せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年02月28日(火) DM発送作業

 劇団制作社の樺澤氏、竜太郎さん、それに河合さん、フライングステージのまみぃ、小林くん、それに、絶対王様の制作の佐久間さん。
 昼から始めて夜7時のクロネコヤマトの最終便の集荷までに微妙に終わらず、8時のリミットまでがんばり、近くの営業所に持ち込む。
 帰り、絶対王様の舞台のための小道具と衣装を探す。これはというものが見つからない。もう一工夫か。
 注文していたCDが届いた。これも王様の公演用。聞いてみて、いけそうだと思う。ただ、今のままだとあまりにも長いので編集しなくてはいけない。他のアレンジの同じ曲のイントロが使えないかどうかも検討したい。明日、レンタルしてこようと思う。


2006年02月27日(月) 同じ涙

 仕事の帰り、花屋に寄って買い物。玄関用の桃とフリージア、それにブルーがあざやかなアイリス。昨日の夜中にたまたま見た山口智子がゴッホの足跡をたどる番組で、ゴッホのアイリスを久しぶりに見たせいで、急にこのブルーを手元におきたくなった。
 居間用に白と黄緑のスプレー菊。それに百合と雪柳と紫のスターチスとピンクのカーネーション。
 「ミッシング・ハーフ」の台本のとっても大きなアイデアを思いつく。わくわく明日のDM発送作業の準備をする。毎回の芝居のご案内の文章は、書いているうちに、あ、今、こんなことをやろうとしているんだなあということを確認させてくれる。何が伝えたいのかということを、少ないスペースでまとめるせいかもしれない。
 今回、絶対王様の公演のフライヤーとご案内を、出演する僕とトシくん、小林くんのお客様にはお送りすることになった。その文面を考えて、絶対王様の制作の佐久間さんに送る。僕たち3人の手書きの署名を版下に入れたい。明日の作業に来れないトシくんには、メールでお願いして、署名をFAXで送ってもらう。彼は今夜も泊まり込みで仕事だそう。届いた署名を切り貼りして印刷しようと思う。
 録画したトリノオリンピックの総集編を見る。じつはあまりちゃんと見れなかった今回のオリンピック。荒川静香の金メダルは、本番当日だったしね。テレビを見ながらほろほろと泣けてきて、この涙が、このあいだの富士見丘小の子供たちの舞台を見ていたときと同じ涙だと気がついた。なんだかいろんなことがわかったような気がした。


2006年02月26日(日) 雨の日

 一日、台本に向かう日。資料をどんどん読み、メモをとっていく。
 朝、母親に呼ばれて下に降りる。何かと思ったら、猫がすずめをとってきたのだという。猫が台所でぽんぽん放り投げて遊んでいるのが、それらしい。ぐったりした小さな雀。近所の人の話から、うちの猫がカラスをねらっているという話は聞いていたが、こうして戦利品を見るのは初めて。
 食べるでもなく、いつまで放り投げては飛びついて遊んでいる。部屋がちらかるし、ちょっとおっかないので、外に出した。しばらくたって、大人しくしてるなと思ったら、がりがり食べていた。やっぱり食べるんだと少し納得。頭の部分を残して完食したところで部屋にいれる。いつもよりどう猛な獣のように思え、あちこち血がついているような気もして、今夜は風呂にいれてしまおうと決める。
 母親が近所の人に「うちの猫がすずめとってきて……」と話したら「うちのは鳩とってきたことがある」と言われたそう。鳩って。そんな大きなもの。越谷に棲息する天然記念物のシラコバトじゃないといいなと思う。
 一日中雨で買い物にも出かけない。母親と二人で、夜、鰻重を出前でとり、食事。ここのところ、土日も仕事だったので、こうして一日家にいて、母親と食事をするのは久しぶり。
 その後、猫を連れて入浴。せっけんで洗い、この冬はこれでおしまいになるだろう灯油の入ったストーブを付けっぱなしにした台所で、自然乾燥してもらう。夜中、案の定、灯油はおしまいになったので、僕の部屋に上げる。毛繕いをしながら、ぶつぶつ文句を言っていたが(多分)、そのうち寝てしまった。


