せきねしんいちの観劇&稽古日記
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昨日に続いてMOMOでの稽古。 朝方、当日パンフの版下をつくり、高市氏に送るが、またしてもというかんじで、送信不能になってしまう。 北千住のネットカフェでなんとか送ることに成功。 忘れて出てきてしまった台本を受け取りに途中まで戻り、またしても大遅刻しての稽古場入り。 夜、通してみる。思ってたよりも早く終わる。二時間十五分くらいかかったらどうしようかと実は思っていた。 荷物をまた車に積んで、明日は小屋入り。 >>>初日まで3日!
中野のMOMOの稽古場で稽古。荷物を四階の稽古場まで運び上げる。 台本を打ち出すつもりがプリンターを忘れ、高円寺まで打ち出しに行く。 そして、書き直し、書き続け、夕方稽古場へ。 稽古する。 衣装合わせも。 見えてくるものいっぱい。 >>>初日まで4日!
早めに家を出る。 三茶のマックでパソコンに向かう。 5時半にすべてが見える。 これまでにないくらいはっきりと。 泣きそうになる。みんながちゃんと生きている。 タクシーで稽古場へ向かう。 さくっと読んでおしまいにしかならない時間。 ノグとマミーと早瀬くんは、車で亀戸の倉庫へ。 明日からはモモの稽古場。
>>>初日まで5日!
早めに阿佐ヶ谷に向かって、台本に向かうことに。 もとい電車を降り損なって、荻窪のマックに。 あきやんとりょうちゃんの夜の場面を書く。 予定の倍の分量になる。 それでも、ちょっと手応えのある台詞が書けたような気がする。 大急ぎで稽古場へ。 すぐに読んでもらう。 あきやんが長台詞で、声がつまってしまって、びっくりする。 この台詞のもとは、前にあきやんと話したことを少しだけベースにしている。 「大丈夫?」と尋ねると、「今だけだから」と言われた。 今日はあきやんの日と決めて、何度か読んでもらう。 相手役の良ちゃんの代役はのぐ。 真奈美ちゃん関連のところを、頭から小返し。 ベースになる気持が定まったのかもしれない、芯が見えてきた気がする。 長野の仕事からとんぼ返りで良ちゃんが滑り込みセーフ。 台本を渡して、目を通してもらうまもなく、読み合わせをしてもらう。 のぐとは全然違うかんじ。でも、間違いなく、オカマの子になってる。 あきやんが妙にてれくさそうにしてるのがおかしかった。 のぐが相手のときは平気だったのになぜ? 帰り、亜弓ちゃんと音響のうち合わせ。 にしやんも一緒にご飯を食べながら。 曲を聴かせてもらう。なかなかいいかんじ。 芝居のことなどいろいろしゃべる。 電車の中であきやん、良ちゃん、高市氏から留守電とメール。 駅で降りたあと、銀行のキャッシュコーナーの影にしゃがんで折り返す。 制作がらみのいろいろのうち合わせと、りょうちゃんには台詞の説明。
>>>初日まで6日!
