せきねしんいちの観劇&稽古日記
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室井滋が「着物を味方にしよう」と決心して、着物を着て、「着物名人」と会うという写真エッセイ。 都はるみ、フジコ・ヘミング、加藤治子といっためんめんとの着物にまつわるあれこれがじつにいきいきと語られる。 なかでも、都はるみが、舞台衣装=仕事着と割り切って着物とつきあっているスタンスが、とってもかっこいい。 自分では着たいと思わないのに、着物がらみの本を読むのは、とってもおもしろい。 かっこいいといえば、たぶん40代の男性をターゲットにした月刊誌「straight,」のグラビアに玉三郎が登場している。世界の一流品を身につけるという特集で、これがじつにかっこいい。 舞台姿でないプライベートの玉三郎の写真というのは、何年かにいちど見かけるような気がするけれど、今回は、そのなかでも特にすばらしい。 3枚だけ掲載されている、篠山紀信による舞台衣装を付けた姿の艶やかさも圧倒的だ。「天守物語」の富姫と、阿国の扮装のその写真は、それだけでもう驚くほどのオーラを発している。 玉三郎の衣装に対するこだわりは有名だけれど、鬘に対しての気の配り方もすごいと思った。玉三郎という人と役柄にぴったり合って、今まで見たことがない女性像がそこにある。歌舞伎という伝統の世界で、いつまでも「オリジナル」であることを忘れない姿勢にも、改めて感動。
友人からベビー誕生のメールをもらう。 彼と彼女は、TOGETHERというコミュニティで知り合い、結婚した。年齢は、二人の間に僕がいるような頃合い。 一番最近、出席した結婚式で、一番最近、連絡をもらったベビー誕生。こないだの舞台も見に来てくれたのだけれど、やっぱり高齢出産だよね?ということで、心配していた。母子ともに健康ということで、ほんとうによかった。 この頃、当たり前だが、親の世代の年齢になっている。子どもたちとどう接していくかということは、いつも考えてしまうことだ。 今日生まれた彼と話が出来るようになったとき、僕は、どんな人として彼に向き合うんだろう。きちんと向き合える自分でいないとなと思う。
あちこちに請求書を送る。手元の請求書を使い切ってしまって、新しく買わないと思いながら、うっかり買い忘れていた。 ずっと使っていたのと同じ「普通の」請求書を探すが、なかなか見つからない。見つかるのは、「合計請求書」や、こんな大きいのいらないというものばかり。結局、北千住の東急ハンズでようやく発見。はじめからここに来ればよかった。 季節はすっかり秋に変わった。芝居が終わると季節が変わるという話を千穐楽の青木十三雄さんとしたけど、ほんとにそのとおりだ。 半袖はもうおしまい。長袖の秋だ。 猫は秋のさかり(?)がついているのか、夜な夜な外に出かけては、朝方ぐったりして帰ってくる。 あちこちに傷をつくったり毛が剥げていたりと痛々しいが、負け犬(猫)にはなっていないよう。いつもなら、家中うろうろしている時間に、ゆすっても起きないくらい熟睡している。冬の仕度か、けづくろいにも余念がない。 僕も冬の仕度。アロハシャツをしまい、長袖のシャツを取り出す。しまいこんでいた毛布を出してベランダに干した。
芝居が終わると、急に読書欲がわき上がる。何度も読んでる本を中心に、原稿を書く合間や電車のなかで、がつがつ読んでいる。 有吉佐和子の「悪女について」「芝桜」「真砂屋お峰」、モームの「劇場」、中井英夫の「虚無への供物」、結局見に行けなかった矢代静一の「写楽考」、ずいぶん前に演じた「宮城野」も。ブックオフで見つけた推理小説を何冊も斜め読みする。 毎日しゃべるセリフがなくなってしまって口さびしいので、戯曲のセリフや新聞記事を声に出して読んでみる。 きまったセリフだけを毎日しゃべるということは、その他の言葉に対しての感覚をどこか甘くするような気がする。さびしさ解消とささやかなリハビリを兼ねての真夜中の読書。
夜、樺澤良氏と高市氏と打ち合わせ。僕の今後のことについての相談。 思ったままを話し、いろいろな意見を聞く。 とりあえず、いまやっていること、これからやろうとしていることを伝える。 来年は今年以上に、バリバリやっていこうと改めて思う。
2005年09月25日(日) |
ビデオとドキュメンタリー |