2006年02月25日(土) 「放課後の卒業式」本番その2 3軒茶屋婦人会「女中たち」 写真撮影

 最後は「未来の友情」。さあ、どうなるか?とどきどきしながら見守る。「放課後の卒業式」の机と椅子は、きれいになくなって、あるのは、グレーのカーペットの道だけ。何もない空間に、4人の子ども達が放り出されているようで、とても心細そうに見える。
 でも、やりとりを重ねながら、だんだんその場にいるカラダになっていく彼ら。街の人たちのやりとりの中で、この場所の不思議さがだんだん見えてくるようだ。 最後の練習で、彼らにからむ4人の街の人たち役の彼らに、「どうして相手をしないのか理由を考えてごらん」と言った。今日の本番では、それぞれの理由がよくわかった。カツマくんは、腕時計を気にしながら、走り抜けていった。
 この4人の役は説明をいっぱいしなくちゃいけないし、この街の雰囲気も出さないといけないしで、彼らはとっても悩んだんじゃないかと思う。暗い人なんだけど、ちゃんと言葉は伝えてねとか、僕は難しい要求をいっぱいした。
 今日の本番では、このシーンを下級生の子たちが、楽しそうに笑いながら見てくれていた。話を聞かないかたくなさと、それをおいかける4人のやりとりが、シンプルにとてもおもしろいものになっていたからだ。
 チカちゃんに細かくお願いした動きの演出も、4人が一緒になって動くことで、さらに彼女の中にとまどいが生まれて、さらにおもしろくなった。
 氷の城の場面。ヒカルくんとマサミくんの門番二人がやっぱりおかしい。ぼけとつっこみの典型だ。
 彼らと一緒に登場して、1人2本、木の板を持って立っている、とらわれている街の人たちの並び方がとってもきれいになっている。きっと打ち合わせしたんだろうなと、ありがたい。
 氷が登場して、門番が2人を舞台上に追い上げるところ、そして、牢の中に閉じこめられた4人が、木の棒をつかんで「出せよ」と叫ぶところ、実際には全然リアルじゃない演出なんだけど、とてもよくわかる。
 門番が去ると、街の人たちは「きみたちもつかまったんだね」と言って、木の棒を大きな音を立てて倒す。すごい音が効果的だ。これも、稽古のとき子供たちに「どうして倒すんですか?」と聞かれた。僕は「その方がかっこいいから」と答えた。納得してくれてありがとう。
 街の人たちは、舞台のへりに一列になって腰をかける。牢の鉄格子はなくなって、ここは牢の中だ。4人の子どもたちは、彼らの後にいる。街の人たちは、正面を向いたまま、しゃべる。この場面も、さらに全然リアルじゃない。ここはどこだ? でも、こうした方がおもしろいし、よくわかる。練習しながら、僕が「こうやってみて」とお願いした。このあたりの演出は、理屈で考えると「リアルじゃない」ということで、ひっかかってしまうことばかりだ。でも、出演している彼らは、この「芝居の嘘と約束」に、軽々とのっかって生き生きといい芝居をしてくれた。
 照明の卓がある下の舞台下からは、このとき舞台に並んでいる街の人たちがとてもよく見えるんだそうだ。伊藤さんから、後から聞いた話だと、この場面の彼らはほんとに「はんぱじゃなく気の抜けた顔」をしていたらしい。たしかに「一緒に逃げよう」と炎に言われて、「無理無理……」と手を振るマキトくんをはじめ、みんなやる気のない無気力な表情(そういう役だからね)。
 ボールは取り上げられてしまったけど、遊ぶことはできると、炎を中心に「見えないボール」でキャッチボールを始める。まずは4人で、つづいて、街の人たちも加わって。
 そうすると、それまでの牢屋はぐーんと広がって、というか、牢自体がなくなって、子ども達は、舞台からフロアに降りて、大きく広がってキャッチボールをする。これもまた「芝居の嘘」だ。さっき道を聞いたりした4人の街の人たちも合流してしまう。
 にぎやかな声を聞いて、氷と門番が登場。炎は、氷に向かって「一緒に遊ぼう」と見えないボールを投げる。でも、氷は受け取らない。というか、「くだらない」と言って、見ようとしない。
 僕は、この瞬間がとても好きだ。それまで見えることになっていたボールが、やっぱり見えないんだということに、観客が気がつく瞬間。それまで、登場人物と一緒にボールを見ていた観客が、ふっと、ボールが見えない氷の立場になる瞬間。本番では、この瞬間、低学年の子ども達から笑いが起こった。ちゃんと彼らはボールを見たり、見なかったりしていてくれた。すごいことだと思う。
 続いて、氷は、「友情なんて信じない」という長台詞を語る。ここは、原作者のオオタくんが書いたセリフのまま。オーディションのとき、同じセリフで観客をうならせたヒデキくんのハレの舞台。途中、声が心配になるところがあったけど、ちゃんと伝わる声で語ってくれた。
 その言葉を聞いて、4人の子ども達の間に動揺が生まれる。それでも「友達はだいじだ」と、炎が歌い始める。「大切な友情」。
 ここでこの芝居は急にミュージカルになる。みんなで書いた詞、みんなで作った曲。まずは炎役のジュンヤくんのソロから始まる。仲間たち、街の人たちと歌う人はどんどん増えて、それまで、客席で見ていた他のチームのメンバーも、立ち上がって、歌い始め、フロアに移動して、氷に向かって歌いかける。「泣く前に笑おうよ、友達となら笑いあえる」「友情は見えないけれど、一緒ならば笑いあえる」。
 ここもまたすごいスペクタクルになった。舞台上に立つ氷1人に対して、残りの全員(今日はお休みが2人なので、72人。門番は、いつのまにか武器の棒を置いて、街の人たちに合流している)がユニゾンで歌う「大切な友情」。
 歌が終わると、炎は氷に背を向けて、体育館の後まで駆け出す。そして、一番遠くから、舞台上の氷に向かって、見えないボールを投げる。今度は受け取る氷。みんな拍手! ここのジュンヤくんはほんとにかっこよかった。そして、氷も炎に見えないボールを投げ返す。また拍手!
 この場面は、はじめ、舞台前のエリアでやりとりしていたのだけれど、本番直前に、健翔さんからアイデアをもらって、大きく距離をとってやってもらうことになった。彼らが見えないボールを見る視線と同じに、見ている下級生たちもボールを目で追っていたのがうれしい。この芝居全体のクライマックスだ。
 「友達になってもいい」と話す氷。「やった!」と喜ぶみんな。と、地震が起こる。これも「ここだけは効果音入れたほうがいいかね?」と篠原さんに話したところ(稽古中)、「足音でいい、足音で」と言われ、「やっぱ、そうだよね」と決めたところ。街の人全員で足を踏みならしてもらった。今日の半番では、見ている下級生たちも一緒になって足踏みしてくれた。で、この「放課後の卒業式」という芝居全体の中で、唯一の暗転。次の場面のため、4人の子どもたちは、フロアのまんなかに横たわり、他の全員は、舞台前のひなだんに整列する。
 と、ほんとに真っ暗になってしまった。照明は、伊藤さんにおまかせ。暗転中の移動は基本的にないから、最初の板付き以外、場当たりのような稽古は一度もしてない(照明が入ったのは今日が初めてだし)。フロアで見ていた、僕たちは青くなった。健翔さんも、篠原さんも、「点けて!」と叫ぼうとしたそうだ。でも、明かりは点かなかった。真っ暗闇の中、子ども達は、パニックを起こすこともなく、移動していた。
 これは、あとから伊藤さんに聞いた話。彼も、初め、しまったとおもって点けようと思ったんだそうだ。でも、暗がりのなか、位置を確認しながら、慎重に移動するこ子ども達のようすが見えたので、あえてそのままにしたとのこと。
 僕は、今でも、この瞬間のことを思うと、胸がいっぱいになる。練習もしてないのに、子供たちは、蓄光テープを頼りにして、正確な自分の位置に暗闇のなか移動した。お互いに助け合いながら。見えないけれど、ほんとにすばらしかった。
 暗転のトラブルでやけに時間がかかるというようなこともなく、当たり前のように明転すると、整然と並ぶ子ども達、それに、床に倒れていた4人が起きあがる。
 「ここはどこ?」「学校じゃん」と指さすライアンくん。彼は、ちゃんと体育館の壁を見てしゃべってくれた。これで、不思議な街が、まさに今ここ、体育館になる。
 ひなだんの子ども達のまんなかにいる氷が、立ち上がって、さっき取り上げたボールを投げ返す。投げたあと、するっとまた座るヒデキくん。
 空から落ちてきたボールを受け取って、今度はまた見えないボールにそれぞれ氷へのメッセージを書いて空に投げる4人。遠くのボールを見送って、終わり。
 ひなだんも前に一列に並んでお辞儀して、彼らもひな壇に上がっていく。
 で、「卒業証書授与」。高木先生への卒業証書を、みんなで読み上げていく。といっても、卒業証書自体はない。みんなで前にいるだろう高木先生に向かって、言葉を伝えていく。この卒業証書のなかみは、みんなに書いてもらったものを篠原さんが構成したものだ。印象的なフレーズがいくつもある。カイくんが書いてきた「リストラされんなよ!」も、ちょっとていねいな言い方になって、ちゃんと生きている。
 「卒業おめでとうございます!」と全員で言って、最後の歌「華道(さくらみち)」が始まる。「大切な友情」もそうだけど、誰に歌ってるのかがちゃんとわかる歌って、なんて心に届くんだろう。子供たちがみんなでつくったメロディも、畑先生の編曲もすばらしい。
 歌が終わって、終奏になると、子ども達は体育館を出ていった高木先生にむかって走り出す。「全員が」じゃなくて、行きたい人だけ。きっちり並んだひなだんの列から、降りていくのは、簡単なことじゃないのに、彼らは当たり前のようにやってのけた。手を振り、声をあげながら。そして、最後のピアノの音と一緒にゆっくりと暗くなっておしまい。
 僕は、体育館入口で暗幕を押さえながら見ていたので、子ども達が手を振る姿を正面から見るかたちになった。特等席だ。
 子供たちは、全員がいったんひな壇にもどって、下級生にお礼の言葉。そして「送る会」は終わった。午後には、保護者向けの発表が、もう一回ある。
 昼休み、校長室で、給食をいただきながら、感想を言い合い、確認をいくつか。「未来の友情」の暗転の話は、ここで聞いた。「じゃあ、今度はどうする?」という話になったのだけれど、「さっき、できたんだから、今度もだいじょうぶ。彼らを信じよう」とそのままで行くことにした。
 午後の発表と、その後のシンポジウムに向けて、劇作家教会のみなさんが、続々来校する。横内さんとごあいさつ。
 午後、舞台の確認をしてから、特活室に集合。みんなと最後の打ち合わせ。さっきの感想を伝えて、最後の「作戦タイム」をチームごとに。「未来の友情」チームでは、午前中の感想を言い合ってもらった。いいこと、よかったことがたくさん出たほかに、「あそこが困った」というのもいろいろ。セリフが出ないと思ったので、先につづけたら、あとから言われて困ったという話。言われたライアンくんは、「どこ忘れたの?」とよくわからないようす。「作戦タイム」の時間が終わって、集合するまでの短い間に「僕、どこ忘れた?」と聞かれた。僕も「あそこだよ」とちゃんと言ってあげられなかったので(ごめん)、「もし、また間違えてもだいじょうぶ。さっきと同じように、みんながたすけてくれるから。覚えたことをそのままやってごらん」と話す。
 彼は、僕に「セリフってどうやって覚えればいいんですか?」と聞いたことがある。日本語のセリフを、しかもあんなにたくさん覚えるなんて、僕が同じ立場だったら、とてもじゃないけどできないと思う。でも、彼はほんとによくがんばった。彼のがんばりが、みんなのやる気に火を点けたと思う。
 午後の発表は、保護者のみなさんと、来賓のみなさんの前で。
 今度は、さっきと反対側の客席の上手側奥、子供たちがスタンバイしているあたりに立ってみさせてもらう。
 二度目ということもあり、のびのびとしたいい芝居になった。大人たちを前にしてみると、午前中の下級生のノリがどんなののびやかですばらしかったかがよくわかる。保護者のみなさんは、ちゃんと見ていてくれるけど、反応がおとなしめ。花道をはさんで反対側に座った劇作家教会のみなさんは、笑い声をあげながら見ていてくれて、子ども達はどれだけ、やりやすくなっただろう。そして、無事終演。
 終演後、シンポジウムの前に、特活室で最後の挨拶。見に来てくれた扉座のみなさん、シンポジウムより子供たちに会いたいと来てくれた、永井さん、えり子さん。えり子さんは、「大切な友情」を目の前で力一杯歌っていた子の姿に涙がとまらなかったそうだ。「高木先生がうらやましい」と言っていた。永井さんは、「こういう感動を見ている人に与えたくて、芝居を始めたんだということを思い出しました。ありがとう」と子ども達に話してくれた。
 講師と先生方が、一人一人挨拶をして、解散。僕たちは、シンポジウムに参加。といっても、後のほうでお話を聞くだけ。今年も多くの保護者の方が残っていてくださった。パネラーとして登壇していたマツムラくんのお母さんから、マツムラくんの話がきけてうれしかった。
 終了後は、後かたづけ。寒いなあと思った体育館だけど、照明機材を片付けようとギャラリーに上ったら、とっても暑かった。やっぱり熱気は上にいくんだ。
 先生方もみなさんで片づけを手伝ってくれる。その間に、知らなかった子ども達のようすをいろいろとうかがう。「絶対、振り返っちゃだめだからね」と言った最後に振る桜を、高木先生にむかって駆け出しながら、うまく振り返って見た子がいたとか。「すっごいきれいだった」って言ってたそうだ。
 暗くなるまでかかって撤収終了。雨の中、打ち上げの席へ流れる。先生方一人一人の感想をうかがう。とてもいい時間。最後に若林先生と握手してご挨拶した。
 帰り、伊藤さんが車で途中まで送ってくれるとのことで、同乗させてもらう。「どこまで?」と聞かれ、「今日は気分がいいから、どんな遠回りでも平気」と答える。「俺も」ということで、結局、はるばる西日暮里まで送ってもらった。道中、僕の知らない子ども達のようすをいろいろ聞く。照明卓からでないとわからないあれこれ。卓はピアノの横、下手側のひな壇の奥にあった。コウヘイくんの笑顔もマキトくんの表情も、暗転中の子ども達の様子も、このとき教えてもらう。
 卓の前には座ってはいけないと言ったので、居場所のない子供が、卓の後の壁際にまわりこんで座っていたそうだ。でも、そこからは舞台の様子は何も見えない。午前中の一人目の子は、しかたないので、座ったまま「ピアノをなでていた」。午後の二人目の子は、ピアノの下にもぐりこもうとしたのだけれど、それはまずいと思い、結局、ピアノの脚を自分の足でかかえこんで体育座りをしていたそう。「同じ子じゃないんだ?」と聞いたら、「うん、一度、来た子は二度と来ない」と。なるほどね。
 伊藤さんと別れてからも、とてもいい気分のまま、地下鉄に乗り、帰ってくる。 ほんとにいい日、いい夜だった。みんな、どうもありがとう。

