加藤のメモ的日記
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2015年12月28日(月) ノーベル賞トリビア

おざなりだ八百長だと、「エンブレム問題」が賞というものの胡散臭さをあぶりだし続けた中で、日本人二人のノーベル賞受賞はことに佳話であった。ストックホルムの12月は、1日に6時間しか日照時間がない。裏返せば、角界のスーパースターを迎えるため、黒子たらんとする闇である。



大村智・北里大学特別栄誉教授(80)=生理学・医学賞=と梶田隆明・東京大学宇宙線研究所所長(56)=物理学賞=のみならず受賞者があげて投宿するのは、1874年開業の「グランド・ホテル」。湖、王宮、そして国会議事堂を望む抜群の立地とその格式ゆえに、スィートルームは通常、1泊20万円を下ることはない。ノーベルウィーク中は全280室のうち半分が受賞者並びにその家族らで埋まる。念のためだが、配偶者や子供の”枕代”はノーベル賞を運営する財団が持つが、その余の同伴者は自腹となる。

ホテルを起点に、財団が用意したBMWの後部座席に収まって関連行事をこなして回った大村、梶田両氏。さる6日、二人が訪れたのがノーベル博物館である。これは賞創設100年を記念し、2001年に完成した建物だ。「その中のカフェ『ビストロ・ノーベル』にやって来たクリントン(元大統領)が求めに応じる形で、椅子の裏にサインをしまして。オーナーが”アイデアや良し”と、受賞者にサインを募るようになったんです。もっともクリントンは受賞者じゃないんですがね」(欧州在住ジャーナリスト)

実際、大村梶田両名もサインしている。「13年にノーベル文学賞を受けたカナダの女流作家アリス・マンローは、体調不良で現地入りをキャンセルしました。そんな彼女にも椅子をカナダまで送ってサインしてもらっています。新しい受賞者の椅子は、天井に吊るされているので、わざわざひっ来る返さなくても見られるんですよ」(同)差しあたって、222名の「サイン付き椅子」をカフェは所蔵し、盗難に遭ったことは一度もないという。

博物館に劣らず、関係者らが集う場所が1949年創業の紳士服店「ハンス・アルデ」である。授与式や晩餐会向けの燕尾服をレンタルするためだ。今年は梶田氏ら受賞者5人を含む合計150人もの衣装を担当するのだとか。料金は3万円弱だから、この1週間でざっと450万円を稼ぐことになるわけだ。カネの話に触れたところで「賞金は非課税」の秘密を明かそう。

各賞の賞金額は800万円スウェーデン・クローナで、単独受賞なら約1億1500万円。今回は共同受賞者がいることなどから分割され、大村氏が2800万円、梶田氏は5600万円ほどを手にする。振込みか小切手で支払われるこの賞金。日本で非課税となったきっかけは1949年、日本人として初受賞した湯川秀樹博士にさかのぼる。物理学賞の博士が受けたのは約3万ドル(現在の8.000万円に相当)だった。戦後を生きることなど思いもしなかった世代にとって、「湯川受賞」は美談そのものである。

「当時、”賞金に課税するのは如何なものか”という議論が起こりました。それを受け、所得税法が改正されたのです」(財務省主税局)その結果として、翌1950年、「「ノーベル賞基金からノーベル賞として交付される金品は」非課税となった。今、口をぬぐって他人の税金が少なすぎると断じる国民はいても、その逆はなかろう。夢のような昔の話である。ではその金品はどうやって捻出されているのか。「それは、財団の基金です。目下、550億円ほどのお金を国内外の株式やヘッジファンドなどに投下し、通年で『3.5%運用益』を目標にしている。昨年、一昨年と16%超のリターンを叩き出しましたが、一方で
リーマンショックに見舞われた2008年は20%の損失となりました」(現地特派員)

なるほど、世界経済の趨勢と無縁ではないようで、『知っていそうで知らないノーベル賞の話』(平凡社新書)の著書・北尾利夫氏によると、「賞金は2001年に900万クローナから1000万クローナに引き上げられましたが、2012年から2割減して現在に至っている。今後も変動する可能性があります」

0対1対21

ところで、「ノーベル賞基金から金品が交付されない」賞というものも存在する。それが他ならぬ経済学賞である。どういうことなのか。「スウェーデン銀行が創立300周年を記念して、経済学賞を作りたいと財団に申し入れたのです」と話すのは先の北尾氏。「それが1968年のこと。当初、財団はノーベル賞の意思に反すると撥ねつけていたものの、最後は折れた。賞の正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン銀行経済学賞」と冗長で、それに賞金を支払うのも銀行なのです」

