せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年01月31日(火) お休み

 風邪でどうにもつらいので、仕事休んで一日家にいる。
 外も荒れ模様の天気。
 夜から出かける予定だった蓮子くんのヒレンカンの舞台も、初日おめでとうのメールを送ってごめんなさいしてしまう。
 食欲もなく、ただ喉が痛いので、お茶ばかり飲んでいる。
 風邪を引いて、横になりながら、折り紙したりするのは、あまりにも病弱な少年風で、妙におかしくなりやめることにした。


2006年01月30日(月) おりがみ

 風邪はどんどん本調子になり、喉が痛い。去年のように腫れないでくれることを祈る。どんよりした気分のまま仕事から帰ってくる。
 100円ショップで買った折り紙を持ち歩いている。昨日、なんとなく買ったものだ。
 この間の富士見丘の授業で、休み時間、折り紙の鶴を見せてもらった。折り鶴じゃなくて、羽がぱたぱた動くヤツ。「折り紙できる?」と聞かれたので、「できるできる、子供の頃は得意だったんだよ」と話した。
 小学生の僕は、ほんとに折り紙大好きな子だった。いろんな本を見ては、すごく細かいものをつくっていた。小さなユニットを組み合わせて、くす玉のようなものを作ったり。教頭先生が、ほめてくれて、プレゼントしたこともあった。あれは、先生が転任する時だったろうか。と、「折り紙」というキーワード(?)から、小学生の頃の思い出が、わらわらと蘇ってきた。すっかり忘れていたことばかりだからまさに「蘇った」かんじだ。
 買ってきた折り紙は、とても小ぶりなもの。電車の中で、ちょっと出して、ちまちま折ってみた。折り紙の小ささのせいだけでなく、こんなはずでは!というくらい、指先が思うように動かない。紙を折っていくだけの作業なのに、微妙な感覚が蘇ってこない。ちょっと哀しくなったので、家に帰って、本腰を入れて、再挑戦。
 一番悔しいのは、あんなにいろいろ知っていた折り方をすっかり忘れてしまっていることだ。くやしまぎれに、ネットで折り紙の本、それも昔、よく見ていた作家のものを注文する。
 ユニットをくみ上げるものをなんとか作ろうと試みるが、うまくいかない。形はできるのだが、どうも無駄な手順を踏んでいるようで、仕上がりがきりっとしないのだ。
 ネットで検索したら、すぐに出てきた。当時は知らなかったそのユニット折り紙は、「薗部式ユニット」というそうだ。「昭和の古典」とも呼ばれているらしい(折り紙業界では)。たどりついたサイトには、ていねいな折り図も掲載されていて、そうだ、こうやるんだったと、思い当たり、その後は、きりっとしたユニットを折ることができた。同じものを30個つくって、くみ上げた。完成したのは、懐かしい形だった。三十年ぶりの再会だ。
 富士見丘での一言が、思いがけなく、すっかり忘れていた小学生の僕を思い出させてくれた。なんとなく思うことと、こうして、何かをつくることで蘇るものは、その実感のしかたがなんて違うのだろう。
 指先を動かすのはいい刺激になるということなので(ボケ予防か?)、しばらく、折り紙をマイブームにしてみようかと思う。
 注文した本が届くのが楽しみだ。


2006年01月29日(日) 春節の集い

 昨日の帰りから本調子(?)になってきた風邪。喉と関節が痛いという、あきらかな風邪の引きはじめで、熱も少し出てきた。
 ま、なんとかなるさと、出かける。
 越谷の図書館に行って、非戦を選ぶ演劇人の会のリーディング台本用の資料を探す。
 南越谷の図書館の前の広場で「マジレンジャーショー」をやっていて、子ども達と一緒にしばらく見てしまう。
 お話自体はちっともわからないのだけれど、やっぱり生ってすごいなあと感動。
 5人の兄弟の正義の味方が悪い奴らをやっつけるという、ゴレンジャー以来のレンジャーものの世界。
 マスクをかぶっているので、誰がしゃべっているのかわからず、最初はとまどうが、慣れてくると、俳優さんたちのがんばりぶりに、子ども達とは違う意味で「応援」したくなった。
 黄色い人が、あきらかにやや太り気味だったり、赤い人がとっても身のこなしがキレイだったりと、ほんの十数分で、ストーリーとは違う楽しみかたを見つける。
 広場のすみにテントを張って、紅白幕で囲って、そこが楽屋らしい。そこは袖もかねていて、「待て!」と言って、悪者を追いかけてとびこんでいったりする。とっても演劇的な空間。というか「芸能」っていう言葉が浮かんできた。
 ほんとに何もないところでも、演じ手と観客がいれば、芝居はちゃんと成立するんだということに、けっこう感動させてもらった。
 握手会はパスして(興味があったのだけれど)図書館に向かう。2軒はしごして、予定していたものをほぼゲットする。
 その後は、マルゴリータ奈須と新宿で待ち合わせをして、デパ地下で買い物。
 恒例の揚げ物系にサラダ、春節ということで、お正月の和菓子、花びら餅を購入する。
 マルゴリータ邸の近くで偶然、ベリンダ弦本に合流して、以降は楽しい新年会。gaku-GAY-kaiでいただいたシャンパンで乾杯し、食事しながら、今年のgaku-GAY-kaiの演目についての企画会議、「ジオラマ・マンボ・ガールズ オン・アイス」をどう実現させるか。まずは、トリノ五輪をちゃんと見ようねと約束する。
 帰りは、大荷物のカートを引きながら、それでも、まだ半分は預かってもらったままだ。若松河田の駅の近くでさっき別れたベリンダさんに合う。バスがなくなったので地下鉄で帰るとのこと。
 ベリンダさんとももう十数年のつきあいだ。gaku-GAY-kaiも今年で十周年。十年以上続く、友達関係というか、一緒に何かやっている仲間というのは、おもしろい。年に一度のこんなにゆるゆるのつながりだけれども。今日は、そんな話をずいぶんした。いい夜だった。 


