加藤のメモ的日記
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2012年10月31日(水) だから日本人は騙される

日本では、欧米では絶対に起きない投資詐欺事件が毎年のように起こります。そのパターンは常に同じです。「今100万円投資してくれたら、5年後に200万円にして返します」こういう話に日本人は絶対乗りません。しかし「この低金利の事態に、元本保証で5%の高金利、配当は半年ごと」という話にはコロッと騙されてしまいます。まず、最初の話に日本人がなぜ乗らないかというと、「5年後」というものがイメージできないことがあります。日本人にとって「5年後」とは「将来」で、今の自分からは遠く離れたものとして捉えます。

日本人は「将来」に重きを置いて生活していません。おそらく「目の前のことをこなす、目先を考えるだけで精一杯」とおっしゃるのではないでしょうか。ですから、「将来」に基づいた詐欺には最初から引っ掛からないのです。しかし、2番目の「元本保障の高利回り、半年ごとの配当」には多くの日本人が引っ掛かってしまいます。理由はこうです。

まず、「元本保証」という言葉、自分の預けたお金が絶対減らない、ということに魅力を感じます。「今=目先」の自分のお金は減価することはない。その認識にまず実感を持つことができます。そして、半年ごとの配当。この手の詐欺事件は必ず、最初の半年目には配当が支払われます。正に「今」手触りのあるお金を手にすることができるのです。そうすると、「こんな良い投資はない!投資額を増やそう!」さらにおカネを入れてしまいます。しかし、その半年後には配当は入ってきません。問い合わせると連絡はつきません。そして、それが詐欺であったことを知るのです。



『週刊現代』10.6


2012年10月28日(日) サムシング・グレート

生命科学の研究は、今素晴らしい勢いで進んでいます。人間は自分の体の設計図を解読する技術を手にしたのです。この遺伝子解読で生命の謎が解けると期待されたのですが、その解読が進むにつれ、話はそう簡単ではないこともわかりつつあります。そもそも、たった一つの細胞のことも、極めれば極めるほど深く、決して簡単ではありません。私のライフワークである高血圧の発病に深く関係する酵素・ホルモンと、その遺伝子の研究の一つをとってみても、100年近くも膨大な研究がなされているにもかかわらず、わからない点がまだ多く残されています。

生命の仕組みは全く驚くほど不思議なことばかりです。人は「生きる」などと簡単にいいますが、自分の力だけで生きている人は、地球上に1人もいません。呼吸にしても、血液循環にしても、私たちが自分で工夫して働かせているのではなく、ホルモン系・自律神経系などが、自動的に活躍しているからこそ私たちは生きているのです。このホルモン系・自律神経系の活躍を支配しているのが遺伝子ですが、それでは遺伝子を操っているのはいったいなんでしょうか。

それぞれの遺伝子は、見事な調和のもとで働いています。ある遺伝子が働きだすと、ほかの遺伝子はそれを知って仕事の手を休めたり、いっそう作業のピッチを上げたりすることで、実にうまく全体の働きを調整しています。このような見事な調整が、、たまたま偶然にできたとはとても思えません。この見事な調整を可能にしているものの存在を、私は10年ほど前から「サムシング・グレート(偉大なる何者か)」と呼んでいます。この正体は、もちろん目には見えず、感じることもなかなかできませんが、その存在はあるに違いないと、生命科学の現場で私は実感するのです。

「ホワッツ・ニュー(何か新しい発見は?)」と、絶えず問うのが科学者の挨拶です。これは科学が進歩することを宿命づけられている側面を示しています。人間は、知らないことを知りたい、わからないことを理解したいという本性があり、これがなくならない限り、科学の進歩は止まりません。そして、とくに生命科学の場合、新しい発見がすぐに技術に結び付き、家畜の改良や医薬に影響を与えます。すなわち、科学・技術が人間の欲望を満たす手段にすぐに利用されるようになるのです。そうなると、人間が欲望をコントロールする術を身につけない限り、科学は両刃の剣となります。

クローン人間の論議で問題となるのは、技術そのものよりも人間の欲望です。たとえば、自分のコピーのようなものを残したいという個人の欲求の実現を、どこまで尊重すべきなのか。これらのことを可能にするのは科学・技術ですが、それを行なおうと決断するのは人間であり、人間の欲望に基づいています。この決断の時、人間を含めたすべての生物の「命(いのち)」は人間の工夫や知恵でつくられたものではなく、「サムシング・グレート」からの贈り物であることを思い出す必要があると思います。そんなに思いあがってはいけない、と私はいいたいのです。

私たちは、技術的には可能であるが、あまりにも不自然なことはやらないという自制心を持つ必要があります。しかしこの自制心は、たんに倫理的な面からだけでは不十分です。私たちは、自分の力や工夫だけで生きているのではなく、自分を支えてくれているさまざまなもののおかげで生きているという事実を知ることにより、本当の自制心が生まれるのではないでしょうか。そしてそれに感謝して生きることにより、今まで眠っていた遺伝子がONとなり、素晴らしい人生が開けるのだと思っています。

高血圧に関係しているレニンという酵素が見つかって114年になります。気の遠くなるほどの長い年月を、先輩たちがレニンに取り組んできたわけです。そんな成果をこの時期に、私がまとめることができるのも何かの縁、それこそ「サムシング・グレート」の存在を感じるところでもあります。


