加藤のメモ的日記
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2013年03月31日(日) 中日開戦、日本は負ける��

カネの使い方がハンパない

いあm日中が戦えば、『自衛隊が圧勝する』楽観視する人が多いかもしれませんが、状況は変わりました。中国がこのままのペースで軍事増強を続ければ、あと」3〜4年で自衛隊を上回る戦力を持つでしょう」(軍事ジャーナリスト・世良光弘氏)中国の”軍拡”が止まらない。3月5日、中国政府は2013年の国防予算が前年比10.7%増となる7406億元(約11兆1000億円)に上がることを発表した。これは日本の2013年度の防衛予算(4兆7500億円)の約2.3倍である。

驚くべき額だが、実はこれがすべてではない。「公表された防衛予算には艦船の建造費や戦闘機の開発費は含まれない。これらを含めれば実際の軍事費は公表額の2〜3倍に達する」(防衛省幹部)というのだ。しかも、英国のシンクタンク「国際戦略研究所」によれば、中国の国防費は早ければ2020年には30兆円を超え、その数年後にアメリカの国防費を上回ると推測されている。そして憂慮すべきはその巨額資金が日本侵攻に向けて用いられることだ。セラ氏によれば、中国は現在4隻の空母の建造を磯井いでいるという。

「空母の建造は山東省・青島のドッグで進められ、海軍総兵力24万人の5分の1にあたる5万人が従事している。莫大な人件費も含め、空母および戦闘機の開発には少なくとも6兆〜7兆円は使われているはず」(航空自衛隊幹部)そして完成の暁には東海艦隊に配備され、潜水艦や駆逐艦とともに『空母機動対』として東シナ海に展開、「当然、魚釣島付近も航行するでしょう」(同前)中国の空母が尖閣沖に襲来する―。日本にとって想像したくもない光景だ。

カネで買えなきゃ盗む

しかしいくら中国が金をつぎ込んで軍を増強したところで「質」が伴わなければ意味がない。現在の日中の戦力差は、総兵力で23万対230万、艦艇保有数143対1088.。これだけ差がありありながらも日本側が“楽観”していられたのは、中国の艦船が日本に比べ能力が劣るとされてきたこと、そして「中国海軍がブラウンネイビー、つまり沿岸警備隊レベルの実力しかなかった」ことが理由だ。だが、もはやそれは通用しない。「中国はウクライナから購入した空母『遼寧』(りょうねい)を昨年9月、北海艦隊に配備しました。同空母はアメリカの原子力空母に比べれば小型ですが、ロシアで実戦配備されているものと同型艦で、英・仏の空母と比べても遜色ない。そして建造中の純国産空母は遼寧を徹底的に分析した上で設計されており、同艦以上の能力を持つと考えられる」(世良氏)

中国はまた、これら新造空母の護衛・支援を担当する原子力潜水艦の改良も進めているという。「従来、中国の原潜は航行音が大きいため、容易に発見・撃破できると考えられてきました。しかし近年はエンジンの改良で静寂性が高まっており、索敵能力の高い海自といえども、簡単には見つけられなくなっています」(軍事ジャーナリスト・黒井氏)

拡張は海だけではない。「空」の新型兵器の開発も着実に進んでいる。軍事関係者の情報を総合すると、中国は「J―20」及び「J―31」という2種類のステルス戦闘機の開発を並行して行なっている。「J―20」はアメリカンとロシアの「第5世代」に属する最新型ステルス戦闘機を模してつくられており、「J ―31」はやはり第5世代に分類され、米国および日本の次期主力戦闘機となる「F―35」に形状が酷似している。

いかにも「コピー大国」中国の面目躍如といったところだが、コピーされたのは外観だけではない。「中国は米軍のコンピューターネットワークにも侵入し、ステルス戦闘機の情報を相当程度、入手したと見られている。完全なコピーは無理だとしても、『第4世代』に属する日本空自の主力戦闘機『F―35』の性能を上回ることは間違いない。現在、日本は『F―35』の開発を急いでいるが、本格配備されるのは2020年。もしその前に中国がステルス機の開発・配備に成功すれば、東シナ海の制空権は完全に奪われる」(空自幹部)


2013年03月30日(土) 追い詰められたシャープの現状

[アベノミクスで救えるか 追い詰められたシャープの現状]

希望退職に応じても再就職すらない悲惨

安倍政権は緊急経済対策に「官民ファンド」を盛り込んだ。政府系金融機関などを通じて、国がカネを出し、ファンドを創設し、リスクを国が背負って投資を促す作戦だが、こうした官民ファンドは別名『シャープ救済ファンド』などと呼ばれている。国が税金でシャープを助けても、本当にシャープは生き返るのだろうか。

「よほどの専門性がない限り、管理職だった人でも再就職先は居酒屋の店員や警備員といった仕事しかないようです」こう話すのは、シャープの現役社員だ。昨年12月15日付で創業以来初めて実施した希望退職では、沈む船からネズミが逃げ去るように、計画よりも5割増しの、約3000人が会社を去った。」しかし、この不景気のさなか、再就職もままらない社員が多いという。

シャープは今、倒産危機説が囁かれるほど存続の危機にある。2012年3月期決算で、3761億円の当期赤字を計上。13年3月期も赤字額が4500億円に拡大する見通しだ。もともと有利子負債が多かったうえに、戦略のない無防備な投資で液晶工場を拡大させた結果、過剰設備と余剰人員で苦しんでいる。吉永小百合をCMに使って一世を風靡した主力の液晶テレビ「AQUOS]も値崩れが進んで一向に利益が出ない。

すでに社債やCP(コマーシャルペーパー)の格付けは「投機的水準」にまで格下げされたため、市場から資金調達できない状況にまで追い込まれ、銀行からの融資で資金繰りをしのぐありさまだ。メーンバンクの一つ、三菱東京UFJ銀行はシャープを「要注意先」と位置付け、貸倒引当金を積んだ。もう一つのメーンバンクであるみずほコーポレート経理などの主要部署に人を派遣し、「決算資料もすべて銀行管理で作成している」(関係筋)とされる。

シャープはかって、タブレット端末の走りともいえる「ザウルス」を開発し市場で高い評価を得た。「目の付けどころがシャープでしょ」というテレビCMは強烈な印象を残している。デジカメ付き携帯電話を最初に開発したのも同社だ。小回りの利く経営で新商品を開発し、パナソニック、ソニーといった大手を出し抜くことを得意とする社風だった。

しかし、そうした企業風土は、いつの間にか消えうせた。主力工場の名前を取って「亀山モデル」や「液晶王国」などと持ち上げられている間に油断や驕りが生じ、大企業病が蔓延してしまった。もっと言うと、リーマンショック後、危機が顕在化し始めていたのに、社長、会長の確執や役員同士の内紛が起こり、経営改革をコンサルタントに丸投げしたのが同社である。経営陣に危機感が乏しく、結果「被害」を拡大させてしまった。シャープ危機は一種の「人災」の感すらあるのだ。



『日刊ゲンダイ』3.29


2013年03月28日(木) 法人の”役害”ぶり

役人とは、我々にとって”厄人”でしかないのだろうか。薬害をもじって私は”役害”というコトバをつくったが、特殊法人元職員の痛烈な内部位告発書『ホージンノススメ』(若林アキ著、朝日新聞社)を読んで、これほどまでにひどいのか、と怒りを新たにした。彼女は「政府ホージン繁栄史」の節にこう書く。「2001年、小泉内閣が誕生し、日本経済再建のため、特殊法人改革を柱とする構造改革を唱えた。でも、結局、独立行政法人と呼び名を変えるだけに終わった」

小泉改革が見せかけだったことは官僚中の官僚、ということは、最も悪質な官僚が巣くう大蔵省(現財務省)と外務省には手をつけないどころか、彼らの言いなりであることで明らかだと私は主張してきたが、それを裏付けるように、彼女の勤めていたホージンの経理担当者がこう言ったという。「『実害』はゼロでした」表向き、そのホージンの予算は2割削られたけれども、それはファミリー法人に横流ししていたODA予算の「業務委託費」を本省の経費につけかえただけだというのである。

「特殊法人には毎年5兆円の国費が費やされている。本年度はその2割、1兆円を削る」2001年春に就任した小泉首相は勇ましく、こう宣言した。しかし、行革事務局の資料によれば、5兆円というのは国の一般会計からの支出だけで、郵便貯金などの特別会計からは毎年24兆円もが特殊ホージンに流れているのである。この内部告発のポイントは、こうした数字のカラクリの指摘より、ホージンのお金の浪費にある。一つ一つ紹介するわけにはいかないが、結局はこういうことである。

「ホージンでは年間予算50億円のうち8億円がODA経費で、年に50〜60件の海外出張がある。ODAは発展途上国のためではなく、天下り官僚たちの海外慰安旅行の隠れミノのためにあるようなものなのかもしれない。なぜ、ホージンを廃止できないかといえば、政治家と持ちつ持たれつの関係になっているからで、政治家のパーティー券を買ったり、どうにもならない自己宣伝本を大量に買い上げたりするのである。KSD汚職で逮捕された村上正芳元労相の『汗にむくいる―徳おこし労組奮闘記』という本や、森山真弓前法相の『非常識からの出発』『この日この時と』といった本も、そのホージンの倉庫には積んであったという。

『汗にむくいる』には、大手労働団体の会長や霞が関のトップ官僚たちの、「私と波長の合う人」「正義感で行動派」「戦乱の武将」といった村上を讃えるチョウーチン文章も並んでいるが、「ここに歯の浮くようなお世辞を書き連ねた役人たちは、その後も順調に出世しているらしい」というのだから厭になる。この本の基となった週刊誌での内部告発が出た直後は大騒ぎになったが、それも束の間で、すぐに「理事長様をお守りしていこう」という空気が強くなった。

「今でも、理事長も会長も相変わらず海外出張行きまくり。全然危機感ないよ。アルバイトが多すぎて職員はヒマって叩かれてたけど、あれからまた派遣社員の人も増えてるし。独立行政法人になるんで、本省からの出向者も増えてるよ。あの記事が出て、反省するなんてとんでもない。それどころか、余計悪くなった感じだなあ」



『小泉純一郎を嗤う』佐高 信


2013年03月27日(水) 病気と闘うな医者と闘え��

深刻な病気は発見できない

普通、私たちは自覚症状が出てから病院に行く。つまり、病気でなければ、病院と医者を必要としない。ところが、健康診断や人間ドッグを受診するということは、健康なのに病院へ行く行為である。これが、何を意味するかはもはや言うまでもないだろう。医者と病院にとっては、健康な人が来てくれるのだから、これほどありがたいことはないのだ。日本医師会は、健康診断について、次のように説明している。

「生活習慣病はますます若年化し、高校生で症状の出る人も増えてきました。20代で脂肪肝、肝機能障害、糖尿病になる人も少なくありません。その主な原因は過食と運動不足です。症状が出てからでは手遅れなのが生活習慣病の恐ろしいところです。定期的に健康診断を受けましょう」はっきり言って、この説明には無理がある。そもそも健康診断や人間ドッグで見つかる病気は、一般的に高血圧や胆のうポリープ、脂肪肝、肝血管腫、腎膿胞などに限られ、本当はそれほど深刻な病気とはいえないからだ。しかし、それを言ってしまえば、健康診断や人間ドッグを受ける人はぐっと減ってしまう。だから、こうして日本医師会は、訴え続けているのである。

私はよく友人知人から、健康診断や人間ドッグの検査結果について相談を受ける。そうした相談のうち、ここ数年目立ってきたのが胆のうポリープと肝血管腫である。「いやあ、なんの自覚症状もないのに胆のうにポリープがあると診断されたんだが、どうすればいいか」といわれると、私はほとんどの場合、「ほっとけ」と答えるしかない。そうしたポリープは、発見されなければそのままその人の生活に何の影響も与えないからだ。

胆のうポリープも胆石も、人間ドッグで発見されなかったら、一生知らないで過ごしたサイレント・ストーン(無症状結石)であることが少なくない。実際のところ、生存中に何の症状がなくても、死亡後に解剖してみるとサイレント・ストーンがあったという例は、5〜10%もある。では、なぜ、現代医学はこんな罪つくりの診断をするのかというと、この両者とも超音波診断(エコー)が、人間ドッグに導入された結果なのである。超音波診断は、当初は脳の腫瘍や乳腺の診断、体内の異物の存在のチェックなどに使われ、その後の技術の進歩であらゆる臓器の診断に利用されるようになった。

患者には苦痛がほとんどないし検査時間も短いので、ついには人間ドッグにも導入されるようになったものである。しかし、これは医者側の勝手な都合であって診断される側には大したメリットはもたらさない。もちろん、肝ガン、すい臓ガン、乳ガンなどのガンの発見には役立つ。しかし、ガンの発見によってガンからの生存率が上がったなどのデータはどこにもないのである。