(あまりにも長文だったので一日分にアップできませんでした。読みにくくてすみません。ていうか、長すぎてごめんなさい。書きとめておきたいことがありすぎたもので……)

2月25日(土)3軒茶屋婦人会「女中たち」 絶対王様写真撮影

 3軒茶屋婦人会「女中たち」@本多劇場を見に行く。篠原さんと劇場で待ち合わせ。篠井英介さん、深沢敦さん、大谷亮介さんの出演。
 青井陽治さんの新訳で、すっきりとわかりやすい、エンターテインメントになっていた。豪華な装置が、実は吊られたもので、壁がぐらぐら揺れるとか、登場の前に舞台前のスペースをゆっくり歩くシーンがあったり(銀橋みたい!)、おもしろい工夫がいっぱい。
 大谷さんのソランジュは、無骨なかんじが、ぴったり。篠井さんのクレールは、奥さまごっこでの気品と、うって変わって、地のクレールのときの下品なかんじの変化が見事。姿勢、特に足の開き方がすごい。場末の女郎のような、だらしなくゆるんだかんじ。
 深沢さんの奥さまは、ぽっこりしたお腹とそれを強調するようなドレスからして、もうチャーミングで、いるいるこういう人!なかんじだった。
 終演後、チケットをお願いした深沢さんにご挨拶。「みなさん、男前でとってもステキでした」とお話しする。
 篠原さんと、富士見丘の次年度の打ち合わせを喫茶店で。打ち上げから一足先に帰った篠原さんに昨日の様子と、それをふまえての感想を言い合う。
 先生と全校の生徒に僕たちが協力してつくった昨日の舞台。まるで「劇団富士見丘小学校6年生」ってかんじだと話す。1年から5年生までは研究生。大人たちはそれぞれ違う、関わり方で6年生を支えている。

 夜、絶対王様のオープニングCG用の写真撮影。東北沢の稽古場にて。小林くん、トシくん、アルピーナさんと、待ち合わせ。笹木さんたちとも一緒になって、歩きながらおしゃべり。
 無事に撮影が終わったあと、一足先に失礼して、帰り道、アルピーナさんとフライングステージチームで打ち合わせ。衣装の相談を中心に。アルピーナさんに、候補の衣装の画像を見せてもらう。ほー、なるほどね。だったら、僕はどうしようか?と考える。
 夜、演出助手の寺谷さんから、お願いしていたアプルの舞台のあれこれ(回り舞台のことなど)や、装置についてのメールをいただく。イメージしていたことの実現がやや無理そうなことが判明。あっさり捨てて他のプランを検討する。

 セブンアンドワイに読んでおきたい本を注文する。アマゾンと違って、手数料、送料無料で近くのセブンイレブンで受け取れる。普通にありそうなのに、探すのが大変な本が、ほんとに簡単に手に入るようになった。


