Movin'on without you
mako



 確かにあたしを創ったもの。

今、居る場所がすごく好き。

本当に気の置けない友達と、
何も気を遣うことなく一緒にいられる彼女たちと
怖くて厳しくて心の狭い先輩はいるけど
そういう共通の敵に向かってちょびっとだけ頑張ってる
そんな、今の時間がすごく好き。

あたしがあたしでいても
誰もあたしを嫌わないでいてくれる彼女たち。

先輩にどんなけ酷いこと言われても
また明日も頑張ろうって思えるのは
全然落ち込んだりしないのは

あなたたちの、おかげだよ。ありがとう。







いかせんに会えなくて
そこまで会いたいわけでもないのに

なぜか会いに行ってしまうあたしがいて

そういうのって、もう執着なんだけど
別に会いたいと思ってないのに
それでも会いに行っちゃうってのが
会えなくて落ち込んでる自分が
すごく自分に酔ってて嫌なんだけど


あたし、あれからいかせんに会ってない。


自分で偉いなーってほめてみたりして。
会いに行ったらまた長引くから。
風邪とおんなじ。ひき始めと、ひき終りが肝心。
油断したらまたすぐぶり返す。

あたしの風邪はもう始まっちゃったから
なんかわかんないけど唐突に
自分でも整理つける前にいきなし始まって
もう風邪は終わりかけ。

いま会いに行ったら
今度はただの風邪じゃすまなくなる。
超重症のインフルエンザみたいに。

5年も見てきたから
それくらいはちゃんと理解してる。
自分が、そういう性格なこと。

だから、会いにいかない。
ほんとはすっごく会いたいけど
でも我慢してる。そのほうが多分あたしにとっていい。

本当に風邪は終わりかけなのかわかんないけど
確かめにいくこともしない。



もういま、
誰よりも好きになって
あんなに会いたくなっちゃうとか
そんな辛いことしたくない。

もういま、
誰よりも好きになっちゃって
離れなきゃいけないのに、
そんな時にあんなに好きになるとか
いかせん一色になっちゃうとか

そんなことしたくないし
あたしにはそんな時間も、残ってない。



春からは、べつべつの街。
べつべつの場所と、べつべつの空。

もう会うこともきっとない。








忙しいってすごいことかもしれない。
いま、とにかく忙しいから
だから、いかせんのこと考えずにすむから。

きっと春からも忙しい。
そしたら考えずにすむ。



考えなければ、いつか忘れる。

いつか、想い出になる。そう思いたい。
だから、ぜんぶ封印していきてく。





だけど。

いまあたしが大好きなこの空間も
いまあたしが大好きなあたしの友達も
彼女たちとの時間も


いかせんに造られたあたしが造ってる。
あなたに出会わなかったら
あたし、こんな人間じゃなかったからきっと。


あなたに出会えなかったら
彼女たちの大切さに気付かなかったかもしれないし
今のこの時間の大切さにも
もしかしたら気が付かなかったかもしれないし

こんなに素直に笑えなかったかもしれない。





あなたに会えなくても大丈夫になった自分。
あなたがいなくても、笑えるようになった自分。

でもそんなあたしを造ったのは
確かにあなただったなんて

皮肉なようで
なんて素敵なんだろう。


一生縛られて生きていくようなものじゃない。
あなたの面影に。

考えただけでぞくぞくするよ。




2004年02月26日(木)



