加藤のメモ的日記
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2016年03月28日(月) 老人学の再教育が必要 ��

しかし最近の高齢化社会の歪みは、何とかしなくてはならないまでに問題が深刻になっている。私と同時代よりもう少し若い年齢の人たちは、家族の問題を子育てから共稼ぎの問題まで、国家や社会が組織的に解決することこそ、先進国の当然の姿だと持っているから、この高齢化社会と付随した老人問題を社会が解決すべきだと、責任を押し付けている面もある。しかし私に言わせると、いかなる政党も政治家も、この人間的な現実を、制度として解決できるとは思えない。

前世紀の終わりくらいまでは、老人は個人の家庭が面丼を見切れなくなったら、どこか「施設」に預ければいい、という漫然とした期待感があった。しかしこの若年層の減少と長寿の現実を見ると、もうそれは不可能だということがわかる。一例をあげれば、20年くらいまでシンガポールでは、高齢者抱えた富裕層は、少しも高齢化を深刻に考えていなかった。お金を出せば「長逗留も許される」いい病院もある。フィリピンやインドネシアから出稼ぎに来てくれているメイドさんは、月に5万円も出さずに住み込みで働いてくれたから、せいぜい週に一度の休みを与えれば、この人たちがほとんど24時間、老人の傍に付き添っていてくれた。熱帯だから。老人のベッドの下にアンペラのようなものを敷くだけで夜もそこに寝て、夜中のトイレの面倒まで見てくれる場合もあった。

しかしシンガポールでさえ次第にそういう人手はなくなってきた。途上国が繁栄してきて、2年に一度しか国に帰れないような出稼ぎに来る人はだんだん減ってきたのである、貧しい国には『貧乏人の子だくさん』という例が多かったのだが、次第に家庭が持つ子供の数もだんだん減ってきた。シンガポールでさえ出稼ぎの手を当てにできなくなったのだから、日本社会が規制を緩めて、病院や高齢者施設に外国人労働者を入れようとしても、もう無理なのだ。マンパワーの供給源が枯渇してきたのである。

私は近い将来に、日本でも惨憺たる老人虐待の現象が始まると予感して、そういう未来小説を書き始めていたのだが、ごく最近、現実に看護役の男性が介護施設にいる87歳の男性の老人を含む数人を、4階の手すりから投げ落として殺したとして逮捕、起訴された。その犯人の殺意の理由がある日テレビで報じられた。殺された老人は、入浴を命じても拒む世話のかかる人だった。我が家の90歳の夫も始終入浴を嫌がる。それで私はニュースを聞くや『あなたもお風呂を嫌がると、私に4階から捨てられるわよ』と言ってやった。困るのは、我が家に4階がないことと、私には力がなくて、2階からでも人を手すり越しに投げ落とす元気がないことだ。

夫はニヤリとと笑って言った。「僕は昔から、風呂とトイレと床屋が嫌いなんだ」威張ることではに。威張ることではない、と思うのだが、私の友人の夫は、体の状態を聞きに来てくれたケアマネージャーさんに「自分でお風呂に入って背中を流せますが?」と聞かれると「僕は生まれれてこのかた、風呂で背中を洗ったことがないんです」と嬉しそうに答えたという。これもボケではない。始末の悪い都会型インテリ老人の、確信型の嫌がらせである。

我が家の夫は、どちらかというと元気な年寄りに見えるかもしれない。私より早く歩ける面があるし、食事、トイレ、お風呂も一応のろのろながら、自分でできる。しかし風呂場は危険な場所だ。何回も転んで立てなくなり、私は入浴を手伝うのが怖いという浴室恐怖症になりかけた。それで週に一度だけ、専門家にお風呂に入れてもらうサービスを受けようとしたら、一度で拒否された。風呂ぐらい一人でゆっくり入りたいというのだ。挙句の果てにまたも名文句を吐いた。「僕は90年も人間やってきているんだ。風呂の入り方くらい、教えてもらわなくたって知っている」

新しく高齢者になった世代は、謙虚でもなく、かわいくもなく、実に学ばない。老人はどのようにしたら端に迷惑をかけないか学習する必要がある。老人学の再教育のために確立も今や必要なことだろう。