2006年01月28日(土) フライングステージ新年顔合わせ

 夕方からフライングステージの新年顔合わせを高円寺で。
 今年のことについてあれこれ話す。一番のテーマは、高市氏が制作をおりるということだ。本業の仕事がとっても忙しい中、これまでなんとかやってきてくれていたのだけれど、もう限界に近いということで、今年から、樺澤良くんの劇団制作社にお願いすることになった。
 そのあたりの経緯について話す。集まった、小林くん、早瀬くんとはgaku-GAY-kai以来。マミィを含めて、いろいろおしゃべりもしてくる。
 これから、こうやってここで集まることも少なくなるのかと思うとやはり淋しい。今日来れなかったメンバーも含めて、いつかみんなで集まりたいと思った。
 高市梅莟さま、ほんとうにおつかれさまでした。


2006年01月27日(金) 南青山・表参道

 ノグが客演しているイベント「いろは」を見に南青山まで。
 久しぶりの界隈。あれこここんな店になってる!と驚きながら歩く。
 プロデューサーの梨紗ちゃんとご挨拶。着物姿と編み込みばっちりのヘアスタイルが新鮮。ノグも着物姿でフロアーに。
 会場は、あらかじめネットでサイトをチェックしていたのだけれど、予想以上に狭くてびっくり。ここでほんとうにだいじょぶなの?と心配になるくらい。写真ってほんとにマジックだわ。
 おちないリンゴの面々とご挨拶。ビールを片手に開演を待った。
 演目は「紙風船」。バーカウンターの椅子をそのまま使うという設定がユニーク。でも、せっかくだから着物姿が映えるようなスタイルで見たかったような気も。
 カウンターではドリンクのオーダーをずっと受けていて、そのすぐ前で芝居をしているという状況がとてもおもしろかった。そのおもしろさが活かせたらすごいだろうなあと思いながら、1回目の上演が終了。
 リンゴのみんなとノグに挨拶して、お先に失礼する。エレベーターで梨紗ちゃんと少し話す。ちょっと風邪気味なのでごめんねと。
 帰りに表参道の駅前のナチュラルハウスで買い物。こんなに遅くまでやってるんだということにびっくり。レジのおばさんのスローな仕事ぶりも、ここなら全然許せてしまうのが不思議。週末に向けてのパンをあれこれ買って帰る。


2006年01月26日(木) 違う疲れ方

 昨日の夜、篠原さんと授業のことについて話した後、爆睡してしまう。
 こんなに眠ったのは久しぶり。なんでだろうと思ったら、すぐに、子ども達と一緒に稽古したんだと気がついた。やっぱり普段とは全然違う、疲れ方をしたんだなあと思う。
 今日はゆっくり始まった一日。
 ジオラママンボガールズの遅ればせの新年会が、今度の日曜日に決定した。
 毎年恒例の「あぶらものを食べる会」だ。
 マルゴリータ奈須邸で、春節を祝っての会という名目もできた。
 すっかり預けてもらっていたgaku-GAY-kaiの衣装の山も、引き取ってこようと思う。


2006年01月25日(水) 富士見丘小学校演劇授業

 富士見丘小学校の授業。今日から、3つのチームに別れて行う。
 全体の枠組みとしての「放課後の卒業式」。その中に入る「演劇授業の発表」、。そして劇中劇のようなスタイルになる「未来の友情」。
 僕の担当は、「未来の友情」。先週のオーディションで決まった配役のみんなでの練習は今日が初めて。作者のオオタくんがいてくれるのが心強い。
 全体でウォームアップをしたあと、3つの部屋に別れる。山本健翔さん担当の「演劇授業チーム」は、体育館だ。寒いのにだいじょぶかしらと心配。
 まずは自己紹介から始める。名前と役名を輪になって順に言っていく。
 続いて、相手の名前を呼びながら指さしていくゲーム。それから、数を数えながら、指をさしていくゲーム。いつも僕がやってる稽古初日とあまり変わらない始まり方。
 20分休みのあとも引き続いてゲーム。それから、僕が巻いていたマフラーを丸めて、ボールのようにして、投げ合いながら、数を数えるゲーム。
 今日のポイントは、誰に対してしゃべってるのかなということ。相手にとどく言葉を出そうとがんばった。
 最後に、台本を読む。今日は誰も見ている人はいなくて、全員が出演者。いつもとは違う緊張感で、いい場面ができあがった。
 最後に、宿題を出して終わる。それぞれのセリフを誰に向かって言ってるのか考えてきてほしいと。
 3チームが集まって、それぞれがやってきたことを伝えあった。同じ時間、全然違うことをしながら、こうやって集まるのは、とてもおもしろい。子供たち以上に、僕らも他のチームが何をやっているのかとっても気になる。
 子ども達は、とてもいい顔をして戻ってきた(体育館から帰ってきた子たちは「寒い〜。手が冷たい〜、ほら!!」と言いながら)。
 このスタイルで2月24日の本番まで、稽古を重ねていく。去年とは全然違う、芝居の作り方。どうなるか、まだまだわからないことがいっぱいだけど、子供たちと一緒に作り上げている実感はものすごくある。きっといいものができあがるだろうという確信も。 


2006年01月24日(火) ネットで本

 夜、勝田氏と電話でやりとり。フライングステージの新年顔合わせの予定や、今後のことなどについて。一緒に近況報告も。
 あちこちにメールを送る夜。
 ずっと探している本があって、あちこちの書店をあたったのだけれど、見つからない。去年の暮れに出た新書だから、ないはずはないと思うのだけれど。
 アマゾンで注文しようとしたら、数週間から数ヶ月かかるみたいなことになり、あきらめかけていたのだけれど、セブンイレブンがやってる通販サイトでオーダーしたら、すんなり注文を受け付けてくれた。
 本当は書店で注文するのがてっとりばやいはずなのに、店員さんとのやりとり、または書名や出版社などを手で書くというのが、妙にめんどくさい。いつからこんなふうになってしまったんだろうと思う。でも、ラクなものはラクなんだものと、思い直す。