 だいじょうぶ、思ったより平気。


あの日以来はじめて

いかせんを、見た。



もちろんすれ違っただけで
言葉など当然交わすわけもなく、だけど。




いつもなら絶対居ることのない時間だから
まさか会うとは思わなくて
凄くびっくりして。
目が合った瞬間、
多分、あたしは驚いた顔をしていたと思う。

でもいかせんも
あたしに気付いて一瞬の驚きの表情。
ほんとうに、一瞬。ほんの何万分かの一秒の、
いつもと違う表情。



それだけ。

軽く会釈して、通り過ぎた。
それだけ。





初めて実感湧いた。
あぁあたし、ほんとに抱かれたんだ。って。













いかせんにとって
あの人の人生にあたしは要らない存在で

あたしがこの世にいなかったとしても
あの人の人生は微塵も変化することは無く

きっと今とかわらぬ笑顔で
笑っていたんだと思う。




でもあたしにとっていかせんは
無くてはならない存在で

あの人があたしを造ってきたのは
これから先も、永遠に変わらぬ事実で

あの人がもしこの世にいなければ
いまのあたしは存在し得なかった。





あたしを造ったのがあなたなら
やっぱりあなたはあたしの神様なのかもしれない。









乙女みたいな妄想に
浸るのはいい加減にして
そろそろ現実に戻らなきゃ。

何も無かった顔をして歩いてく
あの人の中ではもう終わったこと。



あたしは、もう要らない子だから。






2004年02月25日(水)



 いまだからわかること。

あたしは今日も情緒不安定なのだけども
でも怖くてピアスすらあけられないくらいの
そんな程度の心の痛みで

今朝新聞を読みながら
苦しいって思う自分が
なんだかもの凄く傲慢に思えてきた。

あたしが望まなくたって
世界は今日も回るし
明日も同じように回るのだけれども

あたしのいまのこの気持ちは
あたしが望んでこうなっただけのことで
それを自分で選んだくせに
苦しがってる自分が傲慢で滑稽で笑えた。

こういうときに
苦しいって単語を使っちゃだめだね。





あたしはずっと人から嫌われることが怖くて
だから八方美人だったと思う。

少し物心がついたはたちくらいのころから
八方美人、と言われるのを厭わなくなり
今の友人たちと、
今の恋人と今あたしがいる空間、に出会って以来
八方美人という単語が程遠いくらいに
好き嫌いがはっきりした女になったけれども。


八方美人といわれるのは嫌がるくせに
八方美人にもなりきれない時代があった。

とにかく、人から嫌われるのが怖かった。
いい子でいたかった。

ぜんぜん、いい子じゃないくせに。




いかせんがあたしを救ってくれて
いかせんがあたしを変えてくれて

もの凄く生きるのが楽になったよ。






いまなら簡単にわかるようなことでも
わからなかったことがいくつもある。

いま、わらっちゃうようなことでも
わらえなかったことがいくつもある。


若いってそういうことで
だから、いまはわらっちゃうようなことばなんだけど
あの瞬間のあたしには、神様のくれることばに思えた。

あの瞬間のあたしには
あなたのことばはいつも正しくて

あなたは強くておとなで後ろを振り返らない
とても、かっこいいひとだった。



いかせんはいつもこの世にひとりで、
あのときのいかせんと今のいかせんが違うわけじゃなくて
あの人が変わったわけでもなくて

あたしがおとなになって
きっと凄いスピードでおとなになって

こどもから、おとなになって

その過程にいつもいた。
あなたが、いつもいつもいた。
あたしの中に、いないことは皆無なくらいに。



だから、あなたを否定できないことは
あたりまえのことなのかもしれない。



あなたが神様じゃないことも
あなたが聖人じゃないことも
あなたがじつは、
ただの普通の大人で、普通の男だったってことも、


いまはわかるけど
いまだからわかるけど、



わかった今でも、好きだと思う。





2004年02月24日(火)



