかる。ヒゲを剃って(朝剃ると浮いてくるから直前に)、メークをして、ウィッグをかぶり、着替えて、ヘッドドレスをつける。途中で何度も「まだ終わらないの?」と思ってしまう。できあがった姿はとてもシンプルなのだけれど、とっても手間がかかってる、今回のこしらえだ。
 開場前に、大門さん、森川くんと、舞台であれこれ話す。ダメだしというよりも、昨日のおもしろかったあれこれを共有する時間。話の合間に今度はこうしてみようというアイデアもうかんできて、それを確認してみたりする。
 今日のマチネは、とっても大勢のお客様がいらっしゃる回。平土間の席も一列余分になっていて、舞台との距離がとっても近い。
 芝居としては、昨日よりも押していった印象。大勢のお客様に負けないでずっと向き合いつづけることをこころがけた。
 終演後、客出しのご挨拶のあとの昼休み。大門さんの手作りのお総菜。れんこんのきんぴらに、もやしとほうれんそうとぜんまいのナムル。近くのコンビニでごはん(大盛り)を買ってきて、ごちそうになる。ほかほかとあったかいお昼。キャスト、スタッフ、みんなでわいわいと。ごちそうさまでした。
 ソワレの開場、開演。間の時間が二時間しかないので、ややあわただしい。マチネと同じように準備を始める。メークを落としてない森川くんはややのんびり。昨日も帰りの電車で別れしなに「メーク落としてね!」とほろ酔いの彼に念をおした(それでも、いったんはそのまま寝たらしい)。
 夜の舞台もおおぜいのお客様と一緒に1時間50分の旅をする。昼夜の間の時間に森川くんと確認をした、「一番大変なのは1場だね!」をふまえて、最初からややがんばる。その後の展開がとてもカラダになじんできた。
 途中、6場でひっこんだとき、右の上のつけまつげがなくなってることに気がつく(今回は、上まつげ&下まつげ)。どうしよう?と思ったら、袖で落ちてたのを拾っていてくれた。これも、実はものすごい奇跡だ。今回は、メークを直す時間もない出ずっぱりなので、まつげが落ちたら、それっきりと覚悟を決めていた。でも、6場で直す時間がありそうだということに気がつく。舞台に落としたら上演中は絶対に拾えないつけまつげを拾ってもらえたんだから、これはつけなくては!と決心。
 拾ってもらったまつげを手に、袖の中、舞監の中西さんに小さな声で「両面テープ1ミリください」とお願いして、テープを細く切ってもらう。指先で細くよじって、ノリのかわりにして、まつげをつけてみる。やった、ついたよ、ついた!
 6場の後半は、それでいくことにする。両面テープは白いのだけれど、「ノリがかわいてないの」と思うことに。
 やや、切ない展開の6場の後半、とっても近い距離で顔を合わせる森川くん。演じていて哀しくなってしまう場面だけれど、今日は「絶対にまつげが変!」とどこかさめた自分がいた。ちょうどよかったんじゃないだろうか。その場面で新しく気がついたことがいくつもある。なんだろうこれは? 大事におぼえておくことにする。
 そして、終演。カーテンコールで登場する前に、お客様から拍手をいただく。とってもうれしい気持ちでごあいさつに出る。
 帰り、今日は終演時間が早いので、差し入れにいただいた缶ビールで、みんなで軽い飲み。ロビーor楽屋にて。
 8月の「ムーンリバー」の先行予約を何人もの方からいただく。ほんとにありがたい。出演してくれる、木村佐都美ちゃんがお母様と一緒に来てくれた。感謝。久しぶりのマッスーの元気なすがたも見ることができた!
 帰り、ちょうど空になってしまったアイライナーを探して、新宿まで歩こうと決心。二丁目にあるドラッグストアで、今使ってるのと同じものをゲット。よかった! 横断歩道を渡ったら、タックスノットのタックさんに遭遇。そのままお店に。
 MTFのアンジェリーナ(名取裕子or深田恭子のようにゴージャス!)、上海出身のアキラくんと、おしゃべり。「ミッシング・ハーフ」を演じている僕にとって、とても意味のある話をいろいろ聞き、思うことたくさん。
 ほろ酔いのまま電車で帰る。
 明日からの舞台がさらに楽しみになる。
 決まったことをなぞろうとするんじゃなくて、毎回が新鮮で新しい、そんな舞台に、思い切りよく飛び出していけることの幸せ。
 明日は、公演中日。