2006年02月24日(金) 富士見丘小学校 6年生を送る会「放課後の卒業式」本番その1

 富士見丘の駅に8時に着いて歩いていたら、ふじみ学級の前原先生と会い、学校までお話しながら歩く。リハーサルが見られなかったとのことで、こんなところがすごいですよ!というところをおしゃべりする。
 昇降口の前で低学年の子ども達に会う。僕の金髪がめずらしいようで、じーっと見ている。この間は、小さな声で「香取慎吾?」と言われた(!)。僕はこの一年、なるたけ、学校にいつもはいない「違う存在」としてここに来ようと心がけてきた。金髪もそうだし、ひげもそう。先生方と一緒になってしまうのは、とてもいいことだとは思うのだけれど、子供たちには、なにかひっかかるものを感じてもらいながら、つきあっていきたかった。「おはようございます」と挨拶して校長室経由、体育館へ。
 元々の舞台の前面に置かれたひな段のへりに蓄光テープを貼っていく。田中さん、里沙ちゃん、それに扉座の研究生の安達さんも来てくれて、一緒になってわたわたと。伊藤さんと篠原さんは照明のチェック。
 昨日の予定では、特活室に集合ということだったのだけれど、照明の入った体育館を見て置いてほしいということで、体育館に集合してもらう。
 8時45分、子ども達がやってくる。客入れの照明になっている体育館を見て、「すごい」「すっげぇ」と声をあげている。よしよし。
 全体の挨拶のあと、それぞれのチームで最終打ち合わせ。大きな問題が2つ。演劇授業チームの男の子が一人、風邪のため欠席。山本健翔さんと篠原さんで代役の相談。そして「未来の友情」チームでは、氷役のヒデキくんが遅刻との連絡があったそう。彼がいないと芝居ができないので、一瞬どきっとするが、きっと来ると信じて待つことに。
 演劇授業チームに舞台を明け渡して、未来の友情チームは、丸くなって打ち合わせ。この期に及んでも、炎役のジュンヤくんに細かい演出のお願いをする。ここ数日、一日毎に違うことを追加でやってもらっている。それにきっちり応えてくれて、どんどんよくなっている彼だからこそのこと。
 最後の場面の歌、「桜道(はなみち)」の背景で桜吹雪が舞台に降る。子ども達は、正面にいる高木先生を見ているのでうしろに降る桜は全く見えない。昨日から、「絶対に見ちゃだめだからね」と言っていたのだけれど、やっぱり見られないのは気の毒なので、この時間に一回降らせて見ることにした。今、見せてあげるから、本番は絶対に振り返らないよと話して。
 伊藤さんの照明をあてて、田中さんが桜吹雪を降らす。すっごいきれい。子供たちのなかから歓声が上がった。よしよし。
 それぞれのチームに分かれて打ち合わせているとき、竜崎役の彼が、「(小道具の)ランドセル忘れた!」と言って、教室に走っていった。子ども達何人かと体育館の外の入口のところで待つ。しばらくして校舎から出てきた彼に「走るのおせーよ」とか言っているようすは、芝居のなかの彼らとこれっぽっちも変わらない。
 彼が戻ったあと、トイレに行きたくなって、外のトイレに入ったら、となりの個室から物音がする。用を済ませて振り返ったら、モップがにゅーっと出てきた。すぐにナオキくんが登場。いたずらされたらしい。「そんなひまあったら、練習する!」と言って出てくる。ナオキくんの出番は、演劇授業の即興劇「エレベーター」のBチーム。このノリならだいじょうぶと思いながら、なんだこの余裕は?と感心する。
 2時間目は下級生による「6年生を送る会」なので、6年生はいったん特活室へ移動して、スタンバイ。でも、まだ打ち合わせをつづける。
 と、ヒデキくんがやってきた。濃い色味のジーンズに同じ色のGジャン。それに白いセーター、光る糸が織り込んであって、とてもきれい。氷っていう役にぴったりだ。見ていたココちゃんが「お、気合い入ってるね」と言った。遅刻してドレスアップって、なんだかすごいなあと、妙におかしくもあり、頼もしくもなってくる。それを受け入れている側のみんなもね。
 ヒデキくんを交えて、最後の打ち合わせ。そして、並んで入場する彼らを残して、講師陣は一足先に体育館へ。「自分がやるよりどきどきする」と篠原さんと言い合う。
 初めは、下級生による「6年生を送る会」。この会の最後が、下級生からのお祝いの言葉や出し物のお礼に6年生が披露する演劇、「放課後の卒業式」だ。
 去年は盛りだくさんの演目で、クイズなんかがあったりしてとても盛り上がったのだけれど、今年は、6年生の演劇が長いので、とてもシンプルなものになったのだそう。
 合奏や合唱、お祝いの言葉などなど、それでもまっすぐに届くものばかり。なかでも、5年生の出し物がおもしろかった。贈る言葉を全部リズムに乗せて歌う。歌詞は6年生にアンケートをとって作ったそうだ。なりたいものに「貿易商」なんてのがあって、一体だれが?と思ったりする。
 とてもラップっぽいんだけど、すっごい「日本」なノリが底に流れていて。合いの手の「ある、ある」とか「そう、そう」とか「うん、うん」なんてのも、とってもユニーク。
 で、6年生の舞台。本番1回目。僕は、保護者の方が途中入場してくる入口の暗幕を押さえて立っていた。本来のステージからは遠いけれど、フロア全体を使うので、ここからでもよく見える。
 それまでの送る会の間は開けていたギャラリーの暗幕を閉めて、客入れの照明に変わる。体育館が急に全然違う空間に変わった。
 全員で声を出す目覚まし時計の音で「放課後の卒業式」が始まった。
 始まってすぐ気がついたのは、声がよく聞こえることだ。全校生徒が集まったせいで、反響が適度に吸われたのだろう。それに、出演している6年生も実際に伝えたい相手がいることで、格段にやりやすくなったにちがいない。
 まずは、本舞台での朝の場面。雪の朝のいくつもの家族の風景。窓を開けて、雪を見る子ども達。親や兄弟とのとても自然なやりとり。
 最後にコウヘイくんが「わーい、雪だ、雪だ!」といいながら、舞台を降りて、下手袖まで走る。今日は、ランドセルを振り回して、すごいのり。客席からも笑い声があがった。
 あとで、下手袖のピアノの横に照明の卓にいた伊藤さんから聞いたのだけれど、笑いながら、下手に飛び込んで来るコウヘイくんの笑顔は、それは素晴らしかったとのこと。そして、ひっこんだあと、客席の反応を受けてのやった!という、また違った笑顔も、実によかったそうだ。
 場面は変わって、教室。「高木先生、学校やめるんだって」という噂をみんなで話している。外では、2人の男子が雪合戦。窓を開けてのやりとり、そして、彼らも教室にやってきてのやりとりが続く。
 もともとの台本では、この2人の雪合戦は実際に演じる予定ではなかった。でも、稽古中に2人が自主的に雪合戦を始めて、稽古場が体育館に移ってもそれは継続。ところが、教室でのやりとりが、遊ぶ2人の靴音に微妙に邪魔されてしますことがわかった。どうしたらいいだろうかと、大人たちは話し合った。で、思いついたのが、マットを敷くということ。体育館にあったマットを敷いてその上で雪合戦してもらう。体育用のマットのふかふかしたかんじが、雪の上で遊んでるのに近いかも。何より、音がしないし、色も白い! やってみたら、これはとてもいいアイデアだということがわかった。片付けるときに、いっそ、雪だるまをつくって、丸めてみたらという案も出たのだけれど、マットの裏は滑り止めのゴムがひいてあって、緑だったので却下。
 マットを使っての初めての練習のあと、2人が「すっごい疲れた」と言っていたので、「途中で雪だるまつくってみてもいいんじゃない?(マットじゃなくね)」と提案したのだけれど、今日も2人は、最後まできっちり雪合戦をしつづけて、教室にかけこんできた。マットは、スタンバイしている他の場面に出演する子供たちが片付ける。
 次の場面は、なんで学校をやめるのかということを高木先生に聞いてきた女子2名が、クラスのみんなに報告。「少し早い卒業式」をしてほしいと言った高木先生のために、「放課後の卒業式」をやろうという話をする。なんで卒業式なのか?という討論がずっと続く。クラスの子たちそれぞれのキャラクターが実におもしろい。
 稽古の間、僕たちは、一度も「こうやりなさい」とセリフを言って指導したことはないと思う。だから、彼らは一人一人、全然違うスタイルでセリフをしゃべっている。スタイルという自覚もないかもしれないが、そのくらいみんなが一人一人特別で、自分としてそこにいるための努力をしたんだと思う。この、教室の場面では、それが特に感じられた。
 「何をやろうか?」「合奏?」「花束贈呈」とアイデアがいろいろ出る中、最後に「演劇がいいと思います」という意見が出る。
 この意見を出すのはリョウタくん。そっと手を挙げて、ミカコちゃんに「さっきからカリヤくんが手を挙げてます」と言われて(この場面は、黒板の前に司会と書記がいる、学級会の形式だ)、おそるおそる話しだす。そのかんじのうそのなさ。意見を言ったあと、片足を椅子の脚にひっかけて、すっと引き寄せて座るスムーズさと一緒に、大好きな場面。
 演劇をやろうということになったあと、教室の装置(机と椅子×12セット)は出番を待っている子ども達によって片付けられる。口々に、「演劇だって……」などと「好きなこと」をいいながら、わらわらと出てくる子ども達。元々はただ片付けるだけだったのが、生き生きとおもしろい場面になった。(午後の上演では「冬のソナタがやりたい」なんて言ってる子もいた)
 ここからは高木先生の「放課後の卒業式」になる。体育館のカーペットの先にいる高木先生に向けて、挨拶し、解説をしながらすすむ。
 まずはダンス。全員が登場して踊る。49秒。ダンス自体もかっこいいが、この「全員が登場する」というのが、ほんとにかっこいい。スペクタクルだ。全員が登場して、踊って、さあっと退場する。
 つづいて「演劇授業」。エレベーターが止まってしまい、乗り合わせた人たちがさあどうするか?といった即興劇。前期の永井さんの授業でやったことを元にした創作。即興のおもしろさは活かしながら、流れはほぼ決めて、全員でつくりあげていった。
 Aチームから。10Fまでしかないはずのビルのエレベーターが、100Fまで行ってしまう。ドアが開いて、降りてみると、そこは不思議な世界。彼らはとっても小さくなってしまって、元のままの巨大なクラスメートとやりとりをする。
 はじめに外に出される小柄なコウスケくんが、「この白いのなんだ?」と指さしたら(それは実は消しゴム)、客席の最前列に座っていた一年生が、一斉に指さす方を向いた。小さなこどもは、実に素直にこの「見えないもの」を見てくれた。そして、今回の1時間強の上演時間、彼らは、この想像力を使わないといけない、出演者と一緒に見えないものを見なければいけないこの芝居に、ずっと集中して、とても楽しんで見ていてくれた。
 Bチームは、エレベーター型タイムマシーンで3000年経ったらどうなるかという実験だったということが最後に明かされる。右往左往していた人たちは、最後、サルになったり、ロボットになったり、妖怪になったりしてしまう。
 エレベーターは、図工で作った木の板(棒)を四隅の柱に見立てた。2つのチームは、エレベーターの位置を、フロアの全然違うところに設定した。これは、子ども達が、自分でどこでやったらいいかを話し合った結果だ。最後に登場する科学者たちの話す位置も同様に。
 「演劇授業チーム」は、即興劇ということだったのだけれど、練習を積み重ねるうちに、だんだん「こんなかんじ」というふうにゆるやかにお話が決まったものになっている。本当の意味での即興ではないのだけれど、彼らが発する言葉とそれを受けている聞き方は、とても嘘がなくて、書かれた設定でセリフをどうしゃべるかということとは、全然違うものになっている。何より、彼らが楽しそうにやっているのがいい。
 続いて、「世界の子供たち」。戦争や内戦で苦しむ世界の子供の子供たちの手紙を、みんなで語る。「ここにいない人のことを思ってみよう」という授業でやったことの発表だ。舞台と、客席の後側、体育館全体を使った演出。「たすけて」とか「殺さないで」といった叫びが、稽古のときは、なかなか叫びにならなかった。今日はきっちり聞こえてくる。
 一人お休みしてしまった子の代役はナオキくんが台本を手にして読んだ。朝から、代役の可能性をさぐっていろいろ試した結果、やっぱり台本を持とうということになった。本番は、そのことで損なわれたものは何もない結果。朝、健翔さんを中心に、演劇授業チーム全員は、ぎりぎりまで、真剣に打ち合わせをしていた。その姿が、ひとつの成果と言えるんじゃないかと思う。
(翌日の日記に続く)


2006年02月23日(木) 「放課後の卒業式」リハーサル

 目覚ましをかけわすれ、というか、「放課後の卒業式」の冒頭に使うために学校に持っていってしまったので手元にないんだった、それよりも目覚ましをかけなきゃと思う前に眠ってしまった。見事に寝坊。
 6時半には家を出ていなければいけないのに、目が覚めたのは7時45分。あわてて平田さんに電話をかけ、飛び出す。「今日は通し稽古だから大丈夫」と言ってもらったもののずっとドキドキしながら電車に乗っている。
 富士見ヶ丘の駅を降りて歩いていたら、森江先生に会う。風邪で熱があって病院に行ったので、遅くなったのだそう。学校までの道を、授業のことをお話ししながら歩く。思いがけないいい時間がもてた。
 体育館に行ったら、場面は演劇授業、エレベーターの2チーム目。
 今日は通し稽古なので、「未来の友情」チームのみんなに挨拶もできないまま、客席から見させてもらう。段取りは一応できているのだけれど、いまいちいきおいがない。せりふもあちこちよどみがちだ。このノリの悪さは僕が遅刻したせいかもしれないと思えて、ほんとうに申し訳ない。
 客席にいたほかのチームの全員が舞台に登場するクライマックスまできて、セリフのやりとりが急に微妙になった。そりゃそうだ。毎回、時間いっぱいになって、「未来の友情」のラストは、毎回の授業でもあまり練習できていない。
町の人として出演している、原作者のオオタくんが、他の子たちのセリフがつまるたびに、ふっと一歩前に出ている。なにができるわけでもないのに、一歩前に。で、また元に戻る。そんなことが、3、4回続いた。心配だったんだねというのがよくわかった。彼はきっと無意識なのだろうけれど、なんとかしようという思いが伝わってきた。
 1回目の通し稽古が終わって、一休み。この時間に、大人たちは作戦会議。あ、子供たちも。細かい打ち合わせをする。全員の段取りの確認もして、2度目のリハーサル開始。
 フロアに1.8メートル幅のグレーのパンチカーペット、25メートルを敷く。「今日、敷かないんだったら、本番もないほうがいい」と、田中さん、照明の伊藤さんに言ってもらって、大急ぎで。急に舞台っぽくなったフロアがいいかんじ。カーペット一枚で急に空間の質が変わる。体育館が劇場に変わるように。
2回目のリハーサルは1回目よりずっと順調にはこぶ。声の広げ方、空間のおさえかたを、子供たちは、実際の舞台に立ち、感じることで、学習している。
終わって、校長先生、篠原さんと手を取り合って、泣いてしまう。舞台に並んでいる子ども達のなからか、ショウヘイくんが「涙は明日にとっておいてください」といい声で。思わず「うるさいよ」と言ってしまう。怒ったんじゃなくて、照れくさかった。そんなこと言えてしまう、彼も大したもんだ。
すごいよ、みんな。
 ちっとも、感傷的な話じゃなくて(感動的ではあるけれど)、それよりも何よりも、みんなで作り上げてるってことが、すばらしい。
 給食をいただきながら、打ち合わせ。今日はスパゲティミートソース。おいしくいただく。
 照明と舞台の仕込みを開始。田中さんたちは、給食を後回しにして、舞台に降る桜のしかけに取り組んでくれた。
 僕は、篠原さん、伊藤さんのお手伝いで、照明の機材運び。体育館全体を使う、今回の舞台では、照明もなかなかの量。ギャラリーに次々と照明がセットされて、なんだかすごいことに。クラスごとに切ってもらった桜吹雪の追加を持ってきてくれたマサヤスくんがクラスに帰って「すごいよ、体育館、『要塞』みたいになってる」と言っていたとの情報がとどく。たしかにそうかも。
 僕たちが、照明と舞台上の仕掛けの確認、それにさっき仮止めしたカーペットをきちんと張っているあいだ、先生方は、図工の前田先生を中心に、木のオブジェを体育館全体に配置。ギャラリーから吊していってくれた。それから、明日の「6年生を送る会」のためにアーチや、花でつくった文字のセッティングも。それに、ビデオ撮影のためのカメラと三脚もギャラリーに置かれていく。
 ほんとにみんなでつくってるんだなあというかんじ。なんて気持ちのいい現場なんだろう。
 ヒデキくんが、授業の終わりに僕のところにやってきて、昨日ユウヤくんにお願いして渡してもらった僕の台本を返してくれた。片手にちゃんと自分の台本を持って。だいじょぶだからというように。サンキュと受け取る。
 暗くなるまでかかって、なんとか仕込みを終える。いや、舞台上の桜吹雪当てのシュートは明日ということに。その間、子ども達の何人かは、校庭でサッカークラブの練習で走り回っていた。その元気はなに? 
 伊藤さんの車でスタッフ一同、荻窪まで送ってもらう。車の中で、伊藤さんが担当していた中学校のことをいろいろ聞く。
 荻窪から、篠原さんと一緒に北千住まで。子ども達のこと、芝居のことをずっと話しながら。篠原さんと別れて、僕は東急ハンズで蓄光テープとビニールテープを購入。明日は今日寝坊した分、早く行って、舞台の階段に蓄光テープを貼ろうと思う。


