せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2004年09月27日(月) 「約束」稽古

 朝、小学校の担任だった先生から電話があったと母親に言われる。
 びっくりした。
 ヤマノウチ先生は77歳。母親は「十歳しか違わなかったんだわ」と、今更言っている。僕も、とってもおばあさんだと勝手に思っていた。もう亡くなったんじゃないかしらと、このあいだ母親と二人で話して、母親は涙ぐんだりしていたのに。
 僕は、この先生から、戦前の葛飾のことも、戦争のことも、東京大空襲のことも、下町の水害のことも教わった。勉強よりも、勉強以外のことをいろいろ学んだ気がする。
 卒業後も母親は何度かやりとりをしているとは聞いていた。僕は、小学校の一年から四年までの四年間お世話になった。弟も二年間。
 僕が、四年生の時に書いた作文をまだ持っていると、母親に話したそうだ。動物がいっぱい出てくる、初めて書いた小説のようなものだったと思う。
 曳舟川沿いのお花茶屋のお宅に、クラスのみんなで何度も遊びに行った。近くの原っぱでつくしを摘んで、おすましにしてもらって、みんなで食べた。
 先生の本棚にあった文学全集の中にシェイクスピアの「真夏の夜の夢」があったのを今も覚えている。これが、僕と演劇との最初の接点だったかもしれない。いつかこの本を読もうと思ったことも覚えている。
 今、先生は流山に住んでいるそうだ。柏あたりで会えるいいわねえという話になったと母親は言っている。それにしても、僕が家にいるのわかってるんだから、呼んでくれればいいのに。

 稽古に向かう途中、中央線の「通勤快速」に乗って安心していたら、荻窪まで連れていかれた。着いたとたんに、今日は阿佐ヶ谷の稽古場だったと気がつく。
 昨日、高市氏に平日の下りの通勤快速はどこに止まるのかを教えてもらったばっかりに……。

 稽古場に、樺澤くんの写真を撮っているカメラマンの方が来てくれている。稽古風景をいろいろ撮っていただいた。
 樺澤くんが持ってきた、やや男くさい、セクシーなポートレートを、いっこうちゃんと一緒に「ガン見」する。自分でセレクトしたというその写真。そうか樺澤くんはこういう自分が好きなのねと、新たな発見。
 稽古は基礎トレの後、頭から。
 舞台の寸法と道具の位置の確認をする。
 微妙な大きさの感覚。
 入り口を変更したせいで、導線がむずかしくなったかもしれない。
 基礎トレのシアターゲームがなかなかいいかんじに運ぶようになった。
 とってもいいチーム感だ。
 芝居にもうまくつながっていくといいな。
 いい本を書き上げて、いい芝居をつくらないと、ほんとにもったいないと思う。
 今日も酒部活動は活発。
 樺澤くんは、もはや「部長」と呼ばれている(らしい)。

 放置して出掛けたパソコンが復活していた。
 よかった……
 気になっていたHPの更新をする。

 >>>初日まで37日!


2004年09月26日(日) DM発送

 三茶の生活工房でフライヤーの折り作業を三枝嬢と。
 駅でマミーと待ち合わせ、フライヤーと同封する印刷物を受け取る。とっても重たい。
 生活工房に時間通りついたのに、三枝嬢が来ない。電話したら、時間を間違えてたらしい……。で、予定より30分遅れて作業開始。
 終わらないんじゃないかと思ってたんだけど、なんと30分で全部終わってしまう。とっても優秀な機械に感謝。
 その後、三枝嬢と、この間、通販でオーダーしてもらった衣裳の確認。実物を見て、サイズを確認。やっぱり返品する物などを選ぶ。
 高円寺に移動。DMの発送作業。
 二人で手分けして持った荷物の重さにへとへとになる。雨も降ってるし。
 高円寺には、早瀬くん、のぐ、宇田くんがスタンバイ。少し遅れてマミーも登場。
 さくさくと作業して、2時間半ほどで終了。
 僕は、高市氏に、近況報告とうち合わせをたくさん。いろいろ諭され、励まされる。
 帰り道、また地下鉄を乗り越してしまいそうな気がしたので、JRで亀戸まで行き、東武線に乗り換えて帰ってくる。
 ぷれいす東京の生島さんと電話で話し、11月27日のイベント「VOICE」のお手伝いを引き受ける。予定していたトレーニングは、調整してもらうことになった。