『週刊ポスト』 3.25


2016年03月24日(木) 映画で見る名作文学選 ��

■たけくらべ
明治28年。吉原に近い大音寺界隈。大黒屋の美登利は姉の大巻が吉原で有名だったことから、わがまま放題だった。美登利は竜華寺の信如が好きだったが、二人の関係は子供の恋以上のものではなかった。お祭りの日美登利は表町のリーダーで、対立する横丁の子供たちと乱闘を起こしたりするのだが、彼女にも吉原に出る日が近づいていた。樋口一葉の同名小説の映画化。美空ひばりが美登利を演じていが、他の映画と違って本作では美空ひばりは歌を歌わない。純粋に俳優としての美空ひばりが素晴らしい存在感を見せている。原作では美登利と信如の恋愛ドラマの印象が強いが、本作はより明治の情緒を際立たせ、遊郭で育つ女性の哀れさ悲しさを感じさせる。吉原を再現した美術も素晴らしい傑作である。

監督 五所平之助 出演 美空ひばり 北原隆 1955

■破壊
明治35年、信州の小学校で教師をする瀬川丑松は、被差別部落出身者であることを隠していた。丑松は自由民権の論客である猪子に心酔していたが、猪子が部落出身を隠さないで、自らを恥じるのだった。島崎藤村の同名原作の映画化。木下恵介監督は脚本家の進言に従い原作を読まずに映画化。丑松とお志保の恋愛ドラマなど、青洲映画の趣が強い作品となった。

監督 木下恵介 出演 池部良 桂木洋子 1948

■濹東綺譚(きたん)
東京、向島。通称『玉の井』と呼ばれた地域に娼婦のお雪は暮らしていた。教師の種田は家庭の不満から『玉の井』を訪れお雪と知り合う。次第にお雪に惹かれていく種田は教師を辞めようと考える。永井荷風の同名原作の映画化。本作は永井荷風没一周記念として作られた。失われゆく色町へのノスタルジーを感じさせる作品。

監督 豊田四朗 出演 山本富士子 芥川比呂志 1960


2016年03月23日(水) 老人学の再教育が必要 ��

この頃「利己的なお年寄り」が増えたのではないでしょうか。84歳の作家・曽野綾子氏は新著『老境の美徳』でそう綴る。「高齢者の甘え」を指摘してきた曽野氏が、急速に進行する高齢化社会を生きる日本人に「美しい老い方」を問いかける。

長寿社会の副作用

最近、毎日のようにニュースに登場する人物には、少し年齢的な偏りが見えるようになった。十代の若者が犯罪を犯す事件が続いた時があったように、年寄りが事故の原因になることが多くなったのである。高速道路を逆走した。車のアクセルとブレーキを踏み間違えて、コンビニの店頭に突っ込んだ。線路を歩いていて轢かれた。こうした事件の報道を読むたびに「どうしてこういうことが起きるんだろうね」と理解に苦しむ。その理由が認知症にあるらしいとはわかっているのだが……。

歴史始まって以来、これほど多くの高齢者が全く新しい生活をするようになった時代もないのだ。戦前は、70代まで生きる人は珍しかったのだが、今では100歳に近い人もざらにいるし、高齢者が社会の人口の30%近くもの比重を占めるようになるとは、誰も思わなかったのだ。これは日本が医学的に長寿社会を出現させるのに成功したことの、副作用と言わねばなるまい。

戦後の日本は、長い年月をかけて様々な病気を克服したか、少なくともそれを予防する方法を見つけた。戦後はすぐに結核、感染症による腸炎など、死亡率の高かった疾病を治すことへの挑戦が始まった。らいの治療薬ができたことは画期的な福音をもたらした。その後HIVも、癌もそれなりに闘う方途ができた。現在、癌と宣告された患者もすぐ死ぬとは思っていない。様々な延命や治療方法がある、ということを信じて、むしろ普通の生活をいかに続けるかを考えるようになった。私は80代半ばの今日まで、4人の高齢者と同居してその最期を見送った。私の実母(83歳没)、夫の母(89歳没)夫の父(92歳没)、そして今まだ健在だが夫は90歳である。

この頃、家族というものは重荷だとか、人間の最期は一人で死ぬのでいいというようなマイナスの視点から捉えた家族論が流行っているようだが、私は昔から、家庭の状況は運命で、何一つ選べないものと思って生きてきた。仕事の種類や旅行の行き先なら、人間は選ぶことができる。しかし自分が、生涯誰といつまで、どのように生きるかを決めることは、ほとんとできないのである。