日本人の受賞はまだない。「経済学賞に関しましては、ノーベル基金から支払われないため、課税の対象となります」(国税庁)これから、その栄誉に浴す人物が出たとして、税法改正があるだろうか。最後に、この”お祭り”に乗れずほぞを噛む韓国の事情を紹介しよう。これまでの受賞は、2000年に平和賞を受けた金大中大統領に限られる。だから、現地のある新聞は社説で、〈日本人が昨日、物理学賞をまた取った。これで、韓・中・日の自然科学分野のノーベル賞の成績は、0対1対21だ〉と嘆じるばかりなのだ。

彼らが太刀打ちできない理由について、拓殖大学の呉善花氏による指摘。「600年続いた朱子学の影響で、職人や技術者が蔑視される傾向が根強い。いくら国を挙げて『ノーベル賞学者』を養成しようとしたって、優れた研究者が育ちにくい土壌があるのです」元時事通信ソウル特派員の室谷氏が後を受け、こんな分析をする。「漢字に比べハングルは、表現できる範囲が狭い。例えば『防水』『放水』は真逆の意味なのに、同じ言葉で表すほかないのです。いきおい、韓国人の思考が単純・単調にならざるを得ないのは否定できません」これまでもそうだった。これからもそうだろう。招きの声がかからぬ「ノーベル賞」が続くのである。



『週刊新潮』12.17   


2015年12月08日(火) 疑惑の物件41件

横浜市都筑区のマンション傾斜問題で、旭化成は22日、くい打ち工事のデータを改ざんした子会社「旭化成建材」(東京)が過去約10年間にくい打ちを請け負った件数が3040件あると国土交通省に報告し、同省で記者会見した。都築区のマンションのくい打ち工事で報告書を改ざんした「現場代理人」が関わったのは41件で、うち23件は愛知県内の工事だった。旭化成幹部は会見で、「現場代理人はルーズな印象の人物」と話した。

公表された3040件は、2004年1月にくい打ち工事が完了した物件は2004年1月にくい打ち工事が完了した物件以降の約11年間に旭化成建材が関わった工事件数。範囲は和歌山、沖縄を除く45都道府県にわたった。建物の用途はマンションなどの集合住宅696件、学校342件、医療・福祉施設257件など。3040件について、現時点で傾いているという不具合は確認されていないという。会見では、これまでに都築区のマンション同様のデータ改ざんが確認された物件があるか質問が出たが、解答はなかった。

都築区の工事でデータを改ざんした現場代理人が関わった工事は、9都道府県41件に上った。会見で旭化成側は、この現場代理人は以前は中部地方の会社に勤務していたと説明。41県の内訳では、愛知23県、岐阜6県、三重5県と東海地方が中心だった。旭化成側の説明では、この現場代理人は「くい打ち工事で10年以上のキャリアを持つベテラン」という。2〜3年前からは、くい打ち工事に関わっていないとも話した。この代理人について、旭化成建材の先取締り執行役員は「物言いや振る舞いがルーズな印象。事務処理が苦手そう」と明かした。旭化成は3040件のうち、代理人が関わった41件を最優先に調べるとしている。

横浜市での問題発覚後、石井国交相が概要を報告するように指示。国交相への報告後、省内で記者会見をした旭化成建材の堺氏は「誠に申し訳ありません」と謝罪した。酒井氏は記者会見で「(3040棟のうち)健全な物件がほとんど」と話したが、3040棟について「問題がないとは言い切れない」とも。物件の詳細や、対象建造物への居住者への連絡や説明をしないことの理由についての質問も相次いだ。

旭化成の柿沢執行役員は、「建物については今の段階で名前をお知らせすると迷惑をかけてしまう」と説明。報道陣から「消費者は知りたいと思っている。誠意が感じられない」と、厳しく追及される場面もあった。


『日刊スポーツ』10.23


2015年12月06日(日) 週刊テレビオヤジ

あの久米宏(71歳)が、ひっそりとれて美表舞台から消えようとしている。「実は唯一のテレビレギュラーである書店情報番組『
久米書店』(BS日テレ)の打ち切りが話し合われているんです。昨年4月に始まったこの番組は、久米さんにとっても5年ぶりのレギュラー番組でしたが、全く話題にならなかった」(日本テレビ関係者)

打ち切りの引き金になった一つが、8月15日に放送された戦後特番『千の証言スペシャル』(TBS)の大惨敗だったという。「視聴率は5.2%。かっての人気はもうないとこがはっきりと証明されてしまいました。近年は政治色の濃い発言も増え説教臭いと視聴者から嫌われるようになった。局にとっても扱いづらい人になってしまった」(前での関係者)