2006年04月21日(金) 「ミッシング・ハーフ」3日目

 朝から洗濯機を4回まわす。よし干すぞ!とベランダに出たら、急に空が暗くなってきた。夕立のようなすごい雨の予感がしたので部屋干しにしてから出かける。
 午後になっても雨が降る気配はなく、ついには快晴。やられた。
 公演三日目。昨日の反省をふまえて、守りに入ってしまわないよう心がける。前半、声の調子がやや微妙になるものの、なんとか乗り切り、中盤からはいつものように。
 今日は、なんだか、森川くんと舞台で初めて会ったような気持ちになる。大門さんの沢村源之助とも。不思議な感覚。そんな気持ちのままラストまでの時間を積み重ねていった。
 終演後、森川くん、しいたけをさん、ピンズ・ログの平林さんたちと飲みに流れる。となりのテーブルには、今日見に来てくれたワタルくんたち、影坂狩人さんご一行。今日は狩人さんの誕生会とのこと。芝居の話で楽しく盛り上がる。帰り際に、中西さんたちスタッフのみなさんが入口付近のテーブルにいたことに気がつく。わお、ちっとも知らなかったよ。
 森川くんと地下鉄で、おしゃべりしながら帰る。陽気なラテン系の人たちが大勢乗り込んできて、にぎやかな新宿線。目に優しい濃ゆい系の人々。
 一人になった乗り換えのコンコース、頭の中でセリフをさらっていたら、前を歩いていた人に思い切り振り返られた。ぶつぶつ言っていたつもりがいつの間にか大声になってしまっていたらしい。そのセリフは「もう帰って、あなたを好きになりそう」。びっくりするはずだ。
 新御茶ノ水駅の長い長いエスカレーター、二十代前半の男子二人が、ハグしながら乗っていた。ブリーチした髪に大きめのピアス。二丁目からの帰りかな。なんだかうれしい気持ちになった。
 いい夜。


2006年04月20日(木) 「ミッシング・ハーフ」2日目

 二日目にして、ややゆっくり目の入り時間。中西さんと舞台の確認。そして、準備にとりかかる。
 まみぃが衣装を洗濯してくれた。かたじけない。感謝。
 ノグ、小林くんがオモテ方スタッフとして来てくれる。
 開演前、楽屋で森川くんと話す。膨大なセリフ、そして出ずっぱりの芝居は、開演前に楽屋でじたばたしてもしょうがない。とにかく舞台に出ていって、そこで生きるしかないんだねと。
 去年の「二人でお茶を TEA FOR TWO」の時、開演前の楽屋でも同じような話をした。僕は、それでも不安なので、台本をめくる。お寺の儀式か何かで経本をぱーっとめくっていくと「3千回」唱えたことになるという、あんなかんじで。
 開演。今日もお客様に支えられて舞台にいることができた。
 劇中で語る映画の話。「語り」なので、言葉よりもカラダが先行するように組み立てている。その気分が、今日はとてもすっきりとふにおちた。でも、その分、それ以外の場面のやりとりが、なぞるものになってしまったかもしれない。終演後、感想を聞き、そんなことを考える。
 見に来てくれたエスムラルダさん、森川くんとアイランドへ寄っていく。芝居の話、近頃のドラマの話などで盛り上がる。
 帰りの電車で言葉とカラダのことをずっと考えている。たらたら歩いていたら、いつの間にか終電になってしまった。


2006年04月19日(水) 「ミッシング・ハーフ」初日

 なかなか寝付かれず、寝たり起きたりを繰り返し、もう起きる時間だなあとおもいながら、気持ちよさそうに寝ている猫と一緒に寝てしまい、ばたばたと出かける。
 森川くんと場面を小返しして、ゲネプロに備える。昨日よりもちゃんと彼を見ることができているような気がする。
 ゲネプロ。大門さんのメークをすませた姿と舞台上で出会う。映画やドラマで見ている大門さんだと、ドキドキしながら、気持ちがぐーんと盛り上がる。
 終了後、ダメだしというか、いくつかの確認。初日の舞台の準備を始める。
 宇田くん、小林くんが来てくれる。くにおさんがカメラで本番前のぼくらを撮ってる。いっぱいいっぱいという気持ちにはそんなにならず、静かな気持ちで開場、そして開演の時間を迎える。
 開演前、舞台奥に板付きしながら、川野万里江のことを考える。実在しなかった彼女に挨拶する。で、開演。
 1時間50分。お客様に支えられながら、一緒に「ミッシング・ハーフ」という舞台ができあがっていった。カーテンコールに出ていって、あたたかい拍手をいただく。感謝。感謝。
 終演後、初日乾杯を客席で。いっこうちゃん、にしやん、それに宇宙堂の加藤記生ちゃんたち。スタッフ、キャスト、お客様方と、みんなで小さな缶ビールで乾杯。
 樺澤氏と一緒に打ち合わせがてら飲みにいく。土井美和子さん、サンモールスタジオの吉田さん、劇場関係のみなさん方をはじめとする、大人の芝居者な集まり。となりのテーブルには中西さんたちスタッフのみなさんも。
 帰りの電車で、小池さん、青木さんとおしゃべり。楽しいお酒でほろ酔い気分。
 さあ、初日が開いた。これから1週間の長丁場。毎回をなぞらずに、一回一回をていねいに、キャスト、スタッフ、それにお客様とつくりあげていきたいと思う。
 チケットはまだまだどの回にも余裕があるとのこと。(追加公演は、「どの回もいっぱいになったから」というのが理由ではないので)。みなさまのご来場をこころよりお待ちしています。


