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2023年07月31日(月)
『FUJI ROCK FESTIVAL '23』2日目 その3

『FUJI ROCK FESTIVAL '23』2日目 その3



■FOO FIGHTERS(GREEN STAGE)

フーファイがフジにやってくるのは2015年以来のこと。骨折したデイヴが自家製(つっても本気のプロ仕様のやつ。プロ仕様…? 何の……?)玉座に座ってやりきった。このセットを日本に持ってきただけでもウケるんだが、何が何でも面白い(?)ものにする、バンドのアクシデントも観客には楽しめるものにしてやるというデイヴのショウマンシップに脱帽したものだった。

このときソニーの法被を着てとても楽しそうだった(そして演奏しづらいと気付いてすぐ脱いだが、自宅に持って帰って自撮りするくらいには気に入ったようだった)テイラーは、2017年のサマソニで、バスドラムヘッドを前年亡くなったクリス・コーネルの肖像写真で飾ってくれていた。これがテイラーの最後の来日となるなんて、誰も想像していなかった。きっと、ただのひとりも。

このバンドには何故か死がついてまわる。ひとは必ず死ぬものなので、総じてどのバンドもそうなのかも知れないが、それにしたって別れは突然で、しかも最悪のシチュエーションで起こる。何度乗り越えてもそうだ。しかしその度、彼らは戻ってきた。デイヴはファイターだ。そしてこのバンドは、文字通りファイターズなんだ。

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フジの週はヴァイオレットたちのinstaをチェックするのが日課になった(笑)。彼らは水曜日にはもう来日していた。その翌日、シネイド・オコナーの訃報が届く。ストーリーズに涙と悼みの声が溢れる。アラニスもtwitterにシネイドの画像を、instaにメッセージをアップしていた。金曜日にはシフティがFender Flagship Tokyoのイヴェント〈Fender Flagship Tokyo Special Event with Chris Shiflett〉に出演。慌ただしくやってきてすぐ帰るいつもと違って、余裕のある滞在だった様子。

しかしその間、リハはやっていたらしい。木曜日にあったタワレコ/ソニーのイヴェントで「サプライズゲストがあるかも」という話をスタッフの方がされていたそうで、こりゃ絶対アラニスだろ! 会場到着前にきっと合流している筈だと確信。当日も朝8時前からグリーンでのリハが聴こえる! という情報が流れてきていた。マジかよ、早起きだな。勤勉というか、ヘッドライナークラスは当然そういうところしっかりしてる。しかしここでは、もうひとりゲストがいるとは予想出来なかった。

前置きが長いよ! 始まるよ!

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大歓声で迎えられたメンバー。オープンコードを掻き鳴らし乍らステージの端から端迄歩き、クラウドを見渡し手を振るデイヴ。聴こえてきたリフは「All My Life」、おちつけという方が無理な話。

アラニスでエモが尽きたか憑き物が落ちたか、騒ぎつつも落ち着いてはいて、頭の隅には注意喚起があった。レコーディングではデイヴが叩いた『But Here We Are』のナンバーをジョシュがどう料理するか、そして長年テイラーのドラムで演奏されてきた定番のナンバーはどうなるか、というところを注意して聴いていこうと思っていた(ジョシュが参加してからのライヴは数々の動画で確認済ではあったが)。しかし、デイヴが連呼していた「For FUJI!」なセットリストはそういう雑念を吹き飛ばすものだった。

前者に関しては、新譜からは2曲しか演奏されなかったので、アルバム全体の演奏と比較して云々ということにはならなかった。後者に関しては、あまりにも演奏スタイルが違うので比較しようがなかった。ハードヒッターだがテクニカル、手数も多く華やか。その上ツーバス。フーファイのドラマーとして初お披露目された5月の『Preparing Music For Concerts』で「ツーバスならここにカメラ置けば映えるね」、なんてことをデイヴがジョシュに話していたが、その案もしっかり採用されている。ソロの見せ場も多く、ドラムセット真上にあるカメラからの映像が、しつこいくらい(笑)何度もズームアップ/バックされる。いやあ、こりゃ映えるわ。ハイタムやシンバルの数も多く、ハードロックの最適解ともいえるセットだ。

