V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
大晦日を家族で過ごす。会社とか取引きとか、そういうしがらみから開放されて、自分を取り巻く最小の組織単位に返る日だ。誰にとっても今日を一緒に過ごしている人が自分の『根っこ』なのだろう。これから正月になり、親戚と会い、友人と会ったりしているうちにだんだん自分を取り巻く人が増え、仕事が始まる。人生を御破算にし0からはじめるような行為。それも正月の醍醐味だ。
中央郵便局に年賀状を出しに行く。いつもこの時期は局前に横付けする車が多く、道路は大渋滞。ところが今日はがらすき。喜んで車を寄せると、『年賀状』と書いた大きな袋をぶら下げた人が駆け寄ってきた。「年賀状ならここで受け取ります」。なんと車から葉書を受け取るポストの役目をする人だった。この「人間ポスト」は3人。渋滞解消にデスクから出てくるとは、公社化前に感心だ。
某社の技術部長が常務に昇進した。ところが常務は大変な照れ屋。「俺を常務・常務と呼ぶなあ!」言い、肩書きを書いた名刺も出さなくなった。社長は見兼ねて彼に言った。「部下のために胸を張ってくれ。部下はあなたの昇進を誇りに思っている。あなたがそれでは部下が可哀相だ」。これを聞いた常務はこれからは組織を盛り上げていくことも意識して行動せねばならないと悟った。
ある経営者の創業当時。自宅を買うと決めた直後に、工場を買わないかと持ち掛けられた。そこで尊敬する経営者に「社長ならどちらを取りますか?」と尋ねた。するとその人は「そりゃ家だよ。工場なんて借り工場でも構わん。自宅を持つことは責任・やる気・情熱の源だよ」。「社長をやる気にさせる力は社員よりカミサンの方が何倍も強いものだ」。社長はその通りに実践し、そして成功した。
1人1時間当いくら稼いでいるか(=人時生産性)の向上を目標にしている某商社。現在の目標は5,000円。年間目標粗利益を(社員数×勤務時間)で除して算出した。次に仕事を分解し、それぞれの仕事に値段を付けた。営業訪問1回当たり○○円というように。これを合計した値段が1日40,000円以上なら会社に貢献したことになる。この分かりやすさが、社員を活気付けている。
日本のプロ野球は有名選手がいない試合はつまらない。一方大リーグでもバスケットでもホッケーでも。米国のプロスポーツは、選手名を全く知らなくても見ていて楽しい。それは、スピードがあるからだ。そこで某社の社長は来年の方針を「スピード」にした。お客様が期待する納期を1分でも上回る。そうすれば選手は無名でもお客様が喜んでくれる経営ができると考えたからだ。
「クリスマスだからというわけじゃないど何か特別なことをしてあげる…」という唄がある(作詞:桑田佳祐)。ついそんな気にさせられるクリスマス。この日に決まったことをするために、毎年念入りに準備してそれを楽しむ。それが演奏会だったり、ホームパーティだったり、イルミネーション飾りであったり。家族と仲間と。年に1度でも特別な何かを約束した日があるのは豊かなことだ。
懐かしい社長から電話を頂いた。配電盤の加工業を営んでいたが多角化精神が旺盛で、先頃土浦につり堀「フィッシング・パラダイス」をオープンしたという。是非一度見に来て欲しいというのだが、声が異常に弾んでいる。「いやあ、楽しんで仕事をしていると眠らなくていいんですね」。地元の漁師からは「網元」と呼ばれているとか。こんな風になりたいなあ…いつも思わせる人だ
「サンタクロースさんがプレゼントを持ってやってくる」。この嘘をつき通すため、見つからないようにプレゼントを買いに行き、見つからない場所に隠す。これが結構大変で、聞くとどこの家庭も同じように苦労しているらしい。世界中の人が、同じ日に同じ嘘をついてる。皆で同じ嘘を一生懸命ついているなんて、これ以上平和でいとおしいことはないだろう。
最近の家電量販店は展示がよく工夫されていて面白い。ファンヒーターもただ機械を並べるだけでなく、中の灯油ケースを出して陳列。客は灯油ケースのサイズを比較検討しながら自分が持ち運べるかどうかを基準に選ぶことができる。また炬燵もヒーターの部分を複数並べ、発熱方法を比較しながら選べるようになっている。それだけ客が学習しモノ選びに賢くなったということだ。