2006年01月23日(月) 風邪と牡蠣

 昨日干した洗濯モノが、風に飛ばされて、お隣さんに回覧板と一緒に届けてもらう。そういえば、夜中ものすごい風が吹いていた。バスタオル三枚を小物干しに無理矢理吊したもの。たしかに風の抵抗は思い切り受けそう。
 仕事の帰りに、本屋で「長い長いさんぽ」が平積みされているのを見つける。昨日の朝日の朝刊の読書欄で紹介されていたせいだろうか。となりは、「きょうの猫村さん」というのもうれしい。
 立ち読みしかけて、また涙目になってしまい、うちで読めばいいじゃんと、そそくさと元に戻す。
 いっこうさん、マルゴリータ奈須さんが、このところ盛り上がっている「牡蠣」。含まれる亜鉛が風邪の予防にいいという話をきき(もとは「あるある大辞典」らしい)、生牡蠣か牡蠣の土手鍋に挑戦したいなあと思って帰宅したら、夕食は牡蠣フライだった。どうぞこのまま風邪をひきませんように。
 富士見丘の帰りには、必ずといっていいほど、風邪っ気をもらってくる。さすがにたくさんの子ども達がいるだけのことはある。子供よりも抵抗力がなくなってるのかとくやしい気がするが、先生方と話したら、教師になりたての頃にはほんとうにそうだったと言われた。
 食事をしながら、母親と夕食の献立の話あれこれ。明日は湯豆腐にしようか、買ってきた無農薬の大根を煮ようかと。テレビでは、ライブドア、堀江社長の逮捕の特番。特番のかげで耐震偽装関係のニュースがどんどんぼんやりしてくるのはどうよと思う。


2006年01月22日(日) 洗濯と足湯

 小松川高校の演劇部の冬公演だったのだけれど、家で片付けなくてはいけないことが急にできてしまって、失礼する。去年の文化祭も地区大会も行けなかったので、今日こそはと思っていたのだけれど……。
 夜、たまりにたまった洗濯ものをしかたなく片付ける。夜干しはどうかと思いながら、部屋干しは一気に部屋が寒くなるので、外に出す。雨は降らないだろうし、明日一日で乾けばいいやといういいかげんさ。
 今日も猫と一緒に入浴。風呂上がりのバスマットに汚れた足跡がついたので、抱き上げて前足と後ろ足だけを洗面器に張った湯につけて洗う。足湯。気持ちいいだろうにと思うが、猫は一気に機嫌が悪くなり、いらいらと爪研ぎをはじめた。


2006年01月21日(土) 富士見ギャラリー

 目が覚めたら、外が明るい。窓を開けたら、外は雪景色。雪がしんしんと降っている。やられた……というかんじ。
 今日は、富士見ヶ丘小学校に、富士見ギャラリーの展示を見に行く予定。
 富士見ギャラリーというのは、3年に一度の学内展覧会で、図工や書き初めの作品が校内に展示される。
 バスも電車もやっぱりというかんじで遅れまくり、予定よりすっかり遅くなって富士見ヶ丘に着く。駅からの道はほんとに真っ白だ。風も強く吹いていて、カサをさしても雪まみれになる。
 富士見ギャラリーの展示は、終了時間ぎりぎりということで、保護者の方々が何組かいるだけの静かな会場。教室に飾られた作品を、ゆっくり観させてもらう。
 これまでも図工室の前で見ていた作品が一同に集められているようすは、壮観だった。
 6年生のつくったランプ、スニーカーやランドセルの絵にコメントを寄せたもの、白い街の風景。オーディションのときに、フルネームをずいぶん見たので、作品ひとつひとつに子ども達の顔が浮かんでくるようになった。廊下に並べられた木馬もその人らしさがかんじられる。いや、この木馬から感じられるものが、その人らしさとして、彼らの印象に加わっていく。
 5年生の守護神シーサーのユニークさ。粘土でつくったシーサーに、背景が添えられ、シーサーの言葉が書かれている。ただ、単体としてでなく、こうした構成までされているのが、ほんとうにおもしろい。
 4年生の「ともだちキラリ」は、友達を描いた肖像画。ただし、背景は英字新聞だ。ただ白い画面に描かれているのではない奥行きが感じられる。また、そこにいる友達の表情の豊かさにも感動する。
 3年生の「カーニバルへようこそ」は、人形だ。紙粘土でつくった顔に長い胴体。そこに思いつく限りのさまざまな衣装が着せられている。そして、それぞれのタイトル。
 2年生の「おいしいよ、おべんとう」は、さまざまな素材を使って作られたお弁当。レストランのサンプルとは違う、素朴さと「これが好き」という気持ちが伝わる。プリン系のデザートが3つに2つは添えられていて、「プリン好きなのね」とほほえましい。
 1年生の「おしゃれなとり」は、去年の6年生がつくって、卒業公演の舞台を飾った飛び立つ鳥のカラー版。この間の授業のときも昇降口に飾ってあった。一つ一つの鳥の目が、とっても表情豊かだ。6年生の木馬もそうだけど、目って、ほんとに多くのことを語るんだなあとおもしろい。
 その後、吉祥寺に出て、買い物をして、コーヒーショップで一息ついて、外に出たら、雪は止んでいた。なんだか、一番大変な時間に外を歩いていたようだ。その分、雪を堪能した気分。
 下北沢へ移動して、燐光群の「スタッフ・ハプンズ」を見る。途中の井の頭線で川崎桜さんに声を掛けられて、話し込む。去年出演していたボタタナエラーのことなどなど。
 「スタッフ・ハプンズ」@ザ・スズナリ。デヴィッド・ヘアー作。
 911以降、イラク開戦までの、ブッシュ、バウエル、ブレアといった実在の人物達が繰り広げる政治劇。
 つい最近起こった、よく知っている政治的事件が、舞台の上で繰り広げられていることへの、微妙な不思議なかんじをまず楽しんだ。
 戦争は絶対に反対だという立場のパウエルの苦悩が、物語をどんどんひっぱっていく。
 見ていて、まるでラシーヌの悲劇を見ているようだと思った。まるで「ブリタニキュス」。ラシーヌの世界の人物は政治の話をしていても、大元にあるのは、権力への欲望だったり、情念だったりする。現代の政治家たちも、彼らをつき動かしているのは、ほぼ同じもののように見えてくるのが、恐ろしかった。そこには、民衆はいないから。
 最後に登場したイラクにもう何年も帰っていないという人物の言葉が重かった。「自分の国のことを自分たちでなんとかしないと、こういうことになるんだ」。
 民衆がいないままの政治家達のやりとりの最後につきつけられるこの言葉。
 終演後、坂手さん、工藤さんにご挨拶。青井さん、篠原さん、谷さんと中華屋さんで軽く食事。
 帰りの電車の中で、出演していた中山マリさんとばったり会って、芝居の話をいろいろ聞き、感想をあれこれ話させてもらう。


