paranoia kiss
    

10年ほど前、よく行った海が画面に映っていた。
背の低かった彼が運転する車は、
無人のスポーツカーと呼ばれるほど、
運転席には誰もいないように見えた。

そんな彼と海の向かい側にある
カフェバーでよく飲んだ。
そして、防波堤に座って
コーヒー、タバコ、読書。
気侭な時間だった。

純銀のジッポを教えてくれたのは彼で、
レディースサイズのそれは、
自分の手には小さすぎた。

イニシャルを入れてもらった。

以来、純銀のそれを贈り物にするようになった。

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君に送ったライターは未だタンスの上。
陽の目をみることはあるんだろうか。

今でもこっそりとオイルを補充する。

2007年11月26日(月)



季節はずれだけれど、
第3ボタンを貰った人のことを思い出した。

7つボタンだったその学校は、
第2ボタンより第3ボタンの方が
心臓に近いから。と言って、第3ボタンをくれたんだった。

そのときは、単純に舞い上がったけれど、
今思い返せば、
第2ボタンは先約があったんだろう。

どうしても第2ボタンがよかったという
なんとも微妙なオンナゴゴロ。

そのボタンは何処へ行ったのかさえ、
もう思い出せない。

歌がうまくて、よく飲む人だったな。と思う。
ハロウィンというバンド名を聞くと、どきっとする。

2007年11月17日(土)



7年前のこの日、何もかもを失った。
言葉を信じることができなかった。

泣いて泣きすがって、相当みっともなかった。
今になって、何故そこまでしたのかよくわからない。

世間で言う、何もかもを手に入れていた自分が好きだったんだろうか。
仕事も恋愛も。
その延長に結婚があって、
間違いなく、添い遂げると思っていた。

あの人のことばかり思い出してしまうのは、
産まないという選択をしたからであって。
もし、順調ならば、ランドセルを選んでいるはずだった。
次の春が来るのが心苦しい。

マイナスの気持ちを反動に。
いつかどこかで出会ったときに、
見返せるように。
そんな汚い心がある。

その汚い心が今の自分を支えている。
へこたれそうになっても、
あの時より苦しいはずがない。
あの時ほど、凹むことはない。

見返すということで支えられていることを改めて知る。

2007年11月07日(水)



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