2006年04月18日(火) 「ミッシング・ハーフ」仕込み

 昨日の続きの明かりづくり。最後までを確認して、場当たり。
 照明と音響のきっかけを確認していく。
 鈴木さんが入れてくれる効果音が、芝居をぐーんとたすけてくれる。
 稽古場ではただの間だったのが、ひとつひとつ、意味を持ったものになる。そんなかんじ。
 順調にラストまでを確認して、ひとだんらく。
 舞台上は床材にクッションが入っているため、稽古場よりもずっと歩きやすい。ピンヒールが苦にならない。ヒールのあとがついたらどうしよう?というのが課題だったのだけれど、それほどでもなく。というか、置いてある椅子の脚のあとも普通についてしまう床。舞監の中西さんにヒールにパンチカーペットを張ってもらう。よりラクチンになり、ほっとする。もう、これで、駆け出してもだいじょうぶ。
 場当たり終了後、森川くんと打ち合わせ。道具こみの演出を確認しながら舞台で動いてみたいなと思ったのだけれど、結局、撤収の時間まで、楽屋でいろいろ話してしまう。僕らが演じる人物のこと。彼らがお互いに何を感じるか。何が目的かなどなど。
 毎日同じ稽古場でできた稽古はとてもよかったのだけれど、稽古場からの帰り道にあれこれおしゃべりする時間が、いつもより少なかったかもしれない。一緒に帰っても駅がすぐだから。今日はそのうめあわせのような時間がもてた。話すことでいろいろなことがみえてくるのは、いつものことだ。明日の初日の前に確認できたことがとてもうれしい。


2006年04月17日(月) 「ミッシング・ハーフ」劇場入り

 朝10時から劇場入り。ノグ、小林くん、マミィがフライングステージから来てくれている。
 照明の仕込み、そして、舞台を尺高に上げて、装置を建て込んでいく。小池れいさんデザインのこの装置は、フライングステージではいまだかつてないほどの重厚さ。ロビーで、模型を見せてもらう。赤いチャイナ服を着た僕が(劇中では着ないけど)が立ってる、精巧なもの。ロビーの照明が模型の窓から射して、何ともいえないいい雰囲気。
 実際の装置も見事に立ち上がる。床や壁の古びたかんじ、壁の柱の牡丹の彫刻までもが、とってもこまかくて、感動する。
 思い切りしめても大丈夫なドアと窓。そして、とんでもない存在感の寝椅子。
 今回の「ミッシング・ハーフ」はある意味、「毛皮のマリー」や「サンセット大通り」へのオマージュだ。「毛皮のマリー」の舞台にある「バスタブ」のような生々しさを醸し出してる寝椅子。すごくいいかんじ。森川君と相談して、普通のソファでは成立しない、座り方を考えてみる。うーん、おもしろい。
 装置ができて、照明の仕込みが終わり、夕方から明かりづくり。1場のデリケートかつダイナミック(ていうか大げさ)な照明をつくっていく。2場の終わりの微妙なアレンジについて、青木さんと相談するところで、今日はここまで。続きはまた明日。
 ここで芝居をするんだと思うとわくわくする。初日まであと2日。


2006年04月16日(日) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 打ち合わせのあと、6場の稽古をして、16:00から通し稽古。今日の僕は、衣装もメークもありで。
 一階下の楽屋でメークをばたばたとする。ややナチュラルなかんじになってしまったのだけれど、まあ、稽古だしいいかなと。それでも、すっぴんよりは、かなり豪華に。
 通しは、昨日の通しを踏まえて、突き放して演じることを心がける。いろんな手応えをかんじる。プラス、やりこんでいかなければいけない課題も新たに発見。
 音響、照明の打ち合わせ。この間、弾いてもらったナオコさんのピアノがデータとして届いて、今日から流してもらっている。生の気持ちがいいかんじに乗っている仕上がり。感謝。
 稽古のあと、撤収。この稽古場、ミラクルにはほんとうにお世話になった。
 今日はノグが稽古場に来てくれる、搬出のお手伝いだ。こちらも感謝。
 片付けて、掃除をして、荷積みのトラックを待つ。
 1Fの階段のところに猫の一家がいた。白黒ぶちの母猫が黒猫2匹と他2匹の計5匹でかたまっていた。一匹、好奇心の強い黒が、ときどきちょっかいを出しに来ては、母猫にたしなめられていた。歌舞伎町の野良猫。半端な田舎よりは、ずいぶん食べるのには困らないだろうとは思うけど、みんなそろってやせていた。がんばれ。
 お世話になった稽古場は、本来は劇場。家に帰って、台本を開くと新しい木の香りがした。稽古中には、下の中華屋さんが何かをしこんでるおいしい匂いがダクトを上がってくるようだ。いくつものにおいの記憶が残る。
 樺澤氏運転のトラックが来て、荷物を積む。こちらは、明日からお世話になる装置の塗り立ての塗料の匂い、それにむき出しの木材の香り。てきぱきとつみこんで、竜太郎さんと一緒にメッセージのマツダリクさんにごあいさつして失礼する。
 今度来るのは6月のラ・カンパニー・アンの公演。今度は劇場としてお世話になる。
 明日は劇場入り。


2006年04月15日(土) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 6場を稽古して、休憩のあと、通し稽古。今日は衣装をつけて。
 今日も大門さんが差し入れを持ってきてくれる。竹の子ご飯にきんぴらごぼう、きゅうりのお漬け物。おいしくいただく。
 通しは、前回よりも時間がのびてしまう。セリフが滞ったりした部分もあるものの、芝居を説明しようとしてしまいがちだったのが大きな原因だったと反省。特に僕が。
 演じている役をかわいそがったり、正当化しながらの芝居は絶対にいやなのだけれど、今日は、どうもそっちの方向に傾いてしまったかんじ。やっていてとても気持ちが悪かった(自分がね)。
 もっともっと突き放して、僕が演じるめちゃめちゃな人(かわいそうな人じゃない)をすとーんと舞台の上に放り出してしまいたいと思う。
 今日はまみーが稽古場に来てくれた。僕の衣装のなおしをやってもらう。感謝。
 解散した後、二丁目に顔をだそうかと思っていたのだけれど、予定を変更して、まっすぐ帰ることにする。もっともっと芝居がしたい。明日もがんばろう。
 初日まであと3日!