昨日に続いて、どこにも出かけない一日。録りだめしていたビデオを見る。 「女王の教室」最終回。前回がドラマのターニングポイントでクライマックスだとしたら、今回はまさに大団円、もしくはエピローグというかんじ。90分スペシャルにする必要はどこにあったんだろう。 鬼教師が実はいい先生だったというひっくり返しのあと、子ども達がみんな「先生大好き」になってしまっているのが、妙に気持ち悪い。ここまでひっくりかえってしまうのも、実は、一つの「操作」の結果なんじゃないだろうかという、意地悪な見方もしたくなってくる。そして、その「操作」のおそろしさが自覚されていないというのが、またそらおそろしい気がする。 こんなにみんながいい人に「転向」してしまうと、ドラマとしてどうよ?ということになるのだけれど、これまでの流れを考えると、これはこれでありなのかもしれない。おしまいだけを見ている僕は、その流れに乗り切れず、いまいちな気持ちが残った。 ドキュメンタリーを何本も見る。 「短い命を刻む少女〜アシュリーからの贈りもの〜」どんどん年を取っていってしまう少女のドキュメンタリー。彼女が語る言葉のつよさに感動する。去っていった友達のこと、死んでしまった同じ病気の男の子のこと。 階段から落ちて足がマヒしてしまったハムスターの世話をする彼女の姿がとてもとうといものに思える。 命の重さを考える。人生についても。
「俺は母ちゃんを殺した」 第二次大戦中、テニアン島で自分の母親を殺した男性のドキュメンタリー。敗戦までまだ一年もあるのに、どうしてそんなことになってしまったんだろう。 原爆記念日がめぐるたびに、忘れたくても忘れられないその日のことを思い出すと彼は語る。もう老齢に達している彼が、テニアン島を訪れ、「かあちゃん」と叫ぶ声は、60年という歳月を超えて、少年が母親を呼ぶ声に聞こえた。
「報道特集 B29撃墜!大戦の英雄追跡」 B29に体当たりして亡くなった青年将校の遺骨をめぐるドキュメンタリー。名誉の戦死のはずが、彼が韓国のソウル出身の韓国人だったことがわかり、遺骨が遺族のもとにいつまでも帰ることができない納得のいかなさ。 戦前の韓国での「学徒出陣」がじつは徴兵に他ならなかったこと。弟のかわりに自分が行くといった兄としての彼の姿。ここでも60年前の青年の影は、今を生きる僕らの世代よりも、ずっとくっきりしているように思えた。
風邪をひいたらしい。鼻がぐずぐずいって、目もかゆいので花粉症かもしれない。 とにかく、微熱が出て、体中が痛い。首やら腰やら、無理していたところが、もういいかな?というかんじで、痛み出したかんじ。一日寝ている。当日券で見に行こうと思っていた芝居をあきらめる。何もしないと決心して、横になっているつもりが、いつのまにか寝てしまい、起きるとずいぶんな時間が経っていて、時間だけがどんどん過ぎていってしまうよう。 ネットで見つけて注文していた本が届く。「時をかける少女」と「愛情物語」のフォトストーリー。「Wの悲劇」はすでにもっているのだけれど、「贋作・Wの悲劇」のためにいちど見ておきたかった二冊。 両方をざっと読んで、映画を思いだし、ストーリーを考える。シンプルなストーリーを重ね合わせるのはなかなか大変だ。とりあえず、「愛情物語」は、構成要素からはずそうと決心。ミュージカル場面のうそくささとかは、活かすにしても……。
夜、今回使った衣装を倉庫へ持っていく。次に使うのは、gaku-GAY-kaiだろうと思うのだけれど、それも今回はドラァグクィーンというよりは「女優」の予定なので、とりあえず嵩高い荷物を持って、両国へ。 倉庫の上にある森川くんの家に電気が点いていたので、ピンポンしてみる。 かなり驚かれたのだけれど、荷物を片付けた後、おじゃましてしまい、しばしおしゃべり。 愛猫のデリ子さんは、冬支度のせいか、すっかり本来の長毛種らしい姿に。大きな鈴をつけて歩いているので、どこかから鈴の音が聞こえるたび、映画「獄門島」で浅野ゆう子が死んでる場面を思い出す。
朝からの仕事でへろへろになる。一日なんとか終えて帰ろうと思うが、カラダがだるくてしかたないので、偶然見つけた銭湯に、飛び込んでしまう。小さな石鹸とシャンプーを買って、計450円也。 大きな湯船でいい気持ち。ゆっくりつかって、のんびり帰ってくる。 終わったなあ感、ひとしお。 夜は、しばらくおあずけにしていた資料を読み始める。役者モードは、一休み。作家としての仕事を片付けていこう。
2005年09月21日(水) |
「猫のヒゲのしくみ」千穐楽 |
千穐楽の舞台。昨日に続いての、僕のキャラの検討。今日は落ち着いてやれそうな、そんな予感。 開演前、楽屋の隅にあるシャワー、すりガラスがはまっているだけで丸見えになってしまうので使えないね、と言っていたのに、藤井くんが、トライする。 思っていたほど、透けてしまうこともなく、いあわせたみんなで「けっこうだいじょぶだね」とのんきに話したりする。 僕はその後、外に弁当を買いに出る。劇場近くのお弁当やさんは、安くてボリュームいっぱいで今回ほんとにお世話になった。 お店の前で出会った、星さん、菜葉菜ちゃんとおしゃべりしながら帰ってくる。 お風呂上がりの藤井くん、映画を見に行っている何人か、楽屋の床に横になっている人も。めいめいの過ごし方で開演を待つ。そんな時間も今日でおしまい。 いつもどおりのタイミングでメークを始める。楽だからという高揚感とは違う、いいかんじの集中ができているような気がする。 楽屋で郡司さんの改名がニュースに。