コンピューターの発達で遺伝子の解読が容易になり、今世界中でヒト遺伝子の暗号解読が進められ、21世紀の早い段階でその全容が明らかになると思われますが、それとは別に、私たち科学者が知りたいと思っていることが一つあります。それは、いったい誰がこんなすごい遺伝子の暗号を書いたのか、ということです。また先に述べたDNAの構造一つとっても、科学の文字がそれぞれ対になってきちんと並んでいる。ちょっと普通には信じられない不思議でもあるのです。遺伝子の暗号は、人間自身には書けるはずがないのは初めからわかっています。では自然にできあがったのでしょうか。生命のもとになる素材は自然界にいくらでも存在しています。しかし材料がいくらあっても自然に生命ができたとはとても思えません。

もしそんなことができるのなら、車の部品を一式揃えておけば、自然に自動車が組み立てられることになる。そんなことは起きるはずはありません。ここはどうしても、人間を超えた何か大きな存在を意識せざるを得なくなってきます。私自身は人間を超えた存在のことを、ここ十数年来「サムシンググレート」(偉大なる何者か)と呼んでいます。それがどんな存在なのか具体的なことは私にもわかりませんが、そういう存在や働きを想定しないと、小さな細胞の中に膨大な生命の設計図を持ち、これだけ精妙な働きをする生命の世界を当然のこととして受け入れにくいのです。

さらに私はこんなことも考えます。人間は自然に挑戦するとか、自然を克服するとか、いろいろ勇ましいことを言っているけれど、大自然の不思議な力で生かされているという側面も忘れてはいけないのではないか。また、私たちは「子供をつくる」ことを簡単に考えていますが、これもずいぶん不遜なことかもしれません。子供に関して私たちにできることといったら、生命が生まれるきっかけを与えること、生まれてから栄養を与えることぐらいで、あとは精巧に仕組まれた生命原理が働くことによって自然に育てられているからです。

近年、生命科学が長足の進歩をとげ、生命の謎が少しずつ解き明かされるところまできているのは事実です。しかし、ノーベル賞学者が束になってかかっても大腸菌ひとつ作れない。これから先、もっと科学が進歩すればつくれるようになるでしょうか。私はそれでも生命そのものをゼロからつくることは極めて難しいと思っています。



『生命の暗号』


2012年10月26日(金) 今、尖閣紛争が起これば ��

続いて、中国の体制が今より不安定化する可能性も考慮しておかなければならない。中国の政治事情に詳しいジャーナリストの福島氏が指摘する。

「軍事衝突が起こり、中国が日本に負けるようなことになれば、中国国民の怒りの矛先は現在の中国政府に向かうでしょう。権力の移行期にある中国は大変不安定な状況にありますから、国民の不満が爆発すれば、現体制は揺らぎかねない。最悪の場合、中国共産党政権が倒れてしまうかもしれません。尖閣問題が熱を帯びるに従い、中国国内では中国人民軍幹部の声がメディアを通じて紹介される頻度が増えています。なかには『中国13億人の人々は心を一つにし、決意を示して日本に対処しなければならない』『戦闘力を十分に高めて、尖閣を奪う』などといた、軍幹部の過激な言動を紹介するメディアもあります。こうした主張が支持されるなら、極端な反日政権が新たに誕生することも起こりうるのです」

現在の共産党政権でさえ手を焼く相手であるのに、打倒日本をスローガンに掲げるような凶暴な政権が誕生すれば、日本の存亡にもかかわる脅威となることは間違いない。

経済への影響「最終結論」

さらに、物理的な脅威だけでなく、経済的な脅威が日本を襲うことも想定しておく必要がある。尖閣衝突の最大のリスクは、日本経済が破綻に向かう可能性がある、ということだ。中国が仕掛けてくる「経済戦争」に日本は耐えられるのか。中国経済に詳しいビジネス・ブレールスクール大学の田代教授が説明する。

「日本製品の不買運動だけでも、日本企業は恐ろしい程の損害を被っています。例えば中国側の発表によると、この8月の北京、上海、広州の3地点での日系企業のカラーテレビも売り上げは、前月比で東芝が40.3%減、三洋が44.3%減、パナソニックが23.4%減と著しく減少しました。現在、中国に現地法人のある日本企業が中国で部品を調達する割合は、平均で59.7%。半分以上を中国で現地調達しているという状況です。そして、日本国内でのハイテク製品・部品の生産には中国産レアアースが必須です。中国が経済制裁を発動すれば、日本企業は製品が作れないという状況に追い込まれます。武力衝突が起こったら、その瞬間に日本の輸出関連株は暴落しかねません」

日中の貿易総額は約27兆円に上り、2011年度の日本の全貿易の約20%を占めている。好むと好まざるとにかかわらず、中国の経済なくしては日本経済は成り立たないというのが現実なのである。

中国経済に詳しいジャーナリストの富阪氏は、「中国が経済制裁を発動しなくとも、日中が衝突すれば必然的に日本は財政難に陥る」と指摘する。「日中衝突の直前に、世界中の企業・投資家が日本と中国から資金を引き上げる方向に動くでしょう。戦時のリスクを恐れて、日本企業の株や円が売られることになるはずです。それが日本経済に与える影響は、リーマンショックの比ではありません。倒産する企業が続出し、日本は戦時恐慌に見舞われます。一方、日本政府は防衛力維持のために多額の金をつぎ込むので、国民は消費税10%どころではない大きな負担を迫られることになるでしょう。顕在的な問題が山積する今の日本が、それだけの負担に耐えられるのでしょうか」