中核社員6人を集めた委員会を創り、行動指針などの策定したM社。委員会は終了したが社長は「たまには集まって皆で飲め」という。更に「飲んだら俺の悪口を言ってもいいし、給料が安いと言っても構わんぞ」とも付け足した。その真意を問うと「あの6人なら誰かがそう言ってもきっと誰かが『いやそうじゃない』と反論する。だからいい議論になる」。社長の社員を信じる気持ちに胸を打たれた。
月1度2時間だけ訪問している企業。行くと社長以下約50人の社員が参加する会議の正面(被告席)に座らされる。まず1時間かけて全参加者の仕事上の問題点・意見・要望等を聞く。その後私が1時間かけてそれらの問題解決に資する様々な話をする。これで終わり。どんな意見にも答えねばならない出たとこ勝負。たった2時間でも集中力を使うだけに終わったときはぐったりだ。
ある勝ち組社長から「資本主義は株主から資金を集める直接金融が基本。なのに銀行から調達する間接金融が主流になってしまった。変だと思いません?」と聞かれた。銀行は担保を出せば金を貸す。その人がどんな事業をやろうとしているかは関係なし。この安直さが、昨今の企業と銀行を追いつめた元凶だ。担保目減りで資金が必要。ならば基本に立ち返り、出資者を募る策を考えてみてはどうか。
某社の開発部長が技術者教育の秘訣を語ってくれた。「理論は基本だから徹底して勉強するよ。でもね、理論は手抜きなんだよ」「手抜き…ですか?」「現実にはその通りにいかないことの方が多いんだ」。確かに現実にはいろんな制約も邪魔も入る。「その手抜きの部分を埋める手だてを考えれば、それが特許になる」。付加価値とは何かに通ずるこの解釈、誠に実務家らしい諦観だ。
勝ち組某社の研修企画。依頼は「実務はいらない。意欲が欲しい」。実務スキルの修得ではなく、今のモチベーションを、更に高めることが最大の課題。同社はISOを導入したときも「認証が欲しいのではない。仕組みが欲しい」との姿勢から一切標準(見本)マニュアルを見ずに作成した。「××はいらない○○が欲しい」は、経営者の意思を強く伝える言葉のひとつだ。
社長に限らず、忘年会での隠し芸等を「大切なこと」と考えているビジネスマンは多い。自分もそう思うが、なぜそれが必要か、なかなかその理由が見付からなかった。今日話していた社長曰く「人は常識を潰されたとき本性を出す。コイツがここまでやるか!言うか!みたいなことがわかるから面白いし、大切」。聞いて「なるほどなぁ」と納得し、長年の悩みから開放された。
子供の幼稚園の音楽発表会を観て、そのレベルの高さに圧倒された。とりわけ年長組が演じたユーミンの「春よ来い」の輪唱には凄かった。考えてみれば私学と公立との差がもっとも分かり易いのが幼稚園だ。私学だからできることは多く、都心部に住む親が小中高で私学入学のため早くから子供を塾通いさせる気持ちが分かる気がした。といってもウチは公立しか選択肢のない田舎だが…
多忙を極める某社長が「いやあ、一番仕事しているの秘書ですよ。今9時だけど彼女はまだ会社で働いているはずです」と語っていた。誠にその通りで、社長が飛び回れるのも秘書が陰で支えてくれているからだ。私も専属のアシスタントを持つ身だが、仕事の依頼の仕方、励まし方…は皆目自信なし。もし「秘書の使い方セミナー」なるものがあるのなら、是非一度受講してみたい。
高卒ながら20代で税理士となり、県下随一の税理士事務所を築き上げたT先生。成功要因を聞くと曰く「私は頭は悪い。でも人の倍の仕事をする自信がある。倍やればたいてい勝てる。それでも勝てなければ3倍やる」。またある社長は「私は失敗したことがない。なぜなら成功するまで諦めないからだ」と私に語った。どんなに泥臭くても自分の勝ちパターンを持っている人は強い。
とても強い目をした人だった。若干25歳ながら会社を創ることが夢という。規模を尋ねるとハッキリ「社員数65人」。30人を1ユニットとし、2ユニットまでなら自分の目が届くからだ。+5人は努力目標という。反面、親戚・友人は一切経営にはタッチさせない方針。彼女は22歳にして日本一のPCインストラクターと呼ばれた経歴の持ち主。その意気に一回り以上上の自分がたじたじだった。
朝礼で3分間スピーチや決意表明を行う会社は珍しくないが、毎日1分間黙想させている会社があると聞いて驚いた。その1分間で昨日を振り返り、反省し、新たな気持ちで今日の仕事に向かうことが狙いである。前日を振り返ることは、誰もがその重要性を知りながら、なかなか習慣化されていない。毎朝の黙想は、自分を見つめる良い機会になるだろう。