そしてアホ巧い。知ってた。テイラーと全然違う。知ってた。もともとフーファイは、一蓮托生とメンバーが集ったバンドではない。そもそも最初はバンドですらなかった。デビューして28年、ロックの殿堂入りも果たすくらいにはキャリアを積んだ。幾度かのメンバーチェンジを経て、試行錯誤し、出来るところ迄進む。彼らもそうやって長く続けていくバンドの仲間入りをしたのだ。こちらもいい歳なので、こういうバンドが沢山あることを知っている。

しかし、今回のメンバーチェンジはこれ迄とは全く異なる事情によるものだ。こんなことが起こるのは想像より早いことだったに違いないし、彼らが描いていた未来では決してなかった筈だ。それでも彼らは、だいじなひとりを失ってなお、バンドを続けていく選択をした。そしてツアーを始め、日本に来てくれた。

……と、考えることはいろいろあれど、ジョシュのタンクトップに釘付けなのだった。デイヴの要請によるものか本人のアイディアかはわからないが、フーファイに参加してからのジョシュはいつもネタ衣装を着ている。先述の『Preparing Music For Concerts』では名札をつけ、The Churnupsとしてサプライズ出演した6月のグランストンベリーでは「MY POODLE IS CALLING AND I MUST GO」と書かれたプードルの絵入りタンクトップ。今回は…何だよ……「MY POODLE IS」迄は見える、しかし座っているので下が見えない。マイプードルイズ何! 何だよ!!! 続きが見えたのは終盤だった。「MY THERAPY」。「MY POODLE IS MY THERAPY」。マイプードルイズマイセラピー……重いな!!!

しかしこれはバンド側の気配りというか、ジョシュが居心地悪くならないように、そしてメンバーチェンジに際し、ファンたちにコンフリクトが起きないようにという気持ちの顕れのように思う。てかジョシュ、付き合ってくれて有難うとすら思うが、彼はDEVOにもいた方ですからね。こういう茶目っ気は楽しんでくれそう。というか楽しんでくれ。

「The Pretender」では、テイラーが唄っていたサビの上ハモり(というかこっちがサビメロ)をネイトとシフティが唄う。負けじとクラウドも上を唄う。改めての一歩を踏み出したバンドを歓迎するんだ、サポートするんだという気持ちが声に載る。応えるようにペットボトルの水を被ったデイヴは、まだ序盤も序盤なのにまるで2時間のショウを終えたかのように濡れねずみになっている。ねずみというか犬っぽかった。続いてMetallica「Enter Sandman」、Black Sabbath「Paranoid」のリフを挟んでくる「No Son of Mine」(日本初お披露目、待ってました!)。ギャワー! と、ここ迄がツカミ。尾を引くような歓声の中聴こえてきたリフは最新作『But Here We Are』から「Rescued」。そして『Wasting Light』から「Walk」。聴き入る。死と別れが降りてくる。いつもそうではあるものの、今日のライヴは特別なものなのだと知らせてくれる2曲。

ギャンワギャンワとなってるクラウドにハ〜イと手を振るデイヴ。キャハ☆てなペコちゃんペロリなポーズも見せ、恒例の1997年のフジに来てたひと〜、俺たちを初めて観るひと〜てな挙手タイム。この辺りから「For FUJI!」を連呼し始める。これいうと無条件に盛り上がるので楽しくなっちゃったのか、MCの度にいってた。たまに「Mt. FUJI!」もまざる。完全に遊んでいる。

今夜はスペシャルなんだ、古い友人だよ、とアラニスが呼び込まれる。汗とペットボトルの水でべしょべしょのデイヴとアラニスがハグをして、「きゃー何よあなたべしょべしょじゃない!」「テヘ☆ごめんなー!」みたいにギャハハと笑いあう。昨年のテイラートリビュートのときは言葉を交わさず、固く長い(本当に長い間だった)ハグをして離れたふたりのことを思い出してしまった。笑顔があったことにホッとしたしうれしかった。素敵な光景だった。「この世を去った美しい彼女にこの曲を」とアラニス。

一緒に何かやるということは決めていたのだろうが、予定されていた曲は他にあったのかもしれない。シネイド・オコナーの曲をやろうというのは、日本入りしてから決めたのだろう。最後に映し出されたシネイドの画像も、数日で用意されたのだろう。バンドとアラニス、そしてスタッフが用意してくれた「For FUJI!」だ。歌詞は厳しいものだが、曲調は明るい。笑顔でアラニスは唄う。バンドの皆も笑顔でそれを見守り、演奏する。長い闘いを終えたシネイドを労い、「よくがんばった、おつかれさま」と送り出すかのようだった。シネイド、どうか安らかに。

