加藤のメモ的日記
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韓国の季明博大統領に野田首相が送った新書をめぐり、韓国側は突き返そうとし、日本側が門前払いするという異例の事態に発展した。韓国が不法占拠する島根県・竹島に季大統領が上陸したことが発端の今回の対立は、「外交上、礼を欠く」と日韓双方が非難し合う泥沼状態となった。日韓双方に事態収拾策は見えていない。
「新書の返還であれば、合わない方がいいという気持ちがある。親書を返すというのは子供のケンカ以下だ。外務省の山口大臣は、23日夕の記者会見で、韓国側が返送しようとした親書の受け取りを拒否した理由をこう説明した。
韓国大使館からは23日、外務省の北東アジア課に「課長に会いたい」と連絡があった。すでに韓国側が親書を返送する意向が報道されていたこともあり、玄葉外相が「門前払いしろ」と指示。これを受け、同課は「外交儀礼上、ありえないことは受け入れられない」として、面会予約を断った。
民主は「配慮外交」を反省せよ
領土問題では、毅然として自国の立場を主張するとともに、平和的な解決を冷静に追及することが肝要である。衆院予算委員会で外交に関する集中審議が行なわれた。季明博大統領宛の野田首相の親書を韓国政府が返送すると発表したことについて、首相は「あまりにも冷静さを欠いた行動」と不快感を表明した。親書は季大統領の竹島訪問に遺憾の意を表する内容だが、それを返送するのは外交慣例上、極めて非礼であり、看過できない。どんなに主張が対立しても、外交には最低限守るべきマナーがある。韓国の対応は一線を超えている。
政府は強く抗議すべきだ。ただ。その際は、外交儀礼をきちんと守って対応することが大切だ。玄葉外相は予算委で、竹島の現状について韓国が「不法占拠」していると強調した。民主党政権は岡田外相以降、観光側への配慮から「「法的根拠なない支配」と表現しており、玄葉外相が初めて「不法占拠」との表現を用いた。あまりに遅きに失している。国家主権に関する問題でさえ、相手国を刺激しないという民主党政権の過剰な「配慮外交」が、日本は簡単に譲歩するという誤解を韓国側に与えたことは否めない。
いわゆる従軍慰安婦問題でも、賠償請求問題は完全に解決しているのに、前原政調会長が新たな「人道的措置」の検討を表明したことなどが、韓国側に誤った期待感を抱かせた可能性がある。成否は一連の経緯を反省し、今後の対応を検討すべきだ。野田首相は予算委で、季大統領の天皇陛下への謝罪要求発言について、謝罪と撤回を求める意向を表明した。韓国外交通商省報道官は、玄葉外相の「不法占拠」発言の撤回と再発防止を要求した。
日韓関係は今や、「負の連鎖」に入り始めている。竹島問題で対立しても、日韓関係全体が悪化するのは避けたい。日中間の自由貿易協定(FTA)交渉など実務的な協議は継続するよう、日韓双方が務めることが重要である。集中審議で自民党は、政府が香港活動家による尖閣諸島不法上陸を阻止できず、公務執行妨害罪を問わなかった点を追及した。
領土問題では本来、オール日本の体制で外交を展開することが望ましい。自民党が政府の揚げ足取りに終始するようでは困る。日本の主張を国際社会に積極的に発信し、学校での歴史教育を充実させるなど、超党派で取り組むべきことは少なくない。
『読売新聞』8/24
| 2012年08月22日(水) |
野田よ国民のために政治をせよ |
かねてから「巧言令色」と警戒してきた野田首相だが、いよいよその危険な本性を現してきた。去る7月22日、母校早大の大隈講堂で講演し、「増税先行」の批判に対し強気に出た。「借金だけ残していけば、いずれ大増税国家になる。先送りできない政治のテーマだ」とその意義を強調したそうだ。更に「増税先行などと言ってきたことが問題を先送りしてきた最大の要因だ」と反論したつもりのようである。