2006年02月22日(水) 富士見丘小学校演劇授業

 2、3、4時間目。もともとは予定になかったのだけれど、急遽、もう一日やろうということで、先生方に授業の都合をつけていただき、講師陣も集まった。
 頭から、転換を中心に通していく。
 冒頭のウォームアップ、つづいて、一番初めの「放課後の卒業式」の朝の場面から開始。
 今日、出番のない子供たちは、本番のときにいるだろう位置についてもらう。出番がないときもつねに、客席や舞台袖にいつづけることの意味をかんじてもらう。
 合間合間に、若林先生から、子どもたちに意見を言ってもらっていいですかとたずねられて、ぜひとお願いする。
 いろんな意見がどんどん出る。お互いに感想やあそこはもっとこうした方がいいということを、とてもシンプルに、ただみんなでいいものをつくろうという気持ちだけで、言葉にしていっている。
 感動する。ただの段取り確認の稽古の予定が、一気に中身の濃いものになった。
 続いてのダンス、そして演劇授業の発表のあとも、意見をどんどん言ってもらう。本番の発表には直接現れないけど、このディスカッションの時間は、今年一年の授業の総まとめといっていいものだったと思う。
「未来の友情」チームは、門番2のマサミくんがお休み。門番1のヒカルくんが朝一番にやってきて、どうしようかと相談を受ける。代役を誰かにお願いしようかと言ったら、「一人でできるかも。できると思う」と言う。「じゃ、やって!」とお願いした。
 ひかるくんはぼけとつっこみの2人の門番を1人でみごとに演じていた。みているみんなからも歓声があがった。木の板(棒)を武器に4人の子供たちを舞台上に追い上げるシーンも、1人で2本の板をうまく使っていた。すばらしい。
 「未来の友情」は時間がなくなってしまったので、フィードバックは各クラスにお願いすることに。
 最後の挨拶の時間、若林先生が「今日のMVPは間違いなくヒカルくんだね」と言ってヒカルくんが挨拶の号令をかけた。拍手。
 授業のあと、氷役のヒデキくんが、「ありがとうございました」と言って、この間渡した僕の台本を返しに来てくれた。はーいと受け取ったのだけれど、あとで心配になった。セリフは覚えたからだいじょうぶってことだったらどうしようと。同じクラスのユウヤくんをつかまえて「これヒデキくんに渡してくれるかな。台本ちゃんと読むようにって伝えて」とお願いする。
 今日も校長室で打ち合わせ。それぞれの担当の枠を越えて、講師のあいだでいろんな意見がやりとりされる。今回は、そんな演出の変更が次から次へとあった。大人数のスペクタクルな演出。75人全員がかかわる大仕事。どうしようかと思うがやってもらおうと思い、彼らに伝えた。初日直前の演出の変更は、本来いけないものかもしれないが、もっといいものにしたいという思いはきっと伝わるだろうと、彼ら、6年生全員を信じることができている。明日も授業が楽しみだ。
 仕事夜中まで、車で送ってもらう。今日中に入稿しなければいけないものを、ひたすらつくる。夕方7時の予定が、明日の朝一に変更になり、どんどんずれこみ、夜中までの残業。終電がなくなったので、車で送ってもらう。
 部屋について、畑先生と篠原さんに至急のメールを送ったところまでで、記憶がなくなる。たぶん爆睡。


2006年02月21日(火) 新曲

 昼間の仕事の追いこみの日。本番前にやっておかないといけない期限付きの仕事を片付ける。
 ばたばたとした一日。帰りは、バスでのんびり帰ってくるが、車内でパソコンを広げて、日記やら、台本のメモやらを書き留める。
 絶対王様用の曲をあれこれ聴いてみるが、これはというものが見つからない。一つ思いついた曲を、ネットで注文する。いつもはアメリカから輸入するCDが、国内の業者に注文できた。これがいけそうだといいなと思う。到着するのを待っている間、富士見丘の本番に向けてのラストスパートだ。


2006年02月20日(月) 富士見丘小学校演劇授業

 1時間目からの授業。中学校に向かう去年の6年生何人かすれちがい、挨拶する。
 今日は、前半、チームに別れての授業。前回の荒ら通しを踏まえての練習。セリフを覚えてきて!と話したのだけれど、授業前に廊下で会ったジュンヤくんに「セリフ覚えてきたよ!」と元気に挨拶される。よしよし。
 まずは、久しぶりの発声練習から。自分の声をちゃんと聞くことが大事だと僕は思う。ただ大きな声を出そうとするよりも、自分の声をまずは聞くことが大切なんじゃないかと。子ども達は、声を出すことにまず照れていて、それでも、ハミング、胸のひびきをかんじて、部屋全体に広げるということをやっていってもらう。
 お休みの人が誰もいないフルキャストでの稽古。図工で作った、カラフルに模様を描いた木の板を小道具にすることにして、いろいろ使ってもらう。
 どうしようかというのは、ほとんどその場でどんどんやってもらって、決めていく。壁になったり、牢屋の格子になったり、門番の武器になったり。いつまでも持ったままだとつらいので、どこかで手から離さないといけないのだけれど、どうするかを考えてしまう。バタンと床に倒したら、音も迫力があって、なかなかおもしろそうだ。早速、採用する。
 完璧ではないけれど、セリフが入ってきているので、いいテンポで芝居が進む。最初に登場する4人には、ボールを投げ合いながらやってとお願いした。むずかしくて、苦労していたけれど、明らかにボールなしのときよりも、セリフが届くようになる。そのことを、確認する。
 体育館に移動して、全体の流れをやってみる。今日は、出番のないときに、どこにいるかを決めることを目標にする。
 75人の子ども達が、いくつもの場面に登場するので、大勢をあちこちに動かしながら、順を追っていく。
 「未来の友情」のラストは、「当たり前のように」全員が登場する。舞台の上にただ一人いるヒデキくん。いい場面だ。その後の地震の流れはややあたふたと。最後の卒業証書のシークエンスは、時間切れでおしまいまでできなかった。
 授業のあと、今日も校長室で打ち合わせ。給食をいただきながら。
 新しいアイデアがまたいろいろ浮かぶ。次回、やってみようということがいくつも。
 昼休み、今日の授業を撮ったビデオ、子供たちが「確認したい」ということで学校放送で流していた。僕たち講師の声はよく聞こえるんだけど、子ども達の芝居になると、かなり聞き取りにくい。職員室に「すみません、ボリュームを上げてください」という電話が教室からあったそうだ。副校長先生が「これでいっぱいです。」と答えたそう。子ども達は、改めて自分たちの声の大きさ(小ささ)を知ったかもしれない。次回はどうなってくるか、楽しみだ。
 台本をなくしてしまったというヒデキくんに僕の名前の千社札のシールをはった僕の台本を渡す。体育館に行ったら、「はい」とホカロンをくれた。どうもありがとう。