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・フー・ファイターズ&アラニス・モリセット、フジロックでシネイド・オコナーをカヴァー┃MUSIC LIFE CLUB
「高い知性と深い共感力があり、時代を遥かに先取りしていた、もうこの世にはいない美しい女性に捧げます」



2023年07月30日(日)
『FUJI ROCK FESTIVAL '23』2日目 その2

『FUJI ROCK FESTIVAL '23』2日目 その2

■ALANIS MORISSETTE(GREEN STAGE)

2018年の来日公演は中止、2020年の『Jagged Little Pill』25th Anniversaryの来日公演もコロナで中止になってしまったアラニスが遂にやってくる。しかもフジに!

ここ最近のライヴはwebやSNSでチェックしていて、『JLP』セットで来ること、「Ironic」がテイラーへのトリビュートになることは予想出来た。アラニスはテイラーのことを公にはひとことも話していないが、ツアーでテイラー在籍時の映像を流し続けている。昨秋LAで行われたトリビュートコンサートでも、やはりひとことも話さず「You Oughta Know」を唄いきり、デイヴと固く長いハグを交わして帰っていった。喪失がどれだけのものだったか決して語らず、ファンとテイラーの思い出をシェアし続ける。そんな彼女が、フジでそれを見せてくれる。フーファイのTシャツを着たひとや、外国の人が続々とグリーンステージに集まってくる。

余談だが、これあちこちで話してるけど私が小林建樹を聴き始めたのって「窪田晴男とバカボン鈴木がつきっきり? フリーとデイヴ・ナヴァロを率いるアラニス・モリセットのようじゃないか、ということはきっとすごい才能に違いない!」というのが始まりだったのです。そう考えると小林さんに出会えたのはアラニスのおかげ。有難う有難う。

スクリーンに映し出されるのは彼女のヒストリー。子役時代の映像、MAVERICKとの契約後のライヴ映像、TVショウの映像、物議を醸した(?)あの全身タイツの映像も。これって個人的にはWAHAHA本舗で見慣れていたのでむしろ馴染み深かったのですが(笑)。ミュージカル作品になった『JLP』の様子も流れる。幼い頃からショウビズの世界に身を置き、センセーショナルに持ち上げたあとにすぐ落とすマスコミ、メディア(日本もな。『Supposed Former Infatuation Junkie』が出たときのRO誌の記事とかよく憶えてるわ)から距離を置き、信念を曲げずに歩んできた彼女の傍にいた大切な仲間たち、そしてファンたち。そんな彼らの25年(+3年)が、凝縮されて目の前に現れる。時間が戻る、しかし失ったひとたちは戻ってこない。

歓声とともに、彼女は颯爽と現れた。目の醒めるようなイエローのTシャツにはスパンコールでブラックパンサーが描かれている。そしてジーンズ、adidasのスニーカー。普段着のような姿で、自然体の彼女がハーモニカを吹き鳴らす。歌を唄う。それは特別なものになる。アラニスだ、アラニスだ、アラニス・モリセットの歌声だ!

「All I Really Want」でスタート、あっという間にシンガロング。『JLP』から一気に4曲。終わって確認してみたら、16曲中半分の8曲が『JLP』から。聴いている最中は「ほぼ『JLP』! 『JLP』からこんなにやってくれるなんて!」と思っていたが、オリジナルの最新作『Such Pretty Forks In The Road』からのナンバーもバランスよく入り(最新リリースの『The Storm Before the Calm』はコンセプトアルバム)、映画『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』『シティ・オブ・エンジェル』に提供した楽曲も披露と、アラニスの現在・過去・未来を一望するような内容になっていた。セットリストに「Segue」とある通り、曲間を殆ど空けずに次々と唄っていく。

マイクを両手で持って唄う。前腕の左腕にはトラ、右腕にはフクロウのタトゥー。かわいい。髪を振り乱して唄う姿は連獅子の毛振りのよう。両手を拡げてくるくると廻り、ステージ上にちいさな竜巻を起こす。ぐるぐる廻ったあとにもバランスを崩さず動きまわる。竹中直人の「まっすぐ歩ける!」ネタを連想し、思わず笑ってしまう。

