加藤のメモ的日記
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第二次世界大戦末期の昭和20年6月19日、マリアナ基地を出発したB29重爆撃機221機は、有明海から背振山脈を越えて西南部方面から福岡市内に侵入した。午後11時過ぎから市内の東部ならびに西部地区に焼夷弾が投下され、発生した火災を目標にして後続機が中心部に投弾した。全市は火の海に包まれ、約2時間にわたる攻撃で福岡市内は焦土と化し、上下水道の漏水率60%、電気・ガスなどの公共施設も甚大な被害を受けた。
死者902人 行方不明244人 負傷者1078人
解釈改憲・戦争法強行と明文改憲は、「戦争する国」に大暴走する安倍政権の車の両輪です。暴力採決で「戦争法の車輪」を回した安倍政権。しかし、立憲主義、民主主義を取り戻そうと頑張る主権者国民の力で大ブレーキをかけられます。そして、戦争法を発動して米国の戦争に武力を持って参戦しよとすればするほど「軍隊は持たない」「交戦権は否認する」と宣言する憲法9条との矛盾は一層抜き先ならなくなる。
だから「明文改憲の車輪」を動かそうとばかりに安倍政権は「憲法学者が自衛隊に疑いを持っている状況をなくすべきだという考えもある」などと踏み込んだ。参院選で改憲発議に必要な3分の2をを取り、緊急事態条項とともに9条をなきものにする改憲への挑戦をあらわにした。総理特異の危険な野望である。
この発言は総理側近の稲田明美政調会長の「9条2項をこのままにしておくことこそが立憲主義の空洞化だ」などと憲法学者に逆切れした質問への答弁としてなされた。本当なら憲法を最も尊重し擁護しなければならないはずの総理が、法理も意に反する声も敵視し、意を通じた側近とこんなやり取りをして見せる。そこにあるのは安倍政権の強さではなく、危うさと焦りの表れだと、国会にいて感じる。国民の声を聞かず憲法を壊して進もうとする安倍政権。その大臣や議員が次々と妄言を繰り広げ、金権疑惑が発覚するのは偶然ではない。
「週刊朝日」2016 2.4
| 2016年02月19日(金) |
ロシアスパイ暗殺真相解明で狭まる「プーチン包囲網」 |
英国内務省の独立調査委員会は、21日、2006年にロンドンで起きたロシアの元スパイで反体制派リトビネンコ氏暗殺事件で「ロシア連邦保安局の指示を受けたロシア人二人が放射性物質ポロニウムで実行した」とする調査結果を発表した。[「プーチン大統領おそらく承認した」と断じた。事件発生後10年ぶりの「真相解明」だが、英国政府は長年、対ロ関係に配慮し、夫人の調査要請を却下してきた。
しかし、ウクライナ危機後の英露関係悪化を受けて昨年2015年1月に公開調査を開始、今回328ページの報告書を公表した。これを受けて、キャメロン英首相は「ロシアに冷たく対応する」と強調。米大統領報道官も「米国が何らかの措置をとることもあり得る」と追加制裁を示唆した。欧州諸国も一斉にロシア批判を強めている。
ロシア外務省は「刑事事件の政治化は遺憾」と反発したが、この時期の調査結果公表は痛手だ。おりしも原油価格が一時、1バレル=26ドル台と12年ぶりの安値を付け、ルーブルは史上最安値を更新。企業の倒産も続発し、「原油安が続けば、年末にもデフォルトの恐れ」(ロシア財務省幹部)と憂慮され始めた。 そうした状況もあり、ロシアは1月以降、ウクライナに特使を派遣したり、米国と外交協議を行うなどウクライナ問題で和解姿勢に転換。シリアのアサド政権と反政府勢力の接触をアレンジし、制裁緩和に向けて西側の関心をあ買おうとした矢先に報告書が出た。
「ロシアの経済危機に注目すべきだ」と強調するオバマ大統領はロシアの弱点である経済を締め上げる構え。5月の伊勢志摩サミットで、7月に期限切れとなる欧米の経済制裁延長を主導するはずだ。一方で、プーチン大統領が安倍晋三首相に今春ロシアでの非公式首脳会談を開くよう求めてきたのは、G7の議長を務める安倍首相の調整力に期待しているからである。
「今回のサミットでは、シリア問題、ウクライナ問題、イスラム国(IS)対策などロシアが影の主役となるテーマが多い」(日米外交筋)安倍首相にとって、展望のない北方領土問題でプーチン大統領に恩を売るチャンスではあるが、対ロ強硬を貫く英米の手前、距離感のとり方は難しくなる。
『週刊文春』2.4
バブルが破たんし、史上最大の経済危機へ。中国は分裂し連邦国家となり、血朝鮮半島には統一国家が誕生する。北朝鮮は韓国に統合される。