増税や原発再稼働について、「意見が真っ二つに割れたり、やらなければならないことが少数派だったりする中で、常に怒りや批判の対象となるのが私の役割だ」と言い、「国民のためとの確信を持ちながら、やらなければならないことは貫きたい」と胸を張ったと報道されている。ちょっと待ってくれ野田君。日本はこれでも民主主義国家である。真っ二つに割れたり、少数意見を通すなら、まず選挙をして国民に信を問うのがルールだ。ましてや増税に関しては、先の‘09年の選挙では「向こう4年間はやらない」とマニュフェストで宣言して勝ったのではないか。
それを陳謝、訂正もせずに、野党と組んでまで強行し、「実際税率が変わるのは‘14年だから選挙時の5年先だ」と、詐欺師のような論理までふりかざした。これではヒットラーも真っ青の独裁政治ではないか。ボクは実はヒトラーより怖いと考えている。ヒトラーは狂信的な野心家だったが、ドイツのことだけを考えていたと思う。野田は「国民のため」といいながら、日本のために動いていない。彼の顔は「財務省」「財界」そして「アメリカ合衆国」の方を向いているのだ。そういう意味では、彼は「売国奴」になる可能性を持った、実に危険な政治家といえる。
野田君、国民は新聞を読んでいるから知っているよ。6月の末に、経団連の米倉会長が、TPPへの参加が進捗していないことに苦言を呈したことを。早く参加しないと、日本に不利なルールができてしまうことへの不安からであろう。つまり財務省の言うなりに「増税」を強行し、今度は財界の後押しでTPPに参加しようというのだ。原発再稼働についても、財界や大企業の言いなりで、「国民」の安全や危惧など無視なのである。
野田君、真相を見つめて、日本のために行動してくれ。アメリカの狙いはアジア太平洋地域の主導権を握って、中国を牽制することだ。そして自由貿易が大国アメリカに有利なのを承知で参加するアジアの国には、米国が誕生するはるか昔からの伝統的な中国への警戒心がある。ただ日本が加わらないと、あくまでアメリカのゴリ押しに見えてしまうので、日本を引き入れたいのだ。こちらカナダの新聞には”オバマに腕をねじ上げられて、野田は不承不承OKした”と出ている。
TPPには、農漁業だけでなく、特許や知的財産権の問題など、簡単に片付かない障害がある。食の安全も重大だ。しかもアメリカの態度も微妙なのだ。オバマは前向きである。しかしかなり互角に近くなってきた共和党のロムニー候補は、ハッキリ「日本のTPP参加には反対」と言っている。野田君、巧言令色はもういい。どの道君の党は、次の選挙で惨敗し、国政には関与できなくなる。それだけは明白だ。ただ首相になった以上、たった一つでも国民のために、事を成し遂げて欲しい。財務省のためでも、財界のためでも、ましてや「外国」のためでもなく「国民のため」にだよ。
『週刊現代』8/11
〈北朝鮮は、大国の仲間入りをすると言っておきながら、まったく状況が好転しません。平壌市民は「金正日が、人民を餓えさせる以外に何をしたのか」、「金正恩が後継者になり、さらに生活が苦しくなったのではないか」と露骨に口にしています〉
民族衣装を着て楽しそうに踊る人々、金正恩第一書記の姿を見て万歳をする軍人、軍事パレードを誇らしげに眺める民衆……。世界各国で放映された北朝鮮の「太陽節」の映像を見ると、経済情勢、食糧事情がどれだけ厳しくとも、この国の人民たちは正恩大将のもと、一丸となっていると錯覚してしまう。
だが、実情は違う。本誌は韓国の情報機関が作成した。最近平壌から逃げ出してきたという脱北者男性の証言をまとめた資料を入手した。冒頭で紹介したのは、その証言の一部だが、これを読むと北朝鮮国内で指導者将に対する不満が高まり、いまにも”革命の狼煙”が上がらんばかりの緊迫感に包まれている様子が伝わってくるのだ。
〈大きな変化が起こり始めたのは、昨年の2月ごろからです。平壌の中心部から10�劼曚瀕イ譴針�景台いうところに、故、金日成主席の生家が保存されているのですが、この生家の扉が何者かによって盗まれるという事件が発生したのです〉〈国内各地にはさまざまなモニュメントが建てられていますが、昨年4月には労働党創立を記念して建てられた党の一部が破壊され、さらに同年10月には金日成主席の妻・金正淑の銅像に破損が見つかるという事件が起こったようです。自然にできた破損ではなく、鈍器のようなもので傷つけられた跡があったとのことです〉