2006年04月14日(金) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 昨日の続きの3場の小返しから。
 大門さんとのややコミカルなやりとり。段取りにならないよう気をつける。
 今回の稽古では、制作の竜太郎さんに、演出助手のような仕事をしてもらっている。声優さんだった経歴がある彼に、今回は、言葉のアクセントについてのチェックをとてもていねいにしてもらえている。
 劇中、たくさん登場する「映画」という言葉。つい「えーが」と平らに言ってしまうのだけれど、正しくは、「えいが」と最初がきちんと高い、「い」の音もちゃんと発音する。
 僕の鬼門は「手術」。つい「しゅじゅちゅ」と言ってしまっている。なんでこんなに書いたんだよ?と自分を責めたいくらい。それもかなりシリアスなシーンで出てくる言葉なので、ほんとに気をつけないといけない。「タキシード」「フィルム」、そんな言葉も、今風のたいらなアクセントで読んでしまうのを、きちんと高低をつけて発音する。「それだけで時代感が出る」と竜太郎さん。ほんとにそうだ。僕も「タキシード」とていねいに発するだけで、何か古めかしい時間に触れたような気がする。
 続く、4場。前半の森川くんのやりとりのあと、後半は、大門さんの沢村源之助とのやりとり。下座の音楽を鈴木さんに入れてもらって、ほんとうに「糸に乗って」の芝居。七五調のセリフに僕も気持ちよくのっからせてもらう。座り芝居は客席から見えにくくなってしまうので、位置をていねいに調整する。それでも、最後には、僕も台本から自由になって芝居だけをさせてもらう。こんなことしたことない。大門さんが「劇場間違えたと思われるんじゃない?」と言っていたけど、そのくらい思い切りの歌舞伎、新派、大衆演劇、日本の芝居のおもしろさを、まずは僕が楽しませてもらっている。
 その後は、休憩、そして、僕と森川くんのシーンをさらっていく、3場の前半、そして4場。お互いへの感情がどう深くなるのかを、稽古の合間の休憩時間にああだこうだとおしゃべりする。
 一年前の「二人でお茶を TEA FOR TWO」もいっぱいおしゃべりしながら作ったなあとなつかしく思い出す。
 続いて5場。僕と森川君だけの場面。はじめ、どうやってやろうかということを、二人がそれぞれに考えた結果、とっても成り立たないまま終了。成り立たなさがとってもわかりやすくて、大切なのはお互いをちゃんとかんじながらその場にいることだということが、よくわかった。二度目からは、その上で、小道具の扱いを工夫する。失敗しながら、いろいろチャレンジしていく。
 初日まであと4日!


2006年04月13日(木) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 西ヶ原のスタジオで、ナオコさんにお願いするピアノを聞かせてもらう。「上海リル」のアレンジを何パターンか。場面の説明もしながら、いろいろ聞かせてもらう。録音はまた改めてということで。
 降りてみるのは初めての上中里、知らない街だけれど、不思議にあったかい街並みが新鮮だった。
 稽古は、昨日の通し稽古を踏まえての小返し。
 ラストのセリフを大幅に変更。読んでもらって、まずは確認。うん、とってもいいかんじだ。これならきれいに幕が下りる。
 音響の鈴木さんが今日からついてくれる。台本の最後に書いたト書きの音を流してくれた。イメージで書いたものなのだけれど、実際に流れてきたら、いい効果になっている。早速、これでお願いしますと伝える。
 小返しの1場、2場は、音がいっぱい。これまではイメージするしかなかったものが、どんどん音を出してくれていって、とっても芝居がはずんでくる。気持ちの切り替えに、外の音を聞くというのが、芝居の中での大きな出来事になっている。さりげない、それでいて大げさなやりとりが続く今回の芝居では、相手のセリフと動きに、ずっと集中している。そのなか、ふっと聞こえてくる外の音が、今ここにいるんだなあという気持ちをささえてくれている。
 劇中で、使う古いトランクを家から持ってきた。二十歳の頃、コクトーの「声」をやったときに買ったものだ。中には当時の芝居のチラシや台本や手紙やらがいっぱい入っていた。今日、出がけにその中から、養成所時代の卒業公演の写真を見つける。すっかり忘れていた。こんな写真があったんだとなつかしい。今もつきあいがある何人か、このとき以来会っていない多くの同期たち。二十歳チョイ過ぎの自分も、なかなかに新鮮。当時の僕は、今の僕を見たらどう思うだろう?とちょっと考えてみる。
 一緒に見つけた、1984年の「王女メディア」のフライヤー。大門さんが出演していた舞台。増上寺で見たんだった。白黒で映っているコロスの女達の中、これがそうと大門さんに教えてもらう。
 なつかし写真大会で持ってきた養成所の僕の写真。大門さんも昔の写真を持ってきてくれて、見せてもらう。とってもイケメンだ! ほんとに。
 大門さんとの稽古は、「同じ芝居ができない」といってもらっているけれど、それで全然だいじょぶだ。同じ芝居をやろうとして、あれ、なんだか違くない?と感じてしまうより、ずっとちゃんとした時間を生きた気がする。今日もまたそんな思いを深くした。
 1場の稽古をしながら、とっても汗をかく。僕と森川くんは汗だく、大門さんもうっすらと。動きの多い場面ではあるけどなぜ?と思っていたら、雨が降り出す前の湿気が多い時間だったようだ。稽古のあと、外に出たらけっこう強い雨足で雨が降り出していた。