新しい名前は「しいたけを(四位武尊)」だそう。みんなで「しいたけ?」「しいしい?」などといいながら盛り上がる。 さて、本番。今日は大きなミスもなく、終演。いつもよりちょっとだけ、お客様を僕の芝居で引っ張り回した、そんな満足感も少々。 終演後、ご挨拶に出て、さっこさん、あきやんにごあいさつ。 上演中から始めていた片づけをさっさと終えて、お先に失礼する。客演陣はバラシはお手伝いしなくていいということで、とても助かる。 終電で帰るつもりの打ち上げだったのだけれど、結局、朝までいてしまう。いろんな人といっぱいしゃべる。芝居が終わったから話せること。打ち合わせないでやっていた芝居の段取りについてなどなど。素敵な人たちとご一緒できたいたんだなとうれしい。 池袋駅前でみんなと別れて始発のバスを待つ。ぼーっとしたいい時間。すっかり涼しい秋の気配がうれしかった。
2005年09月20日(火) |
「猫のヒゲのしくみ」6日目 |
最初の登場の僕が、「男おばさん」には見えず、「おばさん」としか思えないということになり、どうすると「男おばさん」になるか、芝居をいじる。 男臭さを演じようとすると、宝塚の男役のようになるというのは、わかりきっているので、そうでない、演じてない「素」の状態の男らしさ=何もしないことをめざす。立ち方もついおばさんをつくってしまうのをやめる。ただ、そうすると、二度目の登場以降のキャラが全取っ替えになってしまうので、どうつないでいくか考えに考える。 おおよその見当がついたところで、とにかくやってみようと舞台に飛び出す。結果はどうだったか? ワンダラーズの沖本さんに「試行錯誤してやってるのがわかった」と言われる。たしかにそんなかんじだったかも。 いつもと違うことを夢中になってやっていたせいか、小道具の扇子をぽーんと飛ばしてしまう。やってやろうと思う気持ちが、よくない方に働いたんだと思う。 終盤の入山くんとのやりとりで、ようやく本線に戻った気分。 終演後、反省することがいっぱい。 今日は、一日早い打ち上げ。スタッフ、キャストあわせて、ほんとに大勢で乾杯した。 ワンダラーズのお二人が演じてくれたショートコント「CR絶対王様」。王様のメンバーのキャラを見事につかんでいて、素晴らしかった。 後、一回でおしまいの今回の芝居。悔いのないよう、やりきりたいと思う。
2005年09月19日(月) |
「猫のヒゲのしくみ」5日目 |
ソワレのみの公演。 今回の僕の役は、全編女装で、いちど登場した後で、早変わりというか、大急ぎの着替えがある。 劇場入りして、集合して、ダメだしをもらったあと、楽屋に降りて、すぐメイクを始める。 初日があいてしばらく経つと、毎回の公演で、どのタイミングでどこにいるかというようなことも含めて手順が決まってくるものだけれど、今回の僕は、メークのだんどりや衣装の準備や片付けまでもが、すべて段取りどおりになっている。 あわてることなく、一つ一つ、準備をしていく時間は、なぜかとても贅沢で心地がいい。 芝居のことを考えているようないないようなそんな時間が、開演に向けて積み上がっていく。 久しぶりに使っている黒のレースの手袋。いつもばたばたと使ってはしまっていたのを、今回は、しみじみと見てしまっている。 遠い昔に、初めて買った、手袋がどれだけ大事で美しく思えたかと思い出す。ただの衣装ではなく、かけがえのないささやかなきれいなものとして、身につけられているようなそんな気持ちになった。 最後の出の前、手袋をはめて、階段の下でスタンバイ。 僕の前には、フェレットのモンちゃんを抱いた笹木くんが立っている。初日の頃は緊張していたモンちゃんだが、この頃は、この時間、居眠りをしていることが多い。両方のほっぺたを同時に指でなでたら、大きく口をあけてあくびをした。初めて触るフェレット。とってもかわいい。舞台上でも、アメをなめるモンちゃんとちょっとしたやりとりをさせてもらう。 終演後、きんすけくんと、マルゴリータ嬢&早瀬くんに挨拶。さっくり別れてしまい、あとでやっぱり話がしたいなと早瀬くんを追いかけたが会えず。また改めてと思い、一人帰ってくる。
2005年09月18日(日) |
「猫のヒゲのしくみ」4日目 |
今日は札幌のレインボーマーチの当日。東京はいい天気だけれど、札幌は朝から雨模様だったそう。それでも、スタート時間にはきちんと晴れたんだそう。 ずっと参加してきた、札幌のパレード、今年は初めて、東京からかげながら応援する。 舞台は、マチネのみの公演。いっぱいのお客様。特に、上演中にいっぱい感想をしゃべってしまうお客様に助けられて(?)のノリのいい舞台。 フライングステージのお客様には、時々そういう方がいるのだけれど、客演の舞台でも遭遇するとは思わなかった。 本番中、ブーツの底がまたしても壊れてしまう。あわてて、修理するも、心配なので、ビニールテープでぐるぐる巻きにして、それ以降は演じることに。