大阪府内モスバーガー某店の店頭には、店員が自分でメッセージを書いた黒板が置いてある。「昨日、家の近所を散歩していると銀杏の木がキレイに色づいていました。ちゃんと見たのは始めてだったので心から癒されました。アルバイト××より」。なんかいいなあ、こういうの。誤字があるところも愛らしい。こんな情報ひとつでおじさんは親近感を持ってしまうのだ。
S社の新工場の落成式に、大企業の役員や銀行の支店長が駆けつけた。このとき大手企業の役員は駅からタクシーを使ったが、銀行の支店長は運転手付の車で来て、終わるまで運転手を待たせておいた。これを見たS社長は「あいつは何様だ!」と憤慨した。私も親会社から与えられた高級車を、敢えて返上した辣腕社長を二人知っている。銀行にはその実利感覚を見習って欲しい。
問屋の戦略を調べていてあることに気が付いた。メーカーの市場支配力の強弱によって進出するべき方向が違うのだ。メーカーが強い場合は川下に出て、お客様の在庫管理機能を代替する(酒・薬・油等)。逆に弱い場合は川上に出て、メーカーに商品提案したりPBを開発する(食品・電機・建材等)。コンサルタント10年でやっとこんな当たり前なことに気が付くとは何とも情けない。
携帯電話のD社は中高生市場でJ社に押されている。不思議に思いD社の友人に「D社は若者にD社の何を理解して欲しいの?」と聞くと「……」。理解して欲しいことがないのは、若者の今の想いが分かっていないからだ。J社は「とんがって生きよう」という若者の気持ちを汲んだCFと店舗で応えている。D社にはその対局の「頑張らなくたっていいじゃん」の癒し路線を主張して欲しい。
先日地元新聞の「この人」の欄に掲載された。すると「全国報道保存協会大分制作局」から手紙が届いた。私の掲載記事を銅板にエッジング加工し、記念額にしますという案内で医者などでよく見かけるでやつだ。料金は18,900円という。頼むつもりはないが、こんなスキマ産業があるのかと驚いた。担当者は集めた全国の新聞を、毎日血眼になってめくっているのだろう。
大学時代の同級生が、500人のベンチャー企業の役員になった。その彼からマンツーマン指導を受けている部下に彼の印象を聞くと「こんなに夢を語る人を見たことがありません」。これは上司が部下から貰う最上級の誉め言葉だろう。周囲に良い影響を与えることが管理者には不可欠で最も難しい要件なのだが、僅か40歳でそれを果たしている友人を心底羨ましく思う。
2泊3日など海外に短期出張する人が増えているが、なにもそんなに早く帰らなくてもよいのではないか。期待する社員には「仕事が終わったらその後3日、現地で時間をやるから好きなとこを回ってこい」と指示して欲しい。彼は現地で飛び込みセールスをしたり、人づてに新たな人と出会ったりするだろう。現地の視察は国内のデスクにいるより余程刺激的で成長するものだ。
10年前、小さなコンサル会社の入社面接を受けた。その社長は「君は採用しないよ」と言いながら、コンサルティングのコツなどを約3時間も語ってくれた。このとき教わったことが今の自分の礎になっている。その社長はその後とても有名になり、今日、彼の講演を聞く機会に恵まれた。挨拶すると昔のことを覚えていてくれた。近況を報告しながら深謝することができ、感激した。
岐阜市の紙の商社。9年前、紙のサンプルをそのまま配ってもつまらないと、サンプル紙にメッセージを印刷して配布しはじめた。メッセージは女子社員が新聞雑誌等から選りすぐったものを三編掲載。以来、毎週メッセージを変えながらお客様に届けられ、好評を博している。そしてこの試みを9年・毎週やり続けていることが、同社の品質を語らしむ大きなサンプルである。
子供が『バグズ・ライフ』を何度も見たがるので、レンタルではなく買うことにした。そこで心当たりの300坪の店に行ってみると、店内はDVDオンリー。レコード盤が一気にCDになったように、VTRは一気にDVDに代わりつつある。CDになってレコードの所有が進み、レンタルレコードは廃れた。DVDの所有が進めば今後はレンタルビデオ屋が衰退するかもしれない。
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