(仮)日記
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2006年03月11日(土) エミリー・ローズ






悪魔祓いの儀式に失敗して女性を死なせてしまった神父の裁判のお話でした。
宣伝では、悪魔の存在を認めた裁判、というフレーズで売っていましたけど、まあ、観てみたらちょっとニュアンスが違う。
でも結構面白かった。ただ、結末が納得いかないだけで(それってどうなのさ)

話は神父が拘置所に入れられているところから始まって、裁判の進行と共に回想シーンを挿入して、問題の悪魔憑きから悪魔祓い、エミリーの死について語るっていう構成で。

悪魔は見えないもの、不可視という存在であるからこそ恐怖感が増す、と思う。映画も、悪魔は見えず、見えない何かがエミリーに迫り、取り憑き、奇行に走らせるという風に進んでた。のに。
なんで神父の悪魔との遭遇シーンで、黒尽くめの人影を映したかなあ。実体化はさせない方が現実味があると思うのに。あれは神父の視点だからというのもあったんだろうけど、人影が映った瞬間、興冷めしたな。

ホラー映画ではないと銘打っていたけれど。
確かに、あれはホラーじゃないなとは感じたが。
エンターテインメントを考えるなら、もうちょっと違ったやり方はあった筈。

そのうえ、悪魔の存在を認めた裁判っていう売り文句も違うよなあ。

結局、エミリーは自分自身で二度目の悪魔祓いも医療的措置も拒んだわけで。神父がエミリーの薬をやめさせたということが重要な問題になっていたけど、本人自身が飲まないと決めたのなら、所詮医者ではない神父がそれを咎めることも、無理に薬を飲ませることもできないだろうし。
エミリーの手紙を見る分には、エミリーは自身で死を選んだようなもので、エミリーの世話をしていたのは神父かもしれないけど、エミリーの死自体には特に神父が何かしたというわけでもないし。
本人が生きる気力を失っているのなら、いくら周囲が励ましても余り意味はないようにも感じる。それで、神父の過失致死って問えるの? 医者は患者が嫌がっても無理にでも薬を飲ませるって言ったけど、それは医者だからこそだよなあ。

最終的に神父は有罪で、けれど、陪審員からの粋な提案のおかげで神父の刑の執行は裁判終了と同時に終わって。
悪魔の存在を認めたからこそ神父は刑務所に入らずに済んだってことなんだろうけど。

エミリーの死はエミリー自身による治療の拒否が原因だったと私は感じたから、元々神父には罪はなかったなんじゃないのか。
又は、本当にエミリーは悪魔に憑かれていて、エミリーが死んだのは悪魔による妨害やら何やらが原因だったのなら、矢張り神父には罪はないのではないか。悪魔祓いには失敗したが、それは神父が教会から認められたエクソシストではないからということもあるだろうし、二度目の悪魔祓いをエミリーが拒んだこともあるだろう。
結局、エミリーなんだろ死んだいちばんの要因は。
っていうかまず、被告人神父対国民ってどういうことさ。刑事裁判じゃないんだろうかそれは。過失致死だと民事なの?

エミリー・ローズ役の女優さんはうまかった。悪魔に取り憑かれた様子がうまい。腰の折れ具合、指の曲がり具合、目の剥き具合とか。うわ怖ぇ、と思った。
その割りに、医者の扱い方はいまいち。問題になった事件自体でそうだったのだろうから仕方ないんだとは思うけど、医者が出てきた時点で、証言台に立つ前に事故か何かで死ぬんだろうなと思ったし。まさにその通りだし。
医者が証言したらその後の話が続かないしな。神父に非がない証拠となって神父の無罪の印象が強くなるわけだし。
この映画は、悪魔を認めた裁判であるというところに着目したというのなら、神父にあっさりと無罪になられては困るわけで。悪魔の存在の不確かさと相俟って、エミリーを死なせてしまった神父の罪の重さは大きいものになる、と。

裁判の途中で、神父の弁護士を悪魔が狙っているような話の作り方してたけど、弁護の邪魔をしているようだったけど、その悪魔のやり方も中途半端だったよなあ。証言に立つはずの医者が死んだのは、悪魔が事故を誘ったようにも感じるのに、弁護士自身に危害を加えることはしなかったし。出来なかった、ということなのかな?
偶然、弁護士のイニシャルの文字を彫った金のペンダントを弁護士が見つけたのは、あれは何を暗示していたのか。この場合は矢張り神か?この映画の場合は聖母マリアかな。
とにかく、ペンダントの意味は何だったのか、それは全然わからない。

六体もの悪魔がエミリーの中に入っていたということだけど、そのうち二体は有名な悪魔だった。ルシファーとベリアルね。123456、と数えてるから、もしや666?!と要らぬ期待もしたけど、獣が現世に現れてたらそりゃ大変だよ。エミリーはもっとすごいことになってたよきっと。

聖母マリアとエミリーの邂逅はとってつけたようだったなあ。エミリーの夢とか願望だろうよそれはと。実際そうなんだろうと思うけど。辛くて耐え切れなくて自分に都合の良い解釈を作ったって感じがしないでもない。聖人に現れる聖痕も、思い込みが強すぎて出来るんだっていう説もあるしね。エミリーの場合は有刺鉄線を握ったらしいけど。

あと、気になったのは、その時の悪魔祓いについて。
エクソシストでなくても境界の承諾さえ得れば悪魔祓いの儀式って出来るのね。その辺の詳細が知りたいなと思ったけど。教会もおいそれとGOサインは出さないだろうしさ。



結論
ホラー映画じゃないからそこまで怖いわけじゃないけど、精神的にくるものはある。おかげで心拍数上がって途中で貧血起こした…。






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