勝利と引き換えに日本が払う代償はあまりにも大きい。挑発に乗って越えてはならない一線を越える。それこそ中国の思うツボなのかもしれない。



『週刊現代』10.6


2012年10月24日(水) 今、尖閣紛争が起これば ��

軍事的には日本が圧勝する
実は人民解放軍より、自衛隊の方が強い、だが…

いま尖閣紛争が起これば、日本は中国に対して圧倒的な勝利をおさめる―。中国の度重なる挑発行動に憤る多くの日本人は、第一部のシュミレーション結果に溜飲を下げることだろう。しかし、紛争後のことを想定すれば、この勝利を素直に受け止めることはできなくなる。一度戦端が開かれれば、紛争が繰り返されることになるが、そうなれば国際法、日米関係、対中経済など、あらゆる面で日本は苦境を迎えることになる。

米国は味方してくれるのか

中国と一戦交えたが最後、日本は常に中国の侵入に備えなければならなくなるが、日本はそれに耐えられるのか。元外務省在中国大使館公使の冨家氏はこう話す。「今回、日本が尖閣から中国を退けたとしても、彼らの”挑発”はこれで終わりではありません。日本が音を上げるまで、何年も何十年も尖閣周辺にプレッシャーをかけてくるはずです。中国は尖閣以外にも、南シナ海上の島の領有権を主張していますが、こうした島に対して、中国は絶えず圧力をかけ続け、完全に力関係が逆転したところで、その領土を実質的に支配するという戦略を持っています。日本も同様に、何十年も中国からの挑戦を退け続けなければならなくなる。毎年のように大量の中国漁船や人民解放軍の艦艇が侵入してくれば、日本にとって多大な負担となるはずです。今の日本政府にその覚悟があるのでしょうか」

また、ゆくゆくは中国が日本の軍事的優位を上回ることも想定しなければならない。そこで武力攻撃を仕掛けてくれば自衛隊だけでこれを防ぐことは困難。その時にアメリカの支援が不可欠となるが、ここにも問題がある。尖閣衝突後も日米同盟は強固なのか、ということだ。そもそも、近年アメリカの世論は、日本に対して冷ややかな目線を向けている。例えば米高級紙ウォール・ストリートジャーナルは〈アメリカは日本の問題に巻き込まれるのを恐れて、直接的な介入はしないのではないか。最終的に日本は中国やロシアとの領土紛争に単独で立ち向かうしかないだろう〉と日本を突き放しているし、さらにニューヨーク・タイムスは紙は、〈日本の浅はかな外交が、日本をアジアから孤立させている〉と、日本の領土危機は自業自得であると論じている。

アメリカからすれば、「わざわざ日中戦争開戦の日である7月7日に尖閣の国有化をしたり、野田総理が胡錦涛主席と会談したわずか2日後に国有化したり、中国を刺激する日本が悪いのではないか」とも映るのだろう。

対米政策に携わる日本外務省の関係者は「国内で疑問の声が挙がっているのに、アメリカが無条件で日本を支援するわけはない。当然その対価を求めてくる」と予測する。「『結局有事にはアメリカの力が必要になるし、今後も中国の脅威に晒されるのだから、アメリカの庇護が欠かせないことがわかっただろう』といって、日本に様々な要求を突き付けてくることが考えられます。民主党政権が進めた米軍基地移転問題は水泡に帰すでしょうし、米軍駐留に必要な予算の増額などを日本政府に持ちかけてくるでしょう。尖閣での衝突を機に、日本は再び対米追従路線を取らざるをえなくなる、というわけです」

米シンクタンク「パシフィックフォーラム戦略問題研究所」のアジア安全保障の専門家であるブラッド・グロッサーマン氏は「尖閣での日中の軍事衝突が起これば、アメリカの立場は明確です。日米安全保障条約第5条に基づいて、日本と共に尖閣を守るように行動するでしょう」と、日米同盟は強固であるとの見方を示す。さらに、9月16日にはバネッタ米国防長官が来日し、「尖閣問題は日米安保の適用対象」と強調している。しかし同時にパネッタ氏は、尖閣問題とは無関係のオスプレイの早期配備を日本政府に要請している。アメリカとの強固な関係を示して中国を牽制したい日本が、これを断ることなどできるわけもなかった。現段階ですでにアメリカは日本に取引を求めてきているのだ。


2012年10月22日(月) 有機ELテレビ

韓国のサムスン電子とLG電子が今年後半、そろって”有機EL”テレビを世界各国で発売する。これで日本メーカーが覇を競ってきた液晶テレビは完全に過去のものとなりそうだ。有機ELは、次世代テレビの最右翼とされている。最大の特徴は厚さたった4�个箸いΕ乾�薄ディスプレイにある。実物を見た記者たちは「板硝子と見紛うほどだった」と驚きを隠さない。発色も美しく、液晶が苦手とする深い黒や赤色も鮮やかに映る。予想価格は。55型で最低でも50万円台と割高だが、2015年には10万円台まで下がると予測される。

有機ELテレビ開発において、日本は韓国勢に遅れを取っており、商品化は早くとも3年後という見込みである。パナソニックのある幹部は「すでに多くの人が液晶を持っているから、有機ELテレビは期待ほど売れない、という声も社内にはあるが、正直負け犬の遠吠えでしかない」とこぼす。