2006年04月12日(水) 富士見丘小学校演劇授業 「ミッシング・ハーフ」稽古

 朝から、富士見丘小学校。今日は、新六年生、第一回の演劇授業。扉座の体験教室だ。
 遅刻して途中から見学させてもらう。
 今日は歯科検診の日。保健室の前で小さな男の子がいるのに出くわす。目があったので、「おはようございます」と挨拶したら、小さな声で「演劇の人?」と聞かれた。「そうだよ。きみは何年生?」「三年生」「今日は歯科検診?」「うん」「虫歯あった?」「なかった」「よかったね!」とちょっとおしゃべり。
 体育館に6年生全員が集合。去年と十数人の違いのはずが、とっても少なくかんじる。そのうちに、これから彼らは育つんだと気がつく。
 卒業していった去年の6年生も、はじめはとってもちっちゃかった。一年でどんどん大きくなっていくんだなあと、これからの一年のことを考えた。
 扉座のみなさんは、茅野さん、田中さんに、横内さんまで来てくれて、プラス劇団員、研究生、十数人の大所帯。今年もお世話になる音響の青木さんまで、大人が総出で、子ども達に演劇のおもしろさを体験させてくれた。
 チームに分かれての「さよなら先生」。今年は、これまで以上にまとまりがよくてびっくり。みんな、とてもいい集中のしかたをしている。
 これまでの2年間の先輩の発表を見ているからだろうか。積極的にやってやろうという姿勢がたのもしい。ただ、「上手にやろう」とがんばっている子がずいぶんいて、そのことよりも、自分らしく、その場にいて言葉を発していってくれた方がいいのになあと思うことも。
 それでもやっぱり、今年もまた泣かされてしまう。青木さんの絶妙な効果音と音楽の入り方と、シンプルな別れの場面のセリフ。初めて見る子ども達が、芝居とかなんとか言う前に、場面の子ども達そのものに見えてしまう。
 去年は、朴訥だけどていねいに言葉を発している子供たちに心を打たれた記憶があるのだけれど、今年は、彼らにきっちり向き合っている扉座の俳優さんたちにも感動した。
 場面は駅のホーム。下手側が線路。上手側から走り込んできた子ども達に向き合って立つ先生は、子ども達のいきおいによっては、客席側から見ている僕たちにまるっきり背中を向けることになる。
 芝居しようと思う役者は、つい、客席を向きがちだけれども、今日の扉座のみなさんは、そんなこと関係なく、客席に背中を向けて、子ども達に向き合ってくれていた。背中しか見えなくても、僕たちには、先生を見ている子ども達の顔がよく見える。それで全然いいんだ。俳優さんたちの背中を見ながら、観客の子ども達は何を感じただろう。
 最後の挨拶で青井さんは、「上手な学芸会」になってしまうことへの心配を話していた。僕も、今から、上手にいいものをと目指すより、なんだかわからないけど、みんなで一生懸命になれるものを、楽しく作っていきたいと思う。今年のめやすにしたいと思うことがなんとなく見えてきたような気分。
 給食をいただきながら、今日の感想を話し合い、これからの予定を確認する。今年は劇作家協会が関わる三年間の計画のまとめの年。どうまとめていくか、来年度のことも考えていかなくてはいけない。そのことを中心に、一度話し合いを持ちましょうということになった。
 駅までの道を扉座のみなさんと歩き、横内さん、篠原さんと協会の打ち合わせ。「今年も始まったねえ」と言い合う。

 稽古は、昨日の続き、5場と6場から。ていねいに組み立てていく。
 今日も大門さんが、差し入れの牛スジと煮たまごをもってきてくれる。こんにゃくとちくわも入ってる。ダイエットにもなるし、コラーゲンもいっぱい。古漬けのきゅうりと大根にショウガをあえたもの、スナックえんどうを明太マヨネーズであえたものも一緒に。おいしくいただく。ごちそうさまです。
 休憩のあと、通し稽古。とにかく通してみようということで。
 スタッフのみなさんに見守られながらの初めての通し。
 今日のところは1時間50分。もう少し短くなるはずだ。問題点もいろいろ見えてきた。
 稽古の後、スタッフのうちあわせ。照明、音響を中心に。
 帰り、見学に来てくれた小林くん、音響の鈴木さん、クニオさんと駅まで。鈴木さんは、扉座の研究所の卒業公演「LOVE LOVE LOVE 」の音響をやっていた方。今日の授業の扉座のみなさんの話でもりあがる。