言うまでもなく、北朝鮮において金一族を冒涜することは最大の罪である。しかし、一族を侮蔑するような”反動的行為”がいくつも確認されている、というのだ。さらに証言は続く。〈平壌市内で、現体制を批判するような落書きも見つかっています。大学通りと市場通りの道路で、昨年の9月には『世襲は社会主義の理念に反する行為だ』『金正恩を打倒しよう!』という落書きが発見されました〉
今年初頭には、韓国の民間団体「拉致脱北人権連帯」が北朝鮮最大級の製鉄所で金正恩を中傷するビラが見つかったと発表したが、北朝鮮国内の至る所で、こうした批判や中傷が行なわれているのかもしれない。そんなことを思わせる証言だ。〈昨年より、平壌市内では繁雑に停電が起こっています。平壌市民の間では、「電気も自由に使えない状態でなにが『2012年には大国の仲間入りを目指す』だ」と指導部層に対する不満が高まっています。昨年7月ごろには、平壌市民が電力不足に集団で抗議して、それを取り締まろうとする保安院との間で衝突が起きました〉
北朝鮮住民の怒りは、まさに爆発寸前なのである。こうした状況に焦りを感じた正恩第一書記は、人民の関心を買うための指示を次々と出している。「今年初頭、『平壌の人民を飢えさせてはいけない』と配給用の食料調達を支持したのを皮切りに、太陽節の直前には学生らに制服をプレゼントするなど、配給を強化している。さらに『太陽節には平壌市内で停電が起こらないようにせよ』と号令を出し、実際太陽節の一時期には、停電が解消されたようだ」(韓国国防部関係者)しかしこの程度の対策では、「焼け石に水」というものだろう。
訪中の日が「Xデー」か
さらに、人民の間だけでなく、軍部内でも不満がくすぶり始めているのではないかと明かすのは、北朝鮮情勢の分析を行なっている中国外商部の関係者だ。「最近接触した人民軍の幹部から、世界情勢に敏感なエリート層や軍の若い層の一部で『現在の指導部は石頭の連中ばかりで、これでは我が国の未来に希望が持てない』『チャンスがあれば何とか海外に逃亡したいものだ』といった声が上がっている、と聞いた。不満の直接の原因は、軍部に支給される物資が減少してきていること。それまでは”小遣い稼ぎ”として黙認されてきた物資の密輸入に、上層部が厳しい目を光らせるようになったことだ」
故・金正日総書記は、軍部内で不満が高まっていることを察知すると、幹部らに高価な贈り物をしてその不満を収めていた。しかし、泣きっ面に蜂といべきか、父に倣って不満分子に贈り物をしようにも、正恩第一書記の懐には十分な資金がないのだという。「贈り物の購入には金一族が握る『官房機密費』のようなものがあてられていたのだが、相次ぐ経済制裁によってこの資金が不足し、満足に贈り物を渡せない状態になっている。焦った金正恩は、『外貨を稼ぐために、労働者をもっと多く海外に派遣せよ!』と指示を出したようだ。
現在も北朝鮮は世界各地に3万人ほどの労働者を派遣しているが、さらに1万人ほどの派遣を検討しているという。新たに大勢の労働者が派遣されれば、海外の空気に触れた労働者が現体制に不満を持ち、揺さぶりをかけるような行動に出るだろう」(韓国国防部関係者)”体制維持”のための労働者派遣が、逆に現体制を揺さぶることにつながるかもしれないとは、なんとも皮肉である。
金正恩は経済援助を求めて、年内にも中国を訪問する予定だと囁かれている。実現すれば新指導者となってから初めての海外訪問であり、大変な注目を集めるのは間違いない。しかし、国内情勢が不安定な状況で国を空ければ、その瞬間にも平壌市内で”革命の火”が上がる可能性があるのだ。「北ア朝鮮崩壊Xデー」のカウントダウンは、すでに始まっている。
『週刊現代』5/26
| 2012年08月15日(水) |
家人と同居して驚いたこと |
人というものは付き合ってみないとわからないことが意外と多いものだ。20年近く前、家人と暮らす羽目になり、綺麗好きというか、ゴミひとつ落ちていない家に慣れるまで時間がかかった。同居した当初、私は毎日のごとく酒を飲んでいた。浴びるほど飲むという表現があるが、そんなもんじゃなかった。酒の中にひたって、普段でも身体がウィスキーと日本酒の煮凝り状態であった。