終演後、新作の台本の取材のために、人と会う。ほんとに久しぶりに会う、その人から、忘れていた昔の話や、知らなかったことも含めて、いろいろなことを聞かせてもらう。なつかしい時間を過ごした。
2005年09月17日(土) |
「猫のヒゲのしくみ」3日目 |
朝、財布を忘れて出かけてしまい、駅から戻る。自転車が一昨日、パンクさせられていたので(バルブまで持っていくという、ひどい手口)今日は徒歩だったので、ダメージも大きい。遅刻の連絡をして、ドキドキしながら池袋まで。 今日も細かい駄目だしをもらう。もっともっと!と芝居を作り上げていくのはとてもうれしい。なぞる芝居をしてしまわないためにも、僕にはとても大事なことだ。 マチネ開演。3場、笹木さんに使いたいのだけれどとお願いした扇子を持って登場。衣装さんから、お借りしていたまま楽屋でしか使っていなかったのを、初めて持って出る。ついこのあいだまでは、何か手に持って歩くなんてとんでもないかんじだったのだけれど、もうだいじょうぶ。芝居のじゃまにならないよう、気を使いながら、扇いでみる。 10場のセリフで、初めて噛んでしまう。椅子にすわって、まとまったセリフをしゃべwる場面。いつもは足を組んでいるところを、ま、いいかとそのままでしゃべったら、おかしくなってしまった。細かい手順が気持ちに反映してしまっている、今の状態がよくわかった。終演後、どうしたらいいかと気持ちと動きの整理と確認をする。 終演後、小林くんにあいさつ。ひさしぶりだ。gaku-GAY-kaiのことなどを少しおしゃべり。そのままお弁当を買いにいったら、宇田くんにばったり。買い物のついでに来てみてくれたそう。郡司くんとも一緒にしばらくおしゃべり。 「夢の中へ」上映中の舞台の横を通って楽屋へ。一度メークを落としてしまったので、映画が終わるまでにメークを終わらせないといけない。 どうやってすごそうかと思っていた時間が、今日もあっという間に過ぎていく。 男子楽屋の面々は、床に横になって眠っている人が数人。土井さんが、「タコ部屋みたいですね」と言っていた。たしかに。でも、のんきに昼寝できる楽屋はいい楽屋なんじゃないかと思う。制作スタッフのみなさんに、細かく気を遣ってもらって、ほんとうに気持ちよく芝居をさせてもらっている。 ソワレ開演。昼に続いてビデオカメラが入っているということで、若干、固い雰囲気の芝居になっていたかもしれない。 僕は、休憩時間中に笹木さんに言われた、新しい段取りをやってみる。10場で、一度多く振り返る芝居。稽古の始めに、さっさとやってしまって、笹木さんに「急がないでやってほしい」と言われた場面。その後も、セリフが増え、間を取るように言われ、いいのかしらと思うようなたっぷりした場面になっている。こんな芝居、今までしたことがない。今日も、勇気を出して、思い切りの大芝居、ドレスの裾のさばき付き。新しい段取りはうまくいったようでほっとする。
2005年09月16日(金) |
「猫のヒゲのしくみ」2日目 |
細かい駄目だしをもらってから、映画の開映を待って、準備開始。2日目の本番。 開演前からメークをして、衣装の準備。上演中も、着替えた服を片付けたり、メークを直したりしていると、どんどん時間が経っていく。稽古の初めの頃には考えられなかったくらい、時間がどんどん過ぎて、あっというまに終演だ。 ずーっと女装している役はひさしぶりで、ネックレスやイヤリング、手袋の「だんどり」をいつも考えている。 昨日の初日で片方落ちてしまったイヤリング、今日は衣装さんから両面テープをいただいて、がっちり留めて、ずいぶんラクになった。 今日は、ドレスのすそを一度も踏むことがなかった。当たり前のことだけれど、芝居しながら、さりげなく(?)さばくことに成功したのはとてもうれしい。 そんなこんなで、芝居は今日も無事に終演。2日落ちすることもなく、いいかんじだった。 終演後、ますだいっこうちゃんたちにご挨拶。帰りのバスでは、爆睡。今朝までの疲れが、どかんときたかんじ。飲んでもいないのに、へろへろになって家にたどりつく。
2005年09月15日(木) |
「猫のヒゲのしくみ」初日 |
第二回のゲネプロ。転換のだんどりがスムーズになったりしたせいで、昨日よりも上演時間が短くなった。きっと、どんどんテンポ良く、短くなっていくんだろうなと思う。 ゲネの後、食事。17時からが映画「夢の中へ」の上映。開映してから、そっと楽屋に戻って、仕度をして開演を待つ。 初日開演。 シアターグリーン、メインホールのこけら落としの舞台。満員のお客様といっしょに2時間を走りきる。 当たり前の感想だけれども、やっぱり芝居はおもしろいと改めて思う。 終演後、大急ぎで着替えを済ませて、ご挨拶に出る。見に来てくれたまみーやウダくん、アルピーナさん、エスムラルダさんたちと、挨拶。どうもありがとう。 ロビーで初日の乾杯。シアターグリーン、オーナーのご住職さんからご挨拶をいただく。楽しく飲み、しゃべり、さくっと解散。 僕は、24時からの録音の仕事のために新橋まで。月曜日にロケをした番組のナレーション録り。春に続いて、2度目の新番組紹介。韓流、華流のスターさんの名前に苦労しながら、なんとか3時過ぎに終了。家まで車で送ってもらう。 4時半に帰宅。家の前に出てきた猫を拾い上げて、ようやく横になる。夏生ゆうなさんから差し入れにいただいた足すっきりシート「休足時間」をふくらはぎにはる。ずっとブーツを履いているからと心配してくれてのプレゼントだ。ありがとうございます。いいにおいで、ほんとに足の疲れがとれるよう。猫と同じ枕ですとんと眠ってしまう。