ガン検診でガンを発見してもムダ

人間ドッグと同じく、ガン検診と呼ばれるものの、現代のやり方ではほとんど効果がない。というのは、これまで信じられてきた「ガンは早期に発見すれば何とかなる」という考えが、過渡期を迎えたからである。ズバリ言ってしまうと、早期ガンといってもそれが進行ガンになって致命傷になるがどうかはわからないからである。以前はガンといったら、手術で全部取るのが一番いいと思われていたのに、最近は手術をあまりやらなくなっている。

また、進行ガンにしても、いくら治療してもそれがムダなことはわかり切っており、切ったり、抗ガン剤をやればやるほど死期を早めるだけのことである。私の知人の医者もそのことを了解していたので、、一切何もやらず2年半の余命を得た。抗がん剤を売っていたら大変だっただろうし、手術でもすれば、回復した時にガン細胞があちこち飛んでいってしまい、取り返しのつかない結果になっていただろう。また、肺ガンになった別の知人は、内科医に「これは切っても意味がないから、放射線を当てて、様子を見ていなさい」といわれてそれに従った。しかし、同じ病院の外科医には「すぐに切りなさい」と言われたそうである。このように、現代ではガンそのものに対する考え方が変化しているのだ。

これは、よく考えてみればわかるが、ガンそのものは体の老化現象といっていい。ガン細胞の遺伝子は人間ならだれでも持っているわけで、ガンの発症はその遺伝子が老化現象の中でトラブルを起こしたということなのだ。だから、抵抗してみてもあまり意味はない。かって、乳ガンといえば全部切っていたが、欧米ではそんなことはやっていなかった。日本だけで切っていたのだが、なぜそんな手術が主流だったのかは、実を言うとよくわからない。

やはり、その方が医者や病院の利益に結びついたからだろう。医者としては切らないでもいい方法があるとは、絶対口にしなかった。手術の方が儲かるからである。患者としては「乳ガンです。切らなければだめです」と言われれば、「はい、わかりました」と従うしかなかったのである。まったくひどい時代だった。患者に選びようのない、一番高価な医療のメニューを提供するのが、現代の医者と考えるしかない。現代医学は、その時代に最善と考えられる方法で、患者と対峙する。しかし、その最善は時代が進み、研究が進むと最善ではなくなることを、患者側は全く知らされないのだ。

ガン検診で被曝するアホらしさ

患者の無知をいいことに、いまだに続けられているのが日本のガン検診である。例えば肺がん検診でいまだに行なわれている廃胸部エックス線検査は、まったくのムダである。この検診で使われるエックス線フィルムは一般のエックス線フィルムの35�僉�35�僂茲蠑�さい10cm×10�僂如△海鵑幣�さいフィルムの中から、早期のガンを発見するのは至難の業である。それなのになぜという声にこたえると、医者の仕事を減らさないためである。廃胸部エックス線検査というのは、もともと結核診断として行なわれていたもので、結核がほぼ絶滅されたので仕方なく、肺ガン検診と名目を変えて、医者の既得権を守ったのだ。ところが、アメリカではエックス線撮影による被曝にも問題になり、とっくにやめてしまったのである。

現在の検査漬けの日本の医療制度下でエックス線検査が限りなく行なわれることは、患者側にとってはすごく危険なことである。被曝は、誰が受けるかで3つに分類することができる。1つは「職業被曝」といって医師や看護婦、エックス線技師が被曝する場合。2つめは「公衆被曝」でこれは一般市民や病院の事務職員など、そして3つめが患者や付き添いが被曝する「医療被曝」である。

国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づく形で、日本も放射線量の限度を法律で定めているが、これによると、放射線量の限度は職業被曝の場合、1年に50m㏜(ミリシーベルト)を超えてはならず、また、公衆被曝はその50分の1の1m㏜以下が限度である。ちなみに、1回の胸部エックス線で浴びる放射線量は平均0.2mGY以下という報告がある。(mGYは線量をエネルギーとして定義する単位、msvは人体などに与える影響をあらわす単位であるが、同じと考えても問題はない)

このように医療する側には厳重な定義があるのに、なんと患者側の「医療被曝」には規定がないのである。これは限度量を設けると、あるいは治るかもしれないのにストップがかかり、患者のデメリットになるという理由からだが、逆に検査漬けを促進させてしまっているのだ。エックス線を浴び過ぎると発ガンが促進されるという研究も発表されているだけに、これは大きな問題である。ガン検診を受けてガンになる確率が高まるとしたら、笑い事では済まされないのだ。事実、日本人の「医療被曝」は、欧米に比べて高いというデータがある。日本人は一人当たり2.2m㏜で、アメリカ人は0.4m㏜、フランス人は1.6m㏜というのだ。



『病気と闘うな医者と闘え』 冨家 孝


2013年03月24日(日) 中国・韓国の経済が大失速

中国が苦しむ時代に入った。

中国は、アベノミクスを「第二の尖閣問題」と捉えているのだ。中国にとっては、昨年秋に尖閣諸島を国有化した野田前首相に続き、アベノミクスという「危険な経済政策」を振りかざす安倍首相は”第二の戦犯”なのである。北京ジャーナリストの胡小兎氏が語る。「現在、年に一度の国会にあたる全人代が北京で開かれていて、3月17日の最終日に、季克強首相が誕生します。習近平、季克強新政権が発足するや、国をあげて反アベノミクス・キャンペーンを展開するでしょう。領土問題プラス為替問題の二段構えの攻撃です」

だが、熊川氏によれば、こうした動きは中国の経済が失速していくことに原因があるという。つまり、自国の経済失速を日本に転嫁するというわけだ。「日本のアベノミクスと関係なく、中国経済は賞味期限切れが近づいているのです。私は『五つのリスク』と呼んでいます。

第一に一人っ子政策による少子高齢化です。中国の生産年齢の割合は2010年をピークに低下していきます。第二に、一党独裁の崩壊です。近未来の財政赤字の悪化が政治リスクを増大させていく気配なのです。第三に不動産バブルの崩壊です不動産価格の上昇に依存したいびつな経済が、ひとたび歯車が逆回転するとスパイラル的に悪化するのは、日本のかってのバブル崩壊と同様です。第四に設備の過剰です。中国の製造業の生産設備の利用率は6割にすぎません。五番目は、賃金インフレの進行です。賃金のこのところの驚異的な上昇で、労働集約型の製造業が成り立たなくなってきています。日本には、こうした先行きの見通しが悪い中国にオサラバする時代、すなわちパッシング・チャイナの時代が、遠からず訪れるのです」

日本が心配する必要はない

「中国が恐れているのは、円安よりもむしろ、日本のTPP参加です。なぜなら日本のTPP参加は、21世紀の東アジアは、自由主義国家が地域の秩序を構築していくという、中国に対する明確なメッセージだからです。仮に日中関係がこの先も悪化し続けたとしても、日本のGDPを、0.2%押し下げるぐらいで、我々にとっては『蚊が刺した程度』の影響しかありません。

それよりも日本企業が今後、提携を深めていくべきなのは、タイ、インド、インドネシア、ミャンマー、ベトナムといった南アジア地域です。タイは自由貿易に積極的で、産業インフラが集積しています。インドは世界有数の消費市場です。インドネシアは大量の若年層人口を抱え豊富な天然資源があります。ミャンマーは民主化が進行中で、今一番ホットな国です。ベトナムは若い、安い、勤勉と3拍子揃っています。そしてこれらすべての国に当てはまるのが、中国や韓国と違って極めて親日的で、市場としても非常に有望だということです」

結論としては、中国や韓国が騒ごうが、日本はアベクロ(安倍首相・黒田日銀新総裁)相場で突き進んでゆけば良いということだ。『日本の発展はアジアの発展』なのである。



『週刊現代』3.23


2013年03月22日(金) 増える放射能汚染水

水から除けない放射性トリチウム

”最期は海洋投棄”東電の危険な思惑

40年はかかるとされる福島第一原発の廃炉作業。これを継続的に監視する原子力規制委員会の評価委員会で東電はこんな提案をした。「最終的には関係者の合意を得ながら、汚染水を海洋放出ができれば余裕ができる」海洋放出しなければ汚染水は大変な事態になるというのである。東電の記者会見で汚染水問題を追及しているジャーナリストの木野龍逸さんは批判する。

「東電は海洋放出する計画を原子力安全・保安院(当時)に提出したが、全漁連の猛反対にあった。それからは「関係省庁の了解がないと放出しない」とぼかしている。ただ記者会見でもつめても『放出しない』とは決して言わない」福島第一原発にある汚染水はすでに合計40万�填瓩�。そのうち原子炉を冷やした水からセシウムと塩分を取り除いて、貯蔵タンクに入れている。貯蔵タンクにある汚染水は約27万トン。残りは原子炉建屋などに滞留している。

東電はこの汚染水から、新設備(通称・アルプス)で一定の放射性物質を取り除き、海洋投棄する計画を立てているのである。取り除いた放射性物質を安全に長期間保管することも困難だが、アルプスでも放射性物質・トリチウムは除去できない。東電技術者は「トリチウムは水とほぼ同じ性質をしている。現在の技術では取り除けない」

原子力規制員会の資料では、アルプスの処理水に含まれるトリチウムは、1立方�造△燭�1800ベクレル。これは国が決めている限度値の30倍である。東電は当初、規制委検討会に提出した資料に、トリチウムの強さを記載していなかった。そのため2月21にの検討会で高木京大教授から批判が出た。「処理した後の水の毒性も記載すべきだ。トリチウムの濃度を書くのは難しくない。なぜ書かないのか。『きれいな水』という印象を与える。

1000万トンのタンクは2日半で満杯に

福島原発事故の収束対応で最も大切なことは、これ以上国民を被曝させないことである。事故直後に海洋に放出された汚染水などの影響で、海産物から高い放射性物質が検出されている。2月末には、原発構内の港でとれたアイナメから、1キロあたり51万ベクレルのセシウムが検出された。これは限度額の5100倍である。大量のトリチウムを環境中に放出すれば、汚染をさらに拡大することになる。収束対応に反する行為である。

仮に限度値以下に薄めて海洋放出する場合、現在タンクに溜まっているものだけで、30年近くかかる計算になる。長期間、しかも継続的にトリチウムを海に放出することになるのである。なぜ東電は、汚染水の海洋投棄を計画したのか。東電と政府は、溶けた核燃料を冷却した水を処理し、再び冷却に使う循環注水冷却を計画していた。

ところが、大量の地下水が原子炉建屋に流れ込んでくるため、汚染水が増える一方なのである。もともと原子炉建屋は、地震対策として地下の岩盤に直接建てている。このため通常、地下の外側には地下水がある。その地下水が、地震や爆発の影響で破損した配管などから入って来ると考えられている。建屋に流入する地下水は1日約400トン。汚染水の貯蔵タンクは1本1000トン。わずか2日半で満杯になる計算だ。

現在、設置済みのタンクは約32万トン分。東電は70万トンで増加する計画だ。しかし、このままでは70万トン分もあと2年ほどで満杯になる。70万トン以上の増設については、福島第一原発の高橋所長は2月28日の記者会見で、「タンクが何トンまでできるかは回答できない。敷地に限度があることは事実」と述べた。

廃炉をすすめる強力な規制機関を

日本原子力研究所元研究員の市川さんは「汚染水に含まれるトリチウムの値は、非常に強い。海に投棄しても、すぐに希釈されるわけではない。当面は一定の場所に滞留する恐れもある。海洋投棄ではなく、トリチウムを除去する研究開発が必要だ。廃炉などについて日本共産党は、昨年9月の提言で「原発の廃炉に至るプロセスの管理、使用済み核燃料の管理などを目的とし、従来の原発推進勢力から独立し、強力な権限を持った規制機関を確立するよう提起している。


『赤旗』3.17


2013年03月21日(木) TPPの真実

本当なのか?安倍首相のTPP参加のメリット。聖域や国益など守れるはずなし

米追従の自民安倍政権に、米国との交渉力などなし

安倍首相が3月15日、TPP交渉参加を正式に表明したが、ブッたまげたのはその言い草だ。自民党は先の選挙で「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する」と明言した。あたかも「TPPには慎重」の姿勢を装ってきた。6割を超える議員がTPP反対を売り物に選挙を戦い、勝ち抜いてきたのは周知の通りだ。

ところが、安倍は「TPPがアジア太平洋の世紀の幕開けとなった。後世の歴史家はそう評価するに違いありません」「その中心に日本は存在しなければなりません」「TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます」と高らかに宣言したのである。もう筋金入りのTPP礼賛ではないか。会見では取ってつけたように「聖域」についても触れた。しかし、「守るべき項目をしっかりと胸に強い交渉力をもって結果を出したい」と言っただけ。質疑応答で「聖域の重要5品目の関税を堅持できない場合、TPP交渉から離脱するのか」と突っ込まれると「今ここで離脱するかどうかを申し上げるのは国益に反する」とゴマかした。