 7度目の、失恋。

失恋なんて、ほんとは一度だってしたくないのに
あたしはひとりの人に、何度も失恋してる。


はじめては、18の春。
あなたに「嫁さん」と呼ぶ、その彼女ができた時。
ショックと衝撃でわんわん泣いた。
人目も憚らずに泣けたあの頃。


2度目はその1週間あと。
いつまでもここにいちゃだめだと思って
前に進もうと思ってあなたに言った「好き」の言葉。
ありがとうって返された18の春。


3度目は19になった夏。
何故かいきなりキスされて
次の日から目も合わせてくれなくなって
わけわかんなかったよ、子供だったから。


そして19の秋。
あなたがはじめてあたしをかわいいと言った。
大切な人がいるけどかわいいって言った。
それでもいいか?って。

そんなことを言うのにあたしには純でいてほしいなんて
矛盾してるあなたが好きでたまらなかった。


次は、やっぱり抱けないって言われたときかな。
初めて、ああもう終わりなんだって感じた。
もうあたしたちの間にはなんにも無いって。

でもやっぱりあたしたちの中途半端な関係は続いて
あたしはあなたにいつも夢中でした。


今ならわかる。
それは彼にとって至極「普通」のことだったと。
別に特別なことではなく、
特別な存在に与えるご褒美などではなく
何気ない日常にばらまかれる餌のようなもので。
だけどあたしにはそれがいつも甘い蜜に思えて
あたしはいつまで経っても抜け出せずに


・・はたちになった。


その次の失恋が、最大かつ最後の失恋で、
まこ、20歳の秋。

あのひとが、結婚した。

「嫁さん」は本当の「お嫁さん」になった。



最後だと思ってた失恋。
もういい加減あきらめ時だなって
こんなばかなあたしでもさすがにわかる。

あのひとはあたしに手を出さなくなったし
あたしと話す機会も極端に減った。
帰りも早くなって
それは、「家庭に棲むひと」の姿そのもの。


おととしの年末。
あのひとに初めてのこどもが生まれた時
もうあたしの中では失恋じゃなかった。
あたしには今付き合ってる恋人がすでに居て、
正直彼がいてくれてよかったと思うくらいに
微妙に揺れ動く危険性はあったけれど
それでも好きとかそういう感情ではなく
ほんの少しの寂しさだけで。


だけど。何故か。
なぜなのか自分でもよくわからないけど

あたしはまた失恋をした。
7度目の、失恋。
でももう何百回目なのかわからないよ。
あなたを好きだと思うたび、
これは叶わない恋だからって
自分自身に言い聞かせて。
苦しさとか切なさとか
そんなものたちとずっと闘ってきて。


流石に今回のは、辛い。
ここ数年でいちばんの痛み。


自分の中で折り合いがつけられなくて、
自分自身の気持ちがもう辛い。
どう整理していいのかわからないし、
今までみたいに、もう会わなければ
いつしか消えていくだろうって楽観的に思えない。


ほんの思いつきから
もうあえなくなるんだなって気持ちから
「5年間ありがとう」って言いに行ったのはヒトツキマエ。

ほんとはずっと好きだったよ
特別だったんだよって言ったのはヒトツキマエ。


別に好きという気持ちがあったわけじゃないのに
特別な恋心を抱いてたわけじゃなかったのに
なんでこうなっちゃったんだろう。
なんでこんな好きになっちゃったんだろう。
なんでこんなに苦しいんだろう。

なんであのひとは、あたしのものじゃないんだろう。



今、死ぬほどやっぱりあのひとが好き。
でももう、8度目の失恋はやってこない。
あとは、あたしの心の中で愛するだけ。

それしか、許されてないけど
さよならは多分、一生言えない。





2004年02月23日(月)



 永遠の記憶をください。

ほんとうにたいせつなものなんて
せかいにいっこでいい。




今の、恋人のほうが
大切になったと思ってた。


それまでずっといかせんが、
あたしの中では「せかいいち」で
なんでそうなのかよくわかんなかったけど
べつに愛されてるわけでもないのに。
いかせんにとって、あたしは
べつにこの世に無くてもいい存在なのに。
なんかよくわかんなかったけど
そういうのって理屈じゃないんだろうなって
漠然と、思ってたし。


愛し愛され、大切な人から大切に想われる。
そういう気持ちを教えてくれたのが今の恋人。
何より安心感をくれてのは、今の恋人。
だから、とても大切だった。
もう、いかせんにも負けないと思ってた。
いかせんより、大切だって思ってた。