それでもずっと泣いていた。自分でも驚くくらい泣いた。思い出もいろいろあるけれど、何より彼女のあの声を聴けたことがうれしく、彼女が笑顔だったことがうれしく、テイラーがいないことに泣いていた。そして「Ironic」がやってきた。スクリーンに、まだ髪の短いテイラーが現れる。若くて、よく笑い、メンバーとふざけ合ったり、真摯にリハに取り組むテイラー。フーファイ加入のためバンドを離れる迄、多くの時間をアラニスとともに過ごしたテイラー。映像をバックに、アラニスは優しい笑顔で力強く唄い聴かせる。

And yeah, life has a funny way of sneaking up on you
And life has a funny, funny way of helping you out
Helping you out

スクリーンにはテイラーの笑顔、そして「In memory of Taylor Hawkins」の文字。歓声が上がる。

放心する間もなくステージは続く。終盤が近付く。「You Oughta Know」では大歓声でシンガロングが起こる。白人男性が野太い声で「You Oughta Know」を大合唱する図というのがもうおかしいのだが、そんな光景があちこちで見られる。近くの白人男性の声がデカい(ずっと・笑)。ああ、こんなに気持ちの良い野外で、アラニスのことを大好きなひとたちと一緒にアラニスの声を聴けるなんて、なんて日だ! 笑ったり泣いたり忙しい。

最後は「Thank U」。お別れの時間だ。2020年にハッシュタグ「#jaggedlittlepill25」で集められたツイートの画像がスクリーンに流れる。リアルタイムで『JLP』を聴き、今は母親になっている様子の女性、家族と一緒に笑顔で写真に収まるひとたち。皆が彼女の歌を聴き乍ら歳をとり、アニバーサリーを祝福し、互いにThank Uを交わしている。来てくれて有難う。テイラーとの思い出を分けてくれて、本当に有難う。

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Setlist(setlist.fm

01. All I Really Want(『Jagged Little Pill』)
02. Hand in My Pocket(『Jagged Little Pill』)
03. Right Through You(『Jagged Little Pill』)
04. You Learn(『Jagged Little Pill』)
05. Diagnosis(『Such Pretty Forks In The Road』)
(Segue)
06. Reasons I Drink(『Such Pretty Forks In The Road』)
07. Head Over Feet(『Jagged Little Pill』)
08. Nemesis(『Such Pretty Forks In The Road』)
(Segue)
09. Perfect(『Jagged Little Pill』)
10. Ironic(『Jagged Little Pill』)
11. Sympathetic Character(『Supposed Former Infatuation Junkie』)
(Segue)
12. Smiling(『Such Pretty Forks In The Road』)
13. I Remain(『Prince of Persia - Sands of Time』ost)
(Segue)
14. You Oughta Know(『Jagged Little Pill』)
15. Uninvited(『City of Angels』ost)
16. Thank U(『Supposed Former Infatuation Junkie』)
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・苗場にお帰りなさい、そして、フジロックへありがとうを ALANIS MORISSETTE┃FUJIROCK EXPRESS '23

・アラニス・モリセットが語るメンタルヘルスとの闘い、大ヒット作『ジャグド・リトル・ピル』の記憶┃Rolling Stone Japan
「中毒に陥っている人に凄く共感するんです。こうした人びとは回復しようともがいているだけでなく、他人から裁かれることにも苦しんでいますから。」
「すごく孤独だった。当時は、どんなフェスに参加しても、72組の男ばかりのバンドにひとりだけアラニス・モリセット、っていう(笑)。」

2020年、『JLP』25周年に際してのインタヴュー。彼女は痛みを知っている


積極的にSNSで発信するタイプではない彼女が、画像とともにメッセージを投稿してくれたこと、とてもうれしい。

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再びオレンジ、ダラダラする。UA…観るつもりだったが……。オレンジからはヘヴンの音が丸聴こえなので、音だけ聴く。「太陽手に月は心の両手に」だ〜、おお「お茶」! からの〜「微熱」! 鉄壁のアンサンブルによる演奏の強さよ、すげー格好いいな……と思っていたら、「閃光」が聴こえてきて思わず立ち上がる。ハラカミくんがバックトラックを作った曲。これだけはほぼ音源ままだった……うれしい。有難う。「プライベート・サーファー」、「情熱」ときて最後は「ミルクティー」。堪能。て、そこ迄聴くなら観に行きなさいよ。

