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女房様とお呼びっ!
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2004年12月15日(水) カラダの関係・私の場合

元々説教好きの上に年喰うと、昔はヨカッタ的物言いが多くなっていけない。
大方のひとが、若くて勢いのあった頃のほうがヨカッタに決まってるし、
イマドキについてけないから、ついていけてた昔を懐かしむ。
もっともらしく書き散らしているが、要はそういうことだ。

イマドキは、カラダの関係にしても、もっとずっとお手軽なのかもしれない。
女を口説くことに血道を上げる男なんていないのかもしれない。
もしかすると、男が女をどうにかするものという認識自体、時代遅れなのかもしれない。
男女の別なく同等に見当つけては、条件を提示しあって、利害が成立すればOKみたいな。

しかしながら、この辺の私の感性は、
その旧い時代に築かれてしまったので、今更変えようがない。
へぇぇ、イマドキはそうなのね?と感心することはあっても、自分に適用できないのだ。
あたかもそれは、幼い頃に叩き込まれた行儀作法のように、骨の髄まで染みている。

そんなワケで、古いなぁと誹られようが、私は旧来の作法に則るしかない。
ひょっとすると、そのせいで昨今モテないのかもしれないね(笑。
――最大の理由は、単に年喰ったからであるにしても。



さて、これまで、ノンケの関係の例を引いては、SM関係も同じだ〜
とか誤魔化してきたので、改めてSM関係の部分から紐解いてみよう。
これも改めてとなるが、あくまでも私の場合は…の話なので、
イキオイ昔のことも持ち出そうし、流行らない論に行き着くのは必至だけれど(笑。

ときに、私は、某チャットサイトの自身のプロフィールで、
自分の望むプレイやSM関係について、以下のようにコメントしている。

---

エスエムなんぞヤってると、
「好きなプレイは?」と訊かれることは再々ですが、その度答えに窮します。そこで。
「相手によります…」なんて答えては、お茶を濁してみてるワケですが、すると。
「相手に合わせるんですね?」なーんてコメントされて、更に困る(笑)
「やっぱ、サービスのSですかぁ?」などと言われた日には、いよいよ困る(笑々)

よくよく考えれば、相手の別なく好きなプレイもありましょうが、
単純に好きなプレイをするために、相手が必要なワケじゃないんですね。
一時的にであれ、相手を虜にするために行為する、そういうスタイルです。
だから、合わせることもあれば、サービスもあり。けど、それだけじゃない。
それだけじゃないから、エスエムなんですねぇ。ふっふっふ。

もっとも、その時々のマイブームってのもあります。
照準を合わせられる相手がいないと、結構コロコロ変わる傾向にあり。

---

つまり、私にとって、
SM関係が成立する要件としての「好きなプレイ」は存在しないということだ。
私の要件は「S側に立つこと」が全てで、
プレイは、相手とのSM関係を成立させたり、関係性を具現するものでしかない。

…などと言うと、いかにもな精神論に聞こえるかもしれないが、全く違う。
私が旨とするSM(DSも同様)はプレイが第一義だし、なんといってもプレイが好きだ。
プレイだけの関係が叶うなら、願ってもないことだと思う(※)
それは、主従だの恋愛だのに絡む面倒な感情を入れずにすむ、極上の娯楽だからね。

であれば、私と同様にプレイだけの関係を望むM魚も山ほどいることだし、
すんなりカップリングできようものを、これがなかなかうまくいかない。
なぜか?