2006年01月20日(金) 残業の日

 今日も一日、仕事。たまりにたまっていたつけで、今日は終電までばたばたとかたづけることに。
 夜から雪という天気予報は微妙に外れて、夜中になっても曇り空のまま。
 山手線がやっぱりというかんじで遅れて、帰れなくなったらどうしようという不安を抱えたまま、とりあえず電車を乗り換えていく。
 イライラした気持ちのまま、なんとか最寄り駅までたどりつき、駅からの道を一人で歩き始めてようやくほっとする。ほんとに雪は降るんだろうかというような、いいかんじの夜だ。


2006年01月19日(木) 仕事の日

 一日仕事の日。「オーディション終わるまで他のことができない」と篠原さんと言い合っていたのだけれど、終わった今日は、ほんとにいろいろなことがずーんと前に進んだ気分。もちろん、稽古はこれからだけれど、やらないといけないことがどんどん具体的に見えてきて、気持ちがずいぶんラクになった。
 今日、オーディションの結果を聞いた子ども達はどうしているだろうと、気にかかる。土曜日の富士見ギャラリーで会えたらいいなと思う。
 ビデオが壊れてしまったので、少ないDVDの中から「雨に唄えば」を見る。「贋作・毛皮のマリー」でじっくり見て以来の久しぶり。長いよなあと思った、劇中のミュージカルシーンのおもしろさを改めて確認。ジーン・ヘイゲン演ずるところの悪声&悪役の女優リナにどうしても感情移入してしまう。


2006年01月18日(水) 富士見丘小学校演劇授業

 今日は、オーディション。
 今回は、6年生全員、75人が、かならずどれかの役につけるよう、篠原さんと2人で75の役を用意した。
 その中で、希望者が多かった役についてのオーディション。
 授業の初めから、子ども達の集中のしかたに圧倒される。いつも、きっちり集中できる彼らだが、今日は、いつもにましてぴりっとした緊張感がある。
 全員が台本を持って、オーディションの場面を演じる人を見ているのだけれど、「台本じゃなくて、演じてる人を見よう」という、僕らがいつも言っていることが、とても当たり前のようにできていた。たまに、集中が切れたかなと思える場面では、子供たちの中から、「台本見ないよ」とか「壁によりかからない」といった声が自然にあがっていた。
 やりたい役をやるのが一番だというおとなたちの一致した意見で、希望者が一人の場合は、オーディションなしで決定。
 希望者が多かったのは、僕が「未来の友情」に新しく付け加えた「門番」の役だった。それぞれがみんないい味で、ぼけとつっこみの役どころをいいかんじに演じてくれた。
 主人公に対立する「氷」の役の希望者は2人。それぞれ長台詞を語ってもらった。二人目に演じたヒデキくんが演じ終えたところで、見ていた子供たちから、溜息とも歓声ともつかない声が拍手と一緒にあがった。
 授業のあと、校長室で打ち合わせ。今日は、何時までかかるかわからない配役会議だ。
 青井さんは、「誰がどの役を演じても大丈夫」という嬉しい言葉を残して、先に帰られた。
 田中さん、鈴木さんと今後のことを打ち合わせしたあと、若林先生、森江先生、平田さん、篠原さんと、75の役、一つ一つについて、検討していく。
 僕と篠原さんは、今日のオーディションの印象を中心に、先生方は、授業全体、クラスでの人間関係までを考慮しての配役会議。
 五時過ぎまでかかって、ようやく終了。
 音楽の畑先生と、作曲についての打ち合わせをして、篠原さんと二人、失礼する。
 校門を出たところの横断歩道をわたっていたら、コンビニの角から自転車に乗った6年男子に声をかけられる。今まで打ち合わせしたことがバレてしまうねえと言いながら、駅までの道を歩く。


2006年01月17日(火) 「ながいながいさんぽ」

 仕事の帰り、池袋のデパ地下で買い物。ちょうどやっていた「練馬漬け物物産展」の最終日。たくあんを売っていたおばちゃんにつかまり、いろいろと味見をさせられ「たまり漬け」の最後の一本を買う。「おまけね!」と言って、一緒に漬かっていた昆布やら何やらがどっさり。奥からおじさんが出てきて、「これも」と塩を一袋くれた。どさっと重い荷物を抱えてバスで帰ってくる。
 帰りに買った須藤真澄「長い長いさんぽ」。去年、連載されたものの単行本化。十数年前、僕の部屋からもらわれていった子猫ゆずについて、須藤さんが描き続けていったマンガ「ゆず」のほんとうの最終回。なんてしあわせな猫だろうと思い、彼を思う須藤さんの思いの深さに、僕はこんなに愛せるだろうかと振り返ってしまう。今日もまた、電車の中で涙目になってしまう。
 バスを降りて、家の近くまで来たら、角の家の庭から、うちの猫が飛び出してきた。知らん顔してあるいていたら、向うもどこかに行ってしまった。と思ったら、家の玄関にたどりついたところで、猛ダッシュで走ってきた。かわいいじゃん、うちの猫も。彼を通してゆずに何かが伝わるのなら、こいつのことを大切にしてやりたいと思った。
 ミクシィのマイミクさんに教えてもらった「きっこのブログ」というブログをこの頃よく見ている。日常のささいなことから、政治のことまで、幅広く、そして饒舌に勢いのある文体で語られているのがとても気持ちいい。アナウンサーの今泉清保さんのブログとならんで、二大お気に入り。未見の方はぜひ検索してたどりついてみてほしい。
 夜、「贋作・Wの悲劇」に出演してもらった木村佐都美さんと電話で話し、8月の「ムーンリバー」への出演をお願いして、快く引き受けていただく。主人公の妹役。ちゃきちゃきの中学生を演じてもらおう。


2006年01月16日(月) 非戦を選ぶ演劇人の会打ち合わせ

 朝、ほんとにぎりぎりの時間に、台本をメールで平田さんに送る。今日これから印刷して子ども達に配布してもらう。いつもながら遅くなってしまってほんとうに申し訳ない。カットしているつもりが、やはり長くなってしまい、あとは稽古しながら考えようと思う。
 昼から、えり子さん宅で非戦を選ぶ演劇人の会の打ち合わせ。大きなテーブルを囲んで今年の予定をみんなで話し合う。予定以外のこともいろいろ。今日もまた有意義な時間。
 終了後、えり子さんと宇宙堂の劇団員の加藤記生さんと打ち合わせ。加藤さんへの8月のフライングステージ公演「ムーンリバー」への客演のお願い。スケジュールを調整してもらい、引き受けてもらえることになった。加藤さんには、男まさりな女子中学生の役を演じてもらう。宇宙堂の公演では、これまで男子役が多かった彼女、今回は「男っぽいけど」女子をお願いすることになる。
 帰り、梅ヶ丘で途中下車して、駅前の美登利寿司であなごの寿司、梅ヶ丘に住んでた頃、ほんとによく通ったアルパジョンでシュークリームを買って帰る。余分に買って妹のところへ。電話して取りに来てもらった。