朝、また地震。それからイラクでの拉致のニュース。 また今日もざわざわした一日だ。
「ヒトノカケラ」@新国立劇場 出掛ける時間を間違えてばたばたする。武蔵野線、京浜東北、埼京線とのりついで、京王新線が送れていたおかげで開演にまにあう。 開演前、篠原さんと憐さんとエントランスでご挨拶。 憐さんに「太ったなあ」と言われる。そのとおり。 三階建ての舞台、ピットを半分だけ使った、急傾斜の客席。 スクリーンをうまくつかった、平面的な舞台。 芝居は、最初どうなることかと思ったんだけど、やっぱり篠原さんの筆力にもっていかれたかんじ。 それから、キムラ緑子さんの演技も。 この理屈いっぱい、状況説明いっぱいのお話が、結局は、シンプルな愛情の物語に落とし込まれていく。 フォスター里親制度の話、自殺しないために里親になっているという聡子の台詞。 クローンだと知った息子が問いつめた結果、人格崩壊を起こしてしまった聡子が、息子に向かって父親の名を呼ぶ場面。 何度も泣かされてしまう。 コンタさんははまり役のような、違う人で見たかったような微妙なかんじ。 橘ユキ子さんは、やりすぎることを要求されるこの役を、きっちり演じている。 若林誠くんは、最初どうなることやらだったのだけれど、いつのまにか、いいんじゃないのと思えてくる。最後の場面のいたずら電話に対応しているところまで含めて、葛藤はするものの、変わらないというところに、「いい息子だねえ」という気がとってもしてきた。 緑子さんは、実にいい芝居をしている。KKSという架空の病気の症状を体で表現するところが見事としか言えない。 気持とうらはらな体というのに、僕は弱いのだと思うけれど、そのうちに気持が体からも離れていってしまう切なさまでもにじませていたと思う。 終幕は、登場人物のハッピーバースデーで暗転。センチメンタルな音楽で終わらないところに演出のセンスが見えた。
バスで渋谷、そして三茶へ。 考えることがいっぱい。 そして、台本に向かう。 全然違うものをやっているんだという確信と、僕にしか書けないものを書くんだというプライドを取り戻そう。 「ヒトノカケラ」は、篠原久美子にしか書けないものに間違いない。 僕にしか書けないものは何だろう?
稽古場に久し振りに早く入り、衣装の話。 昨日の打ち直しをプリントアウト。 さっこさんとさやかちゃんが来てくれて、稽古は小返し。 りょうちゃんがいないので、できるところが少ない。 流れているところをていねいに。 で、時間まで。 駅までの道、のぐと話す。「一週間前の稽古じゃないよね」 たしかにね。もうしわけない。 渋谷でさやかちゃんと別れ、早瀬君と新宿まで。 ウェンディーズでお茶しながら、いろいろ話す。 わからないところはどことたずねる。 話しながら見えてくることがいっぱい。 少し明るくなって別れる。 北千住で勝田氏に電話。 もろもろの連絡と相談。そして、励まされる。 夜中、りょうちゃん、あきやん、にしやんにメール。 よーし、やってやると決意新た。 気持は前向き。
>>>初日まで7日!
雨降り。 稽古場に行くまでに傘を二本なくす。 北千住と三軒茶屋でそれぞれ電車の中に置いたまんま下りてしまった。 新しく持っていった場面を読んで、立ってみる。 あきやんの役の複雑さをどうしていいものか考える。 僕のなかで「役割」として考えている人物像が、生身の人間としてどうなのかという質問をあきやんはぶつけてくれる。 女心は得意なはずと思っていたのに、自分の身勝手さをつきつけられたようなかんじ。 今回、ゲイの心理よりもノンケの心理を描くことがいつもより多い芝居になっている。 ゲイでもノンケでも同じ人間と思って描いていたはずが、どこかで僕にはゲイじゃない人を描くのは、とっても想像力のいることだったのだと思い知らされている。 役の人物の気持ちになって書くということはいつも意識していたことのはずなのに、「本当にできてるのかい?」と問いかける機会が今回はたくさんある。 もうひと息。
舞台で使う椅子をマミーが高円寺で見付けてきてくれた。 外にほったらかしてあったのを、その会社に直談判にいって、もらってきたそうだ。 ありがとう。
>>>初日まで8日!