2014年2月17日、中国河北省石家荘で17社のセメント工場が爆破された。続いて23日、河北省の五つの主要都市で「過剰生産設備」と見なされた鉄鋼工場が一斉に爆破された。いずれも人員解放軍の工兵隊による爆破であり、中国全土にその場面がテレビで放映された。これらは3月5日から始まる全国人民代表大会の前に、習近平政権が断固たる決意を国内向けに特に地方政府に示した派手なパフォーマンスである。
これまでやみくもに経済成長を競い、それを実績として昇進をはかろうとしていた地方政府の幹部向けての警告であり、今後は公害を抑えることを経済成長よりも優先させるという政府の意思表示でもある。公害の発生を抑えるためには経済成長を犠牲にしてもやむをえない、過剰生産設備も取り壊すとの強い決意の表れである。河北省は、北京を取り囲む名だたる郊外の発生源である。PM2.5で汚染された大気で連日覆われる北京及びその周辺地域の人々は深刻化する健康被害に日々不安を募らせている。
河北省は中国における重工業地域であるが、また、老朽化した生産施設が林立し、鉄、セメントなどの過剰生産の温床となっている地域でもある。それゆえ大気汚染の元凶ともなっている。経済成長に伴う公害発生をこれまでは中央も地方政府も、ある程度必要悪として容認してしまったという過去があり、そのツケが現在、中国全土を覆っている大気汚染、土壌汚染、水質汚染として噴出している。
民主主義国家であるならば、ある段階で必ず住民からの不平不満に対応する形で公害防除の対策がとられているはずである。また、情報の自由があれば公害発生源への原因究明と責任追及が確実になされ、適正な裁判制度によって住民の権利は守られていく。かっての日本がそうであったように、公害は軽減されていくはずである。
ところが一党独裁下の中国においては、公害の発生源の責任者は共産党幹部、取り締まる当局側も共産党、裁判も党の意向に基づくという形で被害を受ける住民側の声は抑えられ不平不満を漏らすか散発的なデモ、暴動に訴えるしかない。時に各地で大規模な暴動に発展するケースもあるが、当局側に抑え込まれてそれでおしまいという形になっている。その結果として公害被害が多発し蔓延してきているのである。
老朽化し生産性も劣る工場施設を維持存続させるためには、ある程度の資金を継続的につぎ込んでいかなければならない。しかし、低生産性の上に過剰生産に陥っている業界にとっては、投下資金に対応すべき利益は出ず赤字のみが累積していく。本来であれば倒産・廃業となるはずであるが、シャドーバンキングを中心とした過剰マネーが赤字企業を延命させてしまう。その結果、悪循環が断ち切れずに延々と続くことになる。
シャドーバンキングからの投融資によって資金調達ができたとしても、赤字企業ではそれが満期になった際の償還は当然無理となってしまう。これまではそこで不渡りとならないために、地方政府ないしは中央銀行である人民銀行が手をさしのベルという形で赤字を補填してきている。したがってシャドーバンキングによる、いわゆる理財商品について、大きな問題にはならずに済んできた。
しかし、その流れは変わった。習近平指導部はこれまでのような安易なゾンビ企業のサポートはしない。シャドーバンキングによる理財商品のデファオルトを容認し、経済のスリム化を図るとの決意を表明している。3月13日に終了した全人代でもこの方針が示され実際に全人代開催の最中に、上海の太陽光パネルメーカーが予定した金利を支払えず、中国社債市場での初のデフォルトとなった。
市場での競争の激しさが貫徹されることは、通常の経済社会においては至極もっともな政策である。劣弱ないし不適切な企業が市場から淘汰されるとは当然である。拡大した経済、硬直化した金融の制度を現代化、グローバル化の下で適正に改革することは是非とも必要である。しかし、ここ中国においてはこの政策を実施するうえにおいて、ソフトランディングはあり得ない。
改革に対する既得権保持層、守旧勢力の抵抗は大きい。また、金融の不渡りを続出させ、企業倒産を加速させていけば、一般預金者にとって、何の社会的保証もない中で一気に取り付け騒ぎ、失業者の暴動、取り壊しなどの混乱状態を招来させることになる。習政権が全人代で掲げた今年度7.5%の経済成長目標など吹き飛んでしまう。すでに現行への取り付け騒ぎが起こり始めている。当面は政府は極力コントロールし無用な混乱が起こらないように細心の注意を払うであろう。
