V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
親しくしている勝ち組社長と遊ぶ。いつも恐ろしく元気な人が50歳を過ぎて保守的になったと嘆く。「意欲はあるが、思うように身体がついてこない。思ってもやらないのは、何もやらないのと一緒だ」と自戒していた。逆風吹きすさぶジャスダック上場から1ヶ月、疲れもピークのようだ。こんなときこそ自分は、社長の「打出の小槌」でありたいと思う。
大手システム会社に勤める中小企業診断士A君の相談。某商店街へのインターネット導入事業を担当しているが、全然儲からないという。利益が出ない事業から手を引くべきか…それとも診断士として関わり続けるべきか…。こういうときの判断基準は自分の人生観だ。企業人と診断士。どちらの自分でいるのが好きなのか、それを考えて選べば良いのである。
AERAに「目が強くなった女たち」という記事が載っていた。目元を華麗に化粧することで、魅力的な女性になるという。沖縄行きの航空機内でみた女子高生達も皆強い目をしていた。「目の色」はその人の内面を最も表すが、これをごまかされると本当にダマされそうだ。こうなると人の内面を判断する基準は「口調」しかない。なんとも難しい時代だ。
かねてから福岡空港のアクセスの良さを聞いていたが、実際に体験するとその便利さが実に気持ち良い。その地下鉄に乗っている間に、各駅が独自のマークを持っていることに気がついた。博多は反物、大濠公園は桜、呉服町は宝船、姪浜はヨット…各駅のアイデンティティが凝縮されたマーク。考えて見れば、至極当然のこと。ない方がおかしいと思う。
沖縄から福岡へ全日航で移動。この間90分、ただの一度もスチュワーデスと会話しなかった。飲み物や新聞を配ったり、カタログ販売いかがですか?といった機内サービスがゼロ。あの美貌と接触がないのは残念だが、飛行機はもはや特別な交通手段ではない。航空各社の財政から見ても飛行機ワンマン運転時代はそんなに遠くはないだろう。
友人が語る沖縄の人の暮らし方を聞きながら、この島では2種類の生き方ができるのだな、と思った。ひとつは、ビジネスの世界で成功を望むこと。もうひとつは家族と仲間を大切にあくせくせず、自然を相手にのんびり暮らすこと。前者だけが正義だった時代は過去のものだ。後者のような人生観を持つ若者は多い。大人にはそれを受容れる度量が必要だ。
沖縄。友人と家庭料理の店に行き、感動したことが2つ。第1は「運動会みかん」。運動会シーズンに実るからついたネーミングだが、誰もが運動会という地域交流を大切にしている様子が伺える。今ひとつはお茶漬けに漬物が少量づつ5種類も付いてきたこと。店内の三線にも触れることができ、沖縄の人の来客をもてなす細かい心遣いが感じられた。
マリナーズが負けた。上には上がいるものだ。この負けをバネにイチローは来年も素晴らしいプレーをするのだろう。ライバルほど自分を鍛えてくれる存在はない。ビジネスマンにとって最大のライバルはお客様である。お客様の期待値を上回る成果を挙げることがプロ。新規顧客開拓は自分を成長させてくれるライバル探し。さぼるわけにはいかない。
11人の部下を抱える某社の部長。やってもやらなくても給与が変わらないため、このうち6人は全然やる気がないと嘆く。仕方がないので5名だけで目標数字を達成する作戦に変更。作戦会議にもその6人は呼ばず、壁には5人だけの成績票を掲示した。全員が手を携えて会社を支える時代は終った。自分の誇りのために働く人が頼れる時代なのだ。
勝ち組の近況を聞いた。ユニクロは同じビジネスモデルで展開できるCVSの買収に動き出したという。マックはスタバに対抗するため、マック東京カフェを展開するらしい。トヨタは30%のコストダウンに挑んでいるが、猛烈にIT化しないと実現しないテーマだ。彼らは現状に満足しない。変化するから、いつも勝ち組であり続けるのである。