2006年04月11日(火) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 当日パンフの原稿を書く。
 稽古場では、稽古前に大門さん、森川くんと三人で当日パンフ用の対談の収録。記録用のカメラをまわしながら、妙に固くなりながら、それでも途中からは言いたい放題なノリに。
 稽古は、昨日の続きの6場から。最後までいったん行って、それから、今日は1場からをさらっていく。
 久しぶりの1場が、いいテンポで進む。終わりが見えると、最初がどのくらいでいけばいいのかというのがわかるからかもしれない。
 続く、2場。森川くんが、自前のスーツ姿でいてくれるので、いろいろな芝居が具体的になってくる。帽子のあつかい、などなども。
 大門さんとのやりとりの緊迫感をその前後の対比が見えてくる。
 3場。短い場面をテンポ良く運ぶ。いっきにやって、思い切り息が切れてしまい、笑われる。そんなに激しい場面でもないのに、ぜーはー言ってしまっているのが自分でもおかしい。
 続いて4場。僕にとっては一番つらい場面。はじめ、思い切り感情を外に出してしまう。一番やってはいけないと自分でもよくわかっている、手綱をまったくしめない、感情のままに動いていくもの。二度目は、そうではなく、感情ではなく、理性で律していくように努力する。それでも、ある一点を超えたところのいっぱいの感情を大事にしていく。
 森川くんとの立ち位置、ややありえないような、動きだけの瞬間が、雄弁に何かを語っている。セリフじゃない、やりとりが、見えてくる。だから芝居はおもしろい。
 大門さんとのやりとり。やさしく気を遣ってもらいながらの、激しいやりとり。最後は、お花があがってもいいくらいの、堂々たる幕切れだ。
 続きは明日ということで、少し早めに終える。


2006年04月10日(月) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 稽古のあと、衣装パレード。21時より。小池さんに見てもらいながら。
 大門さんの衣装が豪華だ。沢村源之助のかつらもかけてもらって、すごい迫力。
 森川くんには、時代がかったスーツをいろいろ着てもらう。
 ノグとマミーがきてくれる。衣装についての相談にのってもらい、ノグには軍服についてのあれこれを今日も聞く。マミーには写真をとっていってもらう。
 どんどん具体的に見えてきて、わくわく、ドキドキしてくる。初日まであと9日!


2006年04月09日(日) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 昨日の稽古の後、夜、音響についての打ち合わせをナオコさんと電話にて。ついでに樺澤氏と諸々打ち合わせもしてしまう。
 稽古場は、懸案だったラストシーンの修正をさせてもらいたくて、稽古場の一階下の楽屋で台本にむかう。大門さん、森川くん、それにすっかり演出助手の仕事をやってもらってしまっている竜太郎さんに、セリフの確認をお願いする。
 夜、まみぃが来てくれる。
 5場と6場の稽古。新しく書き加えた部分を中心に。みんなで芝居をつくりあげていく感がおもしろい。
 
 ほんとに久しぶりに二丁目に出る。アイランドとタックスノットへ、ご挨拶をかねて。
 アイランドではラクちゃんと映画の話をあれこれ、タックスノットでは、タックさんに8月の「ムーンリバー」についての相談。こころよくひきうけていただく。感謝。
 終電の2本くらいまえで帰ってくる。電車の中で、とてもほっとした気持ちになる。人と話すことで元気が出る、そんな夜。


2006年04月08日(土) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 頭から小返ししながら、稽古していく。昼間から夜までの稽古。
 大門さんが、差し入れで、手作りの牛スジの煮込み(煮卵とこんにゃくとちくわ入り)、それにフランスパンに明太マヨネーズを塗ったものをもってきてくれる。ありがたくいただく。夕方の食事の買い出しに行く時間も打ち合わせにあてて、がんがん稽古する。ごちそうさまでした。
 夜、ノグが来てくれる。舞監の中西さんたちも。転換のだんどりや、小道具の使い勝手についての話をあれこれ。
 やや固かった1場が、はずんだものになったのが、大きな成果。
 2場、3場は、稽古を重ねたというかんじ。3場のラストの段取りを変更する。セリフじゃないところで、大きな山ができた。思わぬ気持ちの変化があったことにおどろく。その動きをていねいに確認する。
 4場の問題は、僕が役者としていい気持ちに哀しくなってしまわないこと。もっと突き放した芝居ができるはず。今日は、その方向を確認する。明日は、もっと先に行けるはず。
 今日は一日中、竜太郎さんに演出助手として仕事をしてもらった。細かいセリフの間違いや、テキレジの記録をどんどんとっていってもらい、稽古の段取りもしきってもらった。ほんとに大助かりだ。ありがとうございます。
 一日稽古のあとは、疲れが足にくる。芝居の稽古をしていて一番つらいのは足だ。この足のつらさに慣れた頃、やってくるのが、初日だ。
 来週のスケジュールを確認して、今日は解散。
 帰りは、記録ドキュメンタリーのビデオを回してくれているクニオさんと一緒に駅まで。西武新宿の駅前で、パトカーと何やらすごい人混みが。何か事件?と思ったが、車が単に一方通行を逆走しただけのことらしかった。何か事件かと思うよね? 歌舞伎町だもの。
 北千住についてから、出かけるときに持って出た傘を稽古場に忘れてきたことに気がつく。今、気がついただけましか?と納得する。