だから毎日が二日酔いで、目覚めたときは、私は誰?ここはどこ?こんな綺麗な部屋はあきらかに自分の住む場所と違うと、毎日あせったりした。
私の二日酔いの解消法は、ともかく水を飲む。そして朝から麺類を胃に流し込む。ひどい症状のときは肉も喰う。と言うのは、胃も胃壁もダウンしているので、すぐに彼らを働かせればいいという考えである。胃というものは胃事態に思考力がないはずだから、どんなにグロッキー状態でも、上から食物が入ってくると、連中は、さあ仕事だ、仕事だと動き出す。それが正常な胃に戻る近道なのだ。
水を際限なく飲み、麺、肉を流し込み適当な時にすべて吐く。これを毎日繰り返すのだが、多量の水は途中で当然のごとく下痢を呼ぶ。腹がゴロゴロくれば食べかけの麺を置いて、トイレに駆け込む。下からもアルコール分を出す。そうしてまた水、麺、そして吐いては湯船に入り汗を出す。
ある日、テーブルに麺を置いて、トイレに行き、戻ってみるとテーブルは綺麗に吹いてあり、麺が消えていた。「あれっ、麺を食べていなかったっけ?」なにしろ、私は誰?状態で目覚めるのだから、麺を食べてたのも幻だったかもしれないと思えた。「君、今、私、タンメン食べてなかったっけ?」などと質問すれば、とうとう酒で頭までおかしくなったかと思われるかもしれないと訊けなかった。たった10分前のことだから、こう見事に消えるはずがない。
「やはり麺を食べていたのは幻か……。」と玄関の方へいくと、なんと綺麗に洗って拭かれた麻布十番のT龍の器があった。「これって昨日の麺の器か?」私は台所に行き、「君、居間のテーブルにタンメンあったでしょう」と訊くと、「えっ、あれ途中だったの、ゴメンナサイ」と家人があわてて言った。「途中って、半分以上残っていたでしょう」油断もスキもない女だナ。
これも同居当初、家人がよく寝るので、仙台から彼女の母親が上京した時、なんとなしに言ってみた。「お嬢さん、よく睡眠摂られますね」「そうよ。あの子は10時間寝ないと頭がすっきりしない子なの。ご協力よろしく」「義母さん、毎日、10時間寝ていたら、24年間が過ぎたらお嬢さんは10年間寝っぱなしの人生になりますぜ」「そんなには寝ないでしょう」義母は笑って言った。
『男たちの流儀』 伊集院 静
本当のお金持ちとはどういう人でしょうか?私の顧客は主に銀行や保険会社などの機関投資家絵でしたが、、稀に個人の大金持ちとお会いする機会がありました。ある日本の方は数百奥の金融資産をお持ちでした。繁華街を少し離れた簡素な住宅地に静謐なお屋敷のようなオフィスを構えてらっしゃいました。私はそこへ何度かお邪魔することになりました。
初めてお会いしたときにその方はおっしゃったのです。「ある金融機関と付き合った時、自分は当然ファースト・クラス級の扱いを受けているんだろうと思っていた。そうしたら、とんでもない!エコノミークラスだったんだ」自分がカモにされたという怒りでした。「あなた様のために特別にご用意いたしました」そう言われ、プライベート・ファンドを数十億円購入したそうです。ごく少数の大口投資家だけを募るファンドです。
購入後、ファンドの価値が、あれよあれよという間に下がっていきます。調べてみると、他の客はさっさと解約していて、資産の中身は痛んだものばかり。機がついた時には、投資しているのは自分だけたった……というのです。それ以降、金融機関からの話は絶対に信用しないとおっしゃいました。私が説明していても心を許す態度は一切見せず、「騙されないぞ!」というオーラがひしひしと伝わってきます。重要文化財クラスの屏風を保有する米国の財団の主もそうでした。私を不審人物のように見る目を始終崩されることはありませんでした。
『本当のお金持ちは猜疑心のかたまり』それが私の結論です。 ●人を見たら泥棒と思え。 ●石橋を叩いて渡らない。 ●おカネの世界にファースト・クラス級の快適なサービスなど存在しない。 それが超の付くお金持ちが持っている認識です。