3歳の息子は、巨大ブロックを使ってお店屋さんを創る。最初はおもちゃの野菜や果物を並べたSMだった。暫くしてミニカーを並べたおもちゃ屋に模様替え。その次は本とビデオ屋にチェンジ。そして今はスタンドコーヒーだ(それも2店舗)。何も教えなくても小売業の基本を実践する息子。スクラップ&ビルドと多店舗化は人間の本能なんだろう。
3000坪級の中古車展示場を10ヶ所も持つ経営者。先日、隣地1800坪の売りが出たので購入したという。その土地は神社。この神社は後日移転するが、その跡地で何を始めようか…が悩みの種だ。「元神社の土地でやった商売で、成功した商売を知らないか?」。中古車は、典型的な面積ビジネスのひとつ。その旗手でも土地をもてあます時代。不景気は当面解消しない。
人事考課後の部下面接を終える。当社の考課票をそのまま使うと採点側には「何のためにこんな視点で考課するのか?」、部下には「こんな項目で評価されたくない」という気持ちが起きる。そこで私は自分流の考課票を作り部下と仕事の何をどう見るか、納得した上で行っている。同じ時間を掛けるなら部下の育成に繋がるよう、楽しく行うべきなのだ。
N社では毎日の作業日報を「人事考課票」と呼んでいる。その日の仕事を実行したか、どの程度できたかを振り返り、100点満点で自己採点するのだ。もちろん上司が見て、必要に応じて点数を修正する。そして半年間の合計額がその人の賞与査定の点数になる。毎日査定、毎日フィードバック。これ以上に上長と部下が納得しあえる方法はないだろう。
昨日の討論会。「上司に迷惑かけたくない」気持ちから報告せずにがんばり続けた若手が、大きなミスを招くことが多いという。そこで課長に「部下の尻拭いは、全仕事の何%?」と聞くと40%との回答。同じ問に常務は80%。ということは、部下が甘えなければ上司は失業だ。若手諸君!わからないことは素直に尋ねればいいのである。
18時よりH社で幹部を集めた討論会。今日のテーマは「報告」。報告の怠慢から発生した問題を取り上げ、報告のルールを決める。クレーム情報と社員の一身上の変化だけは社長に即報告することを決議。社員の自主性を引き出すには手続きが必要。終業後の3時間の会議で参加者の態度が改まるのだから、討論会は命令より効果が大きい。
経営者からサインを求められる。名前だけでなく、何か言葉も書けという。そういえば…松下幸之助は「素直」、一倉定は「顧客第一」と書いている。自分の信念で他人に勇気を与える言葉。改めてそんな言葉を持つ人の凄さを思う。結局「情熱無尽」「独創入魂」と書く。自分の造語だが、それがまだ信念と呼べないことは自分が一番よく知っている。
狂牛病問題で、牛肉は全く信用できなくなった。出張の多い身としては15分程度で食事を済ましたいことがしばしば。そんなときの牛丼屋が、怖くて入れない。先週も我慢してコンビニ弁当で済ました。ここで改めて牛丼屋のライバルはコンビニだと実感。スタバが近くにできるとマックもコンビニも前年割れするというが、こういうことなのだ。
広島の社長に誘われて飲みに行く。行った先は、懐かしいドヤ街。窮屈な思いをしつつ地元の珍品を頂く。美味い。カウンター内では1家4人が明るく働く。客と会話を交わす父親と対照的に、必要以上に語らない坊主頭の息子の姿に好感を持つ。客が両親の客であり、自分の客でないことを十分に心得ているのだ。
著名な経営者の講演を聴く。曰く「私は月に3本以上の講演会を聴いています、そして全国の同友会等で講演するのは年間30回ぐらい。聞く方が多いでしょう。だから情報が集まるのです」。これを聴いて目から鱗がボロッと落ちた。今月は22件、夢の実現などと講演回数の多さを自慢していた自分の浅はかさを痛感…。
