正統派な次郎長でした。
久しぶりに仁侠映画って観たなあと思いましたね。ああ日本映画だってしみじみ感じました。
役者さんたちも実力派が勢揃い。主演の中井貴一から始まって、笹野さんや近藤芳正、鈴木京香に勿論長門さんもですよ。 中井貴一は非常に背筋がぴんとしているので、剣を持つと締まります。温水との立会いではまるで指南役のような振る舞いで、これがまた似合う。壬生義士伝の時も思ったけど人のいい凄腕の剣客ってのが似合うんだよねえ。
時代物で、次郎長なので、チャンバラシーンはしっかりありました。アクションというよりはチャンバラ。役柄がヤクザな方々なのでチャンバラという表現が似合う。 笹野さんもご老体に鞭打って刀を振り回しておりましたよ。
結構笑える映画でした。脇の方々がいい味出してまして、面白いんですよそれが。
後半にならないと出てこない木村佳乃なんですが、この人がまた着物が似合うんですよね!一緒に観に行った私の友人なんて、「木村佳乃は洋服だといまいちだけど、着物だと美しい!着物美人!」と興奮気味でした。 木村佳乃の着ていた着物も良かったんですよ。黒と生成りかなあ、の縦縞に緑の博多献上白抜きの帯で。緑色の帯ってあんまり見ないんです。そのなかでもこれだ!と思うのはほんっとになくて。でもあの帯は良かったなあ欲しいなあと思いました。
や、木村佳乃の演技も良かったんですよ!着物の話ばかりですけど。 権現さんに男の愚痴を語るワケありの女って風で。
お蝶さんは比較的死ぬ間際まで元気なので、まさか死ぬとは思わないんですが、話の流れ的には死ぬんだろうなあと思いながら観てました。死ぬまでが早いですね。そして、死の床の画でもちょっとした笑いを入れる演出。 一徳さんが、嗚咽を洩らさぬよう、堪える為に拳を口の中に入れて噛み締めるんですが、この演技がまた泣かせる。次郎長親分の一の部下ですから。親分の奥方を看取るときに、死に行く奥方に不安を残さぬよう、悲しみを悟らせまいとして嗚咽を堪えるその姿がまさに忠義。
ただ、なんで文久やってたのが蛭子さんだったのかは謎。確かに妻を寝取られるような情けない男っぷりではあるんですが、それでも博徒の親玉っていうあたりが謎。しかもいまいち舌の回りが悪くて台詞は聞き辛いし、演技下手だよねえ相変わらず。
竹内力は出るたびにおかしくておかしくて。 おまえなんでここにまでいるんだよ!っていう。しかも現れ方がとても昔の悪役。 異様に肌の色が黒いのが気になりました。そりゃスケコマシに見えますよ。いい女侍らせて楽しそうだなあ人生。引っ掛かる女は皆、おまえの床上手に惚れたのか!と疑いたくなる(笑)
北村一輝は結構おいしい役どころ。 最初から次郎長一家のお仲間かと思えばそうでもなくて、でもあっさりするりと小政におさまってるあたり、ちゃっかりもの? いつも敵役とか敵役とかライバルとか、そんなんばかりだから、下っ端な北村一輝は珍しい。
結論。 パンフレットを買ったのに、どこに仕舞ったかわからなくなってしまいました。
全体的に静かで、美しい話でした。
人間の生と死を扱った重いテーマなんですが、前半は軽妙なテンポで進んでます。 納棺師のお仕事、遺体を清める場面から始まるんですけど、これがそう重くない。どちらかというと笑いの方が多いくらいなんですが。 何せ”ついてる”んで(笑)
主人公が元チェロ奏者ということで、全編通してチェロの美しい響きと、久石作曲のテーマ曲が流れてます。 この曲で泣かされる。
死体と初対面、しかも腐乱したなかなかの一品――という場面では、本木の気分の悪さが観客の笑いを誘うというか。まあ慣れないうちは誰でもそうなんでしょうようん。私も大悟と同じく人の死に直面したことはまだない。葬式も出たことない。
余りに酷い遺体とのご対面後、生きている人間の暖かさが身に沁みる。そして広末のギリギリの下腹部(笑)
食べるシーンを敢えて重点的に多く取り入れているのは、生きるための姿勢ってところだろうけど。人間の三大欲のひとつだし、生きる意欲だよなあ。美味しそうに食べてるんですこれが。
小さな子供用のチェロで弾いている場面は、親子の繋がりを表現しているんだろうかと。夢を諦めチェロを手放してすっきりした筈の主人公が、捨てた夢に執着してるって風でもないので。長年の習慣みたいなものだろうけど、少しずつ明かされていく父親とのエピソードがね。
本木の周りを固める役者さんたちが皆いい味出してるんです。 山崎さんはさすがの貫禄で、もうそこにいるだけで滲み出る何か。こんな人に納棺してもらえれば感無量みたいな。や、死んでるから何もわかんないんだろうけど、その作法を見る側の遺族としては。
風呂仲間の笹野さんがこれまた素敵で、後半になってそんなところに出てくるのかよ!って。 頭の固そうな息子役に杉本哲太さんはハマリだし。
私的に山田辰夫さんが凄い良くて!頬のこけた感じが役作りなのか天然なのかちょっと不明だけど、奥さんに先立たれて哀愁漂う雰囲気が似合いすぎ。最後の最後で棺にしがみ付いて男泣きが素晴らしすぎる。この役者さん好きだなあホント。