だけど
あたしはそう思い込んでいただけで
だってあたしの中で
いかせんと、今の恋人と
両天秤にかけなきゃいけない、っていう事態は
一生訪れないから、だからわかんなかっただけで


そんな事態はやっぱり訪れないままだけど
でも、わかってしまった。
あたしは世界一にはできない。
あたしの恋人が、あたしを世界一に思ってくれているのに
あたしは彼を「せかいいち」にはできないんだと。

ほんとはせかいいちにしたいのに。










目を閉じると、まだ思い出せる。

あなたがあたしの名前を呼ぶ声とか、
あたしを触るときの手の感触とか
すこしざらついた背中とか
あなたと過ごした、部屋の照明の色とか。


でももう抜け落ちた記憶もあって
まだいっしゅうかんも経っていないのに

たとえば、部屋で流れてた音楽とか
あなたの言った台詞のひとつひとつとか
あなたの、キスの味とか。


そういうふうに忘れていくことが、
今のあたしには、いちばんせつない。





この記憶を留めておけたら
他に何も望まないと言ったら

この記憶が永遠になるわけもなく。




それでも、あのひのおもいでを、
あたしがわすれていく速さが

あなたがそれを忘れる速さの1000倍くらい遅いのかと
考えるのも虚しくて。




あのひとの記憶の中に
どうか、ほんのすこしだけ

あの日の記憶と
あたしの想い出を
残してください。


それ以外何も望まないといっても
それが叶えられるわけもないけど。




2004年02月22日(日)



 苦しい。苦しい。苦しい。

苦しい。






あのひとは奥さんのことを
「嫁さん」って呼ぶ。

すごく綺麗なひと。そして我儘なひと。
気が強くて、あたしに会うと笑顔で手を振ってくれた。
結婚する前からずっと
その、綺麗なひとのことを
あのひとは、「嫁さん」って呼ぶ。




「お前が彼氏を愛してるように
 俺は、嫁さんを愛してるから」





初めて、あたしに言ったね。
嫁さんを愛してるって。
あの綺麗なひとのこと、愛してるって。

でも違うよ、いかせん。
あたしは彼氏を愛してるわけじゃない。
大切だけど、ただ大切なだけの
そんな生半可な気持ちを愛とは呼びたくないの。



あたしが愛してるのはいかせん。
そんなの愛じゃないからってあなたが言ったとしても
でも、あたしの中でこれは愛なの。
歪んでても、何も知らなくても。
あたしが決めたから、たった今から愛なの。


だってあたしは、
裏切られつづけても
どんなに傷つけられても
たとえあたしがあたしであるということ、
そんな尊厳すら踏みにじられたって

きっといかせんから離れられない。
それをもう知ってる。



もしね、例えば、あくまでたとえの話で。
今、誰かを殺めようとする姿を見たとしたら

今の彼氏なら、命懸けでも止める。
絶対やめさせる。どんな手をつかってでも。
それは今の彼氏がとても大切だから。

けど、いかせんだったら
あたし、何も言わずにたぶんついてく。
それでも、ずっと好きなんだ。きっと。
あの人があの人であることも
それが残酷な結末の原因であることも
ぜんぶまとめてあたしは心底惚れてて
それだって、ある意味大切なんだと思う。