2005年09月14日(水) |
「猫のヒゲのしくみ」仕込み・ゲネプロ |
一回目のゲネプロ。このホールの一番の特徴は、声の戻りの少なさかもしれない。ボックス型の劇場だから、きっと声の残響が長いんじゃないかと思っていたら、そんなこと全然なかった。壁や客席に吸われているのか、こころもとないくらいに声が返ってこない。それでも、一番上の客席でもきちんと声は聞こえているんだそう。ちょっと不思議なかんじ。声をはりすぎないように、それでも、自分でしゃべっているという実感が持てるような声の調子をさぐっていく。
2005年09月13日(火) |
「猫のヒゲのしくみ」仕込み |
昨日の続きの場当たりとテクリハの一日。僕にとっての一番の課題は、厚底ブーツでの階段ののぼりおり。メークを全部済ませて、ドレスのすそのさばきや、ウィッグのあつかいやら、現場で稽古しながら、だんだんカラダになじませていく。 転換のだんどりや、出番のないときにいる舞台裏の定位置も、だんだんなじませていく。今日はそんな時間のつみかさね。
2005年09月12日(月) |
「猫のヒゲのしくみ」劇場入り |
朝から、ロケの仕事。春のスカパーの新番組紹介番組のナレーションに続いて、今回はちょっぴり画面にも出演することになった。 新大久保の韓遊館にて。韓流スターのグッズやビデオ、CDがならぶなか、なつかしいチョ・ソンモの「不滅の愛」がガム付きのDVDになっているのを発見(DVD付きのガムか?)。即ゲット。イビョン・ホン主演でロケ地は札幌の素敵なMV。 焼肉屋さんでお昼ご飯をたべた後(豆腐チゲがおいしかった)、横浜の中華街へ。台湾薬膳料理の「青葉」さんでロケ、第二弾。 終了後、海老と百合の芽の炒め物やビーフンや空芯菜の炒め物をとってもおいしくいただく。お店のみなさんもとてもあたたかいみなさんばかりで、とても気持ちよく撮影ができた。どうもありがとうございました。 その後、中華街の路上のロケをして、ようやくアップ。 一路東京へ戻る。 今日は、劇場入りの日。予定よりも遅くなって申し訳ないと思いながら、劇場へ。 すっかり仕込みの終わったシアターグリーン、メインホール。わあ、こんな劇場なんだとまずはびっくり。昔のシアターグリーンの面影は全くない。 高い天井。どこからでもみやすそうな急傾斜の客席。もちろんなにもかもが新品のぴかぴかだ。 今日は、場当たりをしたところでおしまい。 明日から10日間のおつきあい。劇場といっしょにどんな芝居ができていくのかとっても楽しみだ。 まみーがエプロンを届けてくれた。「きょうの猫村さん」とおそろいのピンク。どうもありがとう。
2005年09月11日(日) |
「猫のヒゲのしくみ」稽古 |
朝方、ようやく録画に成功した「女王の教室」を見る。最終回直前スペシャルのこれまでのダイジェストと、昨日の放送分。鬼のような教師を演ずる天海祐希が、実にいい。ちゃんと見たのがいいタイミングで、鬼教師がただの鬼ではなかった?というあたり。それにしても、天海祐希の動じなさはどうだろう? 鬼教師という仮面を完璧に身につけていて、ちょっとののゆるみもない。お話もセリフもなかなかいいのだけれど、一番の見所はこの天海祐希の芝居だと思う。来週の最終回が楽しみだ。
そして、今日は、衆議院選挙投票日。朝から近くの投票所へ出かける。 洗濯をして、宅急便を受け取り、母親と二人で朝ご飯。 いい天気の日曜日。
稽古場での最後の稽古。 アップを兼ねた小返しをしてから、まず通す。途中で、外からものすごい音がした。最初、流れている「フィンランディア」の太鼓の音かと思ったのだけれど、とんでもない。雷の音だった。地下一階の稽古場にも、ものすごい音量で届いた雷の音。外ではいったいどんなだったんだろう? 食事の時間に、笹木さんと話して、「カット部分」の提案をいろいろ。夜の稽古が始まってから、役者さんたちが銘々に「ここはどう?」という提案をして、細かく、時にはばっさりとカットされていく。 夜の通し稽古は、そのカット台本をもとに。カットしたからというだけでなく、芝居のテンポもよくなって、上演時間が短くなった。 荷物をまとめて、トラックに積んでもらって、明日は、劇場入り。 さあ、どうなるか? 楽しみ、楽しみ! ご来場をお待ちしていますね!!