しかし、この騒ぎはおずれ制御不能に陥るに違いない。本来はあるべき経済政策を遂行するための制度改革であっても、実際に着手するとなると経済的現象であるはずのものがその枠をはるかに超えて社会問題、政治問題へと拡散していく。それが現在想定されている中国の今後の姿なのである。中国共産党が一党独裁の正当性を主張する唯一の根拠が、継続的な経済の成長である。であれば、この混乱の流れが加速し、激化していけばやがては中国共産党一党支配の根拠をも揺さぶることになり、体制への崩壊へと至ることになる。この大激動はいつから発現するのか。あっても数年以上先と見過ごしている向きが多いかもしれないが、そう遠い先ではない。中国の崩壊はもはや目前に迫っているのである。 2014年3月
『中国崩壊前夜』長谷川慶太朗
| 2016年02月14日(日) |
ある天才の危うい挑戦 |
ここ30年ほど、チェス、将棋、囲碁などでコンピューターによる人間への挑戦が盛んにおこなわれてきた。そしてついに1997年、IBMの開発したディープブルーというチェスソフトが世界チャンピオンを負かし、2015年にはついに日本の将棋ソフトがプロのトップ棋士を相手に互角に戦った。将棋では追いつかれたが、盤面が格段に広い囲碁は着手可能な手の数が将棋よりさらに140桁も多く、「最後の砦」とさえ言われるほどだからまだ50年はかかる、と昨日まで思っていた。
それが今日、2016年1月28日の新聞に度肝を抜かれた。グーグル傘下のイギリス企業の囲碁ソフトが、欧州チャンピオンのプロ2段に5連勝したのである。余勢をかって来る3月にはm世界最強と召される韓国プロ9段と対戦するという。数年前の囲碁ソフトは最強のものでもアマ初段レベル私より少し強い程度のものだった。さらに調べると、この画期的なソフトの開発の立役者は、でミス・ハサビスという天才であった。
デミスなら20年ほど前東京で会ったことがある。ケンブリッジ大学での同僚からこんなメールが届いたのである。「正彦が教えていたここのクイーンズ・コレッジに、デミス・ハサビスという19歳の青年がいる。13歳でチェスのマスターとなった神童で、17歳の時にはテーマパークというゲームソフトを開発し億万長者となった。数学と囲碁における私の弟子だが近々東京に行くから会ってくれないか」。Tシャツにジーンズ姿という軽快な出で立ちで大学の研究室に現れた彼は、イギリス人としては小柄で、太く黒い眉の下の目がいたずらっ子のような光を放っていた。素性を尋ねると、父親がギリシア系キプロス人、母親が中国系シンガポール人と言った。
一時間ほどの四方山話の中でこう尋ねた。「ゲーム開発で才能を示したのになぜ大学で数学やITを学ぼうとするのか。「もっと学問を深めて大きな仕事をしたいと思いました。」「大きな仕事?」「実はプロを負かす囲碁ソフトを作るのが夢です」「将棋のソフトは2,30年もたてばプロに勝てるようになるだろうが、囲碁のほうは計算量が膨大だから、本質的な進歩が必要だ。人間の高次な思考である類推のようなものを作らないと無理と思う」。
人工知能と人間の脳との差異に興味を持っていた私は持論を述べた。内心は絶望的と感じていたが、無論口には出さなかった。デミスは黙ってうなずいていた。囲碁の腕試しとして日本棋院を勧め、将棋では友人の息子で麻布高校将棋部だった東大生を紹介した。二人は倹約のため、デミス持参の将棋盤を用いてモスバーガーで対戦したという。
彼はケンブリッジのコンピューター科学を最優等で卒業し、数年間IT企業で働きながらMSO(頭脳スポーツオリンピック)で世界チャンピオンに5度もなった。とゲームを捨て、脳科学を学ぶためにロンドン大学の大学院に入学した。そこで、脳の海馬の損傷により記憶喪失した者は自分の未来を想像できなくなる、という画期的論文を著し(あらわし)、サイエンス誌でその年の科学十大発見の一つに挙げられた。
しかし数年で学究生活にピリオドを打った彼は、ディープマインドというAI関連の会社を2011年に設立した。これが3年後に、デミスの天才に惚れ込んだグーグルにより700億円で買われたのであった。消えることの多い神童の大成がうれしかった。そして同時に人工知能の急激な進歩と、70人余りでスタートして3年の小企業を700億円で買うという、アメリカ企業グーグルの異常とも思える意気込みと執着に、そこはかとない危機感を抱いた。危機感とは論理や道徳や情緒を備える前に人間を多くの点で凌駕するであろう人工知能ロボットが、いつの日か人類を滅亡の淵に立たせるのでは、という危機感である。
『週刊新潮』2.11
| 2016年02月07日(日) |
マイナンバー制度はあなたの資産を丸裸にする �� |
カネの動きはすべてバレる