大遅刻してけいこ場へ。 地下鉄で、新潟で地震があったとのアナウンスを聞く。 その後、携帯がこれっぽっちもつながらない。 いつもはつながっているものがつながらないとこんなに不安になるんだと気がつく。 新潟の人たちはどれだけ心細い思いをしているだろうと思い、またざわざわとした気持になる。 けいこ場では、みんなが頭からの小返しをしてくれていた。 りょうちゃんの専属カメラウーマンのゆうちゃんも来てくれている。 新しく持っていった場面を読んで、すぐに立ってもらう。 初めて全員が揃う場面。 アガサ・クリスティのミステリー(例えば「ナイル殺人事件」)の大詰めみたいなかんじだ。 ここまで芝居が進んでくると、みんなが一人残らず「くせ者」になって存在している。 その豪華な(?)かんじがとても楽しい。 途中で挿入した新しい場面の稽古を一段落して、さっきの続きに戻る。 僕も、役者として参加。 昨日にくらべて、流れがとってもスムーズになっている。 みんなが自分に芝居をもってこないようになっていることに気がつく。 役者と役者の間に芝居があるようになってきている。 早めに終わるはずが結局時間いっぱいまで。 三茶までの道をおしゃべりしながら歩く。 酒部は白木屋へ、残りは地下鉄へ。 地震の影響でまだ地下鉄はダイヤが乱れているそう。 永田町まであきやんと一緒。昨日のしいたけ部のカラオケの話を聞く。 別れて、大手町で千代田線に乗り換え、北千住までをショートカット。 のはずが、反対方向に乗ってしまう。国会議事堂前まできて、ようやく気がつく。ショートカットの意味なし。 千代田線のホームで腹ぺこだったので、自販機で缶コーヒーを買って、缶を取ろうとしてかがんで起きあがったときに、間違えたような気がする。両方同時に電車が来たしね。 がっくりするが、乗り換えの合間に、さっこちゃんに電話して、舞台美術のうち合わせ。 森川くんに「サニーサイドウォーカー」を見にいった後、ご挨拶できないまま、帰ってきてしまったことと、「にじたまり」に行けなかったことのお詫びの電話をする。 そして、今度はちゃんと左右を確認して電車に乗った。 東武線は、ダイヤがぐちゃぐちゃ。通勤準急が区間準急に変更になってくれたおかげで、それでもスムーズに帰ってくる。
>>>初日まで11日!
午後、新宿で大阪の人権博物館の松永さんと会い、うち合わせ。 いろいろ話ながら、フライングステージのこれまでを振り返る。 夜は稽古。 今日も5場までを通してみることに。 「もっとやさしい人にしてほしい」と昨日ダメだししたりょうちゃんがいいかんじになった。 にしやんが毎回違う芝居をしてみてるのがおもしろい。相手をしているのぐの体がそれにあわせてどんどん自由になってるのがわかる。 全体がいいテンポで運んだ。 もうひとがんばりだ。 帰り、しいたけ部は、三茶でカラオケに向かった。 僕はさくさく帰ってくる。 電車の中で、りょうちゃんから、今放送中の「大奥」の予告編で、家光が「わしは男狂いじゃ」と叫んでると聞く。なんかすごいなあ。 ずっと見逃してるけど、次回は見てみようかと思う。
朝まで起きて台本に向かう。 もうひと山越えないと。見えてる終わりにどうつなげるか。 次から次へといろんなことが浮かび、一本にまとまらない。 いつもはソファで寝ている猫は、出ていったきり帰ってこない。 眠気を覚ますための散歩ついでに探してみるが見あたらない。 空はすっかり冬の星座でいっぱいだ。 >>>初日まで12日!
6時前から風が強くなる。小雨も降り出した。 とっくに台風は通り過ぎたはずなのに、これまた不思議なかんじ。 雨と風のなか結局帰ってこなかった猫は朝帰り。 それほど濡れそぼってはいないものの、機嫌悪そうにみづくろいをしている。
夕方から稽古。 4場までを通してみる。 流れが見えてきたかんじ。 のぐがていねいな芝居をしている。 これまで見たことのない「引き出し」を開けているのかもしれない。 にしやんが二段の腕前の剣玉を披露。みょうにおかしい。 ダメ出しをしているうちに時間になってしまい、ばたばたと帰り支度。 帰り、ずっと気になっていたフランス料理のテイクアウトのお店で、シュークリームとプリンを買って帰る。 みんなもそれぞれお買い物。 母親はプリンの方が気に入ったらしい。とろっとしてとてもおいしかった。 >>>初日まで13日!