いまやテレビの世界シェアはサムスンとLGが1位2位を占め、日本勢との差は開く一方だ。サムスン電子のイユンヒ会長は有機ELテレビのお披露目の場となった、世界最大の家電展示会「CES」で、「日本は力が抜けた(弱体化した)」と言い放った。完全にナメられた日の丸テレビ産業だが、いい返す言葉はない。




『週刊現代』


2012年10月20日(土) 欧州の南北格差

現在、欧州の”南北格差”は広がるばかりである。堅調なドイツや北欧諸国と、財政破綻しているギリシャ、スペイン、イタリアなどの南欧諸国ははっきり二極化している。これは統一通貨ユーロになった際に、北部から南部に過度な不動産投資が行なわれたことが要因の一つだといわれている。実際欧州一の観光地であるスペイン南部のリゾートには、ドイツ村、イギリス村が乱立していたほどで、不動産価格は数年で4倍にも5倍にもなった。しかし、それもリーマンショックまでだった。過度な投資は一斉に引き締めら、資金の多くは引き揚げられた。、まさにバブル崩壊である。その後もユーロ安を利用し、輸出大国であるドイツを中心に北中部欧州は堅調が続くが、最近の問題は、南欧のスペイン国内でも南北格差が起きていることにある。

スペイン北部のカタルーニャ州は南部と比べはるかに財政状況が良く、事実上、北部が南部の財政を負担することになってしまっている。それで「圧政に苦しんでいたのに、なぜ今、中央政府を助けるんだ?」と、多くのカタルーニャ人たちは思っている。それでこれを機に(ユーロ危機で中央政府がピンチの際に)歴史的背景もあり、国家から完全な独立を目論んでいるのである。

だが、簡単に独立とはいっても財源がなければどうしようもない。その点、カタルーニャには大きな産業がある。特に「21世紀最大の産業」と呼ばれる観光地は絶好調である。WTO(世界貿易機関)は、BRICSなどの国々で新たに誕生しつつある中間所得層が、これからも続々と海外旅行に出かけるため、現在8億人の国際交流人口が2020年には16億人と予測している。そして現在、世界的に見て「観光勝ち組都市」と呼ばれているのが、わずか10年間で観光客数を4倍にまで増やしたバルセロナなのである。



『九州スポーツ』10.17


2012年10月17日(水) 自民の総裁選・民主の代表選

自民党の総裁選や民主党の代表選を見てて、とにかく気持ち悪いのが、演説台の上で、全員で手を握りあって写真を撮ったりてることだよな。今から票のぶんどりあいをしようって奴らにあんなワザとらしいことをされたってさ。


自民党総裁選はなんだかとんだ肩透かしだったね。あのメンツを見て「まぁ石破さんしかいないわな」なんて思っていたんだけど、結局安倍さんだろ。1回自分から「総理大臣を辞めさせてくれ」っていった人が平気な顔でまた戻ってこられるんだから、この国もおめでたいもんだよ。自民党もイマイチだし、民主党の内閣改造ももうどうだっていいし、もう政治にイチイチ物申す気もなくなってきちまうよな。

それなら対立候補と罵りあったり、いっそのこと殴りあいでもしてもらった方がまだすがすがしいと思うんだけどな。あの「友愛ごっこ」のヤラセぶりはプロレス以下だっての。こうなってくると期待されるのが「維新の会」なんだろうけど、こっちもなんだかヘンだよな。自民党や民主党から寝返って維新の会に入りたいって議員が出てくるのはまァわかるけど、解せないのはそんな奴らをホイホイと身内に取り込んでしまうことだよ。政党要件を満たしたいって狙いはわかるけど。それ以上の数を既存政党から集めるのは、橋下さんたちにとって「諸刃の剣」だと思うんだよな。

結局それは明治維新の志士たちが、旧幕府軍の人間を積極的に引き込もうってのと同じでね。「ホントに世の中を変える気あるのか」って思われて、どんどん説得力がなくなっちまうんだよな。新撰組の近藤勇や土方歳三が、新政府軍に寝返っちゃそりゃおかしいだろうってさ。まァ、寝返る側は「俺は勝海舟だ」とか「榎本武揚だ」なんて言い返すのかもしれないけれど、そんなたいしたもんじゃないだろうってね。



『週刊ポスト』10.19


2012年10月14日(日) 橋本維新「大失速」の真相

橋本氏の持ち味はそのスピード。方向を誤ったと判断した時の軌道修正も早い。世論の動きをつかむことに敏感な橋本氏が維新の危機に気付いていないはずがないが、この人らしいアクションが出てこないのである。このところの橋本氏は全く独裁者らしくない。なぜなのか。大阪市の職員天下りの是非を審査する人事院監査委員会委員で、橋本氏ご意見番の一人、評論家の矢山太郎氏は維新失速の真の原因をこう指摘する。

「橋本氏は戦略を間違えた。維新ブームは橋下自らが引っ張ることに国民は期待したから盛り上がった。ところが、維新がとった戦略は、橋本と松井は国政選挙に出ないかわりに、国会議員団を橋本が市長のまま絶対的な決定権を持ってコントロールするという中途半端なやり方だった。出てきた議員たちの顔触れもみすぼらしい。松野は橋下側近だったのに、離党して維新に入るなど何を考えているのかわからん。松浪健太は無名。あとはもっと無名。