私は家族を積極的に肯定もしなかったが、家族など不要だと否定もしなかった。夫の両親も私の実母も、私たち夫婦に頼っていて、ともに住むことを選んだからそうしたのである。私たちの息子が18歳で地方の大学に行くまで、一時期「三世代同居」の時代もあり、その複合家庭の話を聞いた知人の一人は、「いまどき、まだそんな家庭があるの?」と驚き「支那の家みたい」と言った。「支那の家」というのは、私の子供の頃はやったパール・バック女史の描いたチャイナの古い家庭みたいだというのだろう。朝早く起きたお嫁さんはまずかまどに火を起こし、お湯を沸かして姑に熱いお茶だかお湯だかを運ぶ。すると老女は咳こもりながら、朝のお湯がないと老人は生きていけない、というようなことを言う。

私はそんな献身的なお嫁さんの生活はしてこなかった。私は小説を書いて、子供を育て、子育てが終わると、老世代を同居してその最期を見た。そういう運命になったから、そうしただけである。私は昔から与えられた状況の中で、どうしたら少し良くなれるか工夫したことはあったけれど、理想というものは現実にはないものだ、と最初から思っていた。だから理想に憧れたこともなかった。



『週刊ポスト』3.25  曽野綾子 昼寝するお化け


2016年03月13日(日) 天才アスリートは偏食

天才アスリートは偏食という驚くべき真実

職は命の源といわれる。しかし、天才的な能力を発揮するアスリートがチョコレートやハンバーガーばかりを口にし、一方で、肉を食べずに筋骨隆々の部族がいると聞けばどうだろうか。食事と人間の関係には、最新の科学でも解き明かせない未知の世界がある。

野菜を連想させる緑色も嫌い

アメリカでは肥満が深刻な社会問題になっている。そこに突然、槍玉に挙げられたのが、天才バッター、イチローだった。メジャーリーグの歴史を振り返るドキュメンタリー番組の中で、10年連続200本安打を達成したイチローのパフォーマンスを支える食生活がクローズアップされた。しかし、放送直前に医療支援団体からクレームがついた。イチローの食事は、実はかなり偏っている。野菜嫌いで特にニンジンやセロリなど繊維質の野菜やキノコ類は大の苦手だ。独身時代は牛タン一辺倒、結婚後は婦人手作りのカレーを毎朝のように食べ、最近の数年間は朝は食パンとそうめんだけだと本人が語っている。

医療支援団体は、アメリカの子供たちがスーパーヒーローの真似をして肥満になったら困ると、偏食シーンを削除するよう迫り、結局放送は見送られた。ところが「変な食卓」はイチローだけではないのである。トップアスリートの食生活をみると、実は偏食がかなり多い。体操選手で世界選手権3連覇中の内村航平(23)は、北京五輪で銀メダルを2個獲得したときに、その食生活が話題を呼んだ。

「朝食は食べてもバナナかチョコプリン、夜はビッグマップ、おやつは『ブラックサンダー』」とコメント。『ブラックサンダー』とは1個30円のチョコ菓子だ。北京五輪前、中国製のチョコを試したが、口に合わなかったため、『ブラックサンダー』を”勝負食”として日本から40個持ち込んだ逸話まである。内村はもともと野菜が大嫌いで、野菜を連想させる緑色も嫌いというほど、高校で実家を出て、友人とアパート暮らしを始めたため、幼少のころの好き嫌いがますます激しくなったという。

日本サッカー界の至宝だった中田英寿も野菜嫌いで食べられるのはすりつぶしたジャガイモとトマトソースだけ。そのうえ、「主食はスナック菓子」というほどの菓子好きだ。ゴルフ界のスーパースター、タイガー・ウッズ(36)は大のハンバーガー好きで有名だ。4大メジャー大会の一つ、マスターズでは、大会前に開かれる夕食会「チャンピオンディナー」のメニューを前年優勝者が選べる。ウッズが初優勝した翌年の1998年に選んだのが、チーズバーガーとチキンバーガー、フレンチフライにストロベリーシェイクとバニラシェイクという驚くほどジャンクなメニュー。当時22歳だったウッズは「僕はこれで育った」と平然と言い放ち、これには歴代の優勝者も複雑な表情だったとか。

女性アスリートでは、ゴルファーの横峯さくらは菜食主義者で肉や魚を口にしない。タンパク質は筋肉を作るのに必要な栄養素で、アスリートには必須なはず。それを食べない横峯のドライバーショットがあんなによく飛ぶのはどうしてなのか?