台風だ。 東京が大変なことになるのは夜中ということだったので、早めに終わろうと思う。 4場の細かい稽古。 のぐとりょうちゃんのやりとり。 のぐが細かい、ていねいないい芝居をしている。 彼だけを見ていてもあきない、そんなかんじ。 続く、にしやんとまみーの場面は、にしやんのいい味でとってもおもしろくなった。 いっこうちゃんと早瀬くんのやりとりまでで、今日はおしまい。 9時で終了。 外は大雨……と思ったら、三茶に行くまでに止んでしまった。 どうなってるんだろう? いっこうちゃんとりょうちゃんは、牛角で食事していくとのこと。 まみーから一昨日、にしやんと一緒にビルディでご飯を食べて帰ったと聞く。 結局、12時近くまでしゃべっていたらしい。僕らのうち合わせよりずっと遅い。 なぜか「しいたけ部」という新しい部活動が始まったらしい。 甘いものを食べる部らしいのだけれど、詳細は不明。
夜中、猫を探しに外に出たら、雲の間から星が光っていた。 風もない静かな夜。ほんとに台風が来てるんだろうか?と不思議になる。
>>>初日まで14日!
最後の稽古休み。 15時からモリエールでうち合わせ。 さっこちゃんと亜弓ちゃんと向かう。 搬入のこと、ゴミのことなど、この劇場ならではの注意もろもろ。 それでも、思ってたよりは全然大変そうじゃなくてほっとする。 帰りに、コムサカフェでケーキとお茶をしながらうち合わせ。 おしゃべりもたくさんしながら、いろいろ話ができてよかった。 >>>初日まで15日!
制作の高市氏と電話で話して、元気づけられる。 前売りの状況もいつもどおりということでほっとした。 早めに家を出る。 書きかけの台本をもったまま。
稽古をさくさくとすすめる。 3場を中心に、きちんとつくっていく。 微妙だった、のぐとあきやんのやりとりが成り立っていく過程がおもしろい。 その後の早瀬君と良ちゃんのやりとり、最後のマミーの登場までがいいテンポでできあがった。 舞監・美術のさっこちゃんと音響のあゆみちゃんが来てくれる。 帰りにご飯を食べながら、うち合わせ。 いっこうちゃんとりょうちゃんも合流して酒部活動。 明日はモリエールのうち合わせになりそうだ。 >>>初日まで16日!
新しい場面をもってけいこ場へ。 早速、読み合わせ、荒く立ってもらう。 りょうちゃんとのぐの二人の場面、いろいろやりでがありそうだ。 にしやんとまみーのやりとりもおかしい。 いっこうちゃんは、突然な話の展開でびっくりさせてしまったかもしれない。 今日はあきやんは出番なしになってしまった。ごめんなさいのかわりに、これからこうなるという話の続きを前倒しで伝える。 照明のさやかちゃんが来てくれる。 やっぱりモリエールの二階は使わない方がいいとのこと。了解。 帰り、ご飯を食べながら照明のうち合わせ。
>>>初日まで17日!
全員そろっての稽古。 早瀬君が映画の撮影で来た「ナッツ!」というロゴが入ったイラストがみんなのツボにはまりまくる。シアターゲームでも、ずっと「ナッツ」と呼ばれ続ける。 早瀬君は、ずっとニックネームが定着しなかったので、この「ナッツ!」で決まるといいなと思う。 このメンバーでは、初めてのゲーム、後ろ向きに立って、声を投げて、呼ばれたと思った人は手を挙げるというのをやってみる。 それぞれのアプローチのしかたがおもしろい。声を投げることよりも、耳の訓練になるといい。 昨日の続きの良ちゃんと早瀬くんの芝居。 やりとりがどんどんナチュラルになって、成り立っていく。おもしろい。 良ちゃんにどう演じるかではなく、相手の言葉を受けて言葉が出るんだよと話す。 台詞に合わせての動きだけじゃなくて、気持が先に行くこともあるよねとも。 続いて、1場。 今日もいっこうちゃんとあきやんはいい調子。 のぐと早瀬くんのやりとりを、いろいろやってもらう。 早瀬くんが、これまでの固さがなくなって、一気にチャーミングになる。 端々も、リラックスしたかんじで、妙におかしくなってくる。 こっちでいってちょうだいと話す。 終盤のノグの台詞が、気持を説明しすぎているとダメだし。 その後に通してやってもらったら、とってもおもしろくなった。 本人は、どうしていいかわからずやぶれかぶれだったらしい。 でも、それでいいんだよと話す。
>>>初日まで19日!