そろそろグリーンに行きましょう。ホワイト通ればVAUNDYちらっと観られるかなと思いきや、入場制限がかかっていた。まあ、そりゃそうか……。音を聴きつつボードウォークで移動。

さあ、FOO FIGHTERSが始まるよ。



2023年07月29日(土)
『FUJI ROCK FESTIVAL '23』2日目 その1

『FUJI ROCK FESTIVAL '23』2日目 その1


2日目(土曜日)に行ってきました。2017年以来、6年ぶりのフジですわ。いやーやっぱ楽しい。そして思い知る地球温暖化と己の老い。

6年ぶりでしたが、2020〜2022年はコロナによる「失われた3年」ともいえるので、体感としては3年ぶりくらい。しかしその「失われた3年」はやはり大きかった。恐らくコロナの影響で、ずっと使っていたホテルが閉館してしまったのです。で、そのホテルがパックに入っていたJR(びゅう)のフジロックプランもなくなってしまった。長年このパックを使っていたので、えーと何から手をつければいいんだ……? とあたふたする。結局フジのチケットは岩盤早売、宿は独自に探し(見つけてくれたポンチさん、予約もろもろ引き受けてくれたジェンヌ有難う)、往復の新幹線はえきねっとでそれぞれとったのですが、こんなに手間暇かかるのね……。

全部ひっくるめての金額はパックより安かったと思う(昨今の物価高を考えると尚更)けど、フジのチケットを買うタイミングとか、希望の時間の新幹線とれなかったらどうしようとか、こまごました気苦労が多かった。この面倒を窓口が引き受けてくれていたのだなと改めてびゅうに感謝したわ……。復活してくれ〜と思うものの、だいたいびゅうの窓口自体がもうないもんなー。対面受付だといろいろ質問出来てよかったのだ。臨時便とかも教えてもらえたし。


出かける前の準備といったらこれ。防水スプレーもかけて万全です。なんだかんだでこれがいちばん使いやすい…パッと出せるし。職人さん、自分が行かない年もずっと作り続けてくれてるんです。今年は久しぶりに参加出来たとのこと。よかった!

そんなこんなで出発です。出かける前の意気込みはGEZAN(全部)→JATAYU(なりゆき)→TESTSET(前半)→Alanis Morissette(全部)→UA(なりゆき)→Cory Wong(無理)→FOO FIGHTERS(全部)→Louis Cole(後半)→長谷川白紙〜松浦俊夫(帰り道)でした。毎回こうやって予定を立てるが、完遂出来たことはただの一度もない。それがフジ。宿に荷物を預けてゴーゴー。予想より早くシャトルバスに乗れました。


そうなのたぬき見たんですよ、初めて! 2匹。家族かな。そんで箱罠な。出発10日程前に苗プリ裏にクマが出たニュースを見たのでうわーシャレにならんと思う。ホントお邪魔しますですよ……。

会場に到着すると早速ウグイスの声、飛び交うトンボ。わーいひさしぶりー! パレスの位置が変わってて早速困惑。あちこちレイアウトが変わっていたけど、来る毎に便利になっていることは間違いない。そうそう、グリーン上手側で立ちションするひとがいなくなっていたのは喜ばしいことでした。見張りのスタッフはいなかったけど、あのエリアに敷物や椅子を置いて観るひとが増えたのでやりづらくなったのかもしれない。これは良い自浄作用。

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■GEZAN with Million Wish Collective(GREEN STAGE)
事前にマヒトくんがいっていた通り、Million Wish Collectiveのステージはこの日が最後。タカさんのバグパイプで幕開け、中盤にはヤクモアくんがアンプによじのぼってディジュリドゥを鳴らす。そしてMWCのクワイア。緑に囲まれたグリーンステージというロケーションでこの音、いやあ、フジだ…フジだわ……。
ハードな演奏とマヒトくん以外のMCのゆるさのギャップがすごい。マヒトくんが「せっかく喋る時間あげたのにいうことそれだけかーい、なんかないんかーい」とツッコんでいたが、感極まって語彙が減ってるという感じでしたよ(特にヤクモアくん)。終わりが近づくことはMWCとのお別れも意味する。あんなに皆笑顔だったのに、だんだん泣き顔が増えてくる。
昨年3月に新宿駅南口で聴いて以来の「東京」。歌詞に出てくる特定の人物の名前が変わっても、“この歌が古くならないこの意味を、教えて、聞かせてよ、想像してよ”。古くならないことは喜ばしいのか、それとも歯痒いことなのか。考えてしまう。「いつまで清志郎に頼ってるんだ」という言葉とともに、引き受ける側になることの怖さと、怖くても引き受けねばならないことを考える。ますます気温の上がる時間帯だったが、背中に冷や汗が流れる思いだった。
我に返ったのは「BODY ODD」、恒例のマイクリレー。メンバーでもないのに律儀に赤いハーフパンツの男が駆け込んでくる。TOSHI-LOWだ! 赤鬼だ! 鬼だ、鬼が来た! とやんややんや。マヒトくんとハグを交わして帰って行きました。赤鬼があちこちに乱入していたことを知ったのはフジから帰宅後。苗場の妖精になったんだね。
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・いまこそ革命のとき! GEZAN大旅団が指し示した未来 GEZAN with Million Wish Collective┃FUJIROCK EXPRESS '23