TBSの局アナからフリーに転向し『ニュースステーション』で大ブレイク。1985年から18年にわたりテレビの『顔』として活躍したが、その余録もさすがに尽きたようだ。「2006年に開始した『久米宏なんですけど』(TBSラジオ)は惨敗ということはないが、ただこの番組も、視聴率ランキングでは徐々に後退しています。今後、テレビ局が久米さんをレギュラ−デ起用することはないでしょう」(放送記者)また一つ、テレビの時代が終わった。


『週刊現代』9.5


2015年12月03日(木) 橋下徹のサヨナラ政治史

前代未聞の泥仕合で分裂    

維新の党の分裂劇が、まさに””泥仕合の様相を呈してきた。10月24日に除籍された大阪系の国会議員らが臨時党大会を強行開催。新代表に選出された馬場伸幸氏は党の「解散届」を総務相に提出することを表明した。これに対し松野頼久・維新の党代表らの執行部は「解散届」が出された場合は刑事告訴も辞さない構え。一方、大阪系を率いる橋下徹大阪市長も「本日成立した維新の党の新執行部は松野氏を有印私文書偽造、同行使罪で告訴することを決定した」とツィート。

「大阪系議員は橋本市が設立する新党『おおさか」維新の会』に参加する見通しです。政党交付金を巡っても揉め続けており、橋本氏は松野執行部を『子ネズミ』、『ダメ集団』とコキおろし続けています」」(政治部記者)だが、「維新の党」が「この国のかたち」を変えると宣言して結党されたのはわずか1年前。仲間を募っては喧嘩別れを繰り返す橋本氏の政治史に新たなページが刻まれた。

そもそも橋本氏の政治家人生のスタートが2008年の府知事選の出馬を問われ「2万%ない」というウソから始まったのは周知の通り。「この発言を巡ってできた自民党大阪府連との溝はいまだに埋まっていません。府知事時代も橋本氏は当初蜜月関係にあった当時平松大阪市長と水道政策などを巡り決裂。橋本氏は府知事を任期途中で辞任してダブル選挙に持ち込み、平松氏と市長選で対決するという奇策まで使い、潰しにかかりました」(府政担当記者)
この時も橋本氏は「市長選で平松陣営から町内会に現金100万円が領収書抜きで配られている」と発言、平松氏サイドから訴訟を起こされるという騒動に発展した。

1年前の分党騒ぎも記憶に新しい。日本維新の会は2012年に石原慎太郎率いる太陽の党と合流し、橋本・石原の二頭体制で躍進してきた。ところが昨年浮上した結いの党との合流話を巡って決裂、石原氏から「私たちの政治信条と全く相容れない」と批判された。それでも橋本氏は合流を強行、分党後に維新の党を発足させたのだ。「そして、今回の罵りあいです。気に入らないと因縁をつけて追い出す。その下世話な手法に橋本氏のことを”平成の泥仕合製造機”と揶揄する声も出始めています」(政治ジャーナリスト)政治家・橋本氏の歩みを振り返れば、「さよならだけが人生だ」であった。


『週刊文春』11.5


2015年12月02日(水) 加齢黄斑変成

進行すると失明の恐れもある加齢黄斑変成。高齢化に伴い増え続けている。「治療法の進歩で視力の改善を目指すことも可能になってきました」と話すのは、東京女子医科大学眼科学講座の飯田智宏教授である。治療法と予防の最新情報とは。

加齢黄斑変成とは、人間の目をカメラにたとえるとそのフィルムにあたるのが網膜である。その中心にある半径3ミリ程度の「黄斑」と呼ばれる部分には、物質を見るのに重要な視細胞が集中している。加齢などでここに障害が起きると、視野の真ん中が歪んだり暗くなったりして、見たいものが見えにくい状態になる。これが加齢黄斑変性という病気である。特に病変が黄斑の中心部に及ぶと、著しく視力が低下する。欧米では失明原因の第一位である。日本でも患者は増え続け、50歳以上の1%以上にみられ、患者数は推定70万人。日本人の失明原因の第4位となっている。

加齢黄斑変性は大きく分けると、黄斑が萎縮する「萎縮型」と網膜の下に新生血管ができる「滲出型」の2種類がある。萎縮型は今のところ有効な治療法が確立していない。日本人に圧倒的に多い滲出型は、ここ10年ほどでレーザーや手術、注射など各種の治療法が開発されてきた。とくに2009年に保険適用となった薬物療法は副作用も少なく、視力の改善につながる治療として多くの場合、最初に選択する治療法となっている。



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