NASAが研究した不食人間

健康のためには栄養のバランスを考えて、好き嫌いをせずに食べること、が常識とされる。ましてや運動選手は身体が資本。その身体を作るのは食事なのだから、アスリートの食事は一般人よりもバランスがとれているべきだ、というのは正論だし、それを守って一流の肉体を維持するアスリートももちろん多くいる。が、添えが「絶対」「必須」でないことも否定できない事実である。なぜ「偏食アスリート」は体調を維持できるのか。

東大名誉教授で微生物生態学の権威である光岡知足氏の研究によれば、ニューギニアの高地に住むパプア族の食事の96.4%はサツマイモで、魚や獣肉はほとんど食べない。栄養学的に言えばタンパク欠乏の状態なのだが、なぜか健康状態は良好で筋骨たくましいのである。不思議なことに、彼らが毎日食事から摂取している窒素の量は2グラムでタンパク質の10〜15グラムでしかないのに、便や尿から排出される窒素量はその2倍近くあった。そこで光岡氏は、空気中の窒素やタンパク質以外の窒素化合物が体内に取り込まれ、そこから腸内細菌がタンパク質を合成しているのではないかと推定した。パプア族の人たちは肉や魚を食べなくても体内でタンパク質を作っているというのだ。

こだわりの食事でリラックス

それにしても、一流アスリートに偏食が多く存在し、常人の真似できないパフォーマンスを発揮できることは別の驚きである。スポーツ栄養学を専門とする中京大学の松本孝明教授が言う。「身体を動かすエネルギーとなるのはカロリーで、カロリーさえ摂取していればパフォーマンスを発揮することは可能。理論上はチョコレートだけでも大丈夫です。栄養学的にいえば運動に必要なのは糖分や、肉類に含まれるビタミンB1やB2。野菜には運動に必要な栄養素は含まれていません」

もちろん、体調の維持や疲れをとるためには、やはり野菜などに含まれるビタミン類は必要だという。臨床心理カウンセリング総合研究所所長の井上敏明氏は一つの仮説としてこう分析する。「アスリートに限らず、過去に天才的な能力を発揮した芸術家や学者の言動を分析すると、アスベルガー症候群の傾向が見て取れる。彼らに共通していえるのは、鋭敏な感覚で物事に没頭すること。その反面、型にはまった日課を好み、興味や関心が狭くなる傾向がある。それが偏食として現れることもあります」人間の能力と食の関係は、まだまだ未知の世界なのである。


『週刊ポスト』3.13









































































































































































































































































































































































































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2016年03月11日(金) 運動はクスリ

私は「姿勢」のことを「いきおい」のある「すがた」だと理解しています。子供の頃「姿勢が悪いよ。背筋をピンと伸ばしなさい」と注意されたことがありませんか。私もその経験がある一人です。その都度意識し背筋を伸ばしたものです。そもそも姿勢とは不安定なものです。人体の構造は、足から首にかけての骨がまるで積み木のように重なっていま関節は驚くほど摩擦が少ないため、力を抜くとすぐに崩れてしまいます。このため直立不動というのは、本来はあり得ません。常に揺れているのが普通なのです。

しかし、背中を丸めた前傾姿勢、つまり猫背の状態で歩くと、バランスを保つために自然と腰が落ち、ひざが曲がります。このような悪い姿勢は、歩く上で余計な筋力を使い、体に負担がかかってしまいます。

良い姿勢について、私の恩師で、運動生理学の第一人者である猪飼道夫・元東大教授(故人)は、次の3点を挙げています。�^堕蠅靴討い襪海鉢�筋の負担が少ないこと�H�しいこと―。姿勢のあるべき特徴を的確に言い当てています。そのいい例を、インドで見つけました。頭に壺を載せて運んでいる人です。背筋がピンと伸び、重心が安定していないと、あれはできません。すぐに疲れてしまうか、関節を痛めてしまうことでしょう。安定していることは、合理的な作業姿勢でもあるのです。デスクワークでは、背筋を伸ばす習慣を持ちましょう。