2006年02月19日(日) 「夜空が僕らをみつめてる」

 前回は、ちょうど同じ時期に、おとなりの劇場で芝居をしていたので見られなかった。久しぶりのサニーサイドウォーカーの公演。
 しっかりつくりこまれた大学の屋上のセットにまず圧倒される。壁の質感のみごなこと。二方を客席にするという設定もおもしろい。
 大学のUFO研究会のOBたちが久しぶりに集まっての群像劇。それぞれの人物は、いるいるこういう人というかんじなのだけれど、お話が進むに連れて、あれれと思うような展開に、見ていてノッキングをかんじてしまう。
 全員そろって宇宙人がやってきたという嘘のビデオを撮影しようというくだり。なんで急にそんなことになったのかよくわからない。そして、ひとしきり騒いだあと、また本筋に戻っていくかんじが、なんだかよくわからない。
 自殺した当時の部長の存在は、お話の要になるところだけれど、ラスト近くに「実は……」ということが判明しても、それが登場人物に対してどういうことなのかということがよくわからない。もう一押ししてほしいのに、なんだかお話は先に進んでいってしまって、微妙な不完全燃焼感。
 装置、音響、受付の表方にいたるまで、スタッフワークはとても見事で気持ちがいい。
 俳優陣では、客演の枝野萌さんが、底抜けに明るいキャバクラ嬢をみごとに演じていた。話の筋とは関係なく、森川くんと2人ならんだ一瞬がとてもステキで、なんだか2人のために一本芝居を書いてみたくなるような、そんな気持ちになった。


2006年02月18日(土) 「蛇苦止浜綺譚」

 ラ・カンパニー・アンの久しぶりの新作。南阿佐ヶ谷、ひつじ座にて。
 いつも思うのだけれど、ここほど、女の人のすごさや弱さやかっこよさ、つまり、丸ごとの女というものを見せてくれるところはない。今回もまたその印象を深くした。
 伝説の龍と蛇が当たり前のように登場して、見ていてなんの違和感もないというのは、やっぱりすごいと思う。
 彼女たちが演じるジェストダンスというのは、どこか日本舞踊や能に似ているのかもしれない。その人物でありながら、その場の情景や景色にも変化していき、その変わり目が自然でよどみがないところ。
 中でも、西山水木さんの魚が陸に上がって、地上を走り出すという動き。この手のものは何度も見てきているのだけれど、水の質感や獣が草原を走るときのようすまでがつたわってくるよう。
 明樹由佳さんは、伝説の龍。戦のために都へ行った夫に会いたい百姓の女。禁を犯して龍に変身して、空を飛んでいくが、あと少しというところで神の怒りに触れ、雷に打たれて死んでいく。ラストシーンで、龍として語っていた(ジェストダンスで)のが、ふと髪に手をやり、まとめて、汗をふき、当たり前のように農作業を始める。その変身のしかたのあざやかだったこと。
 開演前から全員が舞台にいてにぎやかにしている舞台づくり、劇中の男と女のすったもんだのお話と、ダイナミックなシーンが当たり前のように共存しているのがおもしろい。今回もまた、とても刺激的な舞台を見せてもらった。


2006年02月17日(金) 富士見丘小学校演劇授業

 全員集合しての練習。1時間目から3時間目まで。
 はじめに田中さんにアップ。今日は、ストレッチと数を数える声出し、それと最後は鬼ごっこ。
 子ども達に教室の椅子を持ってきてもらって、客席の位置にならべてもらう。
 出番がないときは、今日はそこに座ってみてもらう。見ている人の気持ちになれるよう。
 今日は、はじめからとてもいい緊張感で全員が集まっている、そんなかんじ。
 冒頭から、体育館全体を使って、練習していく。場面と場面のつながりでは、出演してない人はどこにいるのかということを確認しないといけないのだけれど、今日の目的は、まず他のチームのやっていることを見るということにした。
 「放課後の卒業式」の朝の場面、続く教室の場面。声が聞こえないところ、教室の外で雪合戦をしている二人の靴音が大きく響いて、そちらが気になってしまうところなど、考えなくてはいけないことがいろいろ見つかる。
 続く、ダンス。ほんとによく練習してきたんだなあというのがわかる。どこから登場するかを決めて、何度も練習。だまって75人全員が走り込んできて、ポーズをとるのは、とてもかっこいい。登場からダンスまでのつながりをくりかえす。
 演劇授業チームは、僕もはじめて見るので、どうなっているのか興味津々。エレベーターにとじこめられた人たちの即興劇。とじこめられた状況と、それからどうなったかというその後のお話ができていた。
 未来の友情チームは、この間の練習を踏まえてなので、のびのびと動けている。最後の歌の場面で、それまで見ていた全員に参加してもらう。今日はお休みのヒデキくんの代役のユウヤくんがただ一人舞台の上、残りの全員は舞台の下から彼に向かって歌いかける、そんな演出。ユウヤくんにはどんなふうに映っただろう。
 地震の場面の地響きをどうしようかと考えていたのだけれど、子ども達が足踏みする音でいこうとその場で決定。それぞれ足を踏みならし叫びながら、舞台上に駆け上がっていく。これもまたすごい迫力。最後に氷から来た手紙を読む場面では、手紙でなく、舞台から氷がボールを投げるということに変更(昨日の夜、篠原さんと相談した結果)。この間買って今日忘れてきてしまったボールを、今度彼らに渡そうと思う。
 最後の卒業証書の場面を初めてやってみる。みんなでつくった歌も。「放課後の卒業式」という芝居の全体が見えてきた。
 とても寒い体育館で、こどもたちはとてもよくがんばった。この緊張感で本番までがんばってほしい。
 授業のあと、校長室で講師陣は演出面の打ち合わせ。それぞれのチームの問題点について。ラストシーンの演出のアイディアが浮かぶ。今度ぜひやってみようということになった。


2006年02月16日(木) 富士見丘中学校発表会

 富士見ヶ丘中学校の演劇授業の発表会。去年一年間一緒だった彼らが、中学に行ってつづけてきた総合的学習の時間のなかの演劇授業。その発表会。
 出番前の子ども達に見つかると、彼らが盛り上がってしまうので、こっそり来てほしいと言われたので気をつけていたのだけれど、受付前のトイレに来た、何人かに「あ、関根さんだ!」と言われ、まんまと見つかってしまう。まあ、しょうがない。
 発表されたのは、調べ学習をもとに、彼らが作り上げた芝居。クラス毎に1本ずつ、計3本。食べ物についての調べ学習は、移動教室に行ったときに近くの養豚場に行って話を聞いたりしたものが元になっている。電話して、取材を申し込んで、話をきいてくるというのが、なんともすてきだ。
 「以前は子豚に名前をつけていたんだけれど、別れるのがつらいので、今はもうつけていない」という養豚場の人の話。それを聞いて、「複雑な気持ちになった」という彼ら。かわいい子豚の描写。まっすぐ届く言葉に涙ぐむ。
 発表後のシンポジウムにも参加させていただく。現場の先生方、講師のみなさんの話を聞きながら、思うことがいっぱい。いらしていた富士見丘小学校の先生方のお話を聞いて、また泣けてきてしまう。今日はほんとに泣きっぱなし。哀しいとか、腹立たしいとか、うれしいとか、そんなものが、一緒になっての涙。
 帰りに篠原さんと二人で明日の授業計画を立てる。明日は、3チーム合同の久しぶりの授業。体育館を使っての、場当たりもかねてのもの。3時間の授業時間を配分して、準備してほしいこと、授業の目的などを、きっちり組み立てる。あとは明日、どうなるか。
 本番まで残り少ない時間を大切に使って、子ども達に芝居のおもしろさを少しでも伝えたい。もとい、真剣に考え苦労しながら、楽しんでほしいと、心の底から思っている。願っている。祈っている。


2006年02月15日(水) 富士見丘小学校演劇授業 絶対王様稽古

 富士見ヶ丘小学校の授業。今日は、2時間めが芝居の練習。初めから3チームに分かれて。3,4時間目は、本山新之助さんによる、全員で踊るダンスの振付だ。 「未来の友情」チームは、体育館。田中さんにウォームアップをお願いする。「じゃあ、走ろう!」ということで、全員で体育館を走り回り(僕たちも)、途中から鬼ごっこに。大人二人は、死にそうになり、子ども達は涼しい顔。
 今日は、実際に本番の舞台になる体育館での稽古。はじめに、体育館の使い方というか、冒頭からの動き、どこでやるのかということを説明する。バスガイドのように、「はーい、こっち来て!」と、全員で移動しながら。
 ひととおりの説明が終わってから、初めからの立ち稽古。一人お休みの子のかわりに田中さんに代役をお願いする。一人だけ違うたたずまいで、「子ども達の方がぜんぜんちゃんと存在してるし、できあがっているアンサンブルに一人くわわるのはもうしわけない」と言っていたけれど、それまで、ただセリフを順番にしゃべっている段階の子供たちの芝居が、田中さんが一人入ったせいで、どんどん回り始めた。
 体育館という難しい場所で、子供たちは大丈夫だろうかというのは、全くの取り越し苦労だった。それは、考えてみれば当たり前で、僕らにとっては「遠い場所」の体育館も、子供たちにとっては、ふだん遊び慣れている、自分の家のような場所だからだと気がつく。「放課後の卒業式」の教室の場面の自然さと同じかもしれない。
 順にやっていったのだけれど、2時間目の終わりの時間はすぐ来てしまった。今日はここまでにして20分休みをとろうとしたら、「もっとやりたい」と子ども達から声があがり、もう10分だけつづけることに。
 舞台の上と、フロアとのやりとりのダイナミックなかんじが、とてもおもしろい。
 だいじょうぶ、いける!と思えるようになった。
 子ども達も、そんな手応えを感じていたんじゃないかと思う。
 休み時間に、他の2つのチームも集まってきて、ダンスの練習。
 とにかく75人、全員で踊る。田中さんも里沙ちゃんも、篠原さんも僕も、今日は踊ってみる。
 その他に本山さんのアシスタントのお二人に、森江先生と若林先生。校長先生に、副校長先生に平田さん。十人の大人たちが、結果として、全員で手分けをして子ども達を見守りながら、2時間分の授業時間、正味90分で、49秒間のダンスができあがった。
 本山さんは、最終的な本番の立ち位置にも気を配ってくれて、最後には本番と同じフロアと舞台と舞台下のスペース、つまり体育館全体に75人が整列してダンスする場面ができあがった! 振りもこんな短い時間で?とおもうほど、みんなちゃんとしてる。本山さんの振りつけのかっこよさに、全員で踊るというすごさがくわわって、とてもいい場面になりそうだ。
 授業のあと、明後日の授業の打ち合わせをして、解散。
 夜は、絶対王様の稽古。僕は今日が稽古初日。どんな芝居になっているんだろうとわくわくしながら稽古場へ。
 挨拶と自己紹介のあと、いただいた台本をさっそく読み合わせ。初見で、読み合わせということ、プラス「テンション高めで」と笹木さんに言われ、がんがんやってしまう。去年の暮れの「贋作・Wの悲劇」が残っているような、大きめな芝居の気分。楽しくやらせてもらう。
 後半は、何度か読み合わせをして、シアターゲームをして、おしまい。初めてお会いする女優さんたち、去年の9月以来の絶対王様のみなさん、そしてgaku-GAY-kaiの以来のアルピーナさん。楽しく、芝居をさせていただけそうだ。
 終了後、駅前で軽く飲んで帰ってくる。とても楽しい、お酒とおしゃべり。終電ぎりぎりの帰りの電車の中でも。
 