総選挙では東国原が目玉候補というが、東国原なんて宮崎のマンゴーを売っただけだろう。政策討論会でも目を見張るような意見をいう者はいなかった。せめて60〜70人の国会議員から選ぶならそれなりの人材が集まるだろうが、現在の10人足らずの国会議員団が橋下の遠隔操作で国政を変えるといわれても、国民は注目しない。失速は当然です」

橋下氏は一貫して衆院選出馬を否定してきたが、出馬したくても決断できない事情があるという。「橋下氏が国政に出馬すれば、反橋本勢力は後継市長選に平松邦夫(くにお)・前市長を立てて巻き返しに出てくるはずだ。大阪の改革はまだ道半ばだから、橋本路線を引き継いで平松に勝てる強力な後継者がいることが橋下氏が国政に出る絶対条件になるが、それが見当たらない。”大阪城”の本丸を奪われたら都構想は実現できない。だから府議団や市議団は橋下国政出馬を認めない。橋下自身は今では自身の国政出馬は大阪改革で実績を上げてからでいいと2段戦略に傾いているようだ」(ブレーンの一人)

しがらみに囚われてしまったのか。屋山氏は「国政取りに動きはじめてから橋下の持ち味の改革のスピード感が見えなくなった。この状態からどうやって体勢を立て直し、挽回していくのか。橋下の真価が問われているといえるでしょう」

まずは維新の会の”独裁者”に
橋本出馬なら100議席

問われるのは1にも2にも橋下氏自身の覚悟である。屋山氏は「橋下には強い反撃力がある。彼自身は出て論争すれば負けたことがない。ここは、覚悟を決めて本人が先頭に立つべきで場ないか」橋下氏が迷いを振り切って国政に出馬し、大阪市政改革で示したように、あくまで既成勢力と対決し、この国の統治機構を改革するという原点をはっきりさせる。橋下改革を変質させる幹部や地方議員、国会議員に「ついて来られないならついて来なくて結構だ」と迫って、捨身で改革に投じるメンバーだけを引き連れて国政に挑む。橋下氏自身が「この国には独裁者が必要」と語ったように、維新を完全掌握する独裁党首になれない政治家が、この国の統治機構の改革に取り組めるはずがないのである。

総選挙での維新の議席やその後の影響力も、橋下氏が出馬する場合と出馬しない場合では大きく違ってくる。政治ジャーナリストの野上氏はこう読む。「橋下氏が出馬しない場合、維新がたとえ全国に全国に候補者を擁立しても、勢力圏は近畿ブロックを中心とする限定的な地方政党にとどまるはずです。大阪市長が党首の政党が、大阪改革のために票をくれといっても、東京をはじめ全国の有権者はかえって失望する。議席もせいぜい30〜40議席にとどまるのではないか」

逆に橋本氏が大阪を飛び出せばどうなるか。「経済の地盤沈下が著しいという課題は大阪だけではなく、どの地方も直面している。橋下氏の大阪都構想の実験は、現在の中央集権の統治機構を改革し地方が権限を持って独自に地域の浮揚をはかる分権国家の発想です。大阪のためではなく、改革を全国に広げるために総理大臣になるのだと前面に出せば、相当な共感を呼ぶ可能性がある。維新の個別の候補者の力がどうであれ、橋下氏個人の決意一つで、維新は100議席を超えて政界のキャスティングボードを握る可能性は十分にあると分析している」(野上氏)

維新八策を掲げて全国に候補者を擁立すると豪語した橋下氏は、国民の期待に応える責任がある。まはや「自分の出番は次の次。国政改革は国会議員団に任せる」という逃げは通用しないのだ。



『週刊ポスト』10.19


2012年10月11日(木) IPS心筋を移植

 初の臨床応用
ハーバード大では、心不全の患者、回復

あらゆる種類の再訪に変化できるIPS細胞(新型万能細胞)から心筋の細胞をつくり、重症の心不全患者に細胞移植する治療を米ハーバード大学の日本人の研究者らが6人の患者に実施したことが、10日わかった。IPS細胞を利用した世界初の臨床応用例で、最初の患者は退院し、約8カ月たった現在でも元気だという。ノーベル生理学賞・医学賞の受賞が決まった京都大の山中伸弥教授がマウスでIPS細胞を作製してから6年、臨床応用への動きが予想以上に早く進んでいる実態が浮き彫りになった。

日本人研究者ら、2月実施

IPS細胞を利用した心筋の細胞移植を行なったのは、ハーバード大の森口尚史ら客員講師ら。森口講師は、肝臓がん治療や再生医療の研究をしており、東京大学客員研究員も務める。現地時間10,11に米国で開かれる国際会議で発表するほか、科学誌ネイチャー・プロトコルズ電子版で近く手法を論文発表する。第一号の患者は、米国人の男性(34)。男性は2009年2月に肝臓がん治療のため肝臓移植を受け、肝機能は回復したものの、今年2月に心臓が血液を全身に送り出す力が低下する「虚血性心筋症」を発症。治療を受けることを決めたという。

チームは、凍結保存してあった男性の肝臓から、肝機能に変化する一歩手前の「前駆細胞」を採取。山中教授の手法とは異なり、肝臓の前駆細胞を主な材料とし、細胞増殖にかかわるタンパク質や薬剤を加えてIPS細胞を作製した。これを心筋細胞に変化させ、特殊な冷却装置を使った環境で大量に増殖させた。