ただ、私にはお二人とも人生を楽しんでいらっしゃるようには見えませんでした。おカネに人生を縛られていらっしゃるようで気の毒になったのです。お二人共通したのは、莫大な資産は相続したもので、ご自分で作り上げたものではないという事実でした。人生の選択の自由がないように莫大なおカネから逃れられない運命を背負っておいでだったのです。死ぬ間際まで、このおカネをどうしよう?と苦しまれるのだと思います。
「ビートルズは、欲しいだけの金を儲け、好きなだけの名声を得て、何もないことを知った」 ジョン・レノン
『週刊現代』8/11
| 2012年08月10日(金) |
野田首相「8.15靖国参拝」の成否 |
国民の信を失った総理大臣は、一か八か、国論を二分するような行動に出たい衝動に駆られるらしい。そうすれば少なくとも国民の半数の支持を得られ、支持率が50%まで回復するのではないかという幻想に取り憑かれるのである。野田首相の場合、「8月15日靖国神社参拝」計画がそうだ。
英霊への冒瀆ではないか
野田首相は就任時はさぞや熱心な靖国参拝派だったのかと思うと、不思議なことに過去に公式な昇澱参拝をした形跡は見当たらない。「昇澱参拝には申し込みが必要で記録に残る。記録に野田佳彦という名前は残っていない。昇殿しない社頭での参拝まではわからないが、以前、菅直人首相も国会で『個人的には何度も靖国人社に参拝したことがある』と答弁したことがあるが、やはり記録にはなかった」(靖国神社関係者)
国家には自民、民主など超党派の議員が参加する『みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会』がある。同会の事務局に確認してみたところ、「野田首相は過去も現在も参拝する会に参加したことはありません。近年は会のメンバー以外に、春と秋の例大祭や8月15日にどんな議員が参拝されたかを本殿に入らずにお賽銭で社頭参拝された方まで含めて確認していますが、野田首相の参拝はそうした記録もありません」という返事だった。
事実、野田首相は就任当初、靖国神社参拝を否定していた。そうした野田首相が靖国を参拝するといわれても、政権浮揚の打算が見え見えなのだ。保守の論客は冷ややかに見ている。靖国神社崇敬奉賛会顧問の高森氏が語る。「そもそも靖国神社は春秋の例大祭に参拝するのが本来の形で、敗戦の日に参拝する重要な意味はなかったが、中国との外交的綱引きで、8月15日に参拝できるかどうかが保守政治家としての試金石と見られるようになった。首相は政治家としての打算半分で大博打に打って出るつもりかも知れません」
航空自衛隊出身の評論家・潮氏は「英霊への冒瀆」と指摘する。「野田総理が靖国参拝したことは寡聞にして耳にしたことがない。そういう人物が8月15日に参拝しても本当に保守の心を持っているのか疑わしい。むしろ靖国神社の政治利用が見え透いていて、英霊に対する冒涜ではないでしょうか。そもそも集団的安全保障や尖閣国有化を今頃言い出すのなら、なぜ、防衛の素人の一川保夫氏や田中直紀氏を防衛大臣に任命したのか。そのことが安全保障や防衛を重視していなかった証拠です。そんな人物のパフォーマンスで日中関係悪化を招いた場合、打開する展望や外交手腕があるとは思えない」
消費税増税以来、大メディアに「決められる政治」とおだてられ、自らの能力も考えずに次々と物議をかもすテーマを打ち出すこの総理大臣の暴走は、不気味を通り越して危険ですらある。
『週刊ポスト』8/10
| 2012年08月08日(水) |
米が北朝鮮を攻撃しない理由 |
アメリカのブッシュ大統領がイラク、イラン、北朝鮮の三国を「悪の枢軸国」と呼んだのは‘02年のこと。この10年の間に、イラクはブッシュ政権によって倒され、イランはオバマ政権とにらみ合いを続け、いつ戦争状態に突入してもおかしくない状態となっている。翻って北朝鮮だけは無傷のままだ。核の力を背景に「恫喝外交」をくり返してきた北朝鮮。アメリカが手を出してこないのをいいことに、この国は世界一の「ならず者国家」と相成った。