 パソコンの調子はまだおかしい。
 放置して出掛けてきたのに、メールは復活してない。困った。
 朝方、猫と言い合いをしているうちに、唇を噛まれた。コーヒーがしみる。
 雨がざんざん降って、寒いくらいだ。
 綿毛布を出して、ひざにかけてパソコンに向かう。
 まるで冬の気分。

 >>>初日まで38日!


2004年09月25日(土) 「約束」稽古

 全員揃っての稽古。
 三茶の駅で岩瀬さん、西田さんと待ち合わせして稽古場に向かう。
 僕は、電車の中で切符をなくして、ショック。二人に「死にそうな顔してるよ」と言われる。
 たしかにそうだったかも。
 稽古は、みんなが少しずつ遅くなって、遅めのスタート。
 それでも、基礎トレの後、2場の終わりまでを荒く立ってみた。
 岩瀬さんのキャラがおかしい。ちょっとの出番が、稽古していくうちにどんどん変わっていって、なんだかとっても素敵になった。
 西田さんとノグのやりとりもおかしい。芝居なんだかたらたらしゃべってるのかわからないようなやりとりが続く。
 いつもぎりぎりまでやってしまうので、今日こそ早く終わろうと思っていたのに、結局、ばたばたと片付けることになった。
 帰り、樺澤くんといろいろ話す。早瀬くんのキャラと彼のキャラの違いとか。
 今日からしばらく西田さんが稽古に来れないので、みんなで酒部活動……ということで、全員そろって三茶に向かって歩く。
 定食屋、うどんや、ラーメンやと、何をやってもすぐ「なくなって」しまう怪しいポイントにできた白木屋に移動したもよう。
 僕は、やっぱりごめんなさいして、一人で先に帰ってきた。
 パソコンの調子がまたおかしい。メールが送れず、いらいらする。

 >>>初日まで39日!


2004年09月24日(金) 「約束」稽古

 岩瀬さんと西田さんはNG。
 荻窪の駅を下りたら、小雨が降ってきた。
 天気予報は雨が降るなんていってなかったのに……
 9時で終わりかと思ってたら、規則が変わって、延長がだいじょぶになったんだそう。
 頭からの立ち稽古を、じっくりやっていく。
 もとい、いろいろさぐりながら。早瀬くんとノグ、いっこうちゃんのキャラクターを、ああでもないこうでもないとやってみる。
 芝居芝居した客席向けの声になっている早瀬くんの第一声を「そうじゃなくやって」とダメだしする。
 彼の役は、たぶんこれまでで一番、イヤなヤツになるのかもしれない。クールな仕事人間キャラが、どうかわっていくか。その出発点を探る。
 最後に、樺澤くんが登場する最後のシーンをやってもらう。最初の山場。ここが「大事なところだと思うんだ」と言った台詞を、とても大事に言ってもらったら、少し違うんじゃないかというかんじになった。大事な台詞だからって、大事に言わなくてもいいんだよと話す。
 帰りは、やっぱり雨。
 いっこうちゃんの傘にいれてもらいながら、おしゃべりいろいろ。
 途中のコンビニでアルコールをゲットして、酒部活動、地道に展開。

 >>>初日まで40日!