最初から交渉参加ありき。それがものの見事に露呈した記者会見だったのである。東大大学院教授の鈴木宣弘氏は「民主党の公約破りをあれほど非難してきたのに、自民党の公約破りは許されるのか。有権者に対する信じがたい背信行為だ」と言ったが本当だ。一事が万事で、安倍や政府が説明するTPPに関する話はごとごとくデタラメだ。とにかく米国に言われたから、TPPに参加する。国益は二の次三の次。そのために二枚舌を弄して、国民を騙し続けてきたのが真相だ。

〈国民皆保険は揺らぎ、食の安全もなし崩し〉

安倍は会見で「TPPはアジア太平洋の未来の繁栄を約束する枠組みだ」「日本の国益だけでなく世界の繁栄をもたらすものと確信している」とも言った。すべてがウソッパチである。TPPについては医師会は連日、意見広告を出して反対している。JAは4000人デモ行進で反対した。未来の繁栄を約束するものであれば、なぜかくも反対運動が起こるのか。すべてが詭弁だからである。鈴木宣弘氏が云う。

「医師会が反対しているのはTPP参加によって、国民皆保険が揺らいでくるからです。米国は長年、日本の医療制度を攻撃し、崩そうとしてきた。国民皆保険があると、米国の保険会社の商売がやりにくし、日本の薬価制度は米国の製薬会社には参入障壁になるからです。企業にとって邪魔なものは排除する。政府が従わなければ、ISD条項で訴える。これがTPPですから、当然、国民皆保険もターゲットになる。TPPは皆保険崩壊を加速させることになるのです。農業についても同じです。米国は乳製品と砂糖を例外品目にしようとしたが、オーストラリア、ニュージーランドの反発で認められそうにない。聖域なき関税撤廃が前提なのですから、日本の農業の聖域が守られるはずがないのです。米国は日本の厳しい食の安全基準も問題視している。TPPに参加すれば、農業が大打撃を受けて、地域経済、コミュニティーが崩壊するだけでなく、食料自給率は低下し、食の安全基準の緩和も余儀なくされ、国民の健康不安も増大することになります」

バラ色の未来なんて、とんでもない話なのだ。

〈これから参加する日本に交渉の余地なし〉

安倍や政府は「各国とも聖域はある」「交渉次第だ」みたいな言い方もしているが、これも大ウソだ。

「遅れて交渉に参加したカナダやメキシコは、すでに決まっている条件には口出しできず、今後、決まることについても先に交渉に参加している国の意向が優先されることになっています。そういう念書が交わされたのですが、日本も同じですよ。つい最近、シンガポールで行なわれた交渉で米国の担当官は『日本は交渉する時間も権利もないんだよ』と言ったといいます。交渉次第で聖域が守られるというのはマヤカシです」(鈴木氏)

そうこうしているうちに、事前協議で米国の自動車の関税維持や日本は米国車の安全基準を受け入れること、最低輸入台数の設定、学資保険の内容変更などを求められていることが暴露された。もちろん、安倍政権はグニャグニャだろう。自民党は先の選挙で、自動車など工業製品の数値目標は受け入れない、国民皆保険は守る、食の安全は守る、ISD条項には合意しない、など6項目の公約を掲げた。これらが守れないなら、直ちに交渉から脱退すべきなのに、安倍は言を左右にしてしまう。

国民には情報を開示しないまま、国益に反する秘密交渉が進んでいる証拠だ。いや、交渉ではなく、一方的な譲歩を迫られ、ドンドン、それに応じている。それが真相に近い。こりゃ、国民生活や日本の産業は大変なことになる。米国を筆頭に他国の草刈り場になってしまう。それがTPPの現状、惨状なのである。

〈すべては安倍首相の政権維持のため〉

元外交官で、あまたの国際交渉を経験してきた孫先享氏は「TPPで日本は得るものは何もない。一つの例外を除いて……」と言った。その例外こそがTPPの本質だ。それは「米国の言いなりになって、政権維持をしてもらうこと。それしかメリットはありません。つまり、安倍首相のためだけのTPPです」そうなのだ。それほど、この交渉は不可解、奇怪で、国民にはいいことが一つもないのである。孫崎氏が続ける。

「全体会議は7月で終わります。すでに条約は出来上っているのも同然で、すぐでシャンシャンでおしまいになる。日本が聖域の交渉をできる余地はないのです。日米首脳会談の合意文書には『すべてが交渉で決まる』かのような表現が出てきますが、これは『最初から聖域なし』と約束するわけではないという当たり前のことを言っただけ。交渉の余地がないのは政府も知っているはずです。それなのに国民には何も知らせず、後発国には出る幕がない交渉に参加する。これは白紙委任状と同じです。そうまでしてなぜ、参加するのか。安倍首相のメリットしか思い当りません」

だとすれば、今後の交渉の結末も見えてくるというものだ。これまでもウソをつき通してきたように、今後もウソとゴマカシで国民をけむに巻く。しかし、最終的には日本市場を丸ごと米国に手渡すわけだ。亡国政権の身勝手を断じて許してはいけない。


『日刊ゲンダイ』3.16


2013年03月20日(水) 民主党は参院選まで持つのか

造反、離党、公認返上止まらない

また造反だ

15日の参院本会議で行なわれた日銀総裁人事案の採決で、民主党の風間直樹参議院議員は、党の方針に反し反対票を投じた。執行部は「単なるボタンの押し間違え」と苦しい説明をしているが、風間は改選組で、7月に参院選を迎える。何か理由をつくって民主党を飛び出し、他党からの出馬を目論んでいるようだ。

「気持ちは分かりますよ。党の支持率は下がる一方だし、トップの海江田さんは『安愚楽牧場』の件で損害賠償を求める訴えを起こされた。細野幹事長は『脱連合依存』発言で、興石前幹事長から『誤解を招く発言をするな』と怒られる始末。野田前首相は依然、引きこもりだし、前原さんは離党する気満々だ。そりゃ脱走したくなりますよ」民主党関係者

民主党では3月12日、参院選比例の公認に内定していた山口和之元衆院議員が『民主党では勝てない』と離党届を提出した。京都から立候補予定だった華道家家元の新人も出馬を取りやめる方向だ。それ以外にもすでに、現職・新人4人が民主からの出馬を辞退している。

選挙まであと4カ月というのに、党内はメチャクチャ。迷走に迷走を重ねている。「一応、46人が候補として内定していますが、みんなの党や維新の会の議員と接触している人が何人もいる。6月には都議選もあり、そこで惨憺たる結果となれば、さらに脱走者やドタキャンするする人が増えるでしょう。結局、出馬するのは愛知や千葉などの複数区を地盤とする議員だけで、当選者はヒト桁ということも十分あり得ます」政治評論家・角谷浩一氏

民主党は参院選まで持たないんじゃないか。



『日刊ゲンダイ』3.19


2013年03月18日(月) 病気と闘うな医者と闘え��

昨年、九州に住む義母がクモ膜下出血で倒れ、地域の救命救急センターに入院、手術をを受けた。しかし、その手術が病院側の都合としか思えない理由で遅れ、義母は水頭症を合併してしまったのだ。これは放置しておくと、たとえクモ膜下出血は治っても、痴呆症になってしまう。そこで私は、脳外科の専門医32人に水頭症の治療法について聞いてみた。すると、全員口を揃えて、頭蓋内からチューブで髄液を腹膜に流すシャント療法をすればいいと答えてくれた。

ところが、義母の入院先の病院は、これをやろうとしない。高圧酸素療法とリハビリでいい。少しずつ快方に向かっていると言い張るのだ。しかし、どうしても私にはそうには見えず、義父と相談し、東京の病院に転院させた。すぐにシャント療法をしてもらうと義母はたちまち回復し、今は元気で暮らしている。高圧酸素療法は長くしていると脳に障害を与えるとされ、この場合、現在ではあまり見られない治療法である。

大都市のように、地域にいくつもの病院があり、患者獲得を競っているのならば、成功率の高い治療法を積極的に取り入れていくのだろうが、義母が住む地域は一つの救命救急センターしかなく、旧態依然の治療法をしていてもまかり通ってしまうのだろう。私は医者同士の情報交換を常日頃やっているから、こういった緊急事態のときでも、医者仲間にいくらでも相談できた。それで、義母は九死に一生を得た。しかし、一般の人はこうはいかないだろう。この経験は、私に現代の医療に対して、さまざまなことを考えさせた。

私がまず考えたのは、私がどうしても特別のケースだということである。つまり、一般の人にとっては、身内や親しくしている人に医者ないなければ私のように気軽に他の医者からアドバイスを受けられない。また、受けたとしても、それではどの治療法がいいのか判断もできないだろうし、さらにいいと思った治療法を、医者にしてほしいと要求できるだろうか。

医者というのは、その技術レベルの高低に関係なく、“自分が信じる治療法”というのを持っているだろうから、それにそぐわない治療法を要求してもしてくれない。だから“セカンドオピニオン”を聞いて終わりではなく、いい治療があれば、それをしてくれる病院の元へ転院させた方がいいに決まっている。ただ、あらかじめ転院先の了承を取り、うちで引き取りますと強く言ってもらわないと、元の病院は自らの治療法を正当化して、転院させないようにするものである。やはり、了承を取るにも、ツテがモノを言うのだ。こう考えると、一般の人にとって、いい治療を受ける機会は、ほとんど閉ざされている。それほど現代の日本の医療は絶望的なのである。

そんなわけで、この本は、私を一つの“際立った立場”にた立たせることになった。これまで、私は数多くの医療に関する本を出してきたが、そのどれとも違う試みでやらざるを得なくなったのだ。というのも、私のカッパブックスでの前著『開業医の嘘 大病院の罠』から1年が経ち、その間に私もこんな経験をしたのだから、読者の医療不信はもう極限にまで達したのではないかと思ったからだ。

現在、朝、新聞を開くと、医療ミスの記事が載っていない日はないようになった。ついこの間、患者取り違え手術事件があったと思ったら、また違う病院で…というように、もうとめどもないところまで医療ミスはきている。こうなると、医療ミスというのは、患者にとっては大問題であるが、医者にとっては日常茶半の単なる事故でしかない。こんな現実を前にして、私のような医者であり、医療ジャーナリストが何を書けばいいというのか。問題摘出も検証も、告発ももう何度もやってきた。そして、そのような本は私以外の多くの医者や識者も繰り返し書いてきている。しかし、いい医者もいれば、適切な医療もある。しかしこの現実をそのまま表現してしまうと、現代の医療不信の確信は描けないのだ。

私はこの本を、次のような立場で書く。
○医者は全員嘘つきである。
○診断、検査など、すべてウソである。
○完全な治療法などどこにもない
○現代の医療制度は、すべて間違っている。
○医者の言葉を信じてはいけない。
○病院は患者の病気を治すためにあるのではない。

つまり、これまでのあなたが信じてきた医者と医療に関する考えを、すべて捨ててほしい。そして、医者と闘ってほしいのだ。病気とばかり闘うのではなく、医者と闘ってほしいのである。



『病気と闘うな医者と闘え』


2013年03月16日(土) 放射能汚染水あと2年で満杯

福島原発事故は「収束」どころではありません。別の危機に直面してます。差し迫った最大の問題は、あと2年ぐらいで貯蔵タンクの置き場がなくなる大量の放射能汚染水です。溶融した原子炉を循環冷却する水が原子炉格納容器がら漏れ、地下水と合体し、放射能汚染水が溜まり続けています。格納容器は地震や水素爆発でも破損している可能性があり、水漏れ修理も困難です。汚染水は放射能ストロンチュウムなど約64種類の放射性物質を含み、このうち特に放射性トリチウムは除去が困難です。汚染水を海洋に大量放出すれば、海洋生物に取り込まれ、最終的には人間が体内被曝するという深刻な事態になります。原発事故処理は、東電任せでは解決できません。

元国会事故調査委員会委員 田中三彦

東京電力福島第一原発事故発生から2年。今も収束には程遠く、事故真っただ中の状態が続いている。とりわけ深刻なのが、敷地内で日々増え続けている放射能汚染水の処理である。第一原発の正門をバスで抜けると、密集して林立する約800基の巨大なタンク群がある。内部には、原発の建屋内で発生した汚染水が貯蔵されている。

原子炉建屋に流入する地下水で、汚染水は毎日400トンも増え続けている。高さ11�叩ν椴�1000�鼎竜霏腑織鵐�1基が2日半で満杯になる。設置済タンクの容量は32万�邸C�蔵量は26万6000�邸�(3月5日現在)限界までタンクを増設しても、あと2年程度で溢れる。タンクは毎日のように増え続けている。今や、原発敷地全体が、肥大化し続ける汚染水貯蔵庫に様変わりしつつある。