‘94年の6月にクリントン大統領は、北朝鮮の攻撃に移る前に「各施設を叩いて北朝鮮と全面戦争になった場合、どんな事態が想定されるか」をシュミレートするよう各方面に指示した。ところがシュミレーションの結果は、アメリカにとって全く予期していないものだった。そしてこの結果こそが、今もってアメリカが北朝鮮攻撃を躊躇する、最大の理由となっているのだ。
「ペンタゴンから出されたシュミレーション結果は、開戦から90日で米軍に5万2000人を超える人的被害が出て、さらに韓国軍にも40万人もの死傷者が出るだろう、というものでした。民間の被害者も加えれば、もとっとひどい数字が出るのは言うまでもありません。無論、最終的にはアメリカが勝つという結果ですが、戦費は1000億ドルを超えるだろう、という予測も出た。あまりにも被害とコストが大きすぎるため、計画は白紙にせざるを得なかったのです」(辺真一氏)
北朝鮮人民軍の装備の大半は、中国製やロシア製の旧式ばかり。世界最高の軍事力を誇るアメリカが、なぜ北朝鮮との戦闘でこれだけの被害を出す、という結果が出たのか。軍事問題に詳しい青山独立総合研究所社長が解説する。「戦車部隊や空軍といった『正規軍』に限った戦闘を考えれば、アメリカの圧勝となります。しかし、北朝鮮には暗殺や破壊工作を専門とした特殊部隊が存在します。この特殊部隊との戦闘を想定すると、『死傷者の数はアンカウンタブル』という結果が出たのです。
VXガスやサリンといった化学兵器を使用してくることを考えればこれに対抗する手段を持たないアメリカ軍は、想像以上に脆弱だということです。アメリカが北朝鮮を攻撃しない最大の理由は、ここにあるのです」現在、北朝鮮は核を保有している。アメリカと北朝鮮が全面戦争を行ない、万が一にも北朝鮮が核による反撃に出れば、シュミレーション以上の悲惨な結果が出るのは目に見えている。
ニクシュ氏は「今の北朝鮮を鑑みると、アメリカが北朝鮮を攻撃すれば、局地的な戦闘ではなく、全面戦争、それこそ『第二次朝鮮戦争』の幕開けとなるでしょう。北朝鮮はソウルを攻撃するためのミサイルやロケット、大砲を数多く持っています。じつはソウルに住んでいるアメリカ人の人口は、オールバニ(ニューヨーク州の州都)に住んでいるアメリカ人の人口よりも多いのです。ですから、ソウルが攻撃されれば、多くのアメリカ人が死傷する可能性があるのです。そのために、アメリカは容易に攻撃できないのです」金正恩をひっ捕らえようとして北朝鮮を攻撃すれば、自国も甚大な被害を被ることになる。いわば、アメリカは北朝鮮に人質を取られているようなもの。自国民を危険にさらしてまで、北朝鮮を攻撃する必要はないと判断しているようだ。
中国参戦の可能性
さらにニクシュ氏は「もう一つ、アメリカが攻撃を躊躇する要因は中国にある」と指摘する。「現状では中国は、北朝鮮を抑え込むように努力していますが、しかし、もしアメリカが北朝鮮を攻撃すれば、中国がどう出るのかは、かなり不透明なのです」実は、中国と北朝鮮の間では、アメリカに侵攻されたことを想定したある条約が結ばれている。1961年周恩来と金日成の間で締結された「中朝友好協力相互援助条約」がそれだ。朝鮮戦争で中国が北朝鮮に義勇兵を派遣して共闘したことがきっかけとなり、『もし、中国が北朝鮮の一方が侵略を受けた場合には、互いに軍事援助を行なう』という約束が交わされたのだ。
50年も前のこの条約がいまだに生きているのかについては、専門家の間でも意見が分かれている。前出の青山氏が北京で会談した中国人民解放軍幹部は、こう述べたという。「北朝鮮がアメリカの攻撃を受けた場合、中国共産党がなんと言おうとも、それが中国への攻撃にならない限り人民解放軍は絶対に介入しない」‘94年に行なわれたシュミレーションでも、中国が参戦する可能性は考慮されなかったという。しかし、辺真一氏は、まったく反対の見方を示す。
「この条約は『自動介入』が前提です。つまり、北朝鮮が中国が他国から攻撃されれば、『無条件に介入する』ということです。昨年、同条約の成立50周年の記念式典が北京と平壌で行なわれた時にも、『自動介入』の条項は取り払われなかった。ロシアも北朝鮮との間で同様の条約を結んでいたのですが、エリツィン政権のときに『自動介入』の条項を外しました。中国も自動介入条項を外すことはできたのですが、そうはしなかった。1300�劼發旅餠�を共有する中国と北朝鮮は、いわば、へその緒でつながっているのです」