2006年02月14日(火) キーボード

 明日の富士見丘小学校の授業の準備をする。
 先週もらった楽譜を読むが、ところどころよくわからなくなってしまうので、近くのホームセンターでキーボードを買ってきた。おもちゃ売り場のそれでも3オクターブある大きなもの。いっぱいボタンがついていて、「いろんな音色が出ますよ」と説明されたのだけれど、よく見たらそれはデモ曲の設定だけで、押してみたら、同じ音色でにぎやかな音楽がいろいろ流れるだけだった。
 それでも、音をとるには充分。明日、一緒に歌えるように練習しておく。


2006年02月13日(月) デパ地下とおりがみ

 朝、ばたばたと出かける。やらなきゃいけないことをいくつもかかえたまま。落ち着かない一日。
 書かなくてはいけないものに取りかかり、いくつかは送り、いくつかはペンディング。
 仕事の帰り、池袋のデパ地下でバレンタインのチョコレートのフェアをのぞく。今年は、この人に!!という目的はなしに、初めて見る「テオイプロマ」というお店で、自分用にオレンジピールにチョコをコーティングしたものを買って帰る。ついでに見かけた神楽坂の五十番の出店で、五目肉まんも購入。
 DMの整理にとりかかるが、今日も途中まで。もう一息というところ。
 注文していた、おりがみの本が届いたのを受け取ってくる。なつかしい作家の、そのわりには知らない作品ばかりで、やや期待はずれ。それでも、子供の頃、よく見ていた、折り方の説明の図がなつかしい。折り紙を前に折ってみようというのではなく、ただこの本をながめて、想像しているのが楽しい。新聞で将棋の棋譜を読むようなものかと思っておかしい。
 「ミッシング・ハーフ」の稽古スケジュールが届く。8月の「ムーンリバー」の稽古場が押さえられそうとの連絡も。よかった。明後日からは絶対王様の稽古が始まる。これからしばらく芝居がつづく。いいかんじのわくわくした気分。


2006年02月12日(日) パソコン引き取り

 夕方、秋葉原へパソコンを引き取りに行く。壊れていたのは液晶とバックライトだけで、インバーターは無事とのこと。出費が少なくすんでほっとする。
 御茶ノ水まで歩いて、駅前のリンガーハットで夕飯。最近できたこの店に僕は時々寄っている。野菜がたくさんとれるちゃんぽんがぼくはけっこう好きだ。苦手なネギ類がいっさい入っていない麺類というのもありがたい。
 帰り、復活したパソコンで、メールを大量に受信して、わたわたと返事を送る。
 ホームページの更新はもうしばらくたたないと手が付けられない。
 夜、森川くんと電話で話す。芝居のことなどあれこれ。
 4月の公演のDM発送用のリストの整理にとりかかるが、途中で挫折。眠ってしまう。


2006年02月11日(土) 「アクト・ア・レディ 〜アメリカ中西部ドラッグショー〜」

 にしすがも創造舎特設劇場 。地下鉄に乗るよりはと巣鴨の駅から歩いてみたら、けっこうな距離だった。右手に時折見える染井霊園の木立。傾斜の向うにあるようで、丘の上を歩いているようないい気分。
 元学校の校庭を通って、体育館に作られた劇場へ。きっちり作り込まれた客席がとてもりっぱ。体育館もこんなふうにすると劇場っぽくなるんだと感心する。
 「アクト・ア・レディ」は、1920年代の架空のアメリカ中西部の街が舞台。とってもカウボーイばっかりな、とっても旧弊な街で、三人の男が女装して芝居をしようとするお話。
 男が女を演じるということについての葛藤や、途中で劇中の人物と自分とが混乱していったりと、複雑なとてもデリケートな芝居。
 ウィッグやドレスやメークがとても大きな意味を持つなか、リーディングということですべては観客の想像力に任される。
 演出は、冒頭から「マイアヒー」を流したり、最後に踊ったりと、現代につなげる試みをしていたが、それよりも、劇中劇で演じられる女性たちの言葉のもつ意味(演じている男達にとっての)と、「演じる」ということへの彼らの自意識のありようをていねいに積み重ねるべきではなかったかと思う。(そのまえに、もっとあたりまえにきちんとリーディングできるようになってほしいとも思う。)
 非常な早口で、何を言っているのかわからないセリフが、時に、日本のアングラ風(歌舞伎的なものも含めて)な言い回しで語られるのも、演じている劇中の彼らの内面をべたっと塗りつぶしてしまってもったいない。
 演出で試みている「おかしみ」は、戯曲に描かれた自然発生的なドラァグショーのおもしろさとは全然ちがうものになっていて、どうしてこれがわからないの!!?ととてもはがゆかった。大げさな古くさい言い回しと、苦し紛れに生まれた、べたな表現のもつおもしろさが、戯曲にはきちんと書かれているのに(馬に蹴られた女性の額には、赤いひづめの跡がついている!)。無骨な男たちが、芝居を通じてゆれうごき、変わっていく様子をもっとちゃんと見てみたかった。
 衣装とメークをつけて、きっちり演じたら、なかなか面白い芝居ができあがるはずのいい戯曲。ただ、そのときはぜひ別の演出で見てみたいと思う。
 終演後、微妙にブルーな気分のまま、いつもの池袋〜西新井のバスに乗って帰ってくる。さくさくと。


2006年02月10日(金) 古い資料

 今日も遅くまで仕事。今朝から読み始めた資料の文庫本に、フライングステージの昔の公演案内のDMの文面がはさまっていた。第7回公演、初めて池袋演劇祭に参加した芝居。
 その頃、僕は翌年上演した「美女と野獣」のもとになる話をずっと考えていて、戦前の映画関係の本をいっぱい読んでいた。
 別の芝居に昇華してしまって、すっかり忘れていたのだけれど、今回の「ミッシング・ハーフ」は、そのとき読んであれこれ考えたことを、もう一度、そのままの形で書いてみることになったのだと今さらながら、気がつく。
 ただ、そのままではなくて、一昨年やった「贋作・毛皮のマリー」の女形俳優が、サイレントからトーキーへ映画が移行するなか、声のために映画界を追われるというお話も今度の「ミッシング・ハーフ」には入っている。
 ただ、「女の声」と「クローズアップ」のために、女のカラダを手に入れようとするというのは、新たな設定だ。
 資料を読んでいると、日本にも、そんな苦労をした人が、きっといたんじゃないかと思えてくる。その人が見た映画は? 読んだ新聞には何が書いてあったんだろう? そんなことを知っておきたくて、資料を読んでいる。


2006年02月09日(木) 扉座サテライト「LoveLoveLove9」

 扉座の研究所の卒業公演「ラブ・ラブ・ラブ」を見に、六行会ホールへ。
 駅前でアップ&道案内をしている研究生と田中さんに会う。熱いなあとちょっとドキドキする。
 ロビーで横内さん、茅野さん、里沙ちゃんにごあいさつ。席に着いたら、茅野さんのとなり。こんなふうに並んで芝居見るのは何年ぶりだろう。一昨日部屋で資料を探していたら、扉座が善人会議の時代に初めて紀伊國屋で上演した「夜曲」の当日パンフが出てきた。みなさん当たり前だけど、とても若くて、あれからもう二十年が経つのかと感慨深い。
 芝居は、研究生が考えて作り上げた台本を、田中さんや横内さんが手を加え、演出したもの。劇団研究所の公演としては、ここまでやるかというくらい、気合いがはいっていてすばらしい。
 「ロミオとジュリエット」をベースにしたオムニバスに、「実話シリーズ」という、ほほえましいとてもリアルな日常のお話がミックスされ、ウェストサイドストーリーやレントのナンバーもあり、コンドルズっぽいダンスもあり、ほんとに盛りだくさん。堪能し、感動する。
 帰りは、いい芝居を見た後のいつもで、なかなか帰りたくない気分。地下鉄をなんども乗り換えて、ゆるゆると帰ってくる。