男性は心臓バイパス手術後、心筋細胞を心臓の30カ所に注入された。患者自身の組織から作成したので拒絶反応はない。細胞は定着し、心機能が徐々に回復し、約10日後からほぼ正常になり、現在は平常の生活を送っているという。IPS細胞を臨床応用する際には、がん化しないかなどの安全性を確認する必要がある。チームはブタの実験で安全性を確め、緊急性を考慮したハーバード大の倫理員会から「暫定承認」を得た。

日本も技術的には可能だが、公的指針で動物実験を経たうえで研究計画を立てて国に申請することが義務付けられ、緊急避難的な措置はできない。森口医師は「異常は起きていない。経過を注意深く見守っている」としている。万能細胞からつくりだした細胞の人への応用については、米企業が脊髄損傷や網膜の病気の患者に対して、ES細胞(胚性幹細胞)から作った細胞を注入する臨床実験を行なっている。

安全性の確保が課題

ハーバード大学のチームが、IPS細胞から作った心筋細胞を初めて患者に移植したことは、動物実験にとどまっていた研究が、人間を対象とする研究の段階に移ったことを意味し、大きな節目を迎えたことになる。基礎研究の成果を医療に応用する際、動物実験の成果がそのまま人間に当てはまるとは限らない。実際、全身の筋肉が動かなくなる難病「筋委縮性即策硬化症(ALS)」では、動物に効いた化学物質が人間には効果がなく、薬にならなかったことがある。研究の最終ステージでは、人間の体での研究が欠かせない。

IPS細胞を、広く患者に適用できるレベルにするためには、着実な臨床研究を積み重ねることが求められる。日本でも来年にもIPS細胞を用いた臨床研究が始まる。山中教授のノーベル賞授賞決定でIPS細胞の医療応用への期待が高まるが、患者の安全性を確保しつつ、医療としての確立を目指す必要がある。



●IPS細胞を用いた、人間への心筋細胞移植の方法

患者の肝臓から前駆細胞を採取し、それに2種類の化学物質を加えてIPS細胞を作製する。それを心筋細胞に変化させた後、冷却装置を用いて最良に増殖させる。それを重症の心不全患者の心臓に注射針で注入する。



『読売新聞』10/11


2012年10月09日(火) がんワクチン ��

抗がん剤よりいい

悪性脳腫瘍も予後が悪いことで知られる難治性のがんだが、「WTI」というがんペプチドワクチン療法の臨床研究に取り組む大阪大学付属病院の橋本医師は、「有効性に期待が持てる結果が出てきている」と語る。通常、ある種のグリオーマの再発は、5年生存率が8%といわれている。WTIのがんペプチドワクチンを始めて再発から約6カ月間、悪化することもなく生存していた人は3割を超えた。

抗がん剤治療を実施していた時の1割よりも良い結果が得られたのだ。治療開始時に46歳だった女性は、4年半で腫瘍が焼失し、現在7年目。今も月に1度外来通院しワクチンを打ち続けているという。劇的な効果が出る人がいる一方で、まったく効かないという人がいるのも現実である。研究が進むペプチドワクチンの抗原を。すべてのがん患者が持っているわけではないし、抗体を持っていても、残念ながら効果が表れないケースがある。医療機関では多くの患者が適合する抗原を選んでいるが、それでも、該当する患者が全体の6〜7割というものがほとんどだ。

滋賀医大の樹状細胞ワクチン療法では、がん抗原MUCIに適合する肺がん患者は全体の「5〜7割」といわれている。「がんワクチンに適応する抗体を持っているかどうかは、患者さんのがん細胞を特殊な溶液で染色すれば簡単にわかります。中には0という人もいるので、うちでは必ず生検組織か、手術の際のがん組織をお持ち頂くことにしています」(寺本医師)

これに対し、大阪大学がターゲットにしているWTIというがん抗原は、悪性リンパ腫を除き、多くのがんに存在することがわかっているものだ。そのため、消化器がんから血液がんに至るまで多岐にわたるがんを対象に臨床研究をしているのも大阪大学の特色だろう。WTIに対する関心は世界でも高く、アメリカの権威ある国立機関NCIは、‘09年に「注目すべきがん抗原75種の中でも最も臨床応用すべきがん抗原はWTI」と発表している。

がんワクチンは、最終的には創薬として保険認可され、手術、抗がん剤、放射線の3本柱の標準治療に次ぐ、、「第4の治療法」となることに熱いい期待が寄せられている。そこに至るまでには、安全性を確認する第�義蝓⇒�効性を見る第�響蝓�大規模比較試験を行なう第�形蠅泙任涼奮�別の臨床試験があるが、すでに肺がんでは第�形蠅泙膿覆鵑任い襪發里發△蝓△垢ぢ,�んでも新たに新たに第�形蟷邯海�予定されている。

早く使えば、もっと高い効果

抗がん剤と組み合わせた併用治療法の研究も進められており、新たな可能性も期待される。「もっと早い段階で投与できれば、もっと高い効果が得られる可能性が高い」という意見も多い。例えばすい臓がんは、術後回復に時間がかかる。悪性度の高いがんは数が月で再発してくるために、まだ体調が戻らない状態で抗がん剤を始めなければならない。「それががんワクチンだけですめば、吐き気や食欲不振などの副作用がない分、体力の回復も早いはず。再発が多いがんなので、行く行くは、手術をした後すぐに打ち、予防的に使えるようなるのが一つの理想。手術ができない、緩和療法という選択肢しかなかい人に使えば、つらい抗がん剤の副作用に苦しまずいい時間をつくることができる。使い方はいろいろ工夫できると思います」(浅原医師)