東電は汚染水から放射性物質を取り除く多種除去設備(アルプス)を建設中。これでも放射トリチウムは除去できないのに、汚染水の海洋放出を狙っている。政府は収束と言っているが、ほど遠い。収束、廃炉の仕事は国の総力をあげてやり切る本当の大仕事だ。現場を見れば再稼働など論外だ。全原発の廃炉に踏み切るべきだ。

むき出しの鉄筋、壊れた配管

4号機の原子炉建屋からは、毎時40μ㏜(マイクロシーベルト)から50〜100μ㏜と、視察団を乗せたバスが近づくとアナウンスされる。事故後に設置された作業用エレベーターに乗ると、水素爆発によるコンクリートの割れ目、むき出しの鉄筋、壊れた配管類が見える。空襲を受けたような風景である。約1分で地上30�叩⊃瓩�さらしの最上階に到着。直下には約1500体の使用済み燃料がある。目の前にある1〜4号機の無残な姿は、ここが世界最悪の原発事故の現場であることを物語っている。

原発敷地内の作業員は平日で計3000人以上。ここは、3号機の影響で毎時300μ㏜くらいある。東電の説明では、もっと線量の高いところもあるという。安全管理が心配である。

多重チェック

線量が最も高い場所は、3号機のタービン建屋付近である。毎時1��㏜(1000μ㏜)を超える。(1��㏜は1000μ㏜)1時間で一般人の年間被ばく限度(1��㏜)を超える。第一原発敷地内の事故対応拠点や、休憩場に使われている免震重要棟は、鉛製の板で窓がふさがれている。汚染物質の流入を防ぐため、入る際に靴カバーやゴム手袋、装備を脱ぎ汚染チェックをする。出る時は全面・反面マスクなどを再着用する。心臓部ともいわれる緊急時対策本部室に入る際には、さらに追加の汚染チェックがある。過酷な環境をうかがわせる。

敷地の内外で

視察団が高濃度の汚染区域にいたのは2時間ほど。積算被ばく量は高い人で60〜70μ㏜(マイクロシーベルト)だった。原発から60�僧イ譟�60人以上の子供たちが通う福島市の保育園では、事故後2年経った今でも、室内の積算線量計は2週間で100マイクロ㏜を記録する。屋外ではさらに高い数値が。今も15万人以上が避難生活を強いられている福島県。原発敷地の内でも事故は
進行中」である。


再稼働は絶対に容認できない

げんぱつ設計者から言わせてもらうと、福島原発事故の結論は、これまでの安全基準や対策の考え方ではだめだったということです。原発事故では、事故原因もいまだにわかっていません。地震で原子炉か原子炉につながる配管が損傷した可能性についてはいまだ不明です。事故原因もわからないのに、原子力規制員会は新安全基準をつくろうとしています。原子炉格納容器からベントするとか、フィルターをつければいいといいますが、あまりに乱暴すぎる。後付けの対策で大丈夫だという保証はありません。

地震や津波だけでなく、機器や配管の設計上の問題や人為的なミスも含め、冷却などの機能を失ってしまった可能性があります。原子炉や原子炉格納容器などの基本設計にまで立ち戻って考えなおさないといけない。それをしないで、電源車の配置などの緊急対策で原発を再稼働させるなど絶対に容認できません。


元東芝原発技術者


『赤旗』3.17


2013年03月15日(金) 病気にならない生き方��

ヨーグルト神話はウソ

最近、各種のヨーグルトが健康効果をうたってブームになっています。しかし、ヨーグルトを毎日食べるというのは「ウソ」だと私は考えています。私がヨーグルト神話に疑問を感じるのは、臨床現場では、ヨーグルトを常食している人の腸相が決して良いものではないからです。ですから私は、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が生きたまま腸に届いたとしても、そこで腸内のバランスを良くする働きがなされることはないと考えています。ヨーグルトの乳酸菌は、胃に入った時点でほとんどが胃酸によって殺されます。

乳糖はヨーグルトの中にもたくさん含まれています。そのため、ヨーグルトを食べると、エンザイム(酵素)不足から乳糖をきちんと消化しきれず、消化不良を起こします。ヨーグルトを常食していると、腸相は悪くなっていきます。これは30万例の臨床結果から自信を持って言えます。もしあなたがヨーグルトを常食しているなら、便やガスの匂いが強くなっているはずです。これは腸内環境が悪くなって、毒素が腸内で発生しているからです。これからは自分の健康は自分で守っていかなければならない時代です。情報を鵜呑みにするのではなく、自分の体で確かめ、真実を見極めることが必要なのです。健康で長生きするためには、外から聞こえてくる声に翻弄されるのではなく、自分の体で確かめ、体の中から聞こえてくる声に耳を傾けてみることが必要なのです。

ガン患者の食歴を調べていくと、動物食(肉や魚、卵や牛乳などの動物性の食物)をたくさん摂っていることがわかりました。しかも早い段階で発病している人ほど、早くから動物食(とくに肉、乳製品)を多く、そしてひんぱんにとっていたことがわかったのです。乳ガン、大腸ガン、前立腺ガン、肺ガンなど発病したガンの種類はさまざまですが、この傾向だけは同じでした。大腸検査の提唱者である私のところにも、多くのガン患者が来ていますが、女性なら乳ガン、男性なら前立腺ガンを発病した人の大腸に異常が発見される確率はとても高いという臨床結果が出ています。その結果を受けて、今アメリカでは、乳ガンや前立腺がんを発病した人は大腸検査を受けるというのがだいぶ浸透してきています。

トランス脂肪酸は、自然界には存在しないもので、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすほか、ガン、高血圧、心臓疾患の原因になるなどさまざまな健康被害をもたらすことが報告されています。そして、このトランス脂肪酸を最も多く含んでいるのが、「マーガリン」なのです。動物性脂肪のバターより植物性の油でつくられたマーガリンの方がコレステロールも少なく、体に良いと信じている人は多いと思いますが、これは大きな間違いです。

実はマーガリンほど体に悪い油はないのです。もともと植物油というのは、常温下では液体となっています。これは植物油に不飽和脂肪酸が多く含まれるからです。同じ油でも動物性の脂肪が常温で固体であるのは、飽和脂肪酸を多く含んでいるからです。ところがマーガリンは植物油であるにもかかわらず固まっています。なぜマーガリンが常温下でも固まっているのかというと、水素を添加し、不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に人工的に変化させているからなのです。マーガリンの原料である植物油は、もともと溶剤抽出法で抽出されたトランス脂肪酸を含んだ脂です。それに水素を加え、わざわざ不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変化させているのですから、これ以上に悪い油はないといっていいでしょう。

市販の牛乳は「錆びた脂」ともいえる

油と並んで酸化の進んだ食べ物が、市販の牛乳です。加工する前の生乳の中には確かにいろいろな「良い」成分が含まれています。しかし市販の牛乳ではそうした「良いもの」は、加工される過程ですべて失われてしまっているのです。現在はホモゲナイザーという機械を使い、脂肪球を機械的に細かく砕いているのです。こうしてつくられたのが、「ホモ牛乳」と呼ばれるものです。ところがホモゲナイズすることにより、生乳に含まれていた乳脂肪は酸素と結び付き、「過酸化脂質」に変化してしまいます。過酸化脂質というのは、酸化し過ぎた脂肪ということですから「ひどく錆びた脂」ということになります。世界の主流は高温短時間殺菌法ですが、日本の主流は超高温短時間殺菌法です。エンザイム(酵素)というのは熱に弱く、どんなに短時間であっても130度もの高温に晒された時点でエンザイムはほぼ完全に失われてしまいます。

また、超高温に晒されることによって、過酸化脂質の量はさらに増加します。そして、さらに問題なのが、タンパク質が熱性変質するということです。卵を長時間茹でると黄身がポロポロになりますが、牛乳のタンパク質にも同じような変化が起きているのです。熱に弱いラクトフェリンも失われます。こうして日本の牛乳は、健康を阻害する食べ物になってしまうのです。

自然界を見ればわかりますが、どのような動物でも「乳」を飲むのは、生まれて間もない「子供」だけです。自然界で大人になっても「乳」を飲む動物など存在しません。それが自然の摂理というものです。人間だけが、種の異なる動物の乳をわざわざ酸化させて飲んでいる。つまり、自然の摂理に反したことをしているのです。ですから、どうしても牛乳が好きだという人は、ホモゲナイズされていない低温殺菌の牛乳を、時々飲む程度にしてください。牛乳を飲んでも体に良いことは何もないのですから。

人間の期間というものは、空気以外のものが入らないような仕組みになっています。しかし、寝る前に胃にものが入っていると、横になることでその内容物が喉まで上がってきてしまいます。すると体は、気管にその内容物が入らないように、気道を狭め、呼吸を止めてしまうのです。これが著しく気道が狭くなる「閉塞型」の原因だと私は考えています。睡眠時無呼吸症候群の患者のほとんどが肥満であるということも、この私の仮説と符合します。

夜寝る前に食事をとると、インシュリンが大量に分泌されるのですが、インシュリンは炭水化物もタンパク質もすべて脂肪に変えてしまうため、同じものを食べても夜食べると太りやすくなることがわかっているからです。つまり、肥満だから睡眠時無呼吸症候群になるのではなく、寝る前にものを食べるという習慣が、睡眠時無呼吸症候群の発病と肥満の原因を同時につくりだしているということです。食事に限らず、夜寝る前に胃にものを入れるというのは悪い習慣です。睡眠薬を飲むよりもいいからと、寝酒を習慣にしている人がいますが、これも危険です。寝ている間に呼吸が止まりやすくなるため、血液中の酸素濃度が低下してしまいます。もともと動脈硬化があったり心冠動脈の細い人にとっては、酸素濃度の低下は心筋の酸欠を招き、文字通り命取りになってしまいます。

夜明けに心臓麻痺や心筋梗塞でなくなる人が多いのは、実はこのように夜遅くに飲食したために逆流が起こり、それによって気道をふさぎ、無呼吸を招き、血液中の酸素濃度が低下し、心筋が酸欠で壊死してまうのが原因なのです。寝る前に食事だけでなくお酒まで飲むと、このリスクはさらに高まります。なぜなら、アルコールを飲むと呼吸中枢の抑制が起こり、血中の酸素濃度がさらに減少するからです。アルコール分解酵素の少ない人(酒に弱い人)は、アルコールがより長時間血管中にとどまることになるので、充分な注意が必要です。



『病気にならない生き方』 新谷弘美


2013年03月14日(木) 大研究 東京大学

東大に入っても不幸な人、東大出たのに不幸な人

東大に入れば将来は安泰―そんな甘い時代はとうに終わっている。苦労して狭き門をくぐっても、不幸になる落とし穴はそこらじゅうに隠れている。失敗していった東大生の声を集め、徹底検証した。

授業についていけない

「合格発表会場で胴上げなんかされちゃって、人目をはばからず喜んでいる受験生っているじゃないですか。実は僕もその口なんですけど、そういう人って、だいたい入学した後に不幸が待っているんですよ」(東大経済学部4年男子)3月10日、今年も日本最難関の入学試験を突破した受験生たちが、東大本郷キャンパスの名物、赤門から続く銀杏並木で喜びを爆発させた。さまざまな誘惑を排して、一心不乱に努力を続けてきたのだから、喜びもひとしおだろう。だが、こと東大に限っては、そうした無理な努力で入学することは、あまり身のためにならないかもしれない。前出の東大生が続ける。

「あそこまで喜べるのは、よっぽど努力した人、それも入試の手応えに自信がない人です。要は、努力した凡才なんです。そういう人が東大に入ってもいいことは一つもありません。僕は静岡の公立高校の出身で、周りに東大を受験する友人もいなかったので、、2年間毎日、学校に22時ごろまで残って、担任の先生とマンツーマンで勉強して来ました。入学して驚きました。僕は高校時代勉強しかしていない、と断言できるほど努力してきたんですが、そんななりふり構わずやった、という人はあまりいないようでした。都内の有名私立高校出身の同級生に合格発表の話を振って、『どうせ受かると思ってたから、合格発表は見に行ってないんだ』と言われた時は衝撃を受けました」

彼によれば東大生のヒエラルキーは、3段階に分けられる。「一番上はもう天才というしかない、ずば抜けて優秀な学生です。こうした学生は10人に1人いるかいないか。真ん中はその天才たちと仲良くしていて、試験期間になると天才に試験対策を教えてもらい単位を集める要領のいい奴ら。東大内に知り合いの多い、毎年多数の東大合格出身者を出すような名門校出身に多い。そしてヒエラルキーの最下層が、学力も高くなく、要領も良くない学生。僕のようなタイプです。親や教師に半ば強制的に勉強させられ身の丈に合わない東大に入ってもいいことはありません」