にしやんが帰ってきた。お疲れさま。ニセ劇団見に行けなくてごめんなさい。 稽古前に、にしやんがニセ劇団で演じていた「女神」を全部やってみせてくれる。 爆笑、すばらしい!! ありがとう!
稽古はあるところをどんどこやってみる。 緻密な積み重ねをしていってもらう、早瀬くんと良ちゃん。 最後にやってもらったにしやんとのぐの場面は、お互いにどう演じるかが先に立って、やりとりが成り立たない。久し振りだからかな? 帰りは酒部活動、部長とは初飲み。 彼のヤンチャな過去話を聞かせてもらう。 あとは芝居の話をたくさん。 良ちゃんは、芝居の話を台詞の記憶でしゃべってくれる。 芝居好きなんだなあとうれしくなる。 >>>初日まで20日!
2004年10月12日(火) |
「アル・ムルワッス劇団」 劇場下見 |
夜、「アル・ムルワッス劇団」をタイニイアリスに見に行く。 バグダッドから来日している劇団。 一部は、歌と踊りで、フォルクローレ風なもの。 初めに、初めて見る太ったギターのような楽器のソロ。 これが、津軽三味線のような曲弾きをする。 演奏している人の、入り込み方もまさに「津軽三味線」だった。 イラクも日本もアジアなんだなあと思う。 男性8人と女性2人のダンス、音楽はやはり見慣れない楽器+キーボードの生演奏。 合間合間にシンドバッドのような若者が登場してマイムで動く。 歌詞は全部、アラビア語なので、たまに聞こえる地名「バスラ」とかそんなくらいしかわからない。 古くから伝わる音楽を使っているそうなのだけれど、これがとっても「宴会」っぽくてよかった。 手拍子のうちかたが、全部「前拍」だったのも、日本の宴会のノリにちかく聞こえる理由かもしれない。 そのうちに、「ひとつとせ〜」という日本の数え歌のようにも聞こえてきた。 続く第二部は、パントマイムによるパフォーマンス。 二人の男がどこかに閉じこめられていて、出られないという状況。 こちらはちっとも、フォルクローレではなく、とても洗練されている。 多分にヨーロッパ的。 イラクは、日本なんかよりずっとヨーロッパに近いんだよなと改めて思う。 終演後、出演者といっしょにトークがあった。 いろんな質問に対して、とってもていねいに答えてくれた。 思ったのは、イラクは、日本なんかよりずっとずっと演劇先進国なんだということ。 イラクのどんな劇場でも、日本の国際フォーラムやタイニイアリスよりちゃんとしてるそうだ。 どのくらいの劇団があるのか、国際演劇祭はあるのか、日本に来ての印象は? アメリカに占領されて変わったことは? イスラム圏では女性の社会進出が難しいと聞いているが、劇団ではどうなのか? シンドバッドを演じていた彼が、全部答えてくれた。 自分たちは演劇をしているのだということをきっちり言っていた。 戦争があろうとなかろうと自分たちは、演劇を使命だと思ってやっているのだという誇りが見えた。 イラク全部の代表ではなく、彼らは演劇人なのだということを改めて思う。 そして、イラクというと、まだまだ発展途上な国なんじゃないかという、見下ろす視線で会話していたことに気づき、恥ずかしかった。 日本の演劇の歴史は、歌舞伎、能、狂言をのぞけば、たかだか百年。 それよりずっと前から東西交流の要に位置していた国と日本では、日本の方がずっと後進国だ。 そのことを忘れているのは、まさにアメリカ的な感覚だよなあとも思う。
急遽、モリエールの小屋下見に行く。 22時15分から下見。モリエール集合。 集まったのは、のぐとまみーといっこうちゃん。良ちゃんは、こないだ見てきたそうだ。 ソワレ終演後、バラシ後ということで、きれいな空舞台。 初めての小屋なので、どうしようかとあれこれ考える。 当初は、いかにもオフィス風のパーテーションを使う予定だったのだけれど、高さが途中までしかないので、やはり黒幕を使おうと決める。 舞台の高さ、張り出しの大きさなどなど、基本的なことの確認。