2006年02月08日(水) 富士見丘小学校演劇授業

 今日も3チームに別れての授業。前回の約束どおり、今日から立ち稽古だ。
 先週につづいてふじみルームという、カーペット敷きのフリースペースになっている教室で。
 声を出すということについての練習を少しやってから、台本に。声を出すことにだんだん慣れていってくれたらいいと思う。
 冒頭の場面から始める。体育館の使い方の説明をして、歩きながらやってもらうが、ただ立って読んでいるだけになってしまう。最初に登場する4人の子ども達が小さく固まってしまう。それでも、しばらくやっているうちにだんだん「いかた」がわかってきたようで、いいかんじの距離感でいられるようになった。
 読み合わせの段階で言ってきた、誰に話しているかということが、立ち稽古になると、とても大事になってくる。まだ、そのあたりが微妙なかんじのまま、とにかく進んでいく。
 後半の登場人物、氷役のヒデキくん。この街を支配している人物だ。つい近くに寄って話してしまうので、「偉い人は遠くからでも命令できる」と話す。そのためにはどんな声が必要か考えてごらんと。
 はじめはほんの1mほどだった距離を、教室のはしとはしに別れてやりとりしてもらう。その声がエイっと出たところで、今日はおしまい。
 あと本番まで16日。その言葉に彼らよりも、僕の方がどぎまぎしてしまう。
 来週の授業までにセリフを覚えてきてほしいと話す。この一週間が一番大変だけど、がんばってほしいと。
 劇中歌の楽譜をいただく。こどもたちが書いた詞にこどもたちが曲をつけたもの。なかなかむずかしい、でもとてもいい曲だ。家で練習して、一緒に歌えるようにしておこうと楽譜を読む。


2006年02月07日(火) 秋葉原

 夕方、仕事を切り上げて、秋葉原に向かう。パソコンを持って。
 久しぶりに降りた秋葉原界隈。あまりの変わり方に唖然とする。ここはどこ?とほんとに思ってしまう。つくばエクスプレスの乗り換えで降りたことが一度あるけど、そのときは乗り換えだけだったので、こうまで違う街になってるとは思わなかった。
 高校生の頃、コードや電球を探したり、石丸電気でレコードを探したりした街の面影が全くない。すっごいビルが建って、こんなスペースどこに隠してたのかというかんじの広場があったりする。ほんとうにしばらく立ちつくしてしまう。
 しばらく歩いたら、昔ながらの雑踏に出くわし、ようやくほっとする。
 修理やさんは、御茶ノ水方向にしばらく歩いた雑居ビルの3F。マック専門のところらしく、古いマックやいろんなパーツが積み上げられている。
 見てもらったところ、バックライトが切れてるらしいということがわかる。去年、横浜の中華街で落っことして以来、横に一本黒いスジが入るようになってしまっていた液晶もついでに取り替えてもらうことにする。
 仕上がりは、日曜の夜。もうしばらくパソコンなしの日が続く。


2006年02月06日(月) 傘×2

 午後から雪または雨の予報の曇り空。カサを持って出かけて、まんまと途中の電車に置き忘れる。ついこの間買ったばかりの新顔。
 パソコンがないので、資料やら何やら本ばかり読んでいる。読書に夢中であわてて降りて、置き忘れるという、久しぶりのパターンだ(いつもは、普通にただぼーっとしているせい)。
 仕事先の置き傘はキーをなくしてしまって取り出せないことが判明しているので、折り畳みの傘を買う。前から気になっていた、畳むととっても薄っぺらくなるタイプ。これから春先まではなくさないだろうと淡い黄緑色にした。
 天気の悪いなかパソコンを持ち歩くのは不安だったので、今日も修理屋は行かず、遅くまで仕事。絶対王様の稽古が始まる15日まで、片付けられることをしておくかんじ。
 雨も雪も結局降らず、新しい傘はなんとなく無駄な買い物になってしまった。


2006年02月05日(日) 修理

 仕事先のPCで、検索をして、パソコンの修理について調べる。「マック、液晶、真っ暗」で検索したら、トップに出てきたところが、いいかんじ。
 早速電話して話してみる。症状を説明したところ、持っていけばいいとのこと。それでも、今日は一日中、仕事で間に合わない。また明日。


2006年02月04日(土) パソコンの故障

 仕事に出かける。
 夜、パソコンが故障。とりあえず寝てしまう。
 いつもは点けっぱなしのパソコンがないと、とても静か。
 明日、高市氏に連絡して、マックの修理やさんを教えてもらおうと思う。


2006年02月03日(金) 読者カード

 ブックオフで買い物。現代の日本の劇作家のもの。数年前に発行されたハードカバーが100円になっていた。それと劇書房の翻訳戯曲。これも100円。どちらもどうしようかな?と前から思っていたものだったので、迷わず購入。
 日本ものを読もうと開いたら、アンケートハガキが入っていた。それも記入された状態で。この本を買ったのは、24歳のフリーターの彼で、購入場所は新宿の青山ブックセンター。要望等のところには「戯曲をもっと出してほしい」とあった。ここまで書いてそのままになっているのは、50円切手を貼らなきゃいけないことにあとで気がついたからかもしれないと想像する。
 僕は、古い本に蔵書印があったりするのが、とても好きだ。昔、本は財産で、必ず誰かのものだったのだ。戦前のハンコやサインを見ると、買った人の思いが、僕までつづいているようなそんな気がしてくる。
 手元にある、大事な本にも蔵書印とサインがある。戦前に発行された岩波文庫、泉鏡花の「注文帳 白鷺」という本だ。全集にしか入っていない、この「白鷺」という小説が僕はとても好きで、古本やで見つけたときには、大喜びでゲットした。奥扉に蔵書印。「注文帳」「白鷺」それぞれの最後のページに赤鉛筆で日付のサインがしてある。「注文帳」は「30.august.1939」、「白鷺」は「31.august.1939」。1939年、昭和14年の8月の終わりに、この人は、この本を読んで、このサインを書いたんだと、それまでなんだか曖昧だった戦前が一気に身近に思えるようになった。
 この年の9月に鏡花は亡くなっている。この夏の終わりの2日、というか、その人が「白鷺」を読んだ昭和14年8月31日は、何年か前の日記に記された一日のように感じられる。このサインのおかげで。
 はさまっていた愛読者カードは、お礼の意味をこめて、50円切手を貼って投函しておいた。


2006年02月02日(木) たんたんたん

 昨日の授業記録をメールで先生方に送る。
 夜、4月の「ミッシング・ハーフ」の制作のやりとりを昨日に続いて良ちゃんと。絶対王様のしいたけをさんと電話で話す。
 たんたんたんといろんなことを積み重ねた気分の一日。
 夜遅く、猫と一緒に今日も入浴。というか、あれいないなと思った猫が、風呂場で寝ていて、ちょっと入るよとおじゃましたかんじ。のんびりと猫見風呂。
 風呂上がり、日記をまとめてアップする。


2006年02月01日(水) 富士見丘小学校演劇授業

 富士見丘小学校の授業。先週につづいて、3チームに別れての練習。
 今日は、靴をぬいであがる部屋が割り当てられて、一度集合してゲームをしたあと、渡り廊下を通って、校舎のはじの部屋に移動。
 今日は、中学校の受験のためお休みが多い。僕のところは3人。代役をやってもらって、今日はまず読み合わせ。
 前回、「セリフってどうやっておぼえたらいいんですか?」と質問した男の子が、とてもがんばっていた。彼の頑張り方が、ほかのみんなをひっぱっていたと思う。
 一度読んだ後、声を出す練習をしてみる。これまでの授業では、「大きな声を出そう」という練習は一度もしてない。でも、今年は体育館でマイクを使わない、しかも観客に取り囲まれたセンターステージでの発表。
 ただ「大きな声を出そう」というのでない、指導のしかたはないだろうかと、先週の授業のあと、先生方と話した。今日は、僕なりの声についての授業をちょっとだけ。
 小さな声もとてもステキだから、小さな声の自分はだめな自分だから、大きな声を出せるようにしなくちゃいけないというのではなく、小さな声の自分も大事にとっておいて、大きな声も出せるようになってみようと話す。
 テレビのボリュームを上げるように。テレビの中の人は同じことしてるだけだけどねと。
 大きな声は怒鳴り声じゃなくて、カラダに響いている声なんだよと話し、声帯と共鳴の話、それから、ハミングから「ma」の発声まで、鼻や背中や胸が声で震えているのを確かめてもらいながら、進めていった。15分ほど。
 これは、フライングステージの稽古でいつもやっていたこととほぼ変わらない。大事なのは、意識することだ。子ども達にも、普段、みんなが普通に出来ていることを、確認しているだけですと話す。
 その後の二回目の読み合わせは、一度目よりものびのびとできたと思う。
 渡り廊下を一緒に授業をした扉座の鈴木里沙さんと話しながら歩いて、全員集合。子ども達のダメの通りのよさはすごいと話し合った。
 今日も他のチームのようすを聞いて、わくわくする。75人でできることと20人でできることは全然違う。その違いとおもしろさが新しく生まれているんだと思う。子ども達もそのことを楽しんでくれているといいなと思った。


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