けちぞう日記
妻やムスメから「けちぞう」と呼ばれる男の日記。
と,いっても書いてるのは妻。

2005年11月26日(土) ごうつく2

車に乗るなり,妻が携帯をいじくっている。
アナタ,車で下を向くと酔うんじゃなかったんですかね。
だから,地図も見られないし,ナビもできないんですよね?

「Iちゃんにメールしてるの」
「家具見に寄るからって」

Iちゃんとは義弟の奥さんで,家具というのは義弟夫婦が購入した家についていた家具のことだ。
モデルルームだったらしく,そこにおいてあった家具がすべてついてきたのだが,
義弟の奥さんというのが家具などにかなりのこだわりがあり,
趣味に合わないものはただでもいらないらしい。
人として正しい感覚だと思うのだが,妻はそんな気持ちはみじんもないらしい。

「私の部屋に机が欲しいからね」
「けちだから買ってくれないしね」

いや,そんなことはありませんよ。
好きなものを買っていいと言ってるじゃないですか。

「ま,いいや。買わなかったおかげでただで手に入るんだからね」

見てもいないうちからもらう気満々…。

義弟の奥さんIさんと相談の末,一度帰宅して義母を拾い,出直すことになった。
妻の実家に行くと,なぜかお義父さんまで出てきた。

「あっ。おとうさん行くの?」
「行かないと思ってたから荷物が座ってるんだよ。乗れないよ」
「まったくもう」

なななななんて失礼な。
アナタの相談不足でしょうに。

何だかんだと言いながら現地に到着。
Iさんはすでに来ている。

家を見た妻は興奮状態。

「うっひゃー,いいねえ,広いねえ」
「おおお,キッチンも広い。よよよ,こんなところに納戸が」
「きゃー」

ああ,うるさい。
そんなことしてないで,さっさといただくものを決めなさい。

「えっ。えーと。これかあ。大きいかなあ。こっちのデスクのほうが…」
「うーん,でも大は小を兼ねるからねえ」
「えっ。小物もいいの?ほんとに?」

ふっ。こりゃ覚悟を決めて待つしかないですね。
同じく退屈しているお義父さんと歓談。

しかし,黙っていればいつまでも帰る気配がない。
ムスメ達もそろそろ退屈してきたようなので,声をかけてみる。

「うーん。机どっちにするか迷っちゃってさあ」

迷っているならやめてしまえ,と言っても無駄なので助言してみる。
大は小を兼ねますけどね,そのでかいほうは入らないのではないでしょうか。

「入ればいいのか。じゃ,家に帰ってはかってから連絡するね」
「今日はどうせ小物だけで荷物いっぱいだし」
「ソファは今日持って帰るしね」

え?えええ?
いつの間にそんな話に?

「ま,いいから,いいから」

ソファはともかく,小物類は…。
などと言うすきもなく…。
あ,いや,しかし,子どもたちはどうするんですか。
お義父さん,お義母さんは?
ソファつんじゃったら誰も乗れませんよ。

「ん?大丈夫。駅が近いから電車でじじばばんちに行くから」
「後で迎えに来てくれれば」

は?来てくれればってアナタまで実家に行く必要はないでしょ。
ソファどうやって2階のリビングまで運ぶんですか。

「あはは。そうか。じゃあ仕方ない。私は車に乗っていくか」

仕方ないじゃありませんよ,まったく。

どうにかこうにかソファその他もろもろを積み込み,子どもたちと別れて家に向かう。
着いたら着いたでソファをセッティング。
さあ,終わったから子どもを迎えに…。

「あ,なんかじいじがたばこ吸いたいからって喫茶店に入ったんだって」
「だから迎えはゆっくりでいいってよ」

ほっ。ならば少しゆっくりと。

「ねー,夕飯どうする?」
「子ども絶対何か食べてるよね」
「おなか空いてないよね」

はいはい。作らないんですね。
いいですよ。
パンでも買いますか。

「やったー。今日はなかなか物分かりがいいじゃないの」
「じゃ,そういうことで」

子どもを迎えに行ったら行ったで,妻は実家の2階に上がったままおりてこず。
やっとおりてきたと思ったら,また,着物だか帯だかを手に持っている。
どっかに入るんだろうな,それ。

こうして一日にしてものがまた増えたわが家であった…。
週末には机も取りに行くんですって。

「2つとももらうことにしたから」

ってどうやってどこに置くつもりなんだか(涙)。



2005年11月23日(水) ごうつく1

今日は休みだ。
しかし,6時起きで竹芝に泊まっていた妻子を迎えに行く。
昨夜,またあのネットで知りあった怪しい人たちと会合を持っていたのだ。
夜遅く帰ってきて,車で迎えに来いなどと言われてはたまらないので,
ホテルをとってやったのだ。
おかげでとても快適な夜を過ごすことができた。
この時間のためならホテル代など安いものだ。

ガソリンを入れたりしていたら約束の時間に遅れそうになったので,
がんばって運転した。
結局約束より三十分も早く現地着。
携帯を鳴らす。

出ない。

もう一度。

出ない…。

さらにもう一回。

出ない……。

がーっ。寝てるのか?ぼくが6時に起きて迎えに来てやったというのに。

これが最後だ。出なかったら帰るからなっ。

「もしもしぃ」

くっ。帰れない。さすがだ。

あのですねえ。さっきから何度も電話してるんですが。

「あー。アンタの電話の着メロ,前奏がやたら静かなんだよね」
「だめだよ,前奏が終わるまで根気よく鳴らさないと」

どこまでが前奏か,なぜぼくにわかるんですか。
ぼくにはるるる…としか聞こえないんですよ。
まあ,そんなことはどうでもいいですよ。
あとどれくらいで部屋から出られるんですか。

「子どもの髪の毛結ぶだけだからすぐだよ」

あー「すぐ」ですか。
あなたがたの「すぐ」はあてにならないんでね,
終わったらもう一回電話ください。

案の定とてもすぐとは思えない時間が経過してのち,
やっと朝食にありつくことができた。
はー,食った食った。
さ,帰りますよ。

「えっ。ええっ?」
「こんなとこにいるのに,もう帰るの?」
「まだ十時前だよ?お台場見物しないの?」

しません。
もう帰るんですよ。
昨日さんざん遊んだんでしょうに。

「昨日は時刻表が古くて出遅れたから,あんまり見てないんだよ」
「むきー」

あー,うるさい。
さっさと車に乗ってください。
さーさーさー。

このぼくの決断は,いつもながらやはり正しかった。
これはまだながーい一日のほんのはじまりに過ぎなかったのだから。


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きゅ〜