2005年09月10日(土) |
「猫のヒゲのしくみ」稽古 |
頭からの小返しをていねいに。巨大なウィッグをかぶるタイミングが微妙に変化。とにかく大きいので、邪魔にならないよう、細かく気をつかう。 星さんのキャラについて、笹木さんが「一緒にいると落ち着かない人」とダメだしをした。その後の星さんの「危ない人」に見る見るなってしまったかんじが、とんでもなかった。すごい女優さんなんだと感動した。 夜は通し稽古。昼間に続いて、ドレスのさばきと歩くときのバランスに、とにかく慣れる。 終了後、笹木さんからもらったダメ出しが、とても新鮮だった。 もうできてしまったことをなぞんるじゃなく、まだできてないことを、どうしようかと考えることができるのはなんて楽しいんだろう。もちろん、それは、他のところが「もうダイジョブ」というレベルに達してるんじゃないかな?という安心感から来るのだけれど。 駅前で、途中まで一緒だった郡司さん、土井さん、青木さんが飲みに行くというのを、失礼する。土日の終電はどうしてこんなに早いんだろう。 ホームで星さんとばったり会う。ちょっとおしゃべりできて、なんだかとってもうれしかった。
2005年09月09日(金) |
「猫のヒゲのしくみ」稽古 |
夕方から稽古場入り。カット部分を演出助手の寺谷さんから聞いて、小返しの稽古。続いて衣装を着込んでの通し稽古。あわただしい気分。 僕はメイクもしないと、本当の意味での衣装をつけてということにならないので(そういう役だから)、すっぴんにつけまつげだけをとりあえずつけてみた。 変更しようと思っていたところをそのまんまやってしまったりして、僕的には微妙に後悔が残る通し稽古。段取りを変えたせいで、ドレスの裾を踏んだりもした。 終了後、ダメだし。いくつかのポイントをチェックされる。ここを通らないといけないという通過点が、また一つ見えてきた。僕が劇中たどる道筋がだんだんはっきり太くなってきたような、自信をもってその道を歩けるような、そんな印象。
2005年09月08日(木) |
「猫のヒゲのしくみ」稽古 |
まずは、細かいカットの後、通し稽古。演出助手の二人が代役をやってくれて、いいテンポで終わりまでいけた。 二度目の通しは、衣装メイクをしっかりしてから。この間の撮影以来、靴は履いていたのだけれど、ドレスの裾をさばくことと、つけまつげをしているということが、まだまだ集中のさまたげになるかんじ。 ウィッグの処理や早変わりの手順など、段取りを確認する稽古になったと思う。 撮影した映像とオープニングCGが届いて、芝居と一緒に上映。こんな映像になったんだと新鮮な感動。 通し稽古2回というのは、やっぱりハード。でも、心配なことが今日もいろいろクリアになって、すっきりと軽い、いい気分。
2005年09月07日(水) |
「猫のヒゲのしくみ」稽古 |
台風の影響で、朝からの予定だった富士見丘小学校の授業が中止になった。2学期最初の授業だったのに、残念。2週連続の授業の計画も変更になりそう。 稽古は、大胆なカット台本をもとに冒頭を稽古。しゃべり慣れたセリフがないことよりも、舞台上にいる間に積み重なっていく気持ちのよりどころがなくなって、ややとまどう。何度か稽古をして、どうにかなるかなと思ったのだけれど、笹木さんから、やっぱり元に戻しましょうとの提案。そのあとの、元の台本での稽古は、人物の気持ちの流れが鮮明になって、昨日よりぐっとよくなった気がした。 その後は、立ち位置や、動きをていねいにつくっていく稽古。しゃべっていないで場面にいる時、リアクションをしすぎてうるさくならないよう気をつける。それにしても「いつづける」というのは、なかなか疲れることだと実感。話をずっと聞いているとリアクションがうるさくなるし、かといって、集中していないとその場からいなくなってしまうような気になる。いつも緊張感を持って「アップ」しているようなかんじ。僕は、ずっとしゃべり続けている方がラクなカラダなんだと気がついておかしかった。 買い物に出た夜の道から、細い細い月を見上げる。台風がいってしまったあとの空は、早い雲の流れのせいかいつもとは違う不思議な色に染まっていた。
2005年09月06日(火) |
「猫のヒゲのしくみ」稽古 |
3日連続の大ポカというか、とどめのような出来事。今日はお金を落とした。財布に畳んでいれていた一万円札を、駅で切符を買うときか、自販機でジュースを買ったときに、落としたらしい。かなり落ち込む。何やってるんだろう? いっぱいになるにもほどがあると情けない。 稽古では、笹木さんに「デフォルメした演技」を要求される。はじめに、自分の役について語った。自分が話すことも、人の話を聞くのもとても新鮮。 その後の稽古では、段取りや動きを無視して、思うとおりにやってみた。一度羽目を外してみたかったところを、まずはやれて気持ちよかったというのが、第1の発見。それでも、ここは違うよね?というところもやりながらわかったりしたのが、第2の発見。 ブーツを直すための接着剤を買いに駅前まで、出かける。2液混合タイプをようやくみつけて、早速修理してみる。うまく治ってくれるといいのだけれど。 最後は通し稽古。さっきやった場面、ひさしぶりな場面を含め、全体がわかった気分。自分の出ていないところも含めて。 劇中で歌う「フィンランディア」。このところ、どうも自信を持って歌えなかったのだけれど、今日で復活できた気がする。役の心配がなくなったからじゃないかと思う。どうしていいかわからない心配なところは、もうなくなって、あとはただどうやるかってことだけに専念すればいい。もういっぱいいっぱいになる理由はないね。落ち着け自分。
