何でも帳。


同じ星を一緒に観る事が出来たのなら



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2002年01月28日(月) September-rain・premium




初めて一緒に迎えた朝。世界から祝福、されている様に、思った。
久しぶりにたくさん寝て、気持ちよく目を開けると…そこには愛しい人の笑顔があった。
すごく吃驚して。でも…すごく、嬉しくて。 夢じゃ、なかったんだな…って。
そんな事を思いながら、ぼんやりしてて。端正な顔に見惚れていた、というのも事実。
そしたら、苦笑されて。不意に伸びてくる手。
くす、って笑いながら、優しいキスを唇に一つ。
 「……おはよう。ティアラ」
それ、が泣いてしまいたくなる位、嬉しくて。
優しいキス。優しい声に笑顔。向けられているのは自分だけ。
涙を零さない様に堪えるので精一杯。
 「………おはよ。フリック」



 「……で、どうなった訳?」
 「………え?」
二人で朝食を食べに行った後で、たまたまルックに会った。いつも通りの不機嫌顔。
でも、心配してくれていたのは判るから。
フリックはまだ食堂でビクトールと打ち合わせをしていたから、先に僕だけが出て来ていて。
そこでルックに会って、何を話せば…どこからどこまでを話したらいいのか判らなくなってしまう。だって、ルックと別れた後から…だと話が長くなってしまいそうだったし。
元々、説明とかは不得手なのは自覚しているし。
それでちょっとだけ言い戸惑っていると、苛々していたルックがしびれを切らして。
 「………ちょっと、ごめんよ」
いきなりそう言って、僕の襟元を引っ張って覗き込んでくる。
………? 普段、ルックは人と接触するのは厭っているのに…と不思議に思っていると、何か、を確認したらしく、あっさりと離れる。
 「……ふぅーん。結局、青いの、君に手、出さなかったんだ」
…………え?何の、事?
いきなりの行動と言葉が理解出来なくて、頭の中に疑問符ばかりが浮かんでしまう。 ルックはそんな僕の様子さえも可笑しいらしくて、忍び笑いをしながら答えてくれる。
 「…もしかして、ティアラ、気づいていない訳?
  鎖骨の下についてる跡。
  一つだけだから、結局、青いの最後までしなかったんだろ。
  折角の機会、だったのに随分と勿体無い事、してるよね。
  まぁ、青いから仕方ないのかも知れないけど」
鎖骨の、下?
……指摘されて、慌てて覗き込んでみると……微かに残っている紅い、跡。
全然気付かないでいたけど、でも、これって……やっぱり。
くっくっ、と喉の奥で笑っているルックの声さえも、もう羞恥を煽る物でしかなくて。
 「……だって、話が纏まった段階で、すっごく眠くなっちゃったんだもん……」
せめてもの言い訳。
悪いのは僕であって、フリックではないと思うから。
ルックは笑いを堪えながら、苦しそうな声。
…長い間、ルックと一緒にいたけれど、ここまで可笑しそうなのは初めて目にするかも。
 「話に決着がついたんだったら、ティアラが眠くなるのは仕方ないだろ。
  君、この五日間ロクに寝ていなかったんだから。
  問題は青いの、だよ。
  馬鹿だよね、全く。折角の機会を何だと思っているのやら……」
とうとう座り込んでまでして、笑いを堪えている。
僕も座り込んで、必死に言い訳をしてみる。 だって、このままじゃフリック一人だけが悪いみたいになっちゃいそうだったから。
 「でも、フリック、今朝、優しくキスしてくれたもんーっっ!!」
 「キスひとつくらいなら、僕にだって出来るんだよ?」
そう言われて、掠めるみたいなキス、一つ。
 「……おはよう。ティアラ。
  …とでも、言われたんだろ?」
 「………そうだけど…でもっ!!フリックの所為じゃないのーっ!!」



 「………ルック、人のモノに勝手に手、出すなよな?」
上から降ってきた声に吃驚しつつも見上げると、そこには眉を顰めたフリックが僕らを見下ろしていて。 それでルックは笑いがようやく収まったらしく、ぱんぱん、と服の埃を払って立ち上がる。
そして挑戦的な瞳で、鼻で笑うみたいな表情。


 「……そういうコトは、ちゃんと自分のモノにしてから言ってよね。青二才」


返す言葉がないらしいフリックはその場に立ちすくんだまま。
慌てて僕も立ち上がって、フリックの腕に自分の腕を絡ませて、身体を預けて。

 「いいの。ゆっくり事を進めよう…ね?」
出来うる限りの笑みを向けて、告げる言の葉。



 「………まぁ、次回、が早く来る事を祈っててあげるよ」



歩く速さで、息をして。歩く速さでこの恋をしている。
睫毛が頬に触れる距離で、いつも一緒にいようね。







…という訳で、翌朝Verでした(笑)
先日発行した本に番外、として掲載しました♪ちなみに修羅場真っ最中の友達宅でパソコンを借りてちまちまと約一時間で書き上げた話。…この頃は話書きの神様がいらしていた様です(笑)
やっぱりルックちゃんが書きやすかった覚えが。そしてフリックさんの出番はほんの僅か(苦笑)
一体、次回、はいつ来るんでしょうね…( ¨)トオイメ
(実は「次回」は次の連載話になるのですが…ちょっと坊ちゃんが災難に遭ってしまうのですよ…兄さん、頑張れーっ!!)

何はともあれ、長かったこの話も今回のおまけ話で一応終幕です。
最後までお付き合いして下さった皆様に心からの感謝を♪
このおまけVerは30000HITSになったら、話倉庫にアップします。ほんの僅かですがタイムラグがあるものかと思われます(笑)
ここをチェックして下さった方に、一足早くお届け、でしたv

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