V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
うちの車を後2年乗ることにした。下取りに出しても20万円になればいいくらいのロートル車だ。2年後は0円だろう。一方、今300万円で新車を買ったら、2年後には100万円近くは価値が下がるだろう。ところが今の車なら減価したとしてもたった20万円だ! とうことは、新車を買えば80万円の損。それよりは得な道を選んだ…というのは持たざるもののへ理屈だけど。
人材育成法の講演後の懇親会で、某社長と話す。話題は二〇三高地や日本海海戦などの日露戦争ネタだったが、最良のタイミングでポーツマス条約を結んだ小村寿太郎こそ日本を救った最大の功労者だという話になった。経営の中で時期を見るというのは社長には不可欠な技量。時(しお)を見ることに長けた人材を育てる良い方法は何かないか?大きな宿題をもらった気分だ。
名古屋で行われたベンチャーEXPOを観る。不景気な時代に仕事が楽しくて仕方がない人達に多数会えて嬉しくなる。そしてそれを支援しようとするサポーターの数にも驚いた。技術・資金・経営指南など識者による支援だけでなく、コ・ワークしながら事業を大きくさせようと考えている大企業の人々も多い。金儲けよりも、「まず誰かの力になりたい」。何よりもその思いが熱い会場だった。
地元の教育委員会から手紙が来た。県では今、小中高校に社会人を講師に招いて授業を行う能力開花支援事業を行なっているが、そこに私を登録するから承諾せよという内容だ。しかしこれまでの講師陣はスポーツ選手や芸術家ばかり。コンサルタントが子供たちにいったい何を教えるのか…藤原和博氏の「一個のハンバーガーから世界が見える」のような授業が思い付かない自分の貧困さが悔しい。
「あっちの会社はブランドがあるのに、こっちはない」と嘆く企業。なければこっちも創ればいい。私は「ブランド=約束」だと思っている。企業が顧客や社会と何かを約束する。それをどんなことがあっても守り続ける。するとそこに必ず物語ができる。人はその物語を好きになる。ブランドのない会社は、お客様と他社とは違う約束をすればいい。それがずっと守られたら、そこにブランドはできる。
朝6時に耳鼻科の予約のため電話。自動応答システムだ。案内に従って診察券番号を入力。すると「サ・カ・イ・ヒ・デ・ユ・キ・サ・マ・デ・ス・ネ」と帰ってきた。そしてあなたは何番だと教えてくれた。相手が機械でも固有名詞で応答されるのは安心感が得られて良い。以前は寒空の下に並んだが、このシステムの登場でそんな無理は不要になった。人気の医院はこのシステムを採用されたい。
ハリケンジャーが2月に大団円を迎える。近頃のヒーローものには珍しく、主人公が徐々に死んでいく筋書きだ。『あしたのジョー』や『飛雄馬』、『貴乃花』『武蔵(MUSASHI)』『イチロー』などに通ずる燃え尽き症候群。先の見えない時代に『道』を見つけ、それを極め続ける「修行僧」への憧れだ。終わるのは残念だが、子供たちにひとつの生き方を見せてくれて感謝したい。
先週の日曜。ハリケンジャーライブの申込みで10時から電話。40分後にようやく繋がる。と、自動音声で「Lコードを入力せよ」。そんなの知らない!と言っても相手は機械。一旦切ってネットで調べ、再びダイヤル。が、次に繋がった時は12時だった。そして「席がバラバラになりますよ」の自動応答。機械相手に「ならば午前午後を変えて…」とは言えず。あぁ…人に申込んでた頃が懐かしい。
部下達と飲んでいたら「今思い付く四字熟語は何か?」と聞かれたので「生生流転」と答えた。すると皆「なるほど〜っ」と肯く。その次は?とまた聞かれたので「正々堂々」。こちらは「へぇ〜?」。聞くと、最初に思い付く四字熟語がその人の人生観、その次が恋愛観だそうだ。部下各自の四字熟語を聞いたがこれは案外当たっている。人の人生観を聞き出すにはこの手がいいだろう。
ワンマン社長率いる小売チェーンの常務兼管理部長。54歳で転籍したときに、「勤めるのは3年だけ。その間、人事制度改革と上場を果します。ただ私も生涯賃金は欲しい。そこで57歳までに60歳まで働いたのと同じ賃金が欲しい」と言って、4000万近いの年収を要求した。ワンマン社長と対決しながら会社を良い方向に導いていくには太く短く。「侍」の使命感と腹を切る覚悟が必要だ。