僕の最も嫌いなTV番組は、新聞記事を読み上げるものだ。本来は競合するはずの新聞記事を、真実である保証もないのに真実のように読み上げて報道する神経を疑う。人に頼れば品質が低下して当たり前。戦争報道もAPやCNNから買ってばかり。「報道の自由」を訴えるジャーナリストの誇りはどこにもない。
米国はイスラム国のテロを事前に知っていたという話を聞いた。敢えて無視したのは、制裁によりタリバンを徹底的に破壊し、各イスラム教国を自由経済の配下に置くためだという。理由はカスピ海周辺に眠る天然ガス。石油に代わるエネルギー市場を支配するためだ。真意は不明だが、報道を鵜呑みにしない癖はつけたいものだ。
戦争が始まった。後方支援とはいえ、我国は実質的に『参戦』している。米大統領は今回の攻撃でテロの危険にさらされた、と発表したが、日本もテロの標的になるだろう。米軍施設はもちろん、新幹線爆破ぐらい起きても何の不思議もない。首相は我々にそのような危険が迫っていることを大統領のように示すべきである。
校下の大運動会、武者行列が続く岐阜信長祭、神社での子供相撲大会、野菜売りの行商…昔懐かしいコトに出会った1日だった。意外なことにどこも盛況。少子高齢化や構造改革など変化への不安を、昔と変わらぬ行事に参加することで忘れたいのかもしれない。地元の伝統行事は、癒し系ヒット商品と同じ特質を持っている。
10年以上の付き合いのある社長に呼ばれる。新会社で行うリサイクルビジネスの調査依頼だが、その会社名は「I−nok」。由来は「いつか・なりたい・大きな・会社」の略だという。同社長は他にも「T・T・K」という会社も経営。こちらの語源は「獲らぬ・狸の・皮算用」。万事これくらいの遊び心がある方が、うまく行くものだ。
毎日が講演会。今週は5件で述べ1,200人に話した。聴講者数は去年から今日までの通算で10,000人を超える。11年前コンサルタントを志したとき「『講演と執筆の日々』を送りたい」と願ったが、それが実現した。何が契機でこうなったのかはよく思い出せないが、「望んだことは必ず実現する」というのは真実だった。
市民ホールで講演会。講師控え室の楽屋から舞台への通路には全身鏡があった。役者が自分の衣裳を確めるためのものだが、鏡の周囲に緑・赤・黄色のランプが付いていて異様だった。役者がいろんな色で自分を映して観るためにこんなランプがあるという。たかが鏡でも使う人のニーズによってこんな風に変わるだ。
金沢のホテルに泊まる。チェックアウトのときフロント係から「では酒井さん、次は8日にお待ちいたしております」と声をかけられた。予約をしたときに8日の分も一緒にお願いしたが、この担当者はそれを知っているらしい。ITの恩恵か個人の記憶力か…いずれにせよ、この一言で僕はとても良い気分になった。
講演後、生コン会社の重役と懇談。「構造改革するならとっととやって欲しい、死にそうなゼネコンはバッサリ潰せ、そうしないといつ不渡りが出るかわからずに怖くてたまらない」。リスク回避のため間に商社を通していたが、先月ついに商社が「もう耐えられない」と取引を断ってきたとか。手術は早く行うに限る。
1日に2本講演会をこなす。いつも帰り道は「ああ言えば良かったな」という反省ばかり。黒澤明監督は「最高傑作は次回作だ」が口癖だったそうだが、悔いを払拭するにはそれしかない。改善は永遠に終わらない−それを知るビジネスマンにとって偉業を「通過点に過ぎない」と語った高橋尚子やイチローは同胞である。
マラソン世界最高記録の高橋尚子とMBL新人最多安打のイチロー。どちらも日本人には夢また夢の偉業だ。高橋尚子は「秒」単位でタイムを管理し、イチローは次の目標を聞かれて「次の1本」と応えた。綿密な細かい管理が、大記録を生んだのだろう。百万円以下は金やない、とそう思う者ほど失敗するのが経営だ。
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