ポスターの薬師寺天膳が誰なのかわかりませんでした。
そんなところから始まった「忍」への呉川の興味ですが。 綺麗な映像でしたよ。最初から最後まで、自然の美が満載です。これでもかというくらい山々の連なりや、夕陽の輝き、色づいた紅葉やら雪解けの小川に豪快に流れ落ちる滝などね。渓谷や谷の場面も多くて、まあ、隠れ里なんですから山の奥まったところっつーことで山の画が多いんだろうなとは思うんですがね。それにしてもしつこいです。
場面は、朧と弦之助の出会いから始まって、間すっ飛ばしていつの間にかラブラブなんですが。この二人が恋に落ちていく様を描く映画ではないので割愛万歳。そして私もそんなものを観たくはない。にしても、仲間は美しいやね。いいなあ可愛いなあと思いながら観ていたんですが、この人が普通の役をやると途端に台詞が上滑りしている感じを受けるんですが、今回は常人ではない役の上に、時代が時代だから喋り方も特徴的で、それが良かったのかなあと思う。特に気にしなくて済んだ。 それからオダギリジョー。彼もね、やっぱりイロモノを演っておくのがいちばん安全牌かと。思うんですが…。ずーっともみあげを観てきた。っていうか、その観方ってどうなのよ私。
ポスターで人相の変わっていた椎名桔平ですが。薬師寺天膳は300年生きてきたっていう…なんつーか、これまたわかりやすい役柄だなあと。単に生きてるのに飽きたんだろうなあ天膳は。と思ったね。というか、毒で死ぬんじゃねーのこれ?なーんて思ってたらあっさり読みどおりだったのがなんともはや。確かにどう殺すのよっていう話になるわけだけど、別に無理して殺さなくてもよかったんじゃないのって。結局死ねなくて、里からも離れて、遠くから見守ってるとかいう流れにしてほしかったなあというのは呉川の願望。傷を治してしまうのが蚯蚓みたいな軟体だったところが、無限の住人を思い起こさせるよ。そのまんまだよ。早々に死んだから、これで出番終わり?!大層な格好してるのに!ってびっくりしたけどね。またか椎名、ちょい役って。良かったよ、なんだか美味しい役どころで。でも死に方は納得行かないからなあ。もっと以前に毒とか盛られることなかったのかなあ。それにしても椎名のキスシーンは見たくなかった……(本音)
蛍火は可愛かったよ。もうちょっと戦闘シーンを作ってあげて欲しかったよ。折角蝶を操って戦うという、視的にも美しい設定だったのに勿体無い。
蓑念鬼と如月左衛門はイロモノ忍者過ぎて、どうしようかと思った。そうそうに消えてくれて落ち着いた。
朧と弦之助の殺し合いのシーンは、もしや場所は鳥取砂丘では?!と思うほど砂ばかり拡がっていたんですが、実際どうなんですか。見渡す限り砂って、しかも綺麗に風で均されていたんですけどどこですかそれは。 朧が生き残るのは最初から予想が付いていたので(お約束だよね、女が残るのって)(伊賀が勝てば跡継ぎは竹千代って言ってる時点で朧が勝つしね。徳川三代目は家光だもの)あまりなんとも思わなかったんだが、その後に朧が家康に会いに行ったときの、あの目潰しがきた。泣けた。最後のシーンで白い着物を着た朧が弦之助と最初に出会ったときと同じ所作をする、そこもぐっときた。泣けた。
それにしても、なんて派手な忍なんだろうねー。ピンクとか銀髪とか黄色とか白とか、実際にそんな色を身に纏っていたらいちばん最初に狙われるよ忍。闇に隠れて行動するからこそ忍なのに。これを思うと、赤影のヤツラは大人しい服装をしていたなとしみじみ感じた。けど、映画で黒ばっかりって地味過ぎてぱっとしないけどね。白黒映画じゃあるまいし。でも派手だったなあ…綺麗だったけど。衣や裾の翻る様が綺麗だったけど。それを狙ってひらひらさせてたんだろうけど。何せ薬師寺天膳も袖を翻すお方だったから。
戦闘シーンで流れた、和太鼓の音楽は非常に良かったです。これでこそ和!たまに駿府城が映るときの「どん!」という音も良かったです。あのお約束的な音響効果が何とも言えません。
家康はなー、もうちょっとほっぺがぷっくりしててもよかったんじゃないかと思う。皮膚垂れ過ぎ。ヤツはきっといい物を食って太ってたに違いない!と勝手に思ってるんだけどダメですか。御家来衆に止められてるのに平気で朧の前に立つあなたの行動は褒められたものじゃないと思いますよ。てっぺんの人が独断で下手な行動をすると天下の一大事です。実は目潰しをしても、気配で探れるんだったらどうするんですか。ていうか忍なら出来る筈です。ということはそのとき朧にぐさりとやられていたかもしれないのに。と思ったりもしたが、話の展開上仕方ないんだよね。
でっかい月の中に浮かぶ弦之助の姿とか、駿府城の隣に鎮座ましましてる富士山とか、非常にベタで素敵です。
結論。 服部半蔵って、どこの里のお方でしたっけ?
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