そもそも東大とは、努力して入る価値のある大学なのだろうか。肝心の講義内容がどのようなものなのか、一般には知られていないが、理学部の3年生からは泣き言が聞こえてくる。「数学が難解すぎる。例えば微分は微分でも、非線形微分方程式など、先端的な数学を扱うため、十分な参考書も揃っていなくて、ついていけない人がどんどん増える。1年の秋ごろから、脱落者が出始めて、今ではどの数学のどのクラスも完全に理解できている学生は1割に満たない状態になっている。それでも補習のようなことは一切しないですし、進行ペースを落とす気配も全くない」先端のテーマを取り扱う精神は良いが、さすがに1割程度しか理解していない状態というのはいかがなものか。

『もう「東大話法」にはだまされない』の著者で、東京大学教授の安富氏は、「そもそも東大に集まっている学生が優秀という前提がおかし」と言う。「入学試験は、ある方向の能力だけを計っているにすぎず、人間としての知性とはさほど関係がありません。人間の能力はもっと複雑で多様なものです。東大生、東大出身者に代表される知識人の特徴は、自分の考えがないこと。考えがないからどんな考えでも「理解」できる。これが問題に合わせて答えを短時間で導き出さなければならない受験には有利に働きます。本当に理解しようとする人は試験が不得意。アインシュタインは一度受験に失敗しています。東大に入ったら、今度は3年の学部を決定する、進学振り分けの競争が待っている。東大生同士がしのぎを削る最期の修羅場です」

博士になっても未来がない

つまり、東大生は、大学2年まで受験勉強を続けることになる。安富氏が続ける。「学問とは主体的に行なうものであり、自分の知りたいことを追及するものです。ところが、今のカリキュラムではそれぞれの先生が持っている価値観などを片っ端から理解しないといけない。その結果、いかなる意見でもいかなる考えでも理解したふりをするようになる。本当は理解していないのに返事ができる。これにて『東大生』の完成です。ところが、この性質は答えがない場合は全く使いものにならない。近年『東大生が使えない』と言われるのはこのせいです」

東大生は確かに、徐々に社会から必要とされなくなりつつある。『高学歴ワーキングプア』などの著書がある環境心理学者・水月氏は、東大大学院の暗さについて言う。「かって博士課程に進むことは、それだけで一つのステータスでしたが、完全に過去の話。たとえ博士号を取得できてもその先に就職口はない。『末は博士がホームレスか』という状況です。院生は増える一方なのに、大学のポストは増えないからです。東大が公表している博士の就職率は、ここ10年、40%台で推移して来ました。これは非常勤講師などの任期付き雇用も含めた数字なので、いわゆる正社員としての就職率となると、実質2〜3割でしょう」

一般企業の入社試験でも、東大生が無条件に歓迎される時代は終わっている。就活に2年連続で失敗した文学部卒の男性(25歳)のケースはこうだ。「1年目は20社程度、就職浪人した2年目は50〜60社ほど受けましたが、すべて落ちました。メーカーやITを中心にとくに職種業態を選ばず有名な企業ばかりを回っていました。いわゆる大企業病というやつです」大企業病とは、親や地元の期待を背負って東大に入っているからには、聞いたことがないような会社には入れない、という東大生にはよく見られる就活傾向を指す。

『論争・東大崩壊』などの著書がある京都大学名誉教授。竹内洋氏がその原因を解説する。「東大生は、長年受験勉強という個人プレーを続けて成功を収めてきたために、人に合わせるという発想がない人が多い。協調という、昔ながらの日本の美徳を持ち合わせていないのです。そうした東大生はもはや、日本人というよりは『東大人』という別の人種だと考えたほうがいいかもしれません」ただ面白いのは、こうした”できない東大生”に限って、学歴を鼻にかける傾向にあることです。東大という名に見合う能力がないからこそ、自分のプライドを支えるものが東大しかなくなってしまうのでしょう」

かくして東大卒は自ずから孤立し、企業の中で嫌われていく。東大卒が社会で好まれないのは、協調性の欠如と高すぎるプライド、そしてもう一つが、まわりへの要求が高く、みんなに煙たがれること。人を育てるのではなく、人にスゴイと思われたいだけ。東大卒のそうした社員は、いずれ管理職としては「失格」の烙印を押されることになる。東大生の最大の弱点はその「均質性」にある。世の中も人生もいろいろ。その心理に近づけない東大生には、社会に出ると必ず不幸が待っている。



『週刊現代』3.23


2013年03月13日(水) 追いだきがない仮設の風呂 

支援打ち切りに絶句

東日本大震災から11日で2年。今も被災地は復旧・復興とはほど遠い生活が続いている。住まいを見ると約31万5000人超の被災者が仮設住宅などで避難生活を送っている。その仮設にも多くの入居待ちが…。今こそ被災地と心を共有する政治が必要だ。

仮設住宅への入居希望者が相次いでいる。宮城県石巻市の阿部さんもその一人。妻の奈萌(29)さんと3人の子供の5人家族である。住んでいた借家は震災で半壊。大家から退去を迫られ、1年前から家族は離ればなれで親類宅に身を寄せていた。「早く家族一緒に暮らしたい」。その願いを仮設住宅に託した。

宮城、岩手両県によると、仮設住宅入居待ちは現在420世帯を超える。入居待ち期間は3,4か月が多く、地域にこだわると1年待ちもある状況だ。1年待った阿部さんは3月になって、ようやく子供の学校近くの仮設住宅に入居が決まった。しかし、下見して絶句した。寒冷地なのに風呂の追いだき機能がない。「家族5人が風呂に入っていると湯が冷める。末っ子はまだ0歳。風邪をひいてしまう」

市役所に行くと、追いだき機能の追加申請は締め切ったといわれた。昨年、追いだき機能を求める被災者の切実な声を日本共産党が国会で取り上げ、政府は災害救助法の国庫負担の対象にした。ところが、「仮設は2年期限」「新入居者は無し」という立場の政府は、追いだき機能追加も、今年度予算で完了したとして、市も1月末で申請を打ち切った。

一人暮らしなどの理由で追いだき機能追加を期限内に申請しなかった仮設住宅は、同市に3割以上もある。そこに新たに入居する被災者は、追いだき機能という、最低限の切実な要求さえ拒否されるのである。災害公営住宅の建設が大幅に遅れ、仮設を4年以上継続せざるを得ないのが現実である。にもかかわらず政府は、期限切れとしてさまざまな支援策を打ち切るのである。

東日本大震災から2年 国はもっと支援を 線引きに疑問

自宅再建を目指す被災者にも様々な困難がある。全・半壊合わせた被災家屋件数が4431件にのぼる岩手県宮古市。飛鳥田さん(50)は、妻や長女、長男の4人で市内の仮設で生活している。自宅は津波で全壊した。本人や家族は高台への移転を希望するが、いくつもの障害がある。全壊した自宅は、国の防災集団移転促進事業の対象外とされた。危険区域と行政が認定しなかったからだ。そうなれば、被災した土地の買い上げはない。「堤防からわずか10メートルの距離なのに…」と、危険区域の線引きの曖昧さに疑問を呈する。

もう一つの障害は、生業の漁業の復興遅れである。カキの養殖の水揚げは、震災前の10分の1に激減した。現在は国の補助事業とされ、給料をもらって生計に充てている。しかし、今油代の高騰で月に6万から7万がなくなる。「アベノミクスいう安倍首相の経済政策で物価が上がって、干上がってしまう」と飛鳥田さん。「土地・住宅購入のためのローンも組めない。自宅を再建したいが、カキの水揚げが軌道に乗るのは良くて再来年。家はそれ以降。その時に消費税が増税されたら…」

最高300万円という国の被災者生活再建支援金は低すぎる。日本共産党宮古市議団の田中団長は指摘する。「国は個人財産の形成につながる支援に及び腰だ。生活再建支援金を最高500万円にして、持ち家再建を希望する人が諦めてしまう前に、背中を押す必要がある」



『赤旗』3.10


2013年03月12日(火) 除染利権はゼネコンが独占

危険手当もゼネコンがピンハネ

一次下請けの幹部が証言したところによると、環境省から作業員一人に一日、21.700円が出ている。それを大手ゼネコンが2000円から3000円ピンハネし、年間36億円から54億円もの不当な利益を得ている。それがさらに一次下請けから四次下請けにまで流れ、最終的に現場労働者には11.000円しか支給されないケースがある。

手抜き除染、危険手当や賃金のピンハネがだ追い問題になっている国直轄の除染事業。その裏で、同事業を独占受注している元請けの大手ゼネコンが、巨額の不当利益を得ている疑いが、複数の建設業者などの証言で明らかになった。その手口と実態は…。

「除染作業員に国から一日、1万円の危険手当が出ているなんて知らなかった。元請けからも聞いていない」そう話すのは、福島県内の国直轄除染事業で働く末端の下請け会社社長である。放射線量が高い福島県内の「除染特別地域」では環境省が直轄事業として、除染事業を発注している。予算額は来年度分を含め約6540億円。今後、数兆円ともされる額が投入される。実際に行なわれているのは大手ゼネコンへの丸投げである。その結果、ピンハネ構造が生まれている。

国が決めた除染作業員の一日当たりの手当や労務費は、21.700円。ところが前出の社長によると、現場では11.000円程度しか作業員にい払われていない。危険手当さえピンハネされている。作業は元請けから1次〜4次下請け、さらにその下の施工体制台帳に載らない”幽霊下請け”に順次丸投げされる。もっとも責任の大きいのはピンハネ構造の頂点にいる元請けゼネコンである。危険手当も現場作業員に全額支払うよう国から支持されている。しかし、1次下請け幹部の証言によると、元請けゼネコンは1作業員あたり2000円から3000円、年間数10億円も抜いているという。その実態は。

1次下請け幹部は証言する。「元請けゼネコンが言ってきたのは、1作業員あたり2万円弱から19000円前後。役所が決めた額から2000〜3000円を抜いている」除染作業は、ダムやトンネルなどと違い、工事費の大半を占めるのは作業員の人件費である。本格除染の発注は現在、国直轄対象11市町村中、4市町村にすぎないが、それでもピーク時で1日5000人近くの作業員が必要といわれる。福島建設業協会は「除染作業が本格的に始まれば1日当たり1万人」が必要とみている。仮に1日1万人とすると、元請けゼネコン側に転がり込む差益の総額は、1日当たり2000万円から3000万円。1年間(9か月)で36億円から54億円にのほる計算である。

前出の1次下請け幹部は「元請けは利益を二重取りしている」と批判する。「元請けは役所から本社経費や利益分も出してもらっている。にもかかわらず危険手当や労務費から抜くのは”不当”利益だ。環境省の発注の問題もある。危険手当を支払えといいながら、大手ゼネコンに発注する際には、危険手当や労務費などを分けず、工事費の中に含め、分からないようになっている。

建設政策研究所理事長の辻村さんは「危険手当は一般的な公共工事にはない特殊な手当てなので、発注の際には別枠で明示する必要がある。労働者への賃金支払いについても、一部の地方が行なっているように、発注の際の設計労務単価を下回らないように元請けゼネコンを指導すべきだ」

元請けは大手ゼネコンばかり 鹿島、大成、大林…

国直轄の除染事業は、当初から大手ゼネコンに丸投げされてきた。発注済みの額だけでも450億円を超えている。最初の事業は内閣府発注の「除染モデル実証事業」。同事業は高速増殖炉もんじゅの研究・開発に固執する「日本原子力研究開発機構」に丸投げされた。同機構はそれを、大手ゼネコンの大成建設や鹿島建設、大林組がそれぞれ幹事社の3共同事業体(JV)に発注した。モデル事業の後に行なわれた先行除染や本格除染の受注企業を調べてみると、モデル事業を受注した大手ゼネコンをはじめとするJVの構成企業が受注している。

作業員から相談が続々

昨年11月から今年1月にかけて、除染作業員からの相談が計8件あった。いずれも除染の危険手当が支払われない、雇用保険、社会保険の未加入などの無権利状態を改善してほしいというものだった。危険手当のピンハネが問題になり、労働基準監督署が会社を指導した後も、賃金総額を変えずに1万円を危険手当に付け替えるやり口が横行している。

相談のあった会社はバラバラなのに、労働基準監督署の指導後、それぞれが付け替えをして、作業員の手取りが足並みを揃えたように「15.500えん」とされたのも不可解である。「請負単価からして、これ以上の賃金は出せない」と回答している会社もある。重層下請構造の中で、賃金の中抜きが横行しているが、そもそも元請けゼネコン段階でピンハネが行なわれているとすれば言語道断である。元請けゼネコンの責任とともに、こうした状況を横行させている発注者である環境省、厚生労働省や労働基準監督署など行政の責任はとても重い。