S女としての魅力に欠けるという根本的な理由はさておいて、どうやら、
この「好きなプレイ」が明確でないことも、M魚の食いつきの悪さを招いているようなのだ。
実は、この原因に思い当たったのは、ごく最近で、今更ながら自身の浅慮に頭を抱えてしまった。

あまねくモテんがために、上記のようにアナウンスしているわけじゃないにしても、
私としては、むしろ、何が出来るとか出来ないとか、
ありがちにして、あまり意味のない――少なくとも私にとっては――ハードル、
のようなものを取り払って、広く門戸を開いた気で得々としていたのだが、
実情に照らせば、それは全く逆効果であったらしいと知り、愕然とした。



前置きが長すぎて、表題の割には具体的なことが殆ど書けてない。
詳しくは次回。


※参考までに過去記事→「ココロ〜カラダだけのSM」
 


2004年12月08日(水) カラダの関係

前回記事で、

その難関を越えるために必要なのは(中略)どうにかしたい一心なのではないか。

と書いたが、この「どうにかしたい一心」というのは、
ただ闇雲に求めたり、願ったりすることでは、もちろんない。
自分のことしか考えず、盲目的に相手を追っても、どうにかなることは少ないし、
下手するとストーカーなんてのに成り下がる。

これも繰り返しになるが、女を見る目を養い、
どう口説くか、どうすれば好きになってもらえるかを体得する原動力となるのが、
「どうにかしたい一心」だ。
当然のこと、それらはすぐに身につくはずもなく、試行錯誤を繰り返しつつ、
やがてどうにかなるもので、その報われない時期を支えるのも、この原動力だろう。

そして、この性愛の対象を希求する力というのは、人が持ち得る大きなエナジーのひとつだ。
子どものため、金のためと同様、女(男)のために発揮される力は、結構デカイ。
そのために、一歩間違えるとマズイってな側面はあるけれど。



どうにかしたいけど、色恋ごときに一心にはなれないよ…と思われるむきもあるかもしれない。
もっと軽ぅく、割り切ってカラダだけの関係みたいのがいいなぁ…とか。
ことM魚にあっては、SMと恋愛(この場合ノンケの恋愛)を分けている人も多いので、
クラブに通う感覚で素人S女とプレイだけの関係が結べないかな…とかね。
いずれも、金払ってヤるよりは上等だろうと期待して、そうした希望を抱く。

それならそれで、全然構わないと思う。
同様の希望を抱く女は、数はどうあれ、確実にいる。
確かに、そういう関係を遊ばれてる、モノ扱いされてると厭う女のほうが多いだろうが、
アテにしなければいいだけの話だ。
よくよく相手を見極め、口説き落とすことに、下心という一心を注げばいい。

もしここで、
「だからぁ、下心はあるけど、そんなマジになれないって…」
と思われたなら、大変な認識不足だ。
下心だけで結果を出すのは、まともに恋愛して相手を得るよりも、よほど難しい。

真剣なお付き合いを望めば、対象の絶対数も格段に増えるし、
女を口説く術はなくとも、本気で惚れて、心だけを武器に体当たりすれば、
それこそ相手の心の機微に訴えて、どにかなることも多いだろう。
実際、そうしてしかるべき相手を得ている人が殆どだ。



テレクラで遊んでいた頃――まだウリやサクラが跋扈してない頃――に、
出会った男の多くは、必然、女を口説く術を身につけていた。
だからこそ、私も口説かれたワケで(笑。

そういう男は、当然ゲット率も高い。
他方、全然出会えなくて…と嘆く男が、その何倍、何十倍もいたことも当然の事実だ。

「普段モテない奴が、テレクラだったらモテるなんて、わけねぇじゃん…」

勝ち組の男はそう言った。
私もそう思った。

モテ男はしかるべくしてモテるのだ。
口が巧いだけだろ?とか調子いいだけだろ?と誹る人もいるだろうけど、
彼らの下心はまさにその術を練磨することに注がれて、結果女を引き寄せる。
テレクラにかけてくる女はすぐヤらせてくれるなんて妄想に浸って、ただぼんやりしてても、
ゲットはおろか、ロクな会話もしないうちにガチャ切りされるのがオチだ。