2004年09月23日(木) 秋分の日

 朝から、葛飾までお墓参りに出掛ける。母親と妹夫婦一家と。
 一番おねえちゃんのアヤカは中学の部活のため、今日は行けない。
 9時に出発。道もすいていて、お墓参りは、さくさくと終了。
 こうした「お墓参り」が、家族そろってのイベントになっていることに気がつく。年に何度か、母親と妹たちと一緒に出かけるイベント。
 帰りに、草加のトイザラスに寄る。
 甥のタカヤの誕生日プレゼントの買い物。
 帰ってきて、少し眠る。札幌の疲れがどっときたかんじで身体が重い。
 2時間ほど寝て、起きたら、身体が軽くなった気がしてびっくり。
 何かが落ちたようなそんなかんじ。


2004年09月21日(火) 図書館の音楽

 資料を探して、南越谷の南部図書室に行く。
 図書室の中に、ずっと平井堅の「瞳をとじて」オルゴールバージョンが流れている。それもかなりちゃんとした音量で。
 図書館って、音楽流れてるもんだっけ? いつまで延々とくり返されるのに、うんざりして、司書の方に聞いてみたら、「耳障りですか?」と逆に聞かれてしまった。そういうんじゃないんだけど……。どうなの?
 しばらくして、少しボリュームが下がった。ややほっとして、そういえば、ここは、閲覧室がないことに気がつく。「短時間の調べもの用」にデスクが10人分くらいあるだけ。
 だからなのかな? 貸し出し専用ってことなのかと思うが、図書館は無音でしーんとしているイメージがある僕には、どうも不思議だ。
 図書館では、行くところのないような大人がけっこう時間をつぶしているんだなと気がつく。
 図書館ってそういうふうにも使えるんだと思いながら、そういう大人がいっぱいいるんだという現実をあらためて見たような気がした。
 この人たちの一日はどのくらいの長さなんだろう? 帰るところはあるんだろうか?
 余計なお世話でいろんなことを考える。

 山形の伯父から、今年もブドウが送られてきた。
 母親は、職場や、妹のところへいろいろ配り、残された幾房かを二人で食べる。
 もう秋なんだなあ。
 家の近くの田圃も、この連休で稲刈りが終わった。切り立ての稲の青臭いにおいが、風にまじって部屋の中に入ってくる。静かな夜。リンリンうるさいくらい鳴いていた虫の音も、いつのまにか聞こえなくなっている。


2004年09月20日(月) ただいま

 朝いちで、円山公園に行き、少し歩く。来年の二人芝居の舞台はこのあたりを予定している。
 取材ということでは全然ないのだけれど、ちょっと「挨拶」のような気分だ。
 地下鉄に乗り新札幌へ。
 朝10時30分発の飛行機で新千歳を出発。
 いつもより早い出発は午後からの仕事のせいだ。
 東京は、やっぱり蒸し暑かった。
 歩き疲れと座り疲れで、腰が微妙に重たい。飛行機と持っていってしまった原稿書きがひびいたのかもしれない。
 さくさくと仕事を終えて、家に帰り、いつの間にか眠ってしまう。
 夜中に目が覚めて、びっくりした。