『週刊新潮』


2013年03月11日(月) 原発関連死789人

東京電力福島第一原発事故に伴う避難やストレスによる体調悪化などで、死亡したケースを本誌が独自に「原発関連死」と定義して、福島県内の市町村に該当者数を取材したところ、少なくとも789人に上ることがわかった。死者、行方不明者18.549人を出した東日本大震災から今月11日で丸2年。被災3県のうち福島では、宮城、岩手よりも多くの人が今も亡くなり続けている。原発事故は収束していない。

地震や津波の直接の被害者だけでなく、震災や事故後の避難中などに亡くなった人に対し、市町村では「震災関連死」として災害弔慰金(最高500万円)を給付している。福島では22市町村が、計337人を関連死として認定した。20市町村はこのうちの原発事故に伴う避難者数を把握しており、本誌で「原発関連死」として集計したところ、789人に上った。南相馬市といわき市は把握していない。

南相馬市の担当者は「事故後市全域に避難指示を出した。震災関連死と認定した396人の大半は、原発避難者とみられる」と話しており、これを合わせると原発関連の死者は1000人を超えるとみられる。254人が原発関連死だった浪江町では、申請用紙の「死亡の状況」欄に「原子力災害による避難中の死亡」という項目があり、町の担当者は「全員がこの項目にチェックしている。自殺した人もいる」と話す。

震災関連死の認定数は、福島より人口が多い宮城で856人、岩手が361人(1月末現在)で福島が突出している。復興庁は「福島は原発事故に伴う避難による影響が大きい」と分析している。認定数の多さだけでなく、影響が長期に及んでいるのも福島の特徴だ。震災後1年間の震災関連死の認定数は、福島が761人、宮城636人、岩手193人。その後の1年間の認定数は福島が576人、宮城220人、岩手168人。今も申請は続き「収束が見えない」(浪江町)という状況だ。

『東京新聞』3.11


IT業界と官僚が分捕るマイナンバー制度3000億円利権

安倍政権が閣議決定し、関連法案を国会に提出した「マイナンバー(共通番号制)制度」。国民一人ひとりに番号を振り分け、納税状況や年金情報を一元管理するもので、「国民総背番号制だ」と批判も多い。が、もう一つ見過ごせない事実がある。新たに生じる巨額利権だ。

この制度にはベラボーなITインフラが必要で、導入に300億円もの初期費用がかかる。加えて、毎年のランニングコストは数百億円ともいわれる。つまり、この仕事を受注した業者は半永久的にウハウハなのだ。そんな中、株価が急騰している企業がある。前財務次官の勝英二郎氏が特別顧問として天下りし、先日、社長への起用が報じられた通信ネットワーク運営会社「インターネットイニシアティブ(IIJ)」だ。

「勝氏の社長起用が報じられたのは、マイナンバー制度が閣議決定された翌2日のことです。勝氏は財務省時代、『100年に1人の人』とか言われた大物次官で、政財界に人脈が広く官公庁にニラミが利く。それで、マーケットでは『マイナンバー事業も勝氏なら分捕れるんじゃないか』『そのための社長起用ではないか』との憶測が流れているのです。ネット選挙が解禁される夏の参院選も控え、ますますIT業界の政官界分野への進出が期待されている。”勝社長のHJなら将来有望”とみられているのです。実際、2日以降、株価は2400円台から2700円台にハネ上がっています」(証券関係者)

官公庁とIT業界の癒着や官僚の天下りは、近年、新たな問題として表面化している。今度の補正でも、財務省が独立行政法人「情報通信研究機構」につけた予算500億円は「勝予算だ。独法からいくらか流れるのでは」と噂されている。しかし、大マスコミはダンマリ。朝日と読売なんて、6日、IIJから広告をもらって朝刊に掲載していた。大新聞は勝次官時代にも消費増税キャンペーンを展開して協力していたが、こうして”役人天国”は続いていくのだ。


『日刊ゲンダイ』3.11


2013年03月10日(日) 病気にならない生き方��

食の常識を信じていると命が危ない

病院食にみられる一つの間違いは「牛乳」です。牛乳に含まれる主な栄養層は、タンパク質、脂質、糖質、カルシウム、ビタミンです。なかでも牛乳は日本人に不足しがちなカルシウムを多く含むという理由で、とてももてはやされています。でも実は、牛乳ほど消化の悪い食べ物はないといっても過言ではありません。喉が渇いた時に水代わりに飲む人もいますが、大きな間違いです。

牛乳に含まれるタンパク質の約8割を占めるカゼインは、胃に入るとすぐに固まってしまい、消化がとても悪いのです。さらに。市販の牛乳はその成分が均等化されています。これは搾乳した牛乳の脂肪分を均等化させるために攪拌することをいいます。なぜホモゲナイズするのがいけないのかというと、攪拌するときに牛乳に空気が混じり、乳脂肪分が過酸化脂質になってしまうからです。

過酸化脂質というのは「酸化がとても進んだ脂」という意味です。わかりやすくいえば「錆びた脂」です。これは活性酸素同様、体に非常に悪い影響を及ぼします。その錆びた脂を含んだ牛乳を、今度は100度以上の高温で殺菌します。エンザイム(酵素)は熱に弱く、48度から115度の間で死滅します。つまり、市販の牛乳というのは大切なエンザイムを含まないだけでなく、脂肪分は酸化し、タンパク質も高温のために変質しているという、ある意味で最悪の食物なのです。その証拠に、市販の牛乳をお乳の代わりに子牛に飲ませると、その子牛は4,5日で死んでしまうそうです。エンザイムのない食べ物では命を養うことはできないということでしょう。

牛乳を飲み過ぎると骨粗鬆症になる

市販の牛乳が体に悪いということを、35年前に私に教えてくれたのは、私の親せきの子供たちでした。その子供たちは、2人ともアメリカで生まれ育ったのですが、生後6,7か月の頃にアトピー性皮膚炎を患いました。子供たちの母親はかかりつけの小児科医院の指示に従っていたのですが、いくら治療を受けても子供たちのアトピー性皮膚炎は一向に改善されませんでした。そして3〜4歳になった頃から、ひどい下痢を起こすようになったのです。そしてついには血便まで出るようになっていしまい、びっくりした母親が私を頼ってきたので、急いで内視鏡を入れて中を見ると、その子供は潰瘍性大腸炎の初期でした。

潰瘍性大腸炎は食事内容が関係して起きることが多いので、私はすぐに子供たちが普段から良く食べている食べものを調べました。そして、ちょうど彼らがアトピーを発症した時期が、医師の指導のもとに授乳を打ち切り、牛乳を与えるようになった時期であったことがわかったのです。私は子供たちの食事から、すぐに牛乳と乳製品をすべてカットするよう指示しました。すると案の定、血便も下痢も、アトピーすらもぴったり治まったのです。

後に患者さんたちに食歴のアンケートをとるとき、牛乳・乳製品をどれぐらい摂っているかという項目を設けたのもこのときの経験があったからでした。その臨床データによれば、牛乳や乳製品の摂取はアレルギー体質をつくる可能性が高いことが明らかになっています。これは妊娠中の母親が牛乳を飲むと、子供にアトピーが出やすくなるという最近の、アレルギー研究の結果とも一致してします。

日本ではここ30年ぐらいの間に、アトピーや花粉症の患者が驚くべきスピードで急増しました。その数今や5人に1人ともいわれるほどです。なぜこれほどアレルギーを起こす人が急増したのか、さまざまな説がいわれていますが、私はその第一の原因は、1960年代初めに始められた学校給食にあると考えています。

過酸化脂質を多く含む牛乳は、腸内環境を悪化させ悪玉菌を増やし、腸内細菌のバランスを崩します。その結果、腸内には活性酸素、硫化水素、アンモニアhなどの毒素が発生します。こうした毒素がどのようなプロセスを経て、どのような病気を招くのかはまだ研究途上ですが、牛乳はさまざまなアレルギーだけでなく、子供が白血病や糖尿病などのシリアスな病気を発症する原因となっているという研究論文がいくつも出ています。こうした論文はインターネットなどで見ることができますので、ぜひご自分の目で確かめていただくといいでしょう。

いろいろな健康被害をもたらす可能性を持っている牛乳ですが、最大の誤解は、牛乳が骨粗鬆症の予防に役立つといわれていることです。年をとるとカルシウムが減るので、骨粗鬆症にならないように牛乳をたくさん飲みなさいといわれます。でも、これは大きな間違いです。牛乳の飲みすぎこそ骨粗鬆症を招くのです。牛乳のカルシウムは、小魚など他の食べ物に含まれるものより吸収が良いといわれますが、それは少し違います。

人間の血中カルシウム濃度は、通常9〜10ミリグラム(100CC中)と一定しています。ところが、牛乳を飲むと血中カルシウム濃度は急激に上昇するそうです。そのため一見すると、カルシウムがより多く吸収されたように思いがちですが、この「血中濃度の上昇」こそが、悲劇をもたらすのです。じつは急激にカルシウムの血中濃度が上がると、体は血中のカルシウム濃度を何とか通常値に戻そうと恒常性コントロールが働き、血中余剰カルシウムを腎臓から尿に排泄してしまうのです。

つまり、カルシウムを摂るために飲んだ牛乳のカルシウムは、かえって体内のカルシウム量を減らしてしまうという皮肉な結果を招くのです。牛乳を毎日たくさん飲んでいる世界4大酪農国であるアメリカ、スェーデン、デンマーク、フィンランドの各国で、股関節骨折と骨粗鬆症が多いのはこのためでしょう。これに対し、日本人が昔からカルシウム源としてきた小魚や海藻類に含まれるカルシウムは、血中カルシウム濃度を高めるほど急激に吸収されることはありません。しかも、牛乳を飲む習慣のない時代の日本には、骨粗鬆症はありませんでした。現在も、牛乳を飲む習慣のない人や牛乳の嫌いな人に骨粗鬆症が多いという話は聞いたことがありません。小魚や小エビ、海藻類は腸内で消化された後、体に必要なカルシウムとミネラル分を吸収するので、体の仕組みに即した良い食べ物といえるのです。



『病気にならない生き方』


2013年03月07日(木) 大島渚 脳卒中の食事

「脳卒中の予防の第一は、まず太り過ぎないことです。脳の血管が切れるのが脳出血。かっては脳梗塞ともいいました。血管がふさがるのが、脳梗塞。これらの脳の疾患を総称して、脳卒中と呼びます。体重の次に注意すべきことは、運動と、腹八分目。そして減塩、野菜中心、一日30品目の食材摂取を心掛けてください」湘南わかば苑の山川栄養士は手厳しい。「ここは高齢者向けで、1日3食、1600キロカロリー、塩分8〜9グラムに抑えています。若い方のカロリー総量とは違いますが、それでも20代、30代からのカロリーの過剰摂取は万病に値します。ある日、突然〈一撃〉がきます」

脳出血で倒れて17年。車椅子生活、80歳で逝った大島渚監督。「しかし残念ながら、脳出血、脳梗塞を発症すると、口の中に麻痺が残る。喉の機能が落ちるなど、多くの人が飲み込みに大変な苦労をします。大島さんには普通ののご飯とおじやの中間ほどの柔らかさのものをお出ししました」この施設では、一番柔らかいゼリー状から、ミキサー、刻み食、ひと口大、全形と呼ぶ通常の硬さまで5段階に調節する。ほぼ100人の入所者と20人の通所者を、70人のスタッフで対応する。

大島監督を介護してきた妻・小山明子さん(78)は、「大島は、来客があれば朝でもビール、お昼のワイン、夜の日本酒、ウィスキー」と飲み続けた。「お酒と私と、どっちが大事なの!」ときつく問うたりしたが結局、「大島は、体の右側が麻痺し、失語症になり」夫妻は、倒れた夫、壊れていく私、の過酷な状況に陥った。「それまでは人間ドッグではいつも血糖値が高く、ちょっと糖尿の気があるから気をつけてください」といわれていた程度だった。そこで糖尿に効くと聞いた煎じ薬を毎日飲んだ。

しかしやったことはそれだけ。あとは「お酒をガバガバ飲み、高カロリーの料理を好んで食べ、運動もせず、ハードな仕事に追われ」ある日、一撃は突然にやってきた。「血糖値は、倒れたときには250近かった。もう立派な糖尿病患者だった」作家の野坂昭如さん(82)も、72歳で脳梗塞に仆れた。「野坂は取り憑かれたように、食べることもなくお酒を飲んで睡眠不足。ハチャメチャな状態でした」「いつかはドブにはまって死んでしまう」と、小山さんとの対談で夫人は明かしている。(『笑顔の介護力』)

野坂夫人に小山さんが返す。「うちも大酒飲み。出会った頃は60キロぐらいで細いから好きになったのに」大島さんは一時は100キロ近くに太った。医者に糖尿病を注意され、「1日2食。米、パンなどの炭水化物は厳禁。お酒も禁止でした」という食生活だった。