2005年09月05日(月) |
「猫のヒゲのしくみ」稽古 |
雨降りなので、バスで出かけることにする。停留所まで歩き、ちょうどいいタイミングで来たバスに乗り込んだ。小銭の用意をしないととバッグを開けたら、財布を忘れてきたことに気がつく。運転手さんに事情を話して、すぐ次の停留所で降ろしてもらう。雨のなか家まで戻りながらぐったりする。昨日に続いて、何やってんだと情けない。本番前のいっぱいなかんじがまたしても来たんだろうか? 稽古は、ラスト近い場面。僕には、まとまったセリフのある場面、これまで読んだだけではなかなかわからなくて、稽古していても、これでいいんだろうかと不安なまま演じていたところだ。 場面全体をていねいに組み立てて、どういう気持ちなのか、納得して演じられるようになった。その上でどうやっていくか、これからが楽しみだ。 夏生ゆうなさんや、衣装さん、制作のみなさんが大勢来てくれたにぎやかな稽古場。なんだか楽しくなって、芝居もあったかく、どんどんはずんでいった。 最後にやった場面で、バタバタと走り回っているうち、履いていた厚底ブーツの底が外れてしまった。あらら、どうしよう。ともあれ、壊れたのが本番中でなくてよかった。どうやって直そうか。似た形のブーツはあったけ?と、対応を考える。
2005年09月04日(日) |
「猫のヒゲのしくみ」稽古 |
こんなにぐっすり眠ったのは久しぶりというくらい、眠ってしまう。しかも、家を出る時間ぎりぎりに目が覚める。パソコンに向かって原稿を書いていたのだけれど、気がついたら、ちゃんと横になって寝てしまっていた。 制作の竹内さんから頼まれていた、ネット用の稽古日記も送れていないまま、ばたばたと飛び出す。 電車の中で書き上げて送ろうと、パソコンを取り出そうとしたら、パソコンを持ってくるのを忘れていた。がっかり。何やってるんだ。 すっかり何もすることがなくなった電車の中、台本を読み、そのあと、このあいだゲットした映画「プリシラ」のノベライズの文庫本を取り出す。稽古のはじめの頃、笹木さんから、僕の役は「プリシラ」のテレンス・スタンプがイメージだと聞いた。 芝居の中の僕は、ずいぶん彼とは遠いのだけれど、それでも、ブックオフでこの本を見つけたとき、やっぱり買っておこうと思ったんだった。 ノベライズしているのは、エミ・エレオノーラ。このあいだ、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」で、イツァークを演じていた。映画では語られない背景や思いに、ぐんぐん立ち入って書いている。この手のノベライズは、「それは違うでしょ?」とつっこみたくなるようなものが多くて、いつもは敬遠しているのだけれど、この「プリシラ」に関しては、書き込まれた部分が違和感なく映画のセリフや場面にとけ込んでいる。少し元気になって稽古場に向かう。 今日の稽古は、舞台にいつもあるソファの位置が変わったせいで、あちこちで位置や動きが変わった。これまでの稽古でできあがっていた場面をつくりなおすかんじ。 昨日の撮影のために持ってきたブーツを、今日から稽古場で履いている。高さがあるので、歩き慣れないといけない。それに、視線が全然変わるので、みなさんと芝居するためにも、きっちりはき続けることにする。 食事休憩の時間に、郡司くんと星さんと、近くのそばやさんに行く。星さんの仕事の話「愛のソレア」のことなどを、二人でルンルン聞かせていただく。 夜は通し稽古。頭から流れを確認しながら。自分の中での気持ちの変化を一つ一つさぐって、衣装のだんどりをイメージしながら、演じていく。 帰り道、歩いていたら、雨音がするのに、雨が降ってこない。しばらくしたら、道の左半分だけがどんどん濡れていく。雨に追いかけられているかんじだ。こんなのはじめてとおもしろがっていたら、そのうちに、ざーっと降り出した。ものすごい雨。カサをさしてもびしょぬれだ。 たどりついた駅のホームも風のせいでどこに立っていても濡れてしまう。時刻表のかげで休んでいたら、ホームの屋根の隙間から雨漏りし始めて、見る見るうちに滝のようになった。とんでもないいきおい。階段にざあざあと落ちて、下へ下へと流れていく雨は、なんだかものすごかった。 郡司くん、星さん、藤井くんたちの一行と合流。 電車が止まってたらどうしようかと思ったのだけれど、東武線は何事もなし。最寄り駅を降りたら、ほとんど雨は止んでいた。さっきの大雨がウソのよう。
2005年09月03日(土) |
「猫のヒゲのしくみ」撮影 |