立っているときは肩の力を抜き、背中の肩甲骨を少し狭めてみましょう。胸郭が広がって呼吸が楽になり、血液の流れも助けます。この姿勢のまま歩いてみましょう。目線は遠くに、足元は周辺視で確認するようにします。かかとからの着地を意識し、地面を押し出すように歩けば、足は振り子の原理で楽に前に出ます。安定した歩行は美の原点です。


広島大学名誉教授 渡部和彦

『中国新聞』1.13


2016年03月10日(木) 冷え性は万病のもと

冷え性の放置は禁物

手足や腰などが慢性的に冷たくなる冷え性。免疫力が落ちたり新陳代謝が悪くなったりして体調不良を招く。放置せずに原因を突き止め、対処法を知っておこう。

「冷え性は昔から万病のもとと言われています。西洋医学ではあまり重要視されませんが、自覚はなくても冷えが原因で体調を崩している人は少なくありません」広島市で漢方外来を担当する甲斐博久医師(44)は強調する。そもそも冷え性とは、体温調節の機能がうまく働いていない状態のこと。放っておくと体の様々な部分に影響が現れる。食欲が低下したり、下痢や便秘になったりする。風邪もひきやすくなる。高齢者は特に頻尿や足のむくみ、神経痛なども引き起こしやすい。原因を知ることが対策の第一歩です。

甲斐医師によると、原因は四つに大きく分けることができるという。
�〃譴僚笋蠅�悪く、体の末端まで熱や栄養が届きにくい。
�∀群修砲茲蠖慶賃綣佞�下がる。
�0瀋欧�弱く、十分に栄養を吸収できない
�ぅ好肇譽垢箙糠�期のホルモンの変調で自律神経が乱れる―。

「自分はどれに当てはまるのか。心当たりのある点を意識し、生活習慣を見直すなどのセルフケアを心がけてください」その基本的なポイントを2つ挙げる。一つ目は「熱を作りやすい体にすること」「筋力トレーニングなど、軽くてもいいですから運動を続けることが効果的です」筋肉を動かすことで体温が上昇し、血流量も増えるからだ。

女性は男性よりも筋肉が少ないことが、冷え性が多い原因の一つとされる。筋肉が集中する足を中心にトレーニングすれば、より多くの熱を発生させられる。また、食事も大切という。「その日のエネルギーを補給するために、朝食を食べる習慣をつけましょう」と甲斐医師。体を温める食事を心がけ、体を冷やす生野菜や果物、冷たい飲み物のとり過ぎに気を付けよう。

二つ目は「自律神経を鍛えること」十分な休息や睡眠で疲労を取ることが大切だ。入浴は39〜40度のぬるめのお湯に20、30分つかるとリラックスできる。夜遅くまで仕事をしたり不規則な生活をしたりしていると自律神経に負担がかかる。ホルモンバランスも乱れ。血行不良につながる。また、冷暖房の使い過ぎは体温調節能力を下げる。無理なダイエットや喫煙も控えたい。

一方、冷えの原因として思いがけない病気が隠れていることがあるという。鉄欠乏性貧血や甲状腺機能低下症などの可能性がある。甲斐医師は「日々の生活を見直しても冷え性が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう」と呼び掛けている。


『中国新聞』1.13




中国新聞 


2016年03月09日(水) 清原を待つのは娑婆の煉獄

白い粉の力で、自ら世間に「解雇通知」を送ってしまった清原和彦(48)。初公判は5月17日に決まり、間もなく釈放される運びではあるが、娑婆では留置生活など吹き飛びそうな「煉獄」が待ち受けているのだ。

清原が覚せい剤取締法違反で(所持)容疑で逮捕されたのは2月2日。同月23日には使用容疑で再逮捕され、勾留期限を迎える今月15日、使用の罪で追起訴される見通しだ。「起訴後の保釈申請は、スムーズにいけば通常1,2日で許可されます。現在のところ17日に警視庁本庁から出るのは、とみられています。(社会部デスク)

一般的に薬物事件では、ことのほか保釈条件が厳しいとされる。逃亡や証拠隠滅の恐れがなく居住地も定まり、かつ身元の確かな引受人が必要であるのは言うまでもない。加えて数百万にのぼる保釈金も用意せねばならずその”出資者”をめぐって諸説入り乱れる中、さる捜査関係者が明かすには、「売買の流れを洗うため、捜査段階から金融機関に「捜査関係事項照会書」を提出して清原の預金口座を調べていました。当面の貯金が十分あるのは確認済みです。つまり、保釈金程度は捻出できるのです。