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奥地へ移動。金曜日から行っている方のツイートで、ボードウォークにテイラーがいるという情報を得ていたので探しに行く。


いました。これ、フジの期間だけ設置されるのかな。それともずっといるの?



ジョーとキヨシロー、ウィルコとシーナ&鮎川さんとアベくんを近くにしてるところににっこり。増えることはあっても減ることはない墓標。ね、歌舞伎座の三階。でも、彼らがこの森にいるんだと思えることは少しうれしい。「なにこれ〜」といいつつ後ろを歩いていた男の子が途中でこの意味に気付いて「わっ、これ、これってそういうことか! うわ泣く〜!」と急に感極まっていた。

オレンジでしばしまったり。しかし暑い。このままでは夜迄もたない気がする。ドラゴンドラに乗ろうぜ〜! もはや避難です。途中アヴァロンでちらっと尾崎裕哉。俊美とトーイもそうだけど、ホント父ちゃんにそっくりよね、声……。そういや尾崎の息子ですって公表して活動する前にスズカツさんの舞台に出たよねえという話などする。

という訳でドラゴンドラ。絶景堪能、気持ちも涼やか。初めて見たとき本物かと思って悲鳴を上げた子グマも相変わらずいましたが、ひっくり返っていた。誰か起こしてあげて……って、そもそもどうやってあんなとこ迄運んだんだ?

到着したDAY DREAMING and SILENT BREEZEではYonYonがスピン中。てか涼しい。快適すぎる。こうなるともう降りたくなくなる。いやそう思っちゃうくらい下は暑かったのだ。いつの間にやらJATAYUは終了、TESTSETはドラゴンドラ復路上空から観ました。音も結構聴こえるのだ。贅沢。



2023年07月22日(土)
2023年のSPARKS

SPARKS@duo MUSIC EXCHANGE


ロン兄が立ち上がったときの、いよっ待ってました感がすごかった……ラッセルの声はホント宝物、バンドサウンドでゴリゴリのエレポップからハードロックなギター迄縦横無尽! 暑いので体調に気をつけて無事帰っておくれ〜(家に)帰る迄がツアーよ〜!

いやー、二年連続でスパークスに会えるとは。当初発表されたホール公演、LINE CUBE SHIBUYA(ex. 渋公)は校了で残業確定日。しょんぼりしていたら追加公演が決まって小躍りしました。で、追加のが先にあるというね……しかし助かった、有難う有難う。

で、まあduoなもんで柱やら人混みやらに遮られ、フジ前の今コロナになる訳にはいかず(というか出来ることならずっとなりたくない。喘息持ちなんで重症化怖い)、壁沿いの空いてるところにいたので視界はすこぶる良くなかった。仕方ない。楽屋のすぐそば(上手側)だったため、開演前にメンバーが陽気に談笑していたり、皆で唄ったり(!? スパークスのナンバーじゃなかった)していたのを聴けたのはラッキー。楽しく過ごしているのが伝わってきてこの時点でニコニコ。

という訳で、いちばん見えたのは上手側にいたギターのイーライでした(笑)。しかしこのイーライがすごくいい仕事してた。ラッセルの歌声にピタリと寄り添うコーラス、歴史あるスパークスのあらゆる楽曲に対応するギター。いいバンドだ!