1500キロカロリー 塩分7グラムが理想

脳出血の要因の大部分は、高血圧。血圧の高い状態が続くと、細い血管は常に張りつめた状態になり、柔軟性が失われ、硬化が進む。この硬くなった血管にいっぺんに大量の血液が流れ込んで、血管が破れるのが脳出血である。予防の第一歩は、何よりも生活習慣を見直すこと。それは太り過ぎを注意する。睡眠と休養でストレスを解消する。大島さんや野坂さんのような過度の飲酒と、喫煙は命を縮める。

動物性脂肪、コレステロールを多く含む肉などの食品を控えめにし、アジ、サバ、イワシなどの青魚に含まれる不飽和脂肪酸を積極的に摂る。血圧を下げる効用のある乳製品、マグネシウムの多い焼き海苔、昆布、ゴマなども有用である。しかし毎年、25万人以上が脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などの〈脳卒中〉を発症している。現在の患者数は150万人。がん、心疾患に続いて日本人の死因の第3位の数で、年間13万人が死亡する。

では、〈strike=一撃〉はどんな表情を見せて、ある日突然現れるのか。頭が痛い。めまいがする。体にしびれがある。熱いお湯が冷たい。ぬるいお湯が、熱くて痛い。ろれつがまわらない。視野が狭まったようで、片方の目が見えにくい。手足がスムーズに動かない。片腕、片足から力が抜けてふらぶらする。元・NHKアナウンサーの山川静雄さんも脳梗塞を発症した。

山川さんはそれまで「大病らしきものは一つもなく、多忙、過食、深酒、午前様というパターン」退職して、急激に運動量が減った、体重が増加し、「糖尿病の一歩手前だ」と医師に言われた。しかも、時折、不整脈があった。そして67歳の正月明け、クリスマスから新年会とアルコールが途切れず、一家団欒の寄せ鍋の夕食がすんで、ごろりと横になってテレビを見ようとしたところ、腕枕の腕がヘナヘナとなって力が入らない。まともに言葉が出てこない。ロレツがまわらない。以後、山川さんは懸命のリハビリに努めて幸いにも復帰した。

脳出血の最大の要因は、高血圧、高脂血症、糖尿病。これにかからない予防は、塩、脂、糖をなるべく減らす。完食、間食、ドカ食い、飲み過ぎは禁止。もう一つ、脳梗塞の要因は高血圧、喫煙が引き起こす動脈硬化である。予防はこれも、高カロリー、高コレステロール、高脂肪の食生活をやめること。理想は1500�船�ロリー、塩分7グラム。血管の壁を強化するために卵、大豆製品、鶏肉、魚を食べる。血中コレステロールを上げる動物性脂肪は控える。リンゴ、バナナ、枝豆、カボチャなど、塩分の排出を促すカリウムを多く含む食品を積極的に摂る。

具体的に良い食材とは。青魚、イカ、タコ、カニなどのタウリン。ニンニク、ショウガ、玉ねぎ、キノコ、こんにゃく、海藻の繊維、グリーンアスパラガスのルチン、植物性のオリーブオイル。いずれにしろ、高血圧にならないことが脳卒中を防ぐ第一の予防となる。食塩を摂り過ぎるとナトリウムの作用で血液量が増え、血管内圧が上昇し、末梢神経の抵抗が高まる。やがて血圧も上昇して高血圧となる。薄味がキーワードとなる。

大島監督は再発したが、1日1200�船�ロリーを超えることがないよう、食品交換表を参照しながら、明子夫人も心を砕いた。たまに夫は甘いものを欲しがる。根負けして小さなケーキを出す、「それは毒を食べさせているのと同じことです」毒の代わりの究極の食材は、玉ねぎだった。365日、玉ねぎ入り味噌汁。言語障害を起こし、辛いリハビリに励み、毎日タマネギを食べる。脳卒中の克服は尋常一様ではない苦労を強いられる。

神奈川県藤沢市、この川縁の散歩道を、大島監督は明子夫人に車椅子を押されて散歩した。桜やツツジの季節、花見客で賑わうというが、同じ道を辿ってみた2月の半ば、海からの風が強い。穏やかな散歩光景に見えるが〈strike=一撃〉は夫人にも襲いかかった。夫の介護で鬱を発症し、精神科に強制入院させられ、治癒に4年を要した。その後も入退院を繰り返した。津波のように何もかも奪う脳卒中と、夫妻の過酷な戦いだった。夫の葬儀、明子夫人は嗚咽をこらえながら、弔問客に深々と辞儀した。



『週刊ポスト』2.15


2013年03月05日(火) ペプチドワクチン開発(下)

日本のがん医療、治験の情報開示必要

がんのワクチン療法で知られるシカゴ大医学部の中村祐輔教授。ワクチン療法について紹介した前回に続き、日本のがん医療の問題点について聞いた。

―日本では、納得できる医療を求めてさまよう「がん難民」と呼ばれる患者がいる。

「国立がん研究センターを筆頭に旧帝大系の病院は、標準治療である外科療法(手術)、放射線療法、化学療法(抗がん剤)に終始している。開発中のペプチドワクチンのような、患者の希望をつなぐ新しい治療法に患者がアクセスできるようにはなっていない。がん難民の切実な思いが、医師に届いていない。その結果、ネット上には、科学的根拠がない、怪しげで高価な民間療法の情報がはびこり、患者や家族を誘いこんでいる」

―米国ではどうか

「国立菅研究所(NCI)のホームページに郵便番号を打ち込むと、近くの病院で行なっている治験の全リストが出てくる。患者は『一定の根拠に基づいているが、まだ確立していない治療法』について、自分でリスクを判断して受け入れる。オバマ大統領は新しい治療法にアクセスできる人を現在の5%から10%に増やすと言っているが、それが医薬品の進歩にもつながっている」

―日本ではどうか

「臨床研究や治験に関する情報が一元的に管理されておらず、患者に必要な情報が届かない。そういう意味では明らかに医療の発展途上国だ」

―2011年1月、内閣官房に設置された医療イノベーション推進室の室長に就任した。

「医薬品の輸入が急増して、当時でも貿易赤字は1兆円を超え去年は1兆6000億円以上になった。とんでもない額だ。薬品の開発現場で海外との差を実感していたので、国の仕組みを変えるつもりで引き受けた」

―ところが、1年で辞任した。

「基礎研究から創薬までに関わる文部科学省や厚生労働省、経済産業省などの役人は、自分の部署に予算をとることしか考えていない。予防医療や高齢化に伴う医療費の増加などの課題にも、急いで対応しなければならないが、役所にも政治家にも危機意識がない。自分の仕事を見出せなかった」

―なぜ日本の医薬品開発が遅れたのか。

「2000年ごろから薬をつくる手法が変わった。抗がん剤の分子標的薬のように、ゲノム(全遺伝情報)解析でがんやウィルスといった標的を見つけ、狙い撃ちする薬をつくるようになった。ところが、日本ではゲノムが医療にとって大事だという認識が薄く、この発想の転換に乗り遅れた。その結果、分子標的薬市場は、欧米の製薬会社に席巻されている」

―ゲノム医療にどう生かされるのか。

「『肺がんだからこの薬』というマニュアル化された医療の時代は終わった。患者ごとにゲノムの解析をして、遺伝子の特徴によって、より効果が高く、副作用が少ない薬を選べるようにする。一人のゲノムを調べるコストが今年中にも10万円を切る。これに向けて、米国の医療機関ではコンピューターのメモリーを増やす準備をしている」

―日本でもゲノム医療が進むのか。

「日本ではいまだにゲノム医療が過小評価されて、研究支援体制が格段に貧弱だ。厚労省や医療イノベーション推進室でゲノムの話をしても、ABCを知らない人に英語を話しているみたいに通じない。悲惨な状況を通り越して、絶望的だ。患者たちが立ち上がらない限り、国に期待しても動かない」



〈治験〉医薬品開発の最終段階で、製薬会社などが国の承認を得るために病院で行なう臨床試験。製薬会社などは服薬量や回数などを厚生労働省に届け出て、専門家らによる委員会の審査を受ける。医師は治験に参加する患者に期待される効果や副作用を説明し、同意を得る必要がある。治験中に発生した重大な副作用は国に報告しなければならず、必要に応じて治験計画が見直される。

〈ゲノム(全遺伝情報)療法〉2003年に人間の全DNA配列の解読が終了し、医療への応用が急速に進んでいる。原因不明だった患者のメカニズムが判明し、病気に関係する遺伝子やタンパク質組成を特定することで、短期間で医療品の開発が可能になったほか、特定の遺伝子を組み込み、がん発生を抑制する遺伝子治療なども研究されている。患者一人一人の遺伝子情報を調べ、より効果が高く、副作用の少ない薬を選べるようになることで、医療費の軽減が期待される。



『東京新聞』3.5


2013年03月04日(月) 安倍政権暴走・全国の農家を敵に回すのか

TPP公約破り 食の安全な脅かされる

安倍首相にとって、政権復帰後初のワシントン詣でとなった日米首脳会談(日本時間2月23日)。オバマ大統領との会談で、首相はとんでもない道に踏み出した。食と農をはじめ、日本経済と国民生活に大打撃を与える環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加に踏み出す考えを示した。総選挙で多くの候補者が「TPP反対」を叫んだ自民党。党としても事実上、TPPに参加できなくなる厳しい6項目の条件を公約として掲げたのに、選挙が終わったらこの始末。各界から強い怒りの声が上がっている。

「もともと安倍総理は、訪米前、日本がTPPで何を聖域として守るのかさえ、はっきりさせなかった。私は、訪米したらこうなるだろうとある程度は予測していたが、結果はまさにオバマ大統領の言いなりである。全国の農家は自民党に対し、選挙の時の公約はいったい何だったのかと、厳しく問い詰めざるを得ない」
JA山梨中央会長・廣瀬久信

自民党の山梨県選出議員は「私が一人ひとり直接話したとき、TPPだけは絶対反対といました。それで選挙に勝って政権交代したという経緯があるのす。今、自民党が公約を破れば、公約違反の消費増税で党がバラバラになった民主党の二の舞ですよ。安倍総理が今後、強引に交渉参加を進めるならば、全国の農家を敵に回すことになる。私たちも生活がかかっているんです」また、料理研究家の坂本氏は「日本の生きる道は、輸入に頼り食品の安全性への不安を強めるTPPよりも、安全な国産農産物の振興に知恵と力を集めることです。何よりも食の安全が脅かされます」

国民皆保険が壊される

「TPPは農業だけでなく、医療・保険を含め24項目もの交渉分野があります。国民生活全体に関わる大問題です。しかし安倍首相は日米首脳会談で、農業の聖域なき関税撤廃だけがTPPの問題であるかのように矮小化しました。その問題も全く解決されていませんが、その他の医療などは日米共同声明に含まれてさえいない。そんなやり方に国民として悪意を感じます。TPPでは、日本の国民皆保険制度が縮小・破壊されます。そうなれば企業が医療経営に乗り出し、アメリカの民間保険会社がさらに顧客を獲得し、お金のある人しかまともな医療を受けられなくなります。そんな状態になるのが、本当に日本の国益なのか、真剣な議論と検討が必要です。医師会としては、TPP反対が大方針です。参院にTPP反対の議員をいかに多く送り込むか、さまざまな取り組みをしていかねばならないと思っています」
奈良県医師会長・塩見俊次

「私たちは衆院選で、政党も本人もTTP交渉参加に反対ということを明確にした候補者を推薦することに決め、地元では日本共産党、自民党、未来の党の候補者らを推薦しました。自民党は選挙公約で、TPPに6項目の問題点を掲げていました。なのに、自民党が大勝したら、いろいろ理屈をつけて、TPP交渉に参加するなどというのはなし崩しのようなもので、裏切られた思いです。消費税問題での民主党の公約違反もひどかったが、今度の自民党はもっとひどい。そもそも自民党は大勝したといっても、比例代表選挙では27%しかとれていないのだから、何をやってもいいわけではありません。こんなことをやったら、自民党には大打撃になるでしょう。私たちも参院選に向けて、いろいろ考えていかなければなりません」
JA青森会長理事・相坂陸秀

組織の総力を挙げて運動

「我々は、今の状況でTPP交渉に参加することは反対であり、政府・与党は我々の信頼を裏切るような判断を絶対にすべきではない。交渉参加の是非を政府に一任する前に、我が国が議院内閣制であることを踏まえ、首脳会談の協議内容が政権公約の6項目を担保しているのかどうか、国益の観点から、政府・与党を挙げて慎重に精査し、その内容を国民に情報開示すべきだ。我々は、今後とも広範な国民各層と連携を深め、日本の食と暮らし、命を守るため組織の総力を挙げて徹底して運動していく」
全国農業協同組合中央会長・萬歳 章

「今までにない例外なき関税撤廃、既成緩和の徹底を目指すのがTPPです。米だけでも例外にするのが不可能に近く、乳製品や砂糖など、今まで日本が聖域にしてきた重要品目すべて(関税分類上は840品目)を守ることは不可能です。聖域なき関税撤廃が回避できるという解釈はそもそも間違っているのです。しかも、TPPは関税だけの問題ではありません。規制緩和を徹底すればすべてうまくいく、という時代遅れの方向性を強化し、若者を含む多くの雇用を失い、地域の商店街を潰し、地域医療も崩します。人々が助け合い、支え合う安全・安心な社会を揺るがす切り札です。

交渉参加の流れに抗しがたいかのような雰囲気に呑まれて、条件闘争に入るべきとの声も聞こえてきますが、決してそういう議論に乗るべきではありません。TPPは日本が聖域にしてきた、重要品目をゼロ関税にすることだけをとっても、金銭補償などの条件で何とか相殺できるようなレベルの協定ではありません。ひとたび受け入れてしまえば、取り返しがつきません。自民党内に6割を超える反対の声があっても、最後は、「官邸の専権事項」と言い訳をして幕引きをする可能性があります。そうなれば、民主党政権に勝る背信行為の極致です」
東京大学大学院教授・鈴木宣弘



『赤旗』3.3


2013年03月03日(日) 認知症は香りで症状改善する

部屋に入り、いい香りに緊張感が解けていく。この気持ちよさの香りに、認知症の改善に効果があるという。

今ふうにいえばアロマセラピー。植物の花や葉、樹皮などから抽出し、香り成分を含むのが精油。その精油を使った芳香療法のことである。

―香りと認知症とは関係ないようだが?