相変わらず、テレクラなんて古い話を引き合いに出したが、
これがネットの出会い系に場を移しても、根本的に変わりはないと思う。
改めてとなるが、カラダだけの関係を交渉する場は、完全に女の売り手市場だ。
マジな下心で気合を入れてかからねば、相手にされるわけがない。

女をその気にさせるには、まずイイ気にさせることだと、モテる男は知っている。
だから、彼らはたいてい誠実だし、思いやりがあるし、一生懸命だ。
相応に女に金を遣う(払うにあらず、笑)こともあるだろうし、
金を遣わずとも、言葉や態度で女をもてなすだろう。
それが、下心だけによるものであっても、だ。

そういう諸々が面倒だ、バカバカしいと思うなら、
安易にカラダだけの関係なんて望まないほうが、賢明ではないか。
男が夢想するほど、都合のいい女はそうそういないと思うよ。



またしても、ノンケさんに向けた話ぽくなってしまったが、
これまたやっぱり、M魚だって同じだろうと思っているので、そうなったまで。
悪しからず、ごめんなさい。


2004年12月07日(火) 素人童貞

ソープで筆下ろしを果たした童貞クン、いっぱしの男になったつもりでいるかもしれないが、
世間の相場に照らせば、まるで序の口にもついてない。
金払ってしかヤったことがないという事実は、早晩、頭をもたぐだろう。
いわゆる素人童貞と呼ばれる状態は、
ただヤることだけが目的だった時代よりも、ずっと悩み深いに違いない。

言うまでもなく、素人の女とヤるのは手間も暇も、金だって諸々相応にかかるのだ。
ヤれたとしても、玄人の嬢みたいにはヨガってくれないし、当然サービスもしちゃくれない。
ましてや、ヤれば好きになってくれるほど、女心は易くない。
てか、素人女の場合、普通は好きになってもらえないとヤれない(笑。

素人童貞を捨てたいと思っても、ソープを一歩出れば、かくも厳しい現実が待っている。



厳しい現実を免れて、一生素人童貞でいいやと開き直れば、よっぽど楽だ。
実際、女を口説いたり、色恋沙汰が面倒で、そうする人もいるだろう。
面倒以前に、物理的に女と関わる機会がなかったり、
機会を求めても得られない人だって、少なからずいるはずだ。
そして、やむなく桃源郷に戻る。

誰も彼もが女を口説き、恋愛を謳歌している・出来ると思ったら大間違いだ。
悲しいかな、これも、彼らがやがて知る、更に厳しい現実のひとつである。

同じ男と生まれて、
かたや素人童貞、かたや、モテモテとは言わずとも相応の縁に恵まれる。
なにゆえ、こんな不平等が起こるのか。
端から望まなければ済む話だが、望めど不遇をかこつのはなぜか。



容姿だなんだと、逃れようのない宿命的な要因もあろうし、
まさに運命とでも呼ぶべき不運もあろう。
けれども、おおよそは、各々の裁量にかかると考える。

しかして、それは自分で培うものだ。
女を見る目も口説き方も、好きになってもらう方法も、誰ひとり授けてはくれない。
今どうにかなっている人も、どうにもならないときがあって、
どうにかしたい一心でどうにかしてきたから、どうにかなったわけで。

いささか極論になるが、どうにかしたいと思ってるのにどうにもならないのは、
その一心――どうにかしたい思いや、思いが駆る努力や忍耐――を中途にして、
どうにもならないやと諦めてしまうからではないか。

…もっとも、まさか、素人女とヤることだけが人生の目的ではないし、
男女の別なく、色事や恋愛などとは無縁に過ぎる人もいる。
ただ、そう割り切れるまで、あるいは納得するまでは、
何もかもが宙ぶらりんなまま、悩ましい日が続く。