講演終了後、懇親会である社長と話をしていたら、今日1日で3つの講演会に参加したという。最初は「イラクに関する国際情勢の話」。次が「税政問題」の話。そして私の「人材育成」の話。一流の経営者の情報に関する貪欲さはすさまじい。1日に3回講演を聞くよりも、現場で仕事をしていることの方が何倍楽か分からない。己の生死に関する情報集める仕事が一番大変かもしれない。
貴乃花が引退した。終わらせなくてもいいのに、周囲が追い込んでしまった。こんな悲しいことはない。彼はただの横綱とは違う。小錦・曙・武蔵丸という信じ難い巨艦に真っ向勝負を挑んだ至高の日本人である。それなのに識者も他の横綱大関も誰もかばってやれなかった。彼は単なるスポーツ選手ではない。文化や歴史をも背負う人である。朝青龍ではその代役は難しいのだ。
イラクへの軍の派遣は必至の情勢だ。その状況見越した北朝鮮は強気の姿勢を崩さない。「いったいどうなるの…」仲間にそう声をかけられて、返す言葉がない。私は今年40歳。この世代こそ国を守る手だてを考えなければいけないのだが。子供の頃ウルトラマンや仮面ライダーに夢中だった。心のどこかで「きっともっと大きな力が助けてくれるさ」という淡い期待を抱いていることが恐い。
中島みゆきの『地上の星』がオリコンの1位だ。ある土木建設会社では、朝礼の最後にあの曲をかけてそれから現場に向うという。社員が皆「自分は『地上の星』だ」と思って、崖の上や風の中に挑むのだ。人を励ます歌は多いが、誇りを持たせてくれる歌は滅多にない。紅白で聞いた後、カミサンに「親父もお義父さんも地上の星だよな」と呟いた。そういう感覚になった人が多いのだろう。
東京のタクシーは広告が一杯。それぞれの広告が10cm×15cmで8〜16頁ものの小冊子になっている。「免疫力・自然治癒力がUP!」「海藻パワーで成人病が解消…健康生活」「はいれます終身保険」「減量はプロにお任せ下さい」「近視・乱視・遠視を治す」など健康関係ものばかり。一頃まで人がお金を払っていなかったことばかりだ。不況続きでも自分を思い通りにしたい欲は深い。
東京赤坂に12月にオープンしたばかりのホテルに泊まる。部屋に入って驚いたのはTVがないこと。代わりにテーブルの上にあったのはパソコン。デスクトップは横長の大きな液晶画面だ。これでインターネットもできるしボタンひとつでTVも見られる。映画は各500円で、オンデマンドで選択できる。1Fの喫茶店はエクセルシオールを入れていて朝食600円。新しいホテルの姿を見た。
毎年、経営方針発表会に招いてくれている会社から連絡があった。その会社はいつも優れた方針書を創り業績も好調だが、発表会の開催が遅いのが玉に傷だった。期が始まってから9週間も経ってから開催したこともあった。そのことを昨年指摘したら、今年は2週間目に行なうので予定して欲しいという。第三者の指摘に即時対応できる素直さと柔軟さ。それこそ同社の強さだと認識した。
講演を聞いて下さった大企業の方から電話を頂いた。賃金を設計して欲しいとの依頼だ。ご指名頂くのは大変光栄だが、賃金制度は戦略と同様に時代を反映して変わる。そのため“今”を追い続けていないと、満足いただける設計は難しい。私は制度設計から2年近く遠去かっている。よって信頼できる同僚を紹介することでご希望に答えたいと思うが、自分自身を悔しく思う。
カミサンが衣料品ディスカウンターのバーゲンで買い込んできた。ただでさえ安い店が30〜40%OFFである。この価格を消費者が手に入れられる最も安い価格だとすれば、ディスカウント価格がその1.5倍。普通の店での価格がその1.5倍。高い付加価値品の価格がその1.5倍。最上級品はさらにその1.5倍という原則が見えてくる。バーゲン価格の1.5の五乗(7.6倍)までは消費者は許すのだ。
フジテレビの『HR』を毎週楽しみに観ている。今週はメイキング・オブ・HRだった。いくら三谷幸喜の企画でもなんか違う気がした。本来本編を放送すべき時間にメイキングを放送していたからだ。メイキングは本来おまけ(特典映像)であって明確に本編とは区別されるべきものである。『ついで』のものを、『主役』(本編)と同じ扱いで放送し、ついに『本編』は見られずガッカリだった。
昨年行なった講演会に参加してくれた社長から新年祝賀会に招かれる。社長は、私の話から3つ実践し今期は目標通り行きそうだと語ってくれた。講演会では勝ち組になる施策を20くらい話しているが、何か1つでも持ち帰って貰えればと思っている。それを3つも実践していただけたとは感激だ。アドバイスを仕事としている者としては本分これに優るものはない。