2006年04月07日(金) 宇宙堂新人試演公演「夢坂下って雨が降る」@阿佐ヶ谷アルシェ

 渡辺えり子さんの昔の台本「夢坂下って雨が降る」を宇宙堂の若手劇団員が、自分たちだけの力で上演する。大昔に見た舞台の記憶はかなり曖昧だけれど、印象的な場面がいくつもある、なつかしい舞台。
 アルシェは、この頃、阿佐ヶ谷にいろいろできている劇場たちの中では一番駅に近い。杉嶋さん、土屋さんにご挨拶して、客席へ。土屋さんとならんで見ることになった。
 狭い空間から、文字通りイメージがあふれだすような舞台。かつての3○○(さんじゅうまる)の舞台の盛りだくさんさとわいざつさが、よみがえるよう。この頃大きな劇場での公演が多いえり子さんの戯曲の、かつての寸法がまずなつかしい。そんな狭いところで、なぜそんなに踊る?というような詰め込み方。
 普段知っている劇団のみなさんが、メインの役を思い切りやっているのが、とてもうれしかった。若さとまっすぐさが似合う戯曲に、若い人たちが力一杯とりくんでいてすがすがしい。男女入り乱れての配役で、妖しい女役から、みごとな怪演!と拍手したい人まで、とにかく楽しかった。
 押入と二段ベッドと窓がなくてはいけない設定、それに本水で降る雨までも、妥協することなく、きっちり作り上げている。この頑張り方にも拍手だ。

 一昨日の稽古の帰り、持って出た傘をどこかでなくしたらしい。らしいというのは、どこかという記憶がまったくないからだ。なくしてしまったことよりも、今日までも気がつかなかったということに唖然とする。落ち着いて進められていると思っているのに、じつはそれなりにいっぱいにいっぱいになっているんだという、動かぬ証拠を突きつけられた気分。
 でも、だからといってうろたえることもなく、「なるほどね」と受け止めて先に進む。と思っていたら、持ち歩いているバッグのショルダーヒモの金具がとれてしまった。荷物をいっぱい入れて歩きすぎたせいだ。これにはちょっと弱ってしまう。
 重たいノートパソコンを持ち歩かなければいいのだけれど、ちょこちょこ移動の合間にメモするものが、実は大きかったりする(日記もあらかた書いてしまっている)。
 バッテリーが空になるまで外にいることが多いので、前にいくら充電しても一時間分程度しか充電されないイカれたバッテリーをひっぱりだして、予備に使おうと充電してみた。
 そしたら、なぜかすっかり体力を回復していて、4時間はばっちりというスタミナになっている。なぜかは全くわからないのだけれど、それでも、かなり助かるので、今はこちらをメインで使っている。捨ててしまわないでよかった。


2006年04月06日(木) 日暮里

 朝、庭でウグイスが鳴いている。「ホーホケキョ」まではいかない「ケキョ、ケキョ」だけだけれども、間違いない。窓を開けても姿は見えないが、ご近所をとびまわってしばらく鳴いていた。
 今日は稽古は休み。髪を切ったあと、衣装を探しにいく。久しぶりの日暮里にとりあえず。
 もはや葉桜になってきている谷中の桜を背にして、問屋街を歩く。衣装の店、布地屋さんなど。これというものには出会えず、今日は切り上げることにする。
 駅前の再開発のため、古い街並みがそっくりなくなっていた。「新交通」ができるようで、行き先のよくわからない高架の線路が街のまん中にのびている。
 十代の頃、芝居の稽古を、ずいぶんここでやった。当時、行きつけの飲み屋さんの前を通ったら、20年分年を取った大将が店の中から外を見ていた。ちょっと一杯!と思わないでもなかったけれど、また改めて来ようと思い、帰ってきた。また今度の楽しみにとっておく。
 劇中でタバコを扱うので、久ぶりにタバコを買った。なくても平気だけど、あればなんとなく吸ってしまう。それでも最後まで吸ったことは、実はそんなにないという、いいかげんさだ。
 今日買った一箱がなくなるのはいつだろう? 明後日の稽古のときには、これの残りを使うか、それとも新しい一箱か。どっちだろう。


2006年04月05日(水) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 雨の日。雨の日の猫はいつまでも寝ている。僕もつい寝坊。ひさしぶりにまとめて寝たかんじ。
 昨日とはうってかわった寒い朝。いいかげんに毛布だけをかけて寝てしまったので、ちょっと寝冷えをしたんだろうかというような体調。
 でも、朝からばたばたと出かける。一仕事終えて、樺澤氏と電話で打ち合わせ。
 稽古は、大門さんの3人目のキャラクター、甘粕正彦の登場する場面を中心に。
 森川君と大門さんの2人のシーン。細かく演出していく。細かく、そして、ダイナミックに。
 舞監の中西さんたちが、タカツに行って、小道具を確認をして、写真をもってきてくれる。正確な寸法を床にテープでマークしていってくれる。どんどん具体的に見えてくるようで、わくわくする。
 帰り、樺澤氏と打ち合わせ。夜中、竜太郎さんから「上海リル」の候補曲が届く。イメージにかなり近い、いいかんじの曲。時代がみえてくるような。