北朝鮮と事を構えると、中国との戦争も視野に入れなければならない。アメリカにとってどれだけリスクの高い選択かは論を俟たないだろう。「北朝鮮と中国は、アメリカが北朝鮮を攻撃できないような状況をうまく作り上げることに成功した、というわけです。そして北朝鮮は絶妙なバランスの上に立って、『恫喝外交』『瀬戸際外交』を行なってきたのです。「世界の警察」を気取っていても、実際は核兵器一つ保有されただけで何も手を出せなくなる。そんな国際社会の厳しい現実が、米朝関係を通じて見えてくるのだ。
『週刊現代』5/26
「寒くさびしい古庭に、二人の恋人通りけり、まなこおとろえ、口ゆるみ、ささやく話もとぎれとぎれ。お前は楽しい昔のことをおぼえておいでか」 約したのは永井荷風。若いころダンディーで鳴らし、中年となってからも、同時に複数の女性の関係を持ち続けた荷風にも、老いはきざした。1945年に荷風は65歳だった。3月、26年間住んだ麻布市兵衛町の崖上の家「偏奇館」が大空襲で炎上した。避難先の東中野も、5月の山の手空襲で焼け出された。
ツテを求めて岡山に疎開すると、そこでも空襲に遭い命からがら逃げた。荷風は岡山県の山間、勝山に疎開中の谷崎潤一郎夫妻を訪ねた。谷崎夫妻を頼りたいと考えたのだが、部屋は見つけられても、食料の見通しが立たないと谷崎に言われ、あきらめた。夫人心づくしの弁当をもらって岡山市に帰った日の夕方、終戦を知った。
手のつけられぬ偏屈な老人
その後、三味線の師匠をしている従兄弟の疎開先を頼って熱海に行き、ともい千葉県市川の借家に移った。しかし、三味線の稽古の音、四六時中耳を刺すラジオの騒音に耐えがたくて駅の待合室に避難する日々となり、やがて憤然としてその家を出た。次に世話になったのは、荷風の古くからのファンでフランス文学者の家だった。だが、ここにも長居できなかった。家主が自分の食料を盗む、家主の妻が部屋掃除の名目で自分の金のありかを探す、と荷風は罵って去った。しかしその実、荷風が夫婦の寝室や、妻の入浴姿をのぞいたのがバレて追い出されたのだった。
どちらの家も好意で荷風を同居させたのに、結果は最悪だった。「著名の文人と老人であることを除けば、いかにしても許されるべきにあらず」と穏やかな常識人の従弟に述懐させるほど、荷風は手のつけられぬ偏屈な老人になり変わっていた。やがて京成八幡駅近くに、12坪の小さな家を買って独居した。ほとんど毎日浅草へ出かけて街区を彷徨し、ストリップ小屋の楽屋に上がり込んだ。レストラン「アリゾナ」の同じ席で同じものを食べ、そうでない日には、八幡駅近くの大黒屋食堂でカツ丼を食べた。
荷風が吐血したのは、、59年4月30日未明だった。一度目は、枕元の火鉢の中にある未消化のカツ丼の混じった血を吐いた。二度目は畳の上に吐血し、三度目、血塊を喉に引っかけて窒息死した。79歳の荷風が残したものは、鍋2個、茶碗、湯飲み、包丁、七輪各一個、古い洋服2着と靴三足、壊れた洋傘1本、中身の入ったボストンバッグだった。51歳のヴェルレーヌは、老娼婦と同居の寒々とした部屋で肺炎になった。水でも飲もうとしたものか、ベッドから出ようとして転げ落ち、もう動けなかった。老娼婦ユージェニーに大男をベッドに戻す力はなく、床の上の彼にあるだけの毛布をかけた。ヴェルレーヌが死んだのは翌日、1896年。1月8日である。
28歳の正岡子規が脊椎カリエスで病床から立てぬ人となり、樋口一葉が栄養不良によって亢進した肺結核で。24歳で死んだ年。荷風は日ごろ、どこへ行くにも土地家屋の権利証書、銀行預金の通帳、文化勲章など、全財産入りのボストンバッグを持ち歩いていた。ゴミ屋敷のような家に残されていたその中身の額面総額は、2334万円だった。現代の価値に換算すれば、3億円ほどか。
『週刊現代』3/16
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