「実は深い関係がある」というのは、鳥取大学医学部の浦上教授。認知症の診療と研究を20年以上続けている。「認知症の中核症状は、物忘れなどの記憶障害です。先行して嗅覚障害が出てくることがわかっています」記憶障害と嗅覚障害は関係があるとは驚きである。そもそも人は香りをどう感じとっているのか。

香りの物質は、鼻の穴を通って、内側にある嗅上皮に届く。嗅上皮には嗅覚神経が集中し、香り情報を受けて、大脳辺縁系(海馬や扁桃体を含み、記憶や感情に深くかかわる)に伝える。続いて、香り情報は視床下部(自律神経や内分泌系を調節する)へ伝わる。視床下部は香り物質の種類に対応する神経伝達物質を放出し、さまざまな作用をもたらす。気分が集中したりリラックスするのもそうである。

認知症の約半数を占めるアルツハイマー病の大きな特徴は、大脳委縮をともなう神経細胞の大量の脱落である。初期は、海馬などに老人班と呼ばれるアミロイドβタンパクが蓄積して現れる。香りを感じ取る領域も、記憶障害を起こす領域も、同じ大脳周辺縁系で起こる。「それで私たちは、認知症の患者さんにアロマセラピーを用いて、嗅覚を刺激し、アルツハイマー病患者の認知機能の改善を試みました」

精油を選んで

アロマセラピーは、経験的に安全性と作用がほぼ確認されている。アルツハイマー病患者の認知機能の改善を目的とする場合は、どういう香り成分をを含む精油を選ぶかが、とても重要になる。午前中は、集中力を強めて交感神経を優位にする精油がよい。午前と夜間とで精油を変更するのは、人の一日のリズムに合わせ、同時に嗅覚の慣れを生じにくくさせるためである。

嗅覚刺激といっても、匂いを嗅ぐだけだがそれで効果があるのか?アルツハイマー病患者へのアロマセラピーの有用性を検証した報告がある。『日本認知症学会誌』19号2005年によると、対象は、介護老人保健施設入所中のアルツハイマー病患者10人を含む高齢者28人。平均年齢85歳。アロマセラピー実施期間は28日間。

午前9〜11時に集中力を高めるローズマリー2滴と、レモン1滴の混合精油をフィルターに垂らし、拡散器で放散する。設置場所は居室に1個とラウンジ内に2個である。成果は、軽度〜中等度患者の認知機能を著名に改善した。「予想以上の効果でした。私たちの報告は世界で初めてのものでした」(浦上教授)

―アルツハイマー病が高度に進んでいても、アロマセラピーは効くのか。

高度に進んだ患者数を65人に増やし、精油の種類や期間などの条件を同じに実施した。結果は、認知症機能全体が改善した。つまり、アロマセラピーは軽度から中程度の認知症患者に効果が高い。しかし、高度に進んでいても一定の効果がある。浦上教授は「老人施設など施設単位でも認知症が高度に進んで言語機能の低下、コミュニケーションが取れなくても実施できます」

―嗅覚刺激が認知機能を改善させるのはなぜか

「記憶に深くかかわる海馬などには、新しい神経細胞の発生が続く領域があります。嗅覚刺激が神経細胞の発生を促進するのではないか。嗅覚刺激法は、認知症の中核症状である、記憶障害に直接働きかける治療として活用できると考えています」

―認知症が進行すると、物盗られ妄想や暴言、徘徊など周辺症状が出てきます。これら周辺症状緩和にアロマセラピーは?

「対症療法として用います。興奮状態を落ち着かせる精油、例えばラベンダーを選ぶとか。患者さんの生活の質を改善し、介護者の負担を減らすことができます」

―これからはどうか。

「アロマセラピーは費用が安く、副作用も少ない。今あるアルツハイマー病治療薬に併用もできます。ディケアなどの高齢者施設に用いることで、認知症の予防と治療に有益と思っています」



『週刊朝日』


2013年03月02日(土) 前門のオバマ・後門の農水族

国内外から二重のプレッシャー。健康は大丈夫か。


安倍訪米をめぐる日米の水面下の交渉では、早くも日本側が大幅譲歩を強いられた。経済産業省の幹部が語る。「米国側は首脳会談で、日本のTPPへの交渉参加表明を強く要求している。日本側は岸田外相を訪米させ、茂木経産相と江藤農水副大臣がダボス会議で米国のカーク通商代表と会談するなど、複数のルートで交渉を続けた。

それは、安倍総理が訪米時に米国産牛肉の輸入規制を大幅緩和するというお土産を持って行く代わりにTPP交渉参加表明は、7月の参院選まで先送りしてもらおうとしたからだ。しかし、米国は強硬で、首脳会談で安倍総理が『聖域なき関税撤廃という前提条件がなくなれば、交渉に参加する用意がある』といった条件付き交渉参加のコミットメントを出さざるを得ない情勢だ」

そうなると自民党内が蜂の巣をつついた騒ぎになるのは明らか。自民党のTPP反対議連(TPP酸化の即時撤廃を求める回)は約210人が参加する党内最大勢力で、農水族のドンは安倍首相のライバルの石破幹事長や林芳正・農水相。議員の多くは昨年12月の総選挙でJAの政治団体・農政連と「TPP反対」の誓約書を交わした。安倍首相が交渉参加を見切り発車すれば、反対派が蜂起して、まさに政権の命取りになりかねない。

安倍首相は、先月末、出演したテレビ番組で「参院選前に方向性を出す」として踏み込んだ発言をしたが、翌日にはトーンダウンした。菅官房長官らが火消しに走るドタバタ劇を演じた。JA佐賀中央会事務所局の話では「うちは参院選で推薦した自民党候補に『交渉参加を断固阻止する』という内容の誓約書を書いていただきました。他県も政策協定書で反対の意思を文書にしてもらっている。先日も自民党の国会議員の方々には誓約書の内容を確認してもらったばかり。もし、安倍政権が約束を守らなかったら、当然、参院選での推薦はやめるという声が高まるでしょう」

TPP反対議連会長の森山参院議員はこういう言い方でドスを効かせた。「交渉に参加しないというのは自民党の公約だ。その公約で総選挙を勝った。経済界が参加推進を打ち出しているからJAは不安を感じているようだが、公約を守るといっている安倍総理がTPP交渉参加を表明するはずがありません」日米同盟重視を掲げる安倍政権は、米国には「TPP参加表明は参院選まで待ってほしい」と頼み、農協に参院選後も表明しないという。綱渡りの二枚舌が破綻するのは時間の問題だ。



『週刊ポスト』2.15


2013年03月01日(金) 北朝鮮・金体制を転覆せよ

アメリカはCIAを送り込んだ

2月12日に核実験を強行した金正恩。国際的な「北朝鮮包囲網」は着々と形成されつつある。

オバマ大統領と安倍首相が、首脳会談で多くの時間を割いて話し合った北朝鮮問題。だがオバマ大統領が安倍首相に話していないことがあった。それは、CIAが極秘で進めている金正恩の除去。

金正恩暗殺計画では、CIAの非公然破壊活動を担当する準軍事組織の特別活動部(SAD)がそこに絡むことになります。SADの要員約150名は全員、米軍の特殊部隊出身者で、海路・空路での極秘潜入から爆破・狙撃、さらに無人機の運用にも習熟した最強部隊です」黒井氏によれば、現在CIAは、次の6通りの「金正恩暗殺計画」を検討しているだろうという。

�―箙劵潺汽ぅ襪砲茲詛�撃
��空軍機による爆撃
�L疑裕,砲茲詛�撃
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�βΧ瓩鯒禺�

こうした選択肢の中から、最も起こりうるのは、次のケースだ。〈4月15日の「太陽節」(故・金日成主席誕生日)の記念式典が開かれた金日成広場に、金正恩第一書記が姿を見せた。その数日前に、米海軍の原潜「ジミー・カーター」で密かに上陸したCIAの工作チーム3人は、平壌市内のアジトを出て、群衆に交って狙撃の機会を探っている。

一方、韓国から無人偵察機「リーパー」が、超低空飛行で北朝鮮に潜入する。「リーパー」は、米ネバダ州のネリス空軍基地から、ジョイスティックで遠隔操作している。平壌の工作チームも、暗号化情報を逐一、同基地に送る。そして「リーパー」が、金日成広場で手を振る金正恩第一書記に向かって、ヘルファイア対戦車ミサイルを発射する〉

実際、もうすでにCIAの工作員が北朝鮮に潜入していることも考えられる。韓国の情報機関である国家情報院幹部が明かす。「北朝鮮は、米CIAの暗殺計画が進行していることを、明らかに察知している。空爆を恐れて昨年9月から平壌を離れていないし、昨年末からは、平壌の官邸前に装甲車を張りつかせている。全国の国家安全保衛部には『針が落ちる音まで耳を澄ませて、反動分子を探し出せ』と指示を出した」

この3月には、北朝鮮危機が一層強まることが予想される。3月11日から21日には、朝鮮戦争を想定した米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」が行なわれる。続いて3月下旬には、現在、米中が水面下で調整中の国連安保理による新たな対北朝鮮制裁決議が採択される予定だ。周辺国の個別の制裁も行なわれる。

中国は助けてくれない

こうした動きに、北朝鮮側も当然ながら、反発の度合いを強めていくことだろう。これまでは北朝鮮のバックに中国がついていたので、アメリカも容易に手が出せなかった。ところが中国でも、北朝鮮に反発する動きが起こっている。故・金日成総書記の誕生日にあたる2月16日には、瀋陽の北朝鮮領事館前で、「中国は北朝鮮に対する援助を停止せよ!」叫ぶデモが起こった。広州市の人民公園でも、同様のデモが発生した。朝鮮戦争以来、「血を分けた誼(よしみ)」といわれた中朝間で、このような事態は初めてだ。

中国の外交関係者に「米CIAの金正恩暗殺計画」についてぶつけると、驚きを見せなかった。「アメリカは過去に何度も、金正日総書記に対する暗殺を計画してきたが、それを我々が察知するたびに警告してきた。ところが今後は、金正恩第一書記に対する米CIAの暗殺計画を、我が国はむしろバックアップするかもしれない。我々の強い中止要請にもかかわらず、北朝鮮が3度目の核実験を強行した2月12日をもって、朝鮮戦争以来、連綿と続いてきた中朝の『特別な関係』は終焉したのだ」

この中国の外交関係者は、続いてさらに意味深な発言を行なった。「北朝鮮ナンバー2の張成沢(チャンソンテク)党行政部長(金正日の妹婿)が、近い将来、我が国に亡命するかもしれない。朝鮮人民軍の強硬派たちに囲まれ、日増しに立場が危うくなっているからだ。後見人の張成沢が亡命すれば、金正恩体制は事実上崩壊する。そうなれば金正恩自身も、家族を引き連れて我が国に亡命申請する可能性がある。こうしたシュミレーションはすでに行っていて、『黄長樺方式』を踏襲することに決めている。

1997年2月、金正日総書記の側近だった黄長樺(ホアンジャンヨブ)書記が、北京の韓国領事館に亡命申請を行ない、東アジアに衝撃が走った。このとき、中国は長期滞在を拒否し、黄氏はフィリピンを経由して2カ月後に韓国に亡命した。中国は、今後万一、金正恩一家が亡命申請をしても、長期滞在は認めないということだ。朝鮮半島が重大な結末を迎える日は、もう目前に迫っているのである。


『週刊現代』3.9


加藤  |MAIL