2006年01月15日(日) 台本

 富士見丘小学校の台本の僕の担当パートを今日中に仕上げないといけない。18日はオーディション。明日、印刷してもらって、子ども達に配ることを考えると、締切はどう考えても「今日中」だ。
 15分という枠のなかでもがく。長いものはいくらでも書けてしまうのだが、短いシンプルなやりとりの中で、お話を進めるのが僕は苦手だ。
 カットしようとした前半のくだりが、かえって長くなってしまい、直した部分を全部捨てる。
 気持ちを説明することは極力やめて、セリフのうしろで気持ちが動いているように心がける。
 劇中の歌の歌詞が実行委員から新しく来た。それまであった詞とのおりあいをどうつけようか悩む。いっそ、テイストを活かして、全部書き直そうか、どうしようか、考える。
 夜、いっぱいになり、外に出る。散歩しながら、ぶつぶつしゃべる。
 篠原さんから電話をもらい、進捗を話して、少しラクになる。すぐに書き上がりそうな気がして、明るく話をしたのだけれど、その後、また考え込んでしまい、朝までああでもないと考えつづける。


2006年01月14日(土) 猫と入浴

 富士見丘の台本は今日はお休み。一日、他の仕事にかかりきり。天気も悪いので、一日一歩も外に出ない日。
 不自然な姿勢で原稿を書いていたせいか、右手の手首が痛くなった。前にも、やったことのある腱鞘炎もどきの症状だ。
 風呂にゆっくりつかって、マッサージする。
 長時間の風呂には、猫をつれて入る。もっとも、猫は、半分開けた湯船のふたの上にいるだけ。猫を見ながら僕がお風呂に入っている。猫見風呂か。
 ぬるめの湯にゆっくりつかった方がいいと思うのだけれど、ぼくはすぐ飽きてしまう。ラジオをもちこんだり、濡れてもいい本を読んだりいろいろしたのだけれど、今、一番いいのは、猫を連れての入浴だ。
 猫も、風呂場は暖かいのでまんざらでもなさそうだ。僕が、風呂場へ行くと、ついてくるようになった。
 夜、西田夏奈子さんと電話で話す。8月の「ムーンリバー」への出演のお願い。引き受けていただけることになった。よかった。なんとしても、主人公の母親役をお願いしたかった。だんだん家族の姿が見えてくる。


2006年01月13日(金) 新年会と打ち合わせ

 4月にお世話になるサンモールスタジオの新年会にうかがう。
 改装したスタジオの内覧会もかねてということなので、まずは劇場を見せてもらう。
 客席が鉄骨組みになり安定感が増し、舞台はバトンが数十センチ高くなり、サイドの壁が取り払われている。とてもすっきりといい空間になっていて感動する。ここでどんな芝居をつくろうかと、しばらく客席の椅子に座って考える。
 おとなりのレストランで新年会。知っている人は誰一人いない心細い状況。それでも、ぽつぽつとおしゃべりをさせてもらっているうちに、だんだん気持ちがラクになってきた。
 それにしても、ここに集まっている人たちの若さはとっても新鮮だ。池袋演劇祭のパーティも、同じようにいろんな劇団の人たちが集まるけれど、もっとずっと年齢層の幅が広い。今日、ここにいる若い人たちに、今の劇団ってこんななんだというのを教えてもらった気分。
 各劇団の自己紹介挨拶も順番に。特色があるところ、どうなの?とよくわからないところなどなどいろいろある中、ステキな人たちをいっぱい見つける。公演をぜひ見てみたいなと思うところがいっぱい。
 僕もフライングステージの紹介をさせてもらう。また呼ばれることがあったら、今度は女装で来ようかな?などと思う。
 続いて、昨年の公演の中から優れた舞台、演出、演技等に賞が贈られる表彰式。どれも見ていない舞台だけれど、見ておきたかったと思うものばかり。
 9時過ぎに失礼して、新宿まで歩く。富士見丘小学校の打ち合わせ。篠原さんと青井さんと個室居酒屋で。ナベを囲んでの新年会も兼ねつつ、いろいろと話し合う。
 途中で平田さんも参加。新宿文化センターで狂言を見た帰りとのこと。
 よし、これでだいじょぶということになり解散。
 終電で帰れなかったら泊まるのかな?という案もありだったのだけれど、きっちり終電ちょい前に間に合う。
 僕は、休日ダイヤで結局終電になってしまう。駅に降りたら雨がずいぶん降っている。
 タクシーも来る気配がないので、コンビニでカサを買って歩いて帰る。雨の夜道も気持ちが明るいと元気に歩ける。


2006年01月12日(木) ブリーチ

 昨日の授業で子どもたちの一人に「金髪にしないの? 金髪の方がかっこいいのに」と言われたからというわけではないのだけれど、久しぶりに髪をブリーチした。
 黒い髪でヒゲを生やしているとどんどん男くさくなっていくので、それがねらいというか防波堤でもあるのだけれど、それをいっさいやめて、女優モードへ切り替える。
 ずっと買いそびれていたカレンダーをようやく購入。いいのが見つかった。動物のイラストが版画になっているシックでかわいいもの。さっそく部屋に掛ける。
 夜、ブリーチした髪をめぐって母親と口論。というか、久しぶりに声を荒げてしまう。大人げないと反省。それでも、家で大声を出したのは、いつ以来だろうと考える。思い出せない。なるたけ静かにおとなしく、もとい大人として母親とは接したいと思っているのだけれど、今日は、つい一声出てしまった。そのまま部屋に上がるが、食事の前だったので、しれっと降りてテーブルを囲む。なんでもない普通のやりとりが始まった。これが家族ってもんなのかもしれないと思った。喧嘩しても一緒にご飯は食べる。そんな関係。
 カレンダーと一緒に買って帰った、母親が前からほしがっていた「ちょうどいい大きさの中皿」があったのがよかったのかもしれない。バーゲンで半額だったシンプルな青と白の縞模様の皿。デパ地下で買って帰った随園別館の春巻をのせてみる。
 今日から始まったドラマ「白夜行」。ラスト30分だけを見る。原作はとてもおもしろかった。冒頭からというか番宣の段階で、「親を殺した子供同士」という小説としては「謎」の部分をいっきに種明かししてしまっている大胆さ。連続ドラマの手法としてはしかたなかったのだろう。
 綾瀬はるかの子供時代を演じる福田麻由子に泣かされてしまう。この子はいったい何なんだろう? 原作には絶対になかった場面、読者の想像の中にしかなかった場面が、ていねいに描かれる。シナリオの勝利と言っていいと僕は思う。来週も見てみようと思える、気になるドラマが始まった。