肝心の引受人については,、本来ならば親族が最適なのですが、清原は弟や妹とは長らく断絶している。また母親が介護施設におり、唯一関係の悪くない父親も引き受けずらい。現在、保秘が徹底された複数の大手事務所の弁護士がサポートに当たっており、彼らの主導で適切な選定が進められていくと思われます。(清原の動向に詳しい事情通)

が、念願かなって娑婆に出たところで、試練は増すばかり。元近畿厚生局麻薬取締部長の西山氏が言う。「申請する側も、例えば裁判までの期間は薬物依存専門の病院に入院させるなど、万全の態勢を整えているのでしょう。さもなければ、裁判所も納得しないはずです」それでも「再び手を出す可能性がないとは言えません。薬物再使用のきっかけは大別して4つあるとされ「HALT」と呼ばれています。それぞれハングリー、アングリー、ロンリー、タイアード(疲労)を指し、これらに患者を晒すのは禁物なのです」

先の事情通によれば、実際に清原も「とりわけ2014年に離婚して以降、子供と会えなかったのが辛かったようで、孤独感から依存を深めていきました。逮捕のちょうど1年前、以前から慕ってきた知人に電話し『わし寂しんです。明日行ってもいいですか』と涙声で訴えていた。で、翌日はすっぽかす。精神状態がどん底の時には、こうした言動が目立ちました」精神医の片田明美氏はこう指摘するのだ。「彼は逮捕前のブログで、「飲食店で他の客に笑って指を差され、我慢できず灰皿を叩き割った」と綴っていました。これは覚せい剤常用者にしばしば現れる『被害関係妄想』の可能性が高い。現時点で、重度の依存性であると推察されます。仮に短期間の留置でクスリが抜けても、すぐに誘惑に負ける可能性は十分あります」

覚せい剤は脳に不可逆的なダメージを与えるという。身を焦がす煉獄は、延々と続くのだ。


『週刊新潮『  3.24号  


2016年03月08日(火) 深作欣二(きんじ)とその周辺

一昨年、相次いで亡くなった俳優の高倉健と菅原文太は、かって「健さん」「文太兄イ」と呼ばれ、特に若い男性から慕われていた。男のための男の「アイドル」というのが、大きな意味を持つ。全共闘世代は「健さん」の「任侠映画に熱狂したという。続く『文太兄ィ』は銀幕の中で派手に飾ったトラックを疾走させ、パトカーをけむに巻いた。そして、1980(昭和55)年、NHK大河ドラマ「獅子の時代」い主演。逆境に身を置きながら明治新政府に抵抗し続ける会津出身の男を、荒々しくも繊細に演じた。それらを僕らは夢中になり追った。

理不尽な強い力には決して屈せず、自分の信念を貫く。腕っぷしは強いが、実は社会的には弱者。しかし、さらなる弱者を守ろうと卑劣な敵と戦う。そんな生き方は現実的には難しくとも、男の子たちにとって憧れの理想像だったのだ。「文太兄イ」の役割は、やがて若手の「松田優作」に移る。ところが1989(平成元年)に松田優作が40歳で亡くなるや『男』の理想像が失われた。時はバブルの絶頂期。残ったのはCMでの健さんの「不器用ですから」の一言であり、理想像は単なる世渡り下手な男に一変した。

ただ、以上の3人は実生活でも「男」らしさを貫き亡くなったから、単なる偶像ではなかったのだろう。しかし、その次が出てこない。現代の男の子にとり、かっての「健さん」「文太兄イ」「松田優作」に匹敵するのは誰だろう。どうも思い当たらないのだが、それがlこの国にとり、大木は不幸の始まりである気がしてならぬ。


荻博物館特別学芸員 一坂太郎

『中国新聞』1.13


2016年03月06日(日) 映画で見る名作文学選 ��

■羅生門
平安時代。羅生門で雨宿りをする木こりと旅法師は、自分たちが裁判で証言した事件について話し合う。それは裁判で証言した者の言うことがすべて食い違うという不思議な事件だった。原作は芥川龍之介の「藪の中」。登場人物が自分に都合よい証言を行い真実が全く分からないという不思議な物語。ヴェネチア映画祭グランプリ、アカデミー賞外国映画賞などを受賞し、世界の映画作家に影響を与えた黒澤明監督の傑作である。
監督 黒澤明 出演 三船敏郎 京マチ子  1950 88分 大映