悪性脳腫瘍は、数多くの抗がん剤があっても、脳には行き届きにくい、効きにくいという現状がある。腫瘍のできた場所によっては、言語中枢や運動中枢に影響の出る可能性が高く、手術で取れない場合もある。放射線療法も「あまり多く放射するとボケる」など、現在の標準治療では、いろいろな制約がある。「現在のWTIの使用は、再発が研究対象となっていますが、再発したら予後が厳しいことを考えると、正体的には初回治療からどのタイミングで使うか予定を組んで、3本柱と併用して使うのが理想的ではないかと思っています」(橋本医師

現在、がんワクチンの臨床試験が受けられる機関は12か所ある。先進医療、高度医療として治療費用がかかるところもあり、対象となるがんや患者の適応条件は、施設によって異なる。詳細は各医療機関に問い合わせてほしい。あらゆる治療をやりつくした患者にとっては、副作用がなく多少の延命効果が期待できるだけでも「夢の治療薬」といえる側面がある。保険認可薬・がんワクチンの誕生が、新薬の誕生を待ち望む患者にとってさらなる福音がもたらされることを願いたい。



『週刊現代』


2012年10月08日(月) がんワクチン ��

末期がんにも効果

神奈川に住む井上洋子さん(仮名)は、33歳で長女を出産した。産後の経過が悪く、腰の激痛に耐えかねて出産3カ月後に病院に行くと、腹部に14センチもの腫瘍が見つかった。15時間もかかる大手術ですべて切除できたが、「巨細胞がん」という特殊なタイプの進行すい臓がんだった。術後わずか3カ月で肝臓に再発。手術の傷もまだ癒えない状態で組まれた抗がん剤治療は、副作用が強く2回で中止に。抗がん剤は全く効かず、肝臓のがんは2倍近く大きくなっていた。

「肺がんで他界した父が抗がん剤で弱っていく姿を見ていたので、効果がないならやめたいと思っていました」井上さんはその後、死を覚悟し、母親とホスピスの申し込みにもいった。そんな中、夫がインターネットで偶然見つけたのが、ガンペプチドワクチン療法を説明する東大医科学研究所のサイトだった。電話で問い合わせると、研究グループである千葉徳州会病院肝胆内科の浅原新吾医師を紹介された。「夫の気持ちはありがたかったけど、正直、がんワクチンの効果はあまり期待していませんでした。でも、私が何か治療している方が家族はきっと精神的に落ち着く。そう思って、受けられるのならやろうと考えていたです」と井上さんは振り返る。

週に一度足の付け根(そけいぶ)にペプチドワクチンの注射を打ち始めて1ヵ月後、それまで抗がん剤がまったく効かずに増大を続けていた肝臓のがんは進行が止まった。その後、半年経つ頃から徐々に小さくなりはじめ、1年後に残っていたのはごくわずか。本人の希望によりワクチンの投与はここでやめたが、その後もがんは縮小を続け、がんの発見から3年経った現在、画像上はは完全に消失した完全寛解という状態にある。「がんワクチン」という言葉を耳にしたころがあるだろうか。2月6日にNHKの『あさイチ』で紹介されたことで注目が集まり、臨床試験を実施している多くの医療機関に問い合わせが殺到したがんの治療法である。

そもそもがんワクチンとは、がん細胞の表面にある特殊な物質(がん抗原)を目がけて攻撃し、がん細胞だけを叩くという免疫療法の一種である。子宮頸がんなどの病気を予防するワクチンもあるが、これはがんを治療するものである。がん抗原は多くの種類があり、どれをどのように攻撃するかによってワクチンの種類も異なってくる。ガンペプチドワクチンや樹状細胞ワクチンががんワクチンの代表的なものだ。

抗がん剤や放射線治療のような副作用がほとんどないのが大きなメリットととして挙げられる。いずれも創薬にいたる前の試験段階のもであり、治療効果が科学的に認められているわけではないのだが、新たながん治療として期待が寄せられている。井上さんのガンペプチドワクチン療法を担当した浅原医師は「彼女はすい臓がんの中でも悪性度の高い『退形成がん』の巨細胞がんという症例も少ないがんで、通常は治療は手術しても平均余命は10カ月程度といわれています。術後間もない再発だったことも考えると、想像をはるかに超える治療効果でした」と分析する。現在も3ヶ月ごとに採血とCT検査でで経過を見ているが、「異常なし」が続いている。

「ワクチン治療中から食事療法による体質改善と、前向きな人が多くて情報交換もできる患者の集まりに2ヶ月おきに参加して、気持ちを落とさない生活を心がけていました。それは、今も再発予防のために続けています」そう話す井上さんは、夫、親、そして3歳になる娘との時間を大切に、日々を過ごしている。

肺がんにも効果が

浅原医師が井上さんに投与したのは、東大医科学研究所が中心となって開発されたすい臓がんのペプチドワクチン。このほかにも、全国の大学病院単位でさまざまながん抗原を使ったペプチドワクチンの研究が行なわれており、例えば久留米大学病院は、国内で唯一、がんワクチンの専門外来を持つ。それでも、患者の血液を調べて効果が高いと思われるがん抗原の上位4種に適合するワクチンを、その人専用の治療薬として打っていくテーラーメードの手法を取っている。九州大学病院にもがんワクチン療法を行なっている。