もうそんな言葉自体、どうでもいいんだけど。
言葉なんてほんとうは要らないと思ってるんだけど。






初めて会った6年前の秋。

あたしは、それからずっとずっとずっと
心のどこかでいかせんを見てた。

誰かと恋をし、別れ、
誰かと体を重ね、時には誰かの愛する人を奪い
繰り返される毎日の中で
それでもいかせんを忘れたことだけはなかった。



惰性なのかもしれないけど
それでもやっぱり
恋とか愛とかそんなんじゃないのかもしれないけど

だいすきでだいすきで、死ぬほど好きで、それだけはわかる。







このひとと一緒に死ねたら、何も要らないと思う。
でも、あたしの命を捨ててでも生きていてほしいと思う。

死んだら永遠になれるのかな。
生きていても永遠はあると思うけど。







こんな苦しさ、今まで知らなかった。
ただ体を重ねただけなのに


相手がいかせんだとこうも苦しくなるなんて。
もういちど触れたくてたまらなくなるなんて。




苦しいってば。







2004年02月21日(土)



 夢をみていたんだと今も思う。

迷ってて
迷ったまま、逢いに行った。

顔を見たら
決められるだろうと思って。

顔を見たら
きっと、もう帰ることなんて
できなくなるんだろうなって解ってて。

だから顔を見て
そのとき決めようと思って

迷ったまま逢いに行った。




でも
本当にばかみたいに
もうすごく失望するくらいに
悲惨な結末が待ってて。


・・・あの人は覚えてなかったという。




その瞬間に、気持ち決まった。


あたしはこんなに迷ったのに、
あの人に抱かれることを迷ったのに。

人生に一度きりの出来事だと思ってた
自分が本当に馬鹿みたいで
馬鹿になっちゃったみたいで
惨めで情けなくて悔しくて



その瞬間、あたしの中で何かぷつりと音がして
あの人のことを好きじゃなくなった。




解ってたけど
誰でもいいんだろうなって思ってはいたけど

でもここまで
あたしの存在否定されて

なんで抱かれなきゃいけないの?






