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■ たいせつなひと。
あたしはずっと、
たいせつなひとの、 たいせつなひとに、なりたくて、
とくべつなひとに、なりたくて、
どうしたら特別枠に入れるのか 特別扱いをしてもらえるのか、 いろいろ考えたけど、よくわからなくて、 思いついたことが、 わがままを言うことで。
わがままを聞いてもらえたら あたしは特別だと思えるのかな、って、 愛を試す子供みたいなことを思いついて 勇気を出してわがままを言った。
ほんの少しの、 でも、あたしにとっての精一杯の わがままは聞いてもらえたけど それでもやっぱり、 特別にはしてもらえなくて、
それが、切なかった。
でもね。
あの夜、 振り返った時、 あなたがあたしを見てくれていた、あの瞬間、
あたし、わかったんだ。
――あたしは、大切に思われてた。
もうずっと、 たいせつにしてもらってた。
あなたは優しい人だから ほんとうに、優しい人だから、 みんなのわがままを聞いてくれるし みんなに、いつも、平等に接する。
それを知っているから あたしだけへの優しさが欲しくて 自分だけ、特別扱いしてほしくて 叶わないことに泣いたりしたけれど、
あたし、ちゃんと、気づけてよかったよ。 あなたが見ていてくれたことに。
あなたが、あたしのために 時間をつくってくれたことも 助けてくれたことも ぜんぶ、あたりまえじゃない。
わがままを聞いてくれたのが、 あなたの精一杯の優しさだったことに 気がつけて、よかった。
あたしもいつか、 あなたのために、 何かできるひとになりたいんだ。
2020年05月31日(日)
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