頭からの小返し。 早瀬くんのいかたをあらためて、確認していく。 だんだんいいかんじになってきて、よかった。 けいこ場の空気がもじどおり悪い。空調のせいか、天気のせいか、よどんでる。 僕も、風邪をひいているせいか、むしむしするのに、寒くてしかたない。 途中で空気を入れ換えてから、少し改善した。 いっこうちゃんのはじけっぷりが、場面をひっぱってくれてる。 時々自滅するかんじも含めて、生き生きと羽目をはずしてる。 りょうちゃんの芝居がいいかんじになってきた。細かく、言葉を探してダメ出しをする。
阿佐ヶ谷のホームでフライングステージのお客さんと会って、話こんでしまう。 結局、電車を乗り換えながら、彼の下りる駅まで一緒に来てしまう。 彼は年間600本舞台を見てるという、ものすごい人。 芝居の話をいっぱいする。 おかげで寝過ごさずに帰ってくることができたかもしれない。
小松川高校の地区大会の結果のメールをもらう。 優秀賞だったそうだ。 残念だけど、みんながんばったね。 お疲れさまとメールを送る。
>>>初日まで23日!
台風が来る。 一日台本に向かおうとするが、向き合えない。 こういう日は稽古をなしにするのがすじなのかもしれないが、久し振りにあきやんと早瀬くんがくるので、台本を渡すためだけにでも、出掛けなくてはと思う。 のぐとりょうちゃん、あきやんから相次いで連絡。 とにかく出掛ける。 とほとんど外に出た途端に、すごいアメと風、さっきまで、何もなかったのに。 駅に着くまでに、傘が3回おちょこになる。 ホームに立っていると線路にそって風と雨が吹いてきて、いじめにあっているような切なさ。 電車に乗ると、乗っている人の傘がみんなおかしなぐあいにねじれている。 新御茶ノ水の駅で、中央線と総武線が止まっていることが判明。丸の内線で南阿佐ヶ谷まで出ることにする。 先に阿佐ヶ谷に着いているのぐにみんなへの連絡をお願いする。 地下鉄は、ほんとに振り替え輸送してるんだろうか?と思うぐらいののんきな混み具合。 南阿佐ヶ谷の駅についたら、ホームでりょうちゃんと会う。一緒に地上に出たら、あれ?っというかんじで雨も風もなし。 ほんとかな?というかんじでけいこ場へ。 のぐといっこうちゃんとあきやんが無事到着済み。 早瀬くんが、南北線、京浜東北線、埼京線と全部止まって、動きがとれなくなり、8時過ぎにようやく登場。 で、ひさしぶりに早瀬くんがらみの稽古。 なかなか本調子にならなくて、やや足踏み状態。 細かいところをつみあげているうちに時間になってしまい、今日はおしまい。 外に出ると、雨も風もなし。 台風は、いってしまった。 なんだかひょうしぬけなかんじ。 とりあえず身近なところで事故がなくてよかった。
>>>初日まで25日!
修正版の台本をもって、けいこ場へ。 すっかりおそくなってのけいこ場入り。 申し訳ない。 僕がいない間にマミーに送っておいた台本をみんなで読んでおいてくれている。 お休みの早瀬くんのかわりにりょうちゃんが読んでくれた彼の役は、とっても推進力があって、新鮮だった。 こまかいニュアンスをどうつくっていくか、楽しみになる。 帰り、高円寺に寄って、HPの空席情報のページをつくり、高市氏に渡す。 帰りの電車の連絡が悪くていらいらしながら、大急ぎで帰ってくる。
>>>初日まで27日!
早瀬君中心の稽古をする。 こまかくなんどもなんどもいろいろやってもらう。 終了後、ぱちもん養老で酒部。 僕にとっては今回初の酒部活動。 りょうちゃんがいなくて、残念。 ひさしぶりのビール。 さくっときりあげて、今日はきちんと帰ってくる。
>>>初日まで32日!
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