2006年01月11日(水) 富士見丘小学校演劇授業

 朝方、メールでなんとか台本を送る。ばたばたと出かける。遅くなったので、いつもと同じルートでは間に合わないことがわかり、武蔵野線で西国分寺まで行き、吉祥寺から井の頭線に乗り換えることにする。久しぶりに乗った武蔵野線。南に向いた窓から射す日射しがあたたかくて気持ちいい。西国分寺駅の寒さに眠気がふっとぶ。
 打ち合わせをして、青井さん、篠原さん、田中さん、鈴木理沙さんと特活室へ。
 やってきた子ども達はお正月を超して、なんだかみっしりしているよう。大きくなったんだろうか。
 まずは、田中さんによる、ウォームアップゲーム。続いての前半は、「未来の友情」の後半部分。新しく創作した「門番」役が人気でおどろく。
 休憩のあと後半は、「未来の友情」の中に登場する「見えないボールでキャッチボールする」というのを体験してもらうことにする。
 田中さんと鈴木さんに指導をお願いする。まずは「なわとび」。見えない縄で縄跳びをするということから。こちらの方がボールより見えやすいとのこと。
 子ども達はせまい特活室で大いに盛り上がる。予想していたよりは微妙になわとびが苦手なのかなという印象。それでも、全員が縄をこわがることなく入っていくことが出来た。
 時間が来たので、キャッチボールはまたということに。おしまいに来週のオーディションの説明を先生方にしてもらう。
 解散したあと、新しいセリフの語尾を「『じゃん』じゃなくて『じゃないか』」にしたほうがよくない」とアイデアをもらう。「おお、そうくるか」うれしい。「考えておくね」と答える。
 午後から、校内研究会に参加させていただく。議題は「総合的学習の時間における演劇の位置づけ」。講師は、文教大学教授の嶋野道弘先生。総合的学習の時間をつくられた方だそうだ。
 嶋野先生がいらっしゃるまでの時間、先生方の前で、演劇授業の進捗について話をさせてもらう。
 また、演劇授業に立ち会っていない先生方から、子ども達の反応を聞かせてもらう。廊下ですれちがったときのようすなど。若林先生からは、放課後に、今日やった「見えないなわとび」をみんなでやっていたという話をうかがう。うれしい。
 嶋野先生のお話は、各地での総合的学習の時間の取り組みについての具体例がとても興味深かった。演授業の中で、劇をどう位置づけていくのか。根付かせるにはどうしたらいいのか。考えさせられることが多かった。これからの演劇授業の進め方に、さっそく反映させていきたいと思う。
 研究会のあと、校長室で来年度の授業についてのうちあわせをする。予定していなかったのだけれど、お話をうかがったあと、これはぜひ話しておこうというかんじにどんどんなっていった。
 今の五年生のようすや、これまでやってきたことなど、担任の先生方からいろいろうかがう。こういう打ち合わせに自然さは以前はなかなかなかったことだ。先生方とはじめから一緒につくりあげていくということが、するっとできてしまう3年目になっていくのかもしれない。
 すっかり暗くなってから、篠原さんと音楽の畠先生と駅まで歩く。演劇授業の話をおしゃべりしながら。これもまたいい時間。
 買い物に立ち寄った北千住の駅前。大画面に白石加代子さんの「百物語」の映像が映し出されてびっくりする。すごい迫力。シアターセンジュでの公演用だろう。しばらく立ち止まって見入ってしまう。


2006年01月10日(火) 沈んだ日

 明日の授業用の台本が仕上がらない。僕の担当の「未来の友情」の場面は、15分。太田くんの原作に、台本委員の意見を採り入れて、三稿を書いているのだけれど、書けば書くほど、これでいいのか?という疑問が浮かんできて、ついに書けなくなってしまった。もともと短いものは得意ではないのだけれど、今回、要になるロジックが見つからず、苦しい。
 他の2本の資料を読んだり、仕事に行ったり、いいアイデアが浮かぶのを待つが、これというものは浮かばない。
 昼間、ギャラの振り込みでいきちがいがあったのも追い打ちをかけて、すとんと落ち込んでしまう。母親も帰ってこない、猫もいない家で、それでも悶々とする。
 夜中、これでいこうという案が浮かぶ。ほんとに「浮かぶ」というのはこういうことなんだというかんじで思いつく。
 それまでのだらだら理屈と説明を書いたところと捨てて、書き直し始める。