「一人女装」(自分でメイクする)も「野外女装」(女装して外に出る)も、ひさしぶりなので、ドキドキしながら、稽古場でメイク。 なんとかできあがって、公園まで歩く。気分はパレード。ドレスのすそを引いて歩きながら、だんだん、この役を演じる度胸が足し算されていく。 カット毎に細かく撮っていくやり方でカメラに向かうのは、ほんとにひさしぶり。舞台とは全然勝手が違うので、ややとまどう。星さんや、藤井くん、土井さんや沖本さんといった方々の、カメラへの向き合い方のみごとさに感動する。 撮影場所は、木の陰の半日陰の中。それでも、昼日中なので、さすがに暑い。見る見る汗をかいてしまい、いろんな方に扇いでもらったり、汗を拭いてもらったりする。 木がいっぱいあるだけあって、セミがとんでもなくうるさい。遠くで鳴いてるとかいうのではなく、すぐそこの、それこそ、手の届くところでミンミン鳴いているのが見えている。 出番のない時に、木陰で休んでいたら、上から液体が降ってきた。セミのおしっこだ。土井さんのペットボトルに入ったりして、初めのうちは大騒ぎになったが、あんまりしょっちゅうなので、ついにみんな慣れっこになってしまう。 近所のおじいちゃん、おばあちゃんや、子どもたちに見守られ、散歩に来ていたポメラニアンのアトムくんと遊び(星さんと一緒に)、なんだか今日一日がとっても楽しい野外イベントのようだった。 公園でのロケが終わったあとは、スタジオに戻って、室内のシーンを撮影して、ナレーションを録った。今日一日で終わるんだろうかと心配だった分量を、予定通り終えて、最後には、稽古をすることもできた。 充実した一日。 男性陣は、鼻の頭を中心にみんなうっすらと日焼け。僕は、分厚いメイクのおかげでまるで無事。
2005年09月02日(金) |
「猫のヒゲのしくみ」稽古 |
仕事先から稽古場へ。一日いなかっただけで、ほんとにひさしぶりなかんじと、星さんに言われる。ほんとにそうだ。不思議なかんじ。 劇中映画の撮影を、台風が来そうだということで、明日全部やってしまうことになった。あと何日か先だと聞いていたので、あわてる。買い物も準備も、明日の土曜にやろうと思っていた。 とにかく、仕度をしないといけない。 つけまつげ用の接着剤がないかもしれないと思ったので、帰りに探すことに。郡司さんにおつきあいしてもらって、一緒に駅前の東急ストアの化粧品売り場に駆け込んで、「つけまつげ用のノリありますか?」と店員さんに聞く。なぜか必死になってしまっていて、おかしかった。夜の10時過ぎにつけまつげのノリを探す男二人。かなりあやしい。でも、見つからない。 郡司さんと別れて、渋谷のドンキホーテに寄ることにする。明日の朝、大荷物をひきながら渋谷の街を歩くよりは、今日中に見つけた方がいい。 ドンキホーテで、無事発見。ほっとした。帰り、渋谷の夜の街を久しぶりに歩いた。 家に帰って、準備開始。まずは衣装とウィッグとメイク用品の確認。計画していたビーズで作った涙のようなつけまつげ(辻村ジュサブローの「王女メディア」のようなやつ)は、今からだと間に合わないのと、早変わりには向かないということで途中まで作ったものを断念する。 テレビで「ニューシネマパラダイス」をやっているのに気がついて見始めてしまう。何度も見ている映画なのに、今日もまた見てしまう。映画にまつわる芝居の稽古中に見るには、ほんとにいい映画。ラストはやっぱり泣けてくる。 気がついたら、5時過ぎ。ウィッグに羽根をつけるのに苦労して、ばたばたと出かける時間になってしまった。それでも、なかなかいいかんじにできあがったウィッグに満足する。
喉の調子が悪い。風邪だろうか? 薬を飲んで、仕事に向かう。一日中、仕事。へとへとになる。稽古をしているときとは、全然違う疲れ方。 帰ってから、昨日もらった台本を製本してみる。いつもはあまりやったことのない、きっちりした本の形に。 これまで、自分の登場する場面を中心に読んでいたのを、あらためて、全体を素直に読みなおしてみる。気がつくことがいっぱい。僕の役がしなくちゃいけないことと、存在にしかたについて考える。
テレンス・ラティガンの戯曲をこのところ、何本も読んでいる。「銘々のテーブル」「椿姫」「父と子」「ブラウニング版」「深く青い海」を一気に読む、一人の劇作家の作品を、こんなにまとめて読むのはひさしぶり。 ラティガンは、戦前から戦後にかけてのイギリスの劇作家。ウェストエンドに作品が3本同時に上演されていたこともあるという人。ただ、戦後イギリスでおこった新しい演劇の波(「怒れる若者たち」)の台頭で、すっかり過去の人になってしまっている。 作品も何本が翻訳されたものを読んでいたのだけれど、正直、あまり興味がもてなかった。客間が舞台で上流or中流の紳士淑女がおしゃれな会話をつづけてる。ノエル・カワードのような諧謔や毒もなく、サマセット・モームのような見事にたくまれた作劇術もない。 でも、彼はゲイの劇作家。ずいぶん前に読んでそれきりにしていたのを、あらためて読み返すとなかなかおもしろいことに気がついた。そこここにゲイテイストとはいえないまでも、やっぱりゲイならではかもしれないと思えるところが見えてきた。 まず、パロディというか、名作をモチーフにした作品がいっぱいある。「椿姫」「トスカ」などなど、オリジナルを換骨奪胎して作り上げるという感覚は、ゲイならではかもしれない。ていうか、僕もそうだからか? 別れた男女が、再会してああだこうだと話をするというのも、僕がよく書いてる話のようで身近?なかんじ。 読んではみたものの、原稿はまとまらない。
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