paranoia kiss
    

昔、彼とよくいったカフェバーが閉鎖になったことを知る。
今となっては無意味な情報まで
このネットとやらは教えてくれる。

海が見えるそこがお気に入りだった。
平日の昼間なんて誰もいなくて、
コーヒー、タバコ、数冊の本を手に、
授業をさぼってそこのテラスに陣取っていた。

店員は話し掛けてくるわけでもなく、
距離感がちょうど良かった。

週末、彼と行ってもすることは同じだった。
数冊の本を読む間に、
居眠りをしていた彼。
何も話さなくてよかった。
風と波音だけで充分だった。

こんな夏空の下、センチメンタルも似合わないけど。
暑い一日になりそうだ。

2007年07月28日(土)



平日の昼間は親子連れが多いと知る。

特に、ホテルのコーヒーショップなんて、
主婦とお母様という組み合わせ。
あ、同性で出かけるんだ。と気づく。

父としか出かけたことがなかったから、
今更になって気づいてしまったよ。
世の中から見たら、援助交際に見えたんだろうな。

それでも、父としか出かけられないんだから仕方なかった。

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昔の出来事を思い起こさせる人との出会い。
世の中は狭いと改めて思う。

ビジネスだけど、前のビジネスと関係ある人と、
これから接していくことになる。

結局、切っても切れないあの人との縁。

腐れ縁など通り越して。

2007年07月21日(土)



やはりこの店は父と一緒じゃないとダメだと思った。
法律でお酒を飲んではいけない年齢から、
もう何度来たことだろう。

一度、当時の恋人と来たことはあるけれど、
向かいがわにいるのが父でなくて、
違う人だということに物凄く違和感を感じた。

年に一度しか来ないけど。
いつも開店を待って、同じ場所に座る。
そして、同じものしか注文しない。

鱧を食べて、ようやく夏を迎える。
気づけば10年以上そうやって過ごしてきた。

いつまでこうやって、
父と過ごす時間を持つことができるのか。
僅かな時間だけ親孝行しているつもりになっている。


2007年07月17日(火)



浴衣に花火の似合う季節がやってくる。

あの人が初めて連れて行ってくれた公園は、
当時車で入ることができた。

花火の開始時間にはえらく早い時間から
車で乗り込んで、いい場所を陣取り
ひたすらにビール。
始まる頃にはご機嫌さんで、
どんな花火だったかも思い出せない。

以後、車で入れなくなったから、
毎年のように恋人をとっかえひっかえし、
あの場所で見た。
あの人に会えばいいのに。と思いながら。

君と1度だけ行ったけれど、
それ以降は行かなくなった。
会えればいいのに。なんて夢をもう、みなくなったから。

2007年07月14日(土)



お酒をどうでもいいように扱う人間を
心底嫌うくせに、今自分がそうなろうとしている。

ボーナスが出るという今日、
何処かで見知らぬ異性と飲んだ暮れているんだろう。

はっとそのことに気づき、
僕は1リットルのビールを流し込む。
一番嫌いな飲み方なのに。
それでも、□い頭が○くなるような錯覚に襲われる。

明日の朝に残骸を見つけたら、
何か言われそうな気がして、
ベランダにゴミ箱に放り込む。

辺りはとても静かで、
缶の音だけが響き渡った。

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この季節には珍しく涼しい日。
いつもとは、銘柄の違うタバコをプカリ。

やはりここでも浮気は良くない。と改めて気づく。
君の帰りなど待つつもりはさらさらない。
浮気が本気にならなければいい。
浮気ならいくつでもご自由に。

いつだって、気づかぬフリをしてきた。
異性なんてそんなもの。
割り切るにはスケールが大きすぎる。

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気が付けば、あすは七夕。
生憎の雨の予報。

大勢でお気に入りの焼き鳥屋で飲んで、
彼に恋していたのはもう何年前だろう。

彼も彼女も元気なんだろうか。
そういえば、今日、彼女の町を通ったというのに。

じゃがいもの皮をむくのが分厚すぎる。と
言われたことを未だ覚えていて、
カレーを作るたびに思い出す。
やたら綺麗な手だった。

酔っ払っては泊めて貰って、
社会的身分を全うしていなかったあの頃を。

多分、あの頃よりも色々なものが作れるようになりました。
上手な嘘と。
上辺だけの笑顔と。

足回りの硬い車が好きで、
なぜだか、今もその車を見るたびに振り返ってしまう。
全く飲めない人と、飲むことが大好きな人間が、
一緒に居ることはやっぱりできなかったと
今になって思う。

ボールが転がっていたあの海が大好きだった。
そして、田んぼだらけのあの街が大好きだった。

彼といた時に、海が見える街で
あの人とすれ違ってしまった。
あの人の驚いたような悔しそうな顔を見て、
僕はちょっと気分がよかった。

全く正反対な二人を思い出してばかり。

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今になって、酔っ払って書く文字は
ろくなことがないと気づく。
戒めをこめて、ここに残してみる。




2007年07月06日(金)



空は明るいのに、雨が降る日。
昨日とうってかわって不味いコーヒーを飲む。

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3年ぶりに、誰にも気を遣わず一人の時間。
お金と引き換えに。
ここ1年は特に酷かった。
留まることを許されずに突っ走ってきた感がある。

脳と体の緊張が解き放たれる感覚。

いつもの店の指定席だった場所に座る。
本を片手に。
時折、店内を見回してみたり。
何も変わっていない。
確実に変わってしまったのは、この僕。

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爪の手入れをし、調子の悪かったコンタクトを変える。
7時間もある。と思っていたけれど、
たった7時間?というようなスピードで、
一人の時間に終止符を打つ。

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初めての場所。
昔は古いビルだったのに、
ブランドが入るテナントになっている。

よく仕事さぼったなぁ。
今、同じ仕事をしていたとして、
ここでさぼったらすぐにばれるだろうなぁ。

知り合いに会わないか
冷や冷やしながらそそくさとビルを出た。

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いつか行けるなら、また行こう。
僕の左手に輝く指輪を探すのは君の役目だ。

どうしても欲しいものがある。

それまでは、何もいらないから。
甘い甘い10年になるように。
また今日から代わり映えのない日々を送ろう。
それが唯一無二の幸せ。

2007年07月04日(水)



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