想定される事例はまだまだある。親が子供のために、結婚式の「支度金」として数百万円を振り込むようなケースは即座に税務調査が始まり、贈与税を取られてしまう。本業の年収が2000万円以下で、株などで20万円以上儲けている人は原則として確定申告が必要です。しかし忘れている人も多いだろう。それもすべてバレる。また、競馬などのギャンブルでは、最高50万円までは控除になるが、それを超えれば確定申告をしなければならない。ただ、競馬は現金での引き出しが基本。そんなことをしている人は少ない。使い切ってしまえば気付かれない可能性もある。だが、その金を口座に振り込んだ時、国税にマークされる……。
マイナンバー導入後の世界では、このようにカネの動きはすべて補足されることになる。政府は「国民にとっても利便性が高まる」と強調する。だが繰り返すが、この制度は「国の徴税権力を強化」するため以外の何物でもないのだ。そしてこれほどの情報を集めるにもかかわらず、冒頭で述べたように、その管理はいかにも心許ない。内閣官房社会保障改革担当者室の担当者に聞くと、マイナンバーの閲覧については、「閲覧権限の決め方や端末の管理については、各自治体がこれから検討する」というだけだった。中央官庁の人間だけでなく、各市町村の役所でも、職員がマイナンバーにアクセスする機会がある。アクセス人間の数が増えれば、当然増大するのが流出のリスクだ。
もう一つ、問題となるのは、企業でのマイナンバーの管理だ。従業員から提出された番号の管理は、「企業ごとに勝手に行え」というのが政府の方針だ。前出の北見氏が言う。「中小企業や飲食店の経営者たちは非常に悩んでいます。というのもマイナンバーを漏洩したら懲役もしくは罰金という懲罰が科されるんです。そのため国は『マイナンバーを取り扱う部屋を専用個室にしろ』、『セキュリティーのためにウィルス対策ソフトを導入しろ』と言っています。マイナンバーを保管するためだけの専用個室を用意できる中小企業がどれだけあるというんですか。セキュリティーにしても、どんなソフトを入れればいいのかもわからない。コストも人手もかかるし、あまりにも非現実的です」
さらに気になることがある。近い将来、マイナンバー制度は金融機関以外の、民間企業民間企業とも連携し、利用できる範囲を拡大するというのだ。自民党のIT戦略特命委員長として、マイナンバー制度を進める平井卓也衆議院議員に聞いた。「『個人番号カード』によって図書館で本を借りたり、学生証や社員証、保険証の代わりにできたりすることを想定しています。スイカあバスモ、インターネット上の買い物も、このカード1枚で済むようになるかもしれません。民間企業にとって、大きなビジネスチャンスとなるはずです」しかしそうなれば、民間企業がマイナンバーの情報を収集する機会は増え、そのデータベースが盗まれて詐欺犯罪に悪用される危険性が高まる。
モデルは共産主義国家
事実、マイナンバーと類似した制度[社会保障番号」を1936年から導入しているアメリカでは、様々な問題が起きている。2015年2月には、保険会社のアンセム社が不正アクセスによって約8000万人分の番号を盗まれる事件が発生。住所、電話番号、勤務先などの個人情報が流出した。盗んだ社会保障番号を利用した詐欺事件も、多発している。その番号の所有者になりすまして税申告をし、不正に還付金を得るのが、現在の社会保障番号詐欺のトレンドとなっている。
日本政府もマイナンバーの流出を覚悟しているようだ。前出の担当者がこう言う。「流出を想定しているので、罰則を設けている。なおかつ、管理状況を監視監督できるように、特定個人情報保護委員会という機関を作って管理することになります」「マイナンバー先進国」の事例は事本政府も当然調べている。アメリカは反面教師と語るのは、前出の内閣官房職員。「実はモデルにしている国があります。それはバルト三国の一つ、エストニアです。2002年に個人番号カードに似たIDカードを発行しています。そして見事に強固なセキュリティーを構築し、流出やなりすましを防いでいる。今やエストニアではこのIDを使ってネット上から投票もできます」
実際、前出の平井議員も5月にエストニアへ視察に訪れ、政府関係者と意見交換している。だがエストニアは、面積は九州とほぼ一緒で、人口は福岡市より少ないわずか130万人という小国だ。「加えて、国民性も全く違います。旧ソ連側で元共産主義国家であるエストニアの人々は、監視されることに慣れている。そんな国をモデルケースにしてもまったく参考にはなりません」(個人情報保護に詳しいジャーナリストの斉藤孝雄氏)
