フジの週はヴァイオレットたちのinstaをチェックするのが日課になった(笑)。彼らは水曜日にはもう来日していた。その翌日、シネイド・オコナーの訃報が届く。ストーリーズに涙と悼みの声が溢れる。アラニスもtwitterにシネイドの画像を、instaにメッセージをアップしていた。金曜日にはシフティがFender Flagship Tokyoのイヴェント〈Fender Flagship Tokyo Special Event with Chris Shiflett〉に出演。慌ただしくやってきてすぐ帰るいつもと違って、余裕のある滞在だった様子。
大歓声で迎えられたメンバー。オープンコードを掻き鳴らし乍らステージの端から端迄歩き、クラウドを見渡し手を振るデイヴ。聴こえてきたリフは「All My Life」、おちつけという方が無理な話。
アラニスでエモが尽きたか憑き物が落ちたか、騒ぎつつも落ち着いてはいて、頭の隅には注意喚起があった。レコーディングではデイヴが叩いた『But Here We Are』のナンバーをジョシュがどう料理するか、そして長年テイラーのドラムで演奏されてきた定番のナンバーはどうなるか、というところを注意して聴いていこうと思っていた(ジョシュが参加してからのライヴは数々の動画で確認済ではあったが)。しかし、デイヴが連呼していた「For FUJI!」なセットリストはそういう雑念を吹き飛ばすものだった。
前者に関しては、新譜からは2曲しか演奏されなかったので、アルバム全体の演奏と比較して云々ということにはならなかった。後者に関しては、あまりにも演奏スタイルが違うので比較しようがなかった。ハードヒッターだがテクニカル、手数も多く華やか。その上ツーバス。フーファイのドラマーとして初お披露目された5月の『Preparing Music For Concerts』で「ツーバスならここにカメラ置けば映えるね」、なんてことをデイヴがジョシュに話していたが、その案もしっかり採用されている。ソロの見せ場も多く、ドラムセット真上にあるカメラからの映像が、しつこいくらい(笑)何度もズームアップ/バックされる。いやあ、こりゃ映えるわ。ハイタムやシンバルの数も多く、ハードロックの最適解ともいえるセットだ。
……と、考えることはいろいろあれど、ジョシュのタンクトップに釘付けなのだった。デイヴの要請によるものか本人のアイディアかはわからないが、フーファイに参加してからのジョシュはいつもネタ衣装を着ている。先述の『Preparing Music For Concerts』では名札をつけ、The Churnupsとしてサプライズ出演した6月のグランストンベリーでは「MY POODLE IS CALLING AND I MUST GO」と書かれたプードルの絵入りタンクトップ。今回は…何だよ……「MY POODLE IS」迄は見える、しかし座っているので下が見えない。マイプードルイズ何! 何だよ!!! 続きが見えたのは終盤だった。「MY THERAPY」。「MY POODLE IS MY THERAPY」。マイプードルイズマイセラピー……重いな!!!