「行きましょう!」。ラッセルの挨拶直後に流れてきたのはロン兄奏でるエレピのスタッカート……「So May We Start」! 瞬時にハンドクラップとジャンプでフロアが沸き返る。このオープニングは昨年の来日公演と同じだったけど(ソニマニ単独)、続いて演奏されたのは「The Girl Is Crying in Her Latte」!!! ぎゃ〜格好いい!!! 前作と最新作からのナンバーが往年の名曲のように、過去のナンバーは出たばかりのような瑞々しさをもって次々と奏でられます。

いやホントすごいよね……豊富なディスコグラフィーから様々な表情を見せつつ、兄弟以外のバンドメンバーは時代ごとに入れ替わるも、聴こえてくるのはまごうことなきスパークスサウンド。今は何年だ? とときどき我に返る。クラシックな装いの最新型。ラッセルの声とロンのピアノで奏でられるフレーズとリリックのリフレインに酔いしれる。

それにしてもラッセル、元気。ステージの端から端迄動きまわり(おかげでなんとか姿を拝めました)、ジャンプし、踊り、ロン兄に絡み、曲紹介から日本やフロアの印象も語ってと弁舌なめらか。赤と黒の衣装を粋に着こなし、そしてあの歌声ですよ…マジですげーな……。ツアー本数の多さにも驚かされるけど、SNSに会場の様子や旅先で立ち寄ったところを載せてくれてるんですよね。ホテルに閉じこもってじっくり休む、という訳でもなさそう。勿論日々メンテや鍛錬を積み重ね、コンディションを整えているんだろうなと感嘆します。

ロン兄はいつものようにエレピの前に姿勢良く座り、正確なフレーズを弾いていきます。そしてお約束、「Shopping Mall〜」では“Yeah”、「The Number One Song〜」ではダンス、ダンス、ダンス。美馬亜貴子さんがツイートされていたけど、「これ出来てるうちは大丈夫」。そうよね!

MCでラッセルがお知らせしていましたが、今回はtectecsとのコラボも目玉です。物販は日本オンリーのちょうかわいいオリジナルグッズが揃っていました。うれしいことだよ……。プライベートでもよく日本に来ている兄弟、以前銀座の無印良品でロン兄に遭遇したときは驚いた(全然ツアーとか関係ないときだったし、SNSにも日本にいるよと書いたりしていなかったので、声はかけないでおいた)。昨年末には大好きな寅さん記念館へ行き、山田洋次監督と会っていました。こんな風に兄弟が日本とそのカルチャーを愛してくれるのは、長年彼らといい関係を続けてきた岸野社長の力が大きい。頭が上がりません。

「All That」でおしまい。メンバー紹介の最後、ラッセルが「マッドブラザーはどこかな〜?」といってロン兄を紹介したのにニッコリ、別れ際に「what a fun!」といったのに涙。それはこっちの台詞だ。こんな楽しい時間を設けてくれて、来てくれて本当に有難う。

今年に入って、自分の血肉になっている音楽を創り上げたひとたちが、70代で次々と世を去った。スパークスのふたりがこうして元気で日本に来てくれたことは奇跡のような思いだった。この幸福はいつか終わってしまうけれど、今はただただ感謝するばかり。

「じゃあね」、とふたりは帰って行きました。暑さには本当に気をつけて。ロン兄は本編スーツ、アンコールはワイシャツネクタイの上からフーディを着てた。楽屋が寒かったのかな。でも厚着で熱中症になったらと心配にもなる。水をいっぱい飲んで! 塩をなめて! 残り2公演、楽しんで帰ってくれたらうれしいです。

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・setlist(setlist.fmより)

01. So May We Start
02. The Girl Is Crying in Her Latte
03. Angst in My Pants
04. Beaver O'Lindy
05. When I'm With You.
06. Nothing Is as Good as They Say It Is
07. It Doesn't Have to Be That Way
08. Balls
09. Shopping Mall of Love
10. The Toughest Girl in Town
11. Escalator
12. We Go Dancing
13. Bon Voyage
14. Music That You Can Dance To
15. When Do I Get to Sing "My Way"
16. The Number One Song in Heaven
17. This Town Ain't Big Enough for Both of Us
18. Gee, That Was Fun
encore:
19. My Baby's Taking Me Home
20. All That

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90分てとこだったけど、20曲もやってたか。パワフル。あっという間でした。

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今回全会場でこの記念写真撮ってるみたい。いい思い出


撮影地は日本!


こちらも楽しみ。てか7/31しか行けなさそう、行けるのか、なんとか行きたい