2004年09月19日(日) 札幌

 9時羽田発の飛行機で札幌へ。第8回レインボーマーチ札幌に参加する。
 千歳から札幌に向かう途中、天気が悪くて、どうなるかと思っていたら、昼過ぎから、どんどん晴れていく。結局、日焼け止めをもってこなかったのが悔やまれるほどの晴天になってしまった。
 パレードはいつもこんなかんじだ。一昨年の東京もそうだった。みんなの「晴れて!」という願いがどこかに届いてるそんな気がする。
 12時過ぎに大通公園の広場に集合。
 なつかしい顔にたくさん会う。実行委員会のトモダさんに北星学園高校の演劇部の顧問の先生を紹介される。地区大会で、性同一性障害を扱った芝居を上演するのだそうだ。先生と話した後、大勢で(10人くらい!)女子高生たちと話す。自己紹介のあと、質問に答える形であれこれ話す。「(セクシュアルマイノリティを演じるとき)自分たちとどこが違うかってことを考えるより、どこが同じか、どれくらい近いかってことを考えたほうがいいと思うよ」とアドバイス?する。作品は、彼女たちのオリジナルではなく、大分の高校で初演されたものだそう。それを上演するにあたって、パレードに来てみるという気持がうれしい。がんばってほしいな。
 札幌ならではの背の高い豪華なフロートに、日本中のドラァグクィーンとゴーゴーボーイが乗り込んで、1時丁度に出発。
 大通り公園をぐるりとまわり、テレビ塔の近くをとおり、すすきの、狸小路をとおって、また大通公園へ戻るコースを、約1時間かけて歩いた。
 僕は、バディフロートの後の方で、アイカちゃんやズッキーと一緒に歩いた。すぐ前には、赤ちゃんをベビーカーに乗せた女性二人(カップル?)とイヌを散歩させながら歩くカップル(男女)が。赤ちゃんとイヌという、二大癒し系を見ながら歩くパレードはなんだかとってもあったかいものになった。
 歩き終えた集会で、参加者が1000名をはじめて超えたと発表される。やったね!
 去年に続いて、札幌市の上田市長が来てくれて挨拶をしてくれた。やっぱり、感動してしまう。
 なんだかわからない派手は人たちが盛り上がってるってだけじゃなくて、こうして市長にも認められるようなイベントになっている札幌のパレード、なんて素敵なんだろう。
 広場いっぱいの笑顔にふれて、たくさんの元気を勇気をもらった。


2004年09月18日(土) 小松川高校文化祭

 午後から小松川高校の文化祭に演劇部の公演を見に行く。
 結局、新学期が始まってからは稽古を見に行くことができなかった。
 どんなふうになっているだろうかと、どきどきわくわく。
 年に何度か、演劇部の公演のたびに会っているOBのみんなと再会。
 年に何度かも何年もくり返していると、かなりしょっちゅう会っている親しい間柄に思えてくる。
 広い体育館の一番前のブロックにみんな固まって観劇。
 古城十忍作「肉体改造クラブ 女子高生版」。第一話「ダイエッター セリナ」第二話「ピアッシング 美咲」。
 高校生が演じる高校生の生々しさというのはあまり感じられなくて、ただ、台本の台詞がやけに心に届くものになっていたのに驚いた。
 それもやっぱり、役と演じている彼らの距離の近さのせいだろうか。僕は、何度も涙ぐんでしまった。まあ、かなり「親バカ」なせいもあるのだけれど。
 一話と二話の間の転換が、懐中電灯を使ったとても美しい場面になっている。全三話の原作を二話でおしまいにする演出も工夫してあって、なかなかよかった。
 初日の緊張かやりとりがなかなかなりたっていない、台詞を順番に言い合っているだけになってしまっているところが何カ所かあったのが残念。地区大会に向けて、がんばっていってほしいと思う。
 終演後、すぐに学校を出て行かなくてはいけないということで、OBのみんなで駅前のビルディに。現役の子たちが少し遅れてやってきて、恒例のダメだし会。大きなテーブルに現役の子たちがまとまり、OBが一人ずつやってきて、感想をしゃべっていく、ややカジュアルなかんじ。
 おおむね好評のようで、自分のことのようにうれしい。


2004年09月16日(木) 「約束」稽古

 ファッションチャンネルニュースのMA。
 今日はミラノメンズコレクション。
 さくさくと終了。

 夜は稽古。
 ストレッチとシアターゲームでアップする。今日も、まずはチームづくりのためのいろいろ。
 それにしても、なんだか、にしやん(西田さん)、あきやん(岩瀬さん)、りょうちゃん(樺澤くん)というはじめての人が三人もいるのに、このまとまってるかんじはどうだろう。
 だらだらとおしゃべりしてるかんじが、なんともいえない、和みなムードだ。
 