だから帰るって言った。

ほんとに帰るつもりだったんだよ。
もう何も言わずに帰って
何も迷ってなかったふりして、恋人を大切にしようって。

酷い人だとは知ってたけど
気持ちも無いのにあたしを抱こうとするような人だって
ずっと前から知ってたけど
ここまで酷いなんてさすがのあたしも予想できない。

そんな男に執着するのは
もう終わりにしようって本気で思った。

この5年間の思いに
きっぱり、区切りがついたと感じたのに。




今そやって言っても
なんの説得力もないだろうけど。










そっからきっかり1時間半。
寒い空の下で、あたしは話しつづけた。

あたしは泣いたし
あの人を責めたし
奥さんの話だってしたし
この5年の想いだって全部伝えたし

手を繋いでも
キスされても
思いは変わらなかった。
止めるつもりだった。

あの人が
あたしを好きでそんなことをしてるんじゃないことを
痛いほど解らされて

だから本当に
抱かれたくなかった。

やっぱりね
ちょっとでも気持ちがあってほしかったんだと思う。
「あたしだから」って言って欲しかったんだろうね。

あたしが震えていたのは
寒さのせいだったのか緊張のせいだったのか

それは今でもわからない。







だけど。
あたしが選んだ答えは

一晩限りの甘い情事と
一瞬のあのひとの時間を手に入れること。




それがあたしが、出した答え。
結局自分では決められなくて
あの人が出した答えなんだけど。











「こういうことするの
 あたしにだけじゃないでしょ」
抱き合った後、わざと冗談めかして言った台詞に
帰ってこなかった応え。

嘘でもいいから否定して欲しかった。



あたしじゃないと駄目な理由が
ほんのひとかけらでもあってほしかったのに

ほんのひとかけらも、結局は無かったね。



朝が来て
来て要らなかったのに朝が来て
別々に出ようって言われた部屋のドアの前。
なんの躊躇いも無しに
あたしを放って行ってしまうあなたの姿。

そんなことわかってたけど
本当は行かないでほしかった。

言えるはずもないけれど。
笑ってじゃあねって言うしかあたしにはできないけど。






ひとりぼっちで歩いて
でも泣けなかった。


泣く方法を探したのに
泣けなかった。



全部、夢だったような気がした。
抱かれた実感がどこにもなかった。

あなたが握った手も抱きしめた体も
あなたの記憶もあたし自身も



何も要らなかった。

吐き気がして真っ直ぐ歩けなくて
こんな苦しい思い出なら要らない。
太陽の光も、春の風もなんにも要らない。



なんにも要らないから
あのひとがほしい。

あのひとの全部をください。













二度目は、もう無い。
あの人が言うなら、絶対に無い。

一度しかないから美しい思い出だなんて嘘。








ほんとうにたった一度の思い出を
あたしは一生抱えたまま生きていく。





あの人が明日には忘れてしまいそうな
儚いお互いのぬくもりも

あたしは一生忘れられないのだろう。



今日という日のことを
あの人と過ごしたたった一度の夜を

あたしは一生覚えているのだろう。



あの朝の切なく苦しい空の眩しさを
吹き抜ける春の、別れの風を

あたしは空を見る度、感じるのだろう。









せめて思い出になる前に
たった一度でいいから、泣かせて。








誰よりも多分愛してたから。








「長い間ありがとう」

それだけが、腕の中で言えた詞。






ほんとうに長い間、ありがとう。
5年ものあいだ、甘い夢を見させてくれて。

こんな感情をくれ続けたあなたに

感謝しています。






あなたのいない生活がやってくる。








今でも多分、
誰よりも、愛してるよ。






そして、これからもずっと愛してく。


口には出さないけど。












2004年02月20日(金)



 一度きりをきっと永遠に覚えてる。

たった一度きりと交わした

あなたとの約束。










終わっちゃった。




こんなにもあっさりと
かなしいくらいにあっさりと

















迷っているなんて偉そうなことを言っていても
恋人を大切にするなんて大義名分を翳していても


結局は自分がかわいくて
ほんとうはこの5年の思いに
区切りなんてつけられるわけなんてないのに


そんなことを理由に
結局大切なことさえ自分で決められないまま


あなたに決めてもらわないと
手を引いてもらわないと

約束すら果たせないほどに。













愛してもらえないことだけがわかって



朝がこなければいいと思った。







すべてが、初めて見るあなたで。



やっぱり寝顔がいちばん嬉しかった。







知らずに人生を生きていくより
ずっと幸せだった気がするのは

錯覚なのか真実なのか。








きっと今日という日を
あたしは死ぬまで忘れない。








後悔しないと決めたから。








やっぱり愛してるってわかって
なんでなのかわからないけど
愛しすぎて涙が出て

生まれる前からやっぱり
あたしはあなたが好きだったんだと思う。

こんな最悪な人だと今は知ってるのに
それでも誰より愛してる。











朝、別々に部屋を出る。

それが現実なのに。



誰より愛してると思う。













あなたにとって

ほんのわずかでもいいから

思い出になったらいい。






あたしを忘れないで。




それしか望んでないんだよ。
ほんとうに。








大切な人へ。

さよなら。













2004年02月19日(木)



 いちどきりの約束。


約束の日まであと3日。


どこかで迷ってて、でも迷ってない。
すこし、期待しつつすら、あるかもしれない。



「約束は守るよ」 あのひとが言った。
守られなかった約束だって、あるくせに。
こういう時だけ、きっと守ってくれる。



ほんとうは、覚えてなければいいと
心の何処かで、思っていたかもしれない。





終わりにできるのか自信がないのに
終わりにしなければならないなんて




あたしにできるの?