2006年04月04日(火) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 朝早くから、カラスが鳴いている。聞いたことのない鳴き声も聞こえる。窓を開けたら、おとなりの庭木に見慣れない鳥が止まっていた。けっこう大きな鳥。薄紫というかネズミ色の背に、ごま塩模様の腹。あの鳥はなんだろう。
 地下鉄が冷房を始めていた。たしかに、今日は朝からとっても暖かい。
 昨日はとっても寒い風が吹いていたが、嘘のようだ。また季節が一つ先に進んだ。
 稽古は、3場からラストまでの読み合わせ。ようやく最後まで書き上げた台本をまずは読んでみる。 あちこち問題点が見えてきた部分をチェックしながら。
 大門さんが沢村源之助の衣装の候補を持ってきてくれる。あだっぽいもの、粋なもの、華やかなもの。これとこれかな?という2つに候補をしぼりこむ。
 今日は、ノグが稽古場に来てくれた。甘粕正彦の軍服、軍靴についてアドバイスをもらう。
 昨日のアンの稽古場で、あかねちゃんに「森川さんって、チャン・ドンゴンに似てる」と言われたので、彼に伝える。あまりピンとこないようだったけれど、帰りに「タイフーン」のポスターを見かけたら、たしかに横顔が似てるかもしれない。
 新宿西口駅から大江戸線に乗るのが、自宅までの最短距離だ。あんまり縁がないと思っていた電車に毎日お世話になっている。
 夜遅く、樺澤氏と電話で打ち合わせ。もろもろ。


2006年04月03日(月) ラ・カンパニー・アン「罠の狼」顔合わせ

 いい天気の朝。昨日の花ちらしの雨が嘘のような、お花見日和、再び。
 6月に客演するラ・カンパニー・アン「罠の狼」の顔合わせ。
 水木さん、明樹さん、立花さん、清木場さん、それに、初めましての、壇くん、蓉さんとごあいさつ。
 未完の部分を含めて、頭からの読み合わせ。
 僕の出番は3本のオムニバスの最初の一本「エクレア」。相手役は清木場さん。
 明樹さんがいて、清木場さんがいる稽古場というのは、去年のマイズナーのクラスを思い起こさせる。
 読み合わせも、自然、演じるよりも反応していこうという方向で、まずはトライ。
 僕の役は、これまでやったことがない要素がいくつもあって、どうやっていこうかとわくわくしてくる。しばらく稽古はないので、「ミッシング・ハーフ」をきっちり終えて、またこの稽古場へ帰ってきたいと思う。
 時間がきたので、外へ。駅までの道を歩き出したら、呼び止められた。
 この間、富士見丘小学校を卒業したヒトミちゃんだった。びっくり。なんだかとってもなつかしい。少し、おしゃべりをしてみんなに合流。
 駅前のファミレスで軽く食事をして、一足先に失礼してくる。


2006年04月02日(日) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 3場の稽古。まず読み合わせをして、流れを組み立てていったあと、2場、3場を通してみる。いろいろなことが見えてくる。何をしなければいけないか。ここまでの気持ちの変化など、人物のかかわりあいのデリケートな変化のしかたも。
 稽古のあと、予定していた花見は雨のため、稽古場でということに。
 大門さん手作りの牛スジの煮込みとこんにゃくとするめの煮物などをさかなに楽しくおしゃべりする。
 フライングステージからは早瀬くんが来てくれた。
 音響の鈴木さんが音源を届けてくれる。なんでこれとこれが同じ芝居に?というような、バラエティにとんだ音がいろいろ。
 美術の小池さんと、うちあわせ。小池さんが資料をいれていたクリアフォルダーに描かれていた、カラバッジオの「ナルシス」がきっかけで、絵や芝居の話をいろいろする。好きなものは何かという、楽しいおしゃべり。


2006年04月01日(土) 「ミッシング・ハーフ」稽古

 花見日和。いい天気。バスに乗って北越谷に出る。駅前は人でいっぱい。
 元荒川の土手の桜を見に来ている人たちだ。駅の向こうに出て、少し歩くと、そこはもう桜のうわった土手。みんな、おだやかなやわらかい表情をしている。
 日比谷線から大江戸線に乗り換えの御徒町の駅で定期を落としたことに気がつく。のりつぎ精算のキップを買ったのまでは間違いがないが、そのキップもない。コンコースを後戻りしたら、キップは落ちていた。定期はどこだ? 日比谷線の改札に行って「届けられてませんか?」と聞いてみるがない。まさか……と思い、改札内の精算機を見せてもらう。使い切ったパスネットを入れる箱に、さっき入れたパスネットと「ぴったり重なって」定期券があった。やれやれ。
 稽古は2場を中心に。森川くんとのやりとりのあと、大門さんとのからみ。不思議な時間が流れる場面になった。同じ場面に無理矢理、全然違う時間が割り込んでくる。それを当たり前のようにしているカラダのいかたが、気分をふわっと持ち上げてくれる。
 帰り、森川君と大江戸線で一緒に帰ってくる。定期の話をしたところ、「パスネットは絶対あの箱に入れちゃだめだって」とさとされる。たしかに。
 夜は自主缶詰。越谷にて。


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