「賢くなってはいかんよ。バカやないと人には好かれんで。人が集まってこんで」。某社の副会長からそう言われた。「生きる秘訣は、『お前バカか!』と叱ってくれる人が居て、『ハイッ!』と言うことを聞く、この『素直さ』だ」。そして「俺には『お前なんか坊主にせい!』と言った人がいて、以来自分で頭を丸めて40年間坊主だ」と続ける。坊主頭で一流の経営し続けてきた胆力に脱帽だ。
工事会社の社長が難しい突貫工事を無事終えた部下たちを見ながら「ちゃんとやってくれると嬉しくてさぁ…」と愛好を崩した。たったひとことで部下たちに報いる良い言葉だ。今、新しいコンサルが同時に4件も始まった。V字回復案件あり、新事業立ち上げ案件ありで自分一人では完全パンク状態。が、今は部下が数名育ったので安心してみていられる。終わったら、そんな言葉をかけてやりたい。
来年度の組織体制についてマネージャー会議が開かれた。ただしそれ以下の者でも興味のある者は聴講自由とした。こういう緊張感の中で会議するのも悪くない。問題意識の高い社員は、上司たちがどんな意見を戦わせているか興味を持って見ている。「なんだ、この程度か」と思われてはたまらない。実際には聴講者の発言も認めた。その結果問題意識の高い者たちのみの良い議論ができた。
ある設備工事業者の社長は、メーカーのセールスに社員数分のカタログをくれと求めた。普通一社一部なのに、全員に渡せという。発注権を個々の社員に持たせているからだ。発注者が一人に絞ると下請業者もメーカーもその人しか見なくなる。社員に気持ちよく仕事してもらうには各自が持ったがいいのだ。業者が社長に取り入ろうとしても、社長は「発注者は社長より偉い」と笑って相手にしない。
出版社に今度出す本の原稿の中間報告を送る。自分ではよく書いたつもりだったが、勝手に表現手法を変えてしまったことで評価は△。勢いで書いているうちに「こっちの方が面白い」なんて思ってどんどん方向を曲げた天罰。指摘されて冷静に読み返して、技に溺れすぎだったと改めて気づく。この時点で修正してもらってよかった。さあ、自分らしさの原点に立ち返ってやり直し。
年末から生まれてはじめて髯を伸ばしてみた。始業したら剃るつもりだが、似合うに合わないというよりは、たいして自分の意識の中で変わらないことに驚いている。自分の中のおしゃれ意識がどんどん薄らいでいっているような感じだ。腹が出ても焦りがなくなってきた。よる年なみか、余裕をなくしているのか。社会との関係意識が薄らいでいなければいいが。
年末から年始にかけていくつもパーティを経験した。ケーキも随分食べたが、今のケーキは甘くなく実にさっぱりしている。世界中でこんなケーキを食べているのは日本人だけじゃないだろうか。クラッカーも中の紙テープが飛ばないタイプが有り驚いた。こんな付加価値を追求するのも日本人だけだろう。発明はできなくても改良はぴか一。パーティの度に日本人の凄さを感じた。
最近アクセスが増えた。MyRefererを見ると「4行日記」で検索して飛んでくるケースが多いようだ。近頃「4行日記」という本が出た(小林恵智著)のでその影響だろう。同書では、4行日記は1日の日記に「事実」「気付き」「教訓」「宣言」の4要素を書けば何行でもいいと訴えている。私はそんな手法など露知らず、4行書くから4行日記と名付けたのだが…誰かの参考になれば嬉しい限りです。
新聞に広告掲載された当地区を代表する社長達の新年挨拶文を読む。どの社長も毎年同じ通り一辺倒の挨拶ばかり。当社は設立○○年…など意味のない主張も多く頭に来る。そんな中、急成長中のドラッグストアは「継続的に教育を実施し社員の資質向上に努めるとともに…」と綴っていて感心した。社員教育を読者に約束している企業は、同社だけ。こんな社長の意気込みに社員は奮い立つのだ。
メールで、今年一緒に仕事をさせていただく社長から挨拶を頂いた。「何とか“プロジェクトX”を成功させたいと思います。全力投球で、マウンドに上がる覚悟です」。「全力投球で、マウンドに上がる覚悟です」という言葉の清々はどうだろう。そうだ、マウンドに上がるその人こそ社長だ。全力投球するエースなんだ。こんな覚悟のエースを助けられるなんて…ぞくぞくするほど嬉しくなった。
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