■点と線
福岡市の香椎の海岸で男女の死体が発見される。男は課長補佐の佐山で女性は東京の料亭で働くお時だった。心中事件と見えたがベテラン刑事の鳥飼は殺人の可能性を感じる。松本清張の同名原作の映画化。当時の香椎駅周辺で撮影がされている。刑事たちのトリック解明に重点が置かれているが、社会派のミステリーとしても十分楽しめる。
監督 小林恒夫 出演 高峰三枝子 南廣(ひろし)

■暗夜行路
時任謙作は母と祖父の間にできた子供だった。しかし本人はこの事実を知らないため、なぜ幼馴染の愛子と結婚できないのかわからなかった。修身の謙作は京都に旅行し、そこで直子という女性に出会う。志賀直哉の同名原作の映画化。長い原作をモノローグなどを使って豊田監督は菅家tyに映画化している。また純粋に謙作を愛する直子を演じる山本富士子が大変魅力的である。


2016年03月05日(土) 日本も米国と同じ道を辿るのか

私は法科大学院在学後、1967年に21歳で徴兵されました。1969年6月から1年間、南ベトナムのホーチミン北部に派兵されました。戦闘工兵大隊の架橋部隊でした。待ち伏せ攻撃はありましたが、戦闘体験は限られていました。大卒は他に一人だけで彼は早くに戦死しました。元は立派な人格の米国人が、戦場ではベトナム人を「グーク」(東洋・南洋土人)と呼んで蔑視していました。

当時は徴兵制だったので、年で除隊されました。PTSDはありましたが、反戦集会で自分の見聞を話すと、それが癒しになりました。徴兵制の時期は帰還兵も多くいましたが、志願制の今は帰還兵が少なく、社会から孤立しています。何度も派兵されることがPTSDお増加の要因になっています。

今は医療の進歩もあり、戦場での死者より自殺者が多い、日本は過去70年間、平和国家の見本でした。今回の戦争法で、この見本を失うのはとても悲しい。米国のように多くの若者に大きな犠牲を強いることになります。

ベトナム戦争帰還兵 ジョン・ラトリア(70)


『週刊朝日』2.28


2016年03月04日(金) 戦死者超す自殺者 1日20人以上

2001年の9.11テロから14年以上続く米国の「対テロ戦争」。6.800人以上の米兵が死亡したほか、退役軍人の心的外傷ストレス障害(PTSD)や自殺者が社会的な大問題になっている。

退役軍人のケアが国家予算を圧迫している

ボストン中心部から南へバスで30分。終点の目の前に13階建ての巨大なビルがある。退役軍人省(VA)の病院である。入り口には「武器持ち込み禁止」の警告が。人口66万人の同市には、他に大規模なVA病院が2か所、診療所が9か所ある。

世界一の経済大国なのに、国民皆保険制度のない唯一の先進国、米国。兵士は戦争での犠牲と引き換えに一定の保証がある。退役後も国の医療サービスを受けることができる。現役兵には同国防総省病院がある。国家予算の1位は軍事費で6000億ドル、70兆円だが、2位が退役軍人省予算で1700億ドル、20兆円にのぼる。第二次大戦以降の米国の退役軍人は2100万人以上で、その4割がVAに登録されている。

「戦争の影響は肉体と精神の双方に及びます。ベトナム戦争では枯葉剤が大きな問題になっています。因果関係の照明に長い時間がかかり、全体像はまだ不明です。枯葉剤の影響でベトナム帰還兵には糖尿病、腎臓病、前立腺ガンなどの症状が多く出ています」(ボストンのVA内科医)

「最近の戦争ではメンタルヘルスが大きな問題になっており、復員兵の自殺も増えている。退役後も就職できずホームレスになる人も多いだから初心患者全員にPOSDの問診をします。10年前にはしませんでした」PTSDが1980年に初めて精神障害として米国精神医学会が認定した。ベトナム戦争での残虐行為などで心的外傷を負った多くの帰還兵が精神的不調を訴えた結果である。