2006年01月09日(月) 名付け親

 友人の大ちゃんと泰子さんのおうちへ伺う。去年の9月に生まれた優一郎くんの「命名の儀」とのことで、ご招待いただいた。
 本当は、去年のうちに伺っていなければいけなかったのだけれど、10月はのどをはらしてしまい、風邪でもうつしたら大変と遠慮し、11月12月は台本やら稽古やらでいっぱいになってしまって、ようやく新年のごあいさつをかねて。
 3カ月の優一郎くんは、赤ちゃんがどんどんかわいくなっていくさかり。甥っ子姪っ子や友人たちの子供もすっかり大きくなってしまって、ほんとに久しぶりに赤ちゃんとの出会いだ。
 当時僕が中心メンバーの一人として活動していたTOGETHERというサークルで知り合った二人ということで、今回、形だけの名付け親(実際、命名したのはお二人なので)、ゴッドファーザー(マザーか?)をさせていただくことになった。
 食事をして、お酒をごちそうになり、優一郎くんが眠ったところで、さてとばかりに大ちゃんが色紙を取り出してきた。初めて見る「命名用紙(?)」と、筆と墨汁。筆ペンでささっと書けばいいと思っていたのでびっくりする。
 昔から書道は苦手。普段書く字は丸文字。筆ペンでも開き直って丸い字を書いてしまっているのだけれど、今日はさすがに丸文字じゃないだろう。おそるおそる筆に墨をつけて、色紙に向かう。墨の匂いがすがすがしい。
 優一郎くんの「優」の字は、にんべんがシンプルなわりに右側のつくりがもりだくさんだ。バランスが取れない。なんとかおさまるようになったら、今度はにんべんの二画目のまっすぐな縦の棒(?)がむずかしいことに気づく。
 手を何のささえもなしにまっすぐ動かすことの困難さにぶち当たる。富士見丘小学校の宮校長先生のことが頭に浮かぶ。もっとふだんからやっておけばよかったと思うが今さら何を言ってもしょうがない。へろへろになりながら、何とか書き終える。
 まっさらな色紙に大ちゃんが書いた「命名」の文字も、泰子さんいわく「今日はじめて練習するから」ということで、僕に負けない微妙さ。ちょっとほっとする。
 ともあれ、元気にすくすく育っていってほしいと思う優一郎くんだ。
 臨月間近でフライングステージの舞台を見に来てくれた泰子さんだが、今日はまた一段と元気そうだった。母親になってとても力強く、たくましくなったようだ。友人の元気でしあわせな姿を見るのはとてもうれしい。元気をもらって帰ってくる。


2006年01月08日(日) 隣のテレビ

 台本に向かう日。いつもは、パソコンのとなりのテレビで、お気に入りのビデオを音を消して流しっぱなしにしているのだけれど、一昨日、ブロードウェイの100年を繰り返して見ているうちに巻き戻しに失敗し(デッキが)、テープがからまって取れなくなってしまった。無理矢理テープ本体は引っ張り出したのだけれど、けっこうな長さのテープが奥の奥におあるローラーにからまっている。カッターで切ろうとしても無理、ラジオペンチで引っ張っても無理。あきらめる。
 郡司さんが編集してくれた「Wの悲劇」の「女優オンリー版」を流している。女優オンリーというか世良公則のくだりが全編なしというかんじ。さくさくとストレスなし(!)に見られるとても貴重なもの。「贋作・Wの悲劇」が思い出され、もっとああやればよかったと思うところがいっぱい。いつかまたやれたらいいなと思ったりする。
 夜中は24時間ライブの通販の番組を、これもまた音を消して点けている。こんな時間に起きている人がこんなにたくさんいるということが、妙にうれしい。


2006年01月07日(土) ふつうの一日

 この三連休の目標は台本を進めることだ。今抱えている3本にとにかく向き合う。
 家にいるとつい家事に逃避してしまうのが、悪い癖だ。今日も、洗濯をまとめてしたのだけれど、新しい柔軟剤がいい匂いで、これはまた今度と思っていた分までかたづけてしまう。
 とっても寒い日に、暖かな部屋にいるしあわせをしみじみ感じる。やることがあるというのは、なんてありがたいのだろうと思う。
 夜、物干しに出たら、ものすごい星空が広がっていた。いつもは翌日まわしにするこの日記も、今日はさっさと書いてアップしてしまうことにする。


2006年01月06日(金) 仕事始め

 仕事に出かける。駅のホームに立つと、少し湿り気のある冷たい空気が気持ちいい。
 帰りに、北千住の東急ハンズで買い物。カレンダーを探すがこれというものはなし。すっかり奥の方に移動した年賀状のコーナー。年始のご挨拶は、今年もメールで送らせてもらったのだけれど、いただいた賀状へのお返事用にカードを買う。
 いきつけのコーヒーショップでコーヒーを飲んで帰ってくる。落ち着いたいい気分。台本のアイデアがいくつも浮かぶ。どうしようか?と悩んでいたことが、これしかないというふうに具体的にみえてきた。さっそく書き留めておく。


2006年01月05日(木) 富士見丘小学校打ち合わせ

 篠原さんと二人で富士見丘小学校に打ち合わせにうかがう。
 これからの授業の進め方と、台本の構成についての確認などなど。しっかりと具体的な打ち合わせをする。
 2月24日の本番までの少ない授業時間で稽古をどう進めるか、子ども達に宿題として出すものは何か、大人がやっておくことは何か、それと、18日のオーディションについて。
 これまでの学習発表会の舞台に向けてのオーディションの進め方など、とても参考になった。どうするとみんなが納得して、楽しく、舞台に立てるか、そのことを第一に考えたい。
 あと何日というのが見えてくると、さすがに考えるすべてが現実的に見えてくる。舞台になる体育館をどう使うか。パイプ椅子を置くとどうのくらいの空間が残るか、計算もしてみた。
 75人全員が出演することが決まったけれど、出番がない子供たちはどこにいるのか、などなど、これから考えることはまだまだいっぱいある。
 ともあれ、おもしろいものになりそうなことは間違いがない。
 75人の子ども達と多くの先生方と一緒に、イカした舞台をつくっていきたいと改めて思った。

 夜、「ブロードウェイの100年」は、60年代から70年代の終わりまで。「ウエストサイドストーリー」「カンパニー」、「屋根の上のバイオリン弾き」「ヘアー」、そして「コーラスライン」「スウィーニートッド」。このあたりになると僕にはそろそろリアルタイムで知っている時代だ。
 「コーラスライン」の冒頭のダンスシーンが映し出された。「贋作・Wの悲劇」で踊ったナンバーの本場ものだ。振りをうろおぼえのまま伝えてしまったところがいくつかあって、申し訳ない。それでも「これを踊ったんだな」ととても感慨深かった。本場のダンサーたちのへなへなっぷり(古くささだけじゃなく)に、ちょっとびっくり。今風なかっこよさという点では、もしかしたら僕たちの方がイカしてるかもしれない(ところどころね。手足が短い分、しまって見えるし)。それでも、ラストの「ワン」の勢揃いでは、ほろっとしてしまう。僕が演劇を始めたきっかけ。一年の始めに、うれしいものを見られた気分。