「The Pretender」では、テイラーが唄っていたサビの上ハモり(というかこっちがサビメロ)をネイトとシフティが唄う。負けじとクラウドも上を唄う。改めての一歩を踏み出したバンドを歓迎するんだ、サポートするんだという気持ちが声に載る。応えるようにペットボトルの水を被ったデイヴは、まだ序盤も序盤なのにまるで2時間のショウを終えたかのように濡れねずみになっている。ねずみというか犬っぽかった。続いてMetallica「Enter Sandman」、Black Sabbath「Paranoid」のリフを挟んでくる「No Son of Mine」(日本初お披露目、待ってました!)。ギャワー! と、ここ迄がツカミ。尾を引くような歓声の中聴こえてきたリフは最新作『But Here We Are』から「Rescued」。そして『Wasting Light』から「Walk」。聴き入る。死と別れが降りてくる。いつもそうではあるものの、今日のライヴは特別なものなのだと知らせてくれる2曲。
Finally someone paying tribute to Sinéad O'Connor with one her bangers….here’s the Foo Fighters with Alanis Morissette covering "Mandinka" at Fuji Rock Festival in Japan pic.twitter.com/8zUphoKVmk
― Wu Tang is for the Children (@WUTangKids) July 30, 2023
スクリーンに映し出されるのは彼女のヒストリー。子役時代の映像、MAVERICKとの契約後のライヴ映像、TVショウの映像、物議を醸した(?)あの全身タイツの映像も。これって個人的にはWAHAHA本舗で見慣れていたのでむしろ馴染み深かったのですが(笑)。ミュージカル作品になった『JLP』の様子も流れる。幼い頃からショウビズの世界に身を置き、センセーショナルに持ち上げたあとにすぐ落とすマスコミ、メディア(日本もな。『Supposed Former Infatuation Junkie』が出たときのRO誌の記事とかよく憶えてるわ)から距離を置き、信念を曲げずに歩んできた彼女の傍にいた大切な仲間たち、そしてファンたち。そんな彼らの25年(+3年)が、凝縮されて目の前に現れる。時間が戻る、しかし失ったひとたちは戻ってこない。
「All I Really Want」でスタート、あっという間にシンガロング。『JLP』から一気に4曲。終わって確認してみたら、16曲中半分の8曲が『JLP』から。聴いている最中は「ほぼ『JLP』! 『JLP』からこんなにやってくれるなんて!」と思っていたが、オリジナルの最新作『Such Pretty Forks In The Road』からのナンバーもバランスよく入り(最新リリースの『The Storm Before the Calm』はコンセプトアルバム)、映画『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』『シティ・オブ・エンジェル』に提供した楽曲も披露と、アラニスの現在・過去・未来を一望するような内容になっていた。セットリストに「Segue」とある通り、曲間を殆ど空けずに次々と唄っていく。
01. All I Really Want(『Jagged Little Pill』) 02. Hand in My Pocket(『Jagged Little Pill』) 03. Right Through You(『Jagged Little Pill』) 04. You Learn(『Jagged Little Pill』) 05. Diagnosis(『Such Pretty Forks In The Road』) (Segue) 06. Reasons I Drink(『Such Pretty Forks In The Road』) 07. Head Over Feet(『Jagged Little Pill』) 08. Nemesis(『Such Pretty Forks In The Road』) (Segue) 09. Perfect(『Jagged Little Pill』) 10. Ironic(『Jagged Little Pill』) 11. Sympathetic Character(『Supposed Former Infatuation Junkie』) (Segue) 12. Smiling(『Such Pretty Forks In The Road』) 13. I Remain(『Prince of Persia - Sands of Time』ost) (Segue) 14. You Oughta Know(『Jagged Little Pill』) 15. Uninvited(『City of Angels』ost) 16. Thank U(『Supposed Former Infatuation Junkie』) ---
到着したDAY DREAMING and SILENT BREEZEではYonYonがスピン中。てか涼しい。快適すぎる。こうなるともう降りたくなくなる。いやそう思っちゃうくらい下は暑かったのだ。いつの間にやらJATAYUは終了、TESTSETはドラゴンドラ復路上空から観ました。音も結構聴こえるのだ。贅沢。
「行きましょう!」。ラッセルの挨拶直後に流れてきたのはロン兄奏でるエレピのスタッカート……「So May We Start」! 瞬時にハンドクラップとジャンプでフロアが沸き返る。このオープニングは昨年の来日公演と同じだったけど(ソニマニ、単独)、続いて演奏されたのは「The Girl Is Crying in Her Latte」!!! ぎゃ〜格好いい!!! 前作と最新作からのナンバーが往年の名曲のように、過去のナンバーは出たばかりのような瑞々しさをもって次々と奏でられます。
01. So May We Start 02. The Girl Is Crying in Her Latte 03. Angst in My Pants 04. Beaver O'Lindy 05. When I'm With You. 06. Nothing Is as Good as They Say It Is 07. It Doesn't Have to Be That Way 08. Balls 09. Shopping Mall of Love 10. The Toughest Girl in Town 11. Escalator 12. We Go Dancing 13. Bon Voyage 14. Music That You Can Dance To 15. When Do I Get to Sing "My Way" 16. The Number One Song in Heaven 17. This Town Ain't Big Enough for Both of Us 18. Gee, That Was Fun encore: 19. My Baby's Taking Me Home 20. All That