さて、本題。
クラブでしかSMプレイをしたことのないM魚について。

彼らもいわば素人童貞だ。
もっとも、M魚の場合、数の論理から素人とヤれる人のほうが少数派なので、
素人童貞でも引け目を感じることはない。
それどころか、素人とヤれるはずがないと思っている人も意外に多く、
SMは金払ってお世話になるものという認識も根強くある。
更には、素人との可能性を知りつつも、
SMは非日常と割り切るために、敢えて金銭を介在させる関係を選ぶとか。

その一方で、本物の素人童貞のように、
金払ってヤることに空しさや疑問を覚え、クラブを後にする組もある。
しかし、当然のこと、皆が皆希望を叶えられるはずもなく、かなりの割合で脱落していく。

確かに、ソープの外の現実よりも、クラブの外の現実のほうがはるかに厳しい。
もとより素人S女の絶対数は少なく、必然競争率が高くなるからだ。

しかしながら、その厳しさの様相は、両者にほとんど共通だと、私は思う。
そして、その難関を越えるために必要なのは、これも両者に同じく、
どうにかしたい一心なのではないか。



「やっぱ、何でも出来るスゴイMじゃないと、相手にしてもらえないんでしょ?」

時折そんな声も聞こえるけど、これはキッパリ否定しておこう。
少なくとも、私が関わったM魚たちは該当しない。
身の回りで見聞きする実情に照らしても、
スゴイMだから相手にすることはあれど、そうじゃないから…という逆は、おおよそないと思う。

だいいち、各々に備わったM性なんて個性と同一なんだから、
スゴイのなんのと比べること自体、妙な話ではある(笑


2004年12月05日(日) 初体験

金で買う関係あるいは行為について、私はなにも否定しない。
むしろ、合理的だと思うし、あってしかるべきと考える。
これは一般論としてではなく、まさに自分の身に引き寄せて感じていることだ。

私が深く関わったM魚は、総じて一時期SMクラブにハマっている。
当然、プレイ初体験もクラブで果たしていて、
その時期には多少ばらつきがあるものの、おおよそは20代でクラブの門を叩いたと聞く。
(唯一の例外がいるが、こやつは天性のMなので除く、笑)



私のような素人S女が釣りに出ると、未経験のM魚によく出喰わす。
彼らの多くは、なにがしかの興味をもって、一度経験してみたいと言う。
あるいは無邪気な好奇心から、自分がMだかどうだか試してみたいという組もある。

それを受けて、「だったら一度SMクラブに行ってみては?」と水を向けるのだが、
かなりの割合で難色を示されるのがオチだ。
いわく「クラブは怖くて…」とか「金絡みだとどうも…」とか。
それで、素人に相手して欲しいのだ、だから探しているのだと言い募る。

素人の立場で物言えば、クラブのほうがよほど安全だし、明朗会計(笑)だと思うけど、
まぁ、誰がどんな希望を抱こうと自由だし、望みが叶えられる可能性もままあるワケで、
「じゃ、いい人と出会えればいいわね…」と丸めて、捨て置くのがせいぜいだ。

もっとも最近では、初体験は愛する人と…と願うウブい処女みたいなM魚も増えていて、
それはそれでわかりやすい希望だし、関わらずとも尊重したいと思っている。



…と、処女の喩えを引いたところで、強引に童貞のそれも引いてみよう(笑。

生憎というか当然のこと、私は童貞だった経験はないが、
童貞クンが初体験に向かう衝動については、ある程度想像できる。
恐らくそれは、処女が「愛する人と…」と夢みるような期待とは全く異質の、
極めて現実的なのっぴきならない衝動だろうと思うのだ。

もちろん同じ男でも個人差があって、激しい衝動を抱えつつも、
ちゃんと好きになって交際した人と果たしたいと願うむきもあるだろう。
実際、そういうまっとうな手段で初体験を済ませた人も多いと思う。

他方、とにかくヤってみたい、ヤらねば〜と勢い込んで、
しかるべき場所に駆け込む童貞クンも、決して少なくないはずだ。
そりゃあ、どれ程ヤリたいとテンパってても、
初めての経験とてそれなりに怖いだろうし、当然それなりに金もかかる。
それでも止むにやまれぬ衝動に駆られて、エイヤとソープの門を叩くに違いない。