抱かれたら、もっと忘れられなくなる。

それだけは、自信ある。
きっと、予感、的中する。





忘れたままで生きていく
知らないままで生きていく

それとも、全てを受け入れて
つらさも苦しさもせつなさも全部




どっちがしあわせなのか


そんなの、わかんないから、やってみるしかない。








2004年02月16日(月)



 後悔してるおくりもの。

どうでもいいチョコレートだった。
いつもの年に比べたら
気合いの入り方なんてまるで違って
適当に入ったショッピングセンターの食品売り場。
適当に入ってるお菓子屋さん。
適当な値段のチョコレート。
30秒も迷うことなく決めた。
食べたことなんてもちろんなくて
美味しいかどうかもわかんない。
溶けてたって不思議は無い。

そんな年に限って
あたしのチョコ。「ありがとう」ってもらわれてく。
特別な意味があるようにもらわれてく。
きっと、今年は食べてくれる。
奥さん、じゃなくてあの人自身が。
今年に限って。



傷つくかもしれない。
もの凄く、傷つくかもしれない。
そして、大切な人を傷つける。

なのに、止まらない。


嘘をついて
沢山の人を裏切って



もっと、ちゃんとしたチョコレートを
あげればよかった。


2004年02月14日(土)



 生まれる前からたぶん好きだった。

あたしは、
「彼」のことを忘れているはずでした。

忘れようとしていたし
だからずっと逢ってなかったし
あたしは恋人と仲良しだったし
今も無論、仲良しではあるんだけれど

このまま、会わなくなることで
あたしは、忘れていくはずでした。




だけど、もう自分ではわかっていて
どんなに今の恋人を一生大切にする自信があっても
経験の中で、あの人だけは特別だってことを
知ってて、公言してて
でもそれはあくまで「過去」の話であって
だからあたしがいかせんのことを話すときはいつも

――――あんなに人を好きになれる季節は
     もう一生ありえない 絶対に。


だって本当にそう思っていたから。
あたしはこの先恋人を大切にしていくけど
でもあんなに強烈な感情を覚えることは
絶対ぜったい無いって言い切れたから。

それだけ、大好きだった。本当に。



だからね、思ってた。
もし、大切な人を裏切ることがあるとすれば
それは、いかせんとの間でしか有り得ないって。

解って・・たの。


それだけは、「特別」だった。
あのひとだけは、「特別」だった。



自分のこころの中で、出してしまっていた結論。
どんなに最低な人だったとしても
あたしはなんでだろう。
なぜか、惹かれてしまう。
自分でも、もう、なんでなのか解らないんだ。

まるで、あたしのDNAが
あのひとを呼ぶかのように

本能でたぶん、好き。
生まれる前から決められていたかのように、惹かれる。
苦しいくらいに。

もうどうなってもいいと思うくらいに。


明日、もし死を迎えるとしたら
あたしは迷いなく、あの人といたい。




生きていくことがしんどいことなんだって
ひさしぶりに思いました。

感情ってものがなくなればいいのにって
ひさしぶりに思いました。



あのひとの全てが
手に入ればいいのに。


あのひとがあたしだけを
見てくれたら
他にはなにも要らない。


ほんとうに、何も要らないから。




2004年02月12日(木)



 切なさだけで心強さなんてない。

嘘をついてる。

たいせつなひとに、たくさんの嘘を。



ただ、あの人に逢いたいがために。
いっぱいいっぱい、きずつけてる。


何もしらない彼よりも

あたしがじつは、きずついてるのかな。





「好き」とは微妙にちがくて
なのに追いかけることがもう習慣みたいに
ほんのすこし、やさしくされただけなのに。


もうやめたい、っていつも思ってて
だからはなれるしかやめる方法が思いつかなくて
やっとの思いではなれて暫くたって
慣れた頃に、いきなりのキス。


ずるいとしかいいようがないって
せめて言うことであたしを救って。


あたまもこころもぐちゃぐちゃで

こういうのが好きってことだったっけ。



好きなんて、もう要らない。




2004年02月11日(水)



 たったひとつの普遍とは変わり続けること。

全ての感情を、

おとなになる、ということを
教えてくれたのは貴方だったけど

――――だから尊敬してたけど


知りたくなかったものを
それが大人になるということを
教えてくれたのもまた、
貴方でした。


今もまだ
尊敬の気持ちが続いているかというと
それは、微妙で

あたしが許せないと感じる些細なことを
あなたは平気でやってのけたりするし

――――昔はしなかったのにね。


些細なことかもしれないけれど
煙草の火を靴底で消して
ちゃんと、持って帰る貴方が好きでした。

あたしの中で貴方は
そのまま、年月を経たから
ずっとそうでいてほしかったのに


変えたのは、あの人ですか?
変わったのは、何故ですか?