 後半は読み合わせをしてみる。まずは声をだしてちょうだいとお願いして読んでみてもらう。
 全員が登場。りょうちゃんの芝居が、ちっともゲイを意識してなくて、とってもうれしかった。実は一番心配してたのはそのあたりだったんだった。
 キャラクターの立ち上がり方は、それぞれの持ち味にぴったりで、そのへんも安心する。よーし、おもしろいものをつくるぞ。
 解散して、いっこうちゃん、のぐ、りょうちゃんは、酒部活動で、たぶん「ぱちもん養老」行き。にしやんとあきやんは、ロッテリアのパティシエのつくったマロンシェイクに向かったもよう。
 残りのメンバー、僕とマミーとともぴー(早瀬くん)はまっすぐ帰る。
 僕は、中野から乗った東西線で爆睡してしまい、まんまと乗り過ごし。12時すぎにようやく家にたどりつく。へとへとながら、眠ってしまえたので、気分はすっきり。富士見ヶ丘小学校関係、非戦を選ぶ演劇人の会関係のメールをせっせと送る。

 >>>初日まで48日!


2004年09月15日(水) ファッションチャンネルニュース

 ファッションチャンネルニュースのMA。
 ミラノメンズかと思っていたら、パリメンズとオートクチュールでびっくり。
 予習をわたわたとして、スタジオにはいる。
 パリメンズは、メンズなのに、アクセサリー類が多くておもしろい。
 ヴィトンでは、熊の形のブローチがかわいかった。全身がヴィトンのロゴで覆われてるテディベアも。
 オートクチュールは、ディオールのジョン・ガリアーノがものすごい。
 基本はマーメイドラインのドレスなんだけど、ボリュームがはんぱじゃない。
 ウエストはコルセットで53センチまで締め上げて、モデルさんたちは、Uターンすることもできず、ランウェイを一方通行。一番前にたどり着くと、抱きかかえられるように連れて行かれる。気分が悪くて倒れたり、吐いてしまった人もいたそうだ。どれをとっても、すぐにドラァグクィーンの衣裳になりそうなかんじ。

 母親は昨日、中学のときの友だちに会いに表参道まででかけていった。
 「三羽ガラスって言われてた」くらい仲のいい三人組だったそうだ。ちゃんと会うのは10年ぶり、三人だけでちゃんと話したのは中学以来かもしれないと言っていた。
 友だちの一人は、戦後まもなく、満州から引き上げてきたのだそうだ。母親を満州で亡くして、父親と二人で帰ってきた彼女に、うちの母親は「満州になんか行かなきゃよかったのに」と言ってしまったんだそうだ。そして、そのことを、それから50年以上ずっと気にしていたのだと言う。
 「覚えてるってことは、その場の雰囲気で何か感じたんじゃないかと思うんだよね。言わなきゃよかったって」。いつか謝りたいと思いながら、ずっとその機会がなかった。そのことを、昨日話して、ごめんねと謝った。
 「『そしたら、そんなこと言われたっけ。全然覚えてない』って。こっちは50年ずっと気にしてたのに」と母は、笑いながら、また泣いている。
 50年ぶりの友だちというのはどんなものなんだろう? 僕にはまだよくわからない。言ってしまって後悔したこと、言い残したことは、何かなかったっけと、一人になって考えてみた。
 養成所の進級ができなかったとき、仲間と飲んだくれて、今日は帰らないと家に電話するつもりが、どういうわけか友だちの家に電話してしまって、「あら、信ちゃん、どうしたの?」と言われてびっくりしたことを思いだした。あんまり関係ないな。