そして、話は冒頭に戻る。

私とウマがあったM魚たちは、皆SM童貞をクラブで捨てた組だ、それも若い時分に。
つまり、怖かろうが、金かかろうが、
それを圧しても行かずばならない衝動が彼らに生じたということだ。

しかるにこれは、彼らのM性(癖)の強さ、ないしは業の深さが導いた結果なのではないか。
機会があればヤってみたいなんて甘ちょろい興味でも、
一度試してみようカナなんて出来心でもない、抗い難い運命のように。

翻って、私にとっては、そういう輩とガップリ四つに組むことで、
必然として湧き上がるS的な快楽を得ることが出来るのだ。
彼らのM性の強さに煽られては、私の中にもS的希求が昂まっていく。
合わせ鏡のあっちとこっちで幾重にも感応しあって、
その真奥から、まさに悪魔的な快楽が呼ばれるような経験は、そうした彼らと果たした。

もし彼らが、原初的でピュアな欲望に駆られたときに、
SMクラブという受け皿がなかったらどうなっていただろう。
おそらくは自意識の旺盛な年頃のこと、そうした衝動を持つ自分を否定したり、
代償行為に走ったり、あまり芳しくない成行きを招いてしまうような気がする。
(それらは、まだSMが珍奇なものであった頃、先人が辿った苦難の道だ)

だいいち、折角芽吹いた若い芽が、はかなく自滅してしまっては、
花も実も愛でられないではないか……それは本当に困る(笑。



というワケで、私の本音としては、
SMクラブに行くのをためらう程度のM魚なら、更に言えば、
いい年こいて、怖いのなんのとグズグズ言い訳ばかりしてるヨロメキM魚なんて、
願い下げなんだよね(笑


2004年12月02日(木) カネの壁

私と対面するためだけに飛行機に乗ってやってきた彼は、
その始終、どこか落ち着かなさそうだった。
初対面ゆえの緊張もあったろうが、それよりも、
勢いに任せて踊り出てみたものの、そのまま立ち往生している感を受ける。


「あの頃のボク、まさにドン底で、色々話きいてもらってホント救われたんですよ…。
 あれから3年経って、どうにか喰えてますってこと、見て欲しかったのかな…」


はるばる私に逢いにきた理由を彼はそう語ったが、
まさかそれだけのために、多忙を縫って金使ったわけじゃないだろう。
語らずとも、そこには確固とした下心があったはずだ。
それなのに、私の質問にようよう答えるだけで、曖昧な表情で押し黙ったままにいる。

とはいえ、折角こうしてみえたのだし、乗りかかった舟とばかりに努めて話題をとってやり、
その甲斐あってか、ようやく彼の緊張が解れた頃合に、本音とおぼしき言葉がまろびでた。


「なんか、どうしていいかわかんないんですよね…。
 ボク、お金払ってしかS女さんと会ったことないから…」


実はこのとき、私は少なからず驚き、彼について大きな思い違いをしていたことを知る。

それまでに聞き及んでいた彼の経歴は、決して貧しいものではない。
彼が言及しなかったのが一番の原因だが、その充実ぶりから、
彼も私に同様、金銭を介さないSM関係を経験してきたと勝手に思い済ましていたのだ。



知り合った当初の彼は、
20代の頃に仕えた女にMとしての下地を作られ、
縁が切れてもなお心奪われたまま、彷徨っているのだと切々語った。

断ち切れない過去を背負う男と、
改めてしかるべき関係を持とうとするほど、私は酔狂ではない。
よほど思い入れがあれば別だけど、この経歴をして、早々私は彼を見切った。
それでも、ネット上であれ付き合いが続いたのは、
彷徨うこと自体に耽溺しているかのような彼の言葉に興を惹かれたからだ。
これはこれで、酔狂なことだと思うけど(笑。