いまのところ、マイナンバーによって国民の側がどう便利になるのか。、具体的な事例は何一つない。どうやら政府は、そんな宣伝をしなくても、国民はこの制度を受け入れると安心しているようだ。あなたの財産が丸裸とされる日は、もうすぐそこに迫っている。
『週刊現代』7.11
| 2016年02月02日(火) |
マイナンバー制度はあなたの資産を丸裸にする �� |
国税の悲願達成
日本の納税は、自己申告にもとづいて税金を支払う「申告納税」が原則だった。しかし、マイナンバーの導入によって、「賦課課税」に変わる。「『賦課課税』になるとはつまり、これからはおかしなてんがあればすぐに税務署から『税金を納めなさい』という連絡が来るということです。どこの株をいくら持っているか。土地やマンションを持っているか。その賃貸収入はいくらか。そして、そこからいくら税金を納めているか。ゆくゆくは全部わかるようになるでしょう。口座をいくつ持っていてもムダです。
マイナンバーとは、税金だけではなく株や不動産といった有形無形の資産を国が把握し、一銭たりとも税金の取り漏らしがないようにする制度。情報へのアクセスは格段に容易になり、国税にとって『最強の武器』になります。(赤池氏)確かに、これまで脱税や不正受給をしていた者を取り締まるには有効かもしれない。保険料の支払いや確定申告の際の、複雑な手続が解消されるというののも事実だ。しかし、ことはそれだけでは済まない。国民の側からすると、これまでは黙認されていた細かなカネの流れがすべて国に監視されるようになるのだ。
たとえば資産家のAさんが亡くなったとする。Aさんは複数の駐車場やマンションなどを持ち、財産の相続評価額は3億円。相続人であるAさんの妻と長男、長女の3人は、相続税を申告し納税した。しかし実は、長く体調がすぐれなかったAさんは、亡くなる2〜3年前から、自分の預貯金を3人に分配していた。Aさんが贈与した金額の合計は3人それぞれに1000万円ずつ。複数の口座に少しずつ振り込んでいたので、これまでなら国税に捕捉されることのなかったカネだ。だが、マイナンバーが導入されれば、いくつの口座に分かれていようと、Aさんがいつ、誰に、いくら送金したか一目瞭然となる。
Aさんが亡くなってからしばらくしたある日、税務署の訪問を受ける妻。「○○銀行△△支店の口座をお持ちですね。通帳を見せてください」。その言葉に従ったが最後、申告漏れの追及が始まるのだ。Aさんの妻が受け取った1000万円は、贈与の申告をしていないため遺産に加算され、40%の相続税、つまり400万円を追徴課税されることになる。「相続税の申告漏れが発覚したケースのうち現金預金は36%です。これがマイナンバーによって補足できるんですから、国税が目の色を変えるのは当然です。巨樹地から離れた場所にあるいわゆる『疎開預金』も判明するわけですからね。国税の『悲願』が達成するといってもいい」(元国税の税理士・武田氏)
サラリーマンの夫を持つB子さんのケースでも隠し事がバレることになる。B子さんはスーパーや飲食店などで掛け持ちアルバイトをしている。子供ができた時の養育費に充てようと、B子さんは熱心に働き、その年収は合算すると扶養控除の対象となる103万円を超えている。これまでは、バイト先が複数の場合、納税状況の調査に手間がかかるため、税務署は見て見ぬふりをするケースも多かった。しかし今後は、マイナンバーによって口座と収入が照合され、控除の対象外であると即座に通達が来る。当然、副業も丸裸にされる。
務めている企業に対し、従業員はマイナンバーを提出しなければならない。そのため、副業で儲けていて、その収入分を含んだ住民税を自分で納税しているなら、税務署にも会社にも副業がバレることになる。社会保険労務士で北見式資金研究所所長の北見が語る。「会社の天引きではなく、納税をすべて自分でやる『特別徴収』というものをやればバレないかもしれませんが、そんなことをする会社員はいない。仮にそれをやっても、社内で非常に目立ってしまう。そうなると、泣く泣く副業をやめて、経済的に困窮してしまう人も出てくると思います」会社にマイナンバーを提出しなければどうか。北見氏が続ける。「確かに、提出しなくても当面は処罰の対象にはなりません。内閣府の担当にも、『提出しない場合は懲戒解雇していいのか』と問い合わせたら、『それはできない』と言われました。ただ、『会社は提出を強制はできる』とも言っていた。すでに矛盾をきたしているのは、法制度すら明確になっていないからでしょう」
『週刊現代』7.11
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