2004年09月14日(火) 富士見ヶ丘小学校演劇授業 「約束」稽古

 富士見ヶ丘小学校の演劇授業のお手伝い。
 電車を乗り過ごして、三鷹台まで行ってしまい、あわてて戻る。
 今日は本山新之助さんによるダンスの授業。新之助さんは、とってもイケメンなダンサー。ヘドウィグアンドアングリーインチ」の振付をやっていたそう。今回の演劇授業の目標である「卒業生を送る会」で発表する舞台の演出をしてもらう青井陽治さんも来てくれた。
 体育館で6年生2クラス60人が、ストレッチの後、振付を覚えて、踊ってみる。
 振りはややヒップホップよりのジャズダンス。8カウント×6ぐらいの長さ。子供達は、なかなかいいかんじで盛り上がって踊ってる。
 僕は、宮 絢子校長先生と二人で、後の方で、ひかえめに踊ってる〜あんまり踊ってない女子の近くで、「一緒に踊ろう」とアピール。
 結果、おもしろくなってがんがん踊ってしまう。
 はじめ、その場でジャンプして、新之助さんが「息上がった人?」と聞く。手を挙げたのは僕と何人かだけ。「じゃあ、もう少し」と、びょんびょん跳んで、大勢の手が挙がってから、先に進む。
 僕はもうこの時点で、かなり気分が悪くなって、もうだめかと思ったんだった。でも、身体が拒否してるような気がしてしゃくだったので、無理矢理続けてたら、なんとか元の調子に戻ったかんじ。
 それにしても子供達はタフだ。一緒になって踊ってる僕は、終わりの頃にはもうへろへろだった。
 これまでの演劇の授業は、言葉を発することが基本で、しゃべるのが苦手な子はどうしても、存在が希薄になってしまいがちだった。
 でも、今回は、ダンス。みんなが同じ振付。もっと言うと、自分から、何かを発していくというよりは、教わった振りを覚えてどれだけ楽しく踊れてしまうかというところ。
 何かを表現しなくちゃと考える前に、身体が楽しくなってしまう、そんなかんじで、子供達はいつもよりものびのびしていたような気がする。
 途中から、男子と女子に別れて、お互いにどれだけ踊れてるかを見るようにした。
 それまで、どれだけ楽しいかということでOKだったのが、どう見せるか、どう見られてるかということに変わっていった。
 演劇の授業のおもしろさってこういうところかもしれないと思った。楽しくやってるところを、見てもらって、おもしろがってもらう、そのことの喜びが自分の楽しさにまたつながってくるかんじ。
 僕は、子供達、特に、いつも騒いでばかりいる男子に「せきねさん、かっこいい!」と声援を送られて、少し照れた。でも、うれしかった。名前覚えてくれてたんだね。
 僕でも踊れるんだから、みんなもがんばれ!と言いながら、その後も、校長先生と子供達とどんどこ踊った。 
 
 夜は、「約束」の稽古。今日が実質の稽古初日。
 8人の出演者全員が揃った。
 ストレッチとシアターゲームを、いつものようにやってみる。
 8人というメンバーの多さにだんだんなれてきて、いいかんじ。
 ちょっとよそゆきなムードになるかしら?と心配していたんだけど、なんだかむちゃくちゃアットホームな雰囲気ができあがっていった。
 初めてなので、シアターゲームをいつもより余分に。即興で場所をつくるエチュードをチームにわかれてやってみる。
 完全に、みんなが同じスタートラインにいるかんじが気持がいい。その中でそれぞれが自分らしさを全面に出して、それをお互いにおもしろがって尊敬できる関係が生まれてるような気がする。もっともっといいチームになればいいな。ともあれ、今日は予想以上に「いいチーム感」に満足。
 帰り、いっこうちゃん、西田さん、樺澤くんは、駅前に新しくできた白木屋で酒部活動。
 僕は、さくさくと帰ることにする。
 電車の中で、午前中のダンスの疲れがピーク。足が痛くてしかたない。踊りすぎたかなとやや反省。

 >>>初日まで50日!