次にネット上で彼を見かけたのは、私がよくロムしているオープンチャットで、
もちろん、そのときは彼を彼として認識していなかったものの、記憶にとまるM魚だった。

特徴的なプロフと、ああした場所に出入りするM魚にしては練れた印象。
いわく、遠方に住む友人のS女性を在所へ招き、プレイしたと言う。
それなりに経験を経て、SMの間柄であっても自由闊達に交友し、
また柔軟な関係を謳歌しているふうに見えた。

しかるに、その印象はすなわち、今の彼についての認識となった。
事前に届いたメールには、麗々しい言葉で「今もまだ彷徨い続けている」と綴られていたが、
件のM魚が彼であると知るや、ナンダ、よろしくやってんじゃんと、
正直、鼻白むような気持ちになったものだ。

彼が頻々とオープンに姿を見せるようになったのは、そのひと月前くらいから。
友人を招いて遊んだ近況が語られたのは、メールが届いたほんの少し前。
にわかに高揚しては納まりがつかず、古い記憶をたぐってまでも刺激を欲しているのだろう。
そこまで思い当たった上で、対面の申し出を受けた。

もっとも、いかに彼が「その気」でみえたとしても、私の琴線に触れなければ、どうもならない。
他方、なるときはなるようになるもので。
「今更連絡を寄越して、衝動だけでやってきて、さてどう出るつもり?」
と意地悪な興味があったのは事実だ。



しかし、彼には、打って出るべきノウハウがなかった。


「お金の関係なら、すぐにでも跪くことができるのに…」


言い訳めいた言葉が続く。
悲しいかな、彼はその経験をして、金に替わる交渉の術を持ち得ない。

もちろん、金銭の授受を約しても、それなりのやり取りは必要だろう。
けれども、余計なことを言わず、ただ粛々と任せてれば、おおよそ叶えられるだろうそれと、
主導権は相手にあるにしても、「その気」になってもらうための振る舞いは大きく違う。
どう振舞おうと、いなされるかもしれないリスクもつきまとうしね。

あまつさえ、自分からアプローチしておいて、
会えばどうにかしてもらえるなんてのは、百にひとつもないのではないか。
少なくとも、私はそう思う。

つまるところ、彼は私にとって、会うなり取って喰いたいほどの素材ではなかったので、
そんな奇跡は起きなかったということだ。



もっとも、私のほうこそ、彼にとって、
会ってみたものの、「その気」が失せた対象であった可能性も否めない。
どうすればいいかわからないと明かすことで、その失望を伝えていたのかもしれないし。

それならそれで構わない。
むしろ、そう納得してくれてれば、私も気が楽だ。


2004年12月01日(水) 2004年を振り返る 【後編】

秋を迎えても、リバイバルムーブメントは続く。
3年程前ネットのみで交流のあったかたから、再びメールが舞い込んだ。
もっとも、当時交わされた情報はおよそ色事からは遠く、半ば身の上相談に成り果てて、
やがて、「身辺が慌しくなったので、しばらくSMから離れます」
と連絡があったきりになっていたM魚である。

どうにか落ち着いた今にして、ふと思い出したふうだったが、この彼が、
丁度その頃、さるオープンチャットで再々見かけるM魚と符合するのに思い当たる。
訊けば同一であることが判明、なるほど。
聞くまでもなく、再び熱が戻っているのだろう。

その勢いを駆って、先のメールが着信した数日後には、はるばる飛行機に乗ってお越しになった。
が、対面してもなお、話題は彼の愚痴だか相談だかに終わってしまって、
結局、何も起きてない。



その彼と同時期に知り合ったM魚がいる。
この魚とは、ほどなく対面して以降、盆暮れに連絡が来て会う関係が続いてるのだが、
3年経ってようやくというか今更というか、プレイしてみた。
別にこれまでお預けを喰わしてたワケじゃなくて、ほとんど成行きで(笑。