2006年01月04日(水) 「ブロードウェイの100年」

 NHKの夜中にやっている「ブロードウェイの100年」がおもしろい。前にも一度見たものだけれど、戦前からほぼ現在までのブロードウェイミュージカルの歴史と舞台裏が、「作り手の立場から」丁寧に語られている。
 今日は「マイ・フェア・レディ」の初演まで。ジュリー・アンドリュースの舞台姿と歌声に圧倒される。
 今のミュージカルのありようにたどりつくまで、ほんとに大勢の人が思いつく限りのアイデアをしぼりだして、おもしろい舞台を作り出そうとしていたという、そのことがよくわかる。
 人種差別の問題をまっさきに取り上げていたのが舞台だということが、僕にはとても大きな事に思える。
 白人が黒人に扮するミンストレル・ショーについて知ったのは、このシリーズがきっかけだ。「ポギーとベス」、それに「南太平洋」というミュージカルの意義についても、上演された背景を知って初めてわかったことが多い。
 大衆によって支えられながらも、大衆に迎合はしない。不屈の魂が生み出したものだけが、名作となって残っていくのかもしれない。
 「娯楽作品」として取り上げられがちなミュージカルだが、舞台にこめられた熱い思い、「娯楽」とは全く別なシリアスな側面がわかるとよりいっそうおもしろい。というか、おもしろさ中心にとらえていた自分の意識をちょっと反省する。知った上で楽しんでしまい、笑い飛ばす、そのことが大事なんだと。


2006年01月03日(火) お正月ドラマ

 残り物の鮭の切り身をほぐしてチャーハンにする。今日も遅い一日の始まり。
 母親は叔母の家に出かけて留守。猫も遊びに行ってしまって、家には一人きりだ。
 部屋で仕事をかたづけるが、どうにも区切りのない一日になってしまいそうなので、夕方無理矢理出かける。乗らなくてもいいバスに乗って、お正月気分を何となく楽しんでみる。
 初詣という気分でもないので、ふらふらと本屋をのぞき、スーパーでパスタとソースを買って帰ってくる。
 一人でペンネをゆでて夕食にする。残り物を片付けなければいけないのだけれど、今日は勘弁してもらう。
 ドラマ「古畑任三郎」の初日は、かなり微妙。石坂浩二が出演ということで、往年の横溝シリーズへのオマージュのようなお話。たたりを恐れる村人たちのようすがまるっきりありえなく思えて、その時点でお話が信じられなくなってしまう。藤原竜也は、微妙すぎる役どころを、ぎりぎり成立させている。立石涼子の存在感がダントツですばらしい。
 録画しておいた「土方歳三最期の一日」を見る。なつかしい顔ぶれに会ったような気分。榎本役の片岡愛之助が、こんな人いたんだという新鮮さ。山本耕史との二人の場面が、おもしろかった。史実として「負けた」人たちを描くのは、むずかしいことだろうと思う。史実とは関係ない、ほんとにあったとは到底思えない場面が活き活きとしているのは、当然かもしれない。


2006年01月02日(月) 新年会

 目が覚めたら、階下から人の声が。寝過ごしてしまった。ばたばたと降りて、弟一家に挨拶。
 11人分の仕度の手伝いをする。弟の奥さんと台所に立つ母親が、どこかうきうきしている。
 2時過ぎに勢揃いして新年会。毎年囲むちゃぶ台が狭く感じるのは、甥っ子姪っ子たちが大きくなったせいだねと言い合う。ついでに言うと、少し大人になった彼らは毎年恒例だった泣きながらのケンカをすることもなく、大人はのんきに飲み、食べることができた。
 災難だったのはうちの猫だったかもしれない。妹夫婦の家の犬(トイプードル)と仔猫(雑種)が来たせいで居場所がなくなった。
 特に仔猫は、野良だったのを拾われてきた強者で、怖いモノ知らず、何にでも向かってくる。何でも食べる。パンも食べるらしい。どんな猫だ。
 大人の猫として、がつんとかましてやってと、しつけを頼まれたうちの猫だが、めんどくさくなったようで、外に出せと訴える。小雪まじりの外に出すのは切ないのだけれど、まあ仕方ない。行ってらっしゃいと送り出した。
 おせち料理、今年はずいぶん少なくしたつもりのはずが、それでもなかなか減っていかない。メインの手巻き寿司が一回りしたあとは、すぐ甘いモノに手が伸びて、一回戦終了。
 僕と母親を残して、みんなで近くのホームセンターに福袋を買いに出かけていった。毎年恒例の風景。
 夜は、おにぎりと鶏の唐揚げとモツ煮込みで二回戦。のんきにテレビをみながら団らん。電車で来た弟たちの終電に合わせてお開き。
 毎年いっぱいになる台所の洗い物が、今年はその都度片付けていたせいで、すっきり。それでも冷蔵庫の中は、残り物でいっぱい。これからしばらくはおせちの残りをおかずにする。これも毎年のことだ。
 何かくれとねだる猫に、特別な日だけのモンプチを開けてやる。夜中、猫は、僕の枕もとで寝ていた。ゆすっても起きない、見事な爆睡っぷり。


2006年01月01日(日) 謹賀新年

 新年、あけましておめでとうございます。

 今年もこの日記で、僕の毎日をつづっていこうと思います。
 今年で4年目のこの日記。稽古の進め具合や、台本の進捗を振り返っては、「あのときはこうだった。だったら、今度は!」と考える目当てになってきました。
 忙しさでいっぱいになったり、気持ちがどうにも揺れてしまったりしたとき、この日記は、そんな山をなんとか乗りこえてきたあかしとして、僕を助けてくれています。
 劇団のHPの「とりあえず毎日更新」用のコンテンツとして始めたものですが、いつのまにか、僕のなかでそれなりに大事なものになってきました。
 今年も、また、だらだらと、起こったこと、思ったことを書かせてもらおうと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。


<2006年1月1日>

 昼前に目が覚めて、雑煮を食べて、母親と一緒におせち料理をつくる。年々、簡素にしている正月の準備だけど、明日は弟一家、妹一家がやってくる。何もしないのも落ち着かないというかんじで、わたわたと煮物をつくる。
 お正月は昼間からお酒を飲んでいいと決めて、杏露酒のお湯割りを飲んでいる。のどにやさしい、おいしいお酒。のんきに過ごす一日。
 外は曇り模様で、猫が出入りするたびに開ける窓から、しっとりした空気が入ってきて、気持ちいい。
 帰ってきてぐーぐー寝ている猫の爪を切る。いつもは母親と二人がかりなのに、今日は、僕一人でも大人しくされるがまま。ついでに一本だけ妙に長く伸びていた眉毛(?)の白い毛も切っておく。


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