2004年09月11日(土) 「約束」顔合わせ

 出演者全員がはじめて顔を合わせる。
 ほんとの顔合わせだ。
 制作からの説明と挨拶。
 もろもろの事務連絡で今日はおしまい。
 何より、全員そろったというのがとってもうれしい。
 この顔ぶれでやっていくんだなあと、実感した。
 どうぞよろしくお願いします。
 台本は、3場のつもりで書いていたところを、やっぱり2場のおしりにくっつけて、そこまでをみんなに渡す。
 読み合わせはなし。
 帰り、岩瀬さん、樺澤くん、西田さんと一緒に帰る。
 ホームでおしゃべり。
 フライングステージはあまり飲みに行かないんですよという話。
 そうだよね。顔合わせの後とか、さくっと飲みに行くのもありだよね。
 そういう顔合わせもあった気がするなあ。
 今日は、僕も台本書かなきゃな気分でわたわたしてしまって、さくさく帰ってきてしまった。
 「酒部」のことを、みんなに説明。
 次の稽古のときには、ちょっと飲みに行こうかな? それとも路上か?

 帰りの電車、最寄り駅で立ち上がり降りかけたら、「あのこれ」と右隣のお兄さんから携帯を渡された。座席に落としたらしい。「あ、どうも」と受け取ったものの僕のじゃないことにすぐ気がついた。「僕のじゃないよ」。と、「あ、僕の」と僕の左に座ってたお兄さんが言う。僕はすぐに携帯を彼に渡して、電車を降りた。すぐに閉まるドア。なんだか、三人の間をすごいいきおいで携帯がパスされてておかしかった。Aクイック?ってかんじ。下りてから、なんだかおかしくてホームにしばらく立っていた。


>>>初日まで53日!



2004年09月08日(水) フライヤーの入稿

 朝までかかって裏面をデザインして、コメントを書いているうちに眠ってしまった。
 入稿前にマミーにメールして確認をしてもらう。
 プリントネットワークさんへの入稿は、今回、メールでだいじょうぶとのこと。
 大助かりだ。
 昨日の富士見ヶ丘小学校の演劇授業の報告が篠原さんから届く。
 谷川俊太郎さんの授業が、生徒たちと谷川さんの言葉を記録してくれたおかげで、手に取るように見えてくる。
 なんておもしろいんだろう。
 行けなかったことをほんとに後悔する。
 でも、しょうがない。
 HPに「約束」の情報をアップする。
 こちらも一区切り。
 でも、まだまだこれから。
 明日までに3場をまとめないと。


2004年09月07日(火) トレーニング

 夜、下馬でトレーニング。
 その前に三枝嬢と待ち合わせして、一足先に衣裳のうち合わせ。
 通販のカタログを見ながら何点か候補を決める。
 改札で西田さんと待ち合わせ。早瀬君とばったり会ったので、合流。
 歩きながら、どんどん雨が降ってくる。
 途中のダイソーで100円のビニール傘をゲット。
 それでもびしょぬれ。
 トレーニングは、マミーとノグと早瀬くん、僕に西田さんの五人。
 「だらだらした稽古だから」とはじめにことわって、ほんとにだらだらとストレッチとシアターゲーム。おしゃべりをいっぱいしながら、いろいろやってみる。
 僕たちも、こうして身体を動かすのはひさしぶり。
 いつもは、慣れっこになってるいろいろが、とても新鮮だ。
 帰りは、雨があがって、いい風が吹いてる。


2004年09月03日(金) 終わらない

 一日、仕事と、原稿書き。
 なかなか終わらない。
 合間に、フライヤーの裏面をデザインして、劇場の地図をつくったりする。
 単純作業が、熱くなった頭を冷やしてくれる。