2001年以降の対テロ戦争でPTSD患者は急増し、2014年までで17万人以上に。VA病院を利用したアフガニスタン・イラク戦争帰還兵のPTSD罹患率は29%というデータもある。問題はPTSDにとどまりまらない。ホームレスの7人に1人強が退役軍人である。2013年は14万人。黒人男性のうち、退役兵がホームレスになる割合は全体平均より1.4倍多いとの調査結果もある。退役軍人が2012年に出した「自殺データ報告」では、退役軍人の自殺者は1日推定22万人(2010年)。対テロ戦争前から急増している。この数字はVA登録者に限られ、実数は1日35人だとの試算もある。

ゴシュロイ医師がさらに懸念するのは外傷性脳損傷の多発である。「最近の戦争では路肩爆弾(IED)で軍用車両から転落し、脳に損傷を受ける例が多発している。TBIを扱う湾岸戦争特別診療所も作られている。TBI患者は2007年以降、毎年2万人以上増加している。2000年からの総数で34万人に達する。ゴシュロイ医師は「戦争が恒常化するもと、国もVAのような包括的な保障体制をつくらざるを得なかった。『戦争する国』になれば、このような隠れた負担が不可避的に増える。戦争しなければ、今のVA病院を一般国民が使え、英国の国営医療制度(NHS)のようなものにできるのに…」と語る。


『週刊朝日』2.28


2016年03月03日(木) 今のアメリカ経済は日本に良い

アメリカ経済との関係を見ても、それは決して主従関係ではない。お互いになくてはならない相互補完関係にあるといってもいい。例えば米国を代表するアップルの看板商品,iphone。1300点とも言われる部品の半分以上は日本製で占められている。電気を一時的にためておくセラミックスコンデンサを手がける村田製作所のほか、京セラ、TDKなど独自の技術を持つ日本企業なしでは
iphoneはつくれない。

「村田製作所はもともと京都の伝統工芸である清水焼を手掛けており、数百年に及ぶ焼き物のノウハウを蓄積して、それが応用されている。これは韓国や中国の鵜品メーカーがおいそれと真似できないキラーコンテンツであり、多少の円高になろうともアップルは買わざるを得ません。このような代わりの利かないモノづくりはまさに日本の強みなのです」(山口氏)

今や日本の最大の貿易相手国は中国だが、輸出額は今でも対米輸出が1位であるうえ、貿易黒字額も6兆円と、日本にとってもアメリカが一番のお得意様であることに変わりはない。そしてアメリカが依然として世界最大の経済大国であり続けることを示すデータがある。最も目を引くのが人口動態だ。「アメリカの人口分布をみると最もよく働き、最も消費する30代層は2050年までは増え続ける。総人口は減っても生産消費層は増えるという日本とは全く違う状況にあり、今後数十年、経済成長が続くのは間違いないでしょう」(山口氏)

アメリカの中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が3月の追加利上げを見送る公算が高く、アメリカ経済の行方を懸念する声も高まっているが、「足元の指標をみると、そんなことはない」山口氏は言い切る。「新規住宅着工件数や自動車販売台数、あるいは失業保険申請者数、雇用者数などはいずれも好転しています」日本では、いまだにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対する脅威論も根強い。しかし、実際には庶民は多くの恩恵を受ける可能性が高い、前出・長濱氏の見方だ。

「まず関税が撤廃されることで、輸入する食料品や衣類などの日用品が安く買えるというメリットが考えられます。日本の農業が追い込まれるという指摘もありますが、一方で世界中で売る機会が増えることも予想されます」山口氏は金融サービスの多様化をメリットの挙げる。「日本の住宅ローンは返済できなくなったら担保の家を取られ、それでも足りなければ残りのローンを払い続けなければなりませんが、アメリカの場合は払えなくなったら家を銀行に渡して終了。実はこれが世界標準であり住宅ローンはもっと使いやすくなるかもしれません」

さらに、山口氏は「アメリカ経済は日本にとって良いことだらけ」だと強調する。「新しいものを発想するのが得意なアメリカ人と、精密かつ誠実にモノづくりができる日本人とというのは世界最強の組み合わせです。日米関係の進化がさらなる成長を日本にもたらすと私は確信しています」


『週刊ポスト』3.11


加藤  |MAIL