滋賀医科大学医学部付属病院呼吸器外科の寺本医師が行なっているのが、‘05年に先端医療として認可を受けた樹状細胞ワクチン療法である。これもがんワクチンの一つだ。採血して抽出した患者の樹状細胞を、肺がん細胞の目印として存在するがん抗原「マックワン」と一緒に培養する。これを患者の体内に戻すと、がんを攻撃するキラーT細胞というリンパ球が「マックスワンを標的に攻撃せよ」と樹状細胞から指令を受け、がん細胞だけに攻撃を始めるのだ。

長野から通院している田中和人さん(64歳・仮名)は、抗がん剤が効きにくい扁平上皮がんで手術で右肺を全摘した。術後に再発をしたとき、主治医から「抗がん剤は間質性肺炎を起こす危険が高いので勧められない。治療法はもうない」と説明された。「でもまだ元気だし、私は最後までがんに立ち向かっていたかった。そんな時、市民公開講座で寺本医師の講演を聞いた。適応を調べ、がんワクチン療法をやってみますかと言ってもらった時はうれしかった」と話す。

ワクチン療法を開始してからも。再発を繰り返し、がんは消えてくれなかったが、会社の仕事を続け、片肺でも好きなゴルフをしながら4年間、普通に暮らすことができた。寺本医師はもう治療法がないといわれた肺がん患者43人に。樹状細胞ワクチン療法(2週間に1回の投与で3ヶ月)を実施したところ、評価可能だった人は26人。そのうち腫瘍が縮小または不変だった人が15人(うち、30%以上縮小した人が1人)腫瘍が大きくなった人が10人だった。寺本医師は「他に打つ手がない肺がんは非常に厳しく、現状維持が精いっぱいなのですが、評価可能だった患者の6割に病勢コントロールがついた意義はかなり大きいと考えています」


2012年10月02日(火) 原発なしでも大丈夫

関電は今年6月、”赤い脅迫状”と呼ばれた通知を全世帯に郵送した。赤色で「万が一の場合計画停電のお知らせ」と印刷し大飯原発を再稼働しても「電力不足による計画停電もありうる」と脅す内容だった。この中で、橋本大阪市長も再稼働に賛成し、安全性無視で野田内閣が一気に再稼働に突っ走った。ところが、大阪市ではこの夏の最高気温は36.7度。猛暑はほぼ一昨年並みなのに、企業や家庭による節電で、電力のピークは関電予測の90%以下に差立った。

他方、原発以外の電力供給は、他社からの融通、揚水発電などで関電の予測より大きく、最大2946万kwになった。これで大飯原発を再稼働しなくても余裕があることが証明された。つまり、前から指摘されていたことなのに、国ぐるみでダマして再稼働させたのではないか。京都府で機械部品の町工場を経営する広瀬さんは「私の知る取引先もみな節電に協力した。原発なしでもやっていけることがわかれば、自然エネルギーに転換する大きなチャンスになる」と話す。

原発なしで電力が足りているのは関西電力だけではない。今夏、関電の大飯原発以外は原発を一基も動かしていない。原発なしのままで電力需要のピーク時でも、全国的に電力は足りていた。全国の電力会社のそれぞれのピーク時供給力と最大需要を比較すると需要は供給の92.4%で電力に余裕があった。電力が足りないという脅しがウソだったことが露呈したにもかかわらず、財界はあくまでも原発を推進しようとしている。

政府は現在、エネルギー政策として2030年台の原発比率ゼロ、15%、20〜25%の3案を示している。これに対し、日本経団連はこれらの案は困難で、問題が多いとして否定し、原発依存度をもっと高めるように求め「低価格でエネルギーが安定的に供給されなければ、雇用の悪化や電気料金の値上げにつながる」と脅してきている。

福島の事故のあとでさえ、財界に何の反省もない。関電も財界も原発をやめればコストがかかるというが、いったん事故が起これば、何兆円もの被害を生む原発の方がずっとコストがかかる。放射能を避けるため、父を残して母と妹と福島県郡山市から避難してきた上田さんは「原発事故のせいで家族も友達もバラバラです。経済のためには原発は必要だというが、命がなければ経済も意味がない。原発は絶対なくしてほしい」と訴えている。

経済界は、原発を利用しなければ電気料金が上がると原発にこだわっている。しかし政府の試算では原発のコストが安いとはいえない。さらに福島第一原発の処理費用や賠償も見通しが立っていない。現時点で原発コストはどこまで高くなるか算定すらできない状態である。何よりも社会的リスクが高い。放射線量がきわめて高い使用済み核燃料の処分も候補地が決まらず、展望がない。それに使用済み核燃料の放射能がゼロになるのは10万年という途方もない時間がかかる。これらをコストに入れると電気料金は今より大きく膨らむだろう。

現在より多少電気料金が高くなったとしても、リスクの少ないエネルギーに転換していく道を選ぶのが、大方の国民の意識といえるのではないか。経済界は、原発をゼロにすると雇用が減るというが、省エネや自然エネルギーを進めているドイツでは新たな雇用が生まれている。自然エネルギーは太陽光パネルをつくる装置産業だけではない。風力発電の設置や維持管理、建物の省エネ改修など建築関係の雇用である。福島原発事故の教訓をふまえ、、脱原発、省エネルギーや再生可能エネルギーで持続可能な社会を目指していくべきである。


『赤旗』8/26


加藤  |MAIL