死者を食い物にしてるイメージで始まる納棺師。何も知らなければそうなんだろうけど。嫌なイメージはあるわな。そんな職業があること自体知らなかった私は特に何も先入観はないんだけど。 その代表としての役割で幼馴染役の哲太さんと妻役の広末で。 母親を納棺するための大悟の仕事振りを見て、そんな封に決め付けて蔑んでいた自分を恥じ、死者の尊厳を敬って扱う大悟を見直していくっていう流れでしょうか。 「夫は納棺師」と断言する妻の台詞はあんなに否定していた大悟の仕事を認め、支えるという点で重要だろうなと。
納棺シーンでの山崎さんと本木の所作が大変美しいです。 そこを強調して撮っているとはわかっていても。
蒸発した父親を納棺する場面でのあの石と、妻の妊娠、腹の子供という点はまあありがちだなとは思う。 綺麗過ぎるくらい綺麗に作られていて、その点が性に合わない人には駄目でしょう。
結論。 遺体役の方々の腹が呼吸で膨らんでないかとか動いてないかとか正直気になりました(笑)
2008年09月07日(日) |
20世紀少年・第一章 |
本格科学冒険映画(笑)
うまく纏めてあったなあと(原作者が脚本に関わってるんだから当たり前)
細菌を撒き散らす巨大ロボットに立ち向かっていくケンヂ――まで。 まあそうなるんだろうなあと思ってた。ので、来年1月公開の第二章はカンナが主役のローマ法王暗殺阻止の話でしょう。私は9巻までしか読んでいないのでその後の展開はまだ知りません。
長編漫画ですからね、色々なところを削って端折って、繋げて、すっきり纏めてありました。大事なところはちゃんと残ってるし、齟齬はなかった。さすが原作者。
観始めて途中まで、監督が堤だということを忘れていました。あの、堤監督独特の演出が全くないんだよねー。確かに笑いが入っちゃ20世紀少年じゃなくなるんだけど。トリックやIWGPやケイゾクなどが好きな人にはよくわかる(笑)チープな舞台や道具はないし、コマを切り詰めて作ったような映像が少ないんですよ。 制作費かかってますしね(生々しい話)
これがドラマやオリジナル脚本だともっと遊ぶんじゃないかと思うんだけど(映画でも遊んでたか)、扱ってるのが独自の世界観を確立してしまっている漫画だからだろうなあ。小説とは違って視覚から入るから弄りにくいんだと勝手に解釈。ただ、オッチョの格闘シーンとか場面の切り替わりとかに堤らしさが滲み出てる。それ以外は結構素直に撮ってると思う。
原作つきの映像化は難しいからね。ファンの声が。私も原作至上主義だし。
誰よりもオッチョの少年時代役の子が原作の絵と似てると思った。 豊悦オッチョも似てるんだけど、どっちかというとあの長身ともっさい長髪に眼が行くからね。特徴を掴んでいれば問題なし。 佐々蔵はフクベエなので、余り目立たずでしゃばらず、あっさりと消えていきました。折角佐々蔵なのに勿体無いと思ったのは私だけじゃない筈。もうちょっと出番と台詞があるかと思っていたんだけど、フクベエのエピソードが切られていたので仕方ないか。
ケンヂの姉の貴理子は黒木瞳ですが、ちょおっと年増だよね…美しいんだけどさ。ケンヂの姉ならそれなりに年食ってるんだけどさ。 ヨシツネな香川は第二章に期待。モンちゃんの病気の話はカット。二章に出番はあるのか否か。
海ほたる刑務所から始まり、角田に血の大みそかの真実を語りながら壁に穴を掘るオッチョのシーンまでが第一章。ちなみに角田役は森山未来(眼鏡つき)なので第二章に出番です。
及川光博は見当たりませんでした。ので、パンフレットを見てみれば、ああいたよロックバンドのボーカル……あれ気付かないってメイクとカツラで。みっちーのファンなら声でわかるのかもしれないけど。
予想以上のちょい役で様々な芸能人有名人が出演していて、追いつけません。もう誰だっけあれ、くらいで。
タカトシとオリラジはどちらもセットで出番。別にヤツラでなくてエキストラとか新人さんとかでよかったんじゃねえのと思うところで出てるけど、台詞もあるし認識する時間もあるから有難い遣われ方だと思う。
遠藤憲一が出てきたときは喜んじゃいました。血痕とか銃とか死にかけとか良く似合う。まるでヤクザな風貌がまさに追われる鉄砲玉(笑) ドンキーは最初から死んでるし、少年時代ばかり映されるので生瀬に殆ど出番ないんだよねー堤と生瀬なのに。 でもARATAには気付かなかったなあ。「蛇とピアス」のARATAも言われないとわかんないだけど「ピンポン」の印象強くて。まさか坊主頭で宗教はまってる役なんて思わないし。
あ、今パンフレット読んでみたら、原作に忠実に作るとあった。道理で違和感ないんだ、コマ割やカット、アングルに演者の仕草にまで原作に近づけてって、そりゃあ堤色が少ないわけだ。あの堤作品のもつ妙な”間”みたいなものがない。
時系列のわかりやすい流れになっていましたね。少年時代から血の大みそかまでの一連を繋げてるわけですから。
ちょこちょことマルオが何か食べてるのが微笑ましかったです。
エンドロールが終わった後に第二章のCFありました。ユースケ・サンタマリアらしき人物がいたくらいしか確認できませんでした。 カンナの話です。
結論。 トモダチ役は誰なんでしょうねえ。
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