 夜までかかって、まだ二つ残っている。
 どちらも大物。
 この日記も気分転換。


2004年09月02日(木) 桃と猫

 夕方からの富士見ヶ丘小学校の演劇授業のうち合わせ、仕事が終わらず行けなくなってしまった。授業は来週の火曜日、朝からだそう。

 久し振りに長袖のシャツを着た。冷房の効いた部屋や電車はそろそろつらい。何年か前に、一夏ずっと長袖で通したことを思い出す。日に焼けないようにというたくらみだったと思う。その年一年で終わってしまった企画だ。ていうか、さっきまですっかり忘れていた。
 暑い日に暑さをしのぐため、どんどん薄着になるか、それとも重ね着をしていくかという性格判断があった。いずれにしろ、性格が変わってきたってことに間違いはない。
 長袖を着て、汗をかくかと思ったら、涼しい風が袖の中に入って、かえって涼しい。
 肌で直に感じる日射しとはまた違う季節の感じ方だ。
 
 夜、母親に桃を食べないかと言われる。
 昨日、「桃はもうおしまいだねえ」という話をしたばかりだ。
 近くの八百屋さんに、毎年買っているその桃が出ていたのだそうだ。
 3個は近くの妹夫婦のところへ、うちへは2個、そして、お盆に遊びに来れなかった弟夫婦のところに1ダースの箱入りを送ったという。
 母自慢のその桃はたしかにとってもおいしかった。
 種のまわりまでがやわらかく甘く、ちっとも酸っぱくない。
 明日、また2個買ってこようと母は言っている。

 母はこの頃、猫と散歩をしている。
 ひもをつけているわけでもないのに、ちゃんとついていってるらしい。
 最近つけた鈴が「ちゃりんちゃりん」と鳴って、しばらくついてこないなと思っても、すぐに追いついてくるのよと母はうれしそうだ。
 いつもは家のあるブロックをひとまわりのところ、今日は二回りしてきたという。
 玄関先に来ると、猫はごろんと横になって、家に連れて行けと催促する。
 母の留守に僕が帰ってきたとき、外に閉め出されていると、彼はそんなふうにごろりと転がってみせる。横柄なヤツだと思いながら抱きかかえると、のさっとした重さが手に嬉しい。
 さっき、帰ってきた猫を抱き上げたら、近くの畑の脇に植えられたラベンダーのにおいがした。


2004年09月01日(水) 「華氏911」

 錦糸町の楽天地で「華氏911」を見る。
 さすが映画の日だけど、平日なのに、こんなに混んでるんだなあとまずは驚く。
 となりに座ってきた、金髪の外人な男の子、どんな反応するのかしらと時折気にしながら見ている。
 映画は、とってもよくできてると思った。
 ブッシュとサウジアラビアのつながりだとか、イラクへの攻撃がどれだけ貧困層の犠牲の上になりたった、富裕層のためのものであるかとか、報道される断片からはなかなかイメージできない全体像をくっきりと見せてくれる。
 爆撃されるイラクのむごさ。映画館で見る、爆撃の絵が、CGじゃなくて、本物なんだということが、とってもおそろしい。
 リーディングのためにいろいろ読んだこと、まさにそのものを目の当たりつきつけられた気がする。
 マイケル・ムーアが「あなたの息子を戦場へ」と議員に迫るところ、ホットドッグかなんかを売る車を借りて、誰も読まずにサインした「愛国法」を読み上げるところなどなど、彼の理屈じゃない、だまっていられないんだという心意気とユーモアのセンスを感じる。
 一番心に残ったのは、イラクの爆撃の映像と、泣き叫ぶ人々の姿。
 いつもは、アクションやSF映画の爆撃の場面を見ても、その炎の下で死んでいく人々の苦しみを思ったことはなかった。
 もしかしたら、僕たちは、超大作SFアクション映画のせいで、そんな気持を麻痺させられてしまっていたのかもしれない。
 今、これを書きながらも、爆撃の映像と、人々の死というものが、ストレートにつながらないもどかしさをかんじる。
 映画に登場していた兵士たちは、そのつながりを、自分から切り離すことで自分を保っている。そのつながりがあることにすら無意識な兵士達も紹介される。
 どちらも悲しい。


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