てのも、昨年末に忘年会よろしく飲んだ勢いで、
「来年こそは、鞭もて参りましょう」と約束したのを果たしただけだ。
もっとも、義理でそうしたのではなくて、これはもぅノリと言うべきか。
恐らくは彼の長所でもあり、短所でもある’軽み’に乗せられた感。
もちろん、こっちも乗っちゃう程度に、その軽みを面白がっているので、おあいこだ。

プレイ自体はそこそこ楽しかったが、しかし、
初対面(ないしはそれに近い時期)でインスピレーションが湧かなかった相手というのは、
時間を置いてもやはりそれなりだなぁ…と、改めて気付く。

結局、これまで会っては飲んで馬鹿話散らかすの延長になってしまった。
お互いにテンションが続かなくて、間欠的に行為をつないでいくみたいな。
インターバルには、やっぱり下らないネタでとっちらかってしまうし。
男友達と夜っぴきで酒飲んで、ついでにヤっとく?みたいな感じ(笑。
ま、それはそれで愉快だったから、ヨシとしよう。

ちなみに、私たちがしかるべき関係に至らなかったのは、彼が「癒したい系」だったからだ。
今にして、「あの頃は特にそうでしたね…」と回想しながら、
「でも、ほっとけない感じの女性には、やっぱ弱いっすねー」と苦笑する彼。
つくづく因果なM魚である。
この先も、私たちがその意味で添うことはなさそうだ。



さて、現在。
ヤるかヤらないかの微妙な線上のかたとご縁が続いている。
このかたも、オープンチャットで知り合って、お声がけ頂いた経緯。

夏の終わりだったか、
「リアルでSMの話がしたい、出来ればその延長線上でプレイの可能性も探っていきたい」
とのご提案を受ける。

ただ、この彼も、春先にお目にかかったかたと同様、
さして密に会話を交わした憶えがなく、なんで私なんだ?と訝しく思ったものだ。
対面後、その疑問をぶつけたところ、弊頁をご覧になったのも一要因とか。
なるほど、こんな細々運営しているHPでも、瓢箪からコマ出すことがあるらしい。

以来、二度ほどご一緒しているが、次の手を出しあぐねている状況だ。
現在進行中のこととて詳細は伏すが、つまりは、この状況をもって、
昨今ウダウダ考えたり、ここに駄文を掲げていたような次第。



ときに、前述の、ノリでプレイした折のこと。
端からバカ話しかしてこなかったので、ヤろうと言ったものの、
まるでプランが思いつかず、とりあえず一通りの道具をえっちら担いで行く。
その重みが存外堪えて、あぁこれが、釣れなく・釣らなくなった原因かなぁと思い当たった。

要は、自分が思う以上に、心身ともの体力が衰えているらしいのだ。
イマドキM魚の堪え性のなさに呆れてばかりいられない、自分だってそうなんだから。
元々が怠け者のうえに、年のせいもあるだろうけど、
前はこんなじゃなかったのになぁと情けなかった。

いつからこうなったろう。
初回はダメもと、ダメじゃなくてもS側にあれば割を喰う、
それを承知で、それでも重い鞄を下げてくガッツがなきゃ、新規が釣れようはずもない。
若い頃のようにはいかないだろうけど、ちょびっとは頑張ろうよ、自分。
まだまだ、枯れるわけにはいかない。
海は広いし、魚も絶えてなくならない、はずだ。



というワケで、萎えた釣り根性に喝を入れつつ、まずはここまで。

もっとも、今年はまだひと月残ってるし、
年末ジャンボ大当たり〜みたく劇的な展開があるかもしれず、せいぜい期待してようか。
ただし、宝くじは買わなければ当たらないのが道理。
ふたたび自分に喝〜ッ(笑。


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