なのにまた、
貴方についていってしまうあたしは
そんな些細な行為を
見て見ぬふりしてしまうあたしは

あなたを雪の中、待っているあたしは


あたしだけが、何も変わりません。
変わることすら、できません。



それは、何故ですか?







2004年02月09日(月)



 君のいちばんに。

思いは、伝えないつもりだった。
今の関係を、壊したくなくて。

彼女くらい、当然のようにいるだろうなって思ってたし
別に彼女がいても、そこから奪う気もなかった。

彼が、あたしのことを少しでも大切に思ってくれていて
あたしが彼のことをそれ以上に大切なら

それだけでいいと、思ってた。
いちばんに、なれなくても。



―――なんて、いい子だったあたし。








初めて心から「欲しい」と思ったのは

「お前の喋り方、俺の嫁さんに似てる」
そやって、あの人から言われた瞬間。



実際に結婚してる訳じゃないのに
「嫁さん」なんて平気で公言するほど
大切なひとがいるんだ、って知った時。


あまりの衝撃の大きさに眩暈がして
そのとき、初めて
いちばんになりたがってた自分に気付いた。
あたしのものにしたかった、んだって。
すごく、すごく好きなんだ、って。


「似てる」なんて言われるほど辛いことない。



それが19の春の日でした。






彼をあきらめるために
忘れるために区切りをつけるために、
前へ進むために
強くなるために、した、告白。

彼女がいると知ってて、
すごく綺麗で気が強くてやきもちやきで
あたしに喋り方の似ているその人を
あたしも知ってるその人を
誰よりも大切にしていることを知ってて、


それでも伝えたかった。
前に、進むために。



この気持ちに終止符を打たなきゃ、
あたしはもう誰も好きになれないと感じた。







「お前がもうちょっと、早く生まれてたらな」

いかせんの、台詞。

「ありがとう」の言葉と共に。
あなたのぎゅっとしてくれる、ぬくもりと共に。


年の差を理由にふるなんて、
酷すぎる、と思った。

あたしはどこにも進めなくなった。







だけどあたしは気付いてた。
辛くて惨くて切なくて痛くて苦しいその事実に。

あたしがもっと早く生まれてたとしても
たとえ「彼女」より先にいかせんに出会っていたとしても

それでもきっと、この運命は変わらなかった。



あたしじゃだめだったのは
あたしが年下だったからでもない
彼女より後で出会ったから、でもない。


あたしが、あたしだったからだめだったんだ、って。
あたしが、「まこ」っていう人間だったから
あのひとじゃ、なかったから――――






なにがあっても
どんなことがあっても

地球がひっくりかえっても
爆発したとしても


いかせんの大切なひとは、
いつでもあのひとなんだなってことに


気付きたくなんてなかったな。









本当は、いちばんになりたかった。






2004年02月03日(火)



 期間限定の恋。

好きな人がいます。




その人の声を聞くたびに
その声があたしの名前を呼ぶたびに


なんでこんなに愛しい感情が
あたしを包み込むのかわからないくらい





いつからあたしは好き、と
認めてしまったのでしょうか。






横顔を盗み見る瞬間が、好き。

パソコンに向かうあの人を
少し離れた場所から見てた。
気付かれないように、傷つかないように。






もう、一生見ることはないかもしれない、
あなたの姿。その横顔。






2月に、なっちゃったよ。




――――約束と別れが、いっぺんにやってくる。


痛さと、弱さと、強がりと、
手に有り余るほどの苦しい幸せも。





